派遣法改悪案 審議入り強行
高橋議員 政府も与党も“欠陥”認識 「原則を覆す」
焦点となっている労働者派遣法改悪案は5日、衆院厚生労働委員会で審議入りが強行されました。自民、公明両党の幹事長・国対委員長は都内で会談し、今国会で成立させる方針を確認。自民・佐藤勉国対委員長は記者団に、7日に採決の前提となる安倍晋三首相出席の質疑を行いたいとのべ、「来週にも採決できる方向だ」と語りました。
日本共産党の高橋ちづ子議員はこれについて同委で「断じて認められない」と批判。参考人質疑も含めて徹底審議が必要だと求めました。
高橋氏は、法案の欠陥を政府も与党も認識していることがはっきりしたとして、「廃案にすべきだ」と主張。「業務」「期間」という制限を取り払う改悪案は「臨時的・一時的」としてきた派遣労働の原則を覆すものだと追及しました。
塩崎恭久厚労相が「『臨時的・一時的』という考え方は基本的に維持されている」と強弁したのに対し、高橋氏は、公明党の修正案では「臨時的かつ一時的が原則」との規定を盛り込んでおり、「わざわざ『書く』のは原則ではないからだ」と批判しました。
高橋氏は、政府案では“派遣期間の延長後に労働組合に説明すればよい”という構造になっているのを修正案では「延長する前に行う」としていることに言及。塩崎氏も「意見聴取に際しては」として修正案を先取りするような答弁を衆院本会議でしていると述べ、政府も欠陥を認めたものだと迫りました。
坂口卓派遣・有期労働対策部長は「(意見聴取は)事前に行うべき」と答弁。塩崎氏は「意見聴取で反対一色だったのに意に介さないのであれば、指導に出る」と答えました。
高橋氏は、反対意見を考慮するという条文もないため指導はできないと指摘。坂口部長も「労使協議をするという案も当初あった」と指摘を認めました。
(しんぶん赤旗 2014年11月6日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
まずは、本委員会が委員長職権で立てられたことに強く抗議をしたい、このように思います。
そもそも、なぜそういうことが起こったのか。もう朝からたくさんの委員の方がおっしゃっておりますけれども、委員会の審議、まだ一分も審議をしていないときに、理事会に、与党である公明党から修正案が出されたからであります。これは撤回されたといいますけれども、なぜあのタイミングで出されたのか、また、なぜ出したのか、全く納得がいきません。
まして、きょうの質疑をずっと聞いていますと、これはひょっとしたら、修正案がなければ、法案としてちょっとうまくないことがあったのではないかということを考えざるを得ないところがあるわけですね。そうした点で、やはり法案は出し直すべきだ、ちゃんと与党でそこはすり合わせをして、必要な修正を行って出すべきだということを重ねて指摘したい、このように思います。
それで、きょう理事会はまだ何も決まっていないわけですけれども、七日に総理入り、来週採決をするということで、自民、公明の幹事長らが了解したということが時事通信で既に流れています。全く、断じて認められません。
きょうここまでの議論だって、全く、大臣がお答えになっていること、法案の中身と本当に合っているんですかと何度も聞かなきゃいけない。整合性がとれていないんですね。そういうものを一つ一つ精査しなければなりません。そのためには、たくさんの時間が必要です。また、参考人、当事者の意見も聞かなければなりません。
そうした点では、まだそういう議論が話題に上ってくるということは断じて認めることはできません。徹底審議を求めたいと思いますが、委員長、いかがですか。
○渡辺委員長 これは理事会で協議いたします。
○高橋(千)委員 よろしくお願いします。しっかりと理事会で議論させていただきたい、このように思います。
さて、二十八日の本会議質問で、職業安定法の四十四条、労働者供給事業の禁止、これの例外だった、ここから派遣法が始まっているということで私が質問しました。だからこそ、常用代替の防止や、臨時的、一時的という原則なんだということが、たび重なる規制緩和をされてきたんだけれども、その原則は言われてきたんだということで、認識は同じですかという質問をいたしました。
そのときに総理は、労働者派遣法が、職業安定法で禁止されている労働者供給事業から分離する形で、常用労働者との代替のおそれが少ない業務に限り制度化されたものとして、制定以来、こうした考え方は維持されている、このように答えております。
しかし、今回の法案では、業務と期間という二つの制限が取り払われているわけですよね。そうすると、これはもう例外ではなく、派遣という働き方が一般的なものだ、こういう考え方になったのではないでしょうか。大臣に伺います。
○塩崎国務大臣 現行制度は、業務による区分に基づいて、いわゆる専門二十六業務以外の業務に係る労働者派遣については、臨時的、一時的な業務に限るものとし、期間制限を設けてきたというところでございます。
今回の改正案では、労働政策審議会の建議を受けまして、業務にかかわらず、派遣労働を臨時的、一時的なものと位置づけることを原則として、新たに個人単位の期間制限と事業所単位の期間制限という二つの期間制限を設けることとしておるところでございます。
このため、派遣は臨時的、一時的なものという考え方は基本的に維持をされているものと考えております。
○高橋(千)委員 基本的に維持をされていると答弁がありました。
私は、そういうふうに維持されていると答弁し続けているからこそ、矛盾が起きていると思うんですね。
撤回されたという公明党の修正案は、維持されていると大臣がそう答弁されているにもかかわらず、臨時的かつ一時的なものであることが原則である、この趣旨を二十五条に入れなさいとわざわざ書いているわけなんですね。この二十五条というのは、今回の改正案でさわっていない部分、つまり白表紙の中に出てこないんですよ。それをわざわざ引き合いに出してきて、この原則を入れなさいというふうに修正案として提案をされたということは、やはりそれは原則になっていないからだと与党がわかっている、与党だから一番わかっているということではないでしょうか。
このことを指摘した上で質問しますが、現行法では、原則一年、最長三年と期間制限がなっています。なぜ、いきなり三年が原則になるんですか。
○坂口政府参考人 お答えいたします。
今般の改正法案では、この期間制限につきまして、二十四年の派遣法改正時の附帯決議を踏まえながら、働く人に着目したわかりやすい制度にするということで見直すこととしておるわけでございます。
今議員御指摘のように、今回、個人単位の期間制限等について三年という形に原則しておるわけでございますけれども、これにつきましては、この議論の、労働政策審議会をしていただく参考として有識者の方の研究会でも御議論いただいた際に、業務の習熟には一定の期間が必要だということ、それから、正社員の方につきましては、二年から五年の周期で部署を異動する方が四割程度、五年以上の周期で異動する方と合わせると、同じ部署で二年以上勤務される方が九割以上ということになること、それから、今委員からも御指摘がありましたけれども、現行制度の最長期間というものが三年ということで、これにそろえることが適当だということで、それを踏まえながら、労働政策審議会の建議において三年ということとされたところでございます。
○高橋(千)委員 わかりやすい制度というのは使用者側にとっての理屈なんですよね。結局、期間制限だとか、業務に対する、二十六業務がまさにそうでしたけれども、それを厳格に守ろうとすれば、自分たちの都合によっては非常に困ることができてくるわけです、付随業務がどうのとか。だから、もっとわかりやすい制度にしてくれ、そういうことを受けた上での見直しじゃありませんか。
大体、最初は九カ月だったんですよね、期間制限というのは。まさしく臨時的、一時的だったんですよ。それを一年にして、それを最長で三年、しかし三年にするためには手続があったはずなんですね。ところが、それがいきなり今回は原則になってしまう。三年にもなって、それを臨時的な仕事と言いますか。大臣、率直に感想を伺いたいんですけれども。
○塩崎国務大臣 繰り返し申し上げているように、この制度につきましては臨時的、一時的なものだというふうに考えております。
○高橋(千)委員 今すごい単純な質問をしたんです。最大三年働いた人を、それを臨時的な働き方と言うでしょうかと感想を聞きました。
○塩崎国務大臣 三年ということでありますから、決して終身やる仕事ではないということで、これは一時的というふうに思います。
○高橋(千)委員 とても答えになっていないと思うんですね。
というのは、先ほど部長の答弁を聞かれたと思うんですけれども、なぜこれを三年にしたんですかという質問に対して、審議会の中でいろいろ議論がありました、その理由が、派遣業務の習熟期間、それから、正社員の異動周期が大体三年だと。霞が関もそうかもしれませんよね、大体二年か三年で異動する。だから、これは正社員の当たり前のルールなんですよ。三年もいれば職場になれるでしょうという話でしょう。それを臨時的と言わないんですよ。
最大の理由が、そもそも最長三年にしちゃっている、そこから円滑な移行をすると。つまり、さっき言ったように、使用者側にとってわかりやすい制度なんですね。今もうとっくにやっちゃっているから現状を追認してくれ、そのままでやってくれということで三年原則になったんじゃないですか。違いますか。
○坂口政府参考人 お答えさせていただきます。
先ほど御答弁させていただきました二十四年の附帯決議に沿って、労使双方にとってわかりやすい制度とするというような形で御議論もいただいたということで、これにつきましては、委員の御指摘のとおり、派遣会社さんあるいは派遣先の方から、二十六業務以外の業務を行わせていることの指導監督との関係というようなことがあったということも事実でございますけれども、一方で、実際に派遣労働者の方からも、みずからが従事している業務が二十六業務に該当しないではないかというような形で、いつまでこういった派遣先での業務に従事できるかということが不安だというような話も含めて、やはり労使双方にとってわかりやすい制度にしようといった経過があったわけでございます。
一方で、先ほど申し上げました三年の点について付言させていただきますと、先ほど申し上げました研究会等での御議論を踏まえてということでございますけれども、一方で、今回の期間制限につきましては、大臣からも御答弁ありましたように、個人単位の、臨時的、一時的という働き方に着目した期間制限を設けるということで、その点について申し上げますと、やはり三年程度のものがキャリアの見詰め直しを節目節目で行っていただくということにふさわしいということでも、三年という期間設定をさせていただいたということでございます。
○高橋(千)委員 ですから、そこがそもそも原則とは全く違うものになっているということ。
最初九カ月だったときは、やはり臨時的な仕事として、そういう仕事として選んでいたかもしれません。だけれども、それが当たり前になっちゃって、延長延長という細切れ雇用が当たり前になっちゃって、むしろ正社員よりも立派な派遣社員がいっぱいいるんですよ。職場で正社員を指導している派遣社員がいっぱいいるんですね。そうなったときに、いきなり、期間制限を守るためには雇いどめせざるを得ませんねと。だから、雇用をちゃんと守らなきゃいけないという議論がされてきたんじゃないですか。そこを、本当に議論が逆さまになっていると指摘をしなければならないと思うんですね。
それで、厚労省のネット調査、昨年の三月なんですけれども、派遣可能期間の制限を回避するために部署を変更したことがあるかないかという質問に対して、ない方が多いんですけれども、七八・九%。同じ課とかグループ内の異なる係に移っているという方が二一・八%なんですけれども、問題は、異なる部署、異なる係に移っているんだけれども、移った後の仕事の内容は、四九%が同じ仕事だった。つまり、部署がかわっても仕事は同じだということなんですよ。
それから、期間制限に抵触する日が到来した際の対応としては、直接雇用が五三・五%で、雇用されている方もいらっしゃいます。
ただ、問題は、三年たって業務自体が終了したというのは八・六%しかないんです。つまり、何が言いたいかというと、仕事はずっとある、期間は関係ない。さっき井坂さんが質問したのもまさにその趣旨だと思いますけれども、ずっと仕事があるのにもかかわらず、無理やり期間を設けて派遣を入れていた、こういう実態というのはまさに常用代替ということになりませんか。
○坂口政府参考人 お答えさせていただきます。
今委員が御指摘のように、派遣期間、あるいはそれに伴う雇用期間が短い派遣労働者が多いというのも実態であることは事実かと思いますけれども、やはり派遣労働者の雇用の安定等ということを考えますれば、細切れというような形での派遣契約、あるいはそれに伴う雇用期間ということにならないように、私どもとしても指導助言等も行ってまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 全然、何を答えていらっしゃるんでしょうか。
仕事がずっとある。つまり、三年とかと区切るのではなくて、要するに業務が終わっていない、だから新しい人が必要だ、それで今回、事業所ごとの見直しをするわけでしょう。だから、そういう考え方というのは、仕事がずっとあるけれども、そこにルールを決めて派遣労働者を入れるということは常用代替と違いませんかと指摘しています。
○坂口政府参考人 今回の期間制限につきましては、一つには、派遣労働者の方については、一定の課という単位での派遣期間制限の三年という形で設けております。
今議員の御指摘の常用代替ということにつきましては、これは派遣先の事業所単位で、派遣先の中で人がかわってもということでありますけれども、あるいは、人がかわって、いろいろな課がかわったとしても、当該事業所におきます期間制限として原則三年ということで、常用代替ということを防止していこうというために設けるということでの期間制限を設定するということでございます。
○高橋(千)委員 ですから、本来は正社員がやるべき仕事を、期限を区切ったりルールを決めて派遣にやらせているということを指摘しているんです。そういう意味ですよ。
○坂口政府参考人 その点につきましては、派遣先の方で過半数組合の意見の聴取もしながらということになりますけれども、延長する場合も含めてでございますが、本来、その仕事について派遣労働という形で受け入れるべきかどうかということについては、常用代替防止等の観点も含めて十分考えていただいた上で、派遣労働の契約を締結されるというものかと思っております。
いずれにしましても、先ほど申しましたように、そういった派遣労働の受け入れについての常用代替の防止を図るという観点から、今般も引き続き、派遣先事業所における期間制限ということを設けさせていただくというものでございます。
○高橋(千)委員 理念や原則を幾ら言っても、実態がそうだということをお認めにならない。それは実態を追認するための改正だということを何度も指摘しています。
そこで、今、過半数労働組合のことを答弁になりました。朝からずっと議論しているわけですけれども、そもそも、原則一年を三年に延長する際も過半数労働組合の意見聴取はありますよね。どのようになっていますか。
○坂口政府参考人 ちょっと今手元に資料がございませんけれども、今委員御指摘のように、現在も、業務の区分によって、二十六業務以外のものについては原則一年の派遣期間制限が設けられておりまして、今委員からの御指摘のように、これを最長三年まで過半数組合の意見を聞いた上で延長するということになっております。
○高橋(千)委員 第四十条の二の二項の二に「前号に掲げる場合以外の場合 一年」と書いてあって、その先に、「あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間を定めなければならない。」ということで、あらかじめ過半数で組織する労働組合の意見を聞く、そして決定した場合は速やかに説明する、そういう流れになっていると思います。
それと、今回の三年をさらに延長するときの仕組みは、同じですか、違いますか。
○坂口政府参考人 今回の派遣先事業所での期間制限につきましてでございますけれども、こちらにつきましても、同じ事業所における継続的な派遣労働者の受け入れについては、三年という期間制限を課した上で、三年を超えて派遣労働者を受け入れようとする場合には、過半数労働組合等からの意見聴取を義務づけておるというところでございます。
○高橋(千)委員 同じ仕組みですかと聞いています。あらかじめ、速やかにと現行法には書いておりますが、表現が違うと思いますが。
○坂口政府参考人 失礼いたしました。
今回の三年の期間制限の延長につきましても、その三年の期間の到来する一カ月前ということで、意見聴取をした上で、その上で延長の手続ということになっております。
それから、プラス、午前中来お答えしておりますように、そういった過程で反対意見が表明された場合には、現在の意見聴取の規定ではございませんけれども、反対意見が表明された場合には、その理由や対応方針ということを説明するという手続が必要になるということでございます。
○高橋(千)委員 一カ月間の意見聴取期間を置くというふうに書いているんですね。
そこで、先ほど来の議論なんですが、私は本会議の際に、先ほど大串委員が指摘をしたように、過半数労働組合等、あるいは、ない場合の過半数労働者代表の実態が余りにも、組合もほとんどないし、選ばれているのは親睦会の代表とか、こんなので本当に歯どめになりますかという質問をしたわけです。
そのときの大臣の答弁は、「意見聴取に際しては、反対意見に対して対応方針を説明すること、意見聴取の記録を事業所内に周知等すること等を派遣先に新たに法的に義務づけることとしており、」とあるんですね。意見聴取に際してはということは、これは当然、延長を決める前という意味だと思いますが、違いますか。
○坂口政府参考人 先ほど御答弁しましたように、延長する前の段階で意見聴取をするということが義務づけられております。
それで、意見聴取の過程で反対意見が表明された場合には対応方針等を説明するということで、これにつきましては、委員御指摘のとおり、実際、延長するということを意見聴取する過程で、派遣先の方が意思決定をしたということの段階でそういう反対意見が表明された場合には、対応方針ということを説明するということでございます。
○高橋(千)委員 丸めて言っちゃだめなんですね。これはちゃんと段階があるんです。
さっき言ったように、一カ月間の意見聴取期間に意見聴取を行う。その後で、五項はこうなっていますよね。「派遣可能期間を延長した理由その他の厚生労働省令で定める事項について説明しなければならない。」
延長した理由、これは延長してから事後承諾、説明だ、そういう意味じゃありませんか。
○坂口政府参考人 今委員の御質問の点につきましてでございますけれども、条文上そのような記載にはなっておりますけれども、延長するという意思決定をしたときに意見聴取を行って反対意見が表明されていた場合には、対応方針等を説明するということでございます。
したがって、延長する事前の、前の段階ということでございます。
○高橋(千)委員 まず、その対応方針等を説明すること、意見聴取の記録を周知すること、これはまだ法定はしていませんよね。これから政令を改正して行うわけですよね。
あたかももう決まっているかのように答弁をされていますけれども、まずそこを確認します。
○坂口政府参考人 今委員の御指摘の点は、先ほども御議論のありました改正法案の第四十条の二の第五項でございますが、この中で、派遣先が派遣可能期間を延長したときは速やかにという形で、「派遣可能期間を延長した理由その他の厚生労働省令で定める事項について説明しなければならない。」ということとしておりまして、この「その他の厚生労働省令で定める事項」の中に、実は労働政策審議会の中でも対応方針というようなものを説明しなければならないということを建議でいただいておりますので、具体的には、再度、労政審で確認していただいた上で定めるところでございますけれども、延長した理由のほかに対応方針ということについて説明しなければならないということで御説明を申し上げているところでございます。
○高橋(千)委員 まず、そこは決まったことではないんです。そこを確認した上で、やはり公明党さんが出した案というのは、派遣先が派遣可能期間を延長するに際し労働組合等から意見があった場合の当該労働組合等への理由などの説明を、延長する前に行うことを明確化すること、これはあえてこうやって、延長する前にと書いている。
こういうことを言わざるを得なかったということじゃないですか、この法案では読めないから。そして、それを先取りした大臣の答弁じゃありませんか。
○坂口政府参考人 お答えをさせていただきます。
四十条の二の第五項でございますけれども、これにつきましては、委員御指摘のとおり、条文上、「派遣可能期間を延長したときは、」という形で、そのような条文の形になっております。これは他の法令の用例等を勘案してこういう形にしたという形でございまして、労働政策審議会の法案要綱の審議会での議論の過程におきましても、このような要綱での書きぶり、書き方につきまして、この意味合いで、延長をする意思決定をしたときだということで御説明をしたところでございまして、立案当初から、この「延長したときは、」ということについての意味合いというものについては変更しておるわけではございません。
○高橋(千)委員 大臣に伺いますが、私は、それをあえてわかりやすく公明党さんが修正案で、前にと書いてくれたんだと思うんです。それを踏まえた答弁に私は聞こえました。その方がわかりやすくないですか。
○塩崎国務大臣 私が答弁したときには、その公明党の修正案なるものは存在をしておりませんでしたし、私のところにはですね、ですから、そういう意味で言ったことではなくて、今部長が御説明申し上げたことを言ったつもりでございます。
○高橋(千)委員 大臣のところにわざわざ公明党さんの案はこうなっていますという説明をしなくても、答弁を書けばそうなるから、そこはちゃんと踏まえていただきたい。私は、もう修正を踏まえた答弁にしか聞こえません。そのことを強く指摘したいと思います。
それから、念のため伺いますけれども、先ほど大串委員の議論の中で大臣が答弁したこと、つまり、反対意見があったときに、やはりそれを全く聞かないというのに対しては指導していくんだという答弁をしたんですね。そのとおりだったら、私はいいことだと思うんです。でも、どう考えてもそうは読めません。そうは読めないんです、別にこれは反対意見があったってそのままでいいということになっているわけですからね。それはもう明確に答弁がミスではないのか。
○塩崎国務大臣 繰り返し答弁を申し上げますけれども、私が申し上げたのは、指導及び助言がどういうときにできるのかということを申し上げているので、労働者派遣事業の適正な運営というものをちゃんとやっているかどうかという観点から、もし、意見聴取をしたときに反対一色であったにもかかわらず、それを全く意に介さないというようなことであれば、これは今回提案をしているプロセスをちゃんと踏んでいないということになるので、そこまでいけばやはりさすがに、これは適正な運営に反するということで指導に出るのではないのかということを申し上げたところであります。
○高橋(千)委員 それは、ごめんなさい、私、さっきから場外発言をしていて失礼しましたけれども、条文の中に反対意見を踏まえるということが書いてあれば、それは、言うことを聞いていないじゃないか、全然踏まえていないじゃないかということで指導ができるんです。つまり、派遣先は法律違反をしていないんですよ。法律違反をしていないのに、なぜ指導ができるんですか。そこがちゃんとわからないとだめなんです。
これは実は、大臣、さっき過半数労働組合の問題も指摘されたときに、実態を知ったときに、今は実態は非常に問題がある、しかし、それはこれから政令にちゃんと書いて正していけばいいと、大串さんが何度指摘しても、全くかみ合わない答弁をしておりました。
これは実は、二〇一三年八月二十日の分科会で、使用者側が意見を言っているんですね。つまり、研究会の報告書が出た日です、この日は。そのときに、労使の新しい委員会をなぜつくるんだということを指摘しているんです。反対があれば一定期間受け入れられないというふうな案があった、それに対して、それは余りにも厳し過ぎるじゃないかという議論をしているんですね。これは、結局、取っちゃったでしょう。
それで、条文を読むと、労働組合があればと書いてある。つまり、既存の組合でいいということになったんです。幾ら大臣がいろいろ言ったって、突然、労働者の側に立つ組合ができるはずもないし、過半数代表ができるはずもないのです。そういう規定は一切考慮されていなかったんです。違いますか。部長でいいです。
○坂口政府参考人 今委員御指摘の、審議会の分科会冒頭のということでございますけれども、ちょっと日にちはわかりませんけれども、委員御指摘のように、確かに、先ほども引用させていただきました有識者の方の研究会の中で、そういった労使での委員会ということでの協議の形をとってもいいんじゃないかというような、一つの案としての案が提示されていたのは事実かと思います。
それで、委員御指摘のとおりでございますけれども、その研究会報告については審議会の御議論の参考とされた上で、審議会においては、最終的に、今般の労政審の建議のような形で御提言をいただいたということで承知をしております。
○高橋(千)委員 一言言って終わります。
ですから、何の歯どめにもならないというのが実態であります。今やられている過半数労働組合と代表に対する意見聴取では、ほとんど意見が出ていないというのが八割です。それで、受け入れてはならないという意見が出たのは一・二%とか〇・数%、そういう実態であります。何の歯どめにもならないと改めて指摘をして、引き続き審議をするべきだということを訴えて終わりたいと思います。