国会質問

質問日:2013年 2月 12日 第183国会 予算委員会

生活再建へ国は責任果たせ

(写真)質問する高橋ちづ子議員=12日、衆院予算委員会

(写真)質問する高橋ちづ子議員=12日、衆院予算委員会

 高橋氏は「復興は被災者が主役」「暮らしと生業(なりわい)の再建が大前提」と述べ、被災者への政府の冷たい対応を告発。「医療・介護の減免がなくなったら大変。どこにもすがりようがない」という被災者の声を紹介し、昨年9月に政府が打ち切った医療・介護減免への全額国庫補助の復活を求めました。
 安倍晋三首相も、田村憲久厚労相も「10分の8は補助する」「(減免は)それぞれの自治体・保険者の判断」などと述べ、自治体まかせの態度に終始しました。
 高橋氏は、宮城と岩手両県で医療・介護の減免などを受けている人がのべで約50万人に上ったことを指摘。宮城県石巻市では医療費の増大で国保財政が14億円の赤字になりながらも市長は「なんとか保険料を上げたくない」と訴えているとして「4月からも安心して医療・介護が受けられるというメッセージを国が出すべきだ」と強調しました。
 さらに高橋氏は、原発事故の被害が続いている福島では、避難している人もそうでない人も、すべてが「『原発事故の被害者』との立場に立つことが福島復興再生に取り組む出発点だ」と強調。約3000人が避難している山形県米沢市の支援センターの実態にもふれ、3年期限とされているみなし仮設住宅の延長や復興公営住宅建設促進を求めました。みなし仮設の延長について、田村厚労相は「前向きに検討する。自主避難者も同じような扱いで検討する」と述べました。
 高橋氏は、浪江町が避難解除時期について「人々が暮らしを営むことができる水準であること」などをあげているとして、「早く帰すために基準をゆるめたり、支援を打ち切ることはあってはならない」と要求。また、賠償や支援に線引きが持ち込まれている背景には、原発事故の「収束宣言」があるとして撤回を求めました。
 安倍首相は「収束した状況といえないと思っている」と述べるにとどまりました。
(しんぶん赤旗 2013年2月13日より)

■論戦ハイライト「生き生き暮せてこそ復興」

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――― 議事録 ――――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 東日本大震災と原発事故から間もなく二年がたとうとしています。総理は、復興は安倍政権の最優先課題と述べ、福島復興再生総局の設置や予算の枠を大幅にふやすとしています。
 日本共産党は、震災の直後から、復興は被災者が主役だ、暮らしとなりわいの再建が大前提と主張をしてまいりました。どんなに建物や道路が立派に立ち並んでも、そこに住む人々が戻ってこなければ、あるいは生き生きと暮らすことができなければ、本物の復興とは呼べないと思うからです。
 総理は、この認識を共有してくださるでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 私も議員と同じ認識でございます。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。認識は共有された、個々の問題でいろいろ違いがあるのかなと思うんですが。
 そこで、まず伺いたいのは、最も身近で切実な、被災者への医療や介護の減免制度について質問いたします。
 先日、宮城県の復興共同センター代表らが、秋葉副大臣に一万四千名以上の仮設住宅の被災者の署名を提出しました。
 震災から一年間は全額国の補助で減免をされておりましたけれども、昨年九月にこれが打ち切られました。現在は、被災した市町村が国保の枠組みの中で一部負担をして減免を続けており、国の支援がなかったら、年度末、つまり三月で打ち切られるのではないかと不安の声が上がっているわけです。
 宮城民医連の介護事業所が行った聞き取りでは、先立つお金がないので心配だ、医療、介護の減免がなくなったら大変、どこにもすがりようがない、年金からしか払えないので生活費を抑えてサービスは継続する、御飯を食べなければよい。御飯を食べなければよい、こういうつらい声が寄せられています。
 田村厚労大臣、被災者が医療、介護の減免を受けられるように、全額国庫補助をやるべきではありませんか。

○田村国務大臣 高橋委員の御質問でございますが、今お話ございましたとおり、全額の補助というもの、これは国民健康保険それから介護保険等の窓口負担、それから保険料の部分でございますけれども、昨年の九月でこの制度が終わりまして、現行は、保険者が減免をするというふうに判断された場合には、その十分の八を特別調整交付金で財政措置をする、こういうような状況になっております。
 そもそも、これは前政権下でこのような御決定をされたわけなんですけれども、どういう理由であったかというと、今までは、例えば阪神・淡路大震災の場合は一年間という話でありましたが、今回は、この保険料等々の基準というのは前年の所得で決まるという部分がございまして、被災の後、収入が大幅に減っておられるということで、その所得を確定できるのが九月であったということで、九月からは前年の、言うなれば減られた所得、被災に遭われた後の所得で判断ができるということで、このような対応をしたということでございます。

○高橋(千)委員 残念ながら、民主党時代に聞いた答弁と全く同じであるということであります。
 まず、中身に入る前に一つ確認をしておきたいんですけれども、福島の原発事故の避難区域については今までどおり全額補助を継続するということを聞いておりますけれども、一口に避難区域と言っても、解除をされたところとか準備区域など複雑になっておりますので、これは今まで減免対象だったところは同じであるということでよろしいでしょうか。

○田村国務大臣 既に指定が解除されている旧緊急時避難準備区域も含めて、これは全額国が財政支援するということでございます。

○高橋(千)委員 まず、そこは確認をさせていただきました。
 それで、話を戻すわけですけれども、実際どのくらいこの制度が活用されているか、聞いてみました。
 例えば、宮城県では、国保と後期高齢者、合わせて二十五万二千人が減免を受けていらっしゃいます。合わせて減免額は二百八十四億五千万円です。これに介護がプラスされます。同じように、岩手県の実績をもらいましたけれども、合計すると延べ人数で四十九万九千人、約五十万人がこの減免制度に助けられていたわけですね。それを今は国ではなく自治体が一部負担という形でやっている。合計額は四百十七億円以上になります。
 大臣はこのような状況を御存じだったでしょうか。

○田村国務大臣 要は、それぞれの自治体といいますか保険者で対応いただくという御判断をしていただければ、今も言いましたとおり、八割、十分の八、これは財政措置をするという話でございますので、そういう形で御対応をいただいておるものと承知しております。

○高橋(千)委員 きょう問題にしたいのは、その保険者、つまり市町村ですよね。市町村がもうこれ以上は大変だと言っているということなんです。さっきも、被災の状況によって所得が減少すればそれに反映するよと言いましたけれども、結局、それだって、自治体の負担で減免するしかないわけですよね。それがどういうふうにあらわれているか。
 例えば、最大の津波被災地であり、三万人以上が避難生活を送っている石巻市、既に国保財政は十四億円の赤字です。三カ月で基金も底をつきます。どうなるかというと、それは保険料を値上げしなきゃいけなくなっちゃうわけですよね。でも、被災者の現状がわかっているから、市長は、何とか保険料を上げたくない、だから国に補助してほしいと訴えているんです。
 あるいは、国保加入世帯の実に五割強が減免世帯だという陸前高田市、これは医療費が震災前より一割以上ふえました。市の国保財政を強く圧迫しています。もう自治体の努力も限界なんですね。
 総理に聞きたいんです。今言ったのは、被害が大きい自治体、被害が大きければ大きいほど、当然、支援をしなければならないものがふえますので、自治体の負担がふえる。不合理じゃありませんか。

○田村国務大臣 いろいろな御意見があるのを、私もよくお聞きをいたしております。
 ただ、十分の八は、これは特別調整交付金で対応することになっておりますので、減免したものの財政負担を全て保険者という話ではないということは御理解をいただきたいと思います。

○高橋(千)委員 ですから、その二割がもう対応できなくて、また保険料を値上げしなくちゃいけないと言っているということ、それを言いたいんです。
 総理が就任して真っ先にやったことは、復興を加速させるということで、復興予算を、十九兆円と言われていたものを二十五兆円に拡大するということではなかったでしょうか。被災地が予算を心配しなくていいようにまず枠を広げました、そのようにおっしゃっていたと思うんです。でも、結局、被災自治体を苦しめているんです。二十五兆円に比べたら、今言った四百数十億とかそういうお金はわずかな予算じゃありませんか。それを言いたいんです。
 昨年、石巻の仮設住宅で懇談したときに、みんな遠慮しているからかわりに言うと言って、被災者を支援している男性が手を挙げました。みんなが思っていることは、義援金はもう一回来ないのか、手持ちの金がない、そうおっしゃったら、一斉に拍手が起きました。また、集いが終わった後、つえをついた高齢の女性からは、私は全てを諦めています、そう言われたのが忘れられません。これが被災者の本音なんです。
 先ほど、認識は共有すると総理はおっしゃいました。四月からも安心して医療、介護が受けられる、これだけでも、国がメッセージを出すことで、被災者を元気づけます。総理が決断すべきではありませんか。

○安倍内閣総理大臣 今まで厚労大臣が答弁をさせていただいたわけでありますが、その中でも、私ども、十分の八は国が支援をするわけでありまして、今後とも、国、地方が力を合わせて被災者を支援していきたい、このように考えております。

○高橋(千)委員 非常に残念に思います。
 総理がせっかく枠を広げたのに、なぜその中で踏み込むことができないんでしょうか。自治体の八割は公費で見ていますと言いましたけれども、やはり制度の枠の中だから、さっきも言ったように、弱い人だけが集まる国保の中で、どんどんどんどん、被災して痛手を負った人たちが集まってきているわけですから、財政が厳しくなっているんです。もうそんなことは十分承知だと思うんですね。
 今、国保の法定減免という制度がありますよね。そもそも、所得に応じて減免するということを法律で決めています。その額が、既に震災前、全国ベースで三百億円以上ふえています。ところが、この減免制度、法律で決めておきながら、その負担は県と市町村で分け合うんですね。国が出しているわけじゃないんですよ。公費公費というと何か国が頑張っているように聞こえますが、県と市町村に、主に市町村に頑張らせているんですね。
 そのこともちゃんと踏まえて検討してくださる、一言言っていただけますか。

○田村国務大臣 今のは法定減免のお話ですか。(高橋(千)委員「もっとこれが激しくなるという意味で」と呼ぶ)
 ですから、特別調整交付金は、基本的には国のお金でございますから、それで対応をさせていただいている。
 そして、重ねて申し上げますけれども、福島第一原発事故に伴う避難指示、これが出たエリアに関しましては、既に指定が解除されているところも含めて、全額国が財政支援をして、要するに減免を続けていくということでございまして、そこはしっかりと今までどおりの対応を維持していくということでございます。

○高橋(千)委員 諦めることはできません。しかし、次の課題がありますから、質問を移します。
 もう一度言いますけれども、今、国保が本当に厳しくなっているというのは全国的な状況なんだという意味で、今、法定減免の話をいたしました。ですから、国保の枠の中で何とかやっていますよと言っていけば市町村がパンクすると言っているんです。被災が大きければ大きいほど、その自治体に負担をかける。被災地の負担をかけないために予算をふやしたのに、結局、そこで被災地に負担をかけているじゃないかということを指摘いたしましたので、重ねて検討をお願いしたい。ここは要望にとどめて、次の機会にまた続きをやりたいと思います。
 福島の復興の問題について入りたいと思います。
 私は、この間、原発事故を風化させないと叫び続けてきました。それは、どこに行っても、自分たちは忘れられているのではないか、見捨てられたのではないかという声をあちこちで聞くからなんです。
 総理は、なぜそういう声が出ると思いますか。

○安倍内閣総理大臣 福島、宮城、そして岩手、それぞれ被災したわけでありますが、特に福島の場合は、除染の問題があって、遅々として復興が進まない、そして、仮設住宅で困難な生活を強いられている人の比率が他の被災地よりも高いということによるものだと思います。

○高橋(千)委員 高橋千鶴子です。
 総理みずから、復興が進まない、困難を抱えているとおっしゃいました。そのことと、実際に日々被災者の皆さんが接している情報、あるいは周りの方から受ける言葉、もう終わったことであるかのように言われたり、さまざまに傷ついている、そのことを指摘したかったのであります。
 本当は幾らでも言いたいことがあるんですけれども、限られた時間ですので、簡潔に話していきたいと思います。
 これが今の福島県の状況であります。(パネルを示す)国は、これまで何度か避難に関する区域を見直してきました。今は、厳重に立ち入りが制限されている警戒区域、原発のサイトのマークをつけておきましたので、その間近なところは当然立入禁止区域になっているわけですが、五年以上帰ることができない帰還困難区域、あるいは、順次避難を解除していく居住制限区域、避難指示解除準備区域、非常にわかりにくい表現なんですけれども、一定の放射線量を目安として三つの区域を設定して、それを決めている川内村や田村市のような、そういうところもあります。見ていただければわかるように、飛び地もあります。一つの自治体の中にいろいろな区域が混在しているという大変複雑な状況であります。
 この地図は実は双葉地方が中心になっておりまして、実際に避難している方は、全県から十五万七千人くらいに及んでいるわけですね。ですから、福島の皆さんは、誰もがこの区域あるいは線引きに翻弄されてきたと言えるのではないでしょうか。
 避難している人もそうでない人も全てが原発事故の被害者、こういう立場に立つことがまず福島の復興再生を目指す出発点だと思いますが、総理の認識を伺います。

○安倍内閣総理大臣 いずれにしても、今、被災され、そして避難生活を余儀なくされている方々が、将来、もとの生活に戻れるようにしていく、いわば未来を見通せるようにしていくことが我々の仕事であろう、このように考えております。

○高橋(千)委員 聞かれたことに答えていないと思うんです。
 見通せるようにしていく、本当にそのとおりですが、今私が述べたことは、ずっと自分自身が何度も言い続けてきたことなんですけれども、ただし、我が党だけが言っていることではありません。
 被災四県の要望書が平成二十五年の一月十五日に出ていますけれども、その中で、「避難先がプレハブ仮設住宅か借上げ仮設住宅か、県内か県外か、自主避難か否かなどは問わず、同様の支援措置を受けられるよう配慮するとともに、」云々ということで、被災自治体及び避難者を受け入れている自治体の取り組みを支援してほしいという要望が出されています。
 ですから、ここは、自主避難か否かなどは問わないということをみんなが要望していることなんです。そこは、もちろんそうだということでよろしいでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 御質問は、では自主的避難者の方々についての賠償等でございましょうか。

○高橋(千)委員 まだ賠償の話をしておりません。
 要するに、福島県民であることに、県内に住んでいる人あるいは県外に住んでいる人ということで差別をしない、あるいは、避難区域、先ほど言いましたように、区域が大変複雑になっています。そして変わっています。そうした中で、自主的避難と呼ばれている方もいらっしゃいます。そういうことに今は差別をしないんだ、そこがまず出発点で、そこから支援は始まっていくんだということなんです。

○安倍内閣総理大臣 そういうさまざまな意見が根本大臣のところにも寄せられています。自主的な避難なのかそうでないのか、あるいは県外なのかそうでないのかということも含めて、その中でどう対応していくべきかということについて今検討しているところであります。

○高橋(千)委員 踏まえていただくというふうに受けとめたいと思うんですね。
 線引きをしないでほしい、これが本当に、私たちが繰り返し述べてきたことであり、最大の鍵かなというふうに思っています。
 それで、具体的に述べていきたいと思うんですけれども、山形県の米沢市、ここは、避難者支援センターおいで、これを市が開設しています。それで、各種情報の提供や避難者の交流支援を行って、運営は避難している方自身が行っております。米沢市の避難者は、ピーク時は約四千人いましたが、今でも三千人近い方が避難をしているということでありました。
 そこで、山形県全体でいいますと、全国の避難者、一番多いんですね。一万人くらいが避難をしているわけですが、その山形県全体のアンケート調査がございます。
 資料の二枚目につけているんですけれども、これを見ましても、避難の理由ということで、避難指示があった、これは二一・七%です。あと、家屋が倒壊という方もいらっしゃいます。放射線の影響が心配なためという方が六五・六%。ですから、言ってしまえば、この方たちが、七割強ですよね、自主的避難、いわゆるそういうふうに呼ばれている方たちなんです。
 でも、下を見ていただきたいんですね。避難者の七割が住民票を移さずにいます。もちろん、その前の年は八割を超えていました。ですから、少しは減ったけれども、しかし、まだ七割は移していないんですね。
 実は、これには載っていないんですが、就職の状況も調べたものがございます。次のページにちょっとあるんですけれども、就職を探している方も、正規ではなくて、パートですとか臨時を探しているというんです。その理由が、先行き不明で就職に踏み切れない。つまり、定職についてしまうということが、そこにずっといるということを意味しますよね。だから、そこまで踏み切れていない、福島とつながっていたい、そういう思いなんです。そこを本当に受けとめていただきたい。勝手に避難しているなどということは決して言わないでいただきたいと思うんです。
 米沢の支援センターは、来年三月までは開くことが決まっています。しかし、もし三年で借り上げ住宅などの補助が打ち切られると、センターも廃止しますと言っているんですね。そうすると、その避難者のよりどころもなくなってしまう、これは大変なことだということが言いたいわけです。
 そこで、田村厚労大臣にもう一度伺いますが、借り上げ民間賃貸住宅など、みなし仮設住宅と呼ばれるところの期限延長は大変切実な願いであります。安定した住まいが確保できるまでは延長すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 一つは、避難を指定されている区域で、要するに帰還までまだ、三年どころか五年、六年かかるというところは当然だと思いますが、それが一つと、いわゆる今言ったような自主的と言われる避難をしている方たちもやはりこれは延長するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○田村国務大臣 仮設住宅の提供期間というのは、御承知のとおり、原則二年ということであります。
 今回、いろいろな状況を勘案して、また一年延長をということでございますから、二十五年度末までは一年延長ということになろうと思います。
 その後に関しましても、当然のごとく、今委員がお話しされましたとおり、どこかに戻れるような状況でない限りは、やはり、どこにも行く場所がないわけでございますので、これは復興庁の方と協議をしながら前向きに検討してまいりたいと思います。
 あわせて、今、自主避難をされた方々に対してどうなんだというお話でございましたけれども、これも同じような扱いの中で検討ができるのではないかというふうに思っておりまして、これに関しましても復興庁と協議をしながら前向きに進めてまいりたいと思います。

○高橋(千)委員 少し希望が見える答弁だったかと思います。
 これは本当に、津波被災地も含めて、大変皆さんが心配をされておられますので。私は、仮設住宅にずっといた方がいいとは絶対思っていないんですよ。だけれども、先ほど言ったように、住まいが安定するまでは、それはつながなきゃいけませんから、これは本当にお願いをしたいと思います。
 そこで、根本大臣、大変お待たせをいたしました。
 福島県の復興公営住宅、まだ五百戸なんですね。全然足りません。それはやはり、今言ったような区域による特別の難しさというのも当然あるかと思います。だから、思い切って進めるということが一つです。それと同時に、やはり柔軟な対応が必要ではないか。例えば住みかえですとか、そういうことも含めて、復興大臣として、ぜひイニシアチブを発揮してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

○根本国務大臣 委員から、復興公営住宅を思い切ってやるべきだと思います、私もそのとおりだと思います。
 今回の補正予算あるいは二十五年度当初予算におきまして、我々、帰還支援のための予算、そして長期避難者の方のための支援、その中心的な政策として復興公営住宅を、受け入れている市町村、自治体でつくっていただいて、復興公営住宅をつくると、関連する道路あるいは学校、いろいろな行政需要が新たに出てまいりますから、そこの生活関連施設の整備もしっかりやってもらおうということで、生活拠点形成のための新たな予算措置を講じたところであります。
 しっかりとこの予算を活用していただいて、先生のおっしゃるような目的に沿うように支援してまいりたいと思います。

○高橋(千)委員 ここはしっかりとお願いをしたいと思います。
 そこで、今お話の中にあった、長期避難区域の方たちが帰っていくための条件づくり、環境づくりという問題に入りたいと思うんですが、浪江町、避難指示解除の見込み時期が、帰還困難区域は六年後、また、その他の区域は五年後とされています。それまでの間は、立ち入り可能な区域もできるわけです。
 ただ、浪江町は、場所によっては目の前に福島第一原発がすぐ見えるところもあるそうです。穏やかな気持ちではいられませんよね。五年と決めたといっても、もし、五年たって除染ですとかインフラですとか、それがほとんど変わっていなかったら、五年来たから帰れ、そう簡単にはいかないと思うんですね。
 そこで、町では、解除見込み時期を了承するに当たって、六項目の附帯事項を国に示しました。私、これは大変参考になると思うんです。浪江町の例ですけれども、全体として共有すべきではないかと思うんです。
 例えば、医療や介護、福祉などの生活関連サービスが人々が暮らしを営むことができる水準であること、長期避難を強いられる住民に対しては、損害賠償のみならず、損害賠償だけで解決しない、政府としての生活再建策を講じることなどを指摘していることは、非常に重要だと思います。
 そこで、私がきょう取り上げたいのは、空間線量率の低減についてです。
 放射線量については、生活実態に即した現地におけるモニタリング及び土壌モニタリング結果を踏まえることと述べています。
 モニタリングとよく言うんですが、詳細なデータもあるんですが、地表一メートルと決まっているんですね。そうすると、子供たちの背丈の低さとか遊ぶ環境とかという意味では全然足りない、そういうことを、一メートルだけと決めないでくれと言っています。それから、目安、目標は、追加被曝線量は年一ミリシーベルト以下を目指してほしい、そう述べていますが、環境大臣、この点ではいかがでしょうか。

○石原国務大臣 これはもう委員御承知のことだと思いますが、放射線を測定するときのガイドラインなるものを文科省等々で決めて、地表一メートルとする、また、委員御指摘のとおり、小学生等々の背の小さい子供さんたちがいるようなところは五十センチにするというふうに作成されているものだと承知をしております。

○高橋(千)委員 ですから、それを見直してくれと言っているんです。
 今、浪江の話をしましたけれども、もう皆さん十分御存じだと思うんですね。初期のころの、放射能のデータがわからなかったために、よかれと思って避難した場所、津島地区、これが、もといた場所よりも線量が高かった、そういう思いをした人たちなんですね。
 それだけではなくて、本当に情報がわからない中でずっと外にいた、そういう悔しい思いをした人たちが、二十ミリシーベルトは下がったからいいよとか、資料の四枚目につけていますけれども、長期的に一ミリシーベルトを目指すからいいよ、それはないんじゃないかと。五年を待つということ自体が大変な思いなんですね。だけれども、五年待ったけれども、ちょっと下がっただけですよ、あるいは長期ですよ、本当にそれでいいか。そこにもう少し踏み込むものがあってもいいんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

○石原国務大臣 線量が低下しませんと、そこで暮らされた方々はもとに戻れません。さらに、インフラの整備や、今委員がお話しになりましたように、私も行ってまいりましたけれども、ある程度線量が低いところでも、実は、福島第一原発のサイトから大変近いところもございます。
 そういう方々の地元のアンケートをお聞きいたしますと、幾ら線量が下がっても自分は戻りたくない、こういうふうにお答えになる方が、調査にもよりますけれども、五割から七割もいらっしゃる。そういう方々の気持ちを考えたときに、これから二十四年、二十五年と、この線量の低減というものに全力で努めていかなければならないというふうに感じているところでございます。

○高橋(千)委員 早く帰すために基準を緩めたり、あるいは帰らなければ支援を打ち切るということがあってはならないということを、重ねて指摘したいと思うんです。
 全ての線引き、私がさっきからこだわっているその元凶は、やはり二〇一一年十二月十六日の収束宣言にあるんですね。なぜ私たちがここにこだわっているか、資料の最後のページを見ていただきたいと思うんです。
 二〇一一年の十二月二十六日、原子力災害対策本部が、ステップ2の完了を受けて避難区域の見直しをしています。原子力発電所の安全性が確認された、だから区域の見直しをする環境が整ったと宣言をしているんですね。そして、翌年の三月十六日には、今度は、原子力損害賠償紛争審査会、賠償の指針づくりをしている審査会が、「政府による避難区域等の見直し等に係る損害について」ということで、政府が収束宣言をしたので避難の賠償の範囲も見直しをしますということを言いました。そして、その翌月には東京電力のプレスリリースです、「避難指示区域の見直しに伴う賠償の検討状況について」。
 こうして見ていただければ、収束宣言に私たちがなぜこだわるか。ここが全ての出発点で、賠償やいろいろなことに結びついているんですね。
 総理は、これまで何度か答弁をされているとおり、原発事故は収束とは言えないとおっしゃっています。そうであれば、やはり、ここを撤回しなければ、ここをちゃんと振り出しに戻って検討しなければならないと思いますが、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 就任後、福島県を訪問いたしまして、ふるさとから離れて困難な生活を強いられている方々からお話を伺う中においては、前政権時代に出された収束宣言、いわば収束したという状況ではない、こういう認識を私は持っております。

○高橋(千)委員 認識は持っているとおっしゃいました。でも、その宣言がこの線引きに結びついているということは認識していただきましたか。

○安倍内閣総理大臣 今申し上げましたように、福島の方々の気持ちとしては、とても収束したという状況ではない、つまり、やはり収束というのは、しっかりと生活をしていく上において、ちゃんと将来が見えてきたという段階でなければ収束をしたとは言えないんだろう、このように考えております。

○高橋(千)委員 民主党政権時代に行った収束宣言ですから、これは思い切って撤回をすべきです。そして、それがどれほど被災者を苦しめているのかという認識をしてほしいということを申し述べさせていただきました。
 根本大臣が福島県出身であり、復興大臣そして福島復興再生総括本部長になられました。根本大臣の小選挙区の立候補のときの公報を見ますと、脱原発と書いていらっしゃいますね。自民党さんの福島支部の配られたリーフには「脱原発」と大きく書かれていらっしゃいます。そして、「県内の原発十基すべて廃炉を実現します。」と書いています。
 ですから、これは言っただけというのであれば、民主党と同じなんです。そうじゃないということを示していただきたい。約束は守ると言っていただけますか。

○根本国務大臣 私も福島県にずっとおりましたから、三・一一以降、さまざまな皆さんの意見を聞いてきました。農業で風評被害に苦しむ皆さん、そして小さな子供を持つ母親の皆さん、さまざまな意見を私は聞いてまいりました。
 福島県民の感情としては、あれだけの過酷な事故が起こったわけですから、私も、将来、要は自然エネルギーや再生可能エネルギーを思い切って、研究開発も含めてやって、原発の依存度を減らしていく、長期的に日本はやはり脱原発を、原発に依存しない社会を目指すべきだと思います。
 しかし、やはり責任ある脱原発も必要ですから、そのためには、前提として、再生可能エネルギー、自然エネルギーに思い切った投資をしてだんだん原発依存の比率を下げていく、私は、これが必要だと思っております。

○高橋(千)委員 続きをまたやりたいと思います。
 終わります。

質問の映像へのリンク

http://www.youtube.com/watch?v=jikOeR7kdSg&list=PLrB7SAgyEZKKxdYAFtF3dzau-ftYrJhVk&index=12

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