関連:【国会質問】2014年 6月 4日第186国会厚生労働委員会「有期雇用特措法案」
――議事録――
○高橋(千)委員 私は、ただいま議題となりました専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案に対し、日本共産党を代表し、反対の討論を行います。
反対する第一の理由は、労働契約法の無期転換申込権に特例を設ける理由が存在しないからです。
有期契約労働者は千四百四十二万人にまで拡大し、契約更新を繰り返しながら、雇いどめの不安にさらされています。無期転換申込権は、こうした雇用の安定を求める労働者の願いに応えて、仕事が継続しているにもかかわらず有期契約を繰り返すような、有期労働契約の濫用的な利用を抑制するために創設されたはずです。
その適用は昨年の四月一日以降の有期労働契約からとされたため、今の段階で無期転換申し込みが行われた事例は生まれていません。実績もないうちから、なぜ特例を設ける必要があるのでしょうか。無期転換申込権への企業の対応状況に関する調査では、四割の企業が何らかの形で無期契約に転換していくと答えており、こうした流れを促進することこそ求められています。
第二は、特例の対象が拡大する懸念が大きいからです。
法案は、対象労働者の範囲について、高度専門的知識等を有する、一定額以上の年収を要件とするなど、あたかも限定されるかのように言いますが、その具体的な内容は省令で定めるとされており、省令を変更すれば対象を大幅に拡大できる仕組みとなっています。
そもそも、今回の特例措置は、無期転換の可能性を気にせず有期雇用を行えるようにしたいという財界の要求から出発したものであり、到底認められません。
第三は、定年後に有期契約で継続雇用される高年齢者を無期転換申込権の対象外とすることは、働く高年齢者の雇用を一層不安定にするからです。
六十歳から六十四歳の雇用される高年齢者の約六割が非正規であり、その六割から七割が、就業する理由として経済上の理由を挙げています。こうした実態からすれば、継続雇用される高年齢者にも安定した雇用の確保が必要なのは当然です。
最後に、本法案は、労働政策立法は三者構成の労働政策審議会で協議するという国際的な大原則を踏みにじり、国家戦略特別区域法の附則第二条で、無期転換権が発生する期間のあり方、今国会への法案提出など、立法内容や法案提出時期まで指定し労政審に押しつけるという異常なやり方で提出されました。また、その内容も、全ての有期雇用契約労働者に付与された無期雇用転換の権利を行政の裁量で制限するものであり、断固認められません。
以上を述べ、反対討論とします。(拍手)