国会質問

質問日:2015年 5月 13日 第189国会 厚生労働委員会

HPVワクチン問題

副反応被害者支援を
高橋氏 HPVワクチンで

 日本共産党の高橋千鶴子衆院議員は13日の厚生労働委員会で、子宮頸(けい)がん予防ワクチン(HPVワクチン)の接種後に疼痛(とうつう)や運動障害などの症状(副反応)に苦しむ女性が出ている問題で、原因究明と医療支援などの救済を求めました。
 政府は2013年4月にHPVワクチンの定期接種を開始したものの、わずか2カ月で積極的な接種の勧奨はしないとしました。国は追跡調査をするといいますが、その対象は重篤な副反応報告2600件のみです。高橋氏は、ワクチン接種した女性は340万人ともいわれ、被害者団体が求める接種者全員の追跡調査、非接種者と比較する疫学調査を実施すべきだと要求しました。
 高橋氏は、「身近で適切な治療が受けられる」として全国70カ所の協力医療機関を国が選定しているものの、「心理的なものだ」と病院をたらい回しにされている事例があると指摘しました。塩崎恭久厚労相は「広く意見や症状を聞いてしっかり対応したい」と答えました。
 高橋氏は、ワクチン接種を推奨する団体の意見に賛同する医師が協力医療機関に多数所属している問題を指摘。推奨団体と役員が重複する「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」が子宮頸がんワクチン製造2社から資金提供を受けている事実を示し、製薬会社の自主規律違反ではないかと指摘しました。
 厚労省の二川一男医政局長は「その可能性もあり、調査している」と答えました。
(しんぶん赤旗2015年5月15日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 本日は、いわゆる子宮頸がんワクチン、HPVワクチン問題について質問させていただきます。
 予防接種法改正で定期接種が始まったのが二〇一三年の四月、わずか二カ月で厚労省は積極的に接種を勧めるのを一時中止すると発表、現在も再開はされておりません。
 昨年一月、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応部会は、接種後の局所の疼痛等が心身の反応を惹起したきっかけになったことは否定できない、一カ月以上経過してから慢性の症状が発症している例は、接種との因果関係を考える根拠に乏しい、こういうまとめをしたわけですね。ただ、その以降、報告書はいまだ出されておりません。
 このことの意味、つまり、厚労省はこれを受けてどこへ向かっているのかということと、取り組んでいる内容について、簡潔にお答えください。
○新村政府参考人 お答えいたします。
 厚生労働省におきましては、HPVワクチンの接種後に多様な症状を呈する患者さんにつきまして、三つの対策を講じております。まず、各県に少なくとも一つの協力医療機関を選定すること、二つ目に、副反応報告が確実に行われるよう医療機関に要請すること、三つ目に、副反応が報告された患者の追跡調査の強化ということでございます。
 現在、追跡調査の結果を整理しているところでございまして、その調査結果も踏まえ、健康被害救済やワクチンの安全性についての検討を進めていきたいと考えているところでございます。
○高橋(千)委員 今答弁いただいた三つの内容について、まず資料の一枚目につけました。身近な医療機関で適切な治療を受けられる、ここだけ聞くと大変いいことですよね。実際そうなっているかというのが問題なわけです。
 順々に聞いていきたいと思うんですけれども、まず、協力医療機関が全国に七十ということで、先ほども答弁があったように、全都道府県が一応一つは設置をされたということであり、さらにふやしていくのでしょうか。
 また、資料の二枚目に協力医療機関のリストをつけました。これは、見ていきますと、窓口診療科というものがありまして、どんな科が窓口になっているのかというのがわかるんですけれども、北海道大学病院はHPVワクチン副反応支援センターというセンターを設けておりますが、それ以外のところはさまざまであります。リハビリだったり神経内科だったり産婦人科だったり、あるいはペインクリニックだったり。
 そうすると、先ほど重徳委員の質問に対して、協力医療機関というのはどういう要件があるのかというので、三つお答えになりました。これは繰り返す必要はありません。私が聞きたいのは、担当医が一人いればいいというわけではないはずだ、そこを確認したい。一つの診療科でおさまる話ではないと思う。当然、総合的な検討を病院の中でもしていかなければならない。そういう点でどのように考えているのか、伺います。
○新村政府参考人 協力医療機関の具体的な要件は繰り返しませんけれども、御質問の件に関しましては、さまざまな症状、病態を示す患者さんがおられますので、単一の診療科だけで対応できない場合もあり得ます。
 したがいまして、整形外科ですとか神経内科、小児科など複数の診療科があって、それぞれ協力をして対応するといったような、さまざまな領域の診療を提供するための体制が整っている、こういったことを要件の一つとして定めているところでございます。
○高橋(千)委員 そうなんですよね。単一ではないということで、みんなで総合的に検討していく必要があるということなんだと思うんですけれども、実際にはやはりそういう対応ができていないじゃないかということなんです。
 先日、私も当事者の女性にお会いしてお話を聞く機会がありました。お友達が新たな進路に踏み出すときに、自分はどうすることもできない悔しさ、しかも記憶が薄れてきている。非常に残酷に思いました。
 お聞きしますと、やはりさまざまな症状が出ているんだけれども、疼痛や運動障害、よく言われます。接種の直後の方もあれば、一年以上たってから発症する方もいらっしゃる、もっとたっている方もいらっしゃる。だけれども、共通して訴えられるのは、一つは動機ですよね。今受けると無料だから、国が推奨しているからやはり今受けるべきなんだろうな、三回受けなきゃいけないから年齢的にも今なのかなというふうな動機があったと。
 それから、もしやということで受診をしても異常はない、検査をしても異常はない、精神的なものではないかと言われたり、それどころか、仮病しているんじゃないかというふうにも言われる。テレビでいろいろな報道があって、その人のまねをしているんじゃないかなどということを、医療機関でそういうことを言われるということ自体、本当に許せないなと思うんですけれども、結局、そうやって窓口で理解されずに転々としているのが共通している問題だと思うんですね。
 でも、これは、今最初に私はさらっと読みましたけれども、副反応部会で、副作用はワクチン成分は原因ではなく、接種時の痛みが心身の反応を引き起こした可能性が高いとされたこと、だからそういう対応になっているんじゃないですか。国の機関がそうやって言ったんだから、あなた、それは気の迷いでしょう、努力すれば治るんだ、そんなことを言っている人だっているんですよ。
 幾ら身近に通える医療機関がいっぱいできたとしても、入り口でそうやってはねつけられてしまったら、全然治療にも原因究明にも結びつかないと思います。大臣、どうされますか。
○塩崎国務大臣 先ほど来、局長からも答弁申し上げているように、協力医療機関については、整形外科とか神経内科とか小児科等の複数の診療科があって協力を得られるなどの、さまざまな領域の診療を提供するための体制が整っていることを要件の一つとしているわけでありまして、窓口となる診療科にかかわらず、患者に対して、関係する診療科間で情報共有を十分し、適切な診療を実施することを求めているわけでございます。
 また、この協力医療機関において診療に従事をする医師らに対しても、厚生労働科学研究班が中心となって専門医師による研修等を実施しておりまして、今後とも、研修等を活用して、患者への適切な医療が提供されるように質の向上に努めてまいりたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 大臣、研修もいいですし適切な医療もいいですけれども、私が言ったように、まず入り口で、心の問題でしょうとか、そういうことが絶対ないように徹底すると約束していただけますか。
○塩崎国務大臣 それは、広く御意見や症状を聞いて、しっかりと対応していきたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 確認いたしました。
 副反応報告、様式がさまざまあるわけですけれども、ヒトパピローマウイルス感染症については、発症までの時間が、アナフィラキシーは四時間、ギラン・バレー症候群は二十八日、期間が決められていた。その他、医師が予防接種との関連性が高いと認める症状であって、死亡または障害に至るおそれのあるもの、要するに、報告書を見ますと、重いというのと重くないというのをチェックするわけですよね。そうすると、ある意味、かなり医師の主観で決められるというおそれもある。
 ですから、症状がかなり限定されてきていることと、期間が決められてきて、一月じゃないと副反応の申請自体もできないような、そういう状況でした。
 これも改正したはずですが、お答えをください。
○新村政府参考人 副反応報告におきましては、アナフィラキシーとかギラン・バレー症候群などに加えまして、その他というカテゴリーで、個々に医師が予防接種との関連性が高いと認める場合には、重篤なものを報告の対象としております。ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後の多様な症状も、これに該当する場合に報告をされておりました。
 副反応報告の対象となる症状のうち、アナフィラキシーやギラン・バレー症候群などにおきましては、接種から発症に至るまでの期間を定めておりまして、その期間内に症状が確認された場合に報告を行うこととされています。
 一方で、その他の症状につきましては、従来より、接種から発症に至るまでの期間を限定せずに、予防接種との関連性が高いと医師が認める期間内であれば報告の対象としてきたところでございます。
 さらに、ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後の多様な症状がきちんと報告されるようにするため、昨年九月に通知を改正しております。それによりまして、疼痛や運動障害などの多様な症状が、接種から発症までの期間にかかわらず報告対象であるということを明確にしているところでございます。
○高橋(千)委員 多様な症状がきちんと報告されるようにするためと、今の答弁は非常に重要だと思うんですね。やはり最初に医師の主観ではじかれてしまうということがないように徹底をいただきたいと思います。
 それで、ワクチンを接種したのは何人ぐらいかというのが、延べでいうと八百九十万人くらいだろう、アンプルの数からいってそうなるんじゃないかということと、実数で、二回、三回と一人の人が受けなければならないので、三百四十万人というふうなことが大体言われているわけですね。
 それで、被害者連絡会の方たちは、接種者全員の追跡調査、非接種者と比較対照する疫学調査の実施を求めておりますが、やるべきではないでしょうか。大臣に。
○塩崎国務大臣 今先生から御指摘、御提案のある接種者全員に対する調査、これにつきましては、厚労省としても専門家とよく相談をしてまいりましたけれども、まず、症状が多岐にわたって、かつ御本人の申告に基づくものであることから、医学的な評価が難しいデータも収集されてしまうという可能性があること、それから、接種は約二年以上前の出来事であるために、過去の症状について曖昧な記憶をたどるということもあり得るということがございます。さらに、対象者が、今お話がございましたように、三百四十万人という非常に多い人数であることなどの課題があると考えております。
 厚生労働省としては、副反応報告があった接種者に対する追跡調査の結果をもとに症例の把握に努めているところでございまして、改めて接種者全員の調査をすることは現時点で考えているわけではございません。しかし、得られたデータについて関係の審議会において引き続きしっかりと検討をしていきたいと考えておりまして、先ほど申し上げたように、この追跡調査のデータがそろったわけでありますので、これを分析をきっちりして、できるだけ早く公表できるようにしてまいりたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 もちろん、いろいろな困難はあると思うんですよね。でも、二年、三年たってようやっと、もしや自分はワクチンと関係があったのではないかといろいろな報道を見て初めて気がついた方もいらっしゃるわけですし、また、症状があってもすぐに治った方たち、それはすぐに、どういう症状だったかというのは意外に答えられているわけですよね。そういう方たちも含めて追跡をしていくことが大きな意味があるんじゃないかということを指摘しておりますので、ぜひ検討をいただきたい。
 同時に、やはり全数調査に近づくための構えというんでしょうか、伺いたいと思うんですが、昨年の八月二十九日、ですから田村前大臣の記者会見のとき、つまり、この三つの対策を発表した記者会見のときにこういうことを言っているんですよね。
 過去の同様の症状により医療機関を受診した方についても、これは対象とする、よく全数の調査という話もありますけれども、そういう意味では、こういう症状がある方々はどこかの医療機関には受診されているわけでございますので、そういう受診をされている医療機関から、副反応の可能性のある、そういうような情報に関しましてはしっかりと御提供いただくということです。それから、そういうような事例のある方に関してはしっかりと情報をこちらとして把握していく、過去のものに関しても掘り起こして把握していく、このように答えているわけです。
 ですから、大臣がかわったからそれはしないよという話ではないと思うんですね。
 さっきも、重篤な症例が二千四百七十件から二千六百件にふえましたとおっしゃいましたよね。副反応報告を改善したんですから、ふえるのは当たり前ですよね。当たり前なはずなんですよ。それをきちんとやっていって、少しでも調査の数をふやしていく、全数調査に近づけていく、そういう姿勢を持っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 さっき申し上げたように、我々としてまずやるべきことは、二千六百余りの追跡調査の中身をきっちりと分析して、そして、症状の内容とか程度とか治療の中身とか、そういうものをしっかり踏まえた上で結論を出していくということが大事ではないかというふうに思っておりますので、我々としては、まずそれをやるべきだというふうに考えております。
○高橋(千)委員 これは局長でもいいんですけれども、さっき私が言ったこと、間違っていませんよね。要するに、報告の仕方を改善しているわけですから、当然ふえますよね。今も数字はふえているわけですから。だから、二千六百件になったからそれでいいという話ではなくて、きちっと、広がっていっても、それをちゃんと調査していくということでよろしいですよね。
○新村政府参考人 先ほどおっしゃいましたように、去年、前大臣のときに発表した後、通知も出しまして、既に副反応報告が出ている症例もございますけれども、過去の例も含めて十分な報告を求めているということでございますし、転院している例とか、本人が把握しにくい例などもございますけれども、医療機関、あるいは市町村も必要な場合には含めて、できるだけ把握をして漏れがないように努めているところでございますので、今後とも引き続き努力していきたいと考えております。
○高橋(千)委員 次に、資料の三枚目は、先ほど重徳委員が使った資料とちょっとダブってしまいましたので、読んでいる時間ももったいないので、質問だけを伺いたいと思うんです。
 一つは、審査が非常におくれているという問題、これを早く改善してほしいということ。やはり私は、それも、さっきから言っているように、副反応部会が因果関係があると言えないとか心理的なものじゃないかと言ったことがブレーキになっているんだと思うんですね。
 だけれども、それではもう見ていられない、原因がわからないから何もできないというのでは困るというので、自治体が助成を始めた。だったら、そこに支援をするとか、何か知恵は使いようがあると思うんですよ。何らかのことを考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○新村政府参考人 ワクチンの健康被害救済の面でございますけれども、医学的な知見に基づいて専門家による議論が必要でございまして、新しいワクチンであるHPVワクチンにつきましては、現在、医学的な知見の収集を行っているところでございます。
 先ほどからお話ししておりますように、HPVワクチンの副反応につきまして、病態などを全体的に把握、解明すべく、昨年の秋から開始した追跡調査を集計、分析中でございます。その結果を踏まえて、その後、救済に係る審査を行う関係審議会がございますので、そこで、HPVワクチンに関する個々の方の申請につきまして、その審査を速やかに進めていきたい、かように考えてございます。
○高橋(千)委員 これは重ねて指摘をしたい、要望したいと思います。
 それで、資料の四枚目を見ていただきたいと思います。ちょっとちっちゃくて申しわけないんですけれども、タイトル、「私達は、子宮頸癌ワクチンの正しい理解を求め、その接種を推奨します。」というアピール文があって、ちっちゃく書いているんですけれども、HPVJAPANという団体でございます、任意団体。「賛同する」というのがあって、インターネットでクリックをすると署名が集まる、そういう格好になっておりまして、三月三十一日に発表いたしまして、賛同者は四月三十日現在で三百三十三名に達している、お医者さんたちが賛同しているということなわけですが、私はこれは非常に問題があると思っているんです。
 例えば、前文の二行目から見ていただきたいと思うんですけれども、「国内では、噂、思い込み、紛れ込み、仮説などを大きく扇情的に取り上げる報道記事や番組によって、多くの国民が誤解をしています。」もう最初から、うわさ、思い込み、紛れ込みだ、こう決めつけている。諸外国では不適切な記事の取り下げが行われているのに、日本では反対運動のみが掲載される事態などと指摘をしている。
 私は、これは正確ではないと思います。厚労省が追跡調査する、あるいは厚生労働科学研究などで深掘りしていく、そういう中で慎重に検討しようとしていることにさえ批判をしていることになるんですよ。
 その内容について大臣は承知しているんでしょうか。また、このことについては、資料そのものを配りますからということできのう通告してありますので、もし感想をいただけたらお願いしたいと思います。
○塩崎国務大臣 今御指摘をいただきました任意団体が出しております三月三十一日の声明、これについて、存在はもちろん承知をしているわけでありますが、これは任意団体の活動内容でございますので、私どもとしてお答えする立場にはないというふうに思っております。
○高橋(千)委員 この声明文は、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会が厚労大臣宛てにHPVワクチン被害問題全面解決要求書を提出した日と偶然にも一緒でありました。合わせたのかもしれません。
 それで、例えば、何年も原因不明の症状に悩んでいた少女たちがこの報道を見て、要するに、テレビのそういうワクチンのせいかもしれないと訴えている方たちの報道を見て初めて、自分もそうかもと思っているわけなんですよね。だから、報道されなければ、一人一人が原因がわからないことのつらさのうちに将来の希望を奪われていた。それを、因果関係がわからないんだからワクチンのせいではないと言い切れるはずはないんです。だから調査をしているのではありませんか。
 そういう人たちのことを、最初の塊の段落の下から六行目ですが、「恐ろしいケースを何例も紹介し、」恐ろしいと。でも、それが実態なんですからね。「関連をほのめかすことで、ワクチンが引き起こしたという間違った印象を読者や視聴者に与えました。」
 しかも、左下の段落を見てください。これは、ワクチン接種後に交通事故で亡くなったケースや、ワクチン接種後に成績が向上して高校、大学に合格したことを、HPVワクチンのせいだ、いや、おかげだと呼ぶでしょうか、こう言っているんですね。
 つまり、接種後に起こったこと、交通事故に遭ったのを、それまで、接種後だからワクチンのせいだ、こんな極端なことを誰か言ったりしているんですか。事実、おかしくありませんか。局長でいいです、お答えください。
○新村政府参考人 この団体、任意団体の活動でございますので、厚生労働省としてお答えする立場にはない、大臣も申し上げたとおりでございます。
 私どもとしては、HPVワクチンの副反応について、追跡調査もし、専門家の意見も聞いて、今、十分にこの調査分析をするべきということで進めているところでございます。
○高橋(千)委員 答える立場にないと言っていますけれども、やはり、厚労省が追跡調査をしている、そのことに対して、簡単に言えば早く再開せよと言っているわけでしょう。関係ないと言っているんですよ。そういうことに対して、お答えする立場にないでいいんですか、こんな極端なことを誰か言ったんですかということを指摘しているわけなんです。
 時間の関係でちょっと次に進みますけれども、HPVワクチンが承認審査中の二〇〇八年の十一月に設立されて、子宮頸がん検診の向上とHPVワクチンの早期承認、公費負担の実現を掲げて広報啓蒙活動などに取り組んでいる、子宮頸がん征圧をめざす専門家会議という団体がございます、当然御存じだと思いますが。
 この会の議長が、ここに書いてあるように、呼びかけ人の野田起一郎氏であり、実行委員長が今野良氏であるわけであります。この方たちが呼びかけ人になっている。ですから、HPVJAPANと専門家会議、この両者の関係はどうなっているんでしょうか。御存じなら教えてください。
○新村政府参考人 この両団体ともに任意団体ということでございますので、両団体の関係ということも承知してございませんけれども、見る限り、一部の参加者の氏名が両方の団体のホームページに掲載されている、重複しているということは確認しております。
○高橋(千)委員 見る限り一部の方が重複と。ですから、言っているじゃないですか。議長と実行委員長が呼びかけ人なんですよ。
 これは実は三十一日に出されたんですけれども、そのときには連絡先電話番号が書いてあったんです。その電話番号が専門家会議の電話番号と一致しました。これをオンブズパーソンに指摘されて、翌日削除しているんですよ。もうこれは実態は一緒だ、一緒だというか、メンバー全部が一緒じゃないかもしれませんよ、だけれども、専門家会議でやりにくいことをこういう形でやっているとも言えなくもないわけです。
 なぜそういうことを私が今指摘するかといいますと、資料の五枚目に二月二十日付の毎日新聞をつけておきました。
 子宮頸がんワクチン普及団体、今私が言っている専門家会議ですけれども、産婦人科医らでつくる任意団体なわけですが、製薬会社の支援ということが未公表になっているという見出しになっています。
 これは、アンダーラインを私が引きましたけれども、製薬会社から二年間で七千万円以上の資金提供を受けていました。事務局の所在地は公表していない、専門家会議ですよ、収支も公開していない。だけれども、一方の製薬会社は資金提供にかかわる情報公開をしていますので、これを見ると、一二年度は子宮頸がんワクチンの国内製造販売会社であるグラクソ・スミスクラインとMSD、二社から計三千五百万円、一三年度は計三千八百五十万円、逆に言うと二社しかないんですね、合わせて七千万円ですよね。今ももらっているということがわかっております。
 また、二〇〇九年四月に退職したGSKの元マーケティング部長が、専門家会議と委託契約を結んでセミナーの講師、つまり普及啓発の先頭に立っていた。下手すれば労務提供になるのではないかと思うんですね。
 そうすると、これらはやはり実質、製薬会社によるワクチンの販売促進活動に当たるのではないか、製薬協のコード・オブ・プラクティス、プロモーションのコードに触れるのではないかという指摘がありますけれども、どうでしょうか。
○二川政府参考人 日本製薬工業協会のコード・オブ・プラクティス、これは、製薬企業と研究者、それから医療関係者、患者団体等の交流を対象とした行動基準ということで、日本製薬工業協会が自主的に制定しているルールでございます。
 したがいまして、その遵守が求められますのはあくまで製薬企業でありまして、専門家会議はその対象とはなっていないわけでございますけれども、このコードにおきましては、製薬企業が直接作成する資料ではなくて第三者が作成する資料であっても、製薬企業が関与をしている場合には、その場合に企業名が明示されていない、そういった場合にはプロモーションコード違反に該当することがあり得るというふうに、私ども、製薬工業協会の方から聞いているところでございます。
 したがいまして、現在、この自主ルールを策定しております日本製薬工業協会が調査を行っているところというふうに承知をしておりまして、私ども厚生労働省といたしましても、できるだけ速やかにその調査結果につきまして報告をいただけるよう求めているところでございます。
○高橋(千)委員 今、該当することがあり得るという答弁でありました。
 これは、国際製薬団体連合会のコード・オブ・プラクティスによりますと、やはりプロモーションは偽装されてはならない、後援されている場合は誰の後援なのかを明確に書かなきゃいけないと書いている。そして、日本製薬協は、それを遵守しつつさらに高いレベルのコードを持っているというふうに自分たちが言っているんですけれども、直接であれ間接であれ、影響を与えるおそれのある金銭などを提供してはならないとやっている。だから、今そういう答弁があったんですね。
 任意団体、任意団体と言っているんですけれども、逆に言うと、任意団体を隠れみのに、本来、製薬企業が規律違反を行っているとしたらこれは問題はないのか、きちんと調査するべきだと思いますが、大臣、一言お願いします。
○塩崎国務大臣 今、任意団体の活動の話が大分出ましたが、これはあくまでも任意団体の活動でございますので、お答えする立場にはないと思います。
 御指摘のこの団体の声明においては、賛同は個人の見解によるものでございまして、所属する機関とか施設を代表するものではないことが明記されていると承知をしております。
 このため、所属する医師が賛同することによって、協力医療機関としての機能を果たす上で支障を来すということではないというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 一言だけ。指摘だけで終わります。
 今、大臣は、私が質問していないのに次の質問の答弁を言っているんですよ。
 私が指摘したのは、任意団体を隠れみのにしている、このことをちゃんと受けとめろということなんです。
 そして、大臣が答弁したのは何かというと、このメンバーが協力医療機関のメンバーにもなっていて、八十二名、数えました。窓口の、同じ人が。それを今そうやって、直接、機関の代表ではないからということで言っているんですよ。
 だけれども、そういう方たちが頭から、あなたは心理的なものでしょうということをやったら、本当に患者さんが二度、三度傷つくではありませんか。
 このことを本当に指摘して、残念ですが、時間が来たので終わります。

 

――資料――

【資料1】HPVワクチンの接種後の症状に関する新たな医療体制の整備と調査について(平成26年8月29日大臣会見を受けて)

【資料2】ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関

【資料3】毎日新聞2015年4月3日付「子宮頸がん/ワクチン被害救済進まず/国、半年処理なし」

【資料4】HPV JAPAN「私達は、子宮頸癌(HPV)ワクチンの正しい理解を求め、その接種を推奨します。」

【資料5】毎日新聞2015年2月20日付「『子宮頸がんワクチン普及』団体/製薬会社の支援未公表/『実質販促』指摘も」

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