徴収強化・医療費削減招く
国保の都道府県化を告発
衆院委で高橋議員
日本共産党の高橋千鶴子議員は22日の衆院厚生労働委員会で、医療保険制度改悪法案の柱である国民健康保険の財政運営を市町村から都道府県に移すことについて、保険料の取り立て強化や保険料値上げ、医療費抑制を招くと追及しました。
新制度で都道府県は国保の保険料徴収、算定、給付などについて運営方針を市町村に示すことになります。
高橋氏は、保険料滞納者の仕事の売掛金の差し押さえまで行われていると指摘。塩崎恭久厚労相は「財産があれば、差し押さえも必要だ」としつつも「個別の実情を把握したうえで適切に対応してほしい」と答えました。
高橋氏は、命にかかわるからと滞納者に短期証や資格証を出していない自治体もあり、強制するのかと追及。厚労省の唐沢剛保険局長は「一律な対応にならないようにする」と述べました。高橋氏は、国が示す保険料徴収の適正な実施の基準に明確に示すよう求めました。
唐沢氏は、市町村に納付金と標準保険料を示して高い保険料を押し付ける危険性について「丁寧に議論してもらう」と答えるにとどまりました。給付に関しては、「医療費適正化計画」に加え、保険料収納率などに応じて補助金を出す「保険者努力支援制度」によって医療費の抑制を進めていくと述べました。
高橋氏は、健康づくりを応援すべきで、収納率向上などで競争させることはあってはならないと批判。都道府県が新たに策定する「地域医療構想」で入院ベッド削減が盛り込まれることをあげて、国保の都道府県化や医療適正化計画と一体で医療費抑制をねらうものだと批判しました。
(しんぶん赤旗2015年4月23日付より)
国庫負担減を批判
高橋氏 国保の都道府県移管で
日本共産党の高橋千鶴子議員は22日の衆院厚労委員会で、医療保険制度改悪法案で国民健康保険の財政運営を市町村から都道府県に移すことに関し、「財政基盤の安定化」と言うのなら減らしてきた国庫負担を抜本的に増やすべきだと求めました。
国保の都道府県移管で、国は3400億円の財政支援を実施。塩崎恭久厚労相は医療費の5割を維持していると答えたのに対し、高橋氏は、医療費の45%だった国庫負担がいまでは給付費の32%に削減されたと指摘しました。
高橋氏は、直近の2012年度では国民医療費の伸び率1・6%に対し、国庫は0・8%増、地方負担は5・3%増になっていることを示し、「国が支えているなどとは言えない」とただしました。厚労省の唐沢剛保険局長は、「ご指摘の通りだ」と認め、国庫負担の削減は1兆~2兆円にのぼると明らかにしました。
国庫負担増を求めたのに対し、塩崎厚労相は「自治体の実態に応じて支援する」と述べ、財政支援にとどめたことを言い訳しました。
(しんぶん赤旗2015年4月27日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
本法案の最大の目玉が、国保の財政基盤の強化とそれから県管理化であろうかと思います。今年度は千七百億円、平成三十年、二〇一八年度からは三千四百億円の公費を投入する。これは国保の保険料総額の一割を超える規模であり、被保険者一人当たり一万円の財政改善効果と銘打っているわけであります。
そこで伺いますが、国保の財政基盤の安定化を狙うものであるなら、財政支援という形ではなく、定率の国庫負担、今は給付費の三二%でありますけれども、これを増額するという立場に立つべきではなかったでしょうか。大臣に伺います。
○塩崎国務大臣 国民健康保険というのはさまざまな構造的な課題を抱えているわけでございまして、厳しい財政状況にあることから、保険給付費等に対する五〇%の財政支援を維持していくとともに、低所得者が多い自治体に対する財政支援や高額な医療費への財政支援というのを行っていく。これまでも累次の財政支援策を、今申し上げたようなことをずっと講じてきたわけでございます。
今回の改革におきましては、単に定率の国庫負担を増額するということではなくて、自治体の実情を踏まえて、効果的、効率的な財政支援を行おうということが今回の眼目であるわけであります。
具体的には、低所得者が多く加入いたしております保険者への財政支援の拡充、あるいは子供の多い自治体、こういったところに対して支援を行うほか、今回、保険者の努力というものをしっかり支援していこうということで保険者努力支援制度というのを創設しますが、これによって、予防、健康づくりを初めとする医療費適正化等に積極的に取り組む自治体を支援していこうということにしているわけでございます。
こうした効果的、効率的な財政支援によって、国保の財政基盤の強化を図り、政策的にもバックアップしていくものを明確にしながら、国民皆保険を支える国民健康保険の安定化を図ってまいりたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 今の答弁も、またこの間のやりとりを聞いていましても、財政支援という言葉を繰り返されるんですね。それが非常に気になります。なぜ支援なんだろうか、そういう立場でよいのだろうかということなんですね。
国保法の第一条には、「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」とあります。社会保障なわけですよね。単なる保険ではない。やはりそこをきちんと押さえる必要があると思うんですね。
大正の時代から始まった働く人の健康保険法とは違い、国保の創設は、昭和十三年、一九三八年ですけれども、戦争と戦後の混乱期で事業不振あるいは休止に追い込まれる中、強制加入という形で国民全体が加入して国保が始まったのは昭和三十六年、一九六一年まで待たなければなりませんでした。
国保には事業主がないわけですから、いわば国や市町村が事業主にかわる負担をしなければ成り立ち得ない。だから、支援、支援と呼ぶのはどうも違うのではないかということを改めて言いたいと思うんです。
それから、五割の問題なんですけれども、これも、我が党はよく、国保は国庫負担を五割にするべきだと言ってきました。それに対して、今でも五割ですと厚労省は答えるんです。大臣は今もおっしゃいました。でも、それは、あくまでも医療給付費の五割という意味なんですね。
これは、昭和五十九年、一九八四年の改正前までは、医療費の、給付費ではなく医療費です、医療費の四五%だった国民負担が給付費の五割に変更されて、その後、その一部が都道府県調整交付金九%、合わせて四五%。その後、三四、三二と段階的に引き下げられてきているわけですね。
だから、いわゆる給付費ではなく、医療費に対する国庫負担という考え方で見た場合にどうなるんだろうかということをまず確認したいと思うんですが、この医療費に対する負担を、三二%、今の割合で見たときにどうなるのか、もとの四五%にした場合にどうなるのか、お答えください。
○唐澤政府参考人 平成二十五年度の医療費の総額は十一兆二千億円でございますが、二十七年度の直近の予算ベースでは十一兆六千億円と見込んでおります。
これに以前の四五%を乗じますと五兆二千億円という計算をしておりまして、三二%ということにいたしますと約三兆七千億円という計算になっております。
○高橋(千)委員 そうすると、今、幾らふえるかと聞けばよかったんですが、総額で言ったからちょっとイメージが湧かなかったと思うんですが、二十七年度の予算ベースでは給付費総額が十一兆五千億円である、三二%の定率国庫負担は二兆四千二百億。
だから、言ってみれば、イメージとしては、本来の医療費の四五%くらいになると倍くらいの負担になって、三二%の割合だとしても七千億から一兆円くらいの国庫負担増になるのかなというイメージですけれども、間違いないでしょうか。
○唐澤政府参考人 現在、医療費の総額につきましては、国費ということで申しますと、給付分、定率国庫負担分だけで申しますと二兆四千億円くらいでございますので、先ほどの三・七兆と五兆二千億との間に一兆円ないしは二兆円以上の差がある。これは定率国庫負担分という比較でございますけれども、そういう状況でございます。
○高橋(千)委員 最近、医療費という出し方をしていないようですので、きのう相当無理を言って数字を出していただきました。申しわけありません。だけれども、給付費の五割ということで、五割やっているんだという答弁を何度も繰り返されてきたので、そうではないんだということをはっきり言いたいと思うんです。
今回、三千四百億円を支援するんだと。一回にではないですよ、今年度はその半分ですからね。それを随分すごいことのようにおっしゃるわけですよ。
確かに、市町村からしてみると、これまでにない額である。さっきお部屋に戻ったら市長会からの国保の要請書が来ておりまして、国庫負担をふやしてもらった、支援をふやしてもらったという感謝の言葉が書いてありましたよ。でも、それは、前はずっとずっと国庫負担をふやしてくれと言ってきたわけですよ。それがずっとナシのつぶてで、今回こういう形で返ってきたというので、今までになく多かったということでおっしゃっているんだろう。とても謙虚だといいますか、ということなんですよ。
だけれども、その財源というのはほとんどは消費税増税分ですし、実は自分たちだって負担しているということをちゃんと言っておかないと、何か、国だけがそんなにお金を出して、随分支援しましたよなんていう話じゃないんだということを言っていきたいと思うんですね。
これは一枚目を見ていただきたいと思うんですが、今局長も説明されましたように、定率国庫負担だけではないわけですね。さまざま出しているものがあります。
例えば高額医療費共同事業。一件八十万円を超える高額な医療費に対する、共同事業で支える仕組みですよね。これも国と都道府県が四分の一ずつ負担をしているわけです。保険者支援制度も、低所得者数に応じ、保険料額の一定割合を公費で支援。これは二千六百四十億円ですが、国は二分の一で、都道府県は四分の一、市町村も四分の一。ですから、漏れなく自治体負担というのがついてくるということをまず確認しなければならないと思うんですね。
ですから、右側に負担の合計額が書いてありますけれども、国が三兆四千三百億円に対して、都道府県も一兆一千八百億円、市町村も一千八百億円という形で負担をしているわけなんです。
次に、二枚目を見ていただきたい。
これは、財源別国民医療費と書いてありますけれども、国保だけではなく、国民医療費全体の数字を示しております。左側が平成二十四年度、真ん中が二十三年度で、一年間の伸びを見ているんですけれども、国民医療費が三十九兆二千百十七億円で、対前年度比一・六%伸びているわけですね。
国民医療費が伸び過ぎている、ふえ過ぎている、だから適正化も必要だとか応分の負担が必要だとこれまでも随分言われてきたわけなんです。
そこで、その内訳を見ますと、三八・六%が公費なんですけれども、アンダーラインの上と下、国庫と地方を見ていただきたいと思うんですね。これでは、国庫の伸び率が八百三十一億円で〇・八%に対して、地方が二千五百四十九億円、五・三%。ですから、医療費の伸び率と比べても、非常に地方の負担がふえているということがわかるかと思うんです。
それから、医療費がふえている、ふえていると言うと、まるで国だけが負担をふやしているように言いますけれども、一番負担をしているのは国民なわけです。これは足し算をしていますけれども、被保険者と患者負担を足し算しますと四割を超えている。国民負担というのがこうやってあるわけですね。そのこともちゃんと言わなければいけない。
実質的には国が支援している部分が多いとは言えない、地方負担だって伸びているじゃないか、このことをどうお考えですか。というか、事実をちゃんと認めてください。
○唐澤政府参考人 まず、先生の御指摘の数字につきましては、そのとおりでございます。
それで、平成二十四年度、国が余り伸びていない、〇・八%にとどまっているということでございますけれども、これは、平成二十四年の国民健康保険法の改正によりまして、都道府県調整交付金の割合を七%から九%に引き上げました。これで都道府県の調整交付金がふえたわけでございますけれども、その分、国の定率負担が減っておりますので、これは全体としては大きな地方財政措置の中の事柄でございますけれども、こういう部分に伴いまして国の方は余り伸びていないという実情でございます。
○高橋(千)委員 そのとおりです。まずは事実をきちんと受けとめていただきたかったわけです。
五割、五割と言うけれども、その五割の中の負担を割合をつけかえて、国の負担は実は減っているんだということで、ちょうど地方の負担が七から九になってふえたというところの表がございましたので、示させていただいたということであります。
次に、都道府県は、第八十二条の二、国保の運営方針を策定するわけです。
しかし、運営方針って何だろうと。だって、保険者ではなかったわけですよね、都道府県は。言ってみれば素人じゃないですか、国保の運営に関しては。それぞれ市町村がこれまで積み上げてきた実績があります、それぞれ特徴があります。それに対して共通した運営方針をつくるというのは、大変至難のわざだと思うんですね。
何を盛り込み、また、どのようにしてつくっていくのか、簡潔に説明してください。
○唐澤政府参考人 御指摘のように、いろいろな違いがございますので、よく意見を聞いてということになりますけれども、具体的にこの国保の運営方針に盛り込むものにつきましては、一つは、保険料の関係の、徴収の適正な実施に関する事項、それから保険給付の適正な実施に関する事項などを大きな柱として定めることにしているわけでございます。
具体的にどんなものを定めていくかは、これから国と地方の協議会で御相談、御議論をいただきたいと思いますけれども、さらに、具体的に都道府県でこれを定める場合には、市町村の御意見を聞くということが一つ、それから、都道府県に今度設置することにしております国保の運営協議会での議論をいただきまして、地域の実情に応じてこの運営方針を定めていただくことになると考えております。
○高橋(千)委員 これ一つだけでも延々と質問ができそうな中身なんですけれども。
資料の三枚目に、わかりやすい比較をつけておきました。改革の方向性。
この間、保険者はどっちかという議論がありましたが、これを最後まで曖昧にしている。条文上は一応、都道府県が保険者ということになっていますけれども、あえてそう書かないで、都道府県が当該都道府県内の市町村とともに国保の運営を担うというふうな書きぶりになっています。
ですから、これは、国保の財政が厳しいから県で一括してくれと言っていた市町村と、絶対嫌だという知事会との間をとった中身である。だから、いろいろな意味で矛盾があると思うんですね。
それで、今、運営方針の中身を、いきなり、適正なというそこだけを述べたわけですけれども、ここに書いてあるように、医療に要する費用や財政の見通しや、保険料の標準的な算定方法ですとか徴収の適正な実施に関する事項とか、保険給付の適正な実施、そういうことの運営方針をつくるということになっているわけです。それが一番にあって、資格管理などは市町村がやるというふうなことで書いているわけですね。
その運営方針の中身で、今おっしゃったところをもう少し聞いていきたいと思うんですけれども、最初におっしゃった、保険料の徴収の適正な実施に関する事項とは何を意味するのか。
適正な実施。つまり、今、資格証明書ですとか短期証を発行している自治体、あるいは発行していない自治体、さまざまあります。また、短期証の基準も自治体によってばらばらです。先週十七日の質疑でも、我が党の堀内議員が指摘したとおりです。その中で、適正な実施に関する事項を国が基準を示すわけですよね。どういう考え方を示すんでしょうか。
〔委員長退席、とかしき委員長代理着席〕
○唐澤政府参考人 保険料の徴収の適正な実施に関する事項でございますけれども、今先生から御指摘がありました、例えば短期証でございますとか資格証明書をどのような形にするかというようなところの具体的なところまで、まだ私どもはもちろん決めていないわけでございます。そしてまた、こういうものは特に、地域別に、地域の御事情がかなり違うところがございますので、どういうふうにしていくかということについては丁寧に御意見を聞いていただく必要があると思っております。
私どもは、特に、今度の保険料の徴収の適正な実施に関するような事柄では、例えば、収納担当の職員の人が、大きな自治体と小さなところで、なかなか研修も受けにくいというようなこともございますので、そういう研修を共同実施していただくとか、こういうような事柄で、なかなか職員の皆さんがそろわなかったり知識を得られないというようなところにつきましては、県が主力になりまして知識のレベルアップを図っていただくような事柄につきまして少なくとも定めていただきたいと考えております。
具体的な事柄につきましては、これは保険料の徴収につきましてはかなり丁寧に御議論をいただかなきゃいけないと思いますので、国と地方の協議会の中でまた御意見をいただきながら、最終的には、御同意をいただいた上で、国でガイドラインを示したいというような方向で考えているところでございます。
○高橋(千)委員 国はガイドラインを示すわけですけれども、これは非常に国の責任が大きいと思うんですね。どういう基準を示すかによって、市町村の対応が決まるわけですよ。だって、県は、一本化にして運営方針をつくるわけでしょう。
市町村がばらばらないろいろな対応を今までしてきた。でも、本当は、国は、市町村に収納率向上を競わせて、短期証を出していない自治体、どこどこが出している、出していない、そういうのを絶えず担当課長会議で名指しするなど、号令をかけてきたわけでしょう。だから、市町村だって、行き過ぎた差し押さえや窓口対応をやってきたわけですよ。
国はよく、短期証は納付相談で窓口に来てもらうためだと説明します。何度も私はそういう答弁を聞きました。でも、分納の相談に行っても、あなたの場合は悪質なので一括しか認めないと言い放ち、三万円も持っていったのに受け取りもしなかった窓口もあるんですよ、これは総理の足元ですけれども。
お店をやっている方なんですね。そのお店の外で、お客さんが入るのを待っているんですよ。要するに、お客さんが入らないとお金が入らないから、入るのを待っているんです。それで、ある程度たまったなというのを見計らって入ってくる。売掛金を差し押さえする。棚の上のボトルキープさえも持っていこうとして、慌てて、それはお客さんのだと言ったら、では財布の中身を広げてみろと、一枚一枚お札をテーブルの上に置かせて持っていった。そういう事例もあるんです。だけれども、それだって次の支払いのためのお金なんですよ。
大臣に伺いたいんですけれども、ひどい実態、この間も出されました。何度も指摘されています。そのたびに、ぬくもりのある対応なんて言っている場合じゃないんですよ。だって、そうなったら、国は、そういうことをやっちゃいけないとちゃんと基準を示さなきゃならないんです。それは今度は大臣の仕事なんですよ。どういうふうにやりますか。
○塩崎国務大臣 国民健康保険料については、負担の公平の観点から必ずこれは納付をしていただかないといけない、そういう必要があるわけでございまして、保険料をお支払いできる財産があるにもかかわらず保険料を滞納している場合、こういう場合は、最終的には差し押さえによって徴収を行うことも必要であると考えているわけでございます。
また、滞納者に対しては、市町村において、通常よりも有効期間が短い、先ほど来出ております短期被保険者証などを活用して、納付相談によって分割納付などのきめ細かな対応を行わなければならないとともに、滞納者の個別具体的な状況を踏まえて、生活を著しく困窮させるおそれがある場合には滞納処分の執行を停止する仕組みがあるところでもありまして、今回の改革後においても、個々の滞納者の実情をより把握した上で、適切に対応していただくべきものでないかというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 執行停止もあるし個別具体的に対応する、それはこの間も聞きました。それが、本当に誤解のないように、現場で結局過度の解釈にならないように言わなければ、明確にしなければならないわけなんですね。
例えば、さっき、お支払いできる財産がある場合と言いましたよね。払うお金があるのに払わない人は悪質だと政府は言うわけですよ。だけれども、今私が言った事例は、払うと言って持っていったのに受け取らないんですよ、悪質だと決めてしまって。そんなのおかしいでしょう。分納相談に行っている、それを何で追い返すんですか。払える分だけとにかく頑張って払いたい、月々五千円でも計画に持ちたいと。そういうのを、絶対それに応じなければならないということをちゃんと言わなければ。
それから、売り掛け債権を差し押さえちゃったら、もう現場はレッカー車でも何でもありですよ、だけれども、商売が潰れちゃったら全く払えなくなるじゃないですか。たった今のお金よりも、たった今のお金を例えば十万でも回収したとしても、それによってその人の商売が成り立たなくなったらもう丸潰れで、これから先、全く払えなくなるわけです。そういうことをしないということはきちんと明確にするべきだ。もう一回お願いします。
○塩崎国務大臣 今申し上げたとおり、先生が御懸念のような点についてはやはりきめ細かく対応しなければいけませんし、結果として、市町村側がアクションをとったがゆえに生活を困窮に陥れるというようなことがあってはならないわけでありますから、それは、執行については、やはりよく事情を聞いて相談に乗った上で対応をしていくというのは、先ほど申し上げたとおり、まさに丁寧にやるということがぬくもりのある対応だということを申し上げているので、その対応をしっかりと市町村でやってもらわないといかぬというのは、私たちの基本的なスタンスでございます。
○高橋(千)委員 確認をさせていただきたいと思います。
本当にもうこれじゃ払えないから死ぬしかないと言ったときに、そう言って死んだ人はいないとか、さまざまなことが現場では言われています。柳沢大臣のときに、年金保険料の取り立ての問題、まさにそういうことがありまして、私が指摘をしたときに、苛斂誅求のそしりを受けないようにという名答弁をされまして、後で辞書を引いたんですけれども、それがちゃんと現場で生きていまして、そうした厳しい対応をしたときに、同じそういう立場の人を助けた人たちが今もその言葉を使って対応を改善させているということがございますので、ぜひこれはお願いしたいと思います。
もう一つ確認なんですけれども、これは局長でよろしいです、お願いしたいと思うんですが、さっきの、保険証を発行していない自治体のところ、これはやはり手おくれ事例を出さないようにということで、とにかく保険証は出す、届けるとしている自治体はたくさんあります。そこに一律に、短期証を絶対出せとか、そういうことだけはしないでほしいと思うんですが、確認したいです。
○唐澤政府参考人 これは、先ほど申しましたように、さまざまな御事情が地域でございますので、その御事情を踏まえて丁寧に対応していただけるように、単に一律に対応するということにならないようにさせていただきたいと考えております。
○高橋(千)委員 確認をいたしました。
次に、都道府県が示す標準保険料率、これをどこまで示すのかという問題です。
応益負担と応能負担の割合も、自治体によって大変ばらつきがあるわけです。これまでの答弁の中で、市町村が保険料率を決めるんだから国は口出しをしないよねということを確認しているわけですけれども、応能が六で応益が四だとか、そう頑張っているところに対して、いやいや、あんたのところは四、六だよ、逆ですよというふうな形で目安を示すわけですよね。非常に乖離している、大きく食い違う、そういうときにやはり目安に近づけるような指導がされるんだろうか、非常に心配をするわけですが、どうなるんでしょうか。
○唐澤政府参考人 この標準保険料率、今先生から御指摘いただきましたけれども、決め方につきましては、まず都道府県が市町村ごとの納付金を決めていただかなければいけませんので、この納付金は、その市町村の医療費水準と所得水準に応じて決めていただく。その納付金をもとにいたしまして、それぞれの市町村の納付金を納めるために必要な保険料の標準的な水準というものを示すというのが、この標準保険料率でございます。
ただし、今御指摘もございましたけれども、例えば都市部と地方によりましてもかなり算定式が違いますし、それから応能応益の割合もその地域によって違いがございます。それを、二方式、三方式、四方式というのがございますけれども、どの方式で示すのがそこの地域でよいのか。それから応能応益につきましても、例えば、私どもでも今、ぴったり五〇、五〇でやってくださいなどということはもう申し上げておりませんので、それはいろいろ地域の御事情がございますので、この辺は都道府県の中で、やはり市町村の実情を見て相互に御相談いただくことではないかと思っております。
私どもは、まず、どういう方式を選んでいくかということ、それから市町村の規模によっても随分違いますので、その規模の評価というようなものも必要になってまいりますし、それから、どういうような事柄をいろいろ考慮してこれを決めていくのかということにつきまして、これからもまた御議論を続けさせていただきたいと思っております。
ただ、基本的な考え方は、すぐにはできないわけでございますけれども、都道府県内の国民健康保険の被保険者、加入者の皆様が基本的には同じ所得の水準、医療費の水準ということであれば、余り違わない保険料の水準になるように、そういうものを目指していっていただきたいという考え方でやっておりますけれども、現実にはいろいろな違いがございますので、その現実を見ながら、丁寧に進めて、御議論をいただきたいと考えております。
〔とかしき委員長代理退席、委員長着席〕
○高橋(千)委員 どうしても、県一本ということでは、いずれは保険料率が一律、同じものになるのを目指しているんだということになってくるので、そこがとても皆さん心配をしているところなんですよね。それで、低い方にならすんだったら構わないんですけれども、せっかく努力して何とか払える水準にしてきたところを、がんと乖離したものが示されるということがあってはならないと思います。
ただ、それは独自の努力、一応今は市町村で決めますよと言うけれども、結局それは納付金という形で払わなきゃいけないし、そこに反映されなければならないわけですから、そこは、いきなり飛び抜けたことには、まさかとは思いますけれども、あってはならないということは重ねて指摘をしたいなと思っております。
それで、もう一つ、国保の運営方針は都道府県医療費適正化計画との整合性の確保が図られたものでなければならないと書いています。
そこで、大臣に伺うんですけれども、この医療費適正化計画というのは、何で、高齢者医療確保法、高齢者の医療の確保に関する法律の中で規定されているんでしょうか。そもそも医療費適正化計画というのは国民全体を対象としているのに、高齢者医療の中で書かれているというのは非常におかしいと思うんですが、なぜでしょうか。
○塩崎国務大臣 医療費適正化計画というのは、高齢者医療確保法第一条の目的規定に定められているとおり、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、作成することとされているものでございます。
医療費適正化計画においては、国民の健康の保持の推進、そして医療の効率的な提供の推進に関する事項等を定めて、高齢期を見据えた医療に要する費用の適正化や、高齢者医療制度を含む医療保険制度の持続可能性を図るものでございます。
その際、生活習慣病対策とか平均在院日数の短縮といった医療費適正化の対象となる医療費は、高齢者を中心としつつ、これらの対策を若年世代から講じるなど、若年者も含めた医療費全体を対象とするものでございまして、決して高齢者を狙い撃ちするといったようなことではないことは、先生御案内のとおりでございます。
○高橋(千)委員 言われる前に大臣がおっしゃっておられます。
そうなんですよね。もっともらしくおっしゃいましたけれども、言ってみれば、大臣は、みんないずれは高齢者になるんだから、医療費がそれまでかからないように若いうちに予防しておこうみたいな言い方をしたのかもしれませんけれども、高齢者医療制度をつくった趣旨というのはやはりそうじゃないと思うんですね。
高齢者がふえて医療費が増大するからということを何度も何度も何度も刷り込んで、高齢者だけを集めた医療制度をつくり、一割の保険料と、四割の国費、県、市町村一割ずつと、現役世代からの支援金四割。あえて高齢者を切り分けて、現役世代にこんなに負担をさせていると描いて抑制効果を狙うのが制度の目的だと。これは、昔も今も変わらないと思うんです。
だからこそ、今、自分たちのことじゃないのに支援金をこんなに、いわゆる被用者保険の人たちが半分も支援金を取られるのは納得いかないという声が上がっているのは、そのせいじゃないですか。
だけれども、老人保健のときだって本当は負担金という形で仕組みはあったんですから、それをあえてこういう制度にしたことによって、まさに狙い撃ちというか、そういうふうに分断されるようにしたんだと思うんです。
しかも、現役世代のうちに保健予防に力を入れて、高齢者になっても医療費がかからないようにということで、保険者努力が実れば高齢者の支援金を減らす、これはまさにそのものずばりじゃないですか。高齢者に支援金をやるのが嫌だ、それを、努力が実れば支援金を減らしますよ、その逆はふやしますよと、加算、減算という形でとことん高齢者に肩身の狭い思いをさせる、そういうつくりになっている。だから、今回はそこから国保が抜けた、そういう形でしょう。局長、違いますか。
○唐澤政府参考人 加減算のお話でございますけれども、これは第一期の計画で実施をしてきたわけでございます。健診、保健指導というものをメーンにして評価をしてきたわけでございますが、なかなかやはり、保険制度の形態によりまして、この受診率みたいなものも難しい、国保やあるいは協会けんぽの御家族、被扶養者の方は低いというようなことがございます。
そういうことで、制度を別にして、それぞれ評価の仕方を考えていこうということに今後はさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 違う保険なのに、加算、減算という形でおかしいじゃないかと言ってきたことを、今、見直しましたという答弁だったなと思っております。
それで、念のために言いますけれども、医療費適正化、無駄をカットすること自体に異論はないんです。先ほど来議論が出ているように、不必要に多く薬を出したり、安価な薬があるのにもかかわらず、わざと高額な薬をどんどん処方するとか、そういうことはやはり見直しをどんどんしていけばいいわけであって、それから保健予防だって、本当に効果的にやること自体は悪いことではないんですね。ただ、それを、何度も言うように、インセンティブと裏返しのペナルティーということでやることに問題があるということです。
それで、今度は、保険者努力支援制度が創設されました。医療費の適正化や保険者として努力する自治体を客観的な指標を用いて評価する。この客観的な指標、これをまた国がつくるわけなんですよね。何をやるつもりですか。
○唐澤政府参考人 これは、本当にこれから相当御議論があると思うんですけれども、私どもが現在考えております保険者努力支援制度、それぞれの国保の中のそれぞれの自治体の努力に応じて財政支援をしていくということでございます。
現在、自治体の取り組みを評価する指標として考えておりますのは、例えば、これまで実施をしてきました特定健診、特定保健指導の実施状況というもの、それから後発医薬品の使用割合、どのぐらい後発医薬品を使用していただいているかというもの、それから収納率の向上への取り組みの状況などというようなことを今検討しておりますけれども、これは、恐らく都道府県それから市町村からも相当御意見があると思いますので、地方との協議会の中で十分御議論をいただきながら決定することになるというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 資料には、前期高齢者一人当たりの医療費などというのも書いてあったと思いますが、そこをあえて避けて読んだのかなと思っておりますが、特定健診の実施率などもあるということだったと思います。
まだもう少し具体的なイメージが必要だと思うんですけれども、問題はこの使われ方なんですよね。これは納付金や給付金の枠組みの外の補助金なんだろうか、まず確認します。それで、七百億から八百億くらいと言われていますよね。その使途が限定されるんでしょうか。
つまり、保険者努力が実って支援制度の助成金をもらったときに、それを、保険料の引き下げですとかあるいは子供医療費無料化ですとか、あるいは健診とかワクチンの補助とか、そういう被保険者に直接還元することも可能だということでよろしいでしょうか。
○唐澤政府参考人 事実関係だけ、私の方から申し上げさせていただきます。
保険者努力支援制度は、御指摘のように七百億くらいの規模で考えているところでございます。それで、これはもちろん、これまでの定率分とかそういう国庫負担とは別の、上乗せといいますか、別の財源になるわけでございます。
それから、国民健康保険特別会計、特会に入るお金になりますので、これ自体について、お金として何か使途が制限されているということはございません。
ただ、私どもは、これは保険者努力支援制度ということで設けられているわけでございますので、その制度の趣旨に沿ってどういうような対応をしていただけるかというようなことがこれから評価の指標とあわせて御議論になると思いますけれども、制度の性格としてはそういうことでございます。
○高橋(千)委員 保険者努力ということで、企業の事例集も見せてもらったんですけれども、前の改正時に、私が、被用者保険の被扶養者の健診率、どう高めるのかという質問をしたことがありました。
被扶養者が住んでいる自治体にお願いをすることになるので、どういう医療機関があるのかということを事前に知って契約をしていく、そういう答弁があったかなと思っているんですが、例えば富士通が、被扶養者の受診率が一〇%程度だった、それを六割を目標として、配偶者健診と銘打って、今言ったような居住地分析とサポート、受診勧奨を徹底してやって、五五・七%まで引き上げたというレポートを見ました。これによって、健診を受けている人の方が、受けていない人よりも一人当たりの医療費が年間五万五千円も低いという、大変興味あるレポートだと思います。本当にそういう形で健診が生かされていくのであれば、非常にいいかなと思っているんです。
私が言いたいのは、そういう努力にやはりちゃんと応えてあげるのはいいと思うんですよ。ただ、さっき聞いたのは、何か当初の話では、環境整備みたいなものにとどまろうとすれば要らないものを買っちゃうとか、つまり、パソコンを使うのでソフトにしますとか、ジムをちょっと整備しました、サロンをつくりましたとか、そういう環境整備なんかは、そういうことではないんだと思うんですね。だから、ちゃんとダイレクトに生かせる形を考えるべきだと思いますが、いかがですか。
○唐澤政府参考人 先生御指摘のように、これはもともと備品に充てるような性格のお願いをしたものではございませんので、やはり、健康増進、予防、そういうものに役立てていただくという趣旨で御利用いただけるということを望んでおります。
それで、今の富士通の取り組みは大変すばらしい取り組みで、被扶養者の方で五五%というような健診率はちょっと普通あり得ない率でございます。大体、高くても三〇%台というようなところでございます。
これは実は、前も、制度では、加減算の仕組みの中で市町村と健保組合や協会の被用者保険が競争するというような枠組みもありまして、なかなか頼みにくいというようなこともあったんですが、やはり被扶養者の方は御地元でないとなかなか健診を受けていただけませんので、こういう取り組みも大いに参考にさせていただきたいと考えております。
○高橋(千)委員 備品は買うなという答弁がありましたが、最初の説明はそうだったので、そこをちゃんと確認させていただきたいと思います。環境整備しか使えないという説明だったので、そうではない、ダイレクトにやはり被保険者を支援する、あるいは保険者努力を支援していくという形でお願いをしたいと思っております。
そこで、医療介護総合確保法に基づく地域医療構想と医療費適正化計画をリンクさせ、かつ費用の見込みとして示させることは、どういう意味になるでしょうか。つまり、ベッド数削減を医療費削減に換算して、金目で示すことになりますよね。
○唐澤政府参考人 これは、地域医療構想で、都道府県の構想区域ごと、二次医療圏になると思いますけれども、その区域ごとに必要病床数を客観的に推計して機能分化、連携を進めていくということでございまして、これは医療法に基づくものでございますが、これと医療費適正化計画がそのままつながって、病床数の削減ありきというようなことになるわけではもちろんございません。
この地域医療構想は、都道府県が構想区域で病床を推計してつくっていくわけでございますけれども、都道府県が今度は、医療提供体制の主体だけではなくて、広い意味での医療保険の財政面からの主体にもなってまいりますし、それから、全体としての、市町村が中心とはいえ、先ほどの健診や保健指導を通じた予防対策にも一定の責任や役割を担っていただくようになるわけでございます。
そういう観点で、地域医療構想を踏まえた機能分化というようなものも参考にしながら、都道府県には医療費の目標というものを計画に位置づけることとさせていただいているわけでございますけれども、こうしたものも、全体的な予防や医療問題の一環として、総合的に都道府県に取り組んでいただきたいというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 ここは、そういうアバウトな答弁ではちょっと困るんですね。だって、県は具体的に数値目標を持たなきゃならないわけですよ。それを地域医療構想との関係で示さなきゃいけない。それはもろなわけじゃないですか、具体的に言うと。
病床機能報告制度が昨年から始まっていますが、これは私、委員会でも一度指摘をしているわけですが、最初は県が集約すると言っていたけれども、結局、みずほ総研に委託をして、全国一つのサーバーにデータをまとめているわけですよね。そうすると、地域の事情、例えば、医師がいないから、本当は病棟をやりたいんだけれども閉鎖しているとか、そういう事情なんかデータでは全然出てこないじゃないですか。全然把握できないでしょう。
それをどう本当に人間味のある計画に移すんだということが最大の課題になっているわけですけれども、そこに数値で示せと言われたら、それは、医師確保の努力よりも、閉鎖しているんだから、それをやったら幾ら減りますよ、カットできますという方が数値で示しやすいじゃないですか。どうしたってそこに向かわざるを得なくなりませんか。
○二川政府参考人 病床機能報告制度につきましては、委員御指摘のとおり、もう既に昨年の十月に施行されておりまして、これから毎年十月に御報告をいただくわけでございます。昨年につきましては、初年度でございますので、十一月に各医療機関から医療機能を病棟ごとに御報告いただいたところでございます。
医療機能の区分に限らず、さらに大変詳細な情報の報告もいただいているところでございます。これにつきましては、都道府県の事務軽減の観点から、国の方に直接オンラインで出してきていただいて、その事務をみずほ総研に委託しているわけでございますけれども、その情報につきましては、既に各都道府県の方に、地域にお返しをして、使えるようにしているところでございます。
初年度のものといたしましては、高度急性期機能とか急性期機能、回復期機能、慢性期機能、それぞれの割合が示されて既に公表しているところでございますけれども、これを各県におきまして、自分の地域がどういった状況にあるかということを十分踏まえていただいた上で、またもう一方で、将来の見通し、二〇二五年にどのくらい必要になるか、これの計算式のガイドラインの方も、私ども厚生労働省の検討会の方の検討を踏まえましてお示しをしたところでございます。これを参考にしていただいて、将来の各医療機能ごとの必要数を各都道府県で構想を立てていただくということになるわけでございます。
その構想と実情を比較して、実現するための施策を各県ごとにお考えいただくというのが、地域医療構想ということになっているわけでございます。
○高橋(千)委員 将来の医療構想、やはりこれは、病床機能を再編することによって医療費の適正化が図られる、こういう議論は、厚労省の頭越しに、経済財政諮問会議あるいは産業競争力会議の議論の中で出てきたものがやられてきた中身なので、どうしたってそうならざるを得ないじゃないか。まして、それを露骨に、適正化計画とリンクせよというわけですから、これは本当に重大な中身だなと思っています。
これは引き続き議論していきたいと思うんですが、もう一つ、附則がついているわけですよね、第二条一項の検討規定。費用の適正化、保険給付の範囲、加入者等の負担能力に応じた医療に要する費用の負担のあり方について検討する、これは具体的に何を指しているんでしょうか。
つまり、費用の適正化ということで、医療費総額にキャップ制、かつてありましたよね、こういうことをイメージしているんだろうか。患者申し出療養だけではなく、混合診療ですとか、かつては免責制度ですとか、足切りのようなこともいろいろな議論がされました。そういうことが保険給付の範囲ということで議論されるんだろうか。そして、さらに負担増ということを議論していこうとしているんでしょうか。大臣に伺います。
○塩崎国務大臣 これから、医療費の適正化というのは、本当にその地域地域のニーズに合った形で行われなければならないというふうに思っております。
今後、高齢化等によって医療費が増大する中で、医療保険制度を長もちさせないといけない、持続可能なものにしなきゃいけないということで、その制度を構築するには、見直しに向けてさまざまな検討を絶えず繰り返していかなきゃいけないというふうに思います。
こうした見直しの事項として、今回の改正法案の附則において、医療に要する費用の適正化、そして医療保険の保険給付の範囲、さらには加入者等の負担能力に応じた医療に要する費用の負担のあり方を例示として列挙しております。そこに含まれる内容につきましては、幅広いものだというふうに我々は考えておりまして、現時点において、先生御指摘で御懸念のような、医療費総額のキャップ制とかあるいは混合診療とか、こういうものは想定をしていないということでございます。
○高橋(千)委員 想定をしていないと大臣はおっしゃいました。今はあくまでも例えばで言ったんですから、イメージするのはそういうものだよと言いましたけれども、今議論されているのは、厚労省の頭越しにやられている、言ってみれば官邸主導でやっているわけですよね。そうすると、一番最初の趣旨説明の中で国民皆保険を守りますと言っているのに、向かっている先は違うじゃないですか。
長もちと言いましたよ。持続可能なと、法律のところに名前がついています。本当に制度をきちんと維持しなければいけないんだと言っておきながら、ハイウェイ構想には幾らでもお金を出すわけでしょう。そうじゃないですか。一般の人たちがお金がなければとてもアクセスできないような最先端の医療には、ハイウェイで、国が丸抱えで支援をするわけでしょう。だけれども、日々の地域医療に対してはもうお金がなかなか出せないんだよという議論をしているんでしょう。それだとだめなんだということを何度も言っているわけです。
昨年の九月二十九日の総理の所信表明演説では、次の国会も、さらにその次も、今後、国会が開かれるたびに、特区制度の拡充を矢継ぎ早に提案させていただくと発言をされているんですね。ですから、ドリルの刃ということを前に発言されていますけれども、一度穴をあけたら、一旦は大丈夫かなと立ちどまって検証したりするのが普通だと思うんですけれども、あけたら最後、どんどん大きな穴をあけていくというのが総理のお考えなのかなというふうに思うんですね。
やはりそこに対してしっかりと物を言わなければ、医療、介護の適正化と、今私が指摘した病床再編、地域医療ビジョンに関する医療費支出の目標の導入、そして医療・介護情報のICT化などは、本当に官邸の中で、社会保障改革推進本部が議論をしている中身なわけですよね。そういう中で、言ってみれば、今、法案審議をやっているのと同時進行でワーキンググループの議論がされていて、だから検討規定なんだと。
法案ができたときには想定していなかったものがどんと出てくるということになってはならないので、想定しておりませんではなく、ないように、大臣が本当に体を張って頑張っていくとか、やはり厚労省としてはそういう立場に立たなければ。そういうことの決意を最後に伺っておきたいなと思います。
○塩崎国務大臣 今回初めて取りまとめられるこの地域医療構想というのは、初めて試みられるものであって、あくまでも、この名前のとおり、地域の医療がどうあるべきかということを都道府県に考えてもらう。供給体制をどうするかとか、いろいろな形で地元というかそれぞれの地域で議論が行われることになるわけでありまして、もちろん、国家財政の問題から無縁であるわけはないので、勝手なことをばらばらにやるわけにいかないことは間違いないわけでありますけれども、あくまでもこれは、地域の医療のニーズとマッチした形のビジョンというものを責任を持って地方が考えてもらう。
そのための大きな考え方をガイドラインとしてもう既に三月に厚労省からも示しているわけで、決して、官邸が頭ごなしに何か地方に命ずる、圧力をかけるみたいなことでやるわけではなくて、あくまで我々は、国民の健康、言ってみれば命を守るための医療をしっかりこの新しい仕組みの中でどう実現ができるかということを、この医療構想やさまざまな新しい制度、そして何よりも今御審議をいただいている新しい保険制度の中で、みんなで考えていこうと。
都道府県だけではなく、市町村とともに都道府県が保険者となるということでありますし、そういうことはみんなでやろうということでありますので、どこか遠くから命令が来て何とかというようなことは、我が国は民主主義でありますから、決してそういうことはないということを申し上げたいと思います。
○高橋(千)委員 また続きをやりたいと思います。
終わります。
――資料――