日本共産党の高橋ちづ子議員は13日の衆院予算委員会で、東日本大震災の被災地復興に住宅再建は「最大のカギ」であり、“被災者が主役”で進めることが大切だと求めました。
高橋氏は、災害公営住宅の建設について、被災者から「今仮設住宅が建っている場所が一番いい」などの要望があると述べ、その実現に向けて国が支援するよう要求。震災前に建て替え計画のあった市営住宅の活用や、公営住宅の間取りなど、その地域ならではの公営住宅づくりの支援を提案しました。
根本匠復興相は「現在の仮設住宅用地を災害公営住宅の建設に活用することも考えられる」と答弁。太田昭宏国交相は「大事な指摘だ」「何でも画一的ではよくない」として「地方自治体と連携をとる」と前向きな姿勢を示しました。安倍晋三首相は「被災者が主役だというのはその通りだ」と答えました。
高橋氏は、長いローンをくめるか心配などの声を紹介し、「住まいを自力で再建できる方には、あと一歩の後押しを」と強調。生活再建支援金を300万円から500万円へ拡充するよう求めました。
(しんぶん赤旗 2013年3月14日より)
――― 議事録 ――――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
三月十一日から丸二年が過ぎました。死者一万五千八百八十二名、行方不明者二千六百六十八名。いわゆる震災関連死は二千六百一名、その半分が福島の方であります。改めて心から御冥福をお祈りし、全ての被災された皆様へお見舞いを申し上げたいと思います。
一昨日、私は、宮城県石巻市の追悼式典に参加をさせていただきました。その日も懸命の捜索活動がされておりました。一日も早く家族のもとへと思います。震災と原発事故を絶対に風化させず、そして、せっかく助かった命がこれ以上失われることのないよう全力を尽くしたいと思います。
きょうは、最初に、復興にとって最大の鍵である住まいの再建について伺います。
三月七日に、政府の復興推進会議において、住まいの復興工程表が示され、被災市町村ごとに災害公営住宅の建設戸数とそのプロセスが示されました。今後、四半期ごとに進捗状況を示すとしております。被災者は、いつまでに、どこに、それが知りたいのであって、こうした具体的な工程表が示されることは大変重要だと思います。
そこで、私もさまざまな仮設住宅などで被災者の声を聞いてまいりましたけれども、その中には、今、仮設住宅が建っている場所が一番いいんだという声が少なくありませんでした。交通の便や病院などのアクセスがよいというんですね。だけれども、それがURの土地だったり公共用地だったりするわけで、言ってみれば、極めて現実的な提案をしているわけなんです。ですから、その実現の障害となっている部分があれば、それを国が支援して、住民の意見が反映されるようにしていくべきだと思いますが、復興大臣に伺いたいと思います。
○根本国務大臣 御指摘のとおり、災害公営住宅はできるだけ利便性の高い場所に建設してほしい、こういう要望があります。それで、実際仮設住宅が建設されておるので、災害公営住宅の適地が制限されるケースがある、これも私は想定されるんだろうと思います。
今後、仮設にお住まいの方々に順次新しい住宅に移って入居していただく、そういうことを通じて、ケースとして、現在の仮設住宅用地、これを災害公営住宅の建設に活用することも考えられるのではないかと思いますが、実現可能性については、これはやはり、地元の市町村とよく調整しながら検討を進めていく必要があると考えております。
○高橋(千)委員 今、可能性があるのではないかという御答弁だったかなと思います。
市町村ごとの詳細な工程表が出ておりましたので、そういう問題がもうかなりクリアされているのかなと思って聞いたんですけれども、まだまだそういう実例がないということでありました。
ただ、被災者の皆さんが一番この地域の事情をよく知っていて、その上で提案をしていますので、ぜひそれを前向きに、障害があったら国が支援をするんだということでお願いをしたいと思います。
同じ趣旨で国交大臣にも質問したいと思うんです。
例えば宮城県名取市などのように、もともと、かなり老朽化した市営住宅を建てかえるという計画があったんですね、震災前です。だけれども、それがずっととまっているんです。でも、市営住宅がありますから、ライフラインが整っていますので、最初からやるよりは大分条件がいいですよね。こういうことをぜひ災害復興公営住宅に使っていただきたい。こういう具体的な提案をしています。
こういうことを大いに生かしていくべきでないかということを提案を含めて質問しますので、ぜひそこにはお答えをいただきたいと思うんです。これを一つお願いします。
○太田国務大臣 大事な御指摘だと思います。よく現地と連携をとり合っていきたいと思います。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
そこで、公営住宅の間取りの問題なんですね。実は、先日、大船渡市で地域公民館の館長さんをやっているという方が、仮設住宅の住民の皆さんの声をこもごも紹介していただいて、このような提案をされました。
なぜ、ひとり暮らしなら一DK、二人なら二DKと決まっているんだろうか。茶の間と寝床が一緒だ、ひとり暮らしのおばあちゃんが一日じゅうずっと誰とも話さないで同じ場所にいる、これが人間らしい暮らしと言えるだろうか、せめて茶の間のある暮らしをと訴えられました。私、大変衝撃を受けました。
この方の提案は、公営住宅も被災者が主役で進められないだろうかということなんですね。期限を区切った仮設とは違い、ずっと長く暮らすことを考えれば当然なんですね。柔軟な、人間らしい設計、そしてそれは、地域のことを一番よく知っている皆さんが、例えば協議会をつくるなどしてその地域ならではの公営住宅づくりを支援していくべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○太田国務大臣 私は、心がこもるということが非常に大事だというふうに思っていまして、三・一一の直後、四月ぐらいから、仮設が始まるというスタートを切るときに、ひとり暮らしになってしまったという方も大勢いらっしゃって、せめて集会場をというような発想がありまして、私は当時バッジはありませんでしたけれども、仮設に集会場をつくって、そして晩御飯を一緒に食べるというような相馬市の試みというものを応援したことがございます。
何でも画一的というよりは、心のケアというものが物すごく私は大事であろうというふうに思っています。
そうしたことの考え方の上で、間取りの問題ということについては、これは基本的に地方自治体の判断ということになります。岩手県とそれから宮城県、それぞれ基準、方針がちょっと違っているところもありまして、岩手県ですと、一DK、四十五平米というような間取りになっておりますけれども、地方自治体として、被災者の意向や家族の構成等に、しっかりそれを把握した上で、入居者間の公平性や住宅供給までのスピードというものを総合的に判断して決定していただかなくてはならないと思っておりまして、これもまた現地、地方自治体と連携をとりたいと私は思っております。
○高橋(千)委員 今大臣がおっしゃった、何でも画一的ではならないということは、とても大事なことだと思うんですね。結局これは、仮設住宅をつくるときに、やはりスピードが大変優先されたということで、プレハブメーカーに一括発注してしまった。その後で、追いだきですとか物置ですとか、さまざま追加をしなければならなくなって、費用が膨らんだという経験もございました。むしろ、そのことを考えれば、本当に今柔軟に、地域の皆さんの声を聞きながらやっていくというのは大事なことではないかと思います。
紹介があったように、確かに、資料を一枚目につけておきましたけれども、今は参酌基準という形で、ある一定の目安があって、それ以外は自治体に委ねているという答弁だったと思うんです。ただ、補助金の上限が結構細かく決められておりますので、それに何か追加してやろうとすれば、何々の場合はこれだけというふうな形で一々上限が決まっている。そういう中での、自治体の、スピードも求められる作業という点では、なかなか難しいという状況があるんだろうということを私は察するわけですね。そういうこともぜひ踏まえていただいて、自治体と協議するとおっしゃっていただいたので。
きょうは、総理にぜひ、住まいの確保について決意を伺いたいと思います。今話していたことを聞いていただいて、公営住宅についても被災者主役で進めるということについて同意していただけるか、また、希望する戸数に応えていくんだということについて、まず伺いたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 今委員が御指摘になった、被災者が主役、私もまさにそのとおりだと思います。仮設住宅等にお住まいの被災者の方が新しい生活を始めることができるように、住宅の一日も早い再建に向けてできる限りの努力をしていきたいと考えております。
御指摘の災害公営住宅の建設については、自治体が被災者の要望を踏まえ進めているものというふうに理解をしておりますが、政府としては、適切な戸数が確保されるように支援をしているところであります。
また、先般、被災者の方々に将来の生活再建の見通しと希望を持っていただけるように、災害公営住宅について、民間住宅等用地の整備とあわせて工程表をお示しさせていただきました。御評価をいただいて大変うれしく思いますが、住宅や生活の再建について、被災者生活再建支援金による支援を講じております。さらに、今般の補正予算で、津波被災地域の自治体が住まいの形成に資する施策を通じて住民の定着促進を進めるため、震災復興特別交付税を増額したところであります。
引き続き、現場主義に立って、まさに被災地の皆さんが主役、そういう観点に立ちながら、最大限の支援を行っていきたいと考えております。
○高橋(千)委員 実は、今総理はきっと、私、二つ通告していたんですけれども、流れがあれだなと思って分けたら、後ろの方も答弁をしてくれたんだと思います。
実は、工程表は、自力再建と公営住宅がセットで書かれています。そのことをおっしゃったと思うんですね。やはり私は、そこがすごく大事だと思うんです。せかさないでと言っている人もいるんですね。つまり、今は仕事があり、今はある程度の蓄えがあるんだけれども、息子が帰ってくると言ってくれない、そういう中で長くローンを払っていけるだろうか、そういう不安を抱えている方。あるいは、自力再建を目指していたんだけれども、まだちょっとめどがつかない。つまり、まちづくりがまだ始まっていかないわけですからね。そういう中で、改めて公営住宅を希望して、仮設に入ってくる人も今すごくふえているわけですよ。
そういう中で、私は、やはりもう一歩後押しをする必要があるのではないかと思うんです。
さっき、ちょっと補助の上限の話をしましたけれども、公営住宅は、一戸当たり一千数百万かかるわけですよね。しかも、その後の管理ということもございます。ですから、これは、例えば三百万の支援金を五百万に拡充をして、自力で再建できる人はやる、後押しする、その方がずっと、コストもかからないし、得策ではないかと思うんです。こういう考え方で踏み込んでいくというのはいかがでしょうか。
○根本国務大臣 被災者生活再建支援の支給額、これは平成十六年の法改正によりまして、もう高橋委員御存じだと思いますが、合計で最大で三百万円の支給を受けられるということになりました。さらに、平成十九年の法改正、これについては、年収、年齢要件を撤廃した上で、生活関係経費を基礎支援金、居住関係経費を加算支援金、見舞金的な性格を有するものとして再構成いたしました。これは与野党一致の議員立法によって成立をいたしました。
支給限度額の引き上げについては、やはりこのような立法経費、見舞金的な性格を有するものとしての他の制度とのバランス、国、地方の財政負担などを勘案して、慎重に検討すべきものと考えております。
○高橋(千)委員 その見直しのとき、私自身も委員の一人として参加をしておりますけれども、四年後の見直しということを決めたわけですね。その四年後が二〇一一年だった。ですから、もうとっくに期限は過ぎているわけです。そして、こういう実態が広がっている。
自治体は、例えば陸前高田市ですと、国と県と市町村合わせて最大で一千万くらいの補助も出している。それだけ頑張って、地域に戻っていただきたい、暮らし続けていただきたいということをやっているわけです。そういう自治体の取り組みも大いに踏まえながら、前向きに検討していただきたい、きょうはそこを指摘して、総理にもぜひお願いをしたいと思います。
次に、原発の問題を質問したいと思います。
三月の九日、我が党の志位委員長を先頭に、国会と県議団が一緒に福島第一原発に行ってまいりました。
今回は、初めて四号機の燃料プールが見おろせるところまで上がることができました。四号機は天井が吹き飛び、カバーをかぶせただけですので、私、プールの水面がわずかに見えました。千五百三十三体の使用済み燃料を取り出す作業、これは、建屋は粉々ですので、隣に足場となる鉄骨施設を建設中でして、そこからクレーンで取り出すということなんですが、私たちが立ったところが三百マイクロシーベルトでありました。
すぐ隣の三号機、水素爆発をしております。前を通るだけで、毎時一ミリシーベルト。だからバスからおりない。それだけではなく、バスも全速力で前を通り抜ける。そういう状態であります。格納容器の底はどのくらいになっているか、三号機については計測することさえ不可能だと聞いています。
ちなみに、二号機は七十三シーベルト、これは人が六分間全身に浴びると一〇〇%死亡すると言われている量であります。
そして地下水の問題です。流入による、日に四百トンという汚染水、この処理は、タンク一つが二日半で満杯になり、いまだに妙案はありません。改めて、事故収束とはほど遠い現実があり、廃炉までの道のりは長く、非常に困難であると実感をさせられました。
総理も同じものをごらんになったはずです。だからこそ、収束とは言えないと発言をされたと思います。これはもう事実上、収束宣言撤回と同じ意味だと考えてよろしいでしょうか。
○茂木国務大臣 四号機、私も屋上に上りました。そして私は中にも入らせていただきました。これから、廃炉の作業、かなり困難をきわめると思っております。
それで、福島第一原発についてでありますが、一昨年の十二月に、原子炉の状態を定量的に評価した上で、冷温停止状態になった、これが確認され、現在でも安定した状態にあることは変わりない、このように考えております。
ただ、実際に、廃炉も含めた事故への対応が全て終わったわけではありません。廃炉については、研究開発も含めて、国も前面に立って加速化していかなければいけない、こう考えております。廃炉以外にも、賠償の問題、除染の問題、そして被災者の皆さんの帰還、健康管理、まだまだたくさんの課題を解決していかなきゃならない。
そういう中にあって、全ての課題があたかも解決したようにとられかねないこの収束という言葉は適切でない、このように考えております。
撤回ということでありますが、撤回、広辞苑で調べますと、「いったん提出したものをとりさげること。」ということでありまして、我々が提出したんじゃないんですね。前政権が収束宣言を行ったものでありまして、現政権としては、その表現は使いません。
○高橋(千)委員 我々にとっては使わないということなんだから撤回でいいじゃないかと思うんですが、撤回という言葉はどうしても言いたくない、何かそういうものがあるんだろうと思うんです。ただ、使わないんだと。
事実上、収束宣言ということは安倍政権は言っていない、これでよろしいですね。
○安倍内閣総理大臣 ただいま茂木大臣が答弁したように、これは野田政権において収束という言葉を使った。我々は、実際に全てのものが終わったわけではないし、地域の方々からお話を伺えば、とても政府として収束ということを言える状況にはないと思っております。そこで、安倍政権としては、収束という言葉は使わないということでございます。
○高橋(千)委員 それで、まず確認をしたいと思います、使わないのだと。我々にしてみれば撤回と同じことだと言えますが、これ以上言葉をあれこれということではなくて、そのように受けとめたいと思います。
そこで、大臣がおっしゃったこと、基本的に同じだなと今思ったんですけれども、これは、原発をなくす全国連絡会・ふくしま復興共同センターが共同で呼びかけて、昨年の十一月十一日に、福島県内の地元紙二紙、それから全国紙二紙に、大体約九百万、この部数、全面意見広告をこのように出したわけです、「原発即時ゼロは多くの国民の願いです」。そして、その中に三つのことが書いてあります。「福島の原発事故は収束していません」「除染、賠償、健康を守ることが福島県民の願いです」「政府は「原発を即時ゼロにする」決断を」、この三つが、まさに今、本当に問われているのではないかと思うんです。
そこで、きょうは東電の廣瀬社長にもおいでをいただいております。
福島第一原発は六基、第二原発は四基あります。東電が廃炉の申請をしているのは、第一原発の四号機までであります。しかし、御案内のように、福島県議会は既に二〇一一年の十月に、全会一致で、十基全てについて廃炉を求める請願を採択しています。また、県内五十九市町村中五十二の市町村が同じ趣旨の決議をしています。
この声を重く受けとめ、十基全ての廃炉を決断すべきと思いますが、いかがでしょうか。
○廣瀬参考人 東京電力の廣瀬でございます。お答えいたします。
福島の原子力発電所の、残っております第一原子力発電所の五号機、六号機、それから第二原子力発電所の一、二、三、四、これら六基の原子力発電所につきましては、今後、政府の方で今お進めいただいております、原子力政策も含みますエネルギー政策全体等の御議論を踏まえて、私ども、判断する必要があろうというふうに考えておりまして、現時点では未定とさせていただいているところでございます。
○高橋(千)委員 今のお話は、事業者は、やはり国の政策で判断をするとおっしゃっていると思うんですね。それで、国は今まで、事業者が決めることというふうな表現を使ってきました。私、これだったら堂々めぐりだと思うんです。
茂木大臣、昨日の本委員会で、小熊委員の質問に対してお答えをされています。県議会の決議や県の復興計画にも全原発の廃炉が盛り込まれていることを、大臣みずからが紹介されました。そして、いまだに十六万人の被災者の皆さんが避難生活を余儀なくされている現状を考えれば、十分理解できるとおっしゃっているんですね。
そこまで理解しているのであれば、あとは政治の決断しかありません。事故の確実な収束さえまだ困難な中、同じ東電が隣の原発を動かす、こんな選択肢はあり得ないと思います。いかがですか。
○茂木国務大臣 エネルギー政策については、国の責任においてきちんと決めていきます。
一方で、原発の再稼働の問題でありますが、法律がどうなっているか。御案内のとおり、改正原子炉等規制法に基づきまして、原子力規制委員会において原発の安全性の確認が行われる、こういうことになっております。そして、原子力規制委員会により安全性が確認されれば、事業者がみずからの判断により再稼働することが可能となる、こういう法律の仕組みになっております。ただし、現実問題としては、立地自治体と関係者の再稼働に向けた御理解、こういうものが必要だと思っております。
そして、これまでにない大事故を経験され、いまだに十五万四千人の被災者の皆様が避難生活を余儀なくされている現状を考えれば、福島県内においてさまざまな請願そして計画が提出されている、このことは十分理解できます。
○高橋(千)委員 ですから、私たちは、もちろん、全部廃炉にすべきだと言っていますよ。しかし、この福島の問題は、今おっしゃったように、これだけの重大な事故を起こしている、県民が今こうむっている被害、わかっているとおっしゃっているんだから、政治決断すべきだと言っております。
規制委員長に伺います。
そもそも、東電は、〇六年の耐震基準を満たしておりません。これは、国会事故調のヒアリングでも、八百億円の予算をつけておきながら何もしていないじゃないかという指摘までされているわけですよね。そうすると、仮にまた動かすなどということになれば、まず〇六年をクリアしなければならないですよね。その上で、新しい基準を満たす、そういうことが求められると思いますが、確認させていただきます。
○田中政府特別補佐人 原子力規制委員会は、前々から申し上げていますが、科学的、技術的見地から原子力発電所の安全性を確認することが役割であるというふうに認識しております。したがいまして、福島の個別の原子力発電所について再稼働するかどうかという判断をする立場にはないということであります。
ただし、一般論として申し上げますと、現在、東京電力の福島第一原子力発電所の事故を踏まえて、地震、津波など、今御指摘のような外部事象に対する対策を強化すること、それから、シビアアクシデント対策の導入も含めて新たな安全基準の改定を進めているところでございます。既存の原子力発電所につきましても、この新基準を適用し、これを満足できなければ安全性が確認できないということになります。
そういうことで、福島の第一原子力発電所、第二原子力発電所含めまして、こういった地震、津波についての安全基準を満たしていただけるかどうかということが判断の基準になるということで御理解いただきたいと思います。
○高橋(千)委員 一言でよろしいです。
規制委員会は、再稼働の権限はありません。しかし、停止をさせる、これは原子炉等規制法の中に明確に権限があると思いますが、いかがですか。
○田中政府特別補佐人 新しい改正原子炉等規制法が施行されて、七月になりますけれども、新しい基準ができますと、それに基づいてバックフィット規定が導入されます。したがいまして、この基準に適合していないと認めるときは、原子炉施設の使用の停止あるいは改造等の必要な措置を命ずるということにしています。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
やはり、話をちゃんと分ける必要があると思うんですね。再稼働云々の前に、停止をさせるという権限を規制委員会は持っているわけです。そして、今指摘をしたように、そもそも、〇六年の、震災前にやっておくべきことをやっていなかった、そういう東電が、さらに新たな基準をクリアして、今、収束作業がまだ道筋が立たないような状況でほかの原発を動かすなんということはあり得ないんだということ、だから廃炉なんだということを重ねて指摘したいと思います。
きょうは、最後にもう一つ、東電の社長に質問したいことがございます。賠償の問題であります。
双葉郡の区長会の皆さんが要請をされていました財物賠償、本当に再建を保証する内容にしてほしい、なぜ加害者である東電が基準を決めるのか、自分たちは被害者なのに、分厚い、難しい書類を提出して、何で東電に頭を下げなきゃいけないんだ、そうおっしゃっています。まして、その書類が厚過ぎて、何もしていないひとり暮らしのお年寄りなどもたくさんいらっしゃるんだ、そういう指摘があるんですね。これを踏まえて、三月五日に文部科学省が、ADRセンターのまとめを出した上で、東電に態度を改めるように要請をしています。
廣瀬社長、こうした声にどう応えていくのか。誠意ある回答をお願いしたいと思います。
○廣瀬参考人 お答えいたします。
御指摘の点は、今先生がお配りになられた最後のページについております、まさに文部科学省から私の名前でいただいた書面にあるとおりでございます。
そこにありますように、原子力損害賠償紛争解決センター、いわゆるADRセンターに昨年の一月から十二月までに寄せられた声の中で、東京電力に対する御意見や御要望あるいは御不満の声というのが三割を占めるということでございました。
私ども、できる限り親身な対応をということで、一つ一つ個別の事情を聞いて、できるだけそこに対応していくというのが基本方針ではありますけれども、まだまだそうしたことがケースとして残っているということ、御指摘でございましたので、大変重く受けとめまして、今後もしっかりやっていかなければならないなというふうに改めて思っているところでございます。
具体的には、この一月一日に福島復興本社というのをつくりまして、そこで、地元の皆さんにより近いところで、御事情をお聞きしたり、それから実際に現場を拝見させていただいたりということで、それぞれの個別の対応をよりスピーディーにできるようにということで始めております。
また、私どもにもいろいろな御質問や御意見を賜っておりますので、そうしたものを、私どものホームページで対応策を素早く載せさせていただいて、広く皆さんにお知らせすることによりまして、不公平が出たり、私の場合は違ったんだというようなことがないように、今、対策をとらせていただいているところでございます。
いずれにしましても、今後も引き続きしっかり対応するように、私どもも含めまして、一生懸命やっていきたいというふうに思っております。
ありがとうございました。
○高橋(千)委員 時間になりましたので、要望にとどめます。
交渉を私たち何度も東電に求めておりますので、今おっしゃったように、誠実な対応を求めたいと思います。
ただ、文科省は指針をつくる側ですよね。指針があるからということで東電が拒否している部分があるんです。注意をするのであれば、みずから指針を見直すべきだ、このことを強く求めて、終わりたいと思います。
質問の映像へのリンク
http://www.youtube.com/watch?v=cOvEmqtO8dw&list=PLrB7SAgyEZKKxdYAFtF3dzau-ftYrJhVk&index=11