○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、原子力損害賠償支援機構法案及び仮払い法案について、原案並びに修正案に反対の討論を行います。
まず何よりも、東京電力は原発被害者への迅速で全面的な賠償を行うべきです。そのためには、莫大な内部留保を初め全資産を吐き出させるとともに、株主、金融債権者などステークホルダーに責任と負担を求めるべきであります。
しかし、法案は、東電を債務超過させずに存続させることを大前提としており、政府と機構が何度でも資金援助し、大株主やメガバンクの負担と責任を一切問わない異様な東電救済策にほかなりません。
その一方で、賠償原資は国民負担で賄うものとなっています。東電初め各電力会社が機構に拠出する負担金は事業コストとされ、電気料金の値上げに直結します。修正によって、六十五条に加え五十一条を新設し、二重に、かつ、より容易に税金投入ができる仕組みを盛り込んでいることは重大であります。
さらに問題は、機構法と仮払い法が一体化することです。修正で、機構は賠償の本払いと仮払いの事務を実施できることになっており、仮払い法案は実質必要なくなります。これによって、賠償資金から支払い実務まで、東電の負担が軽減されることになります。資金援助の前提となる特別事業計画も仮払いには必要ないため、文字どおり、東電は何もせず、すべて国が面倒を見るということになりかねません。
もう一つの重大な問題は、法案が原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保を目的とし、将来にわたる原発事業の継続を前提としていることです。修正案は、国の責務を規定し、原子力政策を推進してきた国の責任に言及しましたが、そのために東電の負担と責任を軽減するというのは、本末転倒と言わなければなりません。
国の責任は、安全神話を振りまいて原発を推進し、今回の事故を防ぎ得なかったことの反省に立って、東電に全面賠償を行わせ、原発政策を根本から転換することであります。
そのため、実質破綻している東電を救済し続けるのではなく、東電の全資産を可能な限り賠償に充てる、東電や電力業界が積み立てる使用済み核燃料再処理積立金等約十九兆円の活用、事故処理でもうけを拡大させるプラントメーカー、メガバンクに責任と負担を求めるなど、国の介入によって全面賠償と電力の安定供給を両立させるべきであります。
福島県民の願いにこたえ、原発ゼロに向け期限を切った取り組みを進めることであります。
なお、仮払い法案及び修正案では、現状の改善につながりません。基金で救えるものは積極的に指針に盛り込み、東電に求償できるようにするべきであります。
以上、討論を終わります。