帰還条件整ってない / 高橋氏 被災家屋解体進まず
日本共産党の高橋千鶴子議員は22日の衆院東日本大震災復興特別委員会で、原発事故による避難指示の解除は、区域内の実態や避難者の生活を踏まえて行うよう求めました。政府は、福島県葛尾村の避難指示を6月12日に解除したい意向を示しています。
高橋氏は、村内の農地の半分が放射性廃棄物の仮置き場となっており、国民年金と自給自足で暮らしていた村民は帰りたくても帰れないと指摘しました。
高木毅復興相は「安心して生活できる環境が整う見通しだ」と6月の解除をすすめる姿勢を表明。高橋氏は、環境省による被災家屋の解体が、葛尾村では14%にとどまっていることを示し、「帰還の大きな壁になっている」と強調しました。
環境省の深見正仁大臣官房審議官は、入札不調とともに、WTO(世界貿易機関)政府調達協定で、一定額以上の調達は入札の公告期間を50日以上、再度広告は24日以上と決められていることを説明。「葛尾村の解体工事は今年度中には発注したい」と述べ、解除までに解体が終わらないことを認めました。
高橋氏は「解体後の住宅再建にもハードルがあり帰れる条件は整っていないのが実態。帰還ありきの解除ではなく、準備宿泊の弾力的な運用で対応すべきだ」と主張しました。
(しんぶん赤旗2016年4月28日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
まず、このたびの熊本大地震で犠牲になられた皆様、被災者に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。
発災後一週間で震災関連死十一名というのも、極めて異例なことではないかと思います。大きい余震がずっと続いているために家の中に入れない、恐怖感がずっと続く、心身のダメージが本当に心配されると思います。政府の対応をよろしくお願いいたしたいと思います。
東日本の被災地の方は、十八日、委員会の視察でお邪魔した川内村や広野町もそうでしたが、本当にあのときに全国の皆さんにお世話になったと感じ、できるだけのお返しをしたいと述べていらっしゃいます。また、申し出ていらっしゃいます。ここをきょうは本当に大切にしたいなと思うんですね。
例えば、あるハウスメーカーから、東日本大震災で活用して既に廃棄が決まっているんだけれども、まだ使える仮設住宅、これは五十棟とかそういう単位であるんですが、活用すべきではないかという提案を実は私はいただいたんですね。聞いてみる価値はあるのではないか、もうとても使えないものはいっぱいあるわけですけれども。というのは、それを利用することによって逆に恒久住宅への道筋を、うんとテンポを速めていく。東日本のときのように長くかかる必要はないわけで、そういうふうなことも一つのアイデアではないかと思います。
あのときは、急ぎ大量にということで発注したプレハブ仮設が、後になって追いだき機能をやらなければいけないとかさまざまで追加予算が膨大にかかってしまったという教訓もございました。ですから、それは逆に標準仕様にしていけばいい、そういうふうにやっていけばいいと思うんですね。
ですから、被災自治体あるいはこれに貢献した民間のさまざまな知恵、教訓などを今、本当に活用していくときだと思うんです。
そこで、復興大臣には、まさにそういう点での窓口、イニシアチブを発揮されるということが期待されるなと思うんですけれども、一言お願いしたいと思います。
○高木国務大臣 委員も触れていただきましたけれども、東日本大震災の被災地、発災から現在に至るまで、今回の熊本地震の被災地を含めて、国内外の皆様の温かい御支援をいただいてきたところでございまして、私からも改めて感謝申し上げたいと存じます。
東北の被災三県の自治体におかれましても、自身も大変な状況であるにもかかわらず、五年前の記憶、経験を踏まえて職員の派遣あるいはまた物資の提供や義援金などの支援を実施しているところでございます。
私ども復興庁も、仮設住宅での心身のケア、また新たなまちづくり、なりわいの再生などに経験、ノウハウを有しておりますので、今後の対応状況を見きわめながら必要に応じてこれまでの蓄積してきた知見を生かしていくことで、御指摘の東日本大震災の教訓を引き出して熊本の被災地につなげていく、その役割を果たせればと考えているところでございます。
○高橋(千)委員 よろしくお願いいたします。
さて、今視察の話をいたしましたけれども、そのときに、本委員会として伺ったのは川内村と葛尾の村長さんでありました。この葛尾村が、六月十二日にも避難解除と提示をされております。全村避難の自治体としては、昨年九月の楢葉町に次いで二つ目だと思っております。
十七日、つまり視察の前の日に、三春町の仮設住宅で被災者の方からお話を伺いました。自治会長さんや元村民も含めて十数名の方たちに集まっていただいたんですが、皆さん、村に帰りたいとおっしゃるんです。それはもう皆さんおっしゃいます、たった今とは言わないですけれども。ただ、帰れるかとなると、なかなか難しい。今、準備宿泊で家に泊まろうと思って帰るんですけれども、当然のことながら新聞は届きません、周りじゅう電気が消えて真っ暗だ、とてもじゃないがいられない、いたたまれなくなって帰ってくるんだという方がいらっしゃいました。
村は千五百名程度の人口でした。国民年金と、あとは自給自足で、やはり農業をやっていますので暮らしていけたというんですね。ところが今は、もう農地の半分がフレコンバッグの仮置き場になっています。これを帰るたびに見なきゃいけない、これ自体がつらいし、そして現実に農地がそういう状態ですから食べていけない、こういう訴えが強かったわけです。
こういう実態をどう見るのか。六月は早過ぎるのではないか。どう道筋をつけていくのか。この点について高木大臣と高木副大臣の両方に伺いたいと思います。
○高木国務大臣 お答え申し上げます。
葛尾村内では既に放射線量の低下が確認されておりまして、また、一部復旧していない生活関連施設やサービスが六月上旬までには復旧するめどが立ちました。村民の方々に安心して生活していただく環境が整う見通しが立ったということで、政府として、今般、住民説明会で避難指示解除の時期を六月十二日と御説明させていただいたところでございます。
今後、その住民説明会でいただいた御意見を踏まえて、村と相談した上で最終的な避難指示の解除時期を決定するというふうにいたしているところでございます。
○高木副大臣 今委員御指摘のように、国の方として、六月十二日の葛尾村の避難指示の解除を提示させていただきました。
そもそもこの避難指示の解除、もともとは、本来住んでおられるところを、国が強制的に、ここに住んではいけませんよということで避難指示を出している。そういうような中にあって、今現在、除染も進めて、さらにはインフラの復旧、生活関連のサービスを何とか回復しようということでこれまで努力をしてまいりました。そういった状況の中で、避難指示を継続しなければならない状況でない限り避難指示を解除して、特に、ふるさとに帰りたいと考えている住民の方々が帰還できるようにしていく、これが最も重要であると考えております。
特に、今申し上げましたように、放射線量の低下、除染の進捗、さらに生活に必要なインフラ、生活関連サービスの復旧、これらも徐々に進んでおりますので、そういった意味から、今月の十日の住民説明会において六月十二日の解除ということを提示させていただきました。
なお、葛尾村村長もこれまで、昨年の準備宿泊のスタート以来、ことしの春解除を目指すということで準備を進めてきて、村当局ともさまざまな部分で協議を進めてまいりました。
一方で、住民の皆様方にはさまざまな御意見があるのも承知しております。住民説明会の折には、逆に、提示をしていただいて帰れるということでうれしいといった声もあるのも事実でございますし、そういった部分では一歩ずつ、解除後、これはここで終わりではなくて復興のスタートである、このように私どもは捉えておりますし、昨年、楢葉が解除したときも、そこで住民の皆さん方が全て帰っているかというと、現在は六%という状況でございますが、その後徐々にさまざまな分野で復興が進んでいるという現実もございますので、この復興の第一歩として解除ということを考えてまいりたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 楢葉のときも同じ議論をしたわけなんですね。要するに、強制避難指示をしているから帰りたいという人が帰れないんだということをおっしゃいました。それはわかっております。ですから、帰りたいという人には、準備宿泊をもっと弾力的にやるとか何らかのことができないかということを我々は提案しているんです。
だけれども、やはり、四月十日に説明会をやって六月十二日というのは唐突だというのが大きな見出しに載りましたけれども、そうなるのは当然なんですよね。解除した後、帰る帰らないは自由だけれども、しかし、そこに後からついてくるもの、賠償の問題ですとか、そういうものが一律であるからこそ問題だということをこれまでも指摘してきたわけであります。
そこで、ちょっと話を進めますけれども、実際にインフラ整備、水道などは大丈夫なんだということは確認をいたしました。ですが、その前に非常に大きな壁となっている問題が被災家屋の解体についてなんですね。
資料の一枚目に福島民報の四月十日付をつけておきましたけれども、葛尾村では、申請のあった三百四十六件のうち三月末までに完了したのは四十九件で、まだ一四%にとどまっているわけです。これでは帰還以前の問題ではないか。つまり、うちがないのではなく、うちを解体してから次はどうするという話なのに、そこまでまだできていないという状態なわけですね。
まず環境省に伺いますが、葛尾村は国直轄事業です。どのような場合に家屋の解体を国費で行うのか。そして、葛尾村だけじゃなくて福島の該当するところの全体の進捗状況をあわせてお答えください。
○深見政府参考人 お答え申し上げます。
環境省では、放射性物質汚染対処特措法に基づきまして、対策地域内廃棄物処理の一環として、市町村において半壊以上と判定されました家屋でありまして、かつ所有者から解体申請があった被災家屋について解体撤去を行っております。
その半壊以上と判断する基準でございますけれども、当初は、震災により物理的に半壊以上の被害を受けた家屋を対象としておりましたけれども、市町村からの要望を受けまして、平成二十六年三月に、長期間の避難による家屋の荒廃を加味して半壊以上という判断ができるようにしたところでございます。
全体の家屋解体の進捗状況でございますけれども、対策地域内の全十一市町村における進捗状況として、平成二十八年四月八日時点で解体申請を約八千四百件受け付けておりまして、解体が終了したのは約三五%でございます。ただ、既に五八%については解体工事の公告を行っておるというところでございます。
環境省としましては、解体工事のおくれが帰還の妨げとならないよう、工事発注の迅速化のための体制強化などの措置を講じたところでございまして、また、迅速かつ安全な解体工事の実施に努めることによりまして、今後ともできるだけこの解体事業を加速化してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 まず、全体の進捗状況については資料をいただいていたので、二枚目につけておきました。
半壊以上と最初おっしゃったんですけれども、きのう随分やりとりをしていてなかなかはっきりしなかったわけですね、ただの半壊だけであれば単純に解体というふうにはならないはずだということで議論をしていって、やはりそれは特性があるんだということなんです。
この資料の最後のところにつけておきました。今、平成二十六年の三月に照会があってこのようにしたのだとお答えいただいたんですけれども、復興大臣に対して富岡町がこのように疑義照会を行っているんですね、「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故に伴う荒廃家屋の被害認定事務の実施について」。つまり、原発事故によって帰れないから、その間にイノシシやネズミや大変に荒らされて、到底解体せざるを得ない状況になっているんだ、そこを加味していただきたいがどうかということで、これは明確になった。やはりここをちゃんと踏まえる必要があると思うんですね。
実は、双葉郡の区長さんたちが前に、イノシシなどに踏み荒らされた家の中とか丸々太ったネズミの写真を持って陳情にいらっしゃったことがありました。私自身も二〇一三年の四月に富岡町にまだタイベックを着て入って、この目でそうした事態を見て大変衝撃を受けたんですけれども、住民の方に、これではとても帰る気は起きないべと言われたわけであります。
その後、区長さんたちが言ったことは、解体除染という表現なんですね、解体除染をしてほしいと。だから、除染、部分的にとかではなくて解体することが一番効率的であると。決してそれは家はどうなってもいいという意味ではなくて、現実の実態から見てそういう声が出てきたんです。
だけれども、環境省の方針が決まったのがこの時点、二〇一四年、さらに発災から三年以上たっているときなんですよね。ですから、場所によってはもう既に一度除染してしまっている、そうして二度手間になっている。つまり、一度除染してしまったところを今回解体している、こういう事態も起こっているわけですよ。この事実は否めないと思いますが、お認めいただけますか。
○深見政府参考人 御指摘のとおり、半壊の判断基準に家屋の荒廃を入れるということにつきまして、もちろん、家屋が荒廃するのはある程度の期間がたってからということでございますから、ある程度の期間が必要だったということは確かだろうとは思いますけれども、そのような期間がたった上で半壊基準の見直しをしたということは御指摘のとおりでございます。
また一方で、家屋を所有されている方につきましては、非常に家屋に対する愛着もございますので、解体申請するということについても非常に迷われていらっしゃるということもあるかと思います。そういう被災者のお気持ちに寄り添った形で、こういう事業はぜひとも進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
○高橋(千)委員 愛着がある人たちが、それを見ていられないという思いで申請をしているわけですよ。でも、当時、私が今言った区長さんは、解体除染してほしいと言っても半壊じゃだめだと言われた、そういう経過があって今ここに来ているんだと。それを率直に認めていただきたいというだけの話です。今後は、もっとそこに沿って丁寧に、そして迅速にやっていただきたい。
資料の三枚目、解体撤去工事における入札状況についてという資料をいただきました。
一番下、葛尾村を見ますと、百二十三件あって、四月二十八日に再度公告とある。これは、入札が不調だったためだと承知をしています。また、真ん中にありますけれども、楢葉町も、三百二十一件、三月に再度公告となっておって、これもやはり不調が一旦あるわけですよね。
これは、川内村にみんなで行ったときに言われていましたけれども、一度不調になると二カ月以上かかって、また非常におくれてしまうという大変な声がありました。
福島民報の先ほどの記事にもあるわけですけれども、環境省の入札予定額では落札しても赤字になってしまうと地元業者が敬遠しているというコメントが載っております。
これは、実際、被災者の中からも言われました。値段がとても折り合わない、空っぽの建物をぺっしゃんこにするくらい、そういう見積もりになっている、とてもそれでは、中にいっぱいいろいろなものが詰まっている、電化製品も詰まっている、割に合わないということを現場で言われたとおっしゃっておりました。
また、よくよく聞いて、ああなるほどと思ったんですが、直轄事業なので、WTO政府調達協定によって、中央政府の入札では六億円以上だとこれにひっかかっちゃうわけですよね。ですから、一度調わないともう一回これに沿って書類をやらなくちゃいけない、これでまた手間がかかるんだと。大変なことがあったんだということがよくわかったわけです。
それで、その認識があるかということが一つと、例えばこのペースでいくと葛尾村ではどのくらい時間がかかるのでしょうか。
○深見政府参考人 御指摘のとおり、葛尾村における解体工事発注につきましては、ことし二月に入札結果が不落となったために、現在、再度公告を行っておりまして、今月末にまた開札を行う予定となってございます。
既に御指摘いただきましたとおり、政府調達協定によりまして、一定金額を超える調達を行う場合には、入札の公告期間を原則五十日以上にするということになっておりますし、また、再度公告を行った場合は、二十四日以上の期間をとる必要がございます。
このように入札の期間であるとか入札の不落ということで解体工事の事業者選定に時間を要していることは、私ども十分に認識しておるところでございます。少なくとも私ども行政側の作業によってこういう工事発注がおくれることのないように、できるだけ速やかに解体工事に着手しまして、葛尾村につきましては、今年度内には全ての解体工事を発注済みとするように取り組んでまいりたいというふうに思っておるところでございます。
○高橋(千)委員 今年度内というお答えがありました。
これは急げばいいという話でもないわけなんですよね。本当に、私が六月は早いじゃないかと言ったから急いでやりますというふうな議論になっては非常に困る。百二十三件やっても、実際に申請した数から見たらまだまだ足りないし、これでうまくいくとは必ずしも限らない、そういう事情があるんだということをやはりきちんと踏まえる必要があるわけですよね。解体して、その後再建というところにたどり着くかという問題も、さらにもう一つのハードルがあるなということなんですね。
実は、この家屋の解体の問題をいろいろ問い合わせて話がかみ合わないなと思ったのは、どこに被災家屋の解体をする根拠がありますかといったときに、これは災害ごみと同じカテゴリーで整理をしているわけなんですよね、さっきの一覧表を見ればわかるように。さっき愛着があるとおっしゃったけれども、やはりそこは、もう一段違う視点で議論していく必要があるんじゃないのかなと思っています。
息子さんに十五年前に先立たれたという女性がいらっしゃいました。狭い仮設では御位牌を持っていくことができないために、ただ、葛尾村に置いてきたわけですから、寂しい思いをさせたくないというので、御飯を上げて、水を上げてと何度も通っていたんですね。通っていたからこそ、おうちが比較的手が届いているわけです。それで、夫さんが大工さんなんです。大工さんの夫さんにリフォームをしてもらって、帰還をして住もうと思っていた、ところが、その夫さんも去年亡くなってしまったと。本当に何とも悔しいお話を伺いました。
ですから、やはり、解体してほしいと申し出る人も、今言ったようにリフォームしたいという人も、いろいろな決意をしているということは、そのとおりなんですね。
だけれども、いつまでも時間がかかるので帰る気持ちもなえるし、また、実際、今、現時点では帰る条件が整っていないというのが実態なわけです。だから私は、何度も何度も、帰還ありきではないと指摘をしてきたわけです。
もう一度聞きますが、帰りたいという人の気持ちにはちゃんと応えていく必要がありますけれども、それはあくまでも弾力的な運用にして、ただ、それが一律に、帰還はここと決めた以上はあと一年で賠償も打ち切るよ、支援も打ち切るよというふうなことをしない、やはり実態にちゃんと合わせるというふうにしていただきたい。これは、高木大臣と高木副大臣にもう一度伺います。
○高木国務大臣 先ほど来議論になっておりますけれども、避難指示の解除というものは、本格復興への第一歩ではありますけれども、帰還を強制するものではなくて、実際に帰るか帰らないか、住民それぞれお一人お一人が判断するものだと思います。そういうふうになっております。
こうした被災者の方々の中には、戻りたいと考えている方、あるいは戻らないと考えている方、判断に迷われている方、さまざまな方がいらっしゃるものと承知をしておりまして、その上で、復興庁としては、関係機関と連携して、こうしたさまざまな被災者のお考えに応えるために、早期の帰還を進める地域については、除染、インフラ復旧、あるいは生活関連サービスの再開、また、長期にわたり避難を余儀なくされる地域については、復興公営住宅などを中心とした生活拠点の整備、また、新しい生活を選ぶ方には、必要十分な賠償の支払い、就業、住宅のあっせんなどに全力で取り組んできたところでございます。
今後とも復興庁としては、まさに被災者一人一人に寄り添って、引き続き最大限の支援をしてまいりたいと考えております。
○高木副大臣 委員御指摘のように、解除ありきではないと私たちも思っています。
その上で、今、葛尾の場合には四百十九世帯、千三百六十人が避難されておりまして、千三百六十人分、一人一人皆さんお気持ちは違うと思います。そういった中で、例えば先ほども、帰りたいと思いながら、息子さんが亡くなられて御位牌をというようなお話がありましたけれども、まさにそういう方々に帰っていただくような状況を早くつくっていくというのが私たちの使命であると思います。
そういう中にあって、まず、現在も準備宿泊をされておりますけれども、その方々が帰りたいと、こういう方々がすぐに帰る。準備宿泊の段階では、多くの方がまだ帰っておりませんので真っ暗です。しかし、解除をすると、その数がだんだんふえてきて町ににぎわいが戻ってくるという状況もございます。
あと、先ほど賠償のお話がございました。
精神的賠償につきましては、昨年閣議決定をさせていただいて以降、東電の方も方針を変えて、三十年の三月までは解除にかかわらず精神的損害賠償を支払うということになっておりますので、これが六月に解除されようが、または来年に解除されようが、精神的賠償は同じような額だと思います。
もう一方で、解体した後に住宅を建てなければいけないというときも、住居確保損害という賠償もございます。
そういった中で、これは楢葉の例でございましたが、解体した後に家をつくるときに、業者が、避難指示が解除されていないとやはり危険なんじゃないかという思いでなかなか入ってこないという状況がございました。一方、昨年九月に解除した後に、一般の業者の方々、建築関係の方々が、それならば工事にどんどん入っていこうということで、家屋のリフォーム、さらには建設が進んでいるという現況もございますので、そういったことも鑑みて今回の避難指示の日程の提案をさせていただきました。
あくまでも、やはり住民の方々としっかりとお話し合いをしながら、今、私どもの内閣府の支援チームも、被災者の方々、一軒一軒戸別訪問させていただいて、そういった御意見も、住民説明会だけではなくて伺っておりますので、それを踏まえた上で最終的な決定をさせていただきたいと考えております。
○高橋(千)委員 残念ながら時間が来ました。そういうのを踏まえて、弾力的な運用という言い方をしておりますので、また今後知恵を出し合っていきたいと思っております。
エネ庁に来ていただいたんですが、時間がなくなりました。大変失礼いたしました。
これで終わります。
――資料――
【資料1】「帰還へ環境回復急務」(福島民報2016年4月10日付)
【資料2】国直轄による福島県内市町村毎の災害廃棄物等の処理進捗状況