国会質問

質問日:2011年 5月 25日 第177国会 東日本大震災復興特別委員会

復興基本法案――参考人質疑

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 きょうは、九人の参考人の皆さん、お忙しい中、本委員会に出席いただきまして、みずからあるいは仲間の皆さんが被災した中、本当に貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。
 時間の関係で、多分すべての方に質問できないと思いますので、御容赦を願いたいと思います。
 本当は林参考人に最初に質問するつもりだったんですが、先ほど丁寧な答弁を聞いておりましたので、時間の関係で割愛をさせていただきます。
 ただ、最初にお話しされた三重債務という表現、まさに、今までの債務に加えて、これから新しく設備投資をするためには三重なんだという表現をされました。非常に印象的で、すべての方が債務の問題をお話しされて、これは本当に国として頑張っていかなきゃいけないところなんですが、そういう、三重なんだという立場で思い切った取り組みが必要だなということを改めて受けとめさせていただきましたので、お礼を申し上げたいと思います。
 それで、最初に、岩手の長澤参考人と菅原参考人に同じ質問をさせていただきたいと思います。
 昨日の河北新報で「水田除塩 作業進まず」、こうした記事が一面に載っておりました。除塩事業というのは、災害復旧としていろいろお金を入れたとしても、一年ではなかなか復旧は難しいわけで、二年、三年かかるであろう。また、先ほどのお話の中でも、機械ですとか排水機場の問題ですとか、さまざまあるというお話があったと思います。
 そこで伺いたいのは、県内調整の見通しがどうであるのか、プラス、県間調整などもあり得るのかという点で、それぞれのお考えを伺いたいと思います。
 私は、やはり二、三年かかったとしても、休業補償のような仕組みを持ちながら、次の生産は減らさないでいく。もう本当に、この間、東北でもたくさんの減反を続けてきたこともあるわけですから、県として、東北全体として、やはり食糧を維持していくんだということが必要ではないかなと思っておりますので、御意見を伺いたいと思います。
○長澤参考人 岩手県の除塩関係の生産調整でございますが、岩手県は生産調整は大変順調に進んでおる。したがって、今回は、被害に遭った方々の出し手と受け手の関係でございますが、これは非常にスムーズにまいりまして、県外に御要請申し上げる段階ではない、県内で処理できる、こういう状況でございまして、今回のこの生産調整の定着化が大変顕著にあらわれている。
 ただ、宮城県は、先ほども申し上げたように、面積が膨大な仙台平野の場合には県外にもお願いをして、何とか当初の目標の八百万トンを確保しよう、こういうことで進めているところでございます。
 岩手県内の出し手、受け手は、まず順調に経営をいたしているということでございます。
 どうかこれからも、所得補償の関係についてもお願い申し上げてまいりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○菅原参考人 今行っている除塩作業につきましては、比較的、海水のみが入った地域を今行っているわけでありますが、これは、何回も代かきをしながら水を取りかえたり、そういう方法をやっているわけでありますけれども、これも結果的には秋になってみなくちゃわからないんですね。
 もう一つは、もちろん、瓦れきとかヘドロがたまった状態での農地については、とてもこれは何年かかるかわからない。先ほど申し上げたように、そういった地域につきましては、やはり国の方で大区画整理なり、そういったことをぜひやっていただきたいということであります。
 我々が今進めているのは、例えば県内でありますと、主食用米をつくる田んぼについては、約五千六百ヘクタールほどが作付できない。その分を何とか県内で調整しながら、共補償という形で支援をしよう。あるいは、できない分については県間調整もやっているんですが、しかし、例えば宮城でありますと、今転作の関係については大豆が一番多いんですね。これは既に団地化されておりますから、それを今水田に変えるというのは非常に難しい。
 問題は、加工用米なりあるいはえさ米なり、あと耕作放棄地も含めて、そういったことを今何とか進めているんですが、これもなかなか思うように進んでいない。大体、目標の半分ぐらいまで今進んでいるわけでありますが、これからも、既にえさ米なんかは作付されておりますから、それを主食に転換するように、今そういった作業を進めているところであります。
 それから、何といっても、この除塩については、いろいろな方法はあろうかと思いますが、先ほど申し上げたように、単に海水だけが入ったものについては何とか二、三年で私は解決できると思いますが、全くそういう見通しのつかない点について、重ねて申し上げますが、ひとつ国のお力でぜひ圃場整備を行っていただきたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 ありがとうございました。
 次に、青森の工藤参考人に伺いたいと思います。二点、済みません、時間の関係でまとめて聞きますので。
 例えば、青森のリンゴは毎年のように災害を受けてきました、霜やひょうや台風、あるいは雪ということで。やはり、そのたびに生産者から声を上げることでさまざまな制度も整備をしてきたと思うんですね。
 その中で、例えばリンゴの価格補償制度、今はJAが協力して県単の制度になっておりますが。あるいは、ことしから予算がついた、改植して育つまでの間補助をする。ですから、私が考えている休業補償に近いものになると思うんですけれども、そういう制度なんかもできてきているわけですよね。こういうことが今後の震災復興においても少しヒントにならないのかなと思っているんですけれども、御意見を伺いたい。
 それからもう一つは、先ほどTPPのことに言及をされました。本当に今、こんな震災でそれどころじゃないだろうと思っていれば、逆に、このすきにという形で入ってくるのではないかということも非常に危惧を持っているわけです。食料の大事さがわかった今だからこそ、TPPにはやはり入るべきではないということを思うんですけれども、御意見を伺いたいと思います。
○工藤参考人 実は、私はリンゴ生産者農家の一人でございまして、五町歩ほどつくって、今、こういう仕事の関係で女房に非常に苦労をさせているというふうな状況でございます。
 ただ、今回、改植という部分では我々生産者としては非常に力強く感じておりますし、私も、当然、改植の事業に入っております。そういうことが、やはり今先生がおっしゃるように、被災を受けた関係者、農家では力強く感じると思いますので、菅原副会長、長澤会長が話をしたように、やはり生産現場の声を十分反映しながら、やれるものから順にやってもらいたい、こう強く感じているところでございます。
 この三月十一日、震災が起きる直前まで、我々は、TPPに関しては絶対認めるわけにはいかない、これは日本農業の倒壊につながるという強い意思で臨んできました。当然、全国の集会やら、我々、県の集会等も考えておったわけですけれども、三月十一日にその様相ががらりと変わり、この二カ月半というふうなのは、内部でも協議することがなくなりました。ただ、たまたま新聞でこれを目にすると、何か、協議するよとか、やらないよとか、延期したよとかいうふうな言葉が出てきています。
 皆さんも御存じのとおり、私は先ほども言ったわけですけれども、食料が自由に手に入らない、そして燃料も当然手に入らなかったわけです。これは果たして日本だけで考えられることでしょうか。アメリカであってもオーストラリアであっても、これは輸出国であっても、当然こういうことは考えられます。
 そういうときに、当然、自国のことはきちっと国が守ろうとするであろうし、生産者もまた、国民も自分のを我先にということで確保に当たると思います。そのことによって我々は必要なものが手に入らなかったわけでして、そういうことを想定すると、安易に安いから、お金があれば何でも買えるからというふうな状況の中でTPPに参加する、こういうことがあってよいのでしょうか。
 私は、そのことに強く憤りを感じますし、何としても我々は絶対断固反対していきたい。そのことが国民の、我々が責任を果たそうとする日本人の食料を守るんだということにつながる、こう確信しておりますので、この委員会の先生方の寛大なる御理解を賜りたいと思います。
 以上です。
○高橋(千)委員 ありがとうございました。
 それで、本当は皆さんにもTPPのことを聞きたいくらいなんですが、時間の関係で、あと、漁業の問題で伺いたいと思います。大井参考人と木村参考人に。
 三陸沿岸は、チリ津波があって、引き続く大規模な災害ということで、漁業者の皆さんのがっかり感も本当に大きかったのではないか。同時に、そういう中でまた、協業ですとか、ワカメを震災後初めて引き揚げた重茂漁協ですとか、いろいろなことが報道もされていて、頑張っていらっしゃるというふうに思っております。
 私、二十三日、ちょうどこの場で漁業の問題、水産特区の問題も取り上げさせていただきましたけれども、やはりそういう引き続く被害であるからこそ、養殖施設などは、もう思い切って一〇〇%補助してくれよということを申し上げました。
 その点での御意見を一言と思うのと同時に、宮城の木村参考人には、やはり特区については、知事ももちろん漁業者の声をよく聞くと言っているわけですよね。ですから、皆さんの声が決め手だと思いますけれども、やはり、生産基盤をしっかり回復して、その上で一人一人の漁業が戻っていくということを基本にするべきだ、皆さんの意思を基本にするべきだと思っております。
 ぜひ一言ずつお願いいたします。
○大井参考人 今の御質問でございますが、まず、つくり育てる漁業の養殖部門でございます。
 お話ししたとおり、小さい船は、漁船隻数全部で約九〇%を流失しておりまして、一割ぐらいだけです。それで、知り合い等から幾らか集めているわけですけれども、あと修理とか何かでやっています。少ないながらの隻数を、今、県漁連を窓口にして発注しているわけですけれども、すぐこれができてくるわけじゃございません。少ない隻数をいかに利用するかということが、やはり共同利用ということが出るわけです。協同組合ですから、協同精神を発揮しなければならないわけです。
 そういう方法で、これは強制ではない、その地域ごとのいろいろの思案を結集して、地区地区で思案していることでございますけれども、そして共同にすれば、船がそろって、もとの体制まで何年かかるかわかりませんけれども、そういう体制になれば、今までどおり個々の事業に払い下げるような感じになるわけです。だから、資金的に厳しいわけですから、やはり資金関係は漁協が賄ってやるというところもございますし、いろいろございます。
 そういうことで、つくり育てる漁業はすぐ製品になりません。三年から四年かかります。その間、収入がございません。先ほど私が提言した中にもございますけれども、生活費関係、金融関係になりますけれども、そういった面もいろいろ大変になるわけでございます。
 それから、私は、とりあえず魚市場を開設しなければ、とる方、あとは、それに関連する一連の企業を起動させなければ雇用もだめになります。そういうことで、ちょうど一カ月目で、開設するということで宣言しました。宣言はしましたが、これは実行できるのかなと本当は私も心配でございましたけれども、皆さん、職員が全力投球でこぎつけました。
 その理由は、氷が大体八百トンございましたから、山の上の団地工場に八百トンの貯氷がございまして、これは大丈夫、市場を開設できると。それからあとは、ちょうど地震があったとき、底びきはうちの方には十一そうあります、基地にして。これがスケソウを今とっているわけですけれども、これが、ちょうど揺れた最中ですので、沖へ避難しまして、みんな助かっているから、これはすぐ生産できるということで、やはり起動させなければ、スイッチを入れなければ、企業はもうやめたが出ますので、漁業者もそのとおり。
 今瓦れきを取りのけて、それから、あとは冷蔵庫関係、加工屋さんが今休業状態なんですよね。全部受け入れ体制がないから、スケソウをとってきても、相場が半値、三分の一です。だから、早くこれを一体のものとして復旧復興させなければならないわけですから、早くその辺を政府の方で、力をもう一歩踏み込んでいるけれども、問題はお金ですので。だから、早くそういったところを見せていただかねば、やめる方が出ますよ。
 それから、あともう一つは、やはり復興が大事でございますので、これ、関係ないからみんな着工せいと私は言っているんですよ。出ていることはおれが交渉するからと。
○黄川田委員長 大井さん、次の答弁者もありますので、肝心なところをきちっと言ってください。
○大井参考人 済みません、熱くなりました。
○黄川田委員長 そんなことないです、熱くなるような状況でありますので。
○大井参考人 そういうことで、皆さんひとつ。
 それからもう一つ、今、復旧に向けて一生懸命になっていますが、事前着工を認めないとか何かというようなことが出ているので、これはおかしいんじゃないかと思います。被害を受けたのを復旧させているんですから、それは認めてもらわねばだめですよね。皆さん、そうでしょう。ひとつお願いします。
○木村参考人 特区の問題ですが、我々は第二回目の経営管理委員会で三点を提案しました。そのときは、まだ知事は、国でやるの会社を入れるのということは言っていないと思います。
 それで、何回も言っているとおり、漁業者はそれをどいつを選ぶか、三点の中で。北から南までありますから、ノリ業者はノリだけ南の方をやっていますから、それは共同でやるとか、それから北の方は、いそ根と、それから漁船漁業が多いんですが、どういうぐあいにそれを組むのか、その辺を我々が聞いて、今度指導していくというやさきに知事が出したと。
 知事は、我々とは一言もないんだよ。あれ、仁義が違うべ。いや、本当だよ。ばかにすんなよっておれは言うんだよ。
 それから、だれかに頼まれたと言うんだが、そのだれかがだれだっておれは言っているんだよ、いつも。だれが頼んだかわからないのを、頼まれた、頼まれたって。だれも漁業者は頼んでいませんよ。
 全員一致で反対です。
○高橋(千)委員 オーバーして済みませんでした。ありがとうございました。

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