国会質問

質問日:2014年 5月 23日 第186国会 厚生労働委員会

年金法案

国民年金 保険料後納可能に / 改正案成立 共産党は恒久化案

 衆院厚生労働委員会は23日、年金記録訂正手続きの法定化や保険料納付機会を拡大する国民年金法改定案を可決しました。日本共産党は賛成しました。
 日本共産党の高橋ちづ子議員は、無年金・低年金を防止する観点から、後納制度(3年の時限措置)を恒久化させ、過去10年の納付を可能とする修正案を提出しました。
 採決に先立つ質疑で高橋氏は、後納制度によって2012年10月の施行からこれまで107万人以上が申し込み、約1万5000人が受給資格を得たことを示し、当初の予想(最大で約2000人)を大きく上回ったと指摘。一人でも多くの人が受給に結びつく機会を増やすためにも「恒久的な仕組みにすべきではないか」とただしました。
 田村憲久厚労相は「後で払えばいいやという意識になって(保険料を)払う意欲がそがれるのではないか」と述べ、時限措置に固執しました。
 高橋氏は、年金支給開始年齢の引き上げについて、田村厚労相が75歳までは選択制とする意向を示していることから、「(支給開始は)70歳からにしたいという考えなのか」と追及しました。
 田村厚労相は「強制的に引き上げることは考えていない」と弁明。高橋氏は「支給開始年齢の引き上げは絶対に反対だ」と強調しました。
(しんぶん赤旗 2014年5月27日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 初めに、国民年金保険料の後納制度について伺います。
 三年間の時限措置である後納制度をもう三年延長することになりました。ただし、前回は十年分納めることができたものを今回は五年分にとどめるといいます。私は、二〇一一年、民主党政権下で幻となった政府原案、これには恒久的措置とするべきとあったわけで、この点はやはりここに戻すべきだと考えており、この一点に絞って修正案も準備をさせていただきました。
 そこで、後納制度によって、二〇一二年十月施行からこれまで、累計千四十八万月分の納付が行われ、約一万五千人が老齢年金の受給資格期間を確保したといいます。ただ、当初は、本制度により無年金者ですぐに受給できる方は最大で約二千人程度と見込んでいたわけですよね。まあ、いいことですけれども、見込みよりも大分多い。それはなぜでしょうかということと、その実績についてどう評価しているのか、まず伺います。

○樽見政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の二千人という数字は、後納制度の利用見込みについてサンプル調査を行いまして、それに基づいて推計を行って、平成二十二年三月に公表したものでございます。
 このサンプル調査のときの二千人というのはどういう方かというと、後納制度を利用することによって受給資格期間を満たし得る方ということで、二千人。一昨日御答弁しました一万五千人というのは、日本年金機構が後納制度によって受給資格期間を満たした方として公表しているわけでありますけれども、これはどういう方かというと、後納制度を利用することによって受給資格期間を満たす方、それと、後納制度を利用してさらに任意加入をつけ加えることによって受給資格期間を満たす方、これはいずれも後納制度がなければ満たせなかったということでありますが、さっきの二千人よりは枠が広いわけでございます。その点が一つ。
 それから、このサンプル調査時点は六十五歳以上の方ということでの調査をしているわけでございますが、実は、六十五歳未満だけれども国民年金や老齢年金を繰り上げ受給される方がいます。ですので、年金機構の方で出している一万五千人、後納制度によって受給資格期間を満たした方ということではそちらも入っているということになりますので、実は単純に比較ができないということではございます。
 ただ、後納制度が無年金者の解消に一定の役割を果たしているというふうに考えてございます。
 以上です。

○高橋(千)委員 見込み違いだったじゃないかと責めているわけじゃないんですから、そこはちゃんと分析すればいいわけですよ。サンプル調査としきりに言う方もいらっしゃいますが、その前提が違っていたということだったと思うんです。前提が違っているにしても、かなりの大きな数になったということは言えるかなと思うんですね。
 資料にちょっとつけておいたんですけれども、どんなことをやりましたかというふうなことを聞いたときに資料をいただいたんですけれども、「納め忘れがある皆様へ 年金額アップ・年金の受給資格を得られます」ということで、後納制度のメリットというのを示しております。わかりやすいんですよね。計算が面倒くさいですから。それが、一月分保険料を納めることによって年額が千六百十円ふえる、ですからこれを納めれば納めるほどふえていくよというのがすぐわかるわけです。そういうふうな形でさまざまやってきたんだということではないかなと思うんですね。
 では、一方で、六十五歳未満の方は、これも前提が違うという話になるかと思いますが、当時は最大千六百万人と言っておりました、年金額をふやせるんじゃないかと。それに対してどのようになったのでしょうか。また、それをどう評価されているのか。

○樽見政府参考人 この千六百万人でございますけれども、六十五歳未満の方については、後納制度を利用できる可能性がある全ての方の人数ということで示したわけでございます。ですので、まさに六十五歳未満の方で、例えば空期間を持っておられる方とかというのはこちらの方ではっきりわかりませんので、むしろこれは、制度が使われた後で初めて、こういう方、こういう人数については実績がどうだったのかということがわかるわけでございます。現時点で、これは先日も御答弁しましたけれども、申し込みは百七万五千件の申込書を受け付けた、千四十八万月分、約千五百四十七億円の保険料の納付が行われて、受給資格期間が確保できる方が一万五千人あったというところはわかっておりますし、年金機構から公表しているわけでありますけれども、お尋ねの六十五歳未満の方で年金額が増加した方ということについては、人数を把握してございません。
 ただ、まさに、先ほどと同様に、これも既に一定の効果を上げているものというふうには認識してございまして、今後とも制度の利用促進を図ってまいりたいと考えています。

○高橋(千)委員 受け付けた件数から六十五歳以上の受給に結びついた方を引くと、単純に引くと、百五万九千六百五十三件くらいになるということで、そういう方たちが、もしやふやすことができたんじゃないかということが言えると思うんですよね。
 これは、私は去年も質問していますけれども、最大一千六百万というのは、本当に最大引っ張っての数ですから、そこに近づくというか、ほとんど似た数字になるはずはないわけですね。だけれども、それだけのキャパがあるということは視野に入れながらやっていくということは大事なのではないか、このように思っております。
 そこで、残念ながら、一旦年金が決まっちゃった人、裁定されちゃった人は、どんなに低年金でも後納はできないわけですよね。これはすごい残念だな、もっとふやすことをやったらいいんじゃないかなと思うんですけれども、ただ、今言った、まだ年金をもらっていない方、裁定までたどり着いていない方たちが、それこそ裁定の前ですからね、今頑張れば結びつくかもしれない、あるいは、二十五年ルールがあったときに、とても自分は足りない、ある程度納めてきたけれども二十五年はとても無理だということで諦めていた方もいるわけですから、今この瞬間に、改めて、周知あるいは積極活用を呼びかけていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○樽見政府参考人 後納制度の周知ということでございます。
 これまでも、後納制度が利用できる全ての方に対する個別のお知らせ、これを約二千九万件お送りしてございます。それから、新聞、ラジオの活用、あるいはポスターの掲示といった形での広報、それから市町村や民間企業などの関係団体に対する周知、広報の協力要請というようなことを行ってきたところでございます。
 それから、二十六年度においては、後納制度を利用することで無年金の解消が期待できる方などにつきまして、再度、個別のお知らせを送るということを予定しているところでございます。
 それから、二十七年十月には、これも先般来御議論に出ておりますけれども、年金の受給資格期間の短縮が予定されてございますので、一旦は年金の受給を諦めていた方にも改めて周知、広報を行うということも重要というふうに思いますので、今後、その具体的な広報などの方策について十分検討していきたいと思っております。

○高橋(千)委員 まさにその短縮によって新たな可能性が生まれた方ということが言えるわけですので、周知の範囲というか、ツールについても、さまざま努力をしていただきたい、また、市町村との連携などもすごく大事ではないか、このように指摘をしたいと思います。
 そこで、まず、大臣に伺いたいんですけれども、さっきから言っているように、延長するんだけれども時限措置であるということ、それから、五年に短縮するということであります。
 それで、国民年金保険料を納付しない理由というのは、年金機構の調べを見ても、七四・一%が経済的に払うのが困難というものであります。しかも、これは三年ごとの調査で、どんどんポイントが上がっていて、九年間の比較でいうと、経済的な理由というのが一〇ポイント上がっているんですね。
 それに比例するように、平均所得が九年間で八十万円も減っています。これは、減り方が、滞納者の平均所得の方がもっと減っていまして、滞納者の平均所得は、今、二百九十五万円、九年前は四百十六万だったので、百二十一万円も減っているわけなんですね。もちろん、それでも、少なくても払っている人もいるということは承知の上で言っていますが、格差が広がっているということは間違いない。そういう状況で、それを反映した、困難だということでもあると思うんですよね。
 それで、資料の三に、このお知らせの中に、もう既についていますけれども、後納の場合は、当然、同じ保険料ではなくて、付加の保険料を払わなければならない。しかも、古いものほど加算額が高くなるわけですよね。
 ですから、後から払うんだからいいんじゃないかというふうになれば困るとよく言われるんですけれども、当然そこに対しては加算額という形でのペナルティーもあるわけですし、最初に言ったように、理由が、それどころじゃなくて、払うのが大変だと言っているんですね。
 そういうことを考えたら、真面目に払った人と不公平だという議論をするよりも、やはり、チャンスを広げるという立場で、後納制度を恒久的な仕組みにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○田村国務大臣 今までも、特例納付というような形で三回ほどやってきたわけであります。現行の後納制度が、言うなれば、二十七年九月までのこれが四回目。
 後納制度という言い方と特例納付と違いますけれども、今までも全部やはり時限でやってきたわけであります。なぜ時限かというと、これを常態化すると、今委員は割り増しになるからそれは違うとおっしゃられますが、やはり、後で払えばいいやというふうな意識になって、そのときそのとき払おうという意欲がそがれるのではないか、こういう御意見が多いわけであります。
 今回、十年から五年に縮めるというのは、十年でもいいじゃないかという御意見もありますが、一方で、今般は、受給資格期間を二十五年から十年に縮めるという提案もさせていただいておりますので、十年で後納が無期限ということになると、何にもなくても、一回も払っていなくても、最後十年、後納でやればいいやということも思わないとも限らないと言ったらいいのかわかりませんが、そういうことが事実上できるわけであります。
 やはりそういうことを考えると、今委員がおっしゃられたみたいに、十年のまま、しかも無期限で後納制度を続けるというのは、なかなか関係者の御理解も得づらい。何が関係者なのかよくわかりませんが、関係者の御理解も難しいということでございまして、そういうような中において、今般、このような提案をさせていただいておるということであります。

○高橋(千)委員 受給資格期間が十年になるから、では後で一括で納めればいいやという人が出ないとも限らない、そういうことをさんざん理由で聞いたわけでありますけれども、もしも後で十年一括で納められるからいいやというくらいの払う力がある方たちが、その人たちは、ふだんは真面目に納めているんだろうかということなんですよ。
 何が言いたいかというと、全く納めていない人が、やれやれ、十年で資格が得られるや、では一括で納めようといったって、十年ですから。四十年で満額なわけでしょう。その四分の一だから、大した額じゃないじゃないですか、年金としてもらえる額は。払うのはどかんですけれども、もらえる額は大したことないわけですよ。そこに魅力があるだろうか、それだけお金のある人から見れば。
 実際に、既に、後納制度の実績を見ても、平均納付月数というのはせいぜい十一・一なんですよね。つまり、平均で一年にも満たないわけです。これを三年やったって、三年になるかならないか、その程度なわけでしょう。
 そういう中で、では、どんと納めた人がどのくらいあるのかということを考えたときに、そんなレアケースを心配するよりは、一人でも多くの人を救済する立場に立つべきではないですか。

○田村国務大臣 二つ論点があって、一つの、無期限という話からすると、期限を切るから納めよう、期限が来るから納めなきゃいけない、今じゃなければこの後納制度が終わってしまう、こういうような意識も持っていただくわけであります。要は、これがずっと、いつ納めてもいいやということになれば、なかなか納める気が起こってこないということだってあるわけでありますから、やはり期限を切るということは私は重要な一つの要素だというふうに思います。
 実は、これをやるときにも、四回目をやったらまた今度来るんじゃないかということで、あのとき納めた方々が不公平になるんじゃないかというような意見もあるわけでありまして、さまざまな意見がある中において、どれが正しいと言うつもりもありませんが、今般、期限をやはり切ることが重要であろうというふうに認識をいたしました。
 それから、十年というものに関しては、そういう御意見もありますが、逆に、受給資格期間を十年にしましたから、そうすると、後から十年分納めれば年金をもらえるんだということが起こるわけでありまして、そういう方々が、実際問題、最後はやはり納められないやという話になって無年金になることだってあるわけでございますので、そういう御意見もいろいろ踏まえながら、今般はこのような提案をさせていただいたということであります。

○高橋(千)委員 別に私は、納期限を延ばせと言っているわけじゃないんですから、延ばせというか、期限を全く持つなと言っているわけじゃないんですよね。
 だから、基本は、みんな、期限というものはこうだと思っているわけじゃないですか。それでもチャンスを逃した人が、こういう制度もあるよと後から知ればいいのであって、最初からそこを周知しろと言っているんじゃないんですから、私は、やはりそこはもう少し考えた方がいいと思うんですね。
 それで、年金保険料の徴収体制強化等に関する専門委員会の報告書、昨年十二月に出ていますが、その中でも、恒久的な制度とすることは適切ではないと書いてはいます。でも、その下の段落に、「保険料の徴収債権の時効が二年である結果、納付可能期間が二年間となっていることは税と比べても短く、税や他の社会保険料と比べて納付率が低い現状を考えれば、経済的な都合等により二年を過ぎてから納付しようという意思のある者に対しては、モラルハザードに留意しつつ、事後的な納付の機会を設けることとしてもよい」とあるわけですよね。
 これはそうですよね、ほかの国保とか保育料とかいろいろ見ますと、五年ですよね。ですから、そういう意味で、二年というのは確かに厳しいよねということもあって、そういうことも踏まえていろいろ検討する必要があるのではないかと思いますが、これは審議官、どうぞ。

○樽見政府参考人 まさに検討会でそういう御指摘をいただいて、納められる期間二年、実際、本来の二年の時効にかかるまでの期間でも納付率が数%上がるという状況にございますので、後で納められる機会はもう少しあってもいいのではないかという議論があったということです。
 ただ、一方で、先ほど大臣からもお話がありましたけれども、やはり保険料というのは、日々納めていただいて、事故があったときにそれが給付になって返ってくるという仕組みでありますので、いわば事故になりそうなときに保険料を納めるというのは保険の原則としてはいかがなものかということもございますので、そういう中で、時限として五年の後納を三年間続ける、そういう案にさせていただいたというところでございます。

○高橋(千)委員 ここはまた引き続いて検討をしていただきたいと思うんです。
 前回だって、さっきのお知らせにあるように、三年間ですとお知らせをした後に、また三年延長するわけですから。そういう意味では、そのこと自体が非常に批判をされることにもなりかねないので、だったら納期限を五年にコンクリしてしまうとか、いろいろな考え方があるわけです。そういう意味で提言をさせていただきました。
 そこで、納付猶予制度に関しては、逆に今度大きく拡大をしたわけです。
 一枚目に戻りますけれども、三十歳未満から五十歳未満まで拡大をすることになった。これは非常によくできた、厚労省がつくった資料で、左側が所得制限、右側がその対象者の数ですよね。法定免除が百三十四万人、学生は百七十二万人、若年者は今四十二万人いるわけですけれども、そこを今度五十歳未満と。
 ただ、これは単純に見てしまうと、うまくない。つまり、これは五十歳までずっと猶予されるのかと思っちゃうと、うまくないわけですよね。つまり、五十歳までずっと空期間で、年金を全然納めないで、それから先、五十歳過ぎてから挽回できるというのは考えにくいわけですよね。
 それを狙ったわけではないのだと、その趣旨をしっかり答えていただきたい。

○樽見政府参考人 若年者納付猶予制度は、若年者の非正規雇用労働者の増加という社会経済状況の変化を踏まえまして、所得が低い三十歳未満の被保険者に対して創設されたということでございますけれども、近年、もう少し上の層でも非正規雇用労働者が増加しているということを踏まえまして、対象年齢を三十歳未満という線から五十歳未満というところへ拡大する、中高年齢層の方が失業等によって一時的に経済状況が苦しくなった場合においても、猶予制度の利用をしていただいて、まさに未納にならないようにということでございます。
 猶予の制度を申請していただいておりますと、その間の障害あるいは死亡といった保険事故に対する保障が行われるということでございますので、社会保障の充実という観点からも意義があるというふうに思っております。
 この納付猶予を利用して、その後十年間の追納ということが可能になるということでございますので、納付機会の確保につながるというふうにも考えてございますので、そういう趣旨についてもしっかりと周知をしてまいりたいと思います。

○高橋(千)委員 まさに、大学を出て一旦は正社員になったんだけれども、三十代後半とかにいろいろ、失業してしまったりとか、そういうこともあるんだ、だから、あくまでも、一時的なときにも空期間ということでつなげていくということが、万が一障害になったときとか、そういうのにいいんだということであったと思うんです。
 やはりそこの趣旨はすごく大事なことで、生かしていって、払わなくていいんだと言っているんじゃない、逆に免除の人だって追納はできるわけですから、そこは少しでも結びつけていくということはあわせてやっていかないと、ただ払わなくていい人を広げただけなんだというふうにとられないように、そこはしっかりやっていく必要があるのではないかと思います。
 それでは、時間の関係で思い切り飛ばしますけれども、年金受給年齢を七十五歳からということが、きょうも大変議論になりました。
 私は、非常に疑問に思ったのは、質問している方たちは、これは七十歳支給開始を前提としているのかしらと思ったわけですね。つまり、七十歳までは今選択制ですよと大臣が答えて、七十五歳までやるとしても選択制を検討しているということなんだと言っていますよね。
 得か得でないかの前に、実際、皆さんの暮らしというのはそれどころじゃなくて、今だって、早くもらってしまえば、その先どんなに長生きしても、年金はふえない、低いままなんだ、ずっと損する、それをわかっていても、それよりも目の前の生活を選んで、早くもらう人というのは多いわけですよね。
 そういうことをやはりちゃんと踏まえないと、得か得でないかという話より前に聞かなきゃいけないのは、七十五歳までは選択制なんという話が出てくるということは、要するに、選択ではなく、開始年齢を七十歳という趣旨なんですかということです。

○田村国務大臣 早くもらえば損だという言い方がちょっと適切かどうか、我々はそうじゃないというふうに思っていて、早くもらわれるだけの話であります。
 その上で、七十五歳は、一例で申し上げたんですけれども、あくまでも選択制ということで申し上げました。
 七十歳を前提というわけではなくて、このときに私は申し上げておりますけれども、六十五歳から支給開始年齢を引き上げるというのは、よほど国民の皆様方の理解をいただかない限りは難しいと思いますよというお話をさせていただいております。今、六十五歳まで段階的に引き上げている最中でございますから、それをさらに支給開始年齢を強制的に引き上げるというようなことを考えているわけではございません。

○高橋(千)委員 やはりそこが大事で、私は、七十歳に支給年齢を上げるということは絶対あってはならないと思います。
 だけれども、そういう議論は、別にもう始まっているわけですよね。資料の最後につけておきましたけれども、経済財政諮問会議の「選択する未来」委員会の中間整理で、五月十三日に出されたもので、これは一番上にある、五十年後も一億人程度の人口というのが非常に注目されました。
 だけれども、その下の方に、「高齢者 健康長寿を社会の活力に」ということで、「七十歳までを働く人(「新生産年齢人口」)と捉え直し、仕事や社会活動に参加。」というふうに書いているわけですよね。やはり、こういう議論というのはされてきたんだと思うんです。
 七十歳まで働ける人はいいですよ。だけれども、実際に、この間、年金支給年齢を六十五歳まで引き上げたときだって、再雇用制度という形で、結局は、全員がそこに行くわけじゃないですか。やはりそういう考え方が今政府のトレンドになっている。だから、大臣は、やはりそこをしっかりと否定しなければ、幾ら何でも、今、みんなが働けるわけじゃないのに、そこを支給年齢とするのは無理だ、できないということをやはり頑張ってもらいたいと思うんですね。
 これをもう一回答えていただけますか。

○田村国務大臣 七十まで年金がもらえないということを書いているわけではないわけでありまして、そういう意味では、七十まで働ければ選択制ということで選択していただければいい、そこで平仄が合ってくるのかもわかりませんが。それを、強制的に年金の支給開始年齢を六十五から七十に引き上げるなどというふうなことは考えていないわけでございまして、この点は、はっきりとここで申し上げたいというふうに思っております。

○高橋(千)委員 大臣は考えていないということでしたので、政府の中でも頑張っていただきたい、外圧も強いのではないかという心配をしておりますので。
 そこで、きょうは、財政検証の問題も随分議論されました。二十一年、〇九年のときは二月に財政検証が出されていたので、確かにそれに比べると遅いというのは事実かなと思うんですね。
 それで、資料の五を見ていただきたいんですけれども、今、社保審の中で議論されているわけで、「具体的な経済前提の設定について」ということで、ここで見ますと、経済再生ケースと参考ケースと二通りあるんですけれども、はっきりわかるのは、物価上昇率が二〇一四年から三年間上がっていくけれども、賃金上昇率はずっとマイナスである。これは当然、消費税に引っ張られて上がるんだ。そこから、次の年から、四年目にして、名目賃金上昇率が三・六で、実質が一・四と、ようやっと追いついてくるという図式になるかなと思うんですね。
 これはやはり消費税にぐっと引っ張られて、また、この二〇一四年の初めのところには、最初のアベノミクスの効果で一気に利回りが九・何%に上がっていますので、積立金が三兆円ということで、プラスからスタートしているわけですよね。だけれども、それが続くわけではないのは誰もがわかっていることで、四年後にようやっと追いついてくる、これすらもかなり厳しい。甘いというか。
 賃金がここまで追いついてきますかということを大臣に伺いたいと思います。

○田村国務大臣 これは、物価上昇率というものは当然のごとく消費税の絡みが出てくるわけでありまして、そういう意味でこういうふうな形になっておるわけでありますが、それの影響がなくなってくれば、当然のごとく、これは今賃金が上がるような正常な経済に戻してきているわけでありますから、このような形になっていかなければならないと思っております、していかなければならないというふうに思っております。
 どういうことを念頭に委員がおっしゃられておるのかちょっと私は理解できないわけでありますが、デフレ経済から正常な経済に戻せばこのような形になっていくという中において、このような試算が出てきておるものと考えております。

○高橋(千)委員 こんなに物価が上がるのに賃金が追いつかないのかなと、これ自体が大変ショッキングなデータではあるんですけれども、さっき議論をずっとされていたように、前回の財政検証のときは、名目運用利回り四・一%は高過ぎると批判をされた、それに対して答えているのは、平成十三年からの実質的な運用利回りは平均で二・七六%なんだ、十分に目標を超えました、心配はなかったんですという答弁を繰り返されているわけなんですね。
 私、きょうはちょっと間に合わなくて資料を配っていないんですけれども、それがなぜ名目で二・二六になるかといいますと、これはプラマイの計算なんですよね。何かといいますと、十三年度から二十四年度の平均は、名目運用利回りが二・二六%に対して、賃金の上昇率はマイナス〇・四九%です。つまり、十二年間のうち九年間は賃金の上昇率がマイナスです。当たり前ですよね、ずっとデフレだったわけですから。なので、差し引きするとたまたまプラスになったというだけで、賃金がマイナスだったからそうなったというだけの話なわけですよね。
 しかも、まずそういう実態があるということと、そのときの検証のときは有識者の報告書がこういうふうに言っていました、雇用の非正規化が進むと見て、労働成長率を〇・八%に見ていたんですね。そのときだって非正規化が進むと言って、実際、そうなっているじゃないですか。
 政府の成長戦略というのはまさにそういう非正規を固定化する政策になっていて、結局、この賃金上昇率というところの多くを担保するものが、やはり非正規化で、逆の政策になっているんじゃないかということをぜひ指摘したいと思うんですが、どうでしょうか。

○田村国務大臣 労働政策といいますか経済政策で、我々はその反省の上に、大胆な金融緩和を初めとするアベノミクスを今実行しておるわけであります。デフレ経済が続けば当然賃金も上がらない、賃金が上がらない社会、デフレ経済ではなかなか需要がふえないわけでありますから、失業率もなかなか改善しない、そういう傾向があるわけであります。全くそうだとは言いませんが、そういう傾向がある。
 そうなってくれば、当然、正規よりも非正規の方が多くなってくるということがあるわけでありまして、そういうことの反省の上に立って、今、失業率を下げ、そして有効求人倍率を上げ、本来正規で働きたいという方々が非正規から正規になっていただくためのいろいろな施策を打ってきておるわけでございまして、ぜひともそのような方向性をこれからもさらに加速をつけて続けてまいりたい、このように考えております。

○高橋(千)委員 もう一つやりたかったんですけれども、残念ながら終わります。

 

――資料――

【資料1】国民年金保険料の免除・納付猶予制度について

【資料2】「年金額アップ・年金の受給資格を得られます」(年金機構リーフ)表面

【資料3】「年金額アップ・年金の受給資格を得られます」(年金機構リーフ)裏面

【資料4】国民年金保険料収納事業 受託事業者概要一覧

【資料5】年金財政検証「具体的な経済前提の設定について」

【資料6】社会保障制度改革国民会議資料

【資料7】経済財政諮問会議「選択する未来」委員会資料

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