現場の声にこたえた学童保育基準求める
現在、小学校低学年の児童の4人に1人が通っている学童保育。ところが、これまで、正式な設置・運営基準がなく、厚労省は昨年12月にようやく基準案を発表しました。日本共産党の高橋ちづ子議員は2日、衆院厚生労働委員会で、現場の声にこたえた学童保育(放課後児童クラブ)の設置・運営基準づくりを行うよう求めました。
面積・運用基準
基準案では、児童1人当たりの専用区画は約1・65平方メートルです。高橋氏は、専用区画には、トイレや事務机などを含めない、あくまで子どものための専用スペースとすべきだと主張しました。厚労省の石井淳子雇用均等・児童家庭局長は「少なくともトイレなどは含まない方向で検討したい」と答えました。
児童およそ40人を支援単位とした運営基準にも懸念が広がっています。
高橋氏は、実際には71人以上のクラブが1371カ所あり、都内では待機児も生まれていると指摘。「(基準案で)せっかく小学6年生まで対象を広げたとしても(定員オーバーで)実際には受け入れできないということにならないか」と迫りました。石井局長は「支援の必要な小学生が利用できるよう整備を進める」と答えました。
高橋氏は、面積基準や運営基準が自治体の「参酌基準」となっていることを指摘し、「実態に追いつかないからと、低い水準にあわせたり、自治体まかせにすべきではない」と強調しました。
都市部での動き
児童40人ごとに指導員を2人(うち有資格者1人)おくよう定めた指導員の配置基準も、「利用者の支援に支障がない場合」「併設する施設の職員等が兼務可能な場合」などの例外規定が設けられています。
「併設する施設」の具体例を問われた石井局長は「児童館での対応などがありえる」と答弁しました。高橋氏は、都市部では、児童館など全児童を対象とした事業に学童保育を統合しようという動きがあることをあげ、「(学童保育の指導員が)足りないから、(全児童対策事業と)一緒にしてしまえという動きを促進することになる」と批判しました。
(しんぶん赤旗 2014年4月7日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
初めに、前回、本来なら次世代法の中で通告をしていたんですけれども、ちょっと時間切れでできなかった問題について質問させていただきます。公的年金と児童扶養手当の併給問題についてであります。
二〇一〇年の児童扶養手当法の一部改正案の審議の際に、附帯決議でこの検討が盛り込まれました。当時、私は宮城県のシングルマザーのことを紹介して、離婚した後に亡くなった夫さんの遺族厚生年金わずか八千円、この八千円が出るために四万二千円の児童扶養手当がもらえない、もらえないどころか返せと言われている、本当にこれは不条理じゃないかということを指摘したことがあったわけであります。
その後、二〇一二年、総務省の行政評価局の通知とか、二〇一三年以降、社保審の児童部会による検討がまとめられまして、先般可決した法案においては、公的年金と児童扶養手当の差額が支給されるようになりました。これ自体は、不十分ではありますけれども、一歩前進だと考えております。
それで、まず伺いたいのは、併給ではなく差額支給という形で決着したのはなぜでしょうか。
○石井政府参考人 児童扶養手当と公的年金は、稼得能力の低下に対する所得保障という同一の性格を有していることから、完全に併給することは適当でないと考えた次第でございます。
このため、今般の見直しにおきましては、同一の性格を有する給付を二重に行うことを避けつつ、全く併給が行われないことに伴う不合理を改善することとして、児童扶養手当より低額の年金を受給する場合には、その差分について児童扶養手当を支給することとしたものでございます。
○高橋(千)委員 児童扶養手当は、もともとは母子福祉年金を補完する形で発展してきたものだと思うんですね。あるいは、母または子供の遺族基礎年金の受給権があるから、基本は所得保障ができている、だから二重にやる必要はない、そういう考え方だったのではないかと思うんですね。
それは、母子だけで見れば、児童扶養手当よりも少ない上乗せ部分、遺族厚生年金しかもらっていないさっき私が紹介したようなケースというのはレアケースだったのかもしれません。しかし、父子家庭の場合は、もともと遺族基礎年金の対象ではありませんでした。四年前、二〇一〇年の八月以前までは児童扶養手当も対象ではありませんでした。
私が相談をいただいた五十代の男性は、小学校四年生と五年生の子供を残して妻に先立たれました。当時、会社が倒産し、失業中だったんですね。年齢的にもう正社員の仕事を見つけることができず、アルバイトで暮らしてきたと言っております。
ですから、遺族が男性だからといって、女性は家庭にいて男性は正社員できちんと所得があるという昔からの考え方というのはもうとっくに古くなっていたというのは自明のことだったと思うんですね。ですから、余りにも遅かったなと思うんです。
この方の場合は、子供さん二人合わせて二万円の遺族厚生年金のみなわけですね。父子家庭なので、遺族基礎年金は支給停止になっておりました。それで、四年前に長妻厚労大臣宛ての審査請求を行って、遺族基礎年金の支給停止を解除すること、そして、せめて児童扶養手当の差額分は支給してほしい、このように訴えてきたわけであります。
そこで、伺いたいのは、この遺族基礎年金が、ことし四月以降、妻を亡くした父子にも支給されるようになります。ただ、それが四月以降、つまり、これから妻を亡くした場合だけなんですね。今紹介したような既存の父子家庭には支給されないのはなぜなのか。
児童扶養手当が支給される父子家庭というのは、昨年三月の数字で六万五千四十一人いらっしゃいます。そうすると、生き別れというのもありますから、そのうち、今のようなケース、遺族基礎年金の対象にならない既存の父子家庭はどのくらいいるでしょうか。
○香取政府参考人 お答え申し上げます。
ちょっと答弁が前後いたしますが、先に死別の父子家庭の数ということでございます。死別の父子家庭の数は、二十三年度の母子世帯調査等から約三万七千世帯と推計されますが、このうち、今の新しい制度との関係で、仮に遺族基礎年金が支給されるかどうかというのは、それぞれ所得要件ですとか納付要件がありますので、その数字は把握をしておりません。これはちょっとわからないということになります。
遺族基礎年金の制度改正のお話ですが、御案内のように、制度改正いたしまして支給範囲を拡大したわけでございますが、年金制度は社会保険の仕組みでございますので、基本的には、それぞれ支給事由が発生したときの法律関係に基づいて給付を行うというのが原則になります。事後的にさかのぼって給付をするというのは原則的にはないということでございますし、法律改正の効果は基本的には将来効ということで、そこから先に向かって効力が生じるということになりますので、法律の今の仕組みの考え方からしますと、法律改正した後、既にもう事由が発生したものについて、さかのぼって支給をするということはなかなか困難であるということでございます。
○高橋(千)委員 今、原則的にはないという表現でおっしゃいました。つまり、絶対ないということではないわけです。
もちろん消えた年金の整理の場合は、裁定をやり直さなくちゃいけないし、今、追納という仕組みがありますからね。追納で、結局、裁定した年金がふえるわけじゃないですか。そういうことをやっているわけです。だから、不利益は遡及しちゃいけないけれども、利益は遡及すべきだ。
しかも、今言った三万七千人のうち、もっと絞られてくるわけですよね。前の人に広げたからといって、うんと広がるわけじゃないわけです。これからの人に手当てするということが決まっているんですから、これまでの人を広げたからといって、見境なく広がるわけじゃないわけです。そういう観点に立って、利益は遡及すべきだということを指摘したいと思うんですね。
このことを含めてまた大臣に質問したいんですが、今、この方のような遺族厚生年金のみの場合は、要するに基礎年金をもらっていない方の場合は、事業主との折半なわけですよね。つまり、国庫は入っていないわけですよ。だから、最初に局長が答弁された、同じ所得保障だからという意味でいうと、国が払っているお金でもないのに、それをもらっているからだめでしょうという話はやはり違うんじゃないか、これは、差額ではなくて、本来は併給を認めるべきじゃないかと思うんですが、大臣、どうですか。
○田村国務大臣 先ほども話がありましたが、稼得能力の低下というものに対する所得保障と同一の性格であります。
児童扶養手当はそもそも、遺族基礎年金の場合、死別した場合に対する子供に対しての一定の保障、そのような考え方であったわけでありますが、死別だけではなくて生別というような場合に対して児童扶養手当というようなことが、昭和三十年代に始まりとしてスタートしてきたというわけであります。
そういうような観点から考えまして、公的年金というものと児童扶養手当、同じような類いのものであるということでございますので、これを全く併給するというわけにはなかなかいかないわけでありまして、そこは、差額に対してはしっかりとお支払いをさせていただこうということで、今般、改正をさせていただくということであります。
○高橋(千)委員 同じ類いとはやはり違う。さっき私が説明したように、やはり年金の補完的なものから出てきたものとは、もう今はもらう対象も大分変わってきていますし、考え方が発展してきているわけですよね。その点においてどうかということをやはりもっと議論しなければならないと思うんです。
昨年十一月二十五日に大阪地裁は、地方公務員災害補償法に基づく遺族補償年金について、地方公務員であった妻が公務災害により死亡した事案で、遺族である夫が申し出た遺族補償年金等不支給決定処分取り消し請求を認めた。つまり、不支給はおかしい、そういう判決が下ったわけであります。
女性の社会進出が進み、男性と比べればまだ不利とはいえ、相応の就業機会を得ることができるようになった結果、もう共働き世帯の方が専業主婦世帯よりも多い、そういう事態になっているわけですね。それを踏まえて、配偶者の性別において受給権の有無を分けるような差別的取り扱いはもはや立法目的との間に合理的関連性を有しないと言うべきである、このように断じて、遺族の男女差による区別する諸規定は、法のもとの平等を定める憲法十四条に違反する不合理な差別的取り扱いとして違憲、無効といたしました。
週刊社会保障の三月三日号で、早稲田大学の菊池馨実教授がこの案件を解説しておりますけれども、この判決の前に厚労省が児童扶養手当を父子家庭にも支給する改正を行ったこと、これが裏づけの一つになった、つまりこういう判決をやるのに大きな力になったということを説明しているんですね。その上で、財源の制約を理由に国民の平等権が侵害される事態を放置することは許されないと指摘しているのは、私、大変重要だと思うんですね。
公務員の年金の話をしましたけれども、これは当然ほかの年金制度にも及ぶということは必至でありますし、だからこそ、ことしの四月から父子にも遺族基礎年金が支給されるようになった。大変遅くなったと思いますけれども、政府も男女格差の解消に向けて問題意識を共有しているんだということを確認したいし、さらに前に向かって頑張っていただきたいと思いますが、大臣の見解を伺います。
○田村国務大臣 男女の要件の違いが法のもとの平等に反するという認識は持っておりません。
といいますのは、要は、昔は男性が家計を支えるということが前提で制度をつくってきたわけでありますけれども、今や男女ともが働く中において家計を支えておる。こういう考え方のもとに、遺族基礎年金の場合は、片方がお亡くなりになられるわけでありますから、そのような形の中において、両方ともが支えておるという前提のもとで、今般、父子に対しても支給を決定させていただいたわけでありまして、その基本的な考え方は、男女で家計を支えておるということが前提であるということであります。
○高橋(千)委員 ですから、私が言ったことは、持っておりませんと最初に大臣が言っちゃうと、誤解されちゃうんですよね。つまり、男女ともに働いているんだから、男性が亡くなったときでも女性が亡くなったときでも、基礎年金をもらえるのは同じだということで今回整理したわけでしょう。今までは同じじゃなかったんですから。女性が亡くなったときは、家計の支え手であろうがなかろうが、男性が遺族であれば払わないという制度、それを是正したんでしょう。だから、それを差別だと思っておりませんと言っちゃうとおかしいんですよ。そうですよね。
○田村国務大臣 遺族基礎年金にしても児童扶養手当にしても、これは母子、父子、子供に対して、そういう色合いが濃いわけであります。
でありますから、今、男女で生計を支えておるというような時代になってまいりましたので、そういう観点から、片方の親がお亡くなりになられる、一人親になられるという観点を指して、子供に対して遺族基礎年金また児童扶養手当という形で、父子に対しても支給をするというのが今般の流れであるということであります。
○高橋(千)委員 だから、その問題意識を共有していますかと聞いているんですから、そうだでいいんじゃないですか。だから改正したんでしょう。持っておりませんと言ったら、改正する必要はないんですよ。そこを確認しているだけなんですが。(田村国務大臣「ちょっと違う」と呼ぶ)ちょっと違うって、どうして。ちょっと先に進めなくなっちゃったんですが、どうしましょうかね。
でも、そういうことで、今回、遺族基礎年金を父子にも払うということにしたわけですよね。今までは、子供さんにといいながら、五十五歳以上の男性が六十歳にならなければという、非常に制限をされていたわけですからね。そこを取っ払ったということでよろしいんですよね。いいですかね。ちょっと違うって首をかしげていて、ちょっと困ったなと思っているんですが。
次の質問がしたいので、ここをもう一回整理してまた聞きたいなと思っています。大臣、せっかくそこまで踏み切ったのに、認識は違うとおっしゃるので非常に困っているんですけれども、後の答弁の中でもし答えていただけるのであれば、お願いをしたいと思うんです。
それで、きょうは、放課後児童クラブについて質問したいと思っています。
放課後児童クラブは、九七年、児童福祉法に法定されて以降ふえておりまして、現在二万一千四百八十二カ所、登録児童数は八十八万九千二百五人。単純に言うと、全国の小学校三年生まで、三百二十五万人いるそうですが、四人に一人が通っていることになります。全国学童保育連絡協議会などが、小学校低学年の児童が学校で過ごす時間よりも放課後児童クラブで過ごす時間の方が上回っている、そういう統計をとりまして、放課後児童クラブの重要性、その条件整備について国が基準をつくるべきだということを求めてきたわけであります。
資料を配っておりますけれども、昨年十二月に放課後児童クラブの基準に関する専門委員会報告書が出されて、初めての基準案が示されたところであります。
放課後児童クラブの役割について大臣の認識を伺うとともに、子ども・子育て新制度においては放課後児童クラブがどのように位置づけられるのか。お願いいたします。
○田村国務大臣 共働き家庭のお子さんに対して、遊びの場であったりでありますとかまた生活の場として、安心、安全を確保しながらということで、大変大きな役割を担っていただいておるわけであります。
これに関しましては、今般、子ども・子育て新制度を議論する中におきまして、まずは、市町村がニーズをしっかり把握するということが大変重要であります。そして、事業計画をつくっていただいてそれを実行していただくということになってくるわけでありますが、そのいろいろな議論の中において、やはり今言われたみたいに、人員の基準をつくる必要がある、それから施設の基準をつくる、設備の基準をつくるということをいろいろ議論いただきまして、これを定めて実行していくということでございます。
いずれにいたしましても、量も必要でありますけれども、質というものも重要でございますので、この両面をしっかりと我々勘案しながら、新しい制度をしっかりと動かしてまいりたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 資料の二枚目に、放課後児童クラブの主な改正事項ということで、現行制度がどうかというのと、新制度移行後どうなるのかということが書いてあるんですけれども、対象児童が、今は十歳未満の留守家庭の小学生ということに大体なっていたわけですが、留守家庭の小学生というだけになりましたので、小学校六年生までにも広がっているとか、あるいは基準をつくるというふうなことが整理されていると思うんですね。
今、最後に大臣が強調された、量だけではなく質もということを言った中身なんですが、それがこの下の絵の点々のところですね。この質の改善にかかる費用については、税制抜本改革による財源確保を前提としていると。公費とは書いているんですけれども、ここが加わった。ただ、これについては、結局、この間の保育の議論と同じで、質の改善にかかる三千億円、まだ見通しはないけれども頑張ると大臣がおっしゃった、その中のお金、一部を使うという整理でいいですよね。局長にお伺いします。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
大臣からも、あるいはこの委員会でもたびたび、一兆円超の、プラス〇・七兆円を超えるところについては財源確保がないじゃないかというお話があるわけでございますけれども、少なくとも、その〇・七兆円ベースの中でも、放課後児童クラブの質の改善に充てるものは予定されているところでございます。
○高橋(千)委員 ですから、保育と並びの予算の確保をしなくちゃいけないということだったと思います。ただ、保育に比べても非常に条件がまだまだおくれているという点で、やっと初めて基準をつくるわけですから、そこを頑張っていただきたいということで質問を続けていきたいと思うんです。
私は、〇四年の六月に質問主意書で、学童保育の設置基準をつくるべきではないかという立場で、全国の実態調査をお願いしたことがございました。厚労省が一カ月かけて全国調査を行っていただいて、その結果は非常に驚くものでありました。埼玉と東京の二と、四十三市区町村しか独自の基準を持っていない。つまり、国は基準がないわけですから、市町村が持っているのはそれしかないということがまずわかったわけです。
その基準といっても、詳細にわたって書いているわけではなくて、ロッカーが設けられていることとか、男女のトイレが分けられてあることとか、当たり前のようなこと、ランドセルをしょってくるわけですから、それを置く場所はありますよね、その程度のものしか実際はなかった。児童一人当たり一・六五平方メートル、畳一畳しかないということも大変驚いたわけであります。
ただ、いずれにしても、そういう実態調査を行って、その後ガイドラインが示され、今回、基準をつくるということはやはり前進でありますので、現場の声に応えるものであってほしいと思っているんです。
そこで、伺いますけれども、面積については、これは参酌すべき基準とされました。専用区画の面積は児童一人につきおおむね一・六五平方メートル、これは畳一畳であることに変わりがなかったということなんですが、ただ、この専用区画に含むものは何か。あくまでこれは専用スペースであるべきだと私たちは考えているんですけれども、トイレだとか洗面所だとか事務机とかを含むものになっちゃうとかなり狭い話になっちゃうんですが、いかがでしょうか。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
放課後児童クラブの基準については、現在、専門委員会の報告書をもとに、厚生労働省で省令の案文を検討している最中でございます。
専門委員会の報告書では、専用スペースは、現行の放課後児童クラブガイドラインと同様に、児童一人当たりおおむね一・六五平米以上とすることが適当とされているところでございます。
御指摘の点でございますが、専用区画というのは、児童の生活の場としての機能が十分に確保される場所を想定しているものでございまして、少なくともトイレといったようなものは含まない方向で検討したいと考えておりますが、ただ、いろいろ詳細はありますので、これは省令の案文の策定とあわせて整理をしていきたいと考えております。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
これは、説明を受けたときはトイレを含むという答弁だったものですから、こうなっちゃうと、本当に畳一畳どころの話ではなくなるわけですよ。狭過ぎるじゃないかと言ったら、いや、外で遊ぶから大丈夫とか、雨が降っても大丈夫とか、そこまで言っちゃうと、本当に、最初に大臣がおっしゃった、安全、安心な子供の遊びの場ですなんてとても言えない状態になるわけであります。
ここは確認したいと思うし、やはりこの専用スペースというのを厳格に見るべきだということは、指摘にしたいと思います。
ちょっと時間の関係で、次に進みます。
それで、支援の単位をおよそ四十人としたわけですが、二〇〇七年のガイドラインは、おおむね四十人が望ましいとする一方で、最大七十人というふうにしたわけですね。実際には、七十一人以上のクラブが千三百七十一カ所ある、かなりまだまだ課題があるわけです。
三月十八日付読売新聞で、都内の待機児童が、千七百五十三人で、全国最多なんだという記事を書いておりました。そのうち最も多い練馬区は百七十八人いる。練馬区の会社員である母親の声を紹介しています。大変皮肉なことに、この方は、会社の持ち場はワーク・ライフ・バランスを推進する人事部であるということまで書いていらっしゃったんですけれども、一年生から長男を学童保育に通わせていたけれども、三年生になって定員オーバーだから断られた、こういうことを書いているんですね。結局、こういうことが起こるんですね。
小学校六年生まで対象を広げたとしても、実際には受け入れできないということにならないか、あるいは参酌標準だから達成できなくてもよいとする立場に立つのか、伺います。
○石井政府参考人 まず、放課後児童クラブにつきましては、現時点において待機児童があるわけでございまして、この量の整備を加速化していくことがまず前提と考えております。
専門委員会の報告書におきましては、児童の集団の規模はおおむね四十人までとすることが適当とされております。これは、児童の安全面等々を考えますと、このくらいの規模が適切だ、目配りができる規模でもあるということであります。
おおむね四十人を超えるクラブにつきましては、複数のクラブに分割して運営すること、あるいは分割して運営する方法によりがたい場合においては、児童の安全を確保できる体制のもとで、地域の実情に応じて、一つのクラブの中で複数の児童の集団に分けて対応するよう努めることとされております。
国としては、おおむね四十人規模のクラブへの移行を支援していくことが必要とされたところでございます。現状におきましても、登録児童数が六十一人以上の施設では、複数集団に分けているところが多いという実態もあるわけでございます。
現在でございますが、放課後児童クラブの運営費に係る国庫補助基準額の設定において四十人規模クラブを手厚くしまして、四十人規模クラブへの移行を促しているところでございますけれども、小学校の余裕教室の活用を一層進めるなどによりまして、高学年を含めて、支援の必要な小学生が事業を利用できるよう、引き続き整備を進めていきたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 時間がかなりなくなってきてしまいまして、実は資格のところをやりたいなと思ったんですけれども、時間がないので一つ飛ばしたいと思います。
児童福祉法三十四条の八の二で「その基準は、児童の身体的、精神的及び社会的な発達のために必要な水準を確保するものでなければならない。」と定めています。ですから、実態が追いつかないからと、低い水準に合わせる、あるいは自治体に任せるということだけはやるべきではない、そこに間に合うように支援をしていくというのが必要だと思うんですね。
それで、今回の基準案では、支援単位四十人ごとに指導員が二人以上というふうに書きました。ただし、ただしと書いているんですね、利用者の支援に支障がない場合はこの限りでないと書いた理由は何か。また、その基準案のもとになっている専門委員会報告書では、併設する施設の職員等が兼務可能な場合には一人でも可とある。この併設する施設の職員が兼務可能な場合とは、どういう意味ですか。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
専門委員会の報告書では、職員は二人以上配置することを原則とするけれども、小規模のクラブについては、全てのクラブに専任の職員の複数配置を求めることはなかなか困難を伴うということで、併設する施設の職員等が兼務可能な場合に一人でも可能とすることが適当とされております。
要は、目配りする人間がほかで近接にあればそれで何とか安全の確保が対応可能ではないか、過疎地などの対応もございまして、そういうふうなこととされたわけでございます。
そうした内容などを踏まえて現在所要の案文を検討しているところでございまして、いずれにしましても、小規模のところを念頭に置いた対応で特例というものを考えてはどうかということで、現在検討しているところでございます。
○高橋(千)委員 ここはちょっと具体的に言ってもらわないとだめなんですね。目配りする人間が近くにいるというのはどういうことでしょう。例えば、学童保育が小学校の校庭にプレハブで建っている、走っていけばすぐ職員室があって先生がいるからいいじゃないの、そういう考え方なのか。それから、児童館では全児童の事業をやっている、その中の一部に児童クラブの開設もしている、そうしたら、全児童の場合は基準が全然違いますけれども、とりあえず指導員がいるわよ、児童館の職員がいるでしょう、だからいいじゃないか、そういう考え方ですか。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
今議員いみじくもおっしゃったように、児童館での対応、そういったようなケースは十分あり得ると思います。
また、特に子ども・子育ての制度を議論した中で、全体で出てきたのが、やはり人口規模が小さい町村などでは複合的な施設で対応していくところが適当だというケースがある、この点も指摘を受けたわけでございまして、それをあらかじめどの施設というふうに特定する用意は現在ございませんけれども、要は、そういう子供絡みでカバーができ得る、そういうケースに応じて対応するアローアンスを設けてはどうかということでございます。
○高橋(千)委員 十分あり得るとお認めになったと思うんです。
例え話をするときは僻地の話をするんですよね。小さい地域というのは、それは児童館であったり老人施設でも何でもいいんですけれども、そういう形で逆に目がいっぱいある。そういうこともあるじゃないですか。でも、今起こっているのは大都市なんですよ。大都市で、結局、もう放課後児童クラブじゃなくて全児童でいいやという動きが起こっている、そういうことを踏まえて言っているのは当然承知の上だと思うんですね。
三月二十四日の朝日新聞、「消える学童クラブ」。二十三区内で、いわゆる全ての児童を対象とする全児童事業のみで、学童クラブの定員がないか、なくす方向になっているのが品川、世田谷、渋谷、豊島、板橋、江戸川だ、こういうことを言っているわけなんですね。
これはどんどん広がっていく。なぜかというと、料金がなくて、友達がいるからいいじゃないかと。要するに、さっき言ったニーズ調査の中でも、片や無料です、片やお金を取りますなんて言われると、学童クラブに通ったことがない親は、そっちの方がいいのかな、そうなっちゃうわけですよ。予算が足りないから、自治体もそれでいいかなというふうになっちゃう。でも、それじゃだめでしょうということを言いたかったわけなんですね。
残念ながら時間が来ちゃったのでここで言い切りにしますけれども、二〇〇六年三月十五日に北井局長の答弁があるんです。放課後児童クラブと全児童はやはり簡単に一緒にしちゃいけないんだ、出欠をちゃんととって、一人一人の子供との結びつきというのが大事なんだということをちゃんと言っていた。私、それはとても大事な答弁だったなと、大変心にも残りました。そういう立場をやはり譲っちゃいけない。全児童を全否定しているわけじゃないですよ。だけれども、放課後クラブの位置をやはり譲っちゃいけないということを指摘して、また問いを残してしまいましたので、また次の機会をお願いして、終わりたいと思います。
――資料――