根拠ない介護締め出し / 医療・介護改悪法案 高橋議員が批判
日本共産党の高橋ちづ子議員は25日の衆院厚生労働委員会で、医療・介護改悪法案について質問し、「支援が必要」と認定された要支援者をサービスからしめだすのは根拠がないと批判しました。
法案は、要支援者向けの訪問介護と通所介護を介護保険サービスから外し、市町村任せの地域支援事業に移します。厚労省側が「必要な人は(市町村が行う)専門的なサービスを引き続き受けられる」と弁明していることについて、高橋氏は「専門的なサービスが必要な人をどう選ぶのか」と追及しました。
原勝則老健局長は「利用者の意向や心身の状態、環境にもとづき市町村がケアマネジメントを行う」と説明。田村憲久厚労相は「多様なサービスを受けられるようになる」と弁解しました。高橋氏は「介護保険のサービスは継続し、その上に多様なサービスを乗せればよいだけだ」と反論しました。
高橋氏はまた、法案が特別養護老人ホームから要介護1~2の人を原則しめだし、入所を特例とすることについて、「特例とされている範囲が狭すぎる。入所が必要な理由は精神障害や認知症のほかにも、独居、同居人が要介護、経済状態などさまざまだ」と批判しました。田村氏は「指摘の点も含めて指針に示す」と答えました。
(しんぶん赤旗 2014年4月27日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
冒頭に、きょうの委員会の最初に、地方公聴会が、全党の合意が得られない形で起立採決という形で行われたということを非常に残念に思っております。たくさんの傍聴されている方たちが、公聴会の日付が十二日ということだったので、その前後でもう決まっちゃうのかというふうに思われたとすれば、非常に不本意である。もちろん、私は、当然十二日はまだまだ早過ぎる。間にいっぱいあいているんだけれども、それは全部連休で塞がってしまうわけですから、早過ぎると思っております。
ただ、やらないという選択肢はないのだという立場であるということ、採決の前提としない、そして、この後行われる参考人質疑や地方公聴会の議論を踏まえて、さらに審議を深めていくべきだと思っておりますので、委員長に確認をしたいと思います。
○後藤委員長 運営については、理事会でしっかりと相談してやらせていただきます。
○高橋(千)委員 そういうことが理事会でも実は確認をされておりますので、また、きょうの議論を聞いていても、まだまだ課題が出てくるということで、私、もう絶対きょう問いを残すなと思っているんですけれども、そういうことですので、しっかりと議論を深めていきたいと思います。
そこで、まず大臣に伺いたいと思うんですが、ある女性の義理のお姉さんが脳梗塞で倒れて病院に運ばれました。きょうあすの命と言われたんですけれども、一命を取りとめたんですね。お兄さんが本当に献身的に病院に通いまして、意識を戻さないんだけれども、声かけをして、それが功を奏して一命を取りとめた。しかし、実際には寝たきりなんですね。そのまま、次の転院先を直ちに探さなければならない、こういう状況に追い込まれています。
まさに、こういう現実というのはみんなの周りに起こり得ることだし、現実に起こっていることだと思うんですね。それが家族を一気に経済難に追い詰めたり、あるいは、家族を介護に縛りつけて、仕事もやめて縛りつけて、本当に残念な事件などが起こっていく、これが現実ではないか。その認識と、今度の法案がそれに応えることができるのか、大臣に率直に伺いたいと思います。
○田村国務大臣 今委員が、脳梗塞でお倒れになられました方のお話をされたわけであります。
まさに、一定期間急性期におられて、急性期の病院を出られて、次どこも行くところがない、その結果、リハビリが受けられないでありますとか、自宅に戻られましたけれども在宅での医療を受けることができないでありますとか、そもそも、介護等々、要介護度が重度になって十分なサービスを受けられないでありますとか、現状において種々いろいろな不満があられる、医療、介護等々を含めて不満があられるという話は我々も聞くわけであります。
そこで、今般の法律でありますが、急性期の後の受け皿をどのように整備していくかということ、これも大きな眼目であります。そして、その受け皿の、これは病床だけではなくて、在宅でしっかりと医療を受けられる、こういうような体制をつくる、これも今般の法律の中において大きな一つの目標であるわけであります。
そして、さらに申し上げれば、やはり自宅で医療と介護をしっかり受けられる体制づくり、地域包括ケアシステム、いつも申し上げておりますけれども、こういうものをしっかり整備する中において、安心して生活ができる環境を整える、これもこの法律の中の大きな目的であるわけでありまして、ぜひともそのようなことを進めさせていただきたいというもとに、今般、この法律を提出させていただいておるということであります。
○高橋(千)委員 在宅で医療ということが言われましたけれども、本当に、受け皿整備が追いついていかない中で、待ったなしで病院を出される、やはりこういうことがあってはならない、助かったことが喜べないということがあってはならない。私は、今度の法案がそういう危険を物すごく拡大するものではないかということをあえて指摘したい、このように思っています。
それから、もう一つ大臣に、通告していないんですが、きょう、何人かの方が名古屋高裁の話をされましたよね。認知症の男性がJRにはねられて死亡した事件。八十五歳の妻が、この方も要介護一なんだけれども、二人きりでいて少しうとうとしたすきに出ていったことではねられた、それに対して妻に責任と断じられたわけですね。
私は、きょうこのことを取り上げた方たちが、こういうことが広がってはならないというふうにおっしゃったんですけれども、事件は終わっていないんですね。高裁ですから、これは決めちゃいけないんですよ。認知症の人と家族の会の高見代表は、とても承服できない、こういうコメントをしています。当たり前だと思うんですね。こういう判決がまかり通っていけば、誰だって家族はもう受けられないですよ、追い詰められていますよ。
やはりそこは、社会が、本当にこうした事件を起こしてはいけないんだという立場に立って、これを単純に妻の責任にしてはならないという立場で言っていかなければならないんじゃないか。大臣、率直な感想を伺いたいと思います。
○田村国務大臣 我々、行政でございますので、司法の御判断というものに対して口を挟むわけにはいかないわけであります。
ただ、今委員が言われましたとおり、これで確定したわけではないわけでありまして、この後どのような形で対応されるかは私は存じておりませんが、さらに上の判断を仰がれるのかどうかも含めて、我々としては、この事のてんまつ、これを見守らせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、このような不幸なといいますか、非常につらい事象がこのような形で起こっていくこと自体が、大変我々、今の社会の中において十分に環境が整備できていない、厚生労働省としてもまだまだ力不足なところでもあろうというふうに思います。
今回の法案は、そういう意味では、一つは認知症に対する対策、これもこの中に入ってきておるわけでございますが、いずれにいたしましても、それだけではなくて、地域でどうやって、そのような方々に対して見守りも含めて対応していくのか。よく申し上げますけれども、地域の自治体、警察、住民、さらには関係機関、こういう方々がしっかりネットワークを組みながら、このような事件といいますか事象が起こらないような、そんな体制もつくっていかなきゃならぬわけであります。
きょうも申し上げましたけれども、今回の件に関しまして、いろいろな話の流れがあるわけでありますが、行方不明でずっと身元がわからないというような方々もおられます。警察等々とも協力をしながら、自治体とも協力しながら、実態を調査する中において、どのような対応があるのか、これも検討してまいりたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 これ以上は言いませんけれども、司法と行政は独立していますけれども、やはり行政の判断あるいは議論というのは司法に影響します。また、司法の判断というのが、この間ずっと法律を変えてきたように、大きく影響するんですね。だから重要なんですよ。
だから、地域で支える、そういう体制をつくるんだ、法律はそうなったんだとなったら、地域で支えていないから責任があるんだとなったりとか、あるいは施設の責任じゃないか、単純にそうなっては困る。そこの体制が十分できていない、悲鳴が上がっている、なのに、整備することになっているんだからということになっては困りますので、そういう意味で、この事件はまだ終わっていないということで本当に注目をしていきたいし、私も怒りを持っているので一言言わせていただきました。
次の問いに入りたいと思うんですけれども、資料をちょっと見ていただきたいんですが、これは、介護される人もする人もみんな笑顔に!北海道連絡会というところが集めたアピールの賛同者の表であります。「「要支援者への介護予防給付を継続すること」「特別養護老人ホームへの入居を要介護三以上に限定せず従来通りとすること」を求める共同アピール」、簡単に一部だけ読みます。
二行目、「要支援者は、廃用症候群や引きこもり等、心身の機能低下を防ぎ、生活を支えるために適切な介護を必要としている人々であり、独居や老老世帯で頑張って暮らしている方が多くいます。この人たちから介護サービスを奪うことは、生活を奪うことを意味します。」
また、下の方を読みます。「しかし、要介護一・二であっても、介護者がいないなど「終の棲家」として特養への入居が必要な方が少なからず存在することはこれまでも明らかになっています。今後も特養入居については、利用者家族の選択を尊重し、入所判定は事業者の主体性に任せるべきと考えます。」
私、実は、介護の質問をするに当たって、やはり一番の距離感を感じたいということで、三十分圏内の地域包括ケアなんてとてもほど遠い、いわゆる距離感ですよね、それを感じたくて北海道に行ってまいりました。そのときに、こういうアピールに取り組んでいまして、どんどんどんどん集まって、これは中を省略しているんですね。最後、七百七十団体まで集まっています。
見ていただければわかるように、石狩やオホーツクから札幌までずっと、社協の方たちも名を連ねているんです。ですから、いわゆる我々とよく協力、共同している民主団体とか、そういう枠では全くない、党派を超えて、本当に介護を、今のままでは危険だという声を上げているということを受けとめていただきたい。
それから、二枚目の右の方に書いてありますけれども、中央社保協が、各自治体が意見書を提出して上がってきている採択の件数、これもどんどんどんどん上がっております。自治体も意見を上げている、こういう状況だということをぜひ踏まえていただきたいというふうに思っています。
そこで質問をしますけれども、特養ホームの入所者を要介護度三以上に絞る、この問題ですが、資料の三枚目に書いてあります。
ここで、丸ポツの二つ目、線を引いてあるところですが、「やむを得ない事情により、特養以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、市町村の関与の下、特例的に、入所を認める」と言いますが、やむを得ない事情とは何か、また、この特例入所について指針で書くことになるのか、具体的にお答えください。
○原(勝)政府参考人 お答え申し上げます。
議員が提出されています資料にもございますけれども、やむを得ない事情といいますのは、この参考のところにございますように、知的障害、精神障害等も伴って、地域での安定した生活を続けることが困難な場合、あるいは、家族等による虐待が深刻であり、心身の安全、安心の確保が不可欠な場合、あるいは、認知症高齢者であり、常時の適切な見守り、介護が必要な場合、いろいろとあろうかと思います。
こういうことについて、具体的なものについては、今後、現場で運営をされている施設の方やあるいは市町村の関係者の方からいろいろ御意見を聞きながら、検討していきたいと考えております。
また、このやむを得ない事情については、入所判定の公平性を確保するため、各市町村等で判断基準に大きな差異が生じないように、関係者の意見も踏まえながら、厚生労働省において指針を策定したいと考えております。
○高橋(千)委員 今、指針だということをおっしゃったんですけれども、私が出した資料の三つの点を読み上げられたと思うんです。
認知症の問題は昨年の国会でも随分議論になったから、これは外すんだということは、特例入所を認めるんだということで議論されたんだと思うんですよ。ただ、知的障害、精神障害、虐待、認知症、これしかないのかという議論なんですよ。
でも、本当は、昨年の十月三十日の介護保険部会では、特養ホームの重点化に当たって、特養の施設の方から意見を聞いているんですよね。そのときにいろいろな意見が出てきているはずです。認知症による頻繁な徘回がある、うつによる逸脱行為がある、同居人も要介護であり、経済状況が困難である、独居で孤独であり、孤立による事故死とか自死が懸念される、そういう、やはりホームならではの、施設長ならではの具体的な議論がされました。
ですから、今言われた三つのほかに、家族によるサポートが期待できず、また、現に地域での介護サービスや生活支援の供給が十分に認められないことを要因にとっている。つまり、これは、広く現状を見て、とっているというふうに受けとめられるんですね。
そういう議論をしてきたんですから、そのまま受けとめるべきだ、広く見るべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○田村国務大臣 まず、三以上、重点化を重い方々にさせていただくというのは、その方々が皆さん入っておられるのならば、それよりも軽い方々という話になるんですが、残念ながら、重い方々もまだ入れていない方々が多くおられる。それは、待機の状況を見れば、委員も御理解いただけるものだというふうに思います。でありますから、そこの重点化ということは一定の御理解をいただければありがたいというふうに思うわけであります。
ただ、一方で、言われたとおり、三ではない未満の方々、一、二であったとしても、認知症の問題でありますとか、また、知的障害、精神障害の中において生活が御自宅ではなかなかできない方でありますとか、種々のこと、虐待もそうでありましょう、こういうものに関しては、やはり御自宅ではどうしても対応できないということでございますので、特養の入所という意味では、特例的にこれを認めるというようなことを今般盛り込ませていただきます。
これは指針で示すわけでありますが、今委員がおっしゃられました、家族のサポートが期待できない、さらには、地域での介護サービスでありますとか生活支援サービス、こういうものが十分に提供される環境にないというような場合は、これはもう生活ができないということでございますので、そういう場合も含めて、この一定の要件の中に含めることも含めて、これは指針の中でお示しをさせていただくことになってこようというふうに考えております。
○高橋(千)委員 今言ったことを含めてという意味だったと思います。確認をさせていただきました。
そこで、重い人がいるんだからということをおっしゃるんですけれども、そうなんですね。では、その重い人が入れる、あるいはどこかに行ける、そういう受け皿があるのかということも議論しなくちゃいけないと思うんですね。
同じ資料の下の方に、介護度に応じて、待機している方の状況が書かれております。例えば、要介護四から五の方で在宅の方が今八万七千人いらっしゃる。介護度三以上で見ますと、もう既に十四万人を超えるわけですね。
それで、ここにある資料は、今、毎年特養に新規入所する方というのは大体十四万人いらっしゃる、その内訳がこの三本目の棒グラフなんですね。それでいっても、介護度三以上の方たちも半分は入れない。しかも、これは単純計算でいかないですよね。だって、幾ら数の上ではそうだっていったって、自分の地域に施設をつくらなかったら入れないわけです、青森から東京にいきなり引っ越してきなさいという話ではなくて。ですから、現実にはまだまだキャパがないということはあるわけですね。
そうしたときに、施設整備については、必要量、予算などをどのように考えているのか、伺います。
○原(勝)政府参考人 まず、特別養護老人ホームでございますけれども、これは広域型あるいは地域密着型を含めまして、市町村のサービスの必要量の見込みを踏まえまして、市町村や都道府県が策定します介護保険事業計画等によりまして、計画的に整備をしていくというのが基本だと思っております。
広域型については、税源移譲で、国が直接施設整備に対して補助をするという仕組みは今ございませんけれども、地域密着型、定員が二十九人以下の特別養護老人ホームや認知症グループホーム等につきましては、各都道府県に設置された介護基盤緊急整備等臨時特例基金の実施期限を平成二十六年度末まで一年延長するとともに、基金が不足する都道府県内の整備分として、平成二十五年度補正予算で、介護基盤整備のための国からの市町村への交付金を二百六十六億円計上したところであり、これらを活用して、必要とされている整備を行っていくこととしております。
また、今後でございますけれども、介護保険事業計画における今後のサービス見込み量については、今回提出させていただいています法案におきまして、当面の三年の計画期間は当然でございますけれども、それだけではなくて、二〇二五年に向けた中期的な視点も見込んで策定をしていただきたいということで、法案を出させていただいております。
当該計画の策定に当たりまして、今後、市町村が地域の実情に即した適切なサービス量を見込めるように、私どもとしても、推計のための計算ソフトの提供だとか、いろいろな技術的な支援をしていきたいと考えております。
○高橋(千)委員 今おっしゃられたこと、資料の四枚目に、まず、施設整備費の現状と変遷ということで、上の段につけました。平成十八年度から特養ホームは一般財源化をされてしまって、そもそも予算がつかない。その下に、市町村交付金ということで、介護基盤緊急整備等臨時特例基金ということがやられてきて、地域密着型などがやられている。
本当は、地域密着型というのはいいのかもしれないけれども、二十九人以下というのは実は採算がとれないんですよね。そういう大変な中で、頑張っている地域では、施設整備もしながら頑張ってきているんですね。
その下の表を見るとわかるんですよ。括弧の中が基金なんですね。括弧の中と整備した人数を見ますと、やはり基金に頼らずに頑張っている。この四年間のトータルで十六万二千人ですけれども、そうやって頑張っているということがわかるんだと思うんです。
それで、今説明があったのは、結局、医療と一括だ、一つの基金にするんだという話だったと思うんですね。だけれども、医療の基金については、この間議論してきましたが、九百億ですよね。この規模からいうと、これまでは五年間で三千七百九十七億円だったわけですから、かなり厳しいんです。どこから出ますかということもはっきりしないんですね。これは一体改革の中でもいろいろ探しましたけれども、よくわからない。本当にこの水準が維持されるんでしょうか。大臣に伺いたいと思います。
○田村国務大臣 今も局長の方から話がありましたが、小規模な地域密着型の特別養護老人ホームでありますけれども、介護基盤緊急整備の臨時特例基金という形で対応してきたわけであります。
新たな財政支援制度は、これは少なくとも今年度からスタートしておりますが、今年度は介護は入っていないわけでありまして、九百四億円は医療中心であります。そういうような意味で、この基金を一年間延長して、そして補正予算で今言ったような金額を手当てしたわけでありますが、これからは、新たな財政支援制度に関しましてはこの法律にのっとって運営をしていくということが前提でありますので、そういう意味では、法律にのっとったそのような財政支援制度、そして、これは消費税というものを財源に考えておるわけでございます。
毎年の当初予算の要求の中において、いよいよ来年度は介護も入ってくるわけでございますので、必要な額というものをしっかりと、我々も各地域から情報等々を収集いたしまして、必要なものをしっかりと確保していくということでございます。
委員が御心配のなきよう我々も最大限努力してまいりたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 どんなに地域や在宅で支えるといっても、施設が必要なことはまだ現実としてあるわけですから、しかも、そういう中でいろいろな形で頑張って、グループホームや小規模多機能という形で整備をしてきた方たちを見てきました。その方たちの頑張りに応えるように、この水準はやはり維持していくということで頑張っていただきたい、このように思います。
次に、介護予防に入りたいんですが、時間がほとんどなくなってきたので、さわりになってしまうと思うんですけれども、資料の六枚目ですが、予防給付の見直しと地域支援事業の充実ということで、昨年の国会でも随分議論をされたことで、新しい総合事業に移行する中身が全部ではなくなって、それで訪問介護と通所介護が移行するということになったわけです。
それで、大臣が何度も、特に山井委員などに質問されて答えているのは、専門的なサービスを必要とする人には専門的サービスの提供をすると言っています。その専門的サービスが必要な人とは、どう選ぶんですか。
○原(勝)政府参考人 お答えを申し上げます。
要介護認定申請というのは、今後もどなたでも被保険者であれば申請ができるわけでございまして、その制度をなくすということではございません。また、認定申請ではなくて、簡易な判定という形で、基本チェックリスト、これで判定を受けてサービスを受けるというような選択も可能でございます。
そういう中で、市町村が行いますケアマネジメントに基づきまして、これまで同様に、地域包括支援センターが利用者の意向や心身の状態像、置かれている環境等を踏まえて、専門的なサービスを必要とすると判断される人には専門的なサービスを引き続き継続するということは可能であるということでございます。そういう仕組みにしているということでございます。
○高橋(千)委員 答えになっていません。専門的な人をどうやって選ぶのかと聞いています。
○原(勝)政府参考人 専門的という意味は、現在、予防給付として事業所を指定しまして、そこで行われている訪問介護サービスあるいは通所介護サービス、このことを申し上げているわけでございます。そこで行われるサービスのことを専門的サービスと申し上げているわけでございます。
○高橋(千)委員 全然意味が違うんですよ。
大臣、私が聞いている意味わかりますよね。何回も議論されてきているじゃないですか。要支援の人というのは軽度者じゃないんだ、介護が必要なんだとこれまでずっと議論されてきて、参考人まで来た。それに対して、必要な人には専門的なサービスをしますと言って、だから、その人をどうやって分けるんですかと聞いているんじゃないですか。大臣、答えてください。
○原(勝)政府参考人 先ほど言いましたように、要介護認定申請、これは今後も制度は残るわけでございますし、地域包括支援センターにおきまして、本人の意向だとか状態像を踏まえまして、どういうサービスが必要かということを判断するということでございます。
○高橋(千)委員 全然意味がわからない。それで、何でわざわざ介護給付から切り分けるんですか。
新しい総合事業は、もともと介護保険でやっていたときと同じ予算をつけると何回も説明していましたよね、だからお金は変わらないんだと。そうすると、では、専門的なサービスの中身というのは、介護予防給付のときと同じなんでしょうか。同じだとすれば、利用料も同じなんでしょうか。どうなんですか。
○原(勝)政府参考人 今回の見直しの趣旨は、軽度者の方、あるいは、そこまでいかないようなひとり暮らしの高齢者の方とか、そういった方にとって必要となっているのは、専門的なリハビリ職の方がやるような機能回復訓練、こういうふうなものもございますけれども、生活支援サービス、そういったものが非常にニーズが高いということでございまして、そうしますと、これは今の予防給付の中ではなかなか提供ができない、事業に移すことによって、多様な主体による多様なサービスというものを広げたいということで提案をしているものでございます。
ですから、引き続き、要支援認定を受けている方で、現実に今訪問介護事業所に通って専門的なサービスを受けている方については、ケアマネジメントで必要だと判断される場合には、継続してそれを受けられるということを申し上げているわけでございます。
○高橋(千)委員 完全に論理が破綻していると思いますよ。
今局長がおっしゃっているのは、チェックリストを資料の七枚目につけておきましたけれども、これは、認定を受けなくてもいい、簡単なチェックリストでわかる人の話なんですよね。そういう人は、地域支援事業の中で、多様な主体でやっていこうという議論でしょう。だけれども、今言っているのは、介護認定を受けて、必要な人に専門的なサービスをやりますと言っているんだから、それは介護保険給付の中で今までどおりやればいいんですよ。何が違うんですか。それはおかしいですよ。
大臣、言っている意味わかりますか。
○田村国務大臣 介護保険の場合は、要は、その中において一定のルールがあって、一律で、十分に受けられないという部分もあったと思います。(発言する者あり)いや、例えば家事支援等々も含めて、これは基準があるわけです。
しかし、例えば、今回の新たな地域支援事業の中においては、いろいろなバリエーションをつくれますから、その中において必要なものをどのような形でケアマネジメントをしていただくか、これでありますから、例えば一つとれば、週の回数というものも含めて柔軟な対応ができていける。そういう意味では、受ける受益者の方々も、より必要なものを受けられる。
今言われたのは、多分専門性という話なんだろうと思います。専門性というものは、要介護認定をする中において、ケアマネジメントをする専門職の方々が、例えば認知症の度合い等々も含めながら、どういうようなサービスであるべきか、そういうことを含めて検討されるということであります。
○高橋(千)委員 時間が来たのでこれで終わりますけれども、私は、介護保険の給付はそのままやれと。だって、同じなんですもの。認定を受けて、専門的なサービスが必要だと。その上に多様なものは上乗せすればいいじゃないですか、地域支援事業の中で要支援の人もそうじゃない人も受けられるんですから。そこに放り込んじゃうところに問題があるんだということなんです。
引き続いて議論が必要だと思います。終わります。
――資料――