外国人労働 単純労働広げるな / 高橋氏「技能実習が趣旨」
日本共産党の高橋ちづ子議員は9日の衆院厚生労働委員会で、政府が建設分野などの人手不足を外国人労働者で補うとし、家事や介護での「活用」も検討していることについて、「外国人技能実習制度を単純労働に拡大し、安上がりな労働力として使うことは許されない」と批判しました。
田村憲久厚労相は「注意すべき問題がある。日本人の賃金低下や外国人を安く使うことがあってはならない」と答えました。
高橋氏は、技能実習制度の目的は「技能の移転」だと指摘。受け入れ期間を延長して実習を終えた労働者も再来日させて就労させるのは、「技能を生かして母国で活躍する人に“日本で働け”というのは制度の趣旨に反する」と指摘しました。
内閣府は「技能移転を目的とする制度の根幹を変えるつもりはない」(石井裕晶政策統括官)と説明しました。高橋氏は、米国務省人身取引報告書が「強制労働」と厳しく批判していることや日本弁護士連合会が制度廃止を求めていることにも触れ、「制度対象の拡大などあってはならない」と批判しました。
(しんぶん赤旗 2014年4月12日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
本日は、各党理事、委員の皆さんに質問順序で御配慮いただきましたこと、お礼を申し上げます。
早速ですけれども、資料の一枚目を見ていただきたいと思います。
四月五日の毎日新聞であります。四月四日の経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議で、安倍総理が外国人労働者の受け入れ拡大を指示したとあります。建設産業の人手不足に対する対応と、また、見出しに大きくあるように、女性就労促進のための家事援助などが話題に上っております。
この議論は、たどっていきますと、一月二十日の産業競争力会議の中で、成長戦略進化のための今後の検討方針において、「日本社会の内なるグローバル化」、こういう表現で、「外国人受入環境の整備・技能実習制度の見直し」が挙げられていると承知をしております。
そこで、今配っている記事の中にアンダーラインを引いて、大臣の発言も一部載っておりますが、正確を期すためにも大臣自身から述べていただきたいと思いますけれども、こうした外国人労働者の受け入れについて、どのような立場でいらっしゃるのか、伺いたいと思います。
○田村国務大臣 外国人の労働者を受け入れるというような議論の中で、幾つか注意しなければならない問題があるわけであります。
一つは、今、アベノミクス等々、経済がある程度回復する中において、失業率が低下し、有効求人倍率が上がっております。それに合わせて、働く方々の賃金も上昇傾向であるわけでありますが、そういうような状況の中で、外国人材を入れることによって、日本人の賃金上昇、これがとまったり、下がったりというようなこと、こういうことは防がなきゃならぬということ。
それから、日本人がその業種につかなくなってしまっては意味がないわけでありまして、そこはちゃんと配慮しながら検討しなきゃならぬということ。
さらに申し上げれば、外国人の労働者の方々を安く使うというのは問題があるわけでありますから、日本人と同等、賃金、それから労働時間、労働条件などが同じであるというようなことを申し上げたわけであります。
その上で、建設業の労働者不足というような問題がございますので、これに限っては、四月四日、建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置、これが取りまとめられたところでありまして、特定活動という形で、これを一定数受け入れようと。一応、これも、一定の制約の中で受け入れるという話であります。
これに関して、もちろんこれは、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックまでの一応暫定措置ということでありますが、団体と連携しながら、人権の問題というのが日本は言われておりますので、技能実習制度等々を利用する場合に、やはり、外国人の方々の人権、賃金、こういうものにもちゃんと注意を払っていかなきゃならないねというようなお話でございました。
家事援助の話でありますけれども、これに関しては、ちょっと私も、ニーズがどこにあるのかというのがよく理解できていないものでありますから、ニーズも含めて検討をしていく必要がある、このような発言をさせていただいた次第であります。
○高橋(千)委員 アベノミクスの評価に関しては、そこは全然違うわけでありますけれども、基本的なところは、結局、安上がりの労働力となってはいけないのだ、賃金引き下げのばねになってはいけない、そういう認識であることは、まさに一致するのかなと思っているんです。
まして、後で議論しますけれども、家事援助がここで出てくるというのも、やはり今、子育ての方たちが場所がないとか、あるいは介護で休職しなければならないというときに、その中でこういう議論が出てくるというのは、明らかに安上がりの労働力というふうな認識があるのかなということを指摘せざるを得ない。そこに大臣も一定の思いがあってお答えいただいたのではないかと思っております。
そこで、この会議では、民間議員からは、これまで、高度人材は受け入れ、あるいは単純労働は受け入れないという二分法で議論してきたけれども、それでは必要な人材を確保できない、こういう意見が出たと言っております。ずっとそういう議論はされていたわけですけれども、そうすると、あくまでも技術移転という目的だった技能実習制度の建前が、明らかに、労働力不足を補う単純労働という、私たち、よく本音と建前という表現をしますけれども、本音そのものではないか、そういうふうに戻そうというのが議論の実態ではないのかなというふうに思っているわけです。
そこで、資料の三枚目に、今大臣がおっしゃった緊急措置の中身について資料をつけておきました。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックまでの時限措置として取り組む緊急措置だと言っているわけです。
左を見ますと、これまでの技能実習制度の最大三年という枠組みなんですけれども、それを、新たな人材活用としては、三年の後の二年の延長、つまり五年にするということ。あるいは、一旦帰国をして、さらに戻ってきて二年ないし三年の雇用契約を結ぶことを認めるということで、これは何かちょっとクーリング制度によく似ているなと思っているわけです。
あるいは、これまでは、上にありますけれども、業種ごとの監理団体による監査などと、それから技能実習制度推進事業実施機関、いわゆるJITCO、一者応札で、これはJEED以上にいろいろ歴史があるわけです、問題があるわけですけれども、こういう単純な仕組みだったものに対して、国交省による元請企業による下請企業への指導の徹底など、監理が強まるということをこれは示していると思っております。
そこで、まず法務省に聞きますけれども、技能実習制度は、〇九年の入管法改正によって、一年目から労働者という扱いで大きく変わったわけであります。ここでは特定活動ということで認めるということなんですけれども、そういう整理でよいんでしょうか。きちんと法改正をするなり、国会での審議を経てやるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○杵渕政府参考人 お答えいたします。
御指摘の緊急措置は、出入国管理難民認定法で定められました在留資格の一類型でございます特定活動という在留資格による対応を想定しているところでございまして、この点はただいま厚労大臣からも御説明があったところでございます。
この特定活動の在留資格は、我が国の社会経済情勢の変化等により、あらかじめ定められた活動類型のいずれにも該当しない活動を行う外国人の上陸、在留を認める必要が生ずる場合に、臨機に応変できるようにするため設けられたものでございます。
御指摘の措置は、建設産業における技能労働者の減少が続いており、復興事業のさらなる加速や、東京オリンピック・パラリンピック関連施設整備などによって人材がより枯渇するおそれがあるという現状に鑑み、時限的な緊急措置として行うものであり、受け入れ開始後の我が国の社会経済情勢の変化等にも臨機応変に対応する必要があると考えております。
そのため、今般の建設分野における外国人材の活用については、先生が御指摘いただいた技能実習ということではなくて、特定活動の在留資格で対応するということが適当と考えているところでございます。
○高橋(千)委員 特定活動を法務大臣が認めれば、臨機応変に延長することができるわけですよ。
それで、今、技能実習制度ではなくてとあえて答弁をされましたけれども、しかし、活用するのはこの修了生を使うわけですから、それは違う話ですよということでは済まないと思うんですね。私はやはり、緊急措置だからといって、人手不足対策に技能実習制度の応用をするべきではない、このように思っております。
資料の二枚目にもついておりますけれども、日経新聞の二月五日付の指摘の中で、国交省は四万人から五万人労働者は必要というコメントを紹介しています。一方で、建設関係の技能実習生の申請者数は、平成二十四年度で四千五百九十五人、大体毎年この程度の幅なんですね、建設業に入るという方は。最も多いのが中国で、三千二百五十三人ですね。
これまでに修了した実習生という点でいうと、一万五千人程度かなと思うんです。そういう中で、一体どれだけの外国人の活用を期待されているのか、国交省に。
○吉田政府参考人 お答え申し上げます。
今回の建設分野におきます外国人材の活用に関する緊急措置は、復興事業のさらなる加速を図りつつ、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けて増大する建設需要に的確に対応するため、まずは国内人材の確保に最大限努めるということを基本とした上で、大会の成功に万全を期すということが重要との観点から、即戦力となる外国人材を時限で受け入れることが関係閣僚会議で取りまとめられたものでございます。
また、治安への影響ですとか、人権問題などを懸念する声もございますことから、今回は特別の監理体制を新たに構築して、関係省庁との連携のもと、適切に対応していくこととしてございます。
お尋ねの、どれだけの外国人の活用が期待されるかについてでございます。
足元、技能労働者は、この数年、被災地の復興事業の本格化等により、一旦離職した人が再び建設現場に戻りつつございます。平成二十二年の三百三十一万人を底に、平成二十五年には三百三十八万人まで回復してございます。
まずは、これら国内人材の確保に最大限努めることとしてございますけれども、あらかじめ受け入れの目標数を定めるものではございませんが、これまでの対象者である技能実習生の現在の在留数ですとか、過去の修了者の人数からいたしまして、六年間で延べ七万人程度を想定しているところでございます。
○高橋(千)委員 もちろん国内人材の活用を最大限努力するとおっしゃったわけですが、その割には、六年間に延べ七万人という数字は、やはりどこのデータを見ても過大評価ではないかと思っております。しかも即戦力と、本当にそういうことが言えるのかと思うんですね。
一応説明していることは、技能実習制度を修了した方、三年以上の制度を修了しているので一定の力があるんだ、即戦力なんだということをおっしゃっているんだと思うんです。それが本当にきちんと働いていれば、それはいいと思うんですよ。
だったら、母国での技能を生かした就労状況、実際にどのくらいあるんでしょうか。また、母国で本当に活躍しているんだったら、その人をわざわざ、また日本に帰ってこいよ、オリンピックのために帰ってこいよということ自体が、制度の趣旨からいってもおかしいと思います。いかがですか。簡潔にお願いします。
○吉田政府参考人 建設分野の技能実習を終えて帰国した修了者は、累計でこれまで約五万人程度というふうに考えてございます。このうち現在も建設関連の業務に従事していると考えられる方々は、公益財団法人国際研修協力機構や建設分野の実習生を受け入れております監理団体のデータを参考にいたしますと、そのうち四割程度が引き続いて建設関連の業務に従事されているというふうに考えます。そういたしますと、二万人程度が現在も母国の方で建設関係の業務についておられるのかなというふうに思っております。
このうち、どの程度の方が今回の緊急措置によって再入国されるのかについて、現段階で見積もることは困難でございますけれども、帰国した技能実習修了者を受け入れたいといった専門工事業者の声なども現実にございます。賃金などの雇用条件によるところもあろうかと思われますけれども、一定程度の再入国を期待できるものというふうに考えてございます。
○高橋(千)委員 今、二〇一二年のJITCOの調査などを引いてお答えになったと思うんです。四割の方が、実際に母国に帰って就労している。
だけれども、それは、アンケートに答えた方、実際にやっている人からのデータなんですよ。回収率は一七%ですから、これは、割り戻していくと、八%しか実態はないわけです。そういう数字をきちんと言わなければならないと思うし、その八%の限られて頑張っている人たちを、日本に帰ってこいということ自体がやはりおかしいだろうと重ねて指摘をしなければならないと思うんです。
それで、十分な技能を身につけないままの労働やそれによる労災なども心配されますが、実態把握と対策はどうなっているか、厚労省に伺います。
○杉浦政府参考人 技能実習の労働災害の発生状況でございますけれども、平成二十三年度に労働災害に遭われた技能実習生の方は九百九十三人でございまして、うち死亡者が五名でございます。
厚生労働省としましては、技能実習生に対する事故・疾病防止対策事業というのをやっておりまして、平成二十六年度予算におきましては、安全衛生アドバイザーですとかメンタルヘルスアドバイザーといった専門家による巡回指導の相談件数を、前年度四百件から、約二・五倍の一千件に増加をさせますとともに、技能実習生へのメンタルヘルスに係る周知啓発のためのパンフレットを作成いたしまして、実習実施機関ですとか監理団体及び技能実習生に配付をするなどの対策をとっておるところでございます。
こういった取り組みによりまして、労働災害の防止に努めてまいりたいと思っております。
○高橋(千)委員 労災の実態をよくつかんでいただきたいなと思うんです。
労働局が送検した案件の中にも、漏電による感電死というふうな事故がございました。技能実習実施機関に対する監督指導、二千七百七十六事業場のうち、八割で何らかの労基法違反が見つかっているわけですけれども、その五割近くが労働安全衛生法に関する案件で、突出しているわけですね。このこと自体を非常に重く見なければならないかと思うんです。
技能実習生問題に取り組んできた教授らのメンバーが指摘をしているのは、今度の建設分野で活用するという問題では、やはり実習生と対象業種のマッチングというのが本当に機能するかということを心配されているんです。
例えば、地震が少ないとされるベトナムでは、鉄筋とか鉄骨を用いた建築物がもともと少ないんですね。比較的高層のビルでも、鉄骨すら用いず、中抜きれんがを積み上げるというふうなことが普通だと言っています。そういう現場と日本の現場、逆に耐震化が強められる現場なわけですから、やはり、十分な研修もないままの現場作業では、しかも言語の壁もあるということで、労災の頻度も高まる、こういう指摘もありますけれども、重ねて伺いたいと思います。
○杉浦政府参考人 国際研修協力機構の方で、労働関係法令の遵守も含めた巡回指導を年間一万件ほどやっておりますが、そういった中で法の違反がありますれば、労働基準監督署へ通報するなど関係機関に連絡するなどして、その適正化の取り組みに努めておるところでございます。
もちろん、そういった安全衛生上の違反が五割程度あるということも我々承知しておりますので、こういった取り組みも含めて、十分に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 やはり突き詰めれば単純労働なのかなということを、外国出稼ぎという表現をされている方もいらっしゃるし、そういうことを本当に言わざるを得ないと思うんです。
この資料の最初の新聞の書き出しに、甘利大臣の記者会見で述べている言葉、アンダーラインを引いておきましたけれども、「人口減少の中、(人材が)足りないところについて、外国人も働いてもらうことは結構なことだと思う」、こういうふうに述べているということなんですね。なので、やはり、もともとの技能移転という外国人技能実習制度の根幹を変えるということをいずれ考えているというふうに思わざるを得ないと思うんですが、内閣府に伺います。
○石井(裕)政府参考人 お答えいたします。
技能実習制度は、議員御指摘のように、我が国で開発され、培われた技能などの開発途上国などへの移転を図りまして、それらの国々の経済発展を担う人づくりに寄与することを目的とする制度でございます。このような技能移転を目的とする外国人技能実習制度の根幹を変えるという考えはございません。
なお、四月四日の経済財政諮問会議、産業競争力会議の合同会議の後の甘利大臣の記者会見における発言は、介護分野におきまして、EPAに基づく受け入れ、あるいは介護福祉士などの資格取得者に対する就労目的の在留許可に関する議論があるということに関連しました質問を受けてのものでございまして、技能移転を目的とする外国人技能実習制度の根幹を変えるという趣旨の発言ではないと認識してございます。
○高橋(千)委員 根幹を変えるものではないという話でした。
ただ、私自身は、そもそも実習制度を廃止すべきだという議論も日弁連などからは出ているわけですので、そもそもこの制度自体が問題なのに、この制度を拡大して単純労働にまで広げるということは、最低でもあってはならないという立場で議論をしています。
それで、ちょっと時間の節約で一問飛ばして、大臣に伺いたいと思うんですけれども、つい三月十日にも、金沢地裁で、研修中に労働者として働かされて不当な理由で解雇させられたという二十五歳の中国人の実習生が、就労先の北日本電子を訴えた裁判がありまして、メーカーと監理団体に三百十万円の支払いを命じる判決が出ました。入国時よりパスポートを取り上げられ、通帳も渡されず、携帯電話やパソコンは使用禁止、元同僚と会ったことだけで、もう既に会社の外の人間だということで、規則違反ということで強制帰国をさせられる、そういう問題だったんですね。
こういう事案というのはこの間も何度もあったわけなんですね。まさに人権を侵すような問題が絶えず起こっている。そういうこともあって、昨年四月、総務省の行政評価局からは、「従業員規模が小さく、外国人従業員に対する依存度が高い事業所においては、改善を要するような行為が多く、技能実習生が単純労働力として雇用されやすい環境にあることが危惧される。」という指摘を受けています。
また、資料の四枚目につけているのは、厚労省の資料の中でそもそもちゃんと書いているわけですけれども、米国国務省の人身取引報告書、これは昨年ですけれども、その中でも、「日本政府は技能実習制度における強制労働の存在を正式に認知しておらず、本制度の悪用から技能実習生を保護するための効果的な管理・措置が不足している」、強制労働の存在、こういう大変厳しい指摘がされているんですね。
本当に、こういうことをどう受けとめているのか。また、こうした中での技能実習制度の延長ですとか介護などの対象の拡大はするべきではないと思いますが、大臣に伺います。
○田村国務大臣 技能実習生の皆さんも労働基準法は当然適用されるわけでありますから、そのような意味では、適切に我々としては実態というものを確認しながら、問題があれば対応していかなきゃならぬというふうに思っております。
直近で、今ほど来お話がずっとございました国際研修協力機構、JITCOが実施した巡回指導、一万六百七十一件のうち、九千百八十七件で改善指導を実施しておるということ、これは平成二十四年度です。同じ平成二十四年、監督指導実施事業場数二千七百七十六件中、違反事業場数が二千百九十六件、さらに、平成二十四年に法務省が不正行為として通知した機関数が百九十七機関となっておりまして、そのような意味から、適正化が必要なところが多いというふうに我々も認識いたしております。
JITCOが巡回指導をしていただいております。その中でいろいろな指導をいただいておるわけでありますが、悪質なものに関しましては行政当局にも御連絡をいただくわけでありまして、それに対して労働基準監督署は、もちろん都道府県労働局も含めて、監督指導しながら、悪質なものは是正指導をするわけでありますし、さらに、ひどいというものに関しましては送検までするわけであります。
あわせて、母国語の電話相談、この窓口の設置等々をやる中において、それぞれ技能実習生の方々がいろいろな問題がある場合に対応ができるような形をとりながら、この部分は重要なところでございます。今、広げる、広げないという話もありましたけれども、実際問題、今も技能実習制度はあるわけでございますので、ここは強化をしていきながら、やはりしっかりと技能実習生の方々の人権も守っていかなければならない、そのようなことに関しまして、我々は労働行政という立場からしっかり対応してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 今の状況についてしっかりと指導していくことというのは、当然なんだと思うんですね。それぞれ、言葉の壁ですとか、私が以前質問したときは、訴えているのに、訴えた先の被告側の通訳が出てくるというふうな全く不正常な状態とか、さまざまな中で、やはり支援する団体や弁護士さんや教授や、いろいろな方たちの中でこうしたことが表面化をしていって、一定の指導強化というのがされてきたという歴史があったのではないか、このように思っております。
それで、介護の問題について一言だけ質問したいんですけれども、産業競争力会議の中でも、主査である武田薬品の長谷川閑史氏などは、「実習生を受け入れて介護人材を育成することは、技能実習の趣旨にも合致していることから、前向きに検討すべきである。」というふうに述べているんですね。
つまり、EPAとの関係でいいますと、当然、国家試験の合格率という目標が求められ、それが大変な難関であるということが言われているわけですよね。そうすると、技能実習だから実習そのものなので、国家資格そのものがゴールではないというか、そういう形で、使いやすいよというふうな議論、そこから出てきてしまうと、やはり違うのではないかというふうに思うんですが、大臣、一言。
○田村国務大臣 介護に限らず、技能実習制度というのは、まず、単純労働作業ではないということが前提であるわけでありまして、その上で、その国でやはりなかなか習得困難、不可能、こういうようなものに関するものであり、一方で、日本の国内で学んだ技能というものを母国で生かしていただく、さらに申し上げれば、公的な評価システムがちゃんとできている、これが必要であろうというふうに思います。
そういうふうなところを鑑みながら、それぞれのものに対して、それが技能実習制度にそぐうか、そぐわないか、このような判断から、制度の中に入れるか、入れないか、こういうことを検討してまいるということであります。
○高橋(千)委員 時間の関係で、最後の質問をします。
本当に、そうはいっても、資料につけたように、例えば法務省の出入国管理基本計画などでも、専門的、技術的分野に属しない外国人の受け入れ問題、こういうことを検討するというふうに書いているんですね。やはり単純労働への拡大ということが、今せっかく大臣もそうおっしゃったけれども、議論されているということは、非常に不安を持っています。
特に、もう一つだけ懸念を言いますと、原発労働者に拡大をしないのかという指摘があります。アイム・ジャパン、中小企業国際人材育成事業団が、ベトナムで原発をつくるということに合わせて技術者の養成事業に乗り出す、これを技能実習制度を活用して六千人の受け入れを検討している、こういう議論も、既に二〇一一年の七月三日、報道されている。そういう議論もあるわけですね。
これだと、今本当に原発の収束作業の現場で、深刻な事故、死亡事故も先日ありました。そういうことが議論されている中で、こうした安易な拡大というのはあってはならないと思いますが、一言伺いたいと思います。
○田村国務大臣 今言われました二〇一一年七月三日、産経新聞の記事だというふうに思いますが、申しわけないんですが、法務省それからJITCOに確認したんですけれども、事実関係が我々もつかめていないような状況でございます。事実関係がつかめ次第、我々としては、どういうようなものなのか、それを判断しなければならぬというふうに思っておりますけれども、今のところ事実関係はつかめていないということでございます。
○高橋(千)委員 意見も聞きたかったんですが、次の機会にしたいと思います。
終わります。