直接雇用・正社員化こそ
派遣法改悪案では後退 高橋氏が批判
日本共産党の高橋千鶴子議員は29日の衆院厚生労働委員会で、労働者派遣法改悪案では直接雇用義務などが削除されていると批判し、直接雇用・正社員化をすすめるべきだと主張しました。
派遣法では、最長3年の派遣可能期間を超える場合、派遣先企業が派遣労働者に直接雇用を申し込む義務や派遣労働者の優先雇用義務があります。しかし、改悪案では一部を除いて削除されます。
高橋氏は、「常用代替の防止、ずっと雇いたいのであれば直接雇用すべきだということだ。派遣先の責任が改悪案では弱まっている」と指摘し、規定を残すよう求めました。
塩崎恭久厚労相は、「(派遣法違反に対する直接雇用の)みなし制度で労働者保護をはかる」と答弁。高橋氏は、みなし規定があるからといって削除したのに、今回の改悪で違法派遣が合法化され、みなしの効力が限定的にされていると指摘しました。
高橋氏は“違法派遣の是正を進めれば「派遣切り」が広がる”といって規制緩和を求める議論について、「是正指導を受けたら本来直接雇用するべきだ。実態にあわせて違法を合法にしてはならない」と強調しました。
高橋氏は、光洋シーリングテクノでは偽装請負を告発した労働組合員43人が全員正社員化された事例などを紹介。製造業派遣が解禁され最初の期間制限がくる2009年を前に「恒常的業務については労働者を直接雇い入れること」とする通知を同省が出していたことを示し、直接雇用・正社員化を進めるべきだと強調しました。
坂口卓派遣・有期労働対策部長は「偽装請負への対処、現行法の順守で派遣労働者の雇用の安定にしっかり対応していきたい」と答えました。
(しんぶん赤旗2015年5月30日付)
求人情報 民間に提供やめよ
高橋氏「派遣へ誘導の恐れ」
日本共産党の高橋千鶴子議員は5月29日の衆院厚生労働委員会で、ハローワークに登録された求人情報・求職者情報を民間人材ビジネスに提供する問題についてとりあげ、「派遣労働に誘導する危険がある。やめるべきだ」と追及しました。
ハローワークの求人情報は、職業紹介事業者ら826団体に、3月の1カ月で新規求人の31%、15万8000件が提供されています。
高橋氏は「正社員の求人を、介在する派遣会社が派遣にすることはあってはならない」と指摘。生田正之厚労省職業安定局長は「派遣などへの転換の働きかけがあれば利用規約で提供を停止する」と答弁しました。
今年度中に始まる求職者情報の提供について生田局長は「求職者が希望する場合に提供する」と答えました。
高橋氏は「優良求人情報のお墨付きを与えて派遣労働に誘導することになってはならない」と批判。塩崎恭久厚労相は「派遣求人を含めてマッチングを進める」と述べました。
高橋氏は、情報提供が「日本再興戦略」に基づき民間人材ビジネスをいかにもうけさせるかという視点になっていると指摘。「求人求職という入り口で指導するハローワークの役割を無視し、民間への情報提供で生じる余剰人員をブラック企業対策などに回すとしているが、本末転倒だ。これが再興戦略で掲げる“世界で一番企業が活動しやすい国”だ」と批判しました。
(しんぶん赤旗2015年6月3日付)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
まず最初に、山井委員が繰り返し指摘をしている、派遣だけれども正社員として募集をかけている派遣会社のホームページについて、大変気になりますので、ちょっと確認をしたいと思います。
職業安定法四十二条「募集内容の的確な表示」、労働者に誤解を生じさせることのないように平易な表現を用いるなど的確な表示に努めなければならないと。指摘されている広告は、「正社員(無期雇用派遣労働者)」と明記してあり、普通、誤解はしないかとは思いますが、しかし、誰が考えても適切ではない、適切とは言えない、そう思います。
大臣の答弁も、確かに、正社員という定義自体が確定したものではないから違法とまでは言えないけれどもということを何度も何度もおっしゃっている。だけれども、誤解を招くおそれまではやはり認めたと言っていいのではないかなと思うんですね。
そこで、お答えいただきたいのは、違法とは言えなくても、誤解を受けやすい表示としてホームページなどに対しても指導はできると思うが、どうか。そして、一般論でいいんですけれども、職業安定法に基づいて指導、是正措置などの実績があれば伺います。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
企業等のホームページの表示でございましても、労働者の募集を目的としておりまして、かつ募集に応じる方の誤解を招くおそれがある場合につきましては、職業安定法第四十二条に照らしまして、指導や助言の対象となり得るものでございます。
こういった指導等につきましては、私ども、ホームページ等のみならず、労働者の募集に応じた方からの苦情などを契機に、こうした実態も確認をするというようなことも通じまして、個別の事情に応じて明示内容を具体的にすることなどの指導助言を行っているところでございます。
ただ、一般論ということも含めてでございますけれども、こうした指導の実績ということにつきましては、統計としては把握はしておりません。
○高橋(千)委員 きのう確認をしているんですけれども、四十二条違反というか、四十二条に照らして指導した件数はないけれども、別な案件で職業安定法で指導したものがあると伺っていますが、お答えください。
○坂口政府参考人 四十二条の関係は今お答え申し上げたとおりでございますけれども、別途、この求人の労働条件の明示等で、安定法の五条の三等で、業務内容等の労働条件を明示しなければならないといった規定もございまして、こういったものについて、架空の求人広告等を行っている場合に指導を行ったという実績はございます。
○高橋(千)委員 六十五条の虚偽広告、これに当たっている、一件あると聞いていますが、違うんですか。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
六十五条の八号に虚偽広告の罰則規定がございまして、今委員が御指摘されたように、それが疑われるという形での指導を、先ほどの五条の三の事案等々の背景として、その条文も背景に指導したという実績はございます。
ただ、六十五条の八号を契機として、我が行政としての送検という事例はないということでございます。
○高橋(千)委員 わかりました。
今確かめたかったのは、自社のホームページだから何を書いてもいいということではないんだということを確認したかったわけであります。
ですから、場合によっては、今、五条の三の条件の明示ということで指導したというふうなお話だったけれども、罰則まではいかなかったということだったと思うんですね。だけれども、現実にそういう事例がある。
きょう山井委員が紹介したものも、正社員とさえも書いていない。ですから、当然誤解を生むし、口頭では正社員と言っているとか、そういうことは多々あるであろう、またこれからも起こり得るであろうということを考えたときに、今までは苦情ベースで対応していたということであったけれども、やはりもう少し前のめりに、特別な調査ですとか、そういうことをきちんと指導できますよ、していきますよということを発信するべきではないかという立場で発言をさせていただきました。
そこで、私がさらに気になったのは、その同じホームページをよくよく見ますと、確かに私たちがイメージする正社員そのものなんですよね。つまり、通勤手当も出るし、昇給もある。各種社会保険は完備である。派遣の仕事がないときでも、正社員だから給与を支払いますという説明も見つけた。キャリアアップの訓練もやっている。
これが本当かどうかというのは、私、それを今言う材料は持っていません。でも、問題は、なぜ派遣の仕事なのに正社員としての処遇が、今言ったような処遇ができるのかということに興味を持ちますよね。そうすると、就業場所に「当社指定派遣先」とあります。なるほど、あらかじめ派遣先が決まっていて、仕事もコンスタントにあるとなれば可能かなと思ったわけですね。
ここから先は一般論になりますけれども、当社指定派遣先、決まっている、これは場合によっては専ら派遣になりませんか。
○坂口政府参考人 今委員お尋ねの専ら派遣という問題でございますけれども、これは、現行の労働者派遣法の第七条第一項第一号に許可基準を定めております。許可を受けようとする者が行う労働者派遣事業については、専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行われるものではないことということを定めておりまして、これが、今委員御指摘のいわゆる専ら派遣という問題かと思っております。
委員、今、一般論ということでお尋ねでございましたので、そういう一般論としてのお答えをさせていただきますが、派遣会社が、例えばいろいろな求人広告等も含めてですけれども、就業場所を当社指定派遣先としているというケースでございますけれども、ただ、こういうような記載だけということになりましたら、当該派遣会社が行う全ての労働者派遣について、派遣先が特定の、あるいは同一の派遣先であるということまではこの記載だけでは言えないかと思っておりまして、必ずしもこれだけでいわゆる専ら派遣に該当するというところまでは言えないかということで判断をさせていただきたいと思います。
○高橋(千)委員 そういう場合もあるんじゃないですかと聞いています。必ずしもこれがそうだと言っているんじゃないです。当たり前じゃないですか。
○坂口政府参考人 それはおっしゃるとおりでございまして、この専ら派遣ということになりますと、こういった記載とあわせまして、いろいろ、事業者が、定款等で事業目的がそういった状況になっていないかとか、派遣先の確保のための努力が客観的に認められないかというようなこともあわせて判断をして、我々としては指導に当たっていくということでございます。
○高橋(千)委員 私たちが事実上これは専ら派遣じゃないのと思っているのが、グループ派遣ですよね。これは、規制が、前回の平成二十四年法で八割以下とされました。
実際、違反として指導された実績はどのくらいですか。
○坂口政府参考人 今御指摘の、二十四年の法改正で入れられたグループ派遣という問題でございますが、こちらの方は、一事業年度で、あるグループ企業内の派遣会社が当該グループ企業に派遣する割合を八割以下に制限しているというものでございます。
今お尋ねの指導実績でございますが、平成二十六年度の指導実績でございます。労働者派遣事業に係る文書指導件数全体、二十六年度は八千七百八十八件でございましたけれども、グループ企業派遣の八割規制である労働者派遣法第二十三条の二の違反として文書指導を行った件数は三百五十六件でございます。
○高橋(千)委員 三百五十六件の文書指導があったということで、やはり多いなと思いますよね、始まったばかりであるにもかかわらず。
結局、正直言って、八割以下というのは、グループ会社に八割までは認められるわけですから、これはかなり専ら派遣に近いんじゃないかということを私たちは指摘してきました。
大臣に聞きます。
何でこれが問題かというときに、起こっていることは、結局、派遣先企業が自分たちの子会社をつくってそれをバックさせる、自社に派遣させる、そういう形をやっている。だから、要するに正社員ではなく派遣社員にしてしまうわけですから、それによって人件費をカットできるし、社員を出向させる、これはある意味リストラ策でもあるわけなんですよね。そういうことに使われてはならないという視点で規制されていると思います。
この認識を共有できるでしょうか。また、この趣旨は徹底されるべきと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 労働者派遣事業は、職を求める方々と人員を確保したい企業という、この二つのニーズが結びつけられて労働市場でマッチングが行われるということで認められているわけであります。
一方で、先生御指摘のいわゆる専ら派遣とかグループ派遣とか呼ばれている行為というのは、こうした労働市場一般を対象にしておらずに、会社の中の人事部的なもので、公的な機能として一般に認めることは適当でないという趣旨から規制をかけているものでございまして、御指摘もこういう趣旨を踏まえてのものであると考えております。
こうした制度趣旨に関しては派遣元への説明会などあらゆる機会を通じて周知していくとともに、規制に違反する者に対しては、やはりこれは厳しく対応してまいらなければならないというふうに考えております。
○高橋(千)委員 第二人事部とかと言われますよね。厳しく対処していくというお答えでありました。
要するに、さっき答弁があったように、専ら派遣は一般派遣業の許可要件になっているものですから、許可の段階でもしもそういうのがあれば振り落とされているわけです。ところが、今度は届け出だけだった特定派遣が許可制になるということで、非常にこれが、ちょっと紛らわしいというか、当てはまる事案も出てくるのではないかということを危惧しております。
ですから、既存の特定派遣事業者は三年間の経過措置がありますけれども、許可を目指す事業者であれば、当然この点もきちんとチェックをされて、三年を待たずに指導されていくべきだと思いますが、伺います。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
先ほど御紹介しました一般労働者派遣事業の許可基準での専ら派遣の許可基準につきましては、今後の改正を行った後も維持する予定でございます。
その前提で、今委員が御紹介いただきましたように、今回の法律では一律許可制ということで、これまでの特定労働者派遣事業者からも、一定の経過措置期間はありますけれども、許可申請が出てくるということが予想されます。これまた委員の方からの御指摘のとおりかと思いますけれども、そういった特定派遣の事業者、これは小規模であったり、いろいろ専門的な労働者を派遣しているというような形態もとっておりますので、実際、今委員御指摘のように、事実上の専ら派遣ということをしているおそれということもあるのではないかということかと思います。
私どもとしては、やはりこういった点については注視して、許可の可否等を判断するに当たっても、あるいはその事前に当たっても、十分に確認を行って適切に対応してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 これは確認をいたしました。
次に、きのうの参考人質疑、先ほど阿部委員や大西委員もお取り上げいただきましたけれども、自由法曹団の鷲見賢一郎弁護士が、現行の派遣期間制限と改正案との違いについて大変わかりやすく発言をされました。
また、二十七日の私自身の質問で、業務単位だった期間制限が個人単位と事業所単位になったのはなぜか、この問題を指摘したところであります。
それで、資料二枚目に現行と改正案、新旧対照表をつけておきましたけれども、現行の四十条の二の一項で、業務単位の派遣受け入れ期間をまず書いている。そして、四十条の三並びに四によって、直接雇用と正社員化を促進する機能があると指摘をしました。
現行四十条の三は、派遣先は、一年以上受け入れている派遣労働において、同じ業務で新規の労働者を雇う場合は、希望した派遣労働者を雇用するようにという努力義務であります。一方、四十条の四は、同じ派遣労働者を期間制限を超えて受け入れるためには、直接雇用申し込みをしなければならないという義務規定であります。これは資料にはありませんが、三十五条の二で、期間制限に抵触する日を派遣会社が通知するというスキームになっています。まさにこの規定を根拠に、直接雇用申し込み義務、黙示の雇用契約をめぐっての訴訟、あるいは行政への申し立てなどが闘われてきたわけです。
改めて、この三十五条の二、四十条の三、四の趣旨を確認したい。また、なぜ今回削除されているのか、伺います。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
今お尋ねの、まず、現行法の第三十五条の二の規定でございます。第二項でございますけれども、これは期間制限の、業務単位の規定と相まってということになりますけれども、派遣元が、派遣可能期間を超える場合に継続して労働者派遣を行わない旨を派遣先及び派遣労働者に通知するという規定でございます。
それから、四十条の三でございますけれども、こちらの方につきましては、先ほども委員の方からも御紹介ありましたとおり、派遣労働者、これは派遣元から継続して一年以上の役務を受けている派遣先でございますけれども、こちらの方での一定の雇い入れということについての努力を促すという規定でございます。
それから、第四十条の四でございますけれども、これは、先ほど御紹介しました第三十五条の二の通知を受けた場合に、派遣労働の受け入れ期間の上限に達する派遣先が、期間制限違反となる日以降も継続して同じ派遣労働者を受け入れようとする場合に労働契約の申し込みを義務づけたもの、いわゆる派遣先の期間制限違反というものを未然に防止するためという規定でございます。
今回の規定でございますけれども、まず、第四十条の三につきましては、今回の改正におきましては、特定有期雇用派遣労働者の雇用という形で、第四十条の四ということで、引き続き、特定有期雇用派遣労働者の雇い入れについての努力義務を規定するということにしておりますが、今御紹介いただきましたとおり、第三十五条の二の第二項と第四十条の四については規定を削除するということにしております。これにつきましては、今回の改正法によりまして派遣先の期間制限のあり方というものが変わるということから、現行の期間制限を前提ということでのこの規定については削除をしたというものでございます。
なお、派遣先の期間制限違反につきましては、先ほども四十条の四の規定の趣旨は派遣先の期間制限違反を防止するということでお答え申し上げましたが、労働契約申し込みみなし制度というものが派遣先の期間制限違反につきましては適用されるということで、こういった点についても考慮して、今回削除ということでございます。
○高橋(千)委員 部長、趣旨を聞いたわけです。私、条文の内容は自分がしゃべっているわけですから、何のためにこの条文があるのかということを言ってほしかったわけですよ。
常用代替の防止なんだ、だから、ずっと派遣を雇いたい、そう思うんだったらちゃんと直接雇用しなさいよ、それを法律が定めている、そういうことじゃないんですか。
○坂口政府参考人 四十条の三につきましては、派遣先での雇い入れの努力の義務ということを趣旨としておりますし、四十条の四につきましては、派遣先の期間制限違反の防止ということを趣旨としておるというものでございます。
○高橋(千)委員 余りにも心がこもらなくて、残念でたまらないわけなんですけれども。
今の、最初の四十条の三については、要するに、新しい労働者を雇うんだったら今まで働いていた人を雇いなさいよというこの規定は、四十条の四ということで、特定有期雇用派遣労働者のところに書いていますよと部長は答弁されました。
でも、厳密に言いますと、これは、現行法は派遣先に責任を求めていますよね。新しい法律は、派遣事業者、派遣業者を介さなければできないので、権限がさらに弱まっています。あわせて指摘をしたいと思います。
それで、問題は削除した理由なんですけれども、みなし規定が入って、みなし規定の方が強いわけですよね、直接雇用申し込み義務よりも、そもそも申し込んでいたとみなすというわけですから。ですから、当然、この法律ができたときも私たちもそう理解をしていました。
昨年の十一月十一日の参議院の厚生労働委員会でも福島みずほ議員が取り上げていらっしゃいますし、ことし二月六日の参議院決算委員会では、我が党の吉良よし子議員が同じ質問をしています。つまり、なぜ削除をしたんですかと。
大臣、大変よく記憶されていると思うんですよね。パネルが正確じゃないとかいろいろ言ったものですから、記憶にあると思うんですね。そのときに、大臣はこう明確に答弁されました。四十条の六のみなし制度によって違反を防ぐことにしておりまして、これは実はことしの十月一日から施行になります、派遣で働く方の保護が後退するということは考えておりませんと明言されております。今思うと、これは二月六日ですから、既にあの一〇・一ペーパーは出回っていたわけであります。
でも、大臣は、そういうことで、みなし規定がちゃんと働くんだからこの規定は要らないよ、それを包括するんだよという趣旨でおっしゃったんだと思うんですね。
だけれども、現実にはどうかということで、今、改正案がそれを追い越して九月一日に施行になるわけです。専門業務は廃止される。事実上、期間制限がなくなり、期間制限がなくなったから、偽装請負する必要もなくなるわけです。許可制だから、違法派遣も、よっぽどブラックでない限り、ありません。そうなると、みなし規定の効力は極めて限定的なものになります。そういうことを、一〇・一ペーパーを見るとあからさまに書いてあるんですね。
だからこそ、同条項を、今私が指摘した四十条の三、四十条の四、そして三十五条の二、これをきちんと残すべきではないでしょうか。
○塩崎国務大臣 参議院でのやりとりはよく記憶をしております。
現行法の三十五条の二の第二項及び第四十条の四、先ほど来、部長の方から説明しておりますけれども、派遣先の期間制限違反を未然に防止する趣旨の規定であって、今回の改正法によって派遣先の期間制限のあり方が変わることから、現行の期間制限を前提としたこれらの規定については削除をするということにしたわけであります。
ただいま高橋先生の方から少し異を唱えられているわけでございますけれども、改正法による個人単位と事業所単位の二つの期間制限は、派遣労働への固定化防止、常用代替防止の観点で極めて重要な規定でございまして、現行法第四十条の四に規定する雇用契約申し込み義務ではなくて、みなし規定の適用によって、より強力に履行の確保を図っていけるというふうに思いますし、そのようにしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 私は、どちらかということは言っていないんですね。どちらも残せばいいと思います。みなしも、効力が弱まる、限定的とはいえ、全然働かないとは思っておりません。残した以上は何かあるかもしれません。しかし、あえてこれを残すべきだというのは、やはり派遣労働者に着目したものがないんですよ。
確かにこれは、条文上は、派遣先が雇用申し込みをすると書いています。でも、それをしてくれないじゃないかと。私は希望しますということを、派遣労働者はこれまで訴えてきました。しかも、その最大の決め手が抵触日を通知するということなんですよ。これも全部カットをしてしまったわけで、あと残されているのは過半数労働組合。自分たち当事者ではない派遣先の労働組合、これで派遣労働者の権利を代弁することは全然できないわけです。
だから、私は本当に、唯一、本来持っていた、これをもって頑張ってきた派遣労働者個人が持っている権利、この直接雇用申し込み義務、これを残すべきだと重ねて求めたいが、いかがでしょうか。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
この点につきましては、重ねてになりますけれども、今も大臣が申し上げましたとおり、今回、派遣先の期間制限違反ということについて仕組みを変えたということでございまして、そういった前提となる期間制限のあり方が変わった上で労働契約の申し込みみなし制度が適用されるということでございますので、私どもとしましては、これらの規定については削除ということで臨ませていただきたいということでございます。
○高橋(千)委員 やはり違うと思うんですよ。だって、削除したのは、みなし規定をつくったときの民主党政権のときなわけですよ。そうでしょう。そのときに、個人ごとの期間制限になるなんて考えていなかったですよ。全然趣旨が違いますよ。今言ったのは後づけじゃないですか。
○坂口政府参考人 確かに、労働契約申し込みみなし制度が改正されたのは二十四年でございますので、その改正のときにということではないということは委員の御指摘のとおりでございます。
ただ、先ほども申し上げたとおり、これらの雇用申し込み制度の規定の前提となる期間制限のあり方そのものが、今回は、業務単位の期間制限から、個人単位あるいは事業所単位という形での期間制限の規定に大きく変更するということで、そういった期間制限のあり方が変わっているということも踏まえまして、私どもとしては、規定の削除ということでお願いしたいということでございます。
○高橋(千)委員 やはり、法律をつくったときに、労働者の権利としてみなし規定をつくり、これが本当に働くんだと、三年待たされましたけれども。そう思っていたのに、何か後から違う考え方ができて、みなしが働くからいいよと思って削除したものが全然違うことになっちゃった。これは本当に許されないことだと思うんです。
重ねてこれは再考を求めたいし、ぜひこれは修正も含めて各委員の皆さんにも呼びかけたい、このように思っております。
そこで、ちょっと資料の一枚目に戻っていただきたいんですけれども、個人の派遣期間の制限について、これはこの間もやったわけなんですけれども、課をかわれば三年を超えても同じ派遣労働者が就業を続けることができる、これを丁寧に書いているわけですね。派遣会社は、Aさんのキャリアアップを考え、キャリアコンサルティングや教育訓練を実施する必要があります、それで、庶務課だったAさんが経営戦略課に異動しますという、例えばの絵ですよ。それから、Aさんは庶務課のまま三年を超えることはできないけれども、Bさんだったら働くことができますよ、こういう絵なんですよね。
考えてみたら、部長、誰がこれを決めるんですかね。このAさんのキャリアアップ、同じ課じゃだめだから次の課に移す、経営戦略課がいいと誰が決めるんですか。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
Aさんというのはこの派遣会社の派遣労働者ということでございますので、Aさんのキャリアアップ、あるいは、こういった、どこにということにつきましては、派遣会社たる派遣元の方が判断するということになるということでございます。
○高橋(千)委員 これは絶対無理があるんですよ。派遣会社がどうして、経営戦略課があいているよとか、わかるんですか。Aさんが、私、キャリアアップしたいからほかの課に移りたいですともし言ったとして、普通、派遣先が決めるじゃないですか。でも、そうすると特定になるんですよ。
この間、私、特定につながりませんかと質問しました。そうしたら、坂口部長は、個々の派遣労働者について、一定の同じ職場での課についての継続的な就業を制限するということでございますので、今の期間制限がね、派遣先が、ではAさんがいい、Bさんがいいというようなことを指定することを規制しているということではないということでございますのでと、私が言っていることは違うというふうな答弁をしているんです。
でも、おかしいですよね。私は、これは、期間制限イコール特定だと聞いていませんよ、つながるんじゃないかと聞いているんです。当たり前じゃないですか。そんなのわかり切っていますよ。だけれども、これは文脈からいうと、Aさんがいい、Bさんがいいと派遣先が指定してしまったら、これは特定なんでしょう。違いますか。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘のように、派遣先が、Aさんがいい、派遣労働者はBさんがいいということになれば、これは派遣先の方が特定目的行為を行っているということになるということでございます。
○高橋(千)委員 確認しました。
特定をしないで、派遣先が、Aさんがいい、Bさんがいいと言わないで、どうやってこれが成り立ちますか。
○坂口政府参考人 その点につきましては、これはそもそも、派遣契約で派遣先と派遣元が、例えば庶務課のこういった仕事について派遣労働者を何人という形で契約を結ぶということでございますので、そういった結ばれた派遣契約を前提に、派遣会社の方が、その派遣会社の雇用する派遣労働者の中から誰を選ぶかといって、誰を派遣労働者として派遣先に配置するということで派遣元の派遣会社の方が判断をして、派遣労働者を決定するということでございます。
○高橋(千)委員 これは絶対納得できません。誰に聞いたって、派遣先から言われましたと言っていますよ。これは当たり前なんですよ。
これまで係単位だったと説明してきたじゃないですか。もっと細かい単位ですから、これは当然、特定しなかったらできませんよ。まして、さっき大臣はおっしゃいましたよね、派遣先がずっとこの人を使いたいと思ったら、派遣元でと。これは派遣先にお願いする逆になっちゃう。これは特定しているんですよ。
大臣、意味わかっていますか。
○塩崎国務大臣 指定するということを申し上げているわけではなくて、そういう心意気があるということはあるかもわからないと言っているだけであって、それは、制度としてはそういう格好ではないということはよくわかっております。
○高橋(千)委員 心意気があるということで、これがやはり本音だと思うんですね。
現実にはもうみんな当たり前にやられているんですよ。それをもっときちんとやりたいというのが、ずっとこの間言われてきたことじゃないですか。これはどう考えたって、この絵は特定しなければ成り立ちませんよ。そうじゃないと言うんだったら、その根拠をこの委員会に示してください。
○坂口政府参考人 その点につきましては、先ほど申し上げましたとおり、労働者派遣契約で、派遣先と派遣会社、派遣元の方がどういった派遣就業をやるかということを契約の中で結ぶということでございます。そういった上で、派遣元の方が、派遣契約で決められた派遣就業の内容に沿って、誰を配置するかということを判断して派遣するということでございますので、これは制度的に担保はされているということで私どもとしては考えております。
○高橋(千)委員 具体的に、今だって、係、係と言っているわけですから、特定行為はやられていませんよ、問題ないですよということを具体例でちゃんと出していただくように委員長にお取り計らいをお願いいたします。
○渡辺委員長 資料の要求ですか。
○高橋(千)委員 そうです。資料の要求です。これは法案審議に大きくかかわります。
○渡辺委員長 では、ぜひとも、資料の要求ということですので。出せますか。(高橋(千)委員「協議と言ってください」と呼ぶ)
理事会で協議いたします。
○高橋(千)委員 お願いをいたします。
次に、二十六専門業務が廃止になることで三年後に解雇されるおそれがあるという指摘が、山井委員から繰り返し指摘をされまして、昨日の関根参考人からも指摘がありました。
これは、平成二十二年、二〇一〇年に、適正化プラン、長妻・山井プランなどと言う方もいらっしゃいますが、そのときにも、適正化を進めれば派遣切りにつながるという激しい議論が自公からありました。
私、これを繰り返していれば、やはり悪法を正すことができないと思うんです。実態が悪いことを、実態に合わせて法を緩和する、それはやはりまずい。適正化をちゃんと図れといったことでリストラが進むというのだったら、それは厚労省が求めた話ではなかったはずなんです。
実際はどうだったのか。是正指導を受け直雇用になったところもあり、本来そうあるべきではないのかと思いますが、伺います。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
今御指摘の平成二十二年三月及び四月に、専門二十六業務の派遣適正化プランによりまして集中的な指導監督を行ったところでございます。その結果の集計の状況でございますけれども、是正指導された事業主におきまして、その対象となった派遣労働者の方につきましては、パーセンテージで申し上げますと九七・六%が雇用が維持されている、こういう結果となっております。
○高橋(千)委員 雇用が維持されているというお答えだったと思います。是正がたしか四件だったと思います。
それで、この適正化プランの第一号事案が、スタッフサービスから日赤の献血業務に派遣されていた廣瀬さん、前にもこの委員会で私、二月に取り上げたことがございますが、きょうもいらしていますけれども、先ごろ和解が成立をいたしました。一番の願いだった職場復帰はかなわなかったけれども、一連の派遣法違反と直接雇用の職員との同一業務が認定をされて、和解の席上で上司が謝罪と長年の貢献に感謝の言葉を述べた、これは非常に価値があった、後に続く価値があったと思うんですね。
大事なことは、廣瀬さんの闘いを通して、当時の派遣社員が直接雇用となって、派遣から直接雇用になったことで産休をとった社員もいるそうです。違法を正すのは、違法を避けるための解雇を助長することであってはなりません。解雇を恐れて違法を見逃したり、違法を合法にするなど、もってのほかであります。
大臣に伺います。これは通告していませんが、感想でもよろしいですので、違法を合法でなく、きちんと適正化し、よって労働者の保護につながる道を行くのが厚労省ではありませんか。
○塩崎国務大臣 突然でございますが、適正化プランに関連してのお尋ねでございますけれども、それは当然、違法があれば正していくというのは、厚労省としてやるべき道の基本でございます。
○高橋(千)委員 違法を正していく、そうですね。それで、もう一つ言ったのは、今正すことによって、逆に、それを避けようとしてリストラがあったりとか、そういうことがあってはならないよね、そこをきちんと労働者の保護の立場でストッパーにならなきゃいけないということを言っているわけです。
では、具体的に伺います。これはちゃんと通告していますからね。
二十四年法のときは、専門業務は実は、安定しているからということで優先雇用義務が削除されました。要するに、同じ業務で新しい人を雇うのであればまずこの人をという、これが削除された。しかし、実際には一般派遣にこれからなっていくわけです。みんな一緒になっちゃう。そのときに、既に期間制限を超えています、また、あるいは偽装専門業務である状態なんです、既に。それが全く法改正によって免罪されてはならないわけなんです。
今残っているのは、現行の四十条の五、優先雇用義務は残っています。そして、直接雇用申し込み義務、まだ今残っています。これは本当に残して、その趣旨を生かしてきちんと労働者の保護に向かうべきだと思いますが、いかがですか。
○塩崎国務大臣 今の現行の四十条の四と四十条の五のことをおっしゃっているんだろうと思いますが、これらの規定は、今回の改正法において期間制限を見直すということになるわけでございますので、それに伴って削除をされることになるわけであります。改正法の施行日前に締結された労働者派遣契約については、その派遣契約の期間が終了するまでは改正前の期間制限の適用を受けることになるために、これらの規定も引き続き適用になるということでございます。
一方で、これらの今の二つの規定というのは、現行の期間制限を前提とした制度であるために、経過期間終了後もこれらの規定のみ残すことはできないというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 残す話はさっきしました。確かにそのとおりです。だけれども、今できるでしょうと言っているの。現実に何年も働いてきている。偽装専門業務だったら、これは期間制限違反ですよ。あるいは、ちゃんとした専門業務であったら当然優先雇用するべきですよ。そういうことでもっと努力をしなさい、そういうことを厚労省が働きかけるべきではありませんかと聞いています。
○坂口政府参考人 それは、現行法の四十条の四、四十条の五という、直接雇用申し込み義務、優先雇用の義務ということはございますので、私どもとしては、この制度の趣旨についてしっかり周知を図り、その制度がきっちり運用できるようにということでしっかり取り組んではまいりたいと思っております。
○高橋(千)委員 制度に縛られていたら、何か、もう削除するんだから何もできないとか、厳密に言うとそれに当てはまらないからできないとか、厚労省はそういうことだけが仕事ではなかったと思います。
昨年十一月に実は私は徳島にお邪魔して、トヨタの系列の子会社である光洋シーリングテクノの労働組合の方たちにお話を聞く機会がありました。この組合は、二〇〇六年に偽装請負を告発して、丸八年かかって組合員の四十三人全員が正社員になったんです。ほとんどが若い人たちでしたので、そのうち二組が結婚しました。四十三人の中に二十人の子供が生まれたそうです。まさに安定雇用の意義を実感したところであります。
しかし、この偽装請負問題だって、文書指導が〇三年度九十一件から、〇五年度は三百五十八件と非常に多くなって、派遣と請負の線引きである三十七号告示が厳し過ぎると。本当は派遣で雇って指揮命令をしたいんだけれども、それが要するに禁止だったものだから請負にやっていた。それで、少しはその線引きをどうにかしてくれなんということが随分言われていた。つまり、今の専門業務の付随業務みたいなことがわかりにくいということが随分指摘をされたわけなんですね。
だけれども、そのとき、光洋シーリングテクノの問題を報じた二〇〇六年八月十九日の徳島新聞では、当時の大臣、川崎二郎大臣ですが、偽装請負に対し是正を求めていくのは一貫した姿勢、経済界とはできるだけ非正規でなく正規雇用をという議論もしていると述べている。ですから、そういう姿勢を今求めているんです。
製造業派遣が解禁され、最初の期間制限が来るという二〇〇九年問題、このとき、厚労省は、「いわゆる「二〇〇九年問題」への対応について」という文書を出しています。そのときに、こう書いているんですね。「労働者派遣は「臨時的・一時的な業務」に対応するための仕組みです。恒常的な業務については、労働者を直接雇い入れることにより対応することを検討してください。」
こういう指導が今求められているのではないでしょうか。
○坂口政府参考人 今委員から御指摘ございましたように、過去につきましても、いわゆる偽装請負等の事案に対して私どもも対処してきたところでございます。
三十七号告示をめぐってもいろいろな御要望等もあって、当時もQアンドAというようなものも出しながら、わかりやすい内容という形にしつつ、事業者の遵法に向けての周知ということについても私どもも努力してきたところでございます。
私どもとしましては、引き続き、そういったいわゆる偽装請負に対しての対処、あるいは現行の派遣法の制度の遵守ということをしまして、派遣労働者の方の雇用の安定ということについてしっかり対応してまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 お願いをいたします。
こうして規制が問題になるときに必ずこういうことが起きるわけです。でも、そのときにやはり毅然とした対応をとることが大事だということを重ねて指摘したいと思います。
それでは次に、現在、民間職業紹介事業の許可をとっているのはどのくらいあって、派遣会社も随分多いと思うんですけれども、どのようになっているでしょうか。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
平成二十六年三月末現在でございますけれども、有料の職業紹介事業所数につきましては一万七千三百十五事業所でございます。
○高橋(千)委員 後段の質問が答弁がなかったんですが、多分数えていないということでしょうかね。わからない。うち、派遣会社は。
○坂口政府参考人 申しわけございません。今、手元に兼業の事業所数がございませんで、申しわけございません。
○高橋(千)委員 これはずっと言い続けていることなので。大分かぶっているはずなんですよね。それはお認めになると思うんです。
それで、資料の四枚目を見ていただきたいんですが、昨年の九月から、ハローワークの求人情報を民間人材ビジネス等にもオンライン提供を始めました。
では、現在、どのくらいの事業者が利用しているんでしょうか。また、提供される情報量はどのくらいなんでしょうか。
○生田政府参考人 お答えいたします。
まず、ハローワークの求人情報のオンライン提供は昨年九月からスタートしておりますけれども、職業紹介事業者・学校等という区分で六百七団体、それから地方自治体で二百十九団体でございまして、計八百二十六団体が利用されております。
それから、提供されている情報量でございますけれども、直近のことしの三月一カ月分について申し上げますと、新規求人件数の三二%、十五万八千件、これが職業紹介事業者・学校等でございまして、合計でいいますと三十三万三千件、六八・四%でございます。
○高橋(千)委員 今、注釈がなかったんですけれども、まだテスト期間ですよね。それで八百二十六団体で、十五万八千件。三割といえども、それだけの情報量が民間人材ビジネス会社にも流れているということは、私はこれは非常に重要な問題ではないかなと思うんですね。
ハローワークに求人票を出している企業は、ハローワークだから出しているというところは当然あると思うんですね。だから三割なのかなと思うんですけれども、提供を望まないところをどのように確認しているのかを伺います。
また、当然、求人するときは、正社員募集です、そういうつもりで出しているわけですよね。それが、介在する派遣会社が自分たちの仕事になっちゃうみたいな、派遣社員がむしろ安くつきますよみたいなことは絶対あってはならないわけですよね。その点、どのように担保されているんでしょうか。
○生田政府参考人 お答えいたします。
まず、ハローワークの求人情報のオンライン提供につきまして、ハローワークで公開している求人のうち、求人事業主の方がオンライン提供に同意して、さらに同意した対象だけに提供するという整理になってございます。
求人情報のオンライン提供を受けました職業紹介事業者の方が、求人事業主に対しまして、例えば労働者派遣など、求人事業主の直接雇用でないような形態への転換の働きかけを行った場合につきましては、オンライン提供を停止するということを利用規約に明記しておりまして、これに従いまして、適正、適切な制度運営を図っているところでございます。
○高橋(千)委員 派遣となってはならないということがきちんと言われたと思うし、同意をとるということだったと思います。
今、派遣会社のホームページを見ますと、圧倒的に正社員という言葉が躍っています、正社員への転職支援ということで。結局、当然、ハローワークから情報が来るわけですから、優良情報を扱っています、ハローワークからの御紹介です、これは圧倒的に信頼度が増しますよね。
今度は、求人情報だけではなく求職情報もこれからやるんだということで、資料の最後のところを見ていただきたいと思うんですが、求職情報ですから、個人の、仕事をしたいという方の情報ですよね。これはID化をして、求職情報サイトに入って、提供される。ハローワークに申し込んだつもりが、派遣会社から、どうですかという話になる。こういう仕組みになるんでしょうか、伺います。
○生田政府参考人 お答えいたします。
ハローワークの求職情報のオンライン提供につきましては、今年度中の提供開始に向けて今準備を進めております。これにつきましては、個人情報の保護に十分留意した形で、御本人に不利益にならないような形で行うということを考えてございます。
具体的には、提供を希望する求職者の情報につきまして、氏名、連絡先等の個人情報を除いた上で、新たに立ち上げる求職情報サイトに掲載するというのが手始めでございます。その上で、一定の要件を満たしてID等を発行された民間の紹介事業者の方が、掲載された求職情報を閲覧する。その上で、連絡をとりたい求職者がいる場合は、このサイトを経由して求職者にアプローチをする、案内等を送信する。案内を受けた求職者の方が、仮にその民間の職業紹介事業者の方を使いたいというふうに希望する場合について、求職申し込みを行うという仕組みを予定しております。
○高橋(千)委員 確かに、最初の段階で、求職サイトに行ってもいいですかということを同意をとるということは聞いています。だけれども、どれだけのことが起きるのかというのは、本当によくわかっているだろうか。
結局、派遣会社だって、みんな一社じゃないですよね、グループですよね。いろいろな形で個人の機微な情報が回って、かつ、優良情報ですよ、お墨つきですよみたいな感じになったら、これは本当に危険ではないかと思うんですけれども、どのように考えていますか。もう少し。
○生田政府参考人 求職者情報の提供につきましては、確かに慎重に対応する必要があるというふうに思っております。
現在、制度設計について検討しておりますけれども、求職者の方に不利益になることのないような形でやっていきたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 私は、とてもじゃないが、これはやめるべきだと思うんですね。
これは、真ん中に資料をつけておりますけれども、再興戦略の中で、「民間人材ビジネスの活用によるマッチング機能の強化」ということで打ち出された、そういうことが背景にあるんだと思うんです。
しかし、大臣に伺いたいんですよ。やはり、派遣なのに、公的職業安定機関を介したことで、正社員への転職支援、こういう宣伝になっているわけですよね。最初に、誤解がないように、職業安定法四十二条のことからきょうの議論を始めたわけですよね。だけれども、公的職業安定機関が優良求人情報のお墨つきを与えて、派遣労働に誘導することになってはならない。本当にこれは慎重にやらなきゃならないし、やめるべきではないか。少なくとも、始めたばかりの求人情報の実施状況をきちんと検証してから求職情報の方は検討するという形で、今年度中と言っていますけれども、これはちょっと待つべきだと思う、やめるべきだと思う。
大臣、いかがですか。
○塩崎国務大臣 新たな制度として、労働市場全体で求人、求職のマッチング機能を強化するために、民間職業紹介事業者に対して、ハローワークが開拓した求人情報のオンライン提供を始めたわけでございます。
このために、民間職業紹介事業者が、派遣求人を含め、求職者が希望するオンライン提供求人とのマッチングを行うこと自体は制度の趣旨に沿ったものと考えているわけでございますが、今年度中に開始予定の求職情報提供の設計、この求職のことについて今先生御心配をいただいているわけでございまして、委員御指摘のとおり、求人情報の提供の実施状況を十分踏まえた上で行っていくべきだというふうに考えているわけでございます。
なお、現在、民間職業紹介事業者が直接雇用の求人に対して労働者派遣などの形態への転換を働きかけた場合には、利用規約違反として、求人情報のオンライン提供を停止するということにしているわけでございます。
求職情報の提供においても、求職者保護の観点を踏まえ、厳正な対応を行うことを検討してまいりたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 確かに、派遣を呼びかけたりしたら違いますよということは書いています。規約違反であると今もお答えになりました。
でも、絶対そういうことは起きると思うんですよ。絶対そういうことは起きる。だって、これは、再興戦略、3に書いていますけれども、「民間人材ビジネスの活用によるマッチング機能の強化」ということで、「最大限に活用する。」と書いているわけですね。要するに、この再興戦略は経済的な視点から書いているんですよ。そうでしょう。結局、民間人材ビジネスがいかに、こう言っては失礼ですが、もうけるかという視点から書いているんですよ。労働者の保護ではないですよ。
これは三月の予算委員会でも指摘しましたが、失業なき労働移動との呼び声のもとに、パソナの竹中平蔵氏が提唱して、キャリア支援だと称して派遣会社に助成金、これはおかしいじゃないかと私は指摘しました。キャリア支援も派遣会社にお金を出して、そして求人もハローワークからもらい、求職情報まで、個人のまでもらって派遣会社丸もうけ、こういう構図になっているじゃありませんか。
もっと言えば、今回、ブラック企業根絶に政府が乗り出します。一方では、残業代ゼロをやり、過労死を生むのでは困るからと労働基準局の体制を強化するというんですね。その体制強化をする人員は、ハローワークを民間人材ビジネスに開放することで余剰人員を回せると提言しているんですよ。
本当に、求人という最初の入り口のところで企業をきちんと指導する、それがハローワークの役割じゃないですか。これを全く無視して、派遣会社でいいんだとどんどんやって、そこで生まれる過労死を生むような状態に、そこにだけブラック企業根絶だなんて言ったって本末転倒ですよ。
とことん労働者がないがしろにされて、世界で一番企業が活動しやすい国をつくる、これは絶対反対であるということを申し述べて、きょうは終わりたいと思います。
――資料――