公的年金削減やめよ/高橋議員 「マクロ」で大幅目減り
「長生きすればするほど年金は減っていくことになる」―。日本共産党の高橋千鶴子議員は27日の衆院予算委員会で、老後の支えとなる公的年金の削減をやめるよう求めました。
高橋氏は、物価が上がっても年金水準は切り下げる「マクロ経済スライド」によって、年金が大幅に目減りする問題を指摘。老齢基礎年金額が基礎的消費支出(必需品的なもの)にすら追いつかない実態を示し、「国民年金法第1条には“憲法25条第2項にもとづく”とあるのに、最低限度の生活を保障することができない」とただしました。
安倍晋三首相は「名目額は上昇する」と言い訳。塩崎恭久厚労相は「年金だけで老後生活をまかなう考え方で設定していない」と開き直りました。高橋氏は、高齢者の6割は年金だけが家計のすべてだとし、私的年金との併用など自助努力を求める政府の年金「改革」を批判しました。
高橋氏は、政府が「100年安心」と宣伝しながら、約束してきた現役世代の収入比50%の年金給付水準は受給開始後低下して割り込み、基礎年金は3割まで減っていくことを指摘。「(高齢者からは)『早く死ねというのか』との訴えも届いている。最低生活を保障する基礎年金や障害基礎年金まで削減するのはやめるべきだ」と迫りました。
塩崎厚労相は「制度を持続可能なものにするために必要な措置だ」と弁明。低年金の問題などには「年金の受給資格期間の短縮、福祉的給付で対応する」と釈明しました。
高橋氏は、すでに決まっていた低年金者への給付金や受給資格期間の短縮は先延ばしされていると批判。300億円あればできる受給資格期間の短縮は見送る一方、株価対策のために積立金を危うくする年金の株式運用を拡大することは許されないと批判しました。
(新聞赤旗2015年2月28日付より)
「農協改革はTPPと一体」/高橋議員 交渉からの撤退求める
日本共産党の高橋千鶴子議員は27日の衆院予算委員会で、安倍政権の進める農協改革や、株式会社参入促進の「新農政」について、日本農業や地方経済に壊滅的打撃を与える環太平洋連携協定(TPP)参加と一体であることを指摘し、TPP交渉からの撤退を求めました。
TPP参加で国産米はこれまで以上に外国産米との競争にさらされます。2013年に政府は、農地を大規模化し、米の生産コスト4割減で9600円(60キロ)まで引き下げることを目標とする「プラン」を策定。TPP妥結を前提としたものとみられています。
高橋氏は、14年産の米価が「プラン」で掲げた目標と同程度まで暴落し、農家が展望を失う事態になっていることを示し、「首相の言う『強い農業』とは、今年度の米価に耐えられないような生産者は退場してくれと言っているようなものだ」と批判しました。
安倍首相は「TPPは日本を豊かにしていくうえで間違いなくプラスになる」と発言。甘利明担当相は、来年の米大統領選にふれ、「当然期限は決まってくる」と早期妥結を狙う姿勢を見せました。
首相は、24日の投資家フォーラムでの講演で「農協改革を断行。目指すは世界のマーケット」「構造改革を進め、同時にTPPなどの経済連携によって、広い経済圏に打って出る」と語っています。
高橋氏は、「なぜ投資家フォーラムで農協改革が出てくるのか。狙いはJA金融の開放では」と追及。青森県の農協関係者が「(安倍政権の)新農政、TPP、農協改革は3本の毒矢」と語ったことを紹介し、「地方を守ってきた農協を解体し、TPP参加とは絶対に認められない」と述べました。
(しんぶん赤旗2015年2月28日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
昨年秋の米価の暴落が農家に大きな打撃を与えております。
二〇一〇年のことを思い出しているんですけれども、農協からの概算払いで七千円という衝撃が走ったことがありました。岩手の民話のふるさと、美しい平地が続く遠野市で、大規模農家ほど六百万から七百万もの減収だと訴えられました。秋田では、農業で食べていけないから若い人が県外に出ていくんだと怒りをぶつけられました。予算委員会でも発言をしましたし、政府交渉、各地からの意見書など、米価対策を求める世論が瞬く間に広がりました。
あのとき、米価が例年並みまで戻ったときに、もう少し農業を続けてみようと思ったという一言を聞いたときのうれしさは忘れることができません。
二〇一四年産米も同様に、三割から四割減、二千円から三千円も下がって、例えばあきたこまちの一等米では一万一千五百円から八千五百円など、再度の衝撃がもたらされました。
しかし、五年前と最大の違いは、安倍内閣の新農政、二〇一八年度には米の生産調整の廃止が決まっているということです。仮に低利で長期の融資が受けられるとしても、五年先、三年先が見通せない、だから踏み切れないというのが現場の声ではないでしょうか。
林農水大臣も、この点で認識は共有できるでしょうか。
○林国務大臣 今、二十六年産米のお話がありましたが、直近の十二月でございますが、相対取引価格が六十キロ当たり一万二千百四十二円ということで、二十五年産より二千円程度低い水準になっております。
二十六年産米の概算金また価格が例年に比べて低下したことなどによって、生産現場において二十七年産の生産について不安が生じていることは承知をしております。
したがって、二十六年産米のナラシ対策により収入減少に対する補填対策を実施する、これはもうずっとやってきたことですが、これに加えて緊急対策を打ったわけでございます。
米の価格は民間取引の中で決定されていくものでありますが、我々としては、需要に応じた生産を進めるためのきめ細やかな情報提供や、需給の安定を図るためのいろいろな施策、例えば餌米への転換等を進めるとともに、やはりナラシ対策に多くの皆様に入っていただくということで経営安定を図ってまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
○高橋(千)委員 次の生産に不安を持っているということを、大臣も同じ認識で述べられたと思います。
そこで、二年前に、改定された農林水産業・地域の活力創造プランでは、生産調整の廃止とともに、農地中間管理機構によって農地を集積、大規模化する、そして、今後十年間で米六十キロの生産コストを一万六千円から四割減らす、九千六百円まで引き下げるということを目標にしました。正直、どきっときたわけですね。
つまり、今でさえも、農水省が示している生産費は、生産者がそこまでペイすることができません。つまり、赤字であります。それを承知の上で四割下げるということは、総理に伺いたいんですが、TPPが妥結すれば安い米が入ってくる、これが前提ではないのか。三、四割も米価が暴落して悲鳴が上がっている、そんなときにどうしてこんな安い生産費が実現するでしょうか。
総理が強調される強い農業をつくるための改革、農家の所得をふやすための改革とは、今年度の米価に耐えられないような生産者はそもそも退場してくれと言っているようなものではないでしょうか。総理に伺います。
○安倍内閣総理大臣 私たちが進めている政策は、米に対する政策についてもそうでありますが、これはTPPとは全くかかわりがないことでございまして、そもそも我々は、米等も含めて五品目についてしっかりと国会決議を踏まえて交渉していくということは、申し上げているとおりでございます。
その上におきまして、これは既に農水省が再三答弁をさせていただいておりますように、農地をフル活用していくという中において、農家の、また農業、農村の所得をふやしていく、そういう政策を進めていきたいと考えております。
○高橋(千)委員 もちろん、TPPのためですと言うわけがないだろうと思っておりましたけれども、当然、今、全く関係がないと否定をされました。
ただ、私が今紹介した強化策、プランを発表した翌日の読売新聞は、「TPPにらみ農業強化」という大見出しがありました。「TPPの妥結に備え政府は農政改革を急いでいる」とし、減反の廃止、農地の集約と並んで、企業の参入と農協改革などを並べておりました。
しかも、これらについては、全て、産業競争力会議実行実現点検会合なるものが実はすごく頻繁に開かれて、直近ではことし一月にコスト縮減に向けた取り組みについてチェックをされておりますけれども、進行状況を見られているという中にあります。
そうした中で、ことし二月十二日の施政方針演説で、総理は改革断行のトップに農業を挙げました。しかも、あれほど長く言及されたのも珍しかったのではないでしょうか。六十年ぶりの農協改革、農業委員会改革、多様な担い手による農業参入、農産物の輸出を強調されました。
なかなか生産者の顔が浮かばないなと思いましたけれども、切り出したのは、「最終局面のTPP交渉は、いよいよ出口が見えてまいりました。米国とともに交渉をリードし、早期の交渉妥結を目指します。」というものです。
重ねて伺いますが、新農政はTPPの受け皿づくりそのものではありませんか。
○安倍内閣総理大臣 TPPについては、アジア太平洋圏に自由で新しい大きな経済圏をつくっていく、日本の成長、日本を豊かにしていく上においては間違いなくプラスになっていく、こう考えているところであります。
TPPの交渉いかんにかかわらず、我が国の農業の活性化は待ったなしの課題でありまして、そもそも平均年齢が六十六歳を超えてしまっているという状況の中にあっては、大切な農家や農業を守っていくためには、農政の改革を断行していく必要があります。
このため、安倍内閣においては、農地集積バンクの創設や輸出の促進に力を入れてまいりました。この輸出については、この二年間で、そうした施策を進めてきた結果によって、三六%輸出がふえて、過去最高、六千億円を超えたわけでございます。
農政全般にわたる六次産業化の推進など、抜本的な改革を進めているところでございまして、さらに、今般、意欲のある農業の担い手が活躍しやすい環境となるように、農協、農業委員会、農業生産法人の三つの改革を一体的に行うこととしております。
特に、農協改革については、意欲のある担い手と地域農協が力を合わせ、創意工夫を発揮して、ブランド化や海外展開など自由な経済活動を行うことにより、農業者の所得向上に全力投球できるようにしていく考えであります。
こうした改革を進めていく中において、消費者ニーズに応えた強い農業をつくり上げていけば、農業の可能性は広がり、農家の所得もふえていく、このように私は確信をしているところでございます。
○高橋(千)委員 全国の農地を八割担い手に集積する。でも、今、十五ヘクタール以上の生産費でも一万一千四百二十四円、これが農水省のデータであります。ですから、いかに規模拡大したといっても、到底外米に勝てる水準にはないということは明らかなわけであります。強い農業を語るといっても、本当にその実態が、生産者を本当に支えて、誰が主役になるのか、問われていくのではないでしょうか。
そこで伺いますが、甘利TPP担当大臣、二十四日の閣議後の会見で、三月九日から十五日に予定される十二カ国の首席交渉官会合に合わせて、日米実務者協議を開きたいと述べたと報道されています。また、ゴールデンウイークには、安倍首相の訪米とオバマ大統領との会談を探っているとも報道されています。
十九日付の農業新聞で、大臣は、米議会でTPP交渉など通商対策を担当している下院歳入委員会のライアン委員長、共和党だということですが、と会談して、日米が協力してTPPが期限内に成立できるように努力することで一致したと語ったといいます。しかも、農産物関税など、重要品目を理解しつつ、どこまで高水準にするか意見を交わした。高水準というのは、要するに開放するという意味ですよね。ライアン氏は、日米関係は大変貴重な関係で、一層強化するのが我々の使命と述べました。
二つ聞きます。
期限内に成立と言っている、期限とはいつでしょうか。また、なぜ日米が協力してということでしょうか。
つまり、もう日米は同じ方向を向いているという意味ではないか。その結果が、既に現在七十七万トン輸入されているミニマムアクセス米にプラスして、さらに米国産米五万トンを関税なしで輸入する方向で調整しているということも取り沙汰されています。守るべきものは守ると盛んに繰り返しても、もうとっくに守るものの中身は小さくなっているのではありませんか。
○甘利国務大臣 TPP枠でアメリカに五万トンなんというのは、全く何も決まっていません。報道が推測をして発信しているだけというのが正直な現状でございます。
二点お尋ねがありました。
期限内にまとめなきゃいけない。
これは、ポール・ライアン下院の歳入委員長が来られまして話し合ったところで、期限内というのは、来年になればアメリカ大統領選が事実上始まります。というか、ことしの年末に近づけば近づくほど関心はそっちに行ってしまいますから、当然期限は決まってくる。というか、そこまでにできないとすると、次の大統領になってからということになるわけですから、漂流しかねない。そういう意味で、ことしの遅くなればなるほど非常にまとめるのが難しくなってきますねという意味で、おのずと期限があると申し上げたわけであります。
それから、二点目の、なぜ日米が協力する必要があるのかと。
これは、TPP十二カ国のGDPの各国割合を調べていけば、日本とアメリカで十二カ国の経済規模のうちの八割を持っているわけであります。八割がまとまらないで全体がまとまるはずはないわけでありますから、主要二カ国がまとまっていくということが全体がまとまっていくことの前提になるわけであります。
日米が全く同じ方向を向いているかといえば、全く同じ方向を向いていれば、こんなに私が苦労しなくて済むのでございまして、お互いに利害がぶつかる。
安倍総理がTPPに入る決意を固めたときの日米首脳会談では、お互いセンシティビティーはある、アメリカは自動車、そして日本は農産品五品目というお話をされたわけでありまして、そのセンシティビティーは違う方向を向いているわけであります。アメリカの要求と日本の要求は違うわけであります。それをすり合わせるために非常に苦労をしているわけです。
アメリカはアメリカの要求にできるだけ近いものにしたい。日本は、衆参農水委員会の決議がありますから、まとめたところで、国会を通らなければまとめる意味がないわけでありますから、決議にどこまで合致をしていくか、抵触しないか、最終的な判断は国会でしていただくしかない。政府側が勝手に、ここまでは決議をクリアしている、ここから米が一粒入ると決議違反だというような明確な線引きというのはなかなかできないわけであります。最終的には議会で判断していただきますが、衆参の決議の意をしっかり内閣として受けまして、交渉しているというところでございます。
〔委員長退席、平口委員長代理着席〕
○高橋(千)委員 ここまでなかなか一致できないから粘ったんだとおっしゃるんだったら、潔く協議から撤退すればよい、私はそう思いますね。これ以上すり合わせをしたって日本は譲るだけではないか。もうわかり切ったことであります。
二年前、この場所で甘利担当大臣がおっしゃったことは、日本のカードは何かといったときに、自動車が十年後には関税ゼロになる、せいぜいその程度しかお話しできなかった。それが実態じゃないですか。それで今は、米一粒で線引きがあるのか、そこまで言わざるを得なくなった。非常に日本が攻められているのは明らかではないでしょうか。
農協改革についての懇談で、実は、青森県の農協中央会と国会議員との会合の場がありました。そのとき、中央会の代表がこう言ったんです。新農政、TPP、農協改革は三本の毒矢だ。さすがに言い過ぎだと言って訂正をされましたが、でも、私はそのとおりだと思いました。それほどに、息の根をとめられるという思いがあるのではないでしょうか。
総理は、今月二十四日、都内で開催されたCLSAジャパンフォーラム二〇一五、午前中も少し紹介されておりましたけれども、毎年恒例の、有力な投資家が集まるフォーラムだということであります、ここで講演をされております。こんなことをおっしゃっています。
これまで口にすることすらタブー視されてきた農協改革を断行します。六十年ぶりのことです。目指すは世界のマーケット。経済活動から国境は消えました。国際競争に打ちかつことができなければ、企業は生き残ることはできない。国内の構造改革を進め、同時にTPPなどの経済連携によって、広い経済圏に打って出る。内外の改革を一体で進めていくことは、日本の競争力を高めるために欠かすことができません。
そして、最後にこう述べています。
エンジン全開のことしの日本を、皆さん、買わない手はないと思いませんか。投資家の皆様におかれては、この機会に、生まれ変わりつつある日本経済を肌で感じていただき、有力な投資先として御検討ください。
総理、なぜ投資家フォーラムで農協改革が出てくるんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 これはまさに、我々は、日本を、成長していく、活力に満ちあふれた国に変えていくという発信をしたわけでございます。
日本の農業というのはもう成長していかないのではないかと見られていました。そうではなくて、まさに農業という分野はこれから最も可能性に満ちあふれた分野なんだということを私は言いたかったわけでございまして、まさに投資家の皆さんに対しても、日本の農業、農業だけではありませんが、農林水産業全般について、彼らもぜひ、食市場と言ってもいいわけでありますが、この食品市場全般を含めてそういう分野に投資もしていただきたいし、日本の農業というのはすばらしい分野ですよということを訴えたかったわけでございます。
まさに、しっかりと消費者ニーズをつかんで、六次産業化も進めていくし、販路も拡大し、海外へも輸出をし、付加価値もつけていく、そういう形で農業、農村の所得倍増を目指していくことによって、若い皆さんにも、この分野は自分たちの努力や情熱で新しい地平線を切り開いていくことができる分野だ、こう思っていただけるような分野に変えていくんだという私の決意を表明したところでございます。
○高橋(千)委員 狙いは農協の金融資産ではないんですか、この開放なのではないでしょうか。
農協改革は、規制改革会議あるいは在日米国商工会議所などから、例えば准組合員の利用を制限するとか、信用、共済事業を金融庁の監督下にと迫られてきました。この間、自民党の中でも随分議論されてきたと思っております。
一昨年の六月には、日本がTPP交渉に参加するに当たって米国政府が募集した意見の中で、米国生命保険協会は、TPP交渉参加を歓迎、支持する、TPP協定においては、かんぽ生命も共済も優遇されない対等な競争条件が確保されるべきと述べております。
かんぽ生命、まさにこれは一昨年に私取り上げましたけれども、日本郵政グループのかんぽ生命でがん保険や単品の医療保険展開を凍結すると、USTR、米国の通商部に日本が通告したんですね。同じ日に麻生大臣が、通告したことに対して、やはり、TPPと直接関係するわけではありません、たまたま同じ日になったと会見している。
だけれども、結局、今、全国二万を超える郵便局の窓口にアヒルがいる。アフラックのアメリカンファミリー生命保険会社の窓口が置かれるようになりました。アフラックは、保険料収入一兆六千七百五十七億円、外資企業の中では第一位、その利益の八割を日本で得ているそうです。
日本には新しい保険をつくるな、そう言いながら、そのかわりにアメリカの保険窓口を置けと。身勝手ではありませんか。次はJAではありませんか。
○林国務大臣 郵政と農業共済というのは一律に論じることはなかなか難しいと思います。農業共済、農協金融、これを海外に開放するというふうに先生がおっしゃっている意味も、どういう形でというのかもよくわかりませんが、今回の改革はまだ骨子を決めた段階でございますけれども、骨子の段階でそういうことが想定されているということはないということは申し上げておきたいと思います。
○高橋(千)委員 ですから、これまでもそうでした。TPPはなかなか、秘密協定でもありますから、議論しているときは、そんなことはないと言いながら、結果としてはそうなっている。もともと、日米保険協議のときからずっと開放を求められてきた、そういう経過があるんだということを重ねて指摘したいと思います。
私は、この間、やはり農協そのものの存在が問われている、そういう危機感を持って懇談を重ねてきました。別に、丸ごといいと言っているわけじゃありません。あるいは、農協の方たちだって、自分たちも変わらなければならない、そうおっしゃっています。だけれども、米価が下がったのも何もかも農協を一人悪者にして、上から解体を迫るのはあんまりじゃないか、そういう声も上がっているんです。
東日本大震災で最も被災した石巻で、当時はJAの会長、今は宮城県の会長である石川寿一さんはおっしゃっています。大震災を経験して、JA全中をトップとする農協の役割を改めて認識しました、まさに全国支援での炊き出し、JA共済の早期支払い、全国から査定員に来ていただいて迅速な対応ができたと。まさに、ならではの役割を発揮したと思うんですね。
こうしたことを本当に見ながら、元組合員や地域の非組合員と支え合いながら地方を守ってきた農協を解体し、一路TPP、これは絶対に認められない。重ねて訴えたいと思います。
きょうは、もう一つ大きなテーマがあって、年金問題について質問したいと思います。
消費税増税や物価高の一方で、年金は減り続けています。年金削減中止や最低保障年金制度の創設を求める全日本年金者組合の署名が三十万五千筆も集まり、ふえ続けています。
ほんの一部を紹介します。
四十二年間、一生懸命働いてきました。老後は安心して暮らせると信じてきた。ところが、退職して年金支給額を知ったとき、余りの少なさに愕然としましたが、それをまた削減されたのです。どうしても納得いかない。
余分な収入なんて全くない高齢者。買いたいものも手が出ず、見たいものも足が遠のき、我慢ばかり強いられている生活。楽しみのない高齢者に、これ以上どうしろというのですか。早く死ねと言わんばかりです。
四十年近く福祉分野で働き、今月六十五歳になります。年金事務所で年金額を聞いてびっくりしました。ワーキングプアの基準を超えることができません。福祉に人生の大半を注いできた我が生涯を国に裏切られたような気がしました。
塩崎厚労大臣、こうした実態、声をどう認識していらっしゃいますか。
〔平口委員長代理退席、委員長着席〕
○塩崎国務大臣 今先生御指摘の件は、恐らく、特例水準の解消などについておっしゃっているんだろうというふうに思います。
年金というのは、言うまでもなく、社会保障制度、保険制度の中で行われる、言ってみれば長い期間の対応ということで、今年金をもらっていらっしゃる方々、そして今その方々に仕送りをしている、保険料を払っていらっしゃる現役の方々、そしてこれからの、生まれてくる世代を含めて将来世代、こういった長いスパンで考えていかなきゃいけないというふうに思っております。
平成十二年から十四年度にかけまして、物価が下落したにもかかわらず、法律上の特例的な措置として、マイナスの物価スライドを行わずに年金額を据え置いてきた。このことによって、本来の年金額よりも最大で二・五%高い水準で年金が支払われてまいりました。
平成二十五年の十月から実施しております特例水準の解消の措置は、一つは現役世代の将来の年金額の確保につながるように、そしてまた世代間の公平を図る、今申し上げたとおりでありますけれども、その観点から、社会保障・税一体改革の中で、与野党の枠を超えて合意に至って、そのための法律が成立をして、将来世代を考えながら、年金制度を適切に実施するために必要な措置をとった、こういうことでございます。
○高橋(千)委員 高齢者の実態をどう認識しているか、まずそのことが大臣に聞きたかったんですよね。もう既に特例水準の解消で年金を減らしてきたことの口実をおっしゃいましたが、それをまた反論していると時間がもったいないので次に進むんですけれども、これでどうなるんでしょうか。アベノミクスで年金はふえたんですか。来年はどうなりますか。制度が大変わかりにくいですので、シンプルに、基礎年金の場合どうなるか、説明してください。簡潔に。
○塩崎国務大臣 先生が今お配りをいただいておりますけれども、この四月からの年金がどうなるかということでございますけれども、基礎年金に例をとって説明せいということでございます。
二十七年度の年金額につきましては、先ほど申し上げた特例水準の段階的な解消というのがあって、さらにマクロ経済スライドによる調整と合わせまして、基本的には〇・九%引き上げられることになっておりまして、基礎年金の満額は、平成二十六年度の額が月額の六万四千四百円であるのに対しまして、平成二十七年度の額は、先生お配りの資料のとおり、六百八円引き上げられまして、月額が六万五千八円ということになるところでございます。
○高橋(千)委員 国民年金が満額の場合は六百八円。これは全て実額で、減ってはいないということだけが唯一の救いではありますけれども、実際には、説明があったように、物価は二・七%プラスなんだけれども、賃金は、そこまで上がっていない、二・三%が実は基準になるわけですよね。そこから、先ほど大臣がるる説明されました、物価が下がっていったときに年金をそれに合わせて下げなかった分を、下げなくちゃいけないんだということで〇・五%下げられて、そして、この真ん中にある〇・九%マクロ経済スライド、少子化を見越して一定抑制をしていくというものが初めて今回発動されて、結局、ふえるのは〇・九%にすぎないということが判明したわけです。
これは、実質でいうと目減りしていると言えるのではないでしょうか。
総理は、政権交代後のアベノミクスの効果について繰り返し強調されました。今までデフレだったけれども、物価が上がっていけば、当然、物価がスライドしますから年金は上がっていく、これは二〇一三年四月十七日の党首討論でこんなふうにおっしゃっています。
だけれども、今見ていただくとわかるように、物価だけが上がっても、賃金が追いついていかなければ年金は上がらない、これは当たり前ですよね、総理。
○安倍内閣総理大臣 そこはですね、まさに物価と賃金の背比べのようなものになるというのはかつて田村大臣が言っていたとおりでございまして、しっかりと物価の上昇に賃金がついていく、そして、この賃金の上昇に合わせて裁定が、新規の裁定がなされていく。物価や賃金が上昇していけば、年金を受け取り始めた後の年金、既裁定年金を含め年金の名目額は上昇し、また将来の受給者の年金水準の確保にもつながっていくわけであります。
したがって、デフレ脱却を確かなものとして、賃金上昇を含む経済の再生に取り組んできて、だからこそ、我々、政労使の会議の場を設けて、物価が上がっていくと同時に、デフレ脱却を目指していく中においては賃金の上昇が極めて大切であるということをお願いしているところでございます。
○高橋(千)委員 ですから、そこはですねとおっしゃったんですけれども、物価が上がるだけでは年金は上がらないということはお認めになったと思います。
結局、そこだけ強調されてもだめなんですよね。消費税が増税されたことで反動している物価高もあるわけですから、実態ではない。そこに賃金が追いついていないことが、今、年金生活者を苦しめているということにもなっているわけです。
そこで、今、二枚目のパネルを見ていただきたいんですね。これは、総務省の家計調査に基づく基礎的消費支出と老齢基礎年金の比較であります。
実は、厚労省はいつも、モデル世帯といいますと夫婦で出してくるんですね。夫が厚生年金で妻が国民年金、そうすると、合わせると足りますねという資料を出します。だけれども、そればかりじゃないんですよ、残念ながら。単身で見ると、明らかに差があります。内閣府の高齢社会白書によれば、ひとり暮らしの高齢者は男性で一一・一%、女性は二〇・三%です。年々ふえていますね。ですから、ここで見なければならないんです。
リーマン・ショックで最も消費が落ち込んだときでも、〇九年、六万七千五十三円に対して年金は六万六千八円。足りていません。今はもっとそれが乖離して、七万五十三円に対して六万四千四百円しかないというのが実態であります。
国民年金法第一条には、「国民年金制度は、日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。」と書いています。憲法二十五条が条文の目的規定に明記されているのは、多分、ほかに生活保護法のみかと思います。
この第一条に照らしても、最低限度の生活を保障することができない、これが実態だ、これはお認めになりますね。
○塩崎国務大臣 そもそも年金とは何なのかということかというふうに思いますが、もともと、この基礎年金というものが全ての暮らしを賄うという考え方で賄われているわけではないわけでございまして、さまざま、みずから積み上げてくる現役の際の蓄えとか、そういうこともあった上で、そしてまた、国民年金の場合には基本的に自営業者の方々であるわけでありますけれども、そういった方々は六十歳になったらそのまま退職するということでもないということもあって、全ての生活をこれだけで、年金だけで老後生活を賄うという考え方で設定しているわけでないということを一つまず押さえていただきたいと思うんです。
一方で、低年金などの問題につきましては、社会保障・税一体改革においても、被用者年金への適用拡大とか、あるいは年金の受給資格期間の短縮など、年金制度としてとり得る対応をとることとしておりますし、一方で、保険料納付に対応した形で給付が算定をされます年金制度において、低所得やあるいは低年金に着目をして特別な配慮を行うことは難しい、年金制度においてやるというのはなかなか難しい面があるということであります。
このような点も考慮した上で、低所得者対策については、社会保障・税一体改革において、医療もそれから介護についても保険料負担の軽減や、あるいは低所得での、低年金の高齢者に対する福祉的な給付、こういったものなどについて社会保障全体を通じて強化を図っていこう、こういうことで考えているところで、対応をしているところでございます。
○高橋(千)委員 だったら、法律に憲法二十五条を書いている意味がないではありませんか。全ての暮らしを賄うものじゃない、これは、今、年金部会でそういう議論をしているんですよ。最初からそうじゃないんです。
これは、今、ことし一月二十一日に出した社会保障審議会年金部会の議論の整理です。年金制度の持続可能性と年金給付の十分性をいかに両立させるかについては、先進諸国共通の課題となっているが、いずれも、この矛盾する課題の解決策として、就労期間の長期化とともに私的年金等の自助努力の奨励の拡充に取り組んでいるということで、公的年金だけではもう間に合わないから、私的年金も何とかしなさい、自助努力も何とかしなさいということを言っている。
でも、今からどうするんですか、今からどう責任をとってくれるんですかという思いで皆さん聞いていると思いますよ。
今、年金をもらっている方の六割は、年金だけが生活の全てであります。また、世界でもトップクラスで高齢者は既に働いています。だけれども、とても足りないから、今、悲鳴を上げているのではありませんか。このことを重ねて指摘したい。
二〇〇四年の年金改革で、百年安心年金プランと盛んに叫ばれたことは皆さんも記憶に新しいところだと思います。先ほど取り上げたマクロ経済スライド、これは、出生率とか物価や賃金上昇率などのデータを五年ごとに検証しながら、百年たっても収支のバランスがとれている、受け取る年代は、所得代替率、つまり、現役世代の賃金の半分は維持しますよ、そういう大まかな枠組みだったと思います。とにかく持続しなきゃいけないんだよということが強調された、そういう説明だったと思うんですね。
そこで、このパネルを見ていただきたいと思います。
左に現在の年齢が書いてありますが、皆さん、御自分の年齢から右にずっと見ていっていただければと思います。
大変失礼ですが、総理はことし還暦を迎えられると思っておりますが、六十五歳で初めて年金を受け取るときは代替率が五九・七%なんですけれども、七十五歳で既に五割を切り、八十五歳では四一・八%です。しかし、四十五歳の方だと、七十歳で既に五割を切り、八十五歳では四〇・九%なんです。
ですから、何か年金をもらっている人は既得権のようにしっかり持っているというんじゃないんですよ。最初だけ、裁定のときだけ五割は持っているけれども、どんどんどんどん減っていくんですね。それが、国民年金だと、実は最初にもらうときから三割まで減っていく、これが実態であります。間違いありませんか。
○塩崎国務大臣 年金制度におきましては、経済成長に伴う国民生活の向上を年金給付にも反映させるという考え方のもとで、年金を賃金水準に合わせて改定をするということが基本ということになっております。
一方で、二〇〇〇年の改正におきまして、年金を受け取り始めた後の年金、いわゆる既裁定年金と呼ばれますけれども、この改定は、購買力を維持するために、基本的には物価スライドのみということにしたわけでございます。
経済成長によって物価上昇を上回る賃金上昇がある通常の経済状況においては、年金を受け取り始めた後の年金を時々の現役世代の賃金に対する比率で見た場合には、下がっていくということとなっておるわけであります。これは将来世代の保険料負担を過重なものとしない観点から行われた措置でございまして、マクロ経済スライドは、特に上限を固定するということでありまして、制度を持続可能なものにするというためにはこれは必要な措置だということが判断をされたわけでございます。
なお、先進諸国の年金制度においても、多くの国々は我が国と同様に、年金額の改定というのは物価スライドのみで行われているということが多いわけでございます。
なお、既裁定年金と新規裁定年金、今先生御指摘になられましたけれども、斜めに行くのと横に行くのと御指摘がございました。この二つの水準が二割以上乖離をした場合には既裁定年金も賃金水準に合わせて改定をさせるということで、既裁定年金の水準が過度に低下をしないようにするというための措置が予定をされておりまして、昨年行いました財政検証でもこの措置を前提として行っているところでございます。これは、いわゆる八割ルールと呼ばれているものでございます。
今先生がお配りになられたものの前提が、これは物価上昇率が一・二で、それから賃金上昇率が一・三ということで置かれてはおりますけれども、今申し上げたようなことで、こうなっております。
なお、今、六十五歳の二〇一四年度の一番上に六七・二と書いてございますけれども、これは六二・七に訂正をしていただくとありがたいなというふうに思います。
○高橋(千)委員 失礼しました。
経済の前提が、幾つかの数字があって、その中で一番現実的だと言われているEのケースで今出したものであって、いずれにしても、長生きすればするほど年金が削減されていく、いろいろおっしゃいましたけれども、これは事実だと思っているんですね。だから、先ほど紹介されたように、早く死ねと言うのかという訴えが届いているんではないでしょうか。
ちょっと時間の節約のためにあわせて言いますけれども、実は、さっき言った年金部会で、諸外国もそうなんだという議論をしておりましたよね。確かに、いろいろなヨーロッパの国々で、平均寿命が延びていけばその分給付をカットするとか先延ばしするとか、いろいろな議論をされています。されていますけれども、これをまず見てください。
年金給付の所得代替率が日本は下から二番目、三五・六%。イタリアの七一・二%やフランスの五八・八%と比べても極めて少ないんです。ですから、少ないところからスタートして、今、手厚い年金をやってきたところが少し見直ししようかねと言っているところと同じ削減をしたら、たまらないわけですよ。そこをちゃんと見てくれなければ困ります。
そこで、問いを二つ一遍に言いますけれども、幾ら何でも最低生活を保障する基礎年金まで割り込むのは、マクロ経済スライドですよ、削減するのは絶対やめるべきではないか。そしてまた、障害基礎年金を連動させる、これも余りにも過酷であります。本来、別のものであります。やめるべきではないか。二つ、お願いします。
○塩崎国務大臣 先生今、二つということでございますけれども、もう一つ、今パネルをお示しいただきましたものですから、それについてちょっと申し上げないと誤解を国民の皆さんがされるものですから。
このOECDのデータは、現時点での年金の所得代替率ではなくて、マクロ経済スライドによる調整が三十年後、四十年後に終わるわけですけれども、それが終わった後の水準を今ここで、三五・六という数字でOECDが試算をしているということでありますことがまず第一点。
それからもう一つは、平均賃金で勤務をした労働者一人分の年金水準を示しているものであって、我が国の代替率を示しているモデル、これは夫婦でありまして、基礎年金一人分少ないんですね、こうすると。大体一三ポイントぐらいありますから、この三五・六に一三ポイントを加えると大体五〇になるということで、我が国の財政検証とは異なるベースで算出をされているということをお示ししておかないと、皆様方は大変御心配されるということで、つけ加えさせていただきたいと思いました。
まず、基礎年金の問題でありますけれども、年金制度については、今申し上げてきたとおりでありますけれども、長期的に持続させていくということが何しろ大事でございます。現役の方もいずれは支えられる高齢者におなりになるわけでありますから、そういう意味で長期的に見ることが大事だ。
少子高齢化が進む中で、平成十六年改正において、支え手である現役の方の御負担が過重にならないようにということで、保険料の上限を固定することとして、長期的な保険料の収入が固定されることから、それに応じて給付を決定しないと長期的な収支が合わないということであります。長期的な収支を見たときに、将来世代が受け取る年金水準を一定程度確保するためには現在の高齢者の年金水準を調整していくというのが今回のマクロ経済スライドの考え方であります。
また、厚生年金、国民年金の双方について保険料の上限を固定した以上、基礎年金についてもスライド調整をかけて、現在の高齢世代と将来世代との間のバランスをとっていくということをやらなければ、将来世代の給付水準を確保する上ではうまくいかなくなるということであります。
年金部会での議論であるということでありますけれども、さまざまな意見があって、やはり、将来世代の給付水準を確保する観点から、マクロ経済スライドによる調整が極力先送りされないように工夫することが重要になるという認識がおおむね共有されているというふうに理解をしているわけであります。
今、障害基礎年金の話がありましたけれども、年金は、稼得能力の喪失に対して所得保障を行うことを目的としておりますけれども、通常は加齢に伴って起こる稼得能力の喪失が、現役期に障害状態となって、早期に到来するという考え方の整理が障害年金でございます。したがって、障害年金の額は老齢年金の水準と同じ水準が基本となっておりまして、老齢年金と同様にマクロ経済スライドによる調整がかかることは、制度の趣旨から避けられないということでございます。
消費税の引き上げの延期によって施行が延期されることになりましたけれども、社会保障・税一体改革における低所得者対策の強化の一環として創設される年金生活者支援給付金制度において、低所得、低年金の高齢者に加えて障害基礎年金受給者についても、一部の高所得者を除いて、約九割でありますけれども、対象となっておりまして、障害者の所得保障については、福祉的な措置を含めて総合的に対応していきたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 委員長、ちょっと大臣の答弁が余りにも長過ぎますので、よろしくお願いいたします。
先ほど私が、ひとり暮らしの高齢者がふえているでしょうと指摘したじゃないですか。なのに、厚労省のデータは夫婦で計算しているから違いますと。そんな理屈で通りますか。だから、いつも実態が反映されないんですよ。モデル世帯にはまるところがどれだけあるのか、そこをちゃんと見なければだめじゃないか。
そして、障害基礎年金の問題でも、昨年十月の年金部会で早稲田大学の菊池先生がおっしゃいました。老齢基礎年金と同様、障害基礎年金の最低保障機能も、マクロ経済スライドで将来的に相当程度毀損される、先天的な障害により二十歳前の障害基礎年金のみを受給する者を含め、資産などの蓄えが乏しく稼働能力も十分でない、そういう障害者にとって給付水準低下の影響は大きい。
これは本当にそのまま受けとめるべきですよ。
それで、今大臣がおっしゃった、老齢年金生活者支援給付金五百万人、障害基礎年金、遺族基礎年金二百万人の方に、わずか五千円ですけれども、プラスすると決めたじゃないですか。でも、これは消費税増税とともに延期になったわけですよね。何でそうなっちゃうんですか。飛ばして質問しますけれども、これは結局、消費税でやると決めちゃったから、増税延期したらやらない。そうじゃなくて、消費税と関係なくやればいいじゃないですか。
○塩崎国務大臣 今回、二%増税を、ことしの十月からというものを一年半延期することを総理が御決断をされたわけでありますけれども、これについては、他の政党の皆様方にも同じ考えだという考え方があるようでございますけれども、社会保障・税の一体改革ということで、これはやはり優先順位をきちっとつけた上でやるべきことはやっていくということで、子ども・子育てをまず最優先にやったり、あるいは医療保険の改革もございましたし、そういうようなことを考えた上で、今回、今御指摘の福祉的な給付についての延期は、二%上げるときにということで、一年半先に延ばさせていただいているということでございます。
我々としては、きちっと財源を確保した上で対応してまいりたいというふうに思いますし、先ほど来申し上げているように、他の介護であるとかあるいは医療であるとか、社会保障全体の中での低所得者に対する、あるいは高齢者に対する配慮というものをやっていくという考え方で臨ませていただいているところでございます。
○高橋(千)委員 私は、積極的な提案をしています。だって、大臣自体がさっき、障害基礎年金まで削るのかというのに対して、こういう制度があるとおっしゃったんじゃないですか。だったら、それを早くやれと言っているだけなんです。その予算をよそから持ってこいなんて言っておりません。
十年間で年金の受給資格を持つ制度をつくりましたよね。これも三百億円あればできるそうです。そして、今言った五千円プラスするのに、五千六百億円あればできる。これは厚労省の調査であります。
昨年の厚労省の不用額は一千九百九十五億円、繰越金は六千五百八十八億円です。その前の年は、繰越金が千九百八十億円で、不用額は六千百億円です。
つまり、本来なら、予算の中にちゃんと位置づければ、厚労省の中でやりくりすればできるんですよ。消費税でやると決めちゃったからできない、それだけでしょう。決断すればいいじゃないですか。
○塩崎国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、年金あるいは社会保障制度全般に言えることでありますけれども、やはりこれは、長い間の世代間、世代内の助け合いであるわけでございまして、年金あるいは今の福祉的給付の問題も、一時金などとは異なって、一定の要件を満たせば給付権が生ずる、そして継続的に給付が保障される恒久的な制度として導入をされるものであって、そうしたものはやはり恒久的な財源が手当てをされるというのが常識的な考え方ではないかというふうに思います。
厚労省に少しお金が余ったとかそういうことだけで、一年だけで対応するような話では決してないわけでございますので、やはりその辺は考えた上で優先順位をつけて、この二%は先送った中で、できることはやっていこう、優先順位をきちっとつけて国民のニーズに合わせた形でやっていこうということで、今回、特に少子化対策について優先をさせたということでございますので、御理解を賜れればというふうに思うところでございます。
○高橋(千)委員 そこまで言うほど子育ては優先ではないんですが、このタイミングではもう反論する時間がありません。
私は、月額五千円のプラスでいいなんて本当は思っていないんですよ。民主党さんは、最低保障年金七万円に近づけるために六千円と提案をしたのに対して、自民党さんが割り引いて五千円にしちゃった、そういう経過があったわけですよ。だから、そういう中で、せめて各党が一致したそれだけでもやればいいじゃないかという議論をしているわけです。
本当に、こういう優先順位だとかお金がないという議論をしながら、一方では、年金積立金管理運用法人、いわゆるGPIFが管理する年金積立金は約百三十兆円あります。ため息が出ます。何もしなくても、丸々三年間年金を支給できるお金があるわけです。世界最大の機関投資家と言われています。
総理は、昨年十月の予算委員会でこんな答弁をされています。政権交代直前の上半期の運用収益がマイナス一兆五千億円だったのに対して、政権交代の兆しが見え始めた以降の好転によってプラス二十五兆円になっているわけです、株式市場のために私は話をしているわけではありませんが、株式市場において株価が上がることは、明らかに、運用はプラスになり、年金の資産、二十五兆円プラスになったんですから、これは年金受給者のためのものであると明言されています。
二十五兆円プラス、これは年金受給者に還元されますか。
○安倍内閣総理大臣 年金の運用益についてでございますが、年金の運用益については、我々が政権を交代した、二〇一二年の十―十二でありますが、民主党政権もかかわっておりますが、事実上、解散してから十一月、十二月でぐっとふえているということで、二十五兆円の中に入れているところでございますが、今、さらにもう少し上がっていっているのではないか、このように思います。
公的年金制度については、持続的で安心できるものとするため、将来の保険料水準を固定した上、積立金の活用をあわせ、その財源の範囲内で長期的な給付と負担の均衡を図る仕組みとなっています。ですから、今直ちに、運用益が出たからこれを今の年金受給者に配るということではもちろんございませんが、しかし、この仕組みにおいては、運用収入が増加した場合には、将来の受給者の給付水準が改善されることとなると考えております。
○高橋(千)委員 それはそうなんですよ。二十五兆円をそのまま年金者に配れなんて言っていないし、そういうふうに成果が上がったときは大きな声を出すけれども、そうじゃないときだって当然あるわけでしょう。
百年安心なんだから、私が百年安心をいいと言っているわけではありませんが、時間をかけて、要するに、大損するときもあればプラスになるときもあるけれども、大体とんとんになるというのが計算なわけですよね。百年たってあと一年支払いできる分を残すという計算なんですよ。長い目で見て、子供や孫の世代に負担が少なくなると言っているだけなので、これは、総理自身が実は認めているように、一喜一憂してはならないんです。ここははっきり指摘をしておきたいなと思います。
ですから、二十五兆円上がった、その前は五兆円、たった三カ月で五兆円ということをおっしゃいましたよね。でも、余りそういうことはおっしゃらない方がいいと思います。
こうした中で、昨年の十月、運用先の配分表である基本ポートフォリオを変更して、最後の資料になります、これは配付だけですけれども、国内株を倍にして二五%、プラマイ九%まで運用できることになりました。これは、今度は、国内株と外国株も一緒に一括して運用を任せることもできるというふうになりますので、そうすると、四割、プラマイを入れると五割を超える資産が市場に流れ込むことになります。
この数年で六兆円から八兆円の買いだとか、かわりに売りに出した国債を日銀が買い支えているとか、大型株百の銘柄を買ったなんという記事も連日躍っています。株価PKO、平和維持活動ならぬ株価維持活動という言葉がかつてありましたが、政府による株価操作にほかならないと言わなければなりません。
でも、やはり実体経済のない株価上昇だけでは賃上げには連動しないと思いますが、麻生大臣に伺います。
○麻生国務大臣 基本的に、株が上がる、それを年金に運用するということによって株が上がって、株を持っている人だけがいかにもうまくいって、株を持っていない私たちは何の関係もないかのごとき話をよくされておられる方が支援者の中には多いと思いますけれども、この株というものの運用は、少なくとも、私どもの前のときは一兆五千億の赤、それが翌年から十兆、十一兆というような、ふえてきております分は、それは年金の運用にそれだけ回せることになりますので、年金の額がどうのこうのという話は、この二年間はほとんど聞かれなくなったという事実は大きいと思っております。
○高橋(千)委員 ちょっと伺ったことに答えていただけていないなと思って、我が党の佐々木憲昭議員がかつて財務金融委員会で質問したときに同じ趣旨のことを答弁されました。私はそれがとても大事なんじゃないかと思うからこそ、あえてもう一度指摘をさせていただいたわけです。
一昨年十一月の有識者会議の報告書では、GPIFの手数料が低いということを評価した上で、それが、かえって十分な情報を得られず、貴重な運用機会を逃しているとか、金融資本市場の発達を阻害する要因になっている可能性がある、なお、より高度な運用を行う結果、手数料を含むコストが上昇することもあり得る、こうやって指摘しているんですね。
それで、このときのメンバーが三人も、米沢委員長を初め、GPIFの運用委員会に入って、この巨大な資金の運用を任されております。
日本株の運用委託先は七割くらいが外資系、ほとんどが米国です。市場の動向を読み込む専門家を採用するために、手数料を上げてハイリスクにも挑戦するというような冒険はするべきではないと思います。
さっき指摘をした総理のスピーチ、買いのときだと言っていることで、結局、株に縁のない国民の資産が失われるようなことがあってはならないと指摘をして、終わりたいと思います。
――資料――
【資料1(パネル)】2015年4月からの年金額
【資料2(パネル)】65歳以上単身無業者の基礎的消費支出と老齢基礎年金額
【資料3(パネル)】生年度別にみた年金受給後の厚生年金(夫婦2人の基礎年金含む)の所得代替率の見通し
【資料4(パネル)】年金給付の所得代替率
【資料5】年金制度 デフレ時減額を抑制 厚労省、与党に配慮(毎日新聞2015年2月25日付)
【資料6】低所得高齢者・障害者等への福祉的給付