「残業代ゼロ」 長時間労働野放しに
高橋議員「監督指導根拠なくなる」
日本共産党の高橋千鶴子議員は15日の衆院厚労委員会で、政府が導入を狙う「残業代ゼロ」制度について、サービス残業などに対する監督指導の根拠もなくなり、違法な長時間労働を野放しにするものだと追及しました。
高橋氏は、サービス残業(残業代未払い)の是正総額が2001年からの13年間で2160億円を超え、厚労省が昨年実施した過重労働への監督指導でも、5割の職場で違法な時間外労働がおこなわれていたと紹介し、指導監督の強化を求めました。塩崎恭久厚労相は、「監督指導の強化を図っている」とこたえました。
高橋氏は、労働時間に関する労基法の規定を「残業代ゼロ」制度で適用除外とすることから「過重労働への監督指導も根拠を失うことになる」とただしました。
塩崎厚労相は、同制度では「賃金不払いも想定されなくなる」と述べ、事実上指導監督の根拠がなくなることを認めました。「いってみれば残業代込みの制度」だとも述べ、不払い残業を合法化することになると認めました。
高橋氏は同制度対象となる年収1075万円超の労働者について、今でも長時間労働を強いられているが、1075万円は基本給分であり、対象となれば残業代が支払われなくなると指摘しました。
厚労省の岡崎淳一労働基準局長は1075万円は「確実に支払われることが見込まれる額」だとのべ、残業代が支払われないことを「労働者に説明し同意してもらう必要がある」と述べました。
高橋氏は「成果がでれば賃金は上がるのか」と追及。岡崎局長は「成果が上がった場合に賃金が変わるという成果型の賃金を前提とはしていない」と述べ、成果が上がっても賃金は上がらないことが浮き彫りになりました。
(しんぶん赤旗2015年4月16日付より)
国保料は市町村の判断
高橋議員に厚労相
日本共産党の高橋千鶴子議員は15日の衆院厚生労働委員会で、国民健康保険(国保)の財政運営を都道府県に移す計画に関して、都道府県が市町村などに口出しして保険料値上げなどを押し付けることはあってはならないとただしました。
今国会に提出されている医療保険改悪法案では、都道府県が市町村ごとに、一般会計からの繰り入れを行わせない「標準保険料率」を示すことになります。
高橋氏の質問に塩崎恭久厚生労働相は「標準保険料率を参考にして適切な保険料の設定に取り組んでいただくもので、市町村の判断で最終的にお決めいただくことになる」と答え、保険料率を決めるのは市町村の判断だとのべました。
高橋氏は、高すぎて払えない保険料を抑えるために全国の自治体で計3500億円にのぼる一般会計からの繰り入れを行っていることをあげ、「繰り入れをやめろとか、一律の保険料にするというものであってはならない」と指摘しました。
(しんぶん赤旗2015年4月17日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
まず、昨日の本会議質問に関連して、二点伺いたいと思います。
まず、乳幼児医療費無料化の問題なんですけれども、私が昨日伺ったのは、市町村が独自に窓口無料化をやっている場合に国庫負担を減額調整している、これをやめるべきではないかという質問でありました。
この問題は、非常に、これまでも何度も取り上げてきましたし、また多くの方が取り上げました。特に、ことしの予算委員会の分科会で我が党の梅村さえこ議員や斉藤和子議員が質問し、また、昨日は、参議院の厚労委員会で小池議員も質問をしております。
そこで明らかになっているのは、国庫負担の減額調整をされているのは三百八十億円であるということ。一方、就学前までということをもし国が仮にやったとして、そのときの、就学前というのはほとんど市町村で実施をしているので、新たな波及増がない、新たに予算がうんとかかる、そういうことはないというのがこれまでの答弁、きのうの答弁でも明らかになったと思うんですね。
それで、実際の十年間の変化の資料を一枚目につけました。
左側を見ていただきたいんですけれども、都道府県で見ますと、十年間で、通院で見ますと、二〇〇五年十二から二〇一四年三十九。これは、就学前までとそれ以上、つまり、小学校六年生でもいいし中学生でも、全部入るわけなんですね。それが県の場合です。
ところが、市町村の場合はもっと大きくて、十五歳年度末、つまり、中学校卒業までとそれ以上、高校生なども入るのが、二〇〇五年は四十二だったのが、二〇一四年は千百三十四で、実に六六%まで広がっているということが見てとれるかなと思っております。
そこで、私が大臣に伺いたかったのは、自治体の取り組みをどう受けとめるかと聞いたんですね。その認識なんですよ。つまり、拡充していますねとか、適切に判断されているとおっしゃったんですけれども、そういうことじゃなくて、自治体の思いですね。なぜここまで広げてきたんだろう、頑張ってきたんだろうということを率直に評価してもらいたいなというふうに思って伺ったわけなんです。
そのことでぜひお答えいただきたいなと思うのと、適切に判断してやっていると答弁をされたんですから、それを減額調整するというのはやはり理屈が通らないと思うんですね。やめるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 昨日の本会議で、地方の単独事業について、今御指摘の適切に判断されているというふうに答えた趣旨というのは、乳幼児などへの医療費助成が、各自治体の実情を踏まえて、まさに思いを持って、各自治体の判断によって独自に取り組まれているものであることを答えたつもりでございます。
このような地方単独事業によって窓口負担が軽減される場合、一般的に医療費が増加するために、限られた財源の公平な配分の観点から、増加した医療費分の国庫負担を減額調整してきているというのが今までの話であります。
いずれにせよ、この国庫負担の調整措置の見直しについては、地方公共団体の方からも要望が出ておりますので、現行制度の趣旨とか、あるいは国保財政に与える影響などをよく考慮して、引き続き議論をしていく必要があるというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 今までは医療費が増加するからと答えていたんだということでしたので、多分認識が変わったというふうに受けとめてよろしいのかなと思いますね。
この問題は、私は何度も質問しているんですけれども、実はこの委員会に私が初めて来て、初めて来たというのは、委員になる前に差しかえで来て初めて質問したのがこの問題だったんです。そのときも、乳幼児医療費無料化を国の制度にせよ、ペナルティーをやめよということを質問したんですが、当時は坂口大臣でして、全ての自治体が何らかの助成制度をしていることをどう受けとめますかという問いに対して、それぞれお取り組みをいただいているということを私もよく承知している、大変敬意を表しているとお答えをいただいたんですね。だから、それから十年たっているので、十年間の変化を見たんです。
そうすると、自治体の取り組みはこれだけ広がった。まさに思いなんですよ。実は私の地元の青森市でも、つい先月、中学生まで無料化するということが市議会で可決されまして、本当に市民が喜んでいます。出生率改善対策の目玉なんだと市長が言って、でも、最初は反対されたんですね。自公民に反対された。でも、それでも最後は可決まで来たわけなんですね。
やはりそういう思いを持って自治体が取り組んできたのに、国はまだペナルティーと言っているのか。そういうことを思うと、もうこれは決断の時期だということを重ねて言いたいと思うんですね。
多分、それは、きのうの参議院の答弁ぶりを聞いていても、引き続き検討すると言っていますので、ぜひ、もうステージが変わったのかなと受けとめさせていただきたい。そうでなければまた答弁をしていただければと思いますが、そういうことで、頑張っていただきたいということで、次に進みたいと思います。
もう一つ本会議で伺ったのは、国保の県管理の問題なんですね。そのときに、市町村が決める保険料率には口を挟まないということをちゃんと答弁していただきたかったんですが、少し明確でなかったので確認をしたい。お願いします。
○塩崎国務大臣 今回の国保改革、保険改革によって、国保の財政運営の責任主体となる都道府県は、市町村ごとの医療費水準それから所得水準に応じて各市町村が負担する納付金を決定するとともに、各市町村が納付金を納めるために必要となる保険料の標準的な水準でございます市町村ごとの標準保険料率を示すこととしているわけでございます。
各市町村においては、納付金の納付に支障のないように、都道府県の示す標準保険料率を参考に保険料の適切な設定に取り組んでいただくべきものと考えておりまして、都道府県と連携をしながら、適切に厚労省としても対応してまいりたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 ですから、いろいろな思いがあると思うんですよ。
というのは、きのうの大臣の答弁を読んでいても、一般会計からの繰り入れの必要性は相当程度解消するものと考えていますがと言っている。つまり、今、三千五百億、自治体が一般会計から繰り入れしている、そのこと自体をよくないと思っている。多分、国はそうですね。だけれども、そうやって保険料を下げる努力をしているということに対して、国はいろいろ思いがあるかもしれないけれども、しかし、それを一律にならして、やめろとか、県一律の保険料にするんだとか、そういうことを言うものではないんだということをとにかく確認さえできればいいんです、きょうは。
○塩崎国務大臣 さっき申し上げたように、標準保険料率を都道府県が示すわけでありますけれども、これは参考にしていただくということになっておりますので、保険料の適切な設定に市町村は取り組んでいただくべきものでございまして、そこは、市町村の御判断というのが最終的な、お決めをいただくところだというふうに思います。
○高橋(千)委員 きょうはそこだけをまず確認したかったんです。あとさまざまなことは、また法案の審議の中でやりたいと思います。
そこで、きょうは、労働時間法制に関して質問したいと思います。
サービス残業という言葉は今やポピュラーな言葉になっていると思いますが、このサービス残業という言葉を初めて国会で取り上げたのは、一九七六年五月六日の我が党の沓脱タケ子参議院議員、参議院の予算委員会の公聴会の中で、働く婦人の中にサービス残業という言葉が頻発している、そういう表現で指摘をしているんですね。それから、何と、日本共産党国会議員団が衆参でサービス残業について取り上げた回数は三百三十回以上に上ります。本当に執念を持ってやってきたわけです。
そこで、いわゆる四・六通知、二〇〇一年、平成十三年四月六日に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」が出されました。以降、資料の二枚目にあるように、この十三年間、この通知に基づいて、不払い残業があるという申告に基づいて是正をされた額、これが総額で二千百六十億五千五百九十八万円に達しております。直近の二〇一三年では、資料にあるように、支払い総額は百二十三億円です。
内訳は、実は、一企業当たり百万以上の割り増し賃金が支払われた事案は千四百十七企業あります。百二十三億四千百九十八万円、十一万四千八百八十人に支払われているわけですね。どちらかというと高どまりしているというか、そういうことが言えるかなと思うんですね。
この特徴、傾向について、大臣の所感を伺いたいと思います。
○塩崎国務大臣 今委員御指摘になられました是正額でありますけれども、この結果は、全国の労働基準監督署が各年度に賃金不払い残業、いわゆるサービス残業について是正を指導した結果、割り増し賃金が支払われたもののうちで、その額が一企業で合計百万円以上となった事案の状況を取りまとめたものでございまして、近年の傾向としては、企業数、働く方の数、それから是正支払い額について、平成十九年度以降減少傾向には転じておりまして、平成二十一年度以降はおおむね横ばいということで推移をしてきておりますけれども、直近、二十五年度は若干増加をしたというところでございます。
こうした状況は、労働基準監督署が賃金不払い残業が疑われる事業場に対して優先的に監督指導を実施したということも一因でありますし、これは、今後とも、賃金不払い残業の解消を図るためにしっかりと監督指導を実施しなければならないなというふうに思うところでございます。
○高橋(千)委員 今、疑われる事業場を優先的に監督したということをおっしゃいました。これは、ブラック企業の重点監督のときもそういう取り組み方をされて、現場の苦労が非常に実っていると言えなくもないし、同時に、おおむね横ばいであるということにやはり深刻なものを感じるわけなんです。
それで、一企業での最高支払い額というのは、実は四億円を超えているわけですね。そうすると、そもそも不払い残業代だけで四億円を超えているというのはどれだけ大きな企業かなということをまず想像するわけですけれども、是正勧告を繰り返し受けている企業もあるんじゃないか、そのことを確認したいのと、また、そういう企業があるとすれば、どのような対策をとっていくのか。お願いします。
○岡崎政府参考人 二〇一三年度分で公表した企業の中には、繰り返し是正勧告を受けている、こういう企業も存在しております。
いずれにしましても、賃金不払い残業そのものがあってはならないということでありますので、しっかりと対応しているわけでありますが、繰り返し対象になるようなところについては、より厳しい指導をし、場合によっては書類送検を含めた厳しい対応をしていっているということでございます。
○高橋(千)委員 公表などはしないんですか。
○岡崎政府参考人 これまでの方針としましては、書類送検をした場合につきましては、その企業名を含めて公表しているということでございます。
○高橋(千)委員 では、過労死等防止対策推進法を受けて、過重労働解消キャンペーンが昨年十一月に取り組まれて、重点監督を実施いたしました。
その概要について伺います。
○岡崎政府参考人 先生御指摘のように、過労死等防止対策推進法が昨年十一月に施行されましたので、この機を捉えまして、賃金不払い残業あるいは過重労働が疑われる企業に対します重点監督を行いました。
対象事業場は、四千五百六十一事業場でございました。このうち、約八割の事業場で何らかの労働基準関係法令の違反がございましたが、そのうち、特に重点事項としました労働時間の関係で申しますと、約五割の事業場で違法な時間外労働が認められました。また、約二割の事業場におきまして賃金不払い残業が認められたということでございます。
いずれにしましても、違反が認められた事業場につきましては是正勧告をし、その後、企業によっては継続的な指導を行っているという状況でございます。
○高橋(千)委員 八割で労基法違反があり、時間外労働だけでも五割ということが指摘されたと思うんですね。
その監督事例について、幾つか資料につけました。資料の三枚目を見ていただきたいんです。
驚いたんですけれども、この事例の一、最も長い労働者で月二百七十時間を超える違法な時間外労働を行わせていたほか、四十五時間分以上の残業代を支払わず、かつ、休憩時間がない実態も認められた。
そうすると、これは、二百七十時間というのは違法な分ですから、八時間は入れない、四十五時間も、雇用契約にあるので入れないわけですよね。プラス二百七十時間といったら、一日何時間働いているんだろう。休まず働いても、二十時間くらい毎日毎日働いている計算になるんじゃないかなと思うんですよね。これは大変な中身じゃないか。
事例の二は、月二百八十時間違法な働かせ方をしておきながら、労働時間を改ざんして、三六協定の上限の八十時間にほぼ統一されていた。極めて悪質な中身であると思っております。
こういう、もう一刻の猶予もならないわけで対応したというのは書いているんですけれども、どのような対応をしたのか。それから、再発防止策として、当然、それは一般論ではなくて、フォローしていく必要があるんですけれども、どのようにされているのか。
○岡崎政府参考人 それぞれの企業につきまして、今先生からもお示しいただいております資料にあるような対応を、それぞれ、その時点ではしたところでございます。
しかしながら、いずれにしましても、先生も御指摘のように、相当長時間にわたる、放置できない状況ということでありますので、一回是正指導したということではなくて、このような事業場につきましては、きちんと直っているかどうか、これをちゃんとフォローしている。そして、それぞれの事案によりますけれども、是正していただけない悪質な場合につきましては、私どもとしては、書類送検を含めてしっかりと対応していきたいというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 さっきのサービス残業もそうなんですけれども、同じ企業が繰り返している。つまり、見つかったら仕方ない、払うけれども、見つからなかったらもうけもんということが横行しては絶対ならないということなんですよね。それで、今、きちっと再発防止策、フォローをしていくというお答えがあったと思うんです。
右の方は、事例の九なんですけれども、長時間労働などを原因とする労災請求、精神障害による自殺などがあった事業場において、被災した労働者の他の労働者に対しても、やはり百時間を超える違法な時間外労働などがあった、そういうことを見つけて指導しているということが、これは事例の九もそうだし、事例の十もそうなので、一つ二つじゃなくあったということも、これはすごく重要だと思うんですね。
というのは、これは、私自身、何度か過労死問題を取り上げてきましたけれども、過労死あるいは過労自死が問題になったときに、その方が亡くなっても、周りの人は、同じ職場の人は亡くなっていないじゃないか、裁判でそういうことがよく議論されちゃうんです。だから、あなただけ何か特別に自分で好きなことを、命令されていないのに働いたんじゃないかとか、もともと持病があって病気になったとか、もともと心が弱くて耐えられなかったのであって、この仕事のせいじゃないんだとか、そういうことが何度も何度もあるんです、そういう裁判が。
私は、そうじゃないと。やはりそれは、同じような寸前の人がいるんだという立場に立たなければ繰り返されるということだと思うんですけれども、大臣、ぜひこの点での認識を伺いたいと思います。
○塩崎国務大臣 先ほど局長からも説明したとおりであります。昨年十一月の過重労働解消キャンペーン月間において、相談等の各種情報から、長時間労働が行われており、労働基準関係法令違反の疑いがあると認められる事業場、それに加えて、長時間の過重労働による過労死等の労災請求が行われた事業場などに対しても重点監督を実施いたしました。
この重点監督において、労災請求の対象となる方だけではなくて、今先生御指摘のように、事業場全体の働く方の労働条件を確認しました。違法な長時間労働等の問題が認められた場合には、改善を図るように厳しく指導したところでございます。
さらに、本年一月から、月百時間超の残業が行われていることを把握した全ての事業場等に対する監督指導を徹底してきておりまして、さらに、この四月には、複数の労働局にまたがる過重労働に係る事案等に対応するための特別チーム、過重労働撲滅特別対策班、通称かとくと言っておりますが、これを東京と大阪労働局にそれぞれ新設をいたしました。私も東京の方は実際に行って、スタートのときに激励をしてきて、精励するようにお願いをしてまいりましたが、働き過ぎの防止に向けた監督指導の強化を図っているところでございます。
こういう取り組みをあわせ行うことで、働く方が適切な労働環境のもとで働くことができるように労働基準関係法令の遵守に努めてまいりたい、こう思います。
○高橋(千)委員 頑張っている話をしておりましたけれども、問題は、この監督指導事例に書いてあるように、労働基準法第三十二条ですとか第三十七条、第三十四条、こうしたものを根拠として監督署が対応しているわけですよね。
だけれども、今国会に提出されている労基法改正案では、いわゆる高度プロフェッショナル労働者、この方たちは、四十一条の二で、労基法第四章、年休を除く全てが適用除外とされている。まず、その意味を確認したいんです。
つまり、いわゆるサービス残業も、今大臣が力を込めた過重労働の監督指導も、その根拠を失うということになりませんか。
○塩崎国務大臣 高度プロフェッショナル制度におきましては、労働基準法第四章で定める項目のうち、労働時間、休憩、休日及び深夜の割り増し賃金に係る規定を適用除外とする制度でございまして、同じく第四章にございます年次有給休暇に関する規定については、この制度の対象となる方にも適用されるものでございます。
○高橋(千)委員 ですから、年休を除くと言ったじゃないですか。
年休を五日とれば、あとは全部要らないということになっちゃうんですよ。だから、根拠を失うことにならないかと言っています。
○塩崎国務大臣 この制度のもとでは、健康確保のための充実した措置を講じた上で、割り増し賃金等の労働時間規制を法律上、適用除外とするものであるために、先ほど来お話が出ていました、例えば賃金不払い残業といったものは想定もされなくなるわけでございます。
そもそも、この制度は、制度の対象となる方の年収について、全ての働く方の平均給与額の三倍を相当程度上回ることを法律上に要件として定めると同時に、制度を選んだことで将来の残業代見合い分の年収が下がらないよう、法律に基づく指針に規定をし使用者の対応を促すことから、言ってみれば、残業代込みの制度とお考えをいただければというふうに思うわけでございます。
一方で、この制度のもとで働く方が実際に長時間労働になった場合には、医師による面接指導の実施を使用者に対して一律に罰則つきで義務づけることとしておりまして、これに関する監督指導を行う際に、過重労働の状況を含めた確認を行ってまいりたいと考えているところでございます。
○高橋(千)委員 今答弁していて、やはり矛盾すると思うんですよね。
だって、不払いが想定されなくなると言いながら、残業代込みだと言ったわけでしょう。だから、見えなくなるだけなんですよ。これは、払わないと言っているだけなんですから、必要なくなるわけじゃないんです。残業がなくなるわけじゃない。と言っておきながら、長時間労働の場合は健康確保措置をすると言っているわけでしょう。
では、どこから長時間なんですか。時間に左右されない人だと言っているじゃないですか。全く理屈が通らないですよ。違いますか。
○塩崎国務大臣 これは、健康管理時間という考え方を導入いたしまして、在社時間、それから社外での労働時間の合計を健康管理時間として把握をするわけでございます。これは、一カ月当たり大体百時間をめどに、これを超えた場合ということで考えていきたいと思っております。
○高橋(千)委員 千七十五万を超す高収入の人が長時間労働している場合、ないとは言えないですよね、残業代は含まず、基本給で一千七十五万という意味でよいか。まず一つです。
だとすれば、同意する文書を結ぶことになっています。建議によると、「法律上、対象労働者の範囲に属する労働者ごとに、職務記述書等に署名等する形で職務の内容及び制度適用についての同意を得なければならない」と書いているんですね。「これにより、希望しない労働者に制度が適用されないようにすることが適当」となっている。ですから、これに同意しないことで不利益取り扱いはしないということもちゃんと条文に書いている。
問題は、では、その同意文書というのはどういうものか。仮に、一千七十五万が基本給だとして、何百万の残業代が出るんです。それはもう出なくなるよということもちゃんと理解して、説明する必要があると思いますが、いかがですか。
○岡崎政府参考人 これから省令で定めますが、一応千七十五万を想定している。その場合の対象の賃金でございますが、これは一年間に支払われることが確実に見込まれる賃金ということを考えておりまして、名称のいかんにかかわりませず、あらかじめ具体的な額が支払われることが約束されているという考え方でございます。
したがいまして、基本的には労働時間と切り離してという制度でありますが、そういう要素が入った賃金制度が仮にとられたとした場合でありましても、それによって金額が変わるようなものはここには入ってこないという考え方でございます。したがいまして、基本給以外にも確実に払われることが決められているものを含めてその額を判定していくということでございます。
そして、職務記述書の中で、業務、どういう成果を求めるかということとともに、それに対する報酬、賃金が書かれる、それで同意していただくというわけでありますが、その際に、それがどういう賃金であるかということが理解されていなければ、これはちゃんとした同意になりませんので、そこのところは、成果というか業務の中身とともに、それに対してどういう形で賃金が払われるか、それを十分に説明した上で同意していただく、こういう方法にしていく必要があるというふうに考えております。
○高橋(千)委員 では、残業代が何百万消えるよということもちゃんと理解した上でという話だと思います。
そうすると、高度プロフェッショナルは、時間ではなく成果でと言いますけれども、成果主義賃金ではない。条文上はありません。そこを確認したいです。逆に、残業代が出ないかわりに、成果を上げれば賃金アップという意味ではないというわけですよね。実際に、成果主義賃金では収入が一定しないため本制度には向かないと思いますが、いかがですか。
○岡崎政府参考人 成果主義賃金ということの意味にもよるんですが、これは、職務記述書で、業務の中身としてこういう成果を求めている、それに対してこういう賃金を払いますということでありますので、仕事の仕方によってより成果が上がった場合に賃金が変わるという意味での成果型の賃金ということであれば、それを前提にはしていない。
ただ、もちろん、最低が千七十五万円の上に、それをプラスアルファした、成果を含めた賃金制度ということであれば、そういうものが含まれないわけではないということだというふうに考えております。
○高橋(千)委員 次、またの機会に質問します。
終わります。
――資料――