――議事録――
○高橋(千)委員 ただいま議題となりました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案について、日本共産党を代表し、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
政府提出法案は、派遣労働の行き過ぎた規制緩和の結果生じた日雇い派遣の問題や、二〇〇八年秋のリーマン・ショックを皮切りに横行した乱暴な派遣切りの問題などを踏まえ、派遣労働者の保護を図る目的から提出されましたが、一年七カ月余りにわたって審議されずに来ました。
その間、派遣労働を初めとする非正規雇用は、この一年で三四・六%から三五・三%に増加し、千七百二十九万人に上るなど、不安定な雇用が拡大し続けています。さらに、ことし三月に発生した東日本大震災では、震災を口実にした派遣切りや雇いどめが全国に広がっています。非正規雇用に対する規制を強化すること、中でも、不安定雇用の最たるものである派遣労働の一刻も早い規制強化が求められています。
日本共産党は、政府提出法案が製造業派遣、登録型派遣を原則禁止するとしながら例外を設けていることを初め、派遣労働者と派遣先の労働者との均等待遇の確保や、派遣先企業の団体交渉応諾義務など、労働者を守るために必要な規定を盛り込んでおらず、派遣先責任の強化も今後の検討事項とされていることなどの問題点や不十分さを改め、真に派遣労働者の保護に資するために必要な最低限の措置を講ずるため、この修正案を提出した次第であります。
以下、この修正案の主な内容について御説明申し上げます。
第一に、大量の派遣切りの引き金を引いた物の製造の業務について、労働者派遣を全面的に禁止することとしております。
第二に、派遣労働者の雇用の安定を図るため、期間を定めないで雇用する労働者以外の労働者派遣を禁止し、それに伴い一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業の区別を廃止することとしております。
第三に、日雇い派遣については、全面的に禁止することとしております。
第四に、いわゆる専門業務については、高度の専門的な知識、技術または経験を必要とし、交渉力のある業務に限定することとしております。
第五に、雇用申し込みみなしについて、労働契約の期間については期間の定めのない労働契約の申し込みをしたものとみなすとともに、違法派遣であることを知らなかったという派遣先の言い逃れを許さないこととしております。
第六に、派遣労働者の賃金について派遣先の労働者の賃金水準との均等を図る均等待遇原則を盛り込むとともに、派遣先の雇用責任を強化するため、派遣労働者に対する福利厚生施設等の便宜の供与について差別的取り扱いを禁止し、派遣労働者の代表者との団体交渉を拒んではならないこととしております。
最後に、製造業派遣等の禁止については、公布の日から一年以内に施行するものとしております。
また、この法律の施行により派遣労働者が派遣先に就業できなくなる場合には、派遣先に雇い入れの努力義務を課しております。
以上が、この修正案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。