就労不能に賠償続けよ
衆院委で高橋議員 国と東電の対応ただす
日本共産党の高橋千鶴子衆院議員は2日の復興特別委員会で、東電福島第1原発事故に伴う避難生活で減収や失業状態になった人たちに支払われていた「就労不能損害」賠償の打ち切り問題について質問しました。
賠償打ち切りは昨年2月に東電が発表。福島県弁護士会や地元自治体は「被害者の実情に応じた賠償の継続」を求めています。
高橋氏は、「避難先での安定雇用など考えられない」「働きたいが仕事が見つからない」との被災者の声を示し、政府の対応を迫りました。高木陽介経産副大臣は「個別の事情を聞きながら賠償する」と答弁。高橋氏は、個別の事情を考慮し賠償が延長された例がないことを示し、丁寧な対応を求めました。事故にともなう汚染土などを保管する中間貯蔵施設について、高橋氏は「浪江町など汚染土の搬出元自治体との安全協定も考えるべきではないか」と提案。環境省高橋康夫審議官は「福島県などとよく相談する」と答えました。
高橋氏はまた、福島県の市町村が行った除染費用のうち国が東電に請求した761億円のうち東電側が約2%しか応じていない問題をただしました。東電からぼう大な申請書類の提出を求められ、それが自治体の負担になっています。高橋氏は手続きの簡素化などを求めました。
高木副大臣は「東電にしっかり指導していく」と答えました。
(しんぶん赤旗2015年4月3日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
東電福島第一原発事故による避難によって就労が困難となり、減収または失業状態となった方たちに対して支払われていた就労不能損害が、ことし二月で打ち切られました。これまで支払われた、あるいは合意済みの賠償額は二千二百三十八億円、延べ一万一千六百件と聞いております。ことし二月末というのは、実は昨年の二月に東電が発表したものであります。
しかし、その時点で、福島県弁護士会も、被害者の個別事情を無視して一律に上限、つまり、賠償終期を決め、原則として就労不能損害の賠償を事実上打ち切るもので、著しく不当なものであると厳しく指摘をしております。
また、地方公共団体からは、営業損害と並んで、避難による被害が継続する限り、被害者の実情に応じた賠償を継続することと要望が出されていたと思います。
営業損害については、とりあえず、二月打ち切りは見送られたものの、就労不能損害については切られてしまいました。
なぜ一律に、しかも加害者である東電が一方的に打ち切るのでしょうか。
○高木副大臣 今御指摘のございました就労不能損害でございますけれども、これは、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会が定めた中間指針を踏まえまして、平成二十六年二月末、いわゆる去年の二月末を終期、いわゆる終わりとして、避難指示区域内にお住まいのあった方、またはお勤め先があった方のうち、原発事故に伴う避難によって就労が困難になる、減収または失業となった給与所得者を対象に賠償を行うこととしてまいりました。
昨年の三月以降については、平成二十七年二月末までの間、就労意欲があるものの、就労ができていない方を対象にさらに賠償を行うこととし、昨年春に、賠償している方々に対しては、その旨をダイレクトメールの形でお知らせしてまいりました。
今回、本年二月末に賠償の終期を迎えるに当たり、その時点で賠償している方々に対し、改めて、本年三月以降は、就労意欲があるものの、障害をお持ちであることなどの個別のやむを得ない理由で就労が困難である方々については、個別の事情を具体的に伺いながら賠償することとし、その旨を賠償している方々にお知らせをいたしました。
いずれにせよ、将来に向けて適切な賠償と自立のバランスをとっていくことが重要であって、一方的な打ち切りというより、むしろ、これまで就労不能を前提として一定の要件のもとで賠償支払いを行ってきたものを、就労が困難である方々については個別の事情を具体的に伺いながら賠償する、こういう段階に移ってきたものと承知をしております。
○高橋(千)委員 今寄せられている相談や実態というのはまさに就労意欲がある方、そういう方たちばかり、そう言わなければならないと思うんですね。
資料の一枚目に毎日新聞の二月二十七日付をつけておきましたけれども、福島県南相馬市の化学薬品メーカーで研究職だった遠藤和也さん、富岡町から家族四人で避難をしたと。これを全部読んでいると時間がありませんけれども、ハローワークに五十回以上通った、でも面接にたどり着けたのは四社、いずれも採用されず、期限つきの派遣と就職活動を繰り返している、今は日給の検査の仕事をしている、こういうふうに書いているわけですよね。
その後ろの方は、本当に、原発にかかわる仕事をしてきて、まさに誇りを持っていて、戻ってこういう仕事をしたいという思いを持って踏ん切れないでいた、こういうことが書かれていると思うんです。
例えば浪江町や南相馬の私どもの地元の議員さんのところにも、たくさん相談が寄せられております。県外に避難している方から、今の臨時の仕事がいつまで続くか、避難先での安定雇用など考えられない、働きたいが仕事がない、臨時の仕事で、日雇い三カ月とか半年で、ちゃんとした仕事がない、個別解除されても子供がいるので戻れない、こういうふうに訴えられているんですね。
今、個別の事情に応じてとおっしゃいました。ですが、聞いたところによると、個別の事情で延ばしてくれた方はまだ一件もないと聞いております。
しかも、一方では、避難解除されて一年以内に帰還した方は、その間、その後一年だけは延長しますと決めているんですよね。だから、自分が決められるか、納得できなくてもとりあえず帰りなさい、そうすればまだ延長しますよ、こういう選択を迫るのでは全くおかしいんですね。個人だからこそ声が上げにくいんです。
このことをしっかり踏まえていただいて、重ねて丁寧な対応をお願いしたいと思いますが、もう一言お願いします。
○高木副大臣 今御指摘のあった新聞記事を私も読ませていただきました。それぞれ個別の事情はあると思います。まさに今委員の御指摘のあったように、やはり被災者の方々にしっかりと寄り添うことが一番大切であると私たちも考えております。
その一方で、雇用の問題でハローワークに何度も足を運ばれて、年齢の問題だとかそういったことでなかなか適切な就労ができない、こういう現状もあると思われます。
そういった観点をしっかりと踏まえて、私ども経済産業省も、省を挙げてしっかりと雇用の場をつくっていこうということで、今、省内にプロジェクトをつくらせていただきました。
というのも、やはり、企業誘致立地補助金等々がございまして、浜通り地域にはなかなか企業が立地していない、こういう現状がある中で、しっかりとそういうことも国を挙げてバックアップをしながら、まさに雇用と生活、そしてそういったことが全体として成り立つような形でしっかりとバックアップするように、私どもも努力を重ねてまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 重ねて指摘をしますが、やはり、この就労不能損害を当てにして何もしていないのではなくて、本当に、自立をしたい、働きたい、そう思って頑張っている人たちが、支えとなっている損害をただ打ち切られるのは困ると言っているんだ、そこを本当に押さえていただいて、もちろん就労支援をやっていただくということでしたので、そのことと個別の事情をしっかり踏まえていただきたい、お願いをしたいと思います。
次に、三月十三日、中間貯蔵施設予定地への試験搬送が開始されました。除染による汚染土などは県内四十三市町村から最大で二千二百万立米搬入する計画ですが、予定地内の用地確保はほとんど進んでおりません。そのために敷地内の一時保管場所への運び込みにとどまり、一年間予定どおり進んだとしても、予定の容量の〇・二%にすぎないわけです。それでも汚染土を早く運び出してほしいという搬出元の要望もある。でも、一方では、双葉、大熊両町の地権者らは、搬入に向けた説明がなかった、土地買い取りの条件も話し合っていないのに、なし崩しで施設がつくられるのではないかと不満の声を上げています。
確認をしたいのは、あくまで今回の搬入はモデル搬入であり、地権者の意向を踏まえ、一方的に進めることはないということをお願いいたします。
○福山大臣政務官 建設予定地の住民の皆様には、先祖伝来の土地を手放さなければならないなどのさまざまな思いがあることは承知をいたしております。用地を確保し、事業を推進していくためには地権者の皆様の同意が不可欠であり、親身に寄り添って丁寧な説明を尽くしていくことが重要であると考えております。
昨年の十月には、大熊、双葉両町長より、地権者への丁寧な説明を行うよう、小里副大臣とともに要請を受けております。私からも、日ごろ、職員に対して、地元の方々の御事情に合わせてこれまで以上に親身に寄り添った丁寧な説明をするように指示をしているところであります。用地担当の職員の増員も行いつつ、地権者の皆様に御理解いただけるよう、今まで以上に精力的に丁寧な説明を行ってまいりたいと思っております。
また、輸送ルートや安全対策について記載した資料について、住民の皆様への配付やホームページにて周知するとともに、中間貯蔵施設に関するコールセンターや相談窓口を設置しており、引き続き、一人一人の皆様のさまざまな疑問や御意見に対応してまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○高橋(千)委員 政務官、丁寧と親身を何度もおっしゃっていただきましたが、本当にそれが具体化していくようにお願いをしたいと思うんですね。
それで、資料の二枚目以降に、双葉、大熊両町と県、そして環境省が結んだ安全協定をつけておきました。これをちょっとめくっていただいて、3の第十条に「適切な措置の要求」ということがあります。アンダーラインを私が引きました。「中間貯蔵施設の周辺地域の安全の確保のため特別の措置を講ずる必要があると認めた場合は、丙に適切な措置を講ずることを求めることができる」、また、二のところで、「中間貯蔵施設の建設又は中間貯蔵施設への除去土壌等の搬入の停止を求めることができるものとする。」と。
この適切な措置が必要な場合というのはどういう場合かということと、搬入と建設を停止することができる、このことを確認したい。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、中間貯蔵につきまして、県、両町、それから環境省の間で二月二十五日に環境安全協定を締結いたしました。
この協定の第十条第一項におきまして、協定に基づいて行われる異常時の連絡、立入調査または状況確認の結果、これらの結果に基づきまして、中間貯蔵施設の周辺地域の安全の確保のため特別の措置を講ずる必要があると県、両町が認めた場合には、県、両町は環境省に適切な措置を講ずることを求めることができるということになってございます。
また、同じく、協定の第十条第二項におきまして、県、町からの適切な措置の要求を受けて環境省が対応するまでの間、県、町は中間貯蔵施設の建設または中間貯蔵施設への除去土壌等の搬入の停止を求めることができるということになってございます。
○高橋(千)委員 搬入の停止、建設の停止も含めて求めることができるということを確認させていただきました。
異常時における連絡というのは、第七条のところに異常時というのがどういうものかというのを書いてあるわけですが、例えば「モニタリングにおいて、放射線量等の異常を検出したとき。」、この「異常を検出したとき。」というときに、基準がどうかではなくて、今の状態よりも極端に上がったとき、こういうような形で異常というのだとお聞きしました。最初から基準を高くしておくとかそういうことではなくて、しっかりと変化を見ていくというのは非常に大事なことだと思っております。
そこで、搬出が本格化すれば交通量が多くなります。搬出元の自治体、ルート周辺などの市街地の住民の不安も大きいです。モデル搬入の期間だけでも十トントラックが一日二十五往復、ピーク時になると約三千七百往復に上るとも聞いております。幾ら高速道路でとまらず走るといっても、台数が多ければ当然同じですし、各自治体の積み込み場、一旦仮置き場から集めてくる場所があるんですね。そこから高速に乗せるまで、当然市街地の中を走るわけです。不安が大きいのは当たり前です。ですから、双葉、大熊町だけではなく、浪江町など周辺自治体との安全協定を考えるべきではないか。
また、この安全協定に基づいて、資料の5につけてあるんですけれども、環境安全委員会というものがございます。これは、中間貯蔵について報告を求めたり監視を求めたりする委員会があるわけですけれども、結局、両町と、双葉、大熊と県の代表だけが入ることになっているわけなんです。これにもほかの町の首長や住民代表も参加させるべきではないでしょうか。
○高橋政府参考人 この安全協定につきましては、昨年の九月、県から建設の受け入れをいただいたときに、搬入受け入れのための五つの項目の一つとして、県それから両町と環境省との間の安全協定の締結というのがございまして、それを踏まえて行ったものでございます。
委員御指摘のとおり、両町以外にも当然、輸送もございますし、さまざまな影響がございます。そういうことで、両町以外の市町村あるいは議会などに対しても、これまでもさまざまな御説明をしてまいりましたし、今後とも丁寧に説明をしていきたいと思っておるところでございます。
御指摘の、現在の協定あるいは安全委員会との関係をどうするかという御指摘については、これまでの経緯もございますので、福島県などの関係者とよく相談をさせていただきたいと思っております。
○高橋(千)委員 県から言われたのが双葉と大熊だったからというのが単純な答えなんですね。だけれども、相談されていないほかの町にしてみれば、自分たちだって、本当に、自分たちのところを通るのに、一体どうなるのか、発言権がないのかと思うのは当然であります。幾ら説明したって、さっき私が指摘をしたような権限がないわけですから、周辺の自治体でもしかしたら同じような被害をこうむるかもしれないのに、一旦停止するべきじゃないかとか、そういうことを言う権限がないわけなんです。ですから、そういう意見が周りから出てくるのは当たり前です。ぜひここは検討をしていただきたい、重ねて要望をしたい、このように思います。
さて、そこで、資料の六枚目を見ていただきたいと思うんです。
これは三十日付の福島民報であります。他の新聞にも幾つか載っているんですが、見出しが「東電が市町村除染費拒否」とあります。一瞬これでどきっとするわけですが、市町村が実施した除染費用のうち、国が請求した七百六十一億円、これを東電側はそのうち約二%しか払っていないというわけです。驚きました。国直轄はほぼ支払いをしているというのであります。
汚染物質対処特措法によって、国は東電に求償し、東電が負担すると規定されているはずです。しかも、国直轄も市町村委託分も国が一〇〇%立てかえ払いしていることには違いがないはずなんですね。なぜこのようになっているのか、最新の到達の数字をもとに、対応方針を含めて説明してください。
○福山大臣政務官 国直轄除染については、これまでに約九百二十五億円を求償し、このうち約九七%に当たる約八百九十九億円の支払いが応諾されております。また、市町村除染については、これまでに約七百六十一億円を求償し、このうち約二%に当たる約十七億円の支払いが応諾されております。
市町村除染にかかわる費用の求償については、これまで、東電が確認すべき証憑書類の範囲について意見の相違があったため、大部分が未払いとなっております。
このため、東京電力と調整し、全体の一割程度の事業について重点的に事業内容を確認することにより、残りの事業については、その結果を踏まえ、確認過程を大幅に簡略化する取り組みを昨年十二月から市町村とも連携しながら進めております。この取り組みにより、今後、未払い分の支払いが順次進んでいくものと考えております。
環境省としては、引き続き、放射性物質汚染対処特措法の規定に基づき、しっかりと東電に支払いを求めてまいります。
以上でございます。
○高橋(千)委員 まず、今聞いていて気がつかれたと思うんですけれども、新聞の記事も、日付は本当は一緒だったんですけれども、国直轄分の支払いが七百九十九億円、八六%と書いていたものが、最新の数字では、八百九十九億円、九七%の支払いになっているんですね。それに対して市町村分は十七億円で、やはり二%にすぎない。
ところが、これは、事務的にはやることは一緒なんですね。一緒なんだけれども、国がやるものと市町村にお願いしてやってもらうもの、そこでなかなかお願いができないというのが実態だと伺いました。
政務官が、大変今淡々とお答えがありましたけれども、これは大変なことだと思うんです。だって、書類を東電に出すのに、何百あるいは何千くらいの資料を出せと言われているそうです。放射線量を、使用前、使用後、あるいは写真、詳細な報告書を出さなければならない。それを、本当に大変な事務を市町村にお願いするのはなかなかできないんだ、だからこれほどおくれているんだ、出すものは一緒だけれども、国は我慢してやっているけれども、市町村にはお願いできないという話なんだそうです。
でも、これはおかしくないですか。どこまで東電は威張っているんですか。本来なら東電みずからが除染しなければならないところをかわりにやってもらい、立てかえまでしてもらっているんでしょう。それなのに、資料を出せ、出さなきゃ払わないと、何でそんなに威張るんですか。おかしくありませんか。もう一回、政務官。
○福山大臣政務官 委員さんおっしゃるとおり、私が先ほど答弁いたしましたように、証憑のいろいろな形の中で、市町村の一割の事業をそこで精査することによりまして、残りの事業もそれによって応諾するというふうな形で進めております。
だから、今まで、全部が全部、一〇〇%そのようにするということではございませんので、そういう形で昨年十二月から協議を進めておりますので、いましばらくの間待っていただければそれは対応できる、かように思っておりますので、御理解のほどよろしくお願いいたします。
○高橋(千)委員 何で政務官が東電にかわって御理解してくれと言う必要があるんですか。強く東電に向かって言えばいいでしょうが。
一割を精査すると。だから、この膨大な資料を、一割はやらないと残りはやらないですよ、残りはようやっと簡素化しますよと言っているんです。何でそこまで威張るんですか、こちらがお願いしなきゃいけないんですかということを指摘しています。
経産省に伺います。こういう東電に対して直ちに簡素化を迫るべきだと思いますが、いかがですか。
○高木副大臣 今御指摘がありましたように、除染の費用の請求のことにつきまして、これは別に東電にかわって申し上げることではないんですけれども、東電の方も、電気料金から基本的に費用等々を払っている、そういった中にありまして、確実に除染の作業である、自治体のやっていることは、私たちの感覚からいえば、しっかりとやっている、こういう認識でありますけれども、それを、事業者にお願いして除染をやってもらったときに、確実にこういう形で費用がかかった、その証拠書類を出していただきたい、こういう話だったと思います。
しかしながら、高橋委員今お話ありましたように、膨大な資料になりますと、自治体の職員だけでは大変な状況があると思います。そこで、環境省が東電の方としっかりと話をしていただきまして、そういう膨大な資料ではなくて、その一割ぐらい、これを、疎明資料というか、その書類として確認をさせていただければ速やかに払っていく、こういうような段取りになったというふうに伺っておりますので、私ども所管官庁としても、しっかりと東京電力に指導してまいりたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 そもそも、東電が賠償する資金を国が融資したり拠出したりして支援する仕組みをつくっているんですから、それ自体に我々は反対していますよ。それなのに、何で東電がそういう態度に出るのかということを重ねて、お願いベースではないのだということを指摘していきたいと思っております。
さて、中間貯蔵の地権者の方たちの話に戻りたいと思うんです。
会津若松の仮設住宅にいらっしゃる大熊町の地権者の方たちと懇談をいたしました。意見が一つではないんです。本法案で整備する大川原地区に住みたいとおっしゃる方がいらっしゃいました。一方、絶対帰れないという方もいらっしゃいました。自分たちが原発の恩恵を受けてきたかのように言われるが、東電の電気を我々は全然使っていない、そういう怒りの声も伺いました。
原発が建設が持ち出されたときから、もう四十年以上前ですよね、そのときから何度も、例えば、堰をつくるとか、いろいろな工事をつくる、そのたびに、説明を翻したり、裏切られる思いを重ねてきた、そういう思いをしてきた方たちなんです。本当にその方たちの声は尊重しなければならないと思います。
そこで、具体的な要望を一つ伺います。
先祖代々の土地があった、そういうあかしとして敷地内に共同墓地を欲しいという要望がありますが、いかがですか。
○福山大臣政務官 中間貯蔵施設予定地内には複数の墓地などが存在していると認識をいたしております。これらは被災者の皆様にとって心のよりどころとなっていることから、気持ちの通った対応を心がけてまいりたいと思っております。
墓地の取り扱いについては、例えば、既存の墓地への移転、町の御協力を得て新たに代替となる墓地を新設しての移転のほか、墓地が存置されている間の墓参の確保も含めて、さまざま考えられます。今後とも、地権者の皆様の意向と要望をしっかりと伺い、個別の状況に即して、できる限り柔軟に、きめ細やかに対応を行ってまいります。
○高橋(千)委員 よろしくお願いいたします。
最後に、大臣、一言だけ。
本当に、帰還ありきではない、大川原地区も一つの選択肢であるということで、そういう迷っている方たちの声に応えるべきだということで、一言だけ決意をお願いします。
○竹下国務大臣 帰りたいという強い熱意をお持ちの方には、我々は、どうしても温かい家庭と温かいふるさとは取り戻していただく。しかし、それは、まずは市町村で基本的なことを考えていただく、そして住民の皆さん方の強い思いを実現していくのが我々の仕事だ、こう思っております。
○高橋(千)委員 終わります。ありがとうございました。
――資料――
【資料1】毎日新聞2015年2月27日付「『就労不能損害』続けて 福島被災者『生活できぬ』/東電、今月で打ち切り」