――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
前回の続きを少しやりたいと思います。障害福祉サービスについてであります。
障害者総合支援法で新たに該当になった百三十疾患と関節リウマチについては、手帳がなくても障害福祉サービスを受けられるわけですけれども、その際、使うのは、他の障害者と同じ障害程度区分を使います。
ただし、難病の特性を踏まえた認定をということで、厚労省は、難病患者等に対する障害程度区分についてマニュアルをつくっています。
それが資料の一枚目であります。このアンダーラインは、私がつけたのではなくて厚労省がつけたものでございます。「難病の特徴」「難病には、症状の変化が毎日ある、日によって変化が大きい等の特徴に加え、進行性の症状を有する、大きな周期でよくなったり悪化したりするという難病特有の症状が見られます。」これは、つけてありませんが、調査もありまして、症状の変化が毎日あると答えた方が実に四一・二%もあるわけですね。そういう特徴を踏まえて、これは、疾患群ごとに、血液系疾患、免疫系疾患、内分泌系疾患、代謝系疾患などなど、大きくくくって分類をして、どういう特徴があるのかということを示しているものであります。
また、二枚目、これは太字の部分がありますね。ここは網かけをしていたんですが、コピーしたらよくわからなくなってしまっているんですけれども、少し読みたいと思うんですね。「難病患者等は、障害が固定している身体障害者と違い、症状が変化したり、進行する等の特徴があるため、それらを踏まえ認定調査を行う必要があります。 特に、症状が変化(重くなったり軽くなったり)する場合は、「症状がより重度の状態」=「障害程度区分の認定が必要な状態」と考え、市町村審査会で検討するために必要な情報である「症状がより重度の状態」を詳細に聞き取ることが重要になります。」と書いてあります。
私は、これは非常に大事だと思っているんですね。厚労省が、こういうことに気をつけなさいとわざわざ書いてくださっている。
これまで参考人からも直接お話があったと思いますが、症状が変化しやすい、疲れやすいなどの特徴があるのに、たまたま認定のときには張り切って元気だった、そういうふうなことを捉えるのではなく、それは一断面でしかないのだ、そういう特徴なんだよということを捉えて、重度の状態こそが一番必要な状態なんだということを踏まえなさいということを言っているわけですね。
これは、指定難病に限らなくても、共通したものではないでしょうか。また、最初に紹介したように、疾患群という捉え方というのは、これもまさに共通したものではないのか。このマニュアルを踏まえれば、病名によらずに、認定区分によって必要な障害福祉サービスを受けてもよいのではないか。まさに、重度の状態が目の前にある、このことを評価するということができるのではないか。いかがでしょうか。
○蒲原政府参考人 お答え申し上げます。
先生のお話にありましたとおり、認定のマニュアルというものを難病患者等についてつくっているということでございます。
これは総合支援法の全体の支給決定にかかわることでございますので、少し説明いたしますと、具体的な法の対象者が決まった後、その人に対してどのような支給をするかというプロセスに入っていくわけです。そのプロセスの過程で、本人に、言ってみればどういうサービスが必要か、あるいはそのサービスについてどういう形で報酬をつけていくのか、こういったことを決めていく過程で、先ほど話が出ました支援区分というのを決めているということで、支援区分はいわば支給決定プロセスの中で使う、こういう整理になっておるものでございます。
また、この支援区分をつくる過程でも、最初に障害者の対象が決まっていて、それとの関係でつくっている、こういう関係になっているわけでございます。
そういった意味でいうと、やはり、そうした対象が決まった上でつくっている支援区分自体を、それをベースに全ての状況に対して適用していくということはなかなか難しいんじゃないかというふうに考えておりまして、これは法律がもともとサービス給付法であるという性格がございますので、そこは支給対象を明確にするという必要性がございますので、これまでも御説明しているとおり、きちっと個別の疾患名で決めていくということが大事だというふうに考えております。それをベースに、具体的な範囲についてはこれから検討していきたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 もちろん答えはわかっているんですよ。私が言いたいのは、これまで述べてきた議論というのは全く無体なことを言っているわけではないのと、それから、手がかりがないわけでもないのだということの一つとして挙げさせていただきました。
シンプルな問いをしますけれども、最初に私が紹介したように、疾患群でそれぞれ特徴があるという考え方、それから、非常に毎日症状が変わる、こうした難病ならではの特徴、こういう点では、診断基準があるなしにかかわらず難病全体として共通する、そういう認識は間違いないでしょうか。
○蒲原政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申しましたとおり、この総合支援法の支給体制というのは、対象がきちっと決まった後、その人に対して必要な支援を行っていく、こういうことでございます。必要な支援を行う過程で、今お話がございました障害支援区分というのを活用するということでございます。
こういう支給決定のプロセスにおいても、先生お話がございましたとおり、個々具体的ないろいろな状況だとか、このマニュアルに書いてあるようなことをきちっと踏まえて支給区分をきちっと出していく、こういうことが必要だというふうに認識をいたしております。
○高橋(千)委員 そんなことを聞いているんじゃありません。何回も言ったでしょう、シンプルな問いなんですと。
これは佐藤局長に聞きたいと思います。私が言っていることが間違っているでしょうか。つまり、やれ、やれという議論をまず切り離して、今のいわゆる疾患群という考え方ですね、血液系、免疫系、代謝系というような大きなくくりがあるということ、また、非常に変化がしやすいという難病ならではの特徴ということは、それはある意味、全体に共通するものがあるよね、そこだけを聞いているんです。どうですか。
○蒲原政府参考人 先生お話がございましたとおり、個々の疾患が、難病については非常に変化しやすいだとか、なかなか従来の障害と違う特性があるということは私どもも認識をいたしております。
そのために、今回、昨年の四月に難病を対象にしたときに、単純に従来のいわば認定のマニュアルということでやってしまうとよくないんじゃないかということで、この認定マニュアルを昨年つくった、こういうことでございます。
その意味でいうと、まさにおっしゃっているように、疾患にそういう特性があるということは私どもも全く認識をしているところでございます。
○高橋(千)委員 ようやっとお認めいただいたと思うんですね。
やはり、話の取っかかりというか、一つ一つ見ていかないと、結論が、とにかく、やれ、やれと言われるからそれを認められないという話ではなくて、事実を積み上げていくということが大事なのではないかなと思っているんです。
その上で、ちょっと通告していないんですが、大臣、一言、感想を含めて伺いたいんですけれども、前回もお話をいたしました。それで、例えばネットで質問を見てくださったCFSの患者さんなどは、本当に症状が重ければ入院さえできない、そういう訴えもあるわけなんですね。仮に医療助成があったとしても、専門外来が近くにない。そういう困難を抱える患者さんにとって、対症療法ではあるけれども訪問介護ですとか同行支援とか、本当に必須なんだということを訴えられているわけなんですね。やはりそこをちゃんと見ないと、全体の枠があるから、不公平だからということを理由に排除すれば、それこそ不公平ではないのかということなんです。
資料の三枚目に、今の特定疾患を受けている患者さんたちの平均発症年齢をつけておきました。本当に若くして発症していますよね。平均発症年齢が四十一歳なんですね。見ていただければわかるように、十代、二十代の方がかなりいらっしゃるわけなんです。
さっき中根さんが、難病患者の中の介護認定は三・七%いらっしゃる、そういうことを言っていましたよね。だけれども、四十歳を過ぎないと、そもそも介護に入れないじゃないですか、特定疾病になったとしても。だから、そういうどこにも拾われない若い方たちが、今ここで大変な思いをしているんだということなんです。社会経験を積む機会さえなく、生涯にわたって闘病生活を送ることに変わりない。そこに線引きをしてはならないと思うんです。
これまで、日本の障害者福祉法における身体障害者の定義というのは、内部障害も含めて、固定と永続性が条件だったと思います。これは何回も障害の問題を質問したときに、いやいや、固定していないからとかという答弁があったわけですよ。だけれども、これが、さっきから議論しているように、難病患者を適用するに当たって、変化をする人もこの障害者福祉法の中に入るということが初めて今回行われたわけですよね。
このことを、日本難病・疾病団体協議会の伊藤建雄会長の言葉をかりれば、難病も障害者福祉の対象になるということは、障害の固定と継続ではなくても対象とするということとなったわけで、まさに日本の障害者福祉の根本にかかわる大変革だというふうにおっしゃっています。私、本当にそうだと思うんですね。ぜひ柔軟な対応を求めたい。ぜひ検討していただきたい。
大臣、もう一言、いかがでしょうか。
○田村国務大臣 先般の改正で、難病の方々も障害福祉サービスの範疇に入るということで、サービスを御利用いただけるようになったわけであります。ただ、一方で、病名というものとそれから診断基準というものは、その対象者を確定していくためにはどうしても必要な部分であります。
その上で、それぞれの状況に応じて必要なサービスを受けていただくわけでありますので、少なくとも、総合支援法に基づく給付に関しては、これは法律にのっとった事業でございますし、義務的経費になっておりますから、予算がないとかあるとかではなくて、しっかり受けていただけるということでございますので、そのような形で、必要のある方々が認定をいただいて、その上でサービスを受けながら生活をしていただけるというような形になっておるわけであります。
○高橋(千)委員 大臣にこの問題を通告していなかったので、ちょっと前回と同じ答弁だなという気がします。
しかし、手がかりがあるんだということ、もちろん病名はあるわけですよね。ただ、そこに診断基準、つまり指定難病医療費助成の基準とリンクさせているところに無理があるのであって、それを突破する手がかりとしてこういう考え方があるじゃないかということをきょう提起させていただきましたので、まだ決まったわけではないですので、ぜひ検討いただきたいと思います。
そこで、次に、今少し話題になったわけですが、難病の医療費助成は義務的経費となって、長年の課題でありました自治体の超過負担、これがなくなったことは評価したいと思います。
ただ、先ほども議論がありましたけれども、療養生活環境整備事業についてはできる規定となっているのはなぜでしょうか。同じように義務的経費にすべきだと思いますが、どうでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答えをいたします。
今御質問の中にもありましたように、医療費助成につきましては、指定難病ということで一定の要件を満たし、また、個々の患者さんにおきましても、その指定難病の要件に合致する患者さんに対しては医療費の助成をするということですから、日本全国にお住まいの患者さんにとってみると、公平に医療費助成という仕組みの恩恵を受けていただく必要があるということで対応しております。
一方、今御質問のありました療養生活環境整備事業ですが、今般の新しい法律の中には二十八条ということで位置づけておりまして、現在も行われております難病相談・支援センター事業などを、今申し上げましたように法律上にきちっと位置づけて、しかも、財政的な支援を行うことができるということで明記をしているところでございます。
ここに関して、なぜできる規定なのかということでございます。今も多少申し上げましたけれども、医療費助成と異なりまして、こちらの難病相談・支援センター事業を含む療養生活環境整備事業につきましては、自治体における実態の差異、あるいは、重点的に行うべき領域がそれぞれ自治体によって違うだろうという想定のもとに、義務的な規定とはしておりません。
例えば、例示を挙げますと、この療養生活環境整備事業の中には、特定疾患医療従事者研修事業といった研修事業を設けているんですが、人的あるいは医療機関のような箱、箱といいますか、施設の資源が必ずしも十分でないようなところでは、こうした特定疾患医療従事者研修事業のようなものに重点を置いていくこともあるでしょうし、また、そうでないところもあるだろうということで、自主性あるいは地域の実態に応じた対応ということで、柔軟に対応していただくようにということでございます。
しかし、それにしても、法律に位置づける事業ということでございますから、各地域でこうした療養生活の支援が充実していくようにということで、厚生労働省としても、これから法律に基づいて基本方針を定めていくわけですけれども、その中において、都道府県、自治体に対しても、取り組みのあり方について明確に示していきたいと考えます。
○高橋(千)委員 私は、この研修事業にしても、あるいは相談事業にしても、これは本当に地域の格差を取り除いて充実していかなければ、たとえ特定疾患が指定難病になって広がったとしても、全然知らない、自分の病名が何かということにたどり着くまでに何年もかかっているというのが一般的なわけですから、そこにたどり着けないわけですよね。そういう意味でも重要だと思うんです。
資料の四枚目に、都道府県の難病相談・支援センターの相談件数、これは補助金ベースなんですけれども、資料をつけておきました。非常に格差が大きいわけです。
また、下の方を見ていただくと、これはお金と件数でやっているんですけれども、ゼロ円から百万円未満のところもあるというのは非常に小さいわけで、千葉県が、難病医療協力病院が九カ所あって、相談を受けていて、こういう核になるところがあるところというのは非常に有利なんだなと思ったんですが、六千三百九件ですね。大臣の地元三重が三千三百七十二件、総理の地元山口は四十九件と、非常に開きが大きいわけであります。
こういうのを誰が担っているかということで、次のページの資料を見ていただければおわかりのように、やはり患者団体が頑張って受けてくださっているわけですよね。患者団体に委託しているのが二十三自治体、医療機関等が十一、都道府県直営は十三にすぎないわけであります。やはりここを、予算の範囲内でという中で奨励するだけではなかなか進まないんじゃないかと思うんですけれども、もう一声お願いします。
○佐藤政府参考人 お答えをいたします。
ただいま御指摘いただきましたように、現行の難病相談・支援センター事業につきましても、相談件数とか実施形態に地域ごとに違いがあるということは確かに認識をしております。
先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、今般の難病法案につきましては、当該事業を、予算事業から法律の事業ということで位置づけ直して、国が財政的支援を行うことができるということを明記したところでございます。
平成二十六年度の予算においても、もう既に予算を見直して、難病相談員の人件費などを充実させたところでございますし、またこれまでも、先ほどからお話がありますように、必要な知識と基礎技術を習得するための研修事業を行ってきたところでございます。
先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、今後、法律成立後、基本方針をお示しするわけですけれども、その基本方針の内容等々とも関連をしまして、こうした難病相談・支援センター事業を含めて、充実していくようにということで努めてまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 本当に頑張っていただきたいと思うんです。
そこで、大臣に伺いますが、もともとこの難病対策というのは、自治体独自の難病助成、さまざま、取り上げている疾患に違いがありますけれども、そういうところから始まって、都道府県の難病連なんかが結成されてきて、全国団体になってきたという歴史もありますよね。また、長く超過負担をしてきた。
そういう中で、今後、都道府県がやはり独自の支援策というのを維持したい、あるいは拡充したい、こういう場合について、例えば交付税措置ですとか、何らかの支援をしていく必要があるかなと思うんですが、いかがでしょうか。
○田村国務大臣 今般の法律で、医療費助成に関しましては、これは法律にのっとって義務的経費化して二分の一を見るということですから、超過負担というものはこれでなくなるわけであります。
今おっしゃられた難病相談・支援センター事業、さらには療養生活環境整備事業、こういうものに関しまして申し上げれば、これは、それぞれ、地方でそれぞれの必要性に応じてやられるわけでありますが、法律にこれも法定事業として二分の一補助というような形で位置づけた。ただ、これは予算事業であるわけであります。でも、これは規定したこと自体は意味があると思います。というのは、なくならないわけでありますから。位置づけていなければ、いつなくなるかわからないという話でございますので、そういう意味では意味があるんだと思います。
それぞれの地方で独自にいろいろな事業をやられておられるわけでありますけれども、そこはやはり地方のそれぞれの状況がありますので、それを一律に国が何らか示しながら地方交付税で見るというのはなかなか難しいわけでございまして、そこはひとつ御理解をいただきながら、今般、法律でしっかり書き込んである事業等々、それぞれの自治体で対応していただく中において、難病患者の方々が日々生活する上においてしっかりとした環境を整えていただきたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 ここは私、言いぶりに気をつけて言ったつもりですけれども、国が何々をやれと言えと言っているわけではないんです。もともと自治体が独自にやってきたものを支援したらどうかと言っているだけですから、義務的経費になったからあとはできないというふうになったら残念だなという思いで述べたわけであります。
それから、療養生活支援事業については、もともと超過負担がありません。だって、予算の範囲内でとなるわけですから。結局そうなっちゃうわけなんですよ。そこを本当によく見て支援をしていただきたいなと思っています。
難病対策委員会の中でも、長野県の福祉部局の参考人が、五十六疾患以外に頑張って独自支援している、上乗せしているところがあるから、そこを拾ってほしいと述べていらっしゃいます。それがみんな今回なるかというのはまだまだ難しいところがありますので、そういうことに、やはりせっかく頑張ってきた県独自のものには支援していくということでお願いをしたいと思います。
次に、小児慢性特定疾患においては、小児慢性特定疾患医療費の支給に要する費用及び小児慢性特定疾病児童等自立支援事業に要する費用、これがどちらも大人の難病とは違って義務的経費になったのはなぜでしょうか。
○石井政府参考人 小児慢性特定疾病児童については、児童の健全育成という児童福祉法の趣旨に鑑みまして、医療費助成のみならず、相談支援等の地域におけるさまざまな支援を組み合わせて、安定的に支援していくことが大変必要だというふうに思っております。
このため、小児慢性特定疾病児童等に対する相談支援等につきましては、消費税財源を充てた安定的な仕組みとして構築をいたしまして、都道府県に実施義務を課し、国としてはその二分の一を負担することとしております。
なお、小児慢性特定疾病の医療費でございますが、現行の裁量的補助金においても国は二分の一補助としておりまして、これに倣っているということでございます。
○高橋(千)委員 安定的と強調されたわけですが、では、その実績はどうなっているでしょうか。今示したような都道府県ごとのデータというのはないということでありましたけれども、いかがでしょうか。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
小児慢性特定疾病児童等自立支援事業はこれから創設しようとするものでございますので、そういう意味で実績はないものでございますし、また都道府県のデータもないというのは、そういう意味では御理解いただけるものと思っております。
○高橋(千)委員 わかっていて聞いているのに、そういう答えはないと思うんですよね。
ですから、今やっていることを参考に新しいこの自立支援事業に行くわけですけれども、結局、療育相談ですとか、やるわけですよね。その実績というのはあるわけじゃないですか。それをもう少し、余りにも不親切な答弁だと思いますが。
○石井政府参考人 大変失礼いたしました。多分、趣旨をうまく酌み取れなかったのだと思います。
確かに、今現在、療育指導事業あるいは巡回相談事業、小児慢性特定疾患児ピアカウンセリング事業などを行っているところでございまして、平成二十四年度の実績で申し上げますと、まず療育指導事業でございますが、実施回数としては三千四百四十七回となっております。また、巡回相談事業でございますが、実施回数として九百十一回、そしてピアカウンセリング事業でございますが、これも実施回数として九百二十五回となっているところでございます。
○高橋(千)委員 ですから、これは、全国で丸めても、最大多くて九百回とか三千回とか、そのレベルなんですよね。そこを本当に安定的に、そして義務的にしてやっていくんだとなったら、相当の覚悟が必要であろうということで指摘をさせていただきました。
そこで、大臣に改めてのことなんですけれども、小児慢性特定疾患はもともと児童福祉法に位置づけられていたわけですから、児童の健全育成ということが目的だと思っています。そのために児童と家族を支援するという福祉的目的があると思うんですが、そこの意義について改めて確認をしたいと思います。
○田村国務大臣 おっしゃられましたとおり、これは児童の健全育成というのが目的になっているわけであります。その治療の確立でありますとか普及を図りながら、一方で、今申し上げましたような、患者、家庭の負担の軽減というものがあるわけであります。
しかしながら、現在の位置づけは、やはり治療研究事業という位置づけになっておるわけでありまして、福祉的要素はもちろんあるんですけれども、位置づけがそうなっておるものでありますから、今般の法律改正の中において、しっかりと福祉的観点というものを明確にしていこうということであります。
あわせて、今もお話がありましたけれども、安定性というような部分で法定給付化をするわけでありまして、そういう意味では、これに関しましても前進であろうというふうに我々は思っておりまして、いろいろな事業の中においても、先ほど話がありました自立支援事業も含めて、小児慢性特定疾病の患者の皆様方が日々生活される上において、環境整備というものを進めてまいりたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 十五日の参考人質疑でも、NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク会長の小林信秋さんが、家族を支援することの重要性について述べておられました。
さっき大臣がおっしゃったように、確かに治療研究というところから始まったんだけれども、予算だけでは、構造改革法によって毎年一〇%削られる、これではなくなってしまう、そういう中で、医療費助成を維持できるように児童福祉法に位置づけたという歴史的なこともおっしゃいました。逆に言うと、本当にこの医療費助成がなかりせばということだったのではないかなと思います。
多くは兄弟がいる、また親がまだ若くて経済力がない、そういう中で本当にこの助成制度というのはありがたいし、半分でも、自己負担増だけれどもありがたいという控え目なことをおっしゃっていたけれども、しかし、そういう児童と家族の支援といったときに、医療費を半分にすればいいんだとか、食費も負担という整理で本当にいいんだろうか。食事は治療の一環であって、今までどおりで、なくていいのではないでしょうか。財政影響額だって大したものではないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
小児慢性特定疾病については、治療が長期にわたり、医療費の負担も高額となるため、児童の健全育成を目的として、患者そして家族の負担軽減を図る観点から、自己負担限度額を従来から難病医療費助成の二分の一といたしておりまして、現時点において、これを変更する特段の事情変更もないと考えているところでございます。
また、食事療養費でございますが、それのみに着目するのではなくて、自己負担限度額の水準や複数の患者がいる世帯での負担のあり方など、多様な観点から総合的に負担のあり方について検討が進められまして、費用の二分の一を自己負担することが適当とされたところでございます。
なお、食事療養費に係る費用でございますが、平成二十四年度の実績は、助成対象数が約十一万人で、約七・一億円となっているところでございます。
二十七年度の助成対象数は十五万人と推計いたしているところでございまして、このうちの約十万人が食事療養費について全額公費負担の経過措置対象者で、約五万人が二分の一自己負担となる新規助成対象者と推計されることから、二十四年度の実績をもとに二十七年度において食事療養費を全額公費負担した場合の財政影響を試算いたしますと、約二億円と推計をいたしているところでございます。
○高橋(千)委員 そうなんですよね。だから、その二億円、我々は、そこはいいじゃないかということで、修正案を出して、食費は今までどおりにしてほしいということを訴えております。
今、まさか特段の理由がないという答弁になるとは思っていなかったんですが、従来から子供は大人の二分の一と言っていて、それを変更する特段の理由はないとおっしゃったんですが、委員会の中では、結局、私が言ったように、児童と家族の経済的支援ということを考えたら、やはりふやさない方がいいんじゃないかという意見と、いやいや、もう少しふやした方がいいんじゃないかという意見、両方あって、中をとって二分の一になったんでしょう。そういうことなわけで、やはり、もっと実態に合わせてまだまだ検討していく必要があるのではないか、経過措置の間に、ぜひ上げない道を選んでいただきたいなと思っております。
それで、大臣に改めて伺いたいんです。
小児慢性特定疾患治療研究事業の受給者であった成人に対する調査を、前回、大臣が紹介されました。仕事をしている方は五四%いるんだと。特に障害なしという方が六割というデータもあります。これを捉えて、大臣は十一日の委員会で、自立して就労しておったり日常生活を営んでおったりされる方々は比較的多いと述べられました。確かに半分は働いているんだけれども、半分は働けていないということをどう見るかということが一つあるんです。
小児慢性疾患の場合、発病で一番多いのはゼロ歳なんですよね。ゼロ歳に発病している。だから、まさに生涯にわたって病気とつき合わなきゃならない。そういう中で、登録者数というのが一番多いのは実は十代の前半で、そこから若干減っていきますよね。そういう意味で、治療に効果があった方たちがそこに数字としてあらわれてきているのかなと。だから、実際にはずっと続いている人のことは、やはり実態としては同じなんですよね。
そういう意味で、小児のときに、医療費助成で低所得者はゼロ円だった、食費は自己負担なし、こうやって支えてきたことが、治療の面でも効果があったし、成人になってからも一定の日常生活に支障がないという人もいる、そういうふうなこともあると言えないかなと思うんですね。
ですから、今回、負担がふえることで治療に結びつかない、そういう患者がいてはならないということで、改めて伺いたいと思います。
○田村国務大臣 小児慢性特定疾病の方々が、今まで医療費の助成を受けながら、また一方で、それだけではなくて、相談支援でありますとか日常生活の用具の給付、こういうものを含め、さらには教育でありますとか就労、こういう種々の支援を受けながら、今委員がおっしゃられたように、半分の方々が自立をされて就労にもつかれておられる、こういう現状がある。これは、そのような小児慢性疾病への支援というものがあればこそという部分は、私はやはり理由としてあるんだろうというふうに思います。
今般、そういう流れの中において、先ほど来言っておりますとおり、非常に不安定な予算事業を法定給付化するということにさせていただき、他の自立支援の事業もさらに強化をしていこうということであります。
法定給付化をするということになると、これも何度も何度も申し上げていて恐縮なんですけれども、一定のバランスをとらざるを得ないというところがあるわけでございまして、その中においても、もちろん、自己負担の上限、これはそれぞれの負担能力に応じて差はつけさせていただいておるわけであります。
さらには、今ほど来お話があったとおり、食事療養、これを二分の一、これは一般の保険の給付の中においての二分の一という形になっておるわけでございまして、この二分の一というものも含めて、無料にすればいいのではないかということをおっしゃられるのであろうと思いますが、なかなか、これは制度の中においてのバランスということがございまして、いろいろと勘案をして、福祉的な色合いも強めているわけでございますけれども、対象の拡大ということも含めまして、どうか御理解をいただければありがたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 同じ答弁ではあったんですが、小児慢性の医療費助成や総合的な支援があればこそ今こうして頑張れているということからまず出発点にして、検討を進めていただきたい、このように思います。
それで、二つまとめて次に伺いたいと思います。
今紹介した小林さんのお子さんの場合は、百人程度の患者さんだという極めて少ない疾患であったということで、小児慢性特定疾患の場合には、物すごく少ないという特徴もあるわけですよね。その反面、やはり希少性を条件としない、現行でも幅広い概念を持っています。これは、今回の法改正に当たってどのように整理をするのか。
それから、トランジションの問題はずっと議論されてきたわけですけれども、今ある疾患のデータ、これを成人期にリンクさせるということが非常に重要な課題となっておりますが、どのように進めるのか。
○石井政府参考人 社会保障審議会の専門委員会の報告では、これまでの小児慢性特定疾病の考え方を踏まえまして、まず一つとして、慢性に経過する疾患であること、二つ目として、生命を長期にわたって脅かす疾患であること、三つ目でございますが、症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾患であること、そして四つ目でございます、長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾患であることを考慮して選定することが適切であるとされたところでございます。
これを踏まえまして、この法案の第六条の二第一項に規定を設けておりますが、そこで、「小児慢性特定疾病とは、児童又は児童以外の満二十歳に満たない者が当該疾病にかかつていることにより、長期にわたり療養を必要とし、及びその生命に危険が及ぶおそれがあるものであつて、療養のために多額の費用を要するものとして厚生労働大臣が社会保障審議会の意見を聴いて定める疾病」と定義しているものでございます。希少性の要件は入っていないものでございます。
そして、もう一つのお尋ねでございますけれども、データの関係でございます。
現在の小児慢性特定疾患治療研究事業におきましては、治療研究に活用するため、患者の各種検査値等のデータの登録管理を行っておりますが、効率的、効果的に治療研究を進めるため、今年度、新たなデータベースの構築を図ることといたしております。
新たなデータベースの構築に当たりましては、御指摘のような観点、これも踏まえまして、小児慢性特定疾病の登録データについては、先行してデータベースの構築を進めている難病の登録データと登録項目を合わせるなど、円滑にリンクする仕組みとして開発を進めていきたい、かように考えております。
○高橋(千)委員 円滑にリンクしてということでありましたが、今の難病の分野では、資料の六枚目、これは時間の関係でここは問いにしませんけれども、特定疾患調査解析システム入力率ということで、これも物すごい格差があります。
やはり、データベース化しなきゃいけないんですけれども、紙媒体のを本当に原始的な手作業で入力しているというところを今やらなきゃいけない。これは本当に大変なことで、これを均てん化するというのは大きな課題であろう。ただ、私は、そういうことを思い切って今やろうとしているときだからこそ、トランジションの課題も本当に解決するチャンスではなかったかな、こういうふうに思っております。
難病対策委員会の中で小慢のことを議論して、全体として、成人期と一体として議論していこうということを始めた。それが今度の法案の中にはなかったということはすごく残念だなということを指摘しなければならないなと思っております。
それで、小児のがんや心臓病、糖尿病などは、やはり成人になれば対象とならない可能性が大きいわけですよね、がん疾患患者は物すごい多いじゃないかということで。しかし、小児のときに発症するということの意味は、だからこそ難病なのであり、特別の困難さ、違いというのがあるわけですね。そこを本当に反映させていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答えをいたします。
これまでの議論の中で、今回の難病法案の位置づけ、あるいは、希少な疾病だとか難病の要件はどういうものかというのは御説明もいたしましたし、同時に、医療費助成の目的が何であるのかということについても御説明をしてまいりましたので、もうこれ以上申しませんが。
今ありましたように、小児のがんとか心臓病とか糖尿病など、本当に細かく見ていきますと、確かにそれぞれの細かな違いというのは出てくるんだろうとは思いますけれども、今般こういう形で法案を考えていく中で、がんや心臓病、糖尿病など、ある程度の患者さんがおられて、そして別個の施策体系が一定程度構築されているものについては、今般の難病対策の枠内とはせず、難病の方は、これまで御説明いたしましたように、要件に合致するものということで考えております。
いずれにしても、どういう疾患が対象になっているのか、あるいは小児の特定疾病との整合性をどうとるのかということについても、法案成立後に速やかに設立して検討していただくであろう第三者委員会の中で御議論いただくことになると思います。
○高橋(千)委員 いっぱい時間をいただいたと思ったら、やはり問いをいっぱい残してしまいまして、申しわけないんですが、最後、ちょっと丸めて、まとめて質問させていただきたいと思うんですね。
大臣にも聞いていただきたいんですけれども、大臣は、これまでトランジションの質問を受けたときに、指定難病も範囲が広がるからそこで拾えるんじゃないかということと、自立支援医療で見るということもあるんじゃないか、そういうふうにおっしゃっていました。
ただ、今も特定疾患は五十六あるんですが、そのうち小慢と重複している疾患数はたった十五しかないんですね。しかも、その十五は、まさしく細かく見ていきますと一桁とか二桁、せいぜい十四人とか、その程度の極めて希少な疾患しか重複していないんです。あとの圧倒的に小慢で多い疾病は実はダブっていないんですよ。
そうすると、これがいきなり、広げたからといってうんとこの関係が変わるというふうには考えにくい。まして、糖尿病などは生活習慣病だと言われているわけですよ。そこを今からちゃんと考えないといけないのではないか。そこをちゃんと受けとめていただきたいということ。
その上で、私がきょう通告していたのは、例えば日常生活用具。これも、二十になったら全部、医療費助成もないしこっちもないというんじゃなくて、ここをこう支援していくということを考えてもいいのではないか。あるいは、二十四時間つけなければならないインスリンポンプ、一型糖尿病ですね、これなどをやはりせめて人工透析並みの支援にするとか、そういう形で、少しソフトランディングというのでしょうか、一緒に考えるべきじゃないか。どうでしょうか。
○木倉政府参考人 インスリンポンプの部分で簡単にお答え申し上げます。
今の人工透析等、これは高額療養費の制度の中で上限を一万円に抑えている仕組みのものでございますが、これは約三十年前、昭和五十九年に健康保険法の改正で、被保険者本人の自己負担が、十割から九割というときに、人工透析あるいは血友病という具体的な疾患について御議論が国会で行われまして、このようなものについては、高額療養費の仕組みはあるんだけれども例外的に負担を軽減するということが合意をされ、それが盛り込まれておるものでございます。その後、血友病患者の関係で、抗ウイルス剤が投与されている後天性免疫不全症候群の方も入っておりますが。
この対象の議論につきましては、その後も医療保険部会等で議論はありましたけれども、やはり医療保険の考え方は、疾病でなかなか区分、差をつけにくいということが原理原則であるということ、それから、医療保険財政が極めて厳しい中で保険者等の合意がなかなか得られにくいということで、その後、追加はなされていないという状況にございます。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
委員、先ほど五十六疾患のうちわずか十五というふうにおっしゃいましたが、小慢の方から考えましたら、五百十四疾患のうち百を超える疾患が今重複しているということでございます。現状はそういうのはおっしゃるとおりでございます。
しかしながら、今回、これまでとは違いまして、安定財源を得て疾病対象は拡大していく、五十六から三百になるということが予定をされているわけでございまして、これはそこで打ちどめというわけではなくて、今後の可能性も秘めた、そういう位置づけ、条件を満たした場合には追加されていくという枠組みが、しかも安定的なものとしてできた。そういう意味では、相応の改善が図られていくというふうに私ども受けとめておりますし、また、そういう方向で対応していくというのをまず原則として考えたいというふうに思っております。
また、あわせまして、自立支援事業についても新たに法定化され、しかも負担金化されておりますので、これについてもしっかり、子供を支えていくという観点から取り組んでいきたい、かように考えております。
○高橋(千)委員 終わります。言いたいことは討論でやります。
――資料――
【資料1】難病の特徴(厚労省「難病患者等に対する障害程度区分認定 認定調査員マニュアル」)
【資料2】認定調査の留意点(厚労省「難病患者等に対する障害程度区分認定 認定調査員マニュアル」)
【資料3】特定疾患治療研究事業対象疾患における疾患別平均発症年齢(厚労省)
【資料4】補助金実績報告から見た難病相談・支援センターの都道府県別事業規模(厚労省)