日本共産党の高橋ちづ子議員は11日の衆院災害対策特別委員会で、東日本大震災の教訓をふまえ、ライフラインの耐震化等についてとりあげました。
古屋圭司防災相は「南海トラフの被害想定では、最大で9割が停電、断水する」と重要性を認めました。
高橋氏が2010年に取り上げた際、敷地内のガス管(灯外内管)のうち更新が必要なものが360万本でしたが、経産省の中村幸一郎大臣官房審議官は11年度で319万本と、更新がすすんでいないことを明らかにしました。4大ガス事業者で未更新のガス管が22・8%に対し、それ以外の事業者で25・4%であると報告。高橋氏が更新の促進を求めると、中村氏は、4大事業者にはガス事業法に基づき更新見通し計画をつくらせており、他の事業者についても把握することを検討すると表明しました。
高橋氏は、個人宅敷地内のガス管が個人資産として更新費用が自己負担になっているからだと指摘。住宅耐震改修、建て替えへの補助策が拡充されたことにふれ、「住宅の耐震改修と一体で、敷地内のガス管取り替えも補助対象にできないのか」とただしました。
井上俊之国交省住宅局長は「耐震上、危険なガス管の取り替えは住宅本体の耐震改修と合わせて行う場合、支援できる」と答えました。
(しんぶん赤旗 2013年4月19日より)
――― 議事録 ――――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
質問に先立ちまして、今冬の大雪並びに週末の爆弾低気圧により犠牲になられた方々、被害者の皆さんに、心からのお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。
本日は、古屋大臣に初めて質問しますので、よろしくお願いいたします。
東日本大震災では、電気、ガス、水道などのライフラインに対する被害も甚大でした。震度五弱以上を観測した地域で都市ガスを供給している一般ガス事業者は七十七ありますが、十五都県、そのうち、供給停止に至った事業者は八県十六事業者、四十六万戸に上ります。
中でも大きいのは仙台市ガス局、約三十六万戸が供給停止に至りました。全国のガス事業者が応援に来ていただいて、約一カ月以上かかったわけですが、復旧を見ることができました。市民からは、あるのが当たり前で空気のような存在だったが、ガスの大切さを感じた、ガスでお湯を沸かしたお風呂に入り、どんな温泉にも負けないくらい気持ちよかったと喜ばれたのであります。
今後、さらに大規模な地震の想定もされる中、ライフラインの耐震化、老朽化対策などの重要性について、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○古屋国務大臣 確かにライフラインの耐震化は重要だと、ごもっともな御指摘だと思います。
過日発表しました南海トラフ巨大地震の被害想定でも、上下水道、電気、ガス等々のライフラインについては、被害が一番大きい地域、これは最悪の状況ということなんですけれども、発災直後に約九割が停電する、あるいは断水、供給停止するという甚大な状況が生じる可能性があるということも発表させていただきました。
一方では、現在の耐震化率、全国の基幹的な水道管が三三%、下水道の主要幹線で三五%ですね。これらのライフラインの管路とか施設の耐震化や老朽化対策、これは重要だというふうに認識をいたしております。
さらには、非常用発電機のための燃料の優先的な確保であるとか、全国からの復旧の応援要員、資機材の確保などの対策の重要性についてもしっかり認識をさせていただいたところでありまして、今後とも、こういった総合的な対策については、関係省庁と緊密な連携をとりながら取り組んでいきたいというふうに思っています。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
やはり、一番大きい被害想定で九割が停電などの影響があるにもかかわらず、まだ耐震化率などが、非常におくれているという認識ではなかったかなと思っております。
そこで、私は平成二十二年、二〇一〇年の三月の本委員会で、ガスと水道の問題について取り上げました。特にきょうはガスの問題にちょっと絞ってお話をしたいと思うんですが、九六年には白ガス管などの腐食劣化対策管の新規の埋設が禁止されました。
これがどういうものかというのは、経産省の広報を皆さんに配っておりますので、「古くなったガス管は、早めにお取り替えください!」ということで、二十年が目安ですよということになっていますが、ちょっとこれはカラーコピーで見にくいですけれども、白ガス管の腐食状況、二十年ではとてもじゃないが腐食が進んでガスが漏れる状況になるというふうなことが、これだけでもわかるかなと思っております。
線が引いてありまして、道路の方はガス事業者の資産だけれども、敷地内はお客様の資産ですというふうに分かれています。ここの部分、需要家が占有する土地と道路との境界線からガスメーターまでの導管、これを灯外内管というわけですけれども、その更新が必要とされるもの、これは三年前の質問では、残存量三百六十万本というのがありました。これが現在どのくらい残っており、つまり、更新されて、残ったものが幾らか、そして、総延長に対する残存割合がどのくらいか、お願いします。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
更新が必要とされる灯外内管についてでございますけれども、現在の残存量は三百十九万本でございます。総延長本数に対する残存割合、二三・七%でございます。
○高橋(千)委員 三百十九万本と今お答えでありました。
さっき私、二十年と言いましたけれども、当然、二十年前からあるものもあるわけですね。
これが本体なんですが、「古くなった「ガス管」は大丈夫!?」と言って、埋設はもうだめですよと言われてから、あと三年で二十年たっちゃうわけなんですね。そういう段階でいながら、まだ三百十九万本が残り、二三・七%残存割合があるというのは、やはり余り進んでいないように思うわけですね。これは非常に深刻ではないか。
それで、大手四大ガス事業者とそれ以外の事業者では違いがあると思うんですけれども、具体的にお答えください。また、その原因はどういうことが考えられるか、お願いします。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
まず、大手の四大ガス事業者でございますけれども、こちらにつきましての残存割合が二二・八%でございます。それから、四大ガス事業者以外の事業者でございますけれども、二五・四%ということでございまして、その二分類を含めたトータルとしてが二三・七%という形で先ほど申し上げた数字でございます。
これにつきまして、その進捗状況について差が出てきているということでございますけれども、四大ガス事業者の方につきましては、その対策の強化と同時に率先して取り組みを進めてきたということでございまして、最近の進捗状況というものが、四大ガス事業者以外と比べまして若干低下をしてきているということはございます。これは、具体的には、対策が困難な箇所が残ってきているというところでございます。
一方で、四大ガス事業者以外のところでございますけれども、若干、全体に比べましてまだ残存率が高うございますけれども、最近におきます取り組みというのはやや進んできているという状況でございます。これは、四大ガス事業者の取り組みというものが業界全体に浸透してきた結果ということでございまして、その結果として、その他の事業者についての取り組みが進展してきているということでございます。
このような状況も踏まえまして、議員御指摘のような形で、残存配管というのをできる限り少なくしていくということが重要でございますので、現在、四大ガス事業者については将来の更新の見通しという計画をつくらせてございますけれども、四大ガス事業者以外の事業者についても、将来の更新の見通しを把握するということを検討してまいりたいと思ってございます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
今お答えがあったように、四大ガスは二二・八三%、その他が二五・四%で差がある。しかし、さっきお話ししたように、震災で大きなダメージを受けた仙台市ガスはまだ三三%残っております。東北ガスでは四一・三%ということで、この乖離を何とか縮めていきたいということで、今お答えがあったように、これまではやはりガス事業法に基づく報告などというのが四大ガスについてはきちっとされていたわけですけれども、それ以外の事業者についても更新の見通しを求める予定だ、考えているということだったので、やはり報告をしていく、あるいは計画を持っていくということでぜひ進めていくということをお願いしたいなと思っています。
そこで、灯外内管の更新を進めるためのガス導管劣化検査等支援事業というのがあります。これはもともと、対象は公共性のある建物である、あるいは検査の費用だけで交換費用ではないということで、非常に不十分だという指摘をしてきたことがあるんですが、予算も九億九千万ということで余り大したことはないんですが、ことしはさらにそれが三億五千万というふうに減らされているのはなぜでしょうか。
○糟谷政府参考人 ガス導管劣化検査等支援事業でございますけれども、検査のための土木工事等に限定をして補助をするという制度でございます。
平成二十二年度にできまして、二十二年度、二十三年度、二年とも執行率が四割を下回っております。つまり、予算額の六割以上が不用となっておりまして、二十四年度の決算はまだ出ておりませんけれども、この傾向は余り変わっておりませんで、その中で、予算の有効な活用という観点から、二十五年度予算案では三・五億円を計上させていただいているところでございます。
○高橋(千)委員 要するに、今おっしゃった、四割しか執行率がなくて残っている。それはやはり、最初に言ったように、中身自体が不十分ではないかということがあるわけです。それと同時に、対象が限られている。
さっき言ったパンフレットで「古くなった「ガス管」は大丈夫!?」と言っておきながら、今皆さんに配ったこの資料を見ると、「ご存じですか?」「敷地内の「ガス管」はあなたの資産です。」ということで「交換費用はお客さまのご負担になります。」ということになるわけです。
だから、古くなったよ、大変だよと言われても、これは全部あなたの資産だから、あなたの責任でやりなさいと言われたら、それは誰もちゅうちょするのは当たり前で、これから先、余り進む見通しがないなというふうに思うんです。
そこで、ちょっと時間の節約で二問続けて伺います。
一般家庭に支援がないのが問題だと思うんです。そこで、一般家庭の敷地内のガス管交換の必要性について、ガス事業者から情報提供したり周知徹底するということはどのようになっているのか。
それから、もともとは、予算は本当はあったんですよ。経年埋設内管対策補助金という事業、三十四億円ございました。これが事業仕分けで平成二十二年に廃止をされたんです。だから、個人負担になっちゃうのでこれ以上進まないということなんですが、何らかの対策をそろそろやるべきではないでしょうか。お願いします。
○平大臣政務官 お答え申し上げます。
まずは一問目でございますが、ガス事業者は関係法令に基づく法定検査として、一般家庭の敷地内のガス管、いわゆる灯外内管について、原則四十カ月、三年四カ月でございますが、それに一回の頻度でガス漏れがないかの検査をすることになっております。
この法定検査の結果は、当然、当該一般家庭、需要家に通知をされ、もしガス漏れなどの異常が認められた場合にはガス管の交換の必要性があると通知をしているところであります。
また、経産省としても、先ほど委員お配りいただいたパンフレット等、需要家の保安意識を高めるための広報を行って、ガス管の交換の必要性について周知をしているところでございます。
御指摘いただいた、平成十五年度にできました経年埋設内管対策補助事業というのがございます。こちらは、経年内管の交換、修繕を進めてまいりました。また、その対応も、制度創設当初から徐々に広げてきておりまして、大規模地下街やショッピングセンターのみが対象でありましたが、集合住宅まで対象を拡大したところであります。
しかしながら、民主党時代に、当時の事業仕分けで仕分けをされまして、現在は、需要家の資産である材料費、切断費、溶接工事費は補助対象とせず、経年ガス管の掘り起こし等の土木工事等を補助することとしております。
しかしながら、全体的な、手当ての必要なガス管自体は右肩下がりで減ってきておりますので、経産省といたしましては、これらの今ある対策を着実に実施して、その進捗状況や事故の発生状況を確認しつつ、必要な対策を検討してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 要するに、やらないということですよね。今、民主党という言葉にすごく力が入ったような気がしますが、やはり、政権がかわったんですから、思い切ってやってくださったらいいのかなと思うんですね。
結局、さっきちょっとおっしゃらなかったんですけれども、最初紹介した事業、検査の方の事業が執行率が低いというのは、ある程度のところはもうほとんどできている、残ったところはお金があってもなかなかやらないだろうというふうな説明があったんです。そうすると、これ以上進めるには、やはり個人のお宅とセットじゃなきゃだめじゃないのということが私の問題意識だったんですね。
それで、ちょっときょう国土交通省にも来ていただいております。
今国会に、国交省所管で建築物の耐震改修の促進に関する法律一部改正が提出されております。また、二〇一二年度補正並びに来年度予算案の中でも、住宅の改修や建てかえに対する緊急支援を拡充されていると思います。その内容を簡潔にお願いしたいのと、上物の改修をやらなきゃいけない、耐震化しなきゃいけないというのだったら、一体でその下の敷地内のガス管取りかえ、これを補助対象にすればいいんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のように、地震災害から国民の生命財産を守るために、住宅等建築物の耐震化を促進するため、いろいろな施策を講じてまいりました。
これからの取り組みでございますけれども、今国会に耐震改修法の一部改正案を出させていただいております。主な内容は、大規模な店舗とか旅館のような不特定多数の方が使われる建物について耐震診断を義務化するというようなことでございます。これに対応しまして、本年度予算案の中で、従来の耐震改修、それから診断及び改修に対する補助率を上げるための予算措置を盛り込ませていただいています。
また、特に住宅に関しましては、二十四年度の補正予算の中で、住宅の耐震改修、これは建てかえも含むということでございますけれども、通常の補助率、これは通常ですと改修費に対して二三%の補助でございますが、別に三十万円、国と地方で上乗せをするという補助制度を拡充させていただきまして、これは二十五年度末までの時間限定措置ということでございますけれども、措置をさせていただいております。
最後に、御指摘のガス管の取りかえでございますけれども、耐震上非常に危険な、古くなったガス管の取りかえにつきましては、住宅本体の耐震改修とあわせて行う場合につきましては支援することができるというふうに考えております。
今後とも、これらの周知等を図ってまいりたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。きょうは、これを初めて答弁をいただきました。
やはり、全国の自治体で、ほとんど全てに近い自治体が、いろいろな種類はあるんですけれども、住宅リフォーム助成制度で耐震化とセットということで補助制度が進んできまして、補助額というのは上限が十万とか非常に小さいんですけれども、それでも、百万かかる工事費なんだけれども、やはり思い切ってこの機会に改修をするという方が多くて、それがまた経済効果を生んでいるということを、私たち、全国各地で経験しているんです。そういうのを踏まえて、やはり国交省が今回、少し拡充をしていただいたのかなと思っているんですね。だから、それをぜひ、まず周知していただいて、やっていただきたいということを要望しておきます。
それで、きょうは大臣に最後の質問をお願いするんですけれども、今聞いていただいたように、あわせて行うことができます。ただ、規模はやはり、地下のガス管を取りかえるということでは、かなりの事業費がやはりかかります。そういう点で、これはきちんと位置づけて促進していくということが大事でないかなと思うんですね。
三年前にこれを質問したときは、中井大臣でございました。災害対策の面で何かお手伝いできることがあるかどうか検討してまいりたいというふうな答弁をしているんですね。
それで、古屋大臣は国土強靱化担当大臣でもありますし、広報番組でも、また先ほどの樋口委員に対する答弁でも、国土強靱化というのは、しなやかな国土をつくるんだ、イチロー的な国家を目指していくとたった今おっしゃられて、それはインナーマッスルをしっかり鍛えた国や地域や企業や経済社会をつくっていくとおっしゃる。
大変おもしろい表現だと思うんです。確かにインナーマッスルは大事だなと思うんですね。建物を頑丈につくっても、結局その土台が腐っているんじゃ意味がない。そういう意味でも、ここを思い切って力を入れていく必要があると思うんですが、一言伺いたいと思います。
○古屋国務大臣 私も今住宅局長の答弁を聞いて、住宅と一緒にやるとガス管の方も補助の対象になり得るというのは初めて聞きまして、勉強させていただきました。
一方では、上下水道、ガスも含めて、電気、やはりこういうインフララインというのは非常に大切ですから、こういったものは、特に公益性の高い管路だとか施設は、今公費により耐震化を順次進めています。今後もそういった形で進めていきたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 引き続いてよろしくお願いいたします。ありがとうございました。