難病要件狭めるな / 新法案で高橋議員 “希少性”は問題
日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は11日、厚生労働委員会で、難病対策の新法案について質問しました。
高橋議員が同法案の対象となる病気の要件の一つとして「希少性」を人口の0・1%と規定した根拠を求めたのに対し、厚労省の佐藤敏信健康局長は「患者数が少なく研究の対象になりづらいものだ。米国や欧州での定義に即して設定した」と回答。高橋議員は、0・1%の規定は欧米での創薬を支援する目安であり、欧州では医療費の自己負担はほとんどないと指摘し、佐藤局長も認めました。
その上で高橋議員は、国の難病対策開始時につくられた難病対策要綱は難病の定義に「希少性」を含んでいないと指摘し、法案に「希少な疾病」とあるのは問題だと批判しました。
難病患者で障害者総合支援法の対象となる範囲について、厚労省の蒲原基道障害保健福祉部長は、新法の対象となる病気の範囲を考慮しながら検討すると答弁。高橋議員は「新法による医療費助成の対象とは別に、福祉で支援すべき対象は幅広くていいのではないか」と迫りました。
新法制定にあたり対象外となるスモン患者への措置について、田村憲久厚労相は予算措置を恒久対策として継続していくと答弁しました。
(しんぶん赤旗 2014年4月12日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。一日、御苦労さまでした。
難病対策四十年の歴史を経て初めて法制化されるということは、大変意義深いことだと考えております。疾患の違いを乗り越えて声を上げ続けてきた関係団体の皆さんには敬意を表するとともに、同時に、自己負担増や指定されない難病との新たな谷間が生まれることへの強い懸念もあり、十分な審議を通じて改善されていくことを強く願っています。
そこで、昨年の臨時国会最終盤の混乱の中でも、議員連盟の奮闘もあり、障害者権利条約批准への国会同意が実現し、ことし一月二十日、批准がされました。
改めて、確定した条文には、第一条、「この条約は、全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、及び確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする。」とあります。当然これは難病患者も含まれたものであり、この立場に立って、制度の谷間がない、そういう制度をつくっていくことが期待されていると思いますが、この権利条約に照らして、難病の新法の意義について、大臣の認識を伺いたいと思います。
○田村国務大臣 昭和四十七年以降、難病対策要綱に基づいてスタートをしたわけでありまして、そのような意味からいたしますると、医療費助成も含めて、この難病対策というものは一歩ずつ前へ進んできたというふうに思います。
ただ、一方で、やはり公平性という問題があったわけでありますし、あわせて、都道府県に超過負担をお願いしてきたというようなことがございました。そのような反省も含めて、今般このような形で難病施策の見直しをさせていただいたということで、医療費助成の疾患数も大幅にふやす中において、一定の成果というものが今回の改正法案にはあるのであろうというふうに思います。
公平かつ安定的な医療費助成制度、さらには、難病の調査研究でありますとか、療養生活の質の維持向上というようなもの、こういうものを進めていくためには、やはり今般のこの法律というもの、これはぜひとも御協力をいただきたいというふうに思うわけであります。
障害者のかかわりという意味からすれば、もちろん、障害者施策と難病施策でありますから、これは一義的には同じでないわけでありますが、ただ、障害者権利条約に通ずるところは、その目的でありますとか対象という意味では通ずるところはあるというふうに認識をいたしております。
○高橋(千)委員 一つ一つ言い返したいところがあるんですが、議論の中でやっていきたいと思います。
それで、今大臣もおっしゃったように、難病対策のスタートが一九七二年の難病対策要綱の策定にありました。また、先ほど答弁がありましたように、そのきっかけが薬害スモンの研究だったわけです。
スモンは、太平洋戦争前から安全だと言われて使われ続け、また、戦時中は軍需用として生産が拡大された整腸剤キノホルムによる薬害だったこと、この薬害スモン訴訟の和解をきっかけに、医薬品副作用被害救済基金法が七九年に制定をされました。戦後の混乱期、資源も海外からの情報も不足する中で、全国の国立病院の医師たちが懸命に研究し、原因を突きとめるとともに治療指針を示したことで、特定疾患調査研究事業、スモン等八疾病、また、うち四疾病が治療研究事業として指定をされて、難病対策もそこからスタートをした、まさに原点であったと思います。
国立医療学会の学会誌、二〇〇九年第四号に、スモン研究班の主任研究者である国立病院機構鈴鹿病院小長谷正明院長がそうした闘いの歴史をまとめていたのを読み、大変感銘を受けました。
まさに原点であるスモンが難病の枠から外されるといいます。昨年十一月の質問のときには、別の形で支援するというふうに答えていらっしゃいますけれども、どのような枠組みで支援をしていくのか伺います。
○佐藤政府参考人 お答えをいたします。
現在の難病対策、つまり特定疾患治療研究事業ですが、これとスモンとの関係については、歴史も含めてもう議員からお話がありましたので繰り返すことはしませんけれども、今回の法制化に当たりましては、発症の機構が不明など幾つかの要件を決めております。
そういう中で、スモンにつきましては、これもるるここまで御議論いただきましたけれども、その原因がキノホルムということがわかっておりますので、今回の要件に照らしますと難病の範囲には含まれないということになるわけですけれども、これまでの経緯、すなわちスモンの恒久対策という観点から、これは予算事業として、引き続き、患者さんにとりましてはこれまでと同様の対応となりますよう対策を講じることとしております。
○高橋(千)委員 私は、二〇〇六年の薬事法の改正のときに、薬害の原点を忘れるなという趣旨で、七九年の福岡スモン訴訟の判決文を読み上げたことがありました。また、身近にスモンの会の県代表の方もいらっしゃいますし、何より、今回、当事者の皆さんが、薬害だから、今回の指定難病からは外れるから、でも予算はつくんだしということで声を上げにくくなっている、そういう声を聞いたんですね。非常につらいと思いました。
今でも、受診の際のトラブルはある。あるいは小長谷先生の報告にも、研究班は治療指針を確かにつくった、でも完全治癒例はなく、現在も重篤な後遺症が続いていると指摘をしています。だからこそ、今日まで研究班の活動が続いてきたのではないでしょうか。
大臣に改めて確認しますけれども、今、恒久的な措置ということで局長は答弁したかに思うんですけれども、予算措置を要するに毎年毎年とらなきゃいけないというのはえらい大変なことでありまして、だからこそ今回法定化したというのもあるわけですけれども、このスモンについて、激変緩和措置の扱いではなく、恒久的なものとして確保されていくのか。今、患者数も、二〇一一年末で、受給者証をもらっている方は千六百八名です。これ以上ふえることはないわけですから、しっかりと継続されるということを確認したいと思います。
○田村国務大臣 今も局長から、キノホルムが原因であるということはもうわかっておるということで、そういう意味からいたしますと、今般の指定難病というような範囲からは条件としては外れるわけでありますが、それ以前の、このスモンがきっかけであったということもあるわけでございますが、スモンに関しましては、国の責任として問われた上での恒久対策、それからスモンのその原因究明、こういうことの中において、昭和五十四年にこれは和解がなされたということがあるわけでございます。
今委員がそのようにおっしゃられましたけれども、そのような意味からいたしますと、医療費助成、これは予算事業ではありますけれども、これからも、このような経緯を踏まえれば、継続をしてまいるということであります。
○高橋(千)委員 ありがとうございました。
次に、資料の一枚目を見ていただきたいと思うんです。きょう、午前からかなり同じ趣旨の質疑があったと思うんですが、ちょっと整理の都合上もう一度確認をさせていただきたいんですね、自分自身が何度も取り上げてきたことですので。
昨年四月から施行された障害者総合支援法には、障害の定義に難病等と入り、身体障害者手帳がないけれども一定の障害がある方に対して、障害福祉サービスが使えるようになりました。その範囲が、難病患者等居宅生活支援事業の対象疾患と同じということで、現在、難治性疾患克服研究事業の対象である百三十疾患と関節リウマチが対象となっております。
二枚目を見ていただきますと、四月からの利用状況の推移がわかり、私が質問したときは三百四十七だったのが、十二月で六百五十九と、順調に伸びているのはわかるんですね。それはありがたいんですが、桁がもう一つふえてほしいなという気持ちは強くあるわけです。ですから、まだ周知徹底というのは必要なんだろうと。
問題は、今後、指定難病が仮に三百疾患となったときに、それにリンクをするのか。何度も言うように、福祉で支援するべきは、医療費助成と完全一致していなくても、もっと広くてよいと思うけれども、いかがなのでしょうか。
○蒲原政府参考人 お答え申し上げます。
委員お話がございましたとおり、昨年の四月から難病を障害者総合支援法の対象としたところでございまして、具体的には、当時の予算事業の範囲でございます百三十疾患を対象としたというところでございます。
今回、難病の法案に基づきまして、いわゆる医療費助成の対象が広がるということでございます。これに伴いまして、障害者総合支援法のもとにおける難病等の範囲についても検討していくということでございます。
具体的には、客観的な指標というのがまず大事でございますので、客観的な指標に基づく一定の診断基準が確立していること、これを前提にいたしまして、その上で、指定難病の考え方、範囲等をよく踏まえながら、また、障害者の、いわば福祉サービスの対象になるという点もよく考慮しながら、具体的な対象範囲というのを検討してまいりたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 具体的な範囲については、一致ではなくて、今後の検討だという答弁だったかと思うんですね。そこの中身について、これからの議論でまた深めていっていただければいいなと思うんです。
それで、指定難病の要件として、希少性、これが人口の〇・一%以下を規定するとされているわけですけれども、なぜ〇・一%なのか、その根拠について伺います。
○佐藤政府参考人 お答えをいたします。
ここまで御議論いただきましたように、難病、とりわけ指定難病を考える上で、患者さんの数が少ない、希少性ということを一つの要件とするということでやってまいりまして、人口の〇・一%程度という数字を示しているわけですけれども、これは、ここまでお話ししましたように、数が少ないということで調査研究の対象となりにくい、つまり、患者さんのデータが集まりにくい、治療法を研究しようと思っても比較などがなかなか難しいということでしたので、希少性が要件となっているわけでございます。
〇・一%程度としていることについては、〇・一%をちょっとでも超えたらもうだめとか、そういうことでもなく、柔軟には対応するんだろうと考えております。
では、その場合に、〇・一%に根拠があるのかどうかということになりますが、経済的支援を行うということもありますし、それから、研究が進むように科学的な側面から応援をしていくということからいうと、患者数に一定の基準は必要だろうと考えます。
その際は、これまでの経緯、例えばどんな疾患を対象とし、その疾患がどのくらいの数あるのかということもありますし、また、アメリカとかヨーロッパでどういうふうに捉えられているかというようなこともありまして、そうした諸外国での希少疾病の定義なども参考にしまして、我が国で独自に定めた形になりますが、人口の〇・一%程度というものを設定させていただいております。
○高橋(千)委員 二つ反論したいんですが、一つずつ聞きたいと思うんです。
まず、欧米を参考にしたという議論ですけれども、日本が〇・一%だとすれば大体十二万人、それに対して、米国でいうと、日本でいうと八万二千人くらいですよとか、あるいは欧州でいうと六万四千人くらいですよ、〇・〇五%ですよというような説明があったわけですね。
それはあくまでも、オーファンドラッグ、希少疾病用医薬品を創薬するときの採算点との兼ね合いで支援をするという尺度で見たときに、アメリカでいうとオーファンドラッグ法があり、EUでいうとオーファンドラッグ規制があり、そことの比較でいうと確かにそうなのかもしれない。
だけれども、もともとヨーロッパには医療の自己負担というのがほとんどない国が多いわけですし、福祉サービスというのはアメリカも含めて基本的にないわけですよね。ですから、そこと比べて、〇・一%が医療費助成の対象としても同じなんだとか、そういう議論はちょっと違うと思うんですが、いかがですか。
○佐藤政府参考人 お答えをいたします。
議員の御指摘のとおりでして、米国や欧州を参考にしたと申しましたが、米国や欧州で、今先生から御提示のありました、例えば二十万人未満だとか、患者数が人口一万人に五人以下というのは、確かにオーファンドラッグを考えるときの定義であることは事実でございます。
ただ、逆に申しますと、日本の、今般でいうと指定難病、これまででいうと特定疾患治療研究事業に係る制度がないというのも事実でして、先生がおっしゃいましたように、医療制度そのものが違って、ヨーロッパの場合はそもそも医療費の自己負担が余りない国が多い、ないしは、逆にアメリカのように、無保険の方が意外に多かったり、あるいは自己負担がえらく高かったりというような国で、医療制度がまず違う。
それから、今も言いかけましたけれども、何よりも、希少な患者さんを集めてこれを研究していこうという、今般お示ししましたような基準にのっとって難病というものの疾病登録をしていこうという仕組みはどうもないようでございます。
そういうこともありまして、参考にするとすれば、とりあえずオーファンドラッグが参考になるということで、これを参考にした次第でございます。
○高橋(千)委員 要するに、私の指摘を認めた上での御答弁だったということだと思うんです。
それで、改めて七二年の難病対策要綱のときから振り返ってみますと、そもそもここには希少性という言葉はないわけですよね。原因不明、治療方法未確立、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない、あるいは、経過が慢性にわたる。そうした中で、調査研究、医療施設の整備、医療費の自己負担の解消、この三点を柱とするけれども、このほか福祉サービスの面にも配慮していくということが書かれているかと思うんです。
また、一昨年の中間取りまとめの中でもこれは引き継がれておりまして、希少性という言葉はないわけですよね。そのときの考え方として、難病対策要綱も参考にしつつ、できるだけ幅広く捉えるべきという考え方があったと思うんです。
そういうことからいきますと、この法案が、いろいろ議論をしてきた難病の理念というものが盛り込まれるはずだったのに、大臣も昨年十一月の私の質問に対して何度も答えているわけですよね、難病の克服を目指すとともに、難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられる共生社会の実現を目指すと。こういう視点からいうと、いきなり第一条に「希少な疾病であって、」というのがかかってしまうと、全体にかかってしまう、医療だけでなく。これから福祉も含める、「医療等」という中に含めているんでしょうけれども、いろいろなものをやっていくということを言っているにもかかわらず、いきなりここに希少性が出てくる、これでぐっと狭めてしまう、このつくりはやはりおかしいのではないか。どうでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答えをいたします。
昭和四十七年の難病対策要綱におきましても、末尾の方に、当時はこういう言い方をしていたんですけれども、寝たきり老人、がんなど、既に別個の対策の体系が存在するものについては、この対策から除外するということもあります。
また、それのみならず、ここまで私の方からも説明をさせていただきましたけれども、今般、疾患を三百ぐらいにふやして、さらに治療研究を進め、もちろん福祉的要素も加えていくということになりますが、その際には、先ほどから申し上げますように、やはり光の当たらない、調査研究をするといってもなかなか光の当たりにくい分野、とりわけ、お医者さんや医療機関が患者さんのデータを集めよう、それから患者さんについての治療研究や、予防も含めて診療に係るデータを集めようと思ってもなかなか難しい、こういうことに着目をするということが重要であろうということで、今般、この希少性というのも改めて書き込んだということでございます。
○高橋(千)委員 非常に残念な答弁だと思っています。やはり、最初の理念がかなりしぼめられてしまったのではないか。やはり医療にだけ着目しているという問題と、それと、言ってみれば社会保障と税の一体改革の中での、最初に大臣が、私が権利条約の理念を聞いているにもかかわらず、やはり予算のことが先に出てしまうという、そこの中の兼ね合いなのかなと、そこはちょっと残念に思います。ただ、これが第一歩でありますから、議論は続けていきたい、このように思います。
それで、指定難病となっても重症度分類でふるい落とされるのではないかという不安が非常に大きい、これも昨年質問しているわけですけれども、ただ、昨年の時点では、詳細がほとんどわからない、専門委員会で検討されるということばかりだったんですね。だけれども、それだと、法案段階で、全くわからないのに、通してください、賛否を言ってくださいというのはある意味乱暴なわけですよね。
そこで、少し具体的に聞いていきたいと思うんですが、資料の三枚目に、現在、重症度分類が確立している十二の疾患について列記したものを書きました。よくよく見ると、意外にざっくりした基準も多いわけですよね。一とか二とかという段階ではなくて、ただ軽症という表現が使われているとか、あるいは日常生活への支障とか、そういうざっくりとした書きぶりもあるんですけれども、そこに歴史があって、根拠があるということがあるんだと思うんです。
例えばパーキンソンでいうと、重症度が五度まであるうちヤール三度以上、生活機能障害度が三度まであるうち二度以上、これがこの分類の足切りといいますか、そうなっているわけですが、これをこのまま採用するのかどうか、あるいは、今ある分類も線引きの基準を変えたりするのかということを確認したい。
それから、逆に、数が非常に少ないために重症度分類がつくれない、そういうような疾患もあえて分類基準を必ずつくって、落とす部分をつくるという意味でしょうか。
○佐藤政府参考人 お答えをいたします。
もう議員の資料にもございましたし、今のお話にもございましたように、現行の特定疾患治療研究事業においては、十二の疾病については一定の重症度以上の患者さんのみを対象としております。
今後、では、例えば三百ということで拡大していく際にどうするのか、診断基準はどうするか、重症度分類についてはどうするかということですけれども、現在、厚生労働科学研究班で、言ってみれば下ごしらえと申しますか、下準備に係る研究班で情報収集を行っておりますので、その結果も踏まえるし、今お話がありましたように、現在こういう形で十二の疾病については重症度分類が勘案されているわけですから、そういったこと。
それから、今もお話がありました、患者数が非常に少なくて診断基準の作成がなかなか難しいもの、そういったものも含めて、個別の疾病にどのような重症度分類を設定するかなどについては、これは大変御理解をいただかなければいけないんですけれども、法案成立後に厚生科学審議会のもとに第三者委員会のようなものを設けて議論するということでございますので、専門家の意見を聞いて公平かつ科学的に決定していきたいと考えております。
○高橋(千)委員 どちらともとれる答弁であったので、またそこは非常に心配をしているところなわけですね。
そこで、もう少し話を進めていきたいと思うんですが、資料の四枚目に、「軽快者の基準について」という、平成十五年六月十八日の課長通知をつけました。これは、今は三十疾患が軽快者ということの基準があるということですけれども、この考え方の意味するところは何か、また今後、重症度分類で線引きするということは、その軽快者という概念が全疾患に導入されるという意味なんでしょうか、伺います。
○佐藤政府参考人 お示しをいただきました資料の四ページ目に、軽快者というのはどういう者かと書いてありますので、ちょっと読むことになりますけれども、疾患特異的な治療が必要ない、つまり、この病気だからこの薬だとか、この治療法だというものがないとか、臨床所見が認定基準を満たさず、著しい制限を受けることなく就労等を含む日常生活を営むことが可能である、それから、治療が必要な臓器の合併症などがない、こういうことでありまして、しかも、その全てを一年以上満たした者ということにしております。
これも結論としては先ほど申し上げましたことに近づくんですけれども、新たな難病の医療費助成制度においては、難病研究、これまで厚生労働科学研究その他でやってまいりました対象疾病の診断基準に、さらに重症度分類などを組み込んでいきまして、疾病ごとに対象患者の認定基準を策定するということになります。
これも繰り返しになりますけれども、どの疾病にどのような重症度分類を組み込むかということについては、法案成立後に専門家から成る第三者委員会を設置いたしまして、そこで御議論いただいて、公平かつ科学的に御検討いただくこととしております。
○高橋(千)委員 大臣に質問したいと思うんですが、今の説明を聞いていて、もし、難病には違いないんだけれども治療の必要はない、日常生活が送れる、そういう軽快者がいるというのであれば、私はそれはそれでいいと思うんです。ただ、それ以上の人をあえてふるい落とさなければいいなと思うわけです、軽快者じゃないのに。つまり、軽快者と軽症者は違うはずです、ですよね。
総理と同じ薬を飲んでいますという方たちが先日訪ねてこられました。潰瘍性大腸炎並びにクローン病を総称してIBDと呼んでいるわけですけれども、潰瘍性大腸炎は二〇一一年で十三万三千五百四十三人、希少性で切られるおそれがあったわけですけれども、若いときに発症し、生涯病気とともに歩むという人たちであります。
見た目でわからない、そのために理解されず、患者のアンケートでも、体調管理のために休憩をとったり、自己管理しなければならないのに、その場所と時間の確保、あるいは通院への配慮などに三七%前後の方が困っていると答えており、職場の理解が大きな悩みだと言っています。病気を隠せば、無理して悪化してしまうわけですよね。
こういう方たちは手帳の取得率がたった三%なわけですね。だから、一定の薬を飲み、治療しながら職場に行っている。
そういう方たちを軽症であるということで切ってしまうと、結局、重症化になってしまうこともあるわけですから、そうではない、軽症者と軽快者は違うということをしっかり確認したいということと、軽症であっても、重症化を防ぐため、あるいは高い医薬品を飲み続けていることで就業ができている、そういう患者が省かれるということはあってはならないということで確認したいと思います。
○田村国務大臣 医療費助成制度にかからない軽症者の方々、軽快者と軽症者は違うというようなお話がありましたが、そういう方々もやはり研究等々に含めて、いろいろな症例等々を集めていくということが大事であるわけでありまして、ぜひとも、そういう方々も治療をされている症例をデータベースの中に入れていって、研究調査等々に役に立てていく中において治療法等々を確立していきたいわけでありまして、今回のこのシステムの中にぜひともそういう方々もお入りをいただいて、結果、この難病対策の中に加わっていただきたいという思いがあるわけであります。
以前も申し上げましたけれども、要は、確かに、重症度の高い方々に対してどういうふうな支援があるかというのと同時に、軽症者の方であっても、長期間にわたって医療費がかかる、そういう方々をどう考えるかということは申してまいりました。今般も、そのような中において、三万三千三百三十円、つまり、三割負担と考えれば月一万円自己負担、これを三カ月継続する方に関しては医療費助成制度の中に入っていただこうということを考えておるわけでございます。
そのような意味からいたしますと、先ほど委員がおっしゃられました、そういうような方々は、当然、軽快者というよりかは長期間にわたって医療費がかかるわけでありますから、しっかりと助成制度の中において対応させていただきたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 最初に大臣がおっしゃった、症例を集めていくことは大事だということ、その話を本当はきょうしたかったんですが、時間の関係で次回に回したいと思っています。
それで、今の、私が紹介した平成十五年の通知の出された背景というのは、一部自己負担のあり方が見直されて、重症患者以外について一部自己負担が導入された年でもあったわけですね。一方、低所得者は全額公費負担となるかわりに、軽快者という概念がそこで導入をされた。つまり、一定支援をするかわりに、こちらからは負担をしてもらうという、大変似たような構図。
つまり、同じ難病患者のパイの中で負担を分け合っているのは問題だよということが、昨年来、随分議論されてきたんですけれども、そのきっかけになった改正の年であったということを考えれば、やはり、最初に議論をした、どうしても予算の制約ということの中で、いきなり定義の中に希少性が出てきてしまったということの残念さということが問われてくるのかな、自己負担の問題もまさにそこに出てくるのかなと思うんですが、次回以降にまた議論をしたいと思います。
○田村国務大臣 済みません。私、三カ月連続と先ほど申し上げましたけれども、三カ月は連続でなくても結構でございます。申しわけありませんでした。
○高橋(千)委員 終わります。
――資料――