避難者支援を打ち切るな
新福島復興指針で高橋氏
日本共産党の高橋千鶴子議員は6日の衆院震災復興特別委員会で、子ども・被災者支援法や新福島復興指針について、政府の姿勢を追及しました。
子ども・被災者支援法は一定の放射線量の基準を上回る地域を支援対象地域と規定し、住民や子どもの健康調査や医療支援などを国に義務付けるもの。2012年6月に超党派の議員立法で成立し、13年10月に基本方針が閣議決定され、現在、基本方針の改定作業が進められています。
高橋氏は、復興庁が公表した基本方針の改定案には「避難指示区域以外の地域から避難する状況にはな(い)」と明記されていることをあげ、「これは国による(支援の)打ち切り宣言といえるものだ」と撤回を要求しました。
竹下亘復興相は「原子力規制委員会が科学的に判断したもので撤回する必要はない」と開き直りました。復興庁の浜田昌良副大臣は、原子力規制委員会の田中俊一委員長宛てに「専門家から改めて、支援対象地域の線量は、現在、既に避難するような状況ではない旨の見解を確認いただきたい」との文書(6月24日)を出し、その回答を「科学的根拠」としています。高橋氏は、規制委の田中委員長からの返事は翌日(25日)に出され「科学的になんら新しい知見はない」と指摘。「(支援打ち切りの)結論ありきで(専門家の)お墨付きを求めたにすぎない」と追及しました。
浜田副大臣は「翌日なのは確かだが、もう少し前から相談していた」と答弁。高橋氏は「出来レースだ」と批判しました。
(しんぶん赤旗2015年8月10日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
本日は、広島の原爆投下から七十年になります。この場をおかりしまして、心から原爆被害者の皆様に哀悼の意を表するとともに、せっかくの機会ですので、一点質問させていただきたいと思います。
あの広島と長崎の原爆で、一瞬にして二十数万というとうとい命が奪われました。昨年四月現在で、被爆者健康手帳保持者は十八万三千五百十九名。全国全ての都道府県に被爆者がいらっしゃいます。資料の三枚目にその内訳をつけておきました。
また、過去最大時、手帳保持者のピーク時がいつだったかということでありますと、一九八〇年、三十七万二千二百六十四名までいたそうであります。そうすると、この三十五年間だけでも十八万八千七百四十五人がお亡くなりになった、平均年齢は八十歳を超えているという現状です。
そこで、きょうは橋本政務官においでいただいていますが、今なお被爆者手帳の申請をする方、あるいは原爆症の申請をする方も多いです。その実態と意味について認識を伺いたい。
また、資料の一枚目、きのうの東京新聞ですが、来年度の被爆者援護策を拡充する方向であると報じられました。けさの広島の式典でも総理が一言触れておったと思います。どのような方向を持っているのか、伺いたいと思います。
○橋本大臣政務官 まず、御答弁申し上げます前に、七十年前の本日、広島に原子爆弾が投下をされました。原子爆弾の犠牲になられた方々のみたまに対し改めて哀悼の誠をささげるとともに、今もなお被爆による後遺症に苦しんでおられる皆様に心からお見舞いを申し上げます。
さて、御質問への御答弁ですけれども、まず、これは資料もお配りをいただいているかとも思うんですが、被爆者健康手帳の昨年度の新規申請者数は、全国で五百八十二名となっております。また、昨年度の原爆症の新規申請者数は、千七百七十二名でございます。こうした実態でございます。
投下から七十年を経て、今なおそうした形で新たな申請をいただく方がおられるというのは、その被爆された方々が高齢化をし、さまざまな病気を抱えられるお年になっておられまして、そのことが一つの申請の契機になっているのではないかなというふうに認識をしているところでございます。
被爆者の方々への御支援は、放射線による健康被害に着目をして行っているものでございまして、これまで、科学的知見を踏まえつつ、できる限りの支援を行ってきたところでございます。
こうした中で、被爆から七十年がたちました。被爆された方々が、先ほど御指摘をいただきましたように、ことし初めて平均年齢が八十歳を超えたという段階、現状でもございます。そうしたことを踏まえまして、これまでの取り組みに加え、原爆症認定の一層の迅速化を図ります。これまでは約十一カ月かかっておりましたものを、原則六カ月以内に審査を行うようにしてまいる所存であります。
また、そのほか、被爆者団体等から寄せられている御要望等を踏まえまして、黒い雨を体験された方々に健康相談を行っておりますが、より相談をしていただきやすくなるように、外出困難な方への、戸別に御訪問してそうした相談を受けるというようなことを本年秋から開始するほか、新たに相談会場までの交通費の助成制度の創設をすること。そして、被爆二世の方々の御不安に対応するため、現行の健康増進法に基づき市町村が行うがん検診では対象となっていない多発性骨髄腫の検査を新たに検診項目に追加することを行いたいと思っておりまして、現在、政府部内での調整が必要でございますので、そうした方向で検討を進めてまいりたい。
そのことも、きょう、被爆者からの要望を聞く会というのが式典の後ございまして、塩崎厚労大臣から御発言があったところでございます。
以上です。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
七十年たっても被爆の被害、影響というのがなくなっていないのだということを本当に改めて感じると思います。
資料の二枚目に、今御紹介いただいた申請の数、また却下の数もあるんですけれども、そうした近年の分をつけておきました。
それで、今政務官がお話しされたように、実は今までずっと被爆していたことを隠していた方もいっぱいいらっしゃると思うんですね。それが、やはり経済的困難や高齢など、そうした事情で今になって申請をするという方もいらっしゃるんだということ、そのこと自体も非常に重く受けとめたいなと思っております。
それで、今の資料の二枚目にあるように、例えば二十年の原爆症認定は、八千五百八十が申請されて、認定が二千九百十九、これは近年の中でも非常に高い数字なのは、このときに、新しい審査の方針ということで、認定制度の見直しがありました。その後、二十五年度にももう一度見直しをしているんですけれども、それでも却下の数が、二十五年度で五百六十三、二十六年度で六百八十九、この間のトータルで一万一千百三十というように、却下がまだまだあるということを非常に悔しく思っております。要するに、因果関係が証明できないということ。
それで、政府が、被爆二世や黒い雨被害者への支援を強めようということ、審査を早めよう、今そういう方向であるということは、被団協の皆さんが強く要望していたことでもあり、歓迎をしたいと思っております。これ以上同じ被爆者が線引きされることのないように、検査の見直しをさらに頑張っていただきたいことと、被爆者援護法の改正ということをぜひ踏み込んでいきたい、これは要望したいと思っております。
それで、放射線被曝による健康への影響というのは、国際的にはICRPの、百ミリシーベルト以上ならば有意な影響が見られる、これはあくまでもはっきりわかるのが百ミリシーベルト以上ということであって、それ以下がないということを言っているのではないと思います。晩発性、内部被曝、長期間の低線量被曝の影響など、はっきりわからないというだけで、影響がやはり疑われるということがこの間もずっと研究をされております。
私自身は、二〇〇六年の厚生労働委員会で、広島、長崎の被爆の評価が、今言ったように認定制度も見直しされてきているわけですけれども、やはり過小評価していることが、唯一の被爆国であって唯一のデータなわけですから、そういう点でも、世界の基準に過小評価という影響を与えているではないかということを指摘してきたことがございます。
そのときはまだ、福島の事故が、あれほど大きな事故が起こるということは想像していなかったわけですけれども、現実に二〇一一年にあの事故が起き、この復興特別委員会としてチェルノブイリに視察に行きました。あのときに、クリアな影響、こうであればこうだという、みんなが望むほどの明確なデータがいただけませんでした。
だけれども、強調されたことは、二十五年たっても国立の医療機関がずっと検診を続け、甲状腺だけではなく、さまざまな状況があるんだということ、だから、健康調査を続けることの意味、それが一番強調されたことではなかったかなと思っています。
そこで、質問は、子ども・被災者支援法の基本方針、改定作業中であります。健康調査は、やはり継続して行うことが必要であり、国の責任で行うべきだと思います。福島県外の方、また十八歳以上の方でも、希望者には検査を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○浜田副大臣 放射線の健康影響は環境省が主管でございますが、あえて復興庁にという御質問でございますので、答えさせていただきます。
放射線による健康への影響に関する調査や医療に関する施策のあり方については、環境省において専門家会議を開催し、昨年十二月末に中間取りまとめが行われたところでございます。
これを踏まえた取り組みにつきましては、関係省庁の連携のもと、適切に対応されるものと考えております。
なお、基本方針改定案におきましては、県民健康管理調査、甲状腺検査の充実やリスクコミュニケーション事業の継続、充実等に取り組む旨、盛り込んでいるところでございます。
○高橋(千)委員 あえて復興庁に質問をいたしましたので。
やはり今でも、私たち、子ども・被災者支援法をつくったとき、今いらっしゃる金子恵美筆頭理事が私の質問に対して答弁をしてくださる、そういう経過がございました。その後、議連をつくり、一緒に活動をしてきたわけですけれども、福島以外の方たちでも、やはり心配だということに応えたいということで、自主的に健康調査をやったりしているわけですね。やはりその中で、どんなに少ないといっても、出るわけですよね、影響が。それをきちんと続けていきたいという、その声に応えていただきたいと思いますので、重ねて要望したいと思っております。
そこで、先ほど来議論になっております、避難する状況にはない、これを書き込むこと、これは、私はやはり、明記することはやめるべきだと思います。これは大臣に伺います。
○竹下国務大臣 書き込むべきではないとはいいましても、規制庁からの正式な答えの中で、避難する状況にはない、科学的には避難する状況にはないという答えが出てきております。それは、あえて否定するものではないと私は思います。
○高橋(千)委員 規制庁からの返事を唯一の根拠にしていらっしゃるなと改めて思って驚いております。
先ほど、本村委員の質問の中でも明らかになっているわけですね。資料の四枚目につけておきました。六月二十四日に浜田副大臣が、原子力規制委員会委員長の田中委員長に宛てて手紙を書いている。これは、基本的には、国の方針はこうしたいということをもう書いているわけですよね。
本来であれば、今回の改定において縮小・廃止を打ち出すことも考えられるが、社会的影響が大きいため困難であるものの、少なくとも、福島県による自主避難者に対する応急仮設住宅の提供の終了を明記するとともに、科学的には、支援対象地域は縮小・廃止すべき状況であることの確認をしておきたい。
ついては、専門家から改めて、支援対象地域の線量は、現在、既に避難するような状況ではない旨の見解を確認いただきたいと考えている。
つまり、結論はもう国の中で決まっていて、それをお墨つきを下さいと言っているのと同じですよね。
これはどういう性格のものなのか。大体、それに、この文書に法的根拠があるのか。そのことについて副大臣に伺います。
○浜田副大臣 この文書につきましては、子ども・被災者支援法の支援対象地域というのが、いわゆる避難指示の二十ミリシーベルト以下であっても、一定の線量を超える地域と書いてありますね。線量だけで決まるという定義になっているんです、法律上。かつ、附則の二条で、それを毎年線量の調査に応じて見直すと書いてあるんですよ。ということは、線量自身は大幅に下がるのは、物理減衰もありますし、除染もやっていますから、明確なことなんです。これは二年前も、基本方針をつくるときに相当我々も悩みまして、いわゆる一定の線量という特定の数字は置けないんだけれども、線量はどんどん下がっているというのは客観的事実なんです。そうすれば、その数字はどの数字を置いたとしても、支援対象地域は縮小または撤廃するというのは法律上のやはり考え方だと思っています。
そのことを書いた上で、では、どの線量であれば支援対象地域というのは健康不安を感じないんだろうか。つまり、この子ども・被災者支援法というのは自主避難者の方だけを支援する法律じゃなくて、むしろ法律の書いてある順番は、支援対象地域にお住まいになっている方々が最初に書いてあって、その次にそこから移動して生活する方、そしてそこから戻る方、こういう順番に書いてあるんですね。今でも県外避難をされている方々は約二万人ですけれども、むしろこの支援対象地域にお住まいになっている方々、百数十万人を超えている方々への安心も得ていくことが我々政府の役割だと思っています。
そういうことから、中立的な機関であります原子力規制委員会というのはやはり専門性が一番ありますので、復興庁が、単なる政策判断ではなくて、専門的知見を求めたものでございます。
○高橋(千)委員 ちょっと突っ込みどころが満載で、正直困っているんですが。
私がさっき紹介した金子委員に質問した趣旨は、実はそのことだったんですよね。つまり、自主避難者の皆さんが強い要望を出されて、それを受けたいという気持ちがまず私たちにはありました。それと同時に、そこだけじゃないよ、福島に残る人も含めて、そして、福島に極めて近い、そして線量も高い人もいる、そういうみんなの不安に応えるという趣旨でつくるんだよねということを確認したところから始まったんです。基準を書けなかった、だけれども、基準という言い方をしたわけですよね。書けなかった、だけれどもそれは一ミリを目指すよねということを何度も質問の中で確認をしながら、それを補う形で議員連盟をやってきたわけです。
それを、基本方針をつくるときに悩んだとおっしゃいましたけれども、悩んだ形で、結局出てきたのがこれであれば、支援地域ということを書く形であれば、すぐにでもできたよと私は思っています。基準があるから決められないから方針をつくれないんだと言いながら、二年も待たせて、結局出てきたのがこれかと、あのとき私たちは本当に怒りに思いました。
そのことを重ねて指摘しておいて、質問には答えていないんですね。つまり、この田中委員長に出した文書というものはどれだけの法的拘束力というんですか、要するに、単なる個人的なお手紙ですか、それとも、国はこういう形でいつも規制委員会にお手紙を出してお墨つきをもらうということは普通にやっていることだという考え方ですか。
○浜田副大臣 私個人の手紙ということではなくて、やはり復興庁から原子力規制委員会、規制庁への事務連絡、そして事務連絡が返ってくるというものだと思っております。国がいろいろな施策決定をする間においては、省庁間でいろいろな話し合いも行われますし、その間においては、こういう文書間で問い合わせたりすることは日常的に行われることだと思っております。
あわせて、今回はあくまで、文書にも書いてありますけれども、子ども・被災者支援法の基本方針を改定するためにその知見をいただいたというところでございます。
○高橋(千)委員 しかし、そう言いながら、知見をいただいたと言いながら、返事は翌日に返ってきているんですね。だから、副大臣から知見を下さいと言われて、何か新しい作業をしたわけじゃないんですよ。そうでしょう。翌日に返事が返ってきているから、もう今までやられているモニタリングのデータを示しただけじゃないですか。欲しいと言っている結論をくれただけなんです。これで、大臣が先ほど言うように、規制庁が言ったんだからというふうなことになるわけないでしょう。新しい知見は何一つないですよ。違いますか。
○浜田副大臣 日付は確かに翌日付になっていますけれども、規制庁とのやりとりはこの数カ月前から、支援対象地域をどうするのかという議論はずっと続けておりました。私自身はこの文書を見たのはもっと後なんですけれども、回答を見たのはこの日付じゃなくて後なんですが、そういう意味では、やりとりはずっとしていたわけでありまして、単なる一日でやったというわけじゃありません。
また、各種のデータというのは、我々は福島や東京の説明会でも配付をしておりますけれども、空間線量のデータから推計されるシーベルトのデータだけじゃなくて、ガラスバッジのデータ、実効線量ですね。特に、規制庁、規制委員会からは、空間線量からの推計というのはどうしても過大に出る、大体三倍ぐらいに大きく出るというのが、南相馬市の調査であったりとか、また、伊達市のいわゆるガラスバッジと空間線量からの推計値の結果でもありますので、よりガラスバッジのデータを重視すべきだという意見もいただきました。
そういうデータであったり、それは外部被曝のデータでありますけれども、内部被曝についてはホール・ボディー・カウンターのデータ、また、実際に食品検査が福島でやられておりますので、それで基準値超えがどれぐらいになっているのか、そういうデータも踏まえて総合的にやっているわけでございます。
そういう意味では、我々としては、十分な検討が規制庁との間でなされていると思っております。
○高橋(千)委員 だったら、できレースだということなんですよ。そうでしょう。だって、今おっしゃったようなデータというのは、これまでも公表されてきているんです。関心を持っている被災者はみんな見ていますよ。それをまとめただけじゃないですか。
私が言いたいのは、そういうデータを並べて、国が言いたいことを言ってもらう、それを根拠にして避難する状況にはないという言葉を書くことが、結局、被災者に対して打ち切り宣言をしたのと同じなんだということを言いたいわけです。
それで、そこはもう指摘にとどめて次に行きますけれども、資料の次のページをめくってください。これは毎日新聞の八月一日の記事です。
楢葉町、九月五日に、これは一カ月延期をしたわけですけれども、避難解除をするということに決まっているわけですけれども、解除後に町内の学校への通学を希望する小中学生がどのくらいいるかというアンケートで、就学対象者の一割未満という結果だったと。複雑な思いである、これだけ戻ってくれるのかという思いと、こんなに減ってしまうのかという教育長の言葉が載っておりまして、それはよくわかるなと思って見たわけですけれども。
この記事を見ますと、学校再開自体は避難解除してから一年半おくらせる、その間どうするかということで、町内から仮校舎である三十キロ南のいわき市までスクールバスを出すと。そうすると、学校に戻らないと言っているのに、避難解除されたら保護者と子供が帰ってきて、いわき市の仮設に通うんだろうかというのは、ちょっと想像できないなというふうに正直思いました。
今でも意向調査で、すぐに戻るというのは九・六%、条件が整えば戻るというのは三六・一%、今はまだ判断できない、戻らないが合わせて五三・四%にもなっています。気持ちはあるけれどもまだ戻らない、帰れないという方、やはりちゃんとそのことは受けとめて支援も当然していく必要があると思いますが、どのように考えていらっしゃるでしょう。
○竹下国務大臣 楢葉は九月の五日に解除をさせていただくということを原災本部の方で決定いただきまして、今その方向に向かっていろいろなことが動いております。帰りたいなと思っている人に一日も早く帰っていただく環境をつくることが我々の仕事でございます。そして、帰りたくないな、あるいは今はまだ迷っているよという方、今、楢葉は、大半、一番多くの人たちがいわきにいらっしゃいますので、あのときに、九月五日を決めた記者会見の直後に高木副大臣はそのままその足でいわきへ行って、いわきの市長に会って、楢葉から避難している方たちの思いはさまざまである、帰りたいという方もいるけれども、帰りたくない、あるいは迷っているという人がたくさんいわきにいるので、ちゃんといわきで引き続き対応してくださいねというお話もそこでして来ていただいております。
楢葉の問題についてはまだまだやらなければならないことがたくさんあります。ただ、町長も言っていますように、子供たちが帰らないとやはり元気が出ないな、こう町長も言っていますので、子供たちが帰れるような環境を一日も早くつくり上げていかなきゃならぬ、こう思っております。
○高橋(千)委員 その高木副大臣が記者会見をして、いわきに行く前に、記者会見の後に何をおっしゃったかといいますと、木戸ダムの湖底の放射線量がまだあることに対して住民が根強く不安を持っている、それに対して、安心は心の問題、こういう言い方をしたわけですね。それを受けて、帰還に向け住宅再建を終えた六十代の男性は、帰る気持ちがうせる、こう言ったそうです。
ですから、帰ろうと思っていた人でさえも、心の問題だ、心配するなと言ってしまえば、それは国に対してやはり信頼できないという思いになっちゃうわけですよ。それをあえて指摘したいなと思っております。
ただ、私は、この木戸ダムの問題だって、常時観測する体制を楢葉で初めてやります、水道の不安に応えますときのうおっしゃっていました。ですから、頑張っていることは認めますよ。わかっている。だからこそ、やはりそういう住民の気持ちにちゃんと向き合ってもらいたい。
新指針では、今度は、もう二〇一七年の三月までには帰還困難区域を除く地域は避難指示を解除するということを言っているわけですよね。だから、そこに向かって集中して頑張るということと、だけれども、一律に解除しますと決めちゃうこととは全然意味が違うわけです。国が自主避難者をつくるわけですよね。もう国が、今余儀なくされている人たちは、帰るかどうかは別として、解除するということによって自主避難にされてしまう、この意味は非常に重いんだということは、私ずっと言い続けております。
時間が来たので終わりますが、既に解除された地域でも帰還が進んでいないということを踏まえて、やはりこの考え方は柔軟に対応すべきだと指摘をして、終わります。
――資料――
【資料1】「原爆症6カ月以内に審査/被爆者援護へ迅速化」(東京新聞2015年8月5日付)
【資料2】被爆者健康手帳にかかる関係データ、原爆症認定にかかる申請・処分件数
【資料3】被爆者健康手帳保持者都道府県別内訳(2014年度末現在)
【資料4】浜田副大臣から原子力規制委員長への文書、支援対象地域に関する原子力規制庁の見解