国会質問

質問日:2013年 6月 12日 第183国会 厚生労働委員会

精神保健福祉法改定案に対する反対討論

 衆院厚生労働委員会で12日、障害者雇用促進法改正案が全会一致で、精神保健福祉法改定案が賛成多数で可決されました。
 日本共産党は、精神保健福祉法改定案について反対。高橋ちづ子議員は反対討論で、医療保護入院の同意者を家族等に広げたことは「安易な保護入院を増やし、入院の長期化など、現行制度の弊害を温存するものだ」と指摘しました。
 精神科病床の再編によって長期在院者に対する人員配置が精神科特例よりも後退する可能性があると述べ、一般病院より低い人員配置と診療報酬の抜本見直しこそ必要だと主張しました。
 高橋氏は「家族に依存した医療・福祉のあり方を抜本的に変え、障害当事者を権利主体として、地域、社会で支える仕組みが必要だ」と主張し、地域精神保健医療、福祉、住まい、働く場の確保などの抜本的拡充を求めました。
(しんぶん赤旗 2013年6月23日より)

 

―― 議事録 ――――――――――――――――――――――――

 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました精神保健及び精神障害者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 精神保健福祉法改正案は、保護者制度という一九〇〇年制定の精神病者監護法の残滓を廃止するとともに、障害当事者の権利制限にかかわる重大な問題を含むものです。一方、障害者雇用促進法案は、障害者権利条約の批准を見据えた改正であり、それぞれに異なる課題を抱えた法案です。それを一括で、しかも短時間の審議で採決を行うことに強く抗議をするものです。
 以下、法案に反対する主な理由を述べます。
 本法案は、医療保護入院の同意者を家族等に広げ、要件を緩和する一方で、権利擁護措置の導入は見送りました。これは、安易な保護入院をふやし、入院の長期化など、現行制度の弊害を温存するものです。
 保護者制度は、障害当事者の尊厳を軽んじ、精神障害者の監督、医療保障、生活支援など、専門家でさえ困難な課題を家族に課してきたもので、廃止は当然です。しかし、家族同意の規定により、家族に負わされた問題の解消はまたも遠のいたと言わざるを得ません。
 厚労省が設置した入院制度に関する検討会のメンバー十一名が、検討会の提言が本法案に反映されていないと抗議の声を上げています。「家族の負担とその非合理性はまったく変わっておらず、」「その負担を負う者は拡張される」、「完全な逆コースであり、現在の精神医療福祉の矛盾をさらに拡大する」とする批判を厳しく受けとめるべきです。
 また、精神病床の再編により、長期在院者に対する人員配置が精神科特例よりも後退する可能性があることも指摘しなければなりません。現在の長期在院者は、国策により生み出されたとも言えるものです。高齢化し、合併症を抱え、要介護者もふえており、看護の人手不足は深刻です。精神科特例として一般病院より低く抑えられてきた人員配置や診療報酬の抜本見直しこそ必要であります。
 参考人質疑でも指摘されたように、地域での支援があれば、病気を抱えつつも自分の人生を歩むことが可能であるはずです。そのためにも、障害当事者とともに引きこもるなど、家族が抱える困難に対して、いつでも気軽に相談できる体制や支援が切実に求められています。
 今こそ、障害者権利条約の理念に沿って、家族に依存した医療、福祉のあり方を根本的に変え、障害当事者を権利主体として、地域、社会で支える仕組みが必要です。そのために、地域精神保健、医療、福祉、住まい、働く場の確保など、関連施策の抜本的拡充を求め、討論を終わります。

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