子育て支援員 / 保育の専門性否定 / 高橋氏「安直な発想」
日本共産党の高橋ちづ子議員は6日の衆院厚生労働委員会で、育児経験がある専業主婦らを来春から「子育て支援員」に認定して保育に従事させようとしている問題で、「保育士の専門性を否定し、処遇を低めかねない」と批判しました。
子育て支援員は、田村憲久厚労相が政府の産業競争力会議(5月28日)で提案。小規模保育や事業所内保育、児童養護施設などに導入する考えです。
高橋氏は、支援員の研修が保育コースで計20時間程度と少なく、「安直な発想がすけてみえる」と批判し、「なぜ少人数(の保育)では(支援員を)一人前の保育士扱いするのか」と追及しました。厚労省の石井淳子雇用均等・児童家庭局長は「(認可保育所の)集団保育は特別なスキル(技能)が必要。小規模は現に(資格が不要な)保育ママもある」と答弁しました。
高橋氏は、支援員創設の背景に、専業主婦らを「准保育士」として認可保育所で働かせたいという産業競争力会議での民間議員の求めがあったと指摘。田村厚労相も懸念を示していたことに触れ、「支援員はこれと違うのか」と迫りました。
田村厚労相は「決して保育所の人員配置基準に入れるものではない」としました。
高橋氏は、神奈川県厚木市で男児の白骨遺体が見つかった事件も取り上げ、児童相談所や児童養護施設の体制強化を主張。支援員を補助的職員とすることについて「まず専門家の層を厚くするべきだ」と求めました。
(しんぶん赤旗 2013年6月8日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
五月二十八日の第四回産業競争力会議課題別会合において、田村大臣は、子育て支援員(仮称)ですが、創設を提案したといいます。専業主婦の就労機会をふやすとか、あるいは待機児童対策とか、さまざまなことが言われておりますが、子育て支援員の目的は何でしょうか。そして、どんな場面で、どのくらいの方々に支援員として活動してもらう考えでしょうか。
○田村国務大臣 子ども・子育て支援新制度では、保育所、幼稚園だけではなくて、多様なサービスを提供するわけであります。小規模保育でありますとか家庭的保育でありますとか、施設型給付だけではなくて、地域型の事業というものもあるわけでありますし、また、それぞれの地域で、地域子ども・子育て支援事業というような形も進めていくわけであります。
そのような中において、一定期間子育ての経験のある方々、その経験をもとに、研修を受けていただいて、その力を発揮いただくということでございます。
仮称でありまして、どういう名前になるかはまだわかりませんが、いずれにいたしましても、一定の研修を受けた中で、お力をおかしいただきたいということでございます。
規模感は、ちょっとまだ、我々としてもしっかりとどれぐらいの規模かつかんでおりませんが、いずれにいたしましても、そういうような形で活躍をいただきたいということでございます。
○高橋(千)委員 新制度で、いろいろな形の保育があるからということなんだと思うんですけれども。
最初にいただいた資料のところに書いているのは、「子育てが一段落した専業主婦」、こういうふうに書いているわけですね。研修を受けてもらって、子育て支援員になってもらう。どうも私は、その発想が安直で、いただけないです。
その研修とはどういうものかというのが資料の一枚目にございます。共通研修というのが十時間程度ですね。その上に、保育コースは十時間から十五時間、放課後児童コースと社会的養護コースは五時間。これで、専業主婦で子育て経験者だからという、何か安直な発想が透けて見えるわけです。
しかし、よく見ると、補助員と書いているもの、補助的職員と書いているもの、また保育従事者という表現を使っているものがあります。同じ子育て支援員であっても、コースによって違う。しかし、補助的職員という場合、保育士と仕事の内容を明確に分けるのでしょうか。どう違うのでしょうか。
○石井政府参考人 認可保育所においては、保育の質を確保するため、配置基準において乳幼児の人数に応じて保育士を適切に配置することが求められております。
小規模保育などにおきましては、小規模な事業であることに鑑みて、保育所と同数の職員配置とはせず、一名の追加配置を求めて質を確保する、そういう形で整理をしております。
一方、多様な実態にある事業からの移行を想定して、保育士以外の従事者も配置基準に含めることとし、その場合には、一定の研修を義務づけることとしております。その際の研修内容としては、今般の子育て支援員、仮称でございますが、その研修を位置づける方向で検討しているところであります。
したがいまして、保育士の業務と、仮称の子育て支援員でございますが、この業務を明確に分けるわけではありませんが、これは、しっかりとした研修を受けていただいて、保育の質が確保できるようにしていきたいと考えております。
○高橋(千)委員 今、認可保育所については、質の確保のために適切に配置をする、つまり配置基準には子育て支援員が入らないわけですね。だけれども、小規模保育は、ここにも書いてあるように、配置基準の中に入る、こう説明をされました。
十九名以下ということが条件だということですけれども、しかし、なぜ小規模保育や事業所内保育だったら保育士と同じ仕事ができるんでしょうか。納得いきません。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
やはり、保育所で勤務していただく保育士さんには、集団保育ということについての特別なスキルが必要だということは疑いない事実であるかと思います。
それに対しまして、小規模保育、これは、保育士であればあるほどいいというお考えはあると思いますけれども、しかしながら、小規模な事業であることでありますから、同数の保育士という形で配置を求めていきますと、これはなかなか、現実問題、既に保育ママというものもございますし、全体の保育の受け皿というふうに見ても難しさが伴うのではないか。
しかしながら、保育所においての配置というものは現在の姿は堅持をしてまいりたい、そういうことでございます。
○高橋(千)委員 私は、小規模であっても、これは同じ質でなければならない、こういうふうに思うわけですね。
保育士が国家資格とされたのは平成十五年、二〇〇三年です。保育所保育指針では、保育士の専門性について、「児童福祉法第十八条の四の規定を踏まえ、保育所の役割及び機能が適切に発揮されるように、倫理観に裏付けられた専門的知識、技術及び判断をもって、子どもを保育するとともに、子どもの保護者に対する保育に関する指導を行うものである。」と明記をされています。
厚労省の解説書によれば、「こうした「専門的な知識・技術」をもって子どもの保育と保護者への支援を適切に行うことは極めて重要ですが、」ここの一行だけでもすごく難しいことを言っているんですよね。要するに、子供だけでなく保護者も支援しなさいということを言っている。「そこに知識や技術、そして、倫理観に裏付けられた「判断」が強く求められます。日々の保育における子どもや保護者との関わりの中で、常に自己を省察し、状況に応じた判断をしていくことは、対人援助職である保育士の専門性として欠かせないものでしょう。」と、かなりハードルが高いけれども、専門性ということが期待されています。
この保育士の専門性については、新制度になっても変わらないんですか。
○石井政府参考人 委員がるる御指摘なさいましたように、保育士は、単に子供を預かる者ではございませんで、子供の発達を支援し、健康や安全を確保し、また、保護者への相談支援などを行うといった、保育の専門職としてさまざまな役割を担っているということでございます。
保育所保育指針におきましても、「児童福祉法第十八条の四の規定を踏まえ、保育所の役割及び機能が適切に発揮されるように、倫理観に裏付けられた専門的知識、技術及び判断をもって、子どもを保育するとともに、子どもの保護者に対する保育に関する指導を行うものである。」とされているわけでございまして、このような保育士に求められる専門性は、子ども・子育て支援新制度の施行後も変わるものではございません。
○高橋(千)委員 まずは確認をいたしました。
そこで、なぜ厚労大臣からこのような子育て支援員なるものを提案したのかということですよね。
これは、もとをただせば、連日議論されています産業競争力会議、雇用と根っこは同じでして、ことし三月十九日に長谷川主査より、保育士不足だから、育児経験の豊かな主婦の力を保育の現場で活用するべきとの提案が出され、民間認証の准保育士という言葉がここに出てくるわけであります。
これは、介護保険の議論のときと大変よく似ていますよね。介護保険の要支援外しということが議論されたわけですが、生活援助は家事代行と同じだからボランティアでもいいだろう、そういう議論が民間議員の中から盛んにされるわけですよ。同じでしょう。子育て経験があるんだから、保育を少し研修したらできるんだろうと。
でも、これは主婦に対してもばかにしているんです。なぜなら、その程度の処遇で就労機会の拡大だと。あるいは、これは表に大きなテーマがついていますからね。女性が輝く、女性の活躍促進ですよ。そういうものに対して、この程度でいいんだろうということもばかにしていることなんですね。
四月四日の経済財政諮問会議との合同会議で、大臣は、准保育士の資格を創設して、仮に認可保育所の配置基準に算入するという場合は、保育の量の確保のために質を犠牲にしたという議論があるので切り分けていただきたい、こう述べています。また、ワーキングプアにもなりかねない、そう指摘されています。そのとおりだと思います。
多分、そこで、准保育士といつまでも言われるのは困るので、子育て支援員というのをこちらから提案したんだと思いますが、どこが違うんでしょうか。
合計二十時間程度の研修でよいとなれば、保育士の専門性を否定することにもつながり、引きずられて処遇を低めることにもなりかねません。いずれ、認可保育所だって、配置基準の一部を代替することになるのではありませんか。大臣の認識を伺います。
○田村国務大臣 子育て支援員が、お子さんを育てられた経験をもとにやられるという方だけではないわけでありまして、そういうような経験がなければ子育て支援員になれないというわけでもございませんし、男性もなれるわけであります。
先ほど小規模保育の話が出ましたが、あれも、もとからいろいろと議論しておりましたA型、B型、C型、こういう中において、A型においては、基本的には保育士がやっていくということであります。B型が二分の一、C型は、今までの家庭的保育者のような方々が中心に、三対一、五対二という中において、残りの中、つまり、そうじゃないところにこのような支援員の方々が御活躍をいただく。場合によっては、将来、保育士を目指していただけるということもあるわけでありまして、我々は、そういう中において、お力をおかしいただきたい、経験をそこで積んでいただいて、次のステップアップを含めていろいろと対応いただきたいという思いであります。
決して、保育所の人員配置基準に入れるというようなものではないというのは、私がその前のときに、そこの産業競争力会議でしっかりと申し上げた、そのままでございますので、そこは一点の曇りも変わりもないわけでございますから、御理解をいただければありがたいと思います。
○高橋(千)委員 保育問題は規制改革会議との長い長い闘いをやってきましたので、大臣になる前から、私が厚労委員会に来てからずっと闘っておりますので、彼らの意図はそうであるという中で、いかにこれを担保していくのか。
しかし、現場では、お手伝い、補助要員といったって、結局は、ずっと資格者がいるわけではない。要するに、勤務時間ずっと、御飯を食べるとかいろいろな時間があるわけで、そういうことを重ねていく中で、別にいいじゃないかというのが狙いなわけですから、やはりそこは、こちらから切り崩すべきではない。十分な体制をとった上で、そういう補助の仕事というのもありですよということは明確に分けるべきだということを重ねて指摘をしたいと思います。
きょうは、次にもう一つのテーマがありますので、ここは一旦終わるんですけれども、五月三十日、厚木市内のアパートで男児の白骨遺体が見つかり、平成十八年、〇六年ですが、秋、当時五歳だった斎藤理玖君であるということ、アパートの自室に放置し、十分な食事や水を与えず衰弱死させたという事件がありました。またもこのような事件が、しかも、亡くなって七年あるいは八年も放置されていたことに大変な衝撃を受けました。
まず、文科省の西川副大臣に伺います。
小学校の入学予定が平成二十年、二〇〇八年三月。その前年には入学時健診がありましたが未受診。また、説明会にも不参加。六年たって、ことし三月、市が住民登録抹消。学齢簿から削除をされています。
資料の二に居所不明児童数の推移というのがあります。これは、一年以上ということで、居所不明の場合は学齢簿を別に分けて、全く抹消するという意味ではないんですが、別に分けるんだということが説明されているのと、平成二十三年が千百九十一人ということでピークだったということが資料の中でわかっております。
こういうことをずっと把握というか調査をしてきた。そういう中で、この学齢簿の扱いあるいは前後の調査など、もっと早く対応できることがあったはずだと思いますが、どのようにお考えですか。
○西川副大臣 本当に、先生御指摘のように、今回の事件は大変痛ましい事件でございまして、なぜこういうことが長らく放置されてきたのかというのは、本当にいろいろと疑問なところがあるわけでございます。
今回、児童相談所や教育委員会の対応には、非常に現場での対応に問題点が指摘されております。その中で、正直、まだ本当に、詳しい、詳細がなかなかわかっていないということがありますので、今神奈川県では本事案についての特別の検証委員会を立ち上げまして、この検証委員会の報告をしっかりと待ちたいという思いでおります。
今回、平成二十年の入学説明会で児童の保護者が参加しなかった折に家庭訪問をしたわけですけれども、空き家となっていたと。空き家という判断のもとに、住民基本台帳の担当者が児童相談所とも情報を余り共有しない中で放置していたということ。多分これは、一つにはDVとの関係がありまして、その情報を得たときに、しっかりと住民基本台帳のその先まで調べて報告するということがためらわれる、そんな配慮もあるのではないかなとは推測できるんですが、どっちにいたしましても、この辺のところはしっかりと検証していかなければいけないと思っております。
○高橋(千)委員 資料の三枚目に、平成二十三年の元旦の産経新聞をつけました。この見出しを見ていただきたいんですが、「所在不明の小中生三百二十六人 教委ずさんな調査、毎年度「ゼロ回答」も」。この年がまさに入学の年と重なっているわけです。
この下の方のアンダーラインを見ていただきたいんですが、「横浜、川崎、新潟の三市は毎年度「ゼロ」と報告。「三月末に学籍から抹消した児童生徒はいるが、五月一日時点はゼロ」」。これはひどい話ですよね。抹消した生徒はいるがゼロと。何の解決もしていないのに、日付が来たらリセットしているということになるわけです。
なので、一番下に、子どもの虹情報研修センターの川崎二三彦研究部長の言葉を載せていますが、「学校は「去る者は追わず」の姿勢。」だと。本当に厳しい指摘ですが、そのとおりだったのではないかと言わなければならないと思います。
資料は、その続きで、文科省がその後発出した通知があるわけですけれども、「義務教育諸学校における居所不明の児童生徒の把握等のための対応について」、この中で、なるほどと思うんですけれども、居所不明であることを把握したのはいつからかということで、千四百九十一件中、小学校の入学時からが九百九十八件、三分の二近くですよね。そして、居所不明である期間が三年以上が四百四十九件。これは、一年以上でくくるとやはり九百件を超えて、三分の二以上。つまり、長くということが明らかになるわけです。
そして、その右の下を見ていただきたいんですが、居所不明である期間が一年以上の件数のうち、学校や教育委員会が民生委員とか児童相談所とかに相談したり連携したりした件数が四百十件。めくっていただくと、相談しなかった件数が五百六十六件。つまり、相談したよりもしなかった件数の方が多いということが明らかになりました。
居所不明児童はかなり以前から問題になっていますが、どのように考えますか。今後の対策も含めてお答えください。
○西川副大臣 本当に、先生の御指摘のとおり、これは文科省が平成二十四年五月一日で調査した結果でございまして、一年以上居所不明が、合計しますと九百七十六件ですかね、本当にすごい件数で、要は、それまでの調査では、調査が現場サイドで、ある意味では、勝手な判断でいろいろと数字を抹消したり、間違ってその抹消した件数の方を報告してゼロにしていたとか、各自治体の報告がかなり曖昧だったということで、平成二十三年度で一気にこれがしっかりした結果、千件以上になってきたという実態があります。
そういう中で、非常に、日常的に連携体制がなかった。児童福祉関係機関への相談ができていなかった例や、家庭訪問に出向いても居住の実態を確認し切れない状況のまま学校で抱え込み、児童福祉関係機関との情報共有を行わないできた例などの報告を受けておりまして、大変これを重く受けとめております。
調査結果を踏まえまして、平成二十五年の三月の通知におきましては、児童福祉関係機関による要保護児童の保護などの対応が必要となる事案、こういうことも想定されますので、速やかに児童福祉関係機関との情報共有を図り、相互に連携して適切に対応するよう求めていったところでございます。
実は、この要保護児童の連携のシステムが、平成十六年ですか、厚生労働省の方のあれで地域の連携システムができておりますね。その中に民生委員の方々や警察や教育委員会も入っているわけですね。でも、地域でこれが、本当に、状況をそれぞれが抱え込んでいて共有していない、この辺が一番問題だと思いますので、ぜひ厚労省と連携をして、しっかりとこの辺の対応をしていきたいと思います。
○高橋(千)委員 数字をリセットしたことが命のリセットにもつながった、そういうことは本当にあってはならない、今後は絶対にあってはならないという思いで続けたいと思うんです。
今紹介した文科省の調査の最後のところに、住民票がない児童生徒、だけれども、やはりDVとかで市町村に駆け込んでくるわけですね。そのときに、学齢簿をちゃんとつくって就学を認めた事例というのは六千九百二十四件。そんなにあるんだということを改めて認識しました。
とすれば、学齢期になる前、乳幼児のときにどうやって結びついていただろうかということが非常に気になるわけであります。乳幼児のときに何らかの結びつく手段があるはずだと思いますが、どうかということと、今回の事件のように、今回の事件はちゃんと名簿があるわけですよね。育児を放棄している親の場合、相談待ちでは絶対無理ですよね。こちらからアウトリーチ、出かけていく、それで見つけるしかない、これが必要だと思いますが、大臣、どのようにお考えですか。
○田村国務大臣 アウトリーチというお話からすれば、乳幼児ですから、乳児家庭全戸訪問事業というものをやっておるわけであります。その中で、ちょっとこの家庭はいろいろと問題がありそうだなという場合には養育支援訪問事業というのをやるわけでございまして、そういう中においていろいろなことを把握していくということであろうというふうに思います。
言われたように、住民登録と居住実態、これがかけ離れておるということは、結果的にかなりリスクが高い可能性があるわけであります。そういう家庭に関して、やはりそれぞれの自治体間で協力をしていただきながら、その居住実態というものをしっかりと把握していただきたいということで、二十四年の十一月に、これは課長通知でございますけれども、通知を各自治体の方にお配りさせていただきました。
いずれにいたしましても、今話もございました、要保護児童対策地域協議会というものがあるわけでございまして、こういうものの中において、やはり情報の共有でありますとか、支援の方針、こういうものを検討していただくよう、地方自治体には要請をさせていただいております。
○高橋(千)委員 きょう、ちょっと流れの関係で文科省に先に質問しましたけれども、人生からいくと厚労省が先なわけですよね。ですから、厚労省が先に見つけてくれなければ助からなかったんですよ。そういう点では、大臣、最初の答弁にしてはちょっと事務的過ぎますよね。そこを、厚労省の責任をどう考えるんだということをやはりちゃんとお答えいただきたいと思います。
資料の六は、二〇一三年十二月三十日の読売新聞です。「乳幼児 所在不明四千百七十六人 虐待の懸念も」とあります。実は、この記事が厚労省の大規模な調査につながって、それがきっかけで今回の厚木の事件も判明したと思われます。
余りに遅過ぎではないでしょうか。その前にずっとチャンスがありましたよね。三歳半健診、あるいは迷子扱い、下着一枚で保護されたときに、お母さんが一日おくれで迎えに来たのを迷子として処理してしまった。死亡する前に救出するきっかけはもっとあったはずです。
きょうの神奈川新聞で書いているのは、実は、生まれた年の九月に、もう児童手当をもらっているんですね。その後に、児童手当ですから現況届を出さなきゃいけないじゃないですか。出していない。そのときにやはりネグレクトを疑わなければならない。チャンスは何度もあった、そのことをちゃんと認めなければなりません。
この年の五月二十八日に、私はこの委員会でちょうど同じような質問をしていたんですけれども、虐待死も百例、百二十六名もあったということで、専門委員会の第一次報告、第二次報告、何回勧告しても同じことが繰り返されていることを言ったんです。これは第四次勧告でした。今、第九次まで出ているんですよ。だけれども、毎年変わっていないという、まことに残念だという報告が出ているんです。
これを本当に、どう思うのか。もういいかげんに、防げた、防げたのではないかと思うような事件はなくしてほしい。大臣、いかがですか。
○田村国務大臣 今般の案件は、検証委員会を開いて、今いろいろと検証されておられます。この結果を待たせていただきたいというふうに思います。
先ほども申し上げました、二十四年十一月、遅きに失したと言ったら、それはそのとおりでありますけれども、やはり、居所不明の子供たちを含めて、実態がかけ離れている、そのようなお子さん、家庭を調べていただきたいということで、これは通知をさせていただきました。なかなかそれがばらつきがあるということもございましたので、昨年、二十五年六月、このときにもう一度我々の方からお伝えをさせていただいた。
そして、さらに申し上げれば、本年四月でありますけれども、一月から三月でどれぐらいの子供たちが居所不明なのかということも含めて調査をしていただいて、その後、この秋にかけて、それがどのような形なのか実態を調査いただきたいということをお願いさせていただきました。結果も御報告をいただきたいというふうに思っております。
そのような結果でありますとか、また、先ほどの神奈川のいろいろな検証の中身、こういうものもしっかりと踏まえた上で、我々もこれからいろいろな対応というものを検討させていただきたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 資料の七枚目、二十五年十二月十三日の毎日新聞が書いているんですけれども、「居所不明児 把握ずさん」ということが指摘をされています。これも独自調査です。
この中を見ますと、先ほど来議論されている要保護児童対策地域協議会、要対協と略していますけれども、これが全然把握していない。つまり、文科省が居所不明児童を把握しているにもかかわらず、要対協が把握をしていない。ですから、さっき西川副大臣が言ったように、お互いの情報の共有がない。これは、学校も警察も厚労部門も、みんなが地域のネットワークをつくるわけですから、こういうことが指摘をされている、あるという報告がせっかく上がっているのに、要対協の中ではゼロ人、こういう実態は絶対あってはならないですね。
これは、時間の関係で厚労省にだけ聞きますが、一言お願いします。
○石井政府参考人 議員御指摘のように、要対協がしっかり機能していれば防げた命だというふうに思います。
この要対協の活性化に向けて、一昨年十二月でございますが、好事例について取りまとめて提供いたしております。
そういったものを地道に積み重ねながら、また、今回のような事例をまた一つのきっかけとしまして、その活動の本当の意味での命を吹き込むというんでしょうか、それに努めてまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 第九次までの報告のまとめを見ますと、私が質問した第四次のころ、望まない妊娠は一六・四%でした。今は三一%になっています。未受診が三六・二%にも伸びています。驚いたのは、胎児虐待、今や一三・八%もあるんですね。
思春期教室ということで、保健師さんが妊娠の前から本当に頑張って指導している、そういう取り組みもございます。そうした中、虐待相談はいまだに右肩上がりで、二十四年度で六万六千七百一件にもなっています。
きょう、私はどうしても人の話をしたいと思うんですね。
虐待相談は、非常に専門的で、精神的にもきつい仕事です。
私の地元青森県は、虐待死亡事件をきっかけに、福祉司の配置が全国に比べて大変厚いです。だけれども、それでも病休が多く、補充がありません。被虐待児童の父親から暗いところを歩くなとすごまれて、もう怖くて、それを苦にして運転しているうちに自動車事故を起こした職員もいました。体を張って頑張っても、父母からも社会からも責められる。児童相談所が来ると子供を連れていかれると泣き出す母親もいます。それでも、お母さんたちに協力するんだよと説得して、やはり相談してよかったと思ってくれる、そういう努力をされているんですね。
だから、こういう緊迫した場面だということをまず知っていただきたい。努力しているということも知っていただきたい。
しかし、そこに子育て支援員を配置すると今言っているんですよね。最初の話に戻ります。
私が今言いたいのは、今こそ、児童相談所や、あるいは一時保護としても重要な養護施設など、体制を抜本的に強化すべきなんです。補助職員は要らないなんて言いません。もっとその周りに厚い層をつくるべきだ、ボランティアなり。だけれども、その真ん中のところは、専門家の層は本当に厚くしなきゃいけないと思う。大臣、一言、お願いします。
○田村国務大臣 済みません。先ほど一から三月と申しましたのは、一から四月でございまして、訂正させていただきます。
もちろん、社会的な養護の施設において、心理療法等々を担当する専門職という者、しっかりとこういう方々に御活躍をいただかなければならないわけでありまして、そういう意味では、研修もしていただき、また資質も向上いただかなければならない、大変重要だと思っております。そういう方々の配置というものも大事であります。
しかし、今回申し上げたのは、あくまでも、その下でお手伝い、働いていただく、そういうような立場での支援員でございますので、委員のおっしゃっておられる意味は重々わかっておりますが、そういう方々の力もそのもとでおかしをいただきたいということでございまして、どうか御理解をいただければありがたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 終わります。また続きをお願いします。
――資料――
【資料1】「子育て支援員(仮称)」の創設について(研修体系イメージ)
【資料3】2011年1月1日産経新聞「所在不明の小中生326人 教委ずさんな調査、毎年度『ゼロ回答』も」
【資料4】居住不明児童生徒に関する教育委員会の対応等の実態調査結果概要