日本共産党の高橋ちづ子議員は3月29日の衆院厚労委員会で、戦没者の妻などへの慰藉(いしゃ)として国が払う特別給付金で多くの支給漏れが出ている問題を取り上げ、3年の時効を撤廃するよう求めました。
高橋氏は、50万人ともされる戦没者妻のうちのべ9万7000人が支給漏れとなっており、時効を知らず受け取れなかった妻2人が国家賠償請求を起こしたものの昨年最高裁で棄却されたことに言及。平均年齢95歳で対象者が12万人へ減る一方、失効件数が改善されていないと述べ、国の取り組みを求めました。
田村憲久厚労相は「時効撤廃は難しい」とする一方、あらかじめ記入事項を印字して個別に案内を送付するなどの手だてを講じてきたと答弁。高橋氏が、議員立法で時効撤廃法案が提案されたことがあると指摘すると、厚労相は「十分に国会の議論を見守りたい」と答えました。
同日の委員会では、同制度の期限を延長する一部改正案と修正案がいずれも全会一致で可決されました。
(しんぶん赤旗 2013年4月2日より)
――― 議事録 ――――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
今回の法案は、戦没者の妻並びに父母に対する特別給付金支給法、駐留軍関係離職者並びに国際協定の締結に伴う漁業離職者に関する臨時措置法、いずれも延長であり、賛成するものであります。
まず、五十万人とも言われる戦没者妻の労苦を慰藉するという特別給付金が、これまで五回の給付を通じて、延べ九万七千人、総額九百五十億円が実は支給漏れとなっています。〇七年六月に、戦没者妻の特別給付金四百十億円が失効、時効という記事が各紙で報道されました。これで初めて気づいた方がいらっしゃったわけですね。
新聞報道で知ったときは既に時効と告げられた野村香苗さん、関百合子さんが、〇九年三月に国家賠償訴訟を起こしましたが、昨年、最高裁で上告を棄却されました。お二人のことを私も本委員会で紹介し、支給漏れをなくすことと時効の撤廃を求めてまいりました。
九十二歳の関百合子さんは、戦没者妻特別給付金は戦死した夫の命の代償、それを受け取れなかったことは夫に申しわけないことと訴えています。また、もう一人の原告、野村香苗さんは、時効とはいえ、ことしは支給のチャンスがあったにもかかわらず、それを待たずに、一昨年亡くなってしまいました。
大臣、国としては、この間、支給漏れがないように努力をしてきたと思います。二十二日の委員会では、また先ほどの答弁でも、二〇〇三年改正の失権者がおよそ八千件とおっしゃっています。しかし、十年前の改正のときと比べますと、対象者が十二万人、四割も減っているんですね。だけれども、失効件数は、一万件あったのが八千件、二千件しか減っていない。余り変わっていないんですね。これではちょっと、なかなかしんどいではないか。
改めて、支給漏れをなくすための国の努力を伺いたいと思います。
○桝屋副大臣 前回も委員からお話がございましたが、こうした請求権が失効しないようにどういう取り組みをしてきたかということでございますが、きょうも大臣からも御答弁がございました。
従来は、広報誌等による制度の周知をしておりましたが、前回受給者データを活用した個別案内の実施も行いました。
さらに、システムが相当整備されてきましたので、平成二十年に改正されました戦没者の父母等に対する特別給付金、あるいは二十一年に改正されました戦没者等の遺族に対する特別弔慰金につきましては、総務省から恩給受給者等のデータの提供を受けまして、対象者となる可能性のある者に対して、国から直接、個別案内を送付する。
あるいは、先ほど大臣が申し上げましたが、平成二十三年に改正をされました戦傷病者等の妻に対する特別給付金につきましては、申請の便宜を図る観点から、対象となる可能性がある者に対して、国で確認できる事項についてあらかじめ印字をいたしまして請求書を同封して、個別案内をしたところでございます。
今回の改正においてもこうした取り組みや広報をしっかりと行い、時効失権対策を確実に講じてまいりたいと考えておる次第でございます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
今御紹介があった、例えば総務省のデータベースとリンクする問題なども、やはり国会の中で、衆参の委員会で繰り返し議論をされてきて、そういう中で改善が図られてきたのかなと思っています。
今紹介した裁判の最高裁の判決を受けての記事を資料の一枚目につけておきましたが、見出しが「個別案内に道筋」ということで、確かに棄却はされたんだけれども、この裁判を通して国会審議が豊かにされて、アンダーラインを引いてあるように、「次回支給の来年四月に個別制度案内を行うと厚労省が言明した以上、実現へ監視していきたい」「九十歳という高齢をおして、提訴に踏み切った勇気ある二人の功績です」という弁護団の談話を紹介しています。私は、まさにそういう闘いだったのではないかなと思います。
ですから、これが本当に、さっき言った、二千件しか減っていないんじゃないということにならないようにやっていただきたいというのを、まず、確実にお願いをしたいと思います。
ただ、裁判の中ではもう少し具体的な提案もしておりまして、窓口が日本遺族会一本では、やはりそれはつらいんだと。遺族会に入っていない方はなかなか連絡が来ないじゃないですかということですとか、扶助料名簿をきちっと使ってほしい、つまり、名前が変わっている人とか、今回のケースもそうなんですけれども、いろいろな事情があるんですね。そういうのを踏まえて提案しているものがまだ宿題として、裁判は終わっているんですが、残っております。こうしたことも引き続いて提案をしていきますので、しっかりとやっていただきたいと思います。
その上で、改めて伺いたいと思います。
戦没者の妻の平均年齢は九十五歳です。十年償還ですから、これを逃すと、ちょっと、次は余り考えにくいなと思います。やはりこういうときに、本当に、せっかく、戦後何十年たっても慰藉を続けるんだと続けてきておきながら、しかし、生きているけれども時効は三年、これは余りにも冷た過ぎるのではないか。時効は撤廃、踏み切るべきではないですか。大臣、お願いします。
○田村国務大臣 先ほどもお答えさせていただいたんですけれども、やはり、このような給付金のような制度において、法律の安定性を考えますと、どうしても時効というものの撤廃というわけにはいかないということでございますが、今副大臣からお話がありましたように、いろいろとこの国会の議論も踏まえた上で、なるべく給付につながるようにという形で手だてを講じてきておるわけであります。これを徹底する中において、お一人でも多くの方々が請求漏れがないように、こちらの方も努めてまいりたい、このように思っております。
○高橋(千)委員 あえてもう一言、お話したいと思うんです。
先ほど中島委員の方から、我が党の浅尾議員がという御紹介がございました。ただ、浅尾議員が民主党の参議院議員であったときにこの問題を取り上げまして、私も紹介をしていますけれども、野党時代の民主党が時効撤廃法案を提出いたしました。残念ながら、与党になったらなぜかそれを、廃案になった法案を二度と出していただけなかった。だけれども、一方では、年金時効特例は通した。
ですから、全然前例がないわけではないわけです。また、議員立法という形で条件も整うのではないか、かなりの人が同じ質問をしているじゃないか、そういう環境が整った場合、政府としても考える余地はあるよということでよろしいでしょうか。
○田村国務大臣 なかなか、行政という立場で、法律的安定性を考えた場合には、時効撤廃というのは難しいというお話をさせていただきました。国会は国会の方でいろいろな御議論があられようと思いますから、我々も、横でお聞きをいたしながら、十分に国会の御議論を見守らせていただきたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 その言葉の中に少し意味が含んであったのかなと思いますので、ぜひ委員各位にも呼びかけをしたいなと思います。十年は長過ぎる、しかし、三年は短過ぎるということを重ねて指摘したいと思います。
次に、駐留軍関係離職者について質問をいたします。
同法は、一九五八年制定でありますが、その前年の二月に、朝鮮戦争の休戦等国際情勢の緊張緩和によって、国連軍の全面撤退声明がございました。そこで、国連軍労務者七千七百名が解雇をされて、その後の進駐軍の撤退によって広範かつ大規模な離職者が発生した。ここに対応せざるを得ないということで離職者対策が迫られたことが経緯だと思っております。
当時は、六万九千八百五名の労働者に対し離職者二万七千二百七十六名という大変大きな数字でした。現在は、二〇一一年度末で、二万五千五百四十五人に対し百四名の離職者と減少をしています。
これは五年前の資料ですけれども、二枚目に、全国の基地の七五%は沖縄なんですけれども、基地の所在地とその間の離職者の関係が一目でわかる資料をつけておきました。
〇六年の五月に取りまとめられた再編実施のための日米のロードマップでは、二〇一四年までに、沖縄県の八施設及び神奈川県の一施設において部隊の移転、縮小及び返還を行うとして、約六千人の雇用に影響が及ぶのではないかということが言われているわけです。
そこで、今やっている対策の中身、それから、今は百四名ですけれども、かなり膨らむことも当然あるわけですね。そういうことも踏まえまして、予算規模がどのようになっているのか、厚労省に伺いたいと思います。
○岡崎政府参考人 駐留軍関係離職者の方々につきましては、この法律に基づきまして、一つは、就職促進手当というようなものを含めまして、生活の関係の給付をしながら、ハローワークにおきまして就職指導を行う、そして、雇い入れていただきました事業主に対しては助成金を払う等々の形で支援をしているということであります。
そのほかに、防衛省の方でも、離職前の職業訓練を行ったり、あるいは離職後の生活の安定のための特別給付金を支給したり、こういうようなことをやっているということでございます。
現在は、御指摘のように、対象者が二百名強ということでありまして、予算規模は四億円ということでございます。
ただ、今後、ロードマップの動きによりまして多くの離職者も予想されます。特に、雇用情勢が厳しい沖縄ということもありますので、そこは地域の状況をよく見ながら、さまざまな形で就職の支援をしていくということで対応していきたいというふうに思っていますし、当然のことながら、対象者に応じまして今も予算を組んでおりますので、離職者がふえた場合には、必要な予算措置は講じてまいりたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 特別給付金も全部合わせて四億前後ですから、予算的にはまだ大した規模ではない、そういうことだなと。百倍に膨らんでも対処はできるかなと思います。
それで、今ちょっと説明が簡潔だったので、整理をしたいんですが、一般の失業者に対する手当に上乗せというか、そういう形になりますよね。ちょっとそこを説明していただけますか。
○岡崎政府参考人 一般の失業者の方については、雇用保険で生活のための失業手当を給付しております。これは勤務年数とか年齢にもよりますが、最大でも三百三十日ということであります。
この特別措置法の対象者の方につきましては、三年間まで手当を出すというようなことで期間も長くしておりますし、就職促進手当、生活給付のほかにも、就職活動のための手当等々幾つかほかの手当も支給している、こういう形になっております。
○高橋(千)委員 まず、一般の失業者と同じように給付を受ける、ただ、それが最大で三百三十日なので、それでは基地の仕事という特殊性から見てなかなか難しいということで、最大で三年間という対応があったと思います。ただ、逆に言うと、その短い間に再就職ができれば、それにこしたことはないわけですよね。
では、実際どうなっているかという問題なんです。
二〇〇九年、防衛省による駐留軍関係離職者帰すう状況調査によりますと、離職者七十九名中、回収できた、四十名、再就職者は八名、二割にとどまっています。離職から再就職まで二年六カ月以上三年未満の方が六名。再就職まで時間がかかっていること。あるいは、未就職の状況を見ますと、離職前職業訓練を受けていない方が三十二人中十九人。時間がなかったと答えた方が一番多いんですね、六名。訓練の希望種目がなかった、五名。なかなか十分な対策とは言えないなと思います。
そもそも、その後の帰すう状況調査はどうなったでしょうか、防衛省。
○豊田政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘の駐留軍関係離職者帰すう状況調査につきましては、駐留軍関係の離職者の再就職の状況等の実態を把握することによりまして、今後における離職者対策の促進のための基礎資料を得る、こういうことを目的として、昭和三十三年から各年実施してきたものでございます。
しかしながら、調査対象者の負担の軽減の問題、それから統計調査の整理合理化を図る観点から、当該調査につきましては平成二十一年度で終了いたしまして、それ以降は、離職前職業訓練に限定したアンケート調査を実施しておるところでございます。
防衛省といたしましては、今後における離職者対策の資とするため、引き続きこのアンケート調査を実施していくことといたしております。
○高橋(千)委員 次は大臣に質問するんですけれども、今の答弁を聞いていただいたと思うんです。要するに、一般の失業者の対策にとどまらない対策を今回やっているわけですよね。だけれども、それが効果があるのかどうかという調査が平成二十一年、〇九年で終わっているんですね、統計調査の合理化ということで。私、たまたま二〇〇九年を見つけたら、その先がないということです。
今御紹介いただいたアンケート調査はやっているんですけれども、効果があったかないかくらいで、再就職に結びついたかとか、なぜそうなったのかということが全然わかりません。こういうことは合理化しちゃいけないんですよ。だって、これだけの対策を三年間ということでやろうとしているときに、効果があるのかどうかもわからない。これはどういうことなのか。
ぜひ、防衛省とよく協議をしていただいて、その後の帰すう調査あるいはそれにふさわしいものをやるべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○田村国務大臣 今、防衛省の方からお話ございましたとおり、この帰すう調査は平成二十一年で終了している。もっとも、今委員おっしゃられましたとおり、二割ぐらいしか回答が返ってきていないというのはいかなることかということでありますが、やはり、調査対象者の方々の負担が非常に重い。
ちょっと調べてみますと、大体、質問だけで十から二十項目、A4のペーパーに三枚程度、これぐらいだったということでございますから、そういう意味では、やはり調査される側も負担が重いのであろうなということの中において、簡潔に、質問数も減らして、A4の紙一枚ということにしたのであろうということで、離職前職業訓練に対する意識調査という話になったということであろうと思うんです。
しかし、言われている意味合いというものは私も理解するところがあるわけでございまして、防衛省と相談しながら、なるべく調査対象者の方々に対して負担をかけずに、何らか、この帰すう調査にかわるようなものがないのかどうかということは検討をさせていただきたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 大臣、回収できたのは五割ですね、七十九名中四十名ですので。再就職が二割。そういう実態でございますので、ぜひ検討をしていただきたいと思います。そうじゃなかったら、やはり、効果があるのかないのかもわからない、あるいはどういう施策がいいのかもわからないですので、ぜひお願いをしたいと思います。
さて、駐留軍関係労働者は、日本が雇用し、米国に提供するという間接雇用で、大変特殊な勤務形態になっております。一九五二年までは国家公務員として位置づけられておりましたが、五二年、サンフランシスコ講和条約以降は、国家公務員ではないと明記をされているわけです。
間接雇用ということでは、職業安定法第四十四条、労働者供給業禁止の例外として労働者派遣、こういう形態があるわけですが、駐留米軍関係労働者の雇用形態は実はそれとよく似ているな、私はそう思うんです。しかし、職安法には例外というふうに書いていないように思うんですけれども、この労働形態が例外として認められる根拠は何でしょうか。防衛省に伺います。
○豊田政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のように、駐留軍等労働者につきましては、防衛省が雇用契約の締結、賃金の支払い等を行いまして、在日米軍が採用や配置転換の決定、指揮命令等を行っておりまして、形態としては労働者供給に該当するというふうに認識しているところでございます。
しかしながら、防衛省設置法第四条第二十五号によりまして、防衛省は、駐留軍等のために労務に服する者の雇い入れ、提供等を行うこととされておりまして、一般法としての職業安定法に対し、防衛省設置法が特別法として優先的に適用されるものと考えております。
したがいまして、駐留軍等労働者の労務提供につきましては、職業安定法第四十四条の規定は適用されないものだという考え方に立って、私ども、従来より行ってきているところでございます。
○高橋(千)委員 労働者供給業に形態は該当するという、ちょっと驚きの答弁でございました。
厚労省はどのように整理をしていますか。
○岡崎政府参考人 整理につきまして、今、防衛省の方から説明があったとおりでございまして、形態としては労働者供給事業に当たりますけれども、防衛省設置法に基づいて行われているということで、一般法である職業安定法の適用はないものというふうに理解しております。
○高橋(千)委員 私は、やはりこの問題が、雇用の労働条件が労働法に適していないとかということはこの間も随分議論されてきましたが、根本的な問題じゃないかと。そもそも、国家が労働者供給業をやっているということ。それは、防衛省設置法で雇い入れということを書いています。しかし、間接雇用でいいよということはどこにも書いていないんですね。
資料の三枚目に、これは日米地位協定、昭和三十五年ですけれども、ここにこういうふうに書いています。第十二条、「現地の労務に対する合衆国軍隊及び第十五条に定める諸機関の需要は、日本国の当局の援助を得て充足される。」
まさに需要を充足されるのであって、労働者派遣の問題をするときに、いつも、物のように使われる、あるいは物品費として労務費が計上されている、こういうことがずっと指摘をされてきたんですけれども、需要であり、充足されるというふうな、こういう位置づけということ自体が、同じことなんだなということを改めて指摘しなければならないなと思っています。
二〇一〇年八月の駐留軍等労働者の労務管理に関する検討会の報告書では、「いわゆる間接雇用方式の下、雇用主と実際の使用者が異なっている。この雇用形態は、現在においては労働者派遣法の施行により、民間においても勤務環境等に違いはあるものの形式的には類似の業務形態が見られるようになったことから、以前に比べて特殊な形態ではなくなってきている」、こう書いてある。
これはそういう問題じゃないでしょう。派遣に似ているからいいよね、似ている形態があるからいいよね、そういう問題ではないんです。
そもそも、労働三権が認められています。でも、交渉の相手方は防衛省でしょう。防衛省と交渉しても、一々防衛省は米軍と協議をしなければ、最終的にはまとまらないわけでしょう。派遣のときにも派遣先との交渉権ということを、本当は野党時代の民主党の改正案にあったわけですけれども、ここもなくなっちゃった。こういうことが問題なんじゃないかということを指摘したいと思うんですね。
外国の米軍基地では直接雇用もあると聞きますが、どうなっていますか。
○豊田政府参考人 お答え申し上げます。
防衛省といたしましては、諸外国における米軍基地従業員の雇用形態について、全てつまびらかに承知しているわけではございませんけれども、公開資料等により承知している範囲内でお答えさせていただければ、米軍が従業員を直接雇用している国としては、例えば韓国及びドイツがあり、接受国が従業員を雇用し米軍に提供する間接雇用方式が採用されている国としては、例えばオランダがあるというふうに承知しております。
○高橋(千)委員 私は、やはり直接雇用でなければだめなんじゃないかと思うんですね。
それで、労務負担の問題もあるわけですよね。これは、基本は、労務費、人件費については、原則、米軍が払うことになっていると思いますが、確認します。
○豊田政府参考人 お答え申し上げます。
地位協定第二十四条一におきまして、日本国に合衆国軍隊を維持することに伴う経費は、この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで合衆国が負担することが合意されているところであります。
しかしながら、昭和四十年代後半からの我が国の物価、賃金の高騰や国際経済情勢の変動によりまして、在日米軍の駐留に関して米国が負担している経費が圧迫を受けていることを勘案いたしまして、昭和五十三年度から福利費及び管理費の負担を開始いたしております。
また、日米両国を取り巻く諸情勢の変化が駐留軍等労働者の安定的な雇用を損なうおそれがあることに鑑みまして、昭和六十二年に締結された特別協定に基づきまして、調整手当等々八手当を負担することとされました。
さらに、平成三年に締結された特別協定に基づきまして、駐留軍等労働者の基本給等を負担することとされまして、その後、平成七年、十二年、十八年、二十年及び二十三年に締結された特別協定に基づきまして、こうした基本給等の負担を引き続き行っているところでございます。
○高橋(千)委員 今聞いていて、物は言いようだなと思ったんですが、原則は合衆国が払うで、しかしながら、我が国の物価の値上げなどの状況があってと。それを逆に言うと、アメリカが財政赤字で大変だから日本がもっと負担してほしい、そういうことが経過にあったのではないですか。それで、思いやりという考え方ができるじゃないかということで、当時の金丸信長官が始めたのが思いやり予算の発端であったということだと思います。
今、ばらばらとおっしゃったものが資料の四枚目につけてございます。
「給与等に要する経費」というのが、だから、昭和五十四年、昭和六十二年、平成三年、昭和五十三年、昭和五十三年ということで、最初から日本がではなくて、少しずつ少しずつ、少しずつではないのか、かなりの分野で日本が肩がわりするようになってきたのだということが一目でわかるようになっています。ですから、私たちはそれが問題だということは前から指摘をしてきたわけですけれども、今そういう説明があった。
そこで、ちょっと時間の関係で、次の質問に行きますが、この資料の下になお書きがあります。「米側負担の経費については、特別調達資金により日本側が一時的に立替払いを行い、後に償還を受ける形をとっている。」
原則アメリカ負担のところをどんどん日本が肩がわりしたあげく、わずかに残っている米側負担さえも日本が立てかえるという意味ですか。この特別調達資金はどういうものか、簡潔に説明してください。
○左藤大臣政務官 お答え申し上げます。
この特別調達資金というのは、昭和二十六年の設置令によって設置されたことは先生御存じだと思います。米軍等から代替の対価の支払いを受けるまで、一時的に立てかえ払いをしております。
具体的には、基本労務契約等により日本政府が行う駐留軍等労働者の給与等の立てかえ払い等に適用しており、これにより、駐留軍等労働者への安定的かつ円滑な給与の支払いに役立っているところでございます。
そういう面でさせていただいているということでございます。
○高橋(千)委員 立てかえているので円滑な給与の支払いに役立っているというお答えでございました。
資料の五枚目につけておりますけれども、要するに、アメリカが払うものを一時的に立てかえている。この資料の二番についているんですが、大体七十五億円、不足する分を入れて九十億円、こう言っているんですが、実際に払っているのを見ますと、百七十億前後を日本が払っていて、必ず返ってきますね、アメリカから。返ってくるんだけれども、またその次の年立てかえなくちゃいけないので、どんどん自転車操業になっていて、これを払ってもらっていると言えるのだろうかということで、余りにもアメリカ言いなりが過ぎるなという気がするわけであります。
そこで、日本共産党は長年思いやり予算の問題を取り上げてきたわけですけれども、民主党政権のときに、初めて事業仕分けで思いやり予算にメスが入ったと思ったら、そうではなくて、最も安い沖縄の最低賃金と比較して給与水準が高過ぎる、そこにだけ集中するわけですね。結局、それすらもやらないで、向こう五年間、今までは三年間刻みだったのに、現行水準を維持しますという約束をしたということで、むしろ、自民党時代よりも対米配慮があるのではないかという指摘までされたわけであります。
ですから、私が思うのは、無駄を削減しようと本当に叫んでいるのに、やることが、基地で働く日本人労働者の懐を切るような、あるいは首を切るような、そういうことではなくて、基地の中の施設を何でも国民の税金でやってきた、そういう、もっとほかに削るところがあったのではありませんか、そのことを伺いたいと思います。
○左藤大臣政務官 今おっしゃるとおり、ほかに削るべきところがあるんだろうとおっしゃいますけれども、見直しをやってきたところでございまして、平成十一年度、二千七百五十六億円から、二十五年度予算案では千八百六十億円と、八百九十六億円、三二・五%減少しております。これは、設備だとかいろいろな面で減らさせていただいているところでございます。
労務費については余り変わっておりません。
以上です。
○高橋(千)委員 削った話を今されましたけれども、思いやり予算が始まったときは六十二億円だったわけですよね。ですから、三十倍にもなっております。そういうことをまず考えなくちゃいけないのと、やはり、どこを削るかということ。結局、一番最初に従業員にしわ寄せするのではなくて、基地の中で彼らが必要とするものは彼らのお金でやりなさいということをきっぱり言うべきではないかと思います。
最後に、本当は質問したかったんですが、ごめんなさい、時間が来てしまったので、要望にしたいと思います。
〇九年九月に、私の地元の三沢の米軍基地所属のF16戦闘機四十機が撤収するのではないかということで、大騒ぎになったことがございました。かつて、三沢というところは、一九七〇年に飛行隊が移動して、一千名がリストラされるという大問題があったんですね。そのときに、結局、突然降って湧いたような話で、何の説明もなかったということで、これでは大変雇用に影響するということがありました。
私は、当然、F16撤去を求めているし、基地撤去を求めています。だからといって、一千名首を切られてもいいと言っているわけではないんですね。なので、そのときに、雇用が危ないから基地をやめられないというのであれば、原発と同じ議論になっちゃうわけで、やはりそこは、今議論してきた離職者対策というものが本来あるわけですから、思いやり予算をたっぷり使ってきたことを考えれば、それを単に基地なき後の雇用対策に振り向ければいいんだよということを強くお訴えしたかったのであります。
ぜひ、それは大臣にも、要するに、不安はないんだということをお答えしていただきたかったということを要望して、残念ですが、時間が来たので終わりたいと思います。