国会質問

質問日:2016年 5月 20日 第190国会 厚生労働委員会

長時間労働規制

時間外労働 法的規制を / 高橋議員 総活躍プランで追及

 日本共産党の高橋千鶴子議員は20日の衆院厚生労働委員会で、政府の「ニッポン1億総活躍プラン」に盛り込まれた長時間労働の規制などを取り上げ、野党4党が共同提出した時間外労働の法的規制と勤務間インターバル(休息時間保障)の導入を求めました。
 高橋氏は、同プランで「時間外労働規制のあり方について再検討を開始」としたことについて、時間外労働の限度を月45時間とする大臣告示基準を法定化すべきだと主張。これに反する残業代ゼロ法案は取り下げるべきだと迫りました。
 塩崎恭久厚労相は「告示のあり方を含め、規制のあり方を検討する」と述べるにとどまる一方、残業代ゼロ法案は「撤回するつもりはまったくない」と居直りました。
 高橋氏は「重大だ。取り下げないなら大して変わらない」と批判。多くの大企業が月80時間以上の過労死ラインを超す残業規定を結んでおり、1億総活躍国民会議でも「ふたをしないとだめだ」と指摘されていると紹介し、法的規制こそ必要だと迫りました。
 塩崎厚労相が「長時間労働の文化を変えないといけない」と答えたため、高橋氏は「仕事が現にあるのに、文化や意識の問題にしてしまうのはだめだ。人を増やすことも大事だ」と批判しました。
(しんぶん赤旗2016年5月24日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 きょうは、長時間労働規制について伺います。
 間もなくニッポン一億総活躍プランが閣議決定されると思いますが、一億総活躍国民会議において、総理は、労働基準法については、労使で合意すれば上限なく時間外労働が認められるいわゆる三六協定における時間外労働規制のあり方について再検討を開始すると述べられております。
 それで、資料の一枚目を見ていただきたいんですが、これは「労働基準法の一部を改正する法律案(仮称)骨子案」と書いておりますけれども、実は、我が党が労働時間規制の法案を出したいと昨年つくった法案骨子案であります。野党の皆さんに相談をして、ぜひ野党提案ということをやっていきたいということでお示しをしたもので、いわば幻の法案でございます。井坂委員を中心に、もう少し項目の多いものをまとめていただいて、この間、共同提出をしたというところなんですけれども、私たちは、時間数をきちっと決めているところにこだわりを持っております。
 これを読んでいただきたいと思うんですけれども、「労働基準法第三十六条第一項の協定による労働時間の延長は、一定の場合を除き、一カ月について四十五時間、三カ月について百二十時間、一年間について三百六十時間を超えてはならないこと。」、これは、大臣告示基準を法定化しようとするものであります。
 今月十八日に示されたニッポン一億総活躍プランにも、労使で合意すれば上限なく時間外労働が認められる三六協定における時間外労働規制のあり方について検討すると書いているわけですよ。そうすると、それはどういうところに向かっていくのか。つまり、我々が主張しているように、告示基準を法定化するべきだと思っておりますが、いかがでしょうか。

○塩崎国務大臣 高橋委員の方からお配りをいただいたこの幻の法案の骨子案、これは共産党らしい一つの考え方ではないかというふうに思います。
 長時間労働の是正につきましては、一億総活躍国民会議における総理指示を踏まえて、重点監督の対象を例えば月百時間超の残業が疑われる事業場から月八十時間超に広げるなど、長時間労働の是正に向けた執行をまず強化しようということで、昨日は、違法な長時間労働を複数の事業場で行っていた企業名を初めて公表いたしました。株式会社エイジスという会社でございます。
 さらに、ニッポン一億総活躍プランにおける、今御指摘いただきました三六協定、これにおける時間外労働規制のあり方について再検討を開始する旨の方針を踏まえて、御指摘の大臣告示で今までこの三六協定の中身についてしてまいりましたが、この告示のあり方を含めて、我が国の長時間労働を変えていけるように真剣に規制のあり方を検討して、今の三六協定がもう少し実効性のあるものにしていかないと本当の意味での長時間労働の文化を日本が変えることができないのではないかという問題意識から、今後、実効性を高めるためにどういうことがなし得るのかということを真剣に議論をしてまいりたいと思っております。

○高橋(千)委員 まず、企業名の公表に踏み切ったということで、これで初めてですので、まだ第一歩ではありますけれども、これはもう当然のことであると思っております。
 それで、法定化すべきではないかという問いに対して、あり方を含めてとおっしゃいました。これから検討する段階なので、当然、法定化ということを確定的な答弁をするわけはないと思っておるわけですけれども、いずれにしても、法定ではなく、例えばその次の段階に落としていくとかいろいろなことを、法規制のあり方を考えるとすれば、変えるとすれば、何段階か、何回か労政審をやる必要があると思いますが、確認をしたいと思います。
 また、そういうことを考えると、少なくとも、今、国会に提出をしている、我々が残業代ゼロ法案と呼んでいる労基法改正案、整合性がとれなくなると思うんですね。整合性をとるという作業を当然しなければならない、そう考えれば、今提出している法案は、継続審議ではなく、取り下げてやり直すべきではありませんか。

○塩崎国務大臣 私どもとしては、ニッポン一億総活躍プラン、今はまだ案でありますが、これを踏まえて、我が国の長時間労働を変えるべく規制のあり方を検討する方針であることは先ほど申し上げたとおりでありまして、その過程では、当然、労働政策審議会において、当事者である労使にしっかり議論していただくという考えでございます。具体的な進め方は、今後検討を行うことにしておるわけでございます。
 現在提出している労働基準法改正案は取り下げろ、こういうお話でありましたが、結論から申し上げると、撤回するつもりは全くございませんで、やはり、確実に年次有給休暇が取得できる仕組みを創設するものでもあり、中小企業における割り増し賃金率の引き上げを定めるものでもあり、こういった時間法制、特に長時間労働抑制策を盛り込んでいるわけでありますので、働く方の健康を確保しながら、創造的な能力を発揮して効率的に働く環境を整備するいう意味において、審議を早急に始めていただければというふうに考えております。

○高橋(千)委員 取り下げないということは明確に答弁されました。非常に重大だと思っております。
 三月二十五日の国民会議の場で、総理が、今の労基法の改正案に加えてこの規制を検討したいとおっしゃったわけですね。だから私は、普通に考えれば、これは絶対矛盾するだろうと思うんです。だけれども、取り下げない、矛盾しないと言うのであれば、これから国が目指す方向というのは大して変わらないんだなというふうにしか受けとめられないんです。このことを強く指摘したいと思います。
 そこで、資料の二を見ていただきたいと思います。特別条項つき時間外労働に関する労使協定の法定外時間労働の実績というタイトルであります。
 昨年の予算委員会で、長時間労働について、我が党の志位委員長がかなり時間をかけて質疑をいたしました。その中で、名立たる大企業がそろって、月四十五時間の大臣告示を全く無視して、八十時間以上の過労死ラインを超える残業上限協定を結んでいる、特別条項を、これを異常だと思わないかと聞いたのに対して、総理は、「これは、こんなにしょっちゅう残業しているわけではなくて、」つまり、特別条項で結んでいる時間ほどやっているのではなくて、「念のためにこれは結んでおく、そういう、コンプライアンスもしっかりしている」と答弁されたんですね。私は、それを裏づけているのがこの資料なのかなと思っているんです。
 つまり、四百時間超五百時間以下と結んだからといって、その五百時間ぎりぎりまで労働を実際はしているんじゃなくて、実労働時間は、右側を見ていただければわかるように、二百二十八時間五十四分というふうな形で、実際はそうじゃないんだよ、だから、言ってみれば保険のような意味なんだよというふうなことを言っているんだと思うんですね。
 だけれども、その網がかかっている部分は、特別条項を結んでいるけれども、それを超えているものがこれだけあるということの中身だということをまず見なければいけないと思うんです。
 それで、下の、丸が二つあります。総理が言ったのはこの二つ目の方なんです。「特別条項付三六協定で定める特別延長時間と比べれば、時間外労働の実績が、短い事業場が多くなっている。」実質はそんなに長くないんだと言っているんです。だけれども、その上の方です。「特別延長時間が長いほど、時間外労働の実績も長くなっている。」やはり、長く結んでいるところはそれなりに長くなっている、そういう傾向は認めなければならないんじゃないかということなんですね。
 結局、余裕を持って特別条項を結んでしまう、そうすると、過労死ラインを超えて働かせても、あらかじめ余裕を持ってやっているんだから法令違反にならないんです。これでいいんだろうかということをお聞きしたい。

○山越政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、一億総活躍国民会議の総理指示も踏まえまして、月八十時間を超えるような長時間残業が疑われる企業につきましては、執行の強化をいたしまして、長時間労働の是正に向けた対策を進めているところでございます。
 八十時間を超えているような企業につきましては、法違反がないか監督指導を実施し、違法な残業がある場合は適正のための指導をしている、こういうことでございます。

○高橋(千)委員 全然答えになっていないと思うんですけれども。監督官が幾らいても足りないと思いますよ。全体の規制はしないで、結局、問題があればと監督を強めていく、これではとても追いつかないと言わなければならないんですね。
 この三月二十五日の一億総活躍国民会議の場で、相模女子大学客員教授の白河桃子氏は、労働時間の取り締まりは強化されたが、逆に、三六協定を実態に合わせて月六十時間とか八十時間に上げるということが起きています、やはりふたをしないとだめなのだと指摘している。白河氏の興味深い資料がたくさんあって紹介したいんですけれども、そういうことがございました。それで、三六協定の上限規制、そしてインターバル規制などを強いリーダーシップで実現せよと迫っているはずです。
 また、日本総研理事長の高橋進氏は、長時間労働の抜本的な是正に向けては、割り増し賃金という経済的手法による誘導だけでは不十分だ、執行面での強化とともに、労使合意があれば無制限に時間外労働が許容されるといった現行の労基法の見直しなど法制面での対応が必要な段階だ、こう述べていらっしゃる。
 やはりこの立場に立つべきではありませんか。重ねて伺います。

○塩崎国務大臣 今の高橋委員がおっしゃったことは私どもと同じ考え方ではないかなというふうに思ったところでございます。
 要は、その実効性がない三六協定、現在の運用の仕方や仕組みそのものでいくのでは、どうもこの日本の長時間労働の文化、慣行というのは直らない、したがって、これをどうやったら、本当に変えてそれぞれ望む働き方ができるようになるのか、あるいは、家庭での暮らし、ワーク・ライフ・バランスとよく言いますが、そういったことが実現できるのかということを徹底的に議論しようじゃないかということが総理からの指示で、私どもが今、一億で受けとめて進めている議論だというふうに思っておりますので、これは、先ほど来申し上げているとおり、働き方改革そのものでもあるので、三六協定は、働き方、つまり、これは暮らし方を変えるというのに等しいというふうに思いますので、三六協定の時間外労働規制のあり方については、本当に抜本的に考えていかなきゃいけないと思います。

○高橋(千)委員 大臣、最初の答弁から何度か端々に文化、文化という言葉が出てくるんですね。私は、確かにそれもあるかもしれないけれども、それが根っこで、文化を変えればいいんだという議論にしちゃったらだめだということを言いたいんです。
 同じ会議で経団連の榊原氏は、我が国の多くの企業では、所定労働時間内に仕事を終わらせるといった意識が低い、長く職場にいることが評価されるという日本独特の文化があると述べて、意識改革の問題に落とし込んでいるわけですよ。それで、経営トップが先頭に立って長時間労働の削減を実現しているところもあるとして、夜九時には事務所の電気を強制的に消す、そういうのがいいことだと紹介しているわけです。塩崎大臣は八時と指示をしているところでありますが。
 そして、同じ会議で総理は、自分もサラリーマンをしていた若いころ、八時くらいに帰ろうとすると、もう帰るのかといった雰囲気があってやはりなかなか帰りづらい、そういう文化を変えましょうというので、働き方改革は必要だとおっしゃっているわけですね。さすが、経団連とぴったりの意見をしているわけです。
 私も、実は私立高校に勤めていたときに本当に午前様の仕事をしていたことが多かったんですが、校長先生が八時で電気を消すといって門限を切られて、もう既にやられておりました。でも、そうなるとどういうことになるかというと、簡単な話で、持ち帰り残業になるんですね。結局、それは単なるサービス残業でしかないということであります。
 資料の三枚目を見ていただきたいと思います。これは、残業代未払いを是正した結果の平成二十六年度のものであります。
 我が党はサービス残業問題を随分、先輩議員が数百回の質問を繰り返して、二〇〇一年の四月六日に厚労省が通達を出しました。非常に成果を上げているわけなんです。
 二〇一四年度の結果は、是正企業が千三百二十九企業、百四十二億四千五百七十六万円が二十万三千五百七人の労働者に支払われたわけです。平均すると一人十万円を超えているわけです。そして、驚くことに、一企業で払った支払い額の最高額は十四億千三百二十八万円。どれだけサービス残業をやらせていたんだという話であるわけですよね。実は、二〇〇一年からのトータルを数えてみますと、二千三百三億円の未払い賃金が労働者の手元に戻っている、こういう格好になるわけです。
 今言ったように、強制的に電気を消したらいいじゃないかみたいな話になっちゃえば、今でもこれだけサービス残業があるのに、もっとふえる、あるいは、残業をやっていることが見えなくなる、そういうふうに思いませんか。

○山越政府参考人 私ども、今御指摘がありましたように、定期監督などで労働基準法違反については調査をし、違反がある場合は、是正をしてその改善を指導しているところでございます。そういう中で、御指摘がありましたように、二十六年には千三百件を上回る是正をしているところでございます。
 こういった労働基準監督官による労働基準法違反の監督指導の徹底に今後とも努めてまいりたい、そういう中で賃金不払い残業をなくすように努めてまいりたいと存じます。

○高橋(千)委員 さっきと同じ答弁ですよね。
 結局、文化の問題に落とし込んじゃだめですよねと、確かに意識はあるけれども。
 では、大臣、どうぞ。

○塩崎国務大臣 いや、それは逆さまであって、文化を変えなきゃいけないことは間違いない。それは、労使ともにそういう文化だからこういうことになっちゃっているわけで、その文化を変えるのに何が必要なのかということを徹底議論しようと言っているので、法改正なのか、あるいは政令改正なのか、省令改正なのか、あるいは執行を強化すればいいのか、そういうことを含めて全部考えていこうと言っているので、単に、意識改革だけで終わらそうといっても、意識改革そのものが起きないようなもので終わらすわけにはいかないということなので、そこの有効な手だては何かということを考えようと言っているので、言葉だけで終わらそうだのようなことを考えているわけでは決してございません。

○高橋(千)委員 逆さまじゃないんですよ。文化を変えるためにと言ったけれども、この根底にあるのは、仕事がないのにつき合って、総理が言ったのはそういうことですよ、仕事がなくて八時に帰ってもいいのに、ほかの人が帰らないから帰れない、そういうことがあると。それは一部にはあるかもしれないけれども、仕事があって実際に残業しなくちゃいけないのに、それを、本人の働き方が悪いだとか、どうしても、全体として残ることが美徳だみたいな、そういうふうな話にしちゃうからだめなんだと言った。そこをきちんと認めていただいて、仕事があるという状態をどう改善していくか。それは、人をふやすということも一番大事なことですよ。そういうことを提起しているわけであります。
 それで、その中の具体の話になると思うんですけれども、ニッポン一億総活躍プランの案には、「中小企業庁や公正取引委員会に通報する制度を構築し、下請けなどの取引条件にも踏み込んで長時間労働を是正する仕組みを構築する。」と書きました。これは大事なことだと思うんです。
 二〇〇六年につくった労働時間等設定法施行通達には、「関係者の責務」として「事業主の取引上の配慮に関する責務」が明記されています。これによると、要するに、個々の事業主がどんなに労働時間等設定改善に取り組もうとしても、週末発注週明け納入などの短納期の発注や、発注内容の頻繁な変更など、取引先との関係によって長時間労働を余儀なくされている状況が見られる、だから、納期の適正化、発注事務の円滑化、発注内容の明確化などについて配慮することを責務としているんです。これはすごく大事なことだと思うんですよ。
 でも、十年前のことが本当にやられているんだろうか。中小零細企業がどんなに残業を減らそうとしても、納期に迫られればそうはいきません。断れば、あんたのところでなくていいと言われるだけです。通報すれば、どこが通報したのかすぐわかっちゃうので、できません。これが何らかの成果を上げているんでしょうか。
 今回、改めて活躍プランに書こうとするのであれば、省庁横断的な取り組みが必要です。大臣の決意を伺いたいと思います。

○塩崎国務大臣 短納期の発注とか、あるいは不明確な発注によって長時間労働を強いられるというのは、国会質問で通告がぎりぎりとか、そういうのもよくあるので、労働基準法の適用にはならない国家公務員ではありますが、似たようなことが起きているということであります。
 今、労働時間等設定改善法施行通達にお触れをいただいてお話を賜りましたが、中小企業、交渉力が弱い産業分野で働く方々の長時間労働を是正するためには、発注者とか取引先との関係に踏み込んだ対策が必要だということで、御指摘の労働時間等設定改善法においても、事業主の責務として、取引先での労働時間に必要な配慮をすることを求めています。
 こうした考え方にのっとって、政府として、下請企業の実態をヒアリングし、ニッポン一億総活躍プランに、まず、長時間労働の背景に親事業者における下請代金法などの違反が疑われる場合には、厚生労働省から中小企業庁や公正取引委員会に通報するということで下請などとの公正な取引条件を実現することを通じて、中小企業等の長時間労働を是正する仕組みを構築する方針を盛り込んだわけでございます。
 また、トラック運送業について、運送事業者だけでなくて、荷主企業や経済団体の参画を得た協議会を全都道府県に設置をして、実態調査を実施した上で、取引慣行の見直しによる手待ち時間の削減に向けたモデル的取り組みの普及を図るとともに、IT産業について、重層的な下請構造のもとでの取引のあり方と長時間労働の一体的な改善に向けた取り組みを関係省庁や業界団体とともに進めるといった、競争政策に踏み込んだ長時間労働削減対策にしっかりと取り組まなければならないということを、私どもは今回決めさせていただいたところでございます。

○高橋(千)委員 この問題は本当に難しいと思いますが、本気で取り組んでいかなければ、まさに、さっき言った、仕事があるのに、単に早く帰ろうと言うだけでは済まない問題だということで、政府を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
 それで、さっき大臣は、国会議員を発注者に置きかえて、国会質問があるから残業があるんだというお話をされました。それはもちろんみんなが協力するべきだと思う。でも、我々も、たった今できた法案を質疑しろと言われるものですから、いつ勉強するんですかということになっております。全体で改革していかなければなりません。
 厚労省と省庁全体の所定外労働時間が三百六十時間前後だそうです。まさに過労死ラインを超えている。これは本当に変えていかなければならないし、そもそも労基法の適用除外をやめるべきだという質問を用意しておりましたが、何かそれを念頭に置いて大臣が答弁をされたのかということで、ここで言っておきたいと思います。
 あと、資料の四に、先ほどの白河氏の資料の中でちょっと紹介させていただきたかったんですが、ファザーリング・ジャパンが長時間労働アンケートをとっておりまして、まさに今質問をした、取引先や競合他社にも労働時間抑制に着手してほしいと思われますか、九五%がはいと答え、社会全体で取り組んでいただきたいということや、国にも全体的な抑制、働き方の見直しの旗振りを期待する、九割がはいと答えているので、ぜひ頑張っていきたいなと思っております。
 それで、次に資料の五、インターバル規制についてですが、これは、五月四日、日経新聞が報じました。
 ただ、線を引いているところを読みますと、四段目です、「五月にまとめるニッポン一億総活躍プランに、この制度の普及を目指すと盛り込む。厚労省は現段階で義務化を考えておらず、助成金で導入を促す。」
 さっき私、長時間労働のところでお話をしました、助成金のような誘導策では限界だということに対して、大臣は同じ意見だとおっしゃったわけでありますが、今考えているのも、結局、職場意識改善助成金の対象に入れるということ、勤務間のインターバル導入を考えるということが記事にありますけれども、そういう考え方なのかということが一つと、それから、実態調査はどのように行うのか、伺います。

○山越政府参考人 先生がおっしゃいました、インターバルの措置によりまして働く方の生活時間あるいは睡眠時間を確保していくことは重要であると考えております。ニッポン一億総活躍プランにおきましてもこういったインターバル措置の考え方が盛り込まれているところでありまして、今後、私どもといたしまして、必要な支援策、そのあり方について検討してまいりたいと思っております。
 ただ、他方で、このインターバル措置でございますけれども、現在のところは、導入している企業も非常に少ない状況でございます。そういう中で、勤務間インターバルを仮に罰則つきで義務づけた場合は、企業の運営に非常に大きな影響を及ぼす可能性があるというふうにも考えておるわけでございます。
 こういうことでございますので、現在提出をしております労働基準法の改正案におきましては、労働時間等設定改善法を改正いたしまして、また、この設定改善法に基づく指針も見直しまして、インターバルの確保措置を労使で検討すべき、そういうことをこの指針に明記をすることとしております。こういう中で各企業の自主的な取り組みを促していきたい、こういうふうに考えているところでございます。
 それから、インターバルの措置についての調査についてお尋ねがございましたけれども、これにつきましては、厚生労働省といたしまして、現在どれくらいの企業においてどのようなインターバル措置が実施されているか、これを把握していることは重要であるというふうに考えておりますので、今後、このインターバル措置の導入状況に関する実態調査、これを実施することについてよく検討していきたいというふうに考えております。

○高橋(千)委員 ちゃんと通告していたのに、この調査は、もう少し、時期だとか数だとか、どういう職種にスポットを当てて考えているのかなということを聞いたつもりなんですが、今全然お答えがなかったのは、まだ何もないということですか。

○山越政府参考人 このインターバル措置についての調査でございますが、今御答弁申し上げましたように、この実態調査、どういう内容にするかということも含めまして、今後よく検討していきたい、そういう段階でございます。

○高橋(千)委員 何とも驚く答弁でありました。
 残念ながら、もうほとんど時間がないので、あとこれは言い切りにします。
 資料の最後のところに今おっしゃった指針の概要というのがあって、これを一定変えるという答弁があったわけですから、それはそれで大事なことだと思っておりますが、しかし、規制は難しいという答弁でありまして、やはりこれは踏み込んでいかないとだめなんじゃないか。
 きょう本当は質問したかったのは、そもそも労働時間とは何かということを聞きたかったわけであります。
 資料も後ろの方につけてあるんですけれども、指揮命令下にあるところを労働時間というんだというんですけれども、では、休憩時間、それも、言ってみれば当直のときに待っている時間、携帯電話を持ったまま眠って、仮眠といっても、携帯電話を持ったまま、いつ呼び出されるかわからない、そういう絶えず緊張している状態なわけですね。でも、これも一々裁判でどっち、どっちということをやらないと明確にならない。
 こういうこともきちんとやはり示していって、これも労働時間なんだとやっていかないと、幾らインターバルを、労働時間等設定法が、指針が一定改善されたとしても、いやいや、これは休んでいるんだとか、これは寝ているんだということで労働時間じゃないとなっては困るわけです。
 そういうことをきょうは問題提起したかったんですが、時間がなかったので、また次の機会にしたいと思います。
 終わります。

 

――資料――

【資料1】労働基準法改正案骨子案(未定稿)

【資料2】特別条項付き時間外労働に関する労使協定において定める特別延長時間別の法定時間外労働の実績

【資料3】監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成26年度)

【資料4】ファザーリング・ジャパン長時間労働アンケート2016

【資料5】2016年5月4日付日本経済新聞記事

【資料6】「労働時間」とは?

【資料7】労働時間等設定改善指針の概要

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