※「難病の患者にたいする医療等に関する法律案」および「児童福祉法の一部を改正する法律案」に対する附帯決議をあげました。附帯決議はこちら。
――議事録――
○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました難病の患者に対する医療等に関する法律案及び児童福祉法の一部を改正する法律案について討論を行います。
政府提出の両法案は、難病対策に法的根拠を持たせ、医療費助成制度と小児に対する自立支援事業を義務的経費化するものです。法制化による安定的な制度と対象疾患の大幅拡大は、患者、家族の積年の願いであり、その実現に踏み出すものとして、賛成するものであります。六派共同提案の修正案についても賛成します。
一方で、新制度にはいまだ多くの課題があると言わざるを得ません。
第一に、難病は、まれではあるが国民の中に一定の割合で発症する可能性のあるものであり、難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられる共生社会を目指すとした基本認識、基本理念が法案には明示されていません。今後定める基本方針に明記すべきです。
第二に、厚労省が示した案では、新規認定者の負担が大幅に軽減される一方、既認定者の八六%が負担増になり、低所得者、重症者に新たな負担が生じます。
医療費以外にも重い負担を背負う患者、家族が治療を諦めることがないよう、さらなる軽減措置を求めるものです。
第三に、医療費助成の対象を人口比〇・一%程度以下とする基準についてです。
難病患者として同じ苦難を背負いながら、患者数が多いというだけで除外され、新たな格差を生み出すことがないよう、より広い疾患が選定される基準とすべきです。
第四に、重症度分類を満たす者を医療費助成の対象とするとした点です。
進行する難病に軽症はなく、通院、治療をためらわせ、軽症者のデータ収集に支障を来し、ひいては難病克服の道を遠ざけることになりかねません。重症度分類設定は見直すべきです。
第五に、医療費助成の対象とならない方たちへの支援です。
医療費負担の抜本的な軽減のため、高額療養費制度の負担上限の大幅引き下げ等、難病、がん、慢性疾患等、長期に治療が必要な患者への対策を急ぐべきです。
寝たきりなど介護サービスがなければ暮らせない人たちを、障害でも難病でもないと放置することは許されません。障害福祉制度こそ、病名や障害名による線引きをなくし、谷間を解消することが必要であり、支援が必要な人全てが利用できるようにすべきです。
第六に、小児慢性疾患児の成人期移行の問題は積み残したままです。
二十歳を超えても、医療費助成、研究、教育、就労等、継続した支援体制の確立が必要です。
JPAの伊藤代表は、「二十年後に、どのような現実を迎え、この法律がどのような評価をいただくことになるのか、その評価を恐れつつ、私は今ここに立っております。」と陳述されました。患者、家族の皆様は、新たな制度に不安を抱えつつ、この機会に法制化をかち取り、医療費助成をより多くの疾患に広げなければと苦渋の思いでこの日を迎えているのではないでしょうか。
この思いを真摯に受けとめ、難病、小児慢性疾患の新法制をスタート地点として、真に人として尊厳を持って生きることを保障し得る制度が確立されることを求め、討論といたします。(拍手)