――議事録――
○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、二〇一六年度補正予算案に賛成の討論をします。
このたびの補正予算案は、当面急がれる災害復旧等経費に充当するものであり、仮設住宅や被災者生活再建支援金など、見込まれる量に一定の幅を持たせている点、歳入について現行予算の枠組みの中から捻出している点などから、賛成といたします。
この際、今回の震災対応について幾つか意見を述べます。
熊本地震のいわゆる本震からきょうで一月。震度七の地震が二度もあり、今も大きな余震が続いています。発災時の恐怖にとらわれ、車中泊を続けている方が多数おられること、その中で震災関連死がふえており、せっかく助かった命をこれ以上犠牲にしないよう、政治の責任が問われています。
今回の地震対策、被災者支援にとって最大の壁は、その被害の実態がつかみ切れていないことです。罹災証明書の発行が約三割にとどまり、再建へのプロセスが行政にも被災者にも見えてきません。ここに経験のある応援職員を派遣し、早く実態をつかみ、かつ円滑に進むよう、国のイニシアチブを求めたいと思います。
二つに、従来の制度の枠組みにとらわれ、被災者を分断し苦しめていることです。仮設住宅に入るのに一部損壊はだめ、半壊だが入ってしまうと応急修理が受けられない、原状復旧が原則であることなどが壁となります。
総理はきょうも、できることは全てやると述べられました。そのためには、支援が必要な量、実態を正確につかみ、そこにふさわしい予算を確保することです。
また、予算が確保されても、制度の枠組みで結局使えないのでは意味がありません。これまでの阪神・淡路大震災の特例措置に学んで新潟中越地震で行ったこと、これらに学んで東日本でさらに拡充してきました。こうした必要な特例措置を早急に具体化すること、そして自治体の裁量に委ねる使い道自由の基金をつくるべきであります。
被災者生活再建支援法も、被災者の要望に応えて、個人住宅再建に直接支援することが二〇〇七年の臨時国会で可能となりました。そのときの四年目の見直しがいまだに実現していません。過去の制度との公平感と言ってしまえば一歩も進むことはなく、阪神・淡路の被災者は遡及されなくても、自分たちと同じ思いをしないようにと後押ししてくれたのだということを受けとめ、早期改正を目指すべきです。
最後に、長引く避難所での暮らしの深刻さが質疑の中でも指摘されました。仮設住宅の建設には時間がかかり、一方では避難所の集約が迫られる、やむなくみずから賃貸などを選択すればそれで自立とみなされ、支援の対象から外される。こんなことは絶対にあってはなりません。二次避難所に位置づけるなど、災害救助法を活用し、住みかえも柔軟に認めるべきです。物資が偏り、感染症など衛生状態も心配される事態からは、集中的な取り組みで一刻も早く抜け出すよう求めます。
以上、住まい、暮らし、仕事となりわいが確保、再建され、一日も早く被災者が日常を取り戻すことができるよう政府に求めるとともに、日本共産党としても全力を尽くすことを約束し、討論とします。