国会質問

質問日:2015年 8月 28日 第189国会 厚生労働委員会

確定拠出年金法等一部改正案に対する反対討論

――議事録――

○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、確定拠出年金法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 確定拠出年金は、確定給付企業年金と並んで企業年金制度の中心であります。二〇〇〇年に導入された際、我が党は、賃金の後払いである企業年金を加入者の自己責任での運用に委ね老後の所得を不安定にすること、企業の運用責任と拠出負担を軽減する一方、国民資産を金融市場に動員するものであることなどの問題点を指摘して反対しました。今回の改定は、これらをさらに拡大するものにほかなりません。
 反対する第一の理由は、本法案が、公的年金の給付削減を前提に、国民の自助努力による老後所得の確保を一層進めるものだからです。
 塩崎大臣はたびたび、年金だけで老後生活を賄うという考えではないと発言していますが、国民年金法第一条には、憲法二十五条第二項の理念に基づき、老齢や障害等の場合にも生活の安定を図ることが国民年金制度の目的として明記されています。
 昨年は消費税増税の影響で年金が実質減となり、ことし四月からはマクロ経済スライドが初めて発動されました。さらに、支給開始年齢の引き上げやデフレ下のマクロ経済スライドの適用などを検討しながら、国民には確定拠出年金の拡大で自助努力を迫ることは、到底容認できません。
 第二に、確定拠出年金拡大の大きな狙いの一つに、国民の資産を動員して株価のつり上げを中心とした景気対策を進めることがあるということです。
 日本再興戦略二〇一四では、「金融・資本市場の活性化」として、確定拠出年金の拡大について、「豊富な家計資産が成長マネーに向かう循環の確立」と位置づけています。本法案では、現在二十一万人が加入する個人型確定拠出年金を全ての公的年金加入者を対象とするなど、今でも資産残高百兆円に迫る企業年金等をさらに拡大し、多額の国民資産を市場に流し込むものです。
 第三に、加入者は提供される運用商品の中から運用の指図を行うため、元本確保型商品の提供義務を削除することは、加入者をより高いリスクにさらすことになるからです。
 なお、民主党の修正案は、老後所得を自己責任で確保させる確定拠出年金を拡大するという政府案の根幹を容認するものであり、反対であります。
 最後に、高齢者の消費動向は、景気指標にとっても重要な意味を持ちます。民間銀行のレポートでも、昨年度の個人消費が勤労者で減少率〇・一%であったのに対し、高齢無職世帯は〇・九%も落ち込んでいることに注目しています。公的年金を縮小して、不足分は自己責任の運用で補えというのは、老後の支えを不安定にし、景気対策としても誤っているのです。
 雇用の安定と最低賃金の抜本引き上げ、最低保障年金など安心の公的年金制度こそ必要であることを強く指摘し、討論を終わります。

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