「均等待遇」確立こそ / パート労働法改定案可決 / 高橋氏修正案
パートタイム労働者のうち、正社員との差別を禁じる対象者をわずかに広げることなどを内容とするパートタイム労働法改定案が26日の衆院厚生労働委員会で審議入りし、たった1日の審議で採決されました。改定案は全会一致で可決されました。日本共産党の高橋ちづ子議員は、均等待遇原則に近づける修正案を提出。否決されましたが、無所属議員一人が賛成しました。
通勤手当や公務パートの均等待遇を盛り込んだ附帯決議が全会一致で可決されました。
高橋氏は、修正案の趣旨説明で「正社員と同じ仕事をしながら6割~8割の賃金、賞与や退職金がないなど正社員との格差の解消は切実に求められている」と述べました。
2007年改正で、通常の労働者との均等待遇を図るための差別的取り扱い禁止規定が創設されました。高橋氏は「その対象は限られ、1・3%にすぎない」と批判。対象を拡大する政府案について「均等待遇の対象となるパートは2・1%へと10万人程度の拡大にすぎない」と指摘。「差別的取り扱い禁止の対象を拡大するなら、均等待遇原則の確立こそ必要だ」と主張しました。
同委員会では、次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法案も全会一致で可決されました。
(しんぶん赤旗 2014年3月31日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
まず最初に、午前から大分取り上げられておりましたけれども、ベビーシッターのマッチングサイトを利用した事件について質問したいと思います。
そもそも、この事件をベビーシッターの事件と呼ぶのがふさわしいのかどうかということもありますよね。そもそも利用者の居宅訪問型ではないということでありますし、自分の部屋を保育室と呼んでいた、そういうこともあるわけであります。
実際に、規制がないとはいえ、人の命を預かるわけですから、ベビーシッターをやっている方たちは、いわゆるネットでうたっているように、急に頼まれたら急に受けられますよなんてことはあり得ないんだ、前日に頼まれても無理ですと。あるいは、親とちゃんと面接をして、シッターとも面談の上仕事を受けているんだ、そういうことをやっているのに、何か一概にベビーシッターという形になっているということでは非常に迷惑している、そういう声もあるわけであります。
ですから、まず実態把握というのが非常に大事になってくるわけですが、このマッチングサイトというのは、ここ数年、単に今始まったものではなくて、非常に話題となっておりました。厚労省として把握をしているか、また、どのような対策を考えているか、まず、大臣にお願いします。
○田村国務大臣 今回の痛ましい事件でありますが、ベビーシッターというのは、多分、委員おっしゃられるのは、家に行ってシッターをやるというイメージだと思いますが、家庭的保育という、家庭的じゃないのでその名前を使うのも嫌なんですけれども、どちらかというと、形態としては、保育室のようなものをみずから借りて、そこで保育まがいのことをやられたということでありますから、言われている意味、ちゃんと言葉の定義を使いながら、今回のものをどう評価するのかといいますか、どのように調査をしていくのかということをやらなきゃならぬと思います。
まずは、実態調査もそうなんですけれども、ちゃんと注意喚起もやっていかなきゃならぬということでございまして、これは利用者への注意喚起、それからインターネットの仲介者に対しての対応ということでございまして、あわせて、類似の業態というものも調査をしなきゃならぬということでありまして、この三点セットをまず今やらせていただいております。
あわせて、自治体でありますとか、それから、もちろんその関連の業種の方々でありますとか、インターネットを使っているサイト、こういうところもしっかりと協力をいただきながら、全体、どのような利用実態があるのか、どういう問題があるのか、こういうところも含めて、早急に調査をさせていただきたい。あわせて、できるところからしっかり対応をさせていただきたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 先ほど来の議論の中で、四月の半ばに調査の結果が出てくるみたいな議論があったと思うんですが、まず、そこは違うと思うんですね。
これは二十四日に厚労省が自治体に向けて発出した調査ですけれども、認可外保育施設その他の子供を預かる施設、事業に関する調査、これを依頼しております。これについては、どういう中身かといいますと、二十四日に発出して、三十一日までに返事をよこせと。それは、把握する仕組みがまずあるかどうか。児童福祉法施行規則第四十九条の二において定めている届け出対象外の認可外施設を、自治体として、届け出義務はないけれども届け出をしているか、あるいは、そういう施設を把握しているとすればどのような方法で。
ですから、まず、実際、実態を少しでもつかんでいるかどうかということがわかるだけの話であって、四月になったらかなりわかってくるということではないということをまず一つ指摘しておかなければならないと思うんですね。
そうした中で、そうはいっても、預け先がなく、せっぱ詰まった利用者がたくさんいらっしゃるわけです。けさの朝日新聞でも、「危険を承知で使わざるを得ない状況を知ってほしい」とか「マッチングサイトはなくてはならない存在」という声を紹介しています。
先ほど大臣が答弁の中でおっしゃいましたけれども、十九日に、「ベビーシッターなどを利用するときの留意点」という広報を発表しましたね。これは多分ネットに上げるんだと思うんですが、利用者に対して、まずは情報収集をということで、協会、団体がありますから、そこのサイトを紹介したりとか、事前に面接しなさいとか、連絡先は確認しておきなさい、誰か名前も知らない人に預けちゃだめよと。言われると、当たり前だよね、わかっているよねという声が聞こえてきそうな気がするわけなんですね。
わかっているけれどもやっているということを言っているわけですから、真っ先に、まずネットを開いたら、そういうところにつながらない、その前に、自治体や保育関係者による相談窓口がまず開かれている、そこにちゃんと結びつけられる体制を、ネットワークを早急につくる必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
○赤石大臣政務官 お答え申し上げます。
先日公表しました「ベビーシッターなどを利用するときの留意点」につきましては、厚生労働省ホームページに掲載するだけではなくて、厚生労働省ツイッターによる呼びかけ、地方自治体への通知、消費者庁と連携したメールによる情報発信、インターネット仲介サイト運営者に対する掲載要請、また、全国保育サービス協会のホームページとのリンク等、さまざまな方法で広報しているところであります。
留意点の中で、利用者に向けて、一時預かりが必要な場合や一人親へのさまざまな支援が必要となる場合は、ベビーシッターの利用に限らず市町村に相談するよう呼びかけ、地方自治体に対しても、留意点について広く地域住民の方への周知を依頼するとともに、窓口における必要な支援を要請しているところであります。
なお、二十五年度補正予算の中で利用者支援事業を創設し、二十七年度から施行予定の子ども・子育て支援制度においても、地域子ども・子育て支援事業の一つとして、その普及を図ることとしております。
以上です。
○高橋(千)委員 聞いたことに答えていないと思うんですが。
周知方法をネットにやるんでしょうということを言っているんですから、詳しくそこを説明してくださる必要はないわけであります。ただ、そういう関係者との窓口についてはやってくださるということだと思って、続けていきたいと思うんです。
大臣が、記者会見の中で、新制度になれば、一定の基準を満たせば、認可を受ければ補助金が出るという対象になるわけですよね、居宅訪問型保育というのは。ベビーシッターの場合はですよ。ただ、それでは届け出しないところがあるじゃないか、そういう議論がまず一つあります。
ただ、そういう人たちが参入して、本当に受け皿となり得るのかということをまず考えてみたい。要するに、必要な人たち、せっぱ詰まった人たちに対して受け皿としてできるのかということでまず考えてみたいんですけれども、ベビーシッターの場合のいわゆる認可を受ける場合の要件、補助基準、単価、どのような内容になるんでしょうか。簡潔にお願いします。
○石井政府参考人 まず、子ども・子育て支援新制度では、御指摘のとおり、一定の基準を満たした上で、居宅訪問型保育事業として市町村の認可を得たベビーシッターについて、地域型保育給付の対象にすることとしております。
居宅訪問型保育事業の保育者でございますが、保育士または保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市町村が認める者であることとし、それぞれ必要な研修の修了を求めることとしております。
具体的な研修内容につきましては、現在、全国保育サービス協会が実施している認定研修の内容などを踏まえながら、事業の特性に応じて求められる専門性を習得するのに必要と考えられる内容について、今後、検討していくこととしております。
また、新制度における地域型保育給付の公定価格については、現在、子ども・子育て会議において議論をしているところでございますけれども、居宅訪問型保育事業については、保育者の人件費、そして、保育者と保護者をつなぐコーディネート経費などの管理経費などを中心とする方向で検討されているところでございます。
○高橋(千)委員 まず、次の質問の前に、一言今の関連で聞きますけれども、保育士または同等といった場合に、単純に研修を一定受けたからいいよということではなくて、例えば看護師さんですとか福祉士ですとか、さまざまな関係の資格というものがあるんですけれども、そういうことを意味しているのかということをまず一つ確認したい。
それで、居宅型の場合の配置基準というのは一対一と言われているわけなんです。当然なんですね、訪問するから一対一だ。これをどう見るかということでは、一人でも開業が可能になる。それでは、一体どれだけお金を出すんですかと考えたら、一番高いですよ、コスト的には。それをまずどう見るかということと、だからといって、それが手厚いという意味ではないわけです。
それはなぜかというと、集団の中でいろいろな目があって、見落としがちなところをみんなで補い合っている環境と違って、密室ですから、そういう意味では、安全性の確保ということでは非常に心配があるわけです。そこをどういうふうに補填するのか伺います。
○石井政府参考人 まず第一点目でございますが、議員御指摘の、例えば看護師あるいは幼稚園の教師の免許を持っている人に限るものではございません。これは研修という形で、基礎とそれからもう一つの専門という形でレベルをとった研修システムを今とっておりますので、それを念頭に置いているところでございます。
それから、二つ目の配置基準の一対一ということの関係でございますけれども、新制度における居宅訪問型保育事業は、適切な事業運営を進めていくために、一対一を基本とする事業であります。この特性に鑑みまして、まず一点目としまして、障害児や小児慢性特定疾患児で個別ケアが必要な場合、一人親家庭で夜間の宿直勤務がある場合、そして、離島、僻地などで他に利用できる保育が存在しない場合など、保育所等における一般的な集団保育が困難な場合に、それを補完できるような役割を担ってもらうことを考えているところでございます。
そのため、先ほどお答えしたとおり、保育者に対しては必要な研修の修了を求めることとしておりますが、特に障害児などの個別ケアを行う場合を中心に、こうした対応に必要な専門性の習得に必要な研修内容にするとともに、密室性でございますから、保育者をバックアップするための連携施設を設置することといたしております。
また、子育て支援の専門資格である保育士が従事する場合、公定価格上加算を行うことで、保育士資格の取得のインセンティブを設けることとしております。
これらの措置を中心に、保護者とか子供が安心して利用していただくことができる事業となるように、さらなる安全性、専門性の確保、向上について必要な措置を検討していきたいと考えております。
○高橋(千)委員 限るものではありませんと言われちゃうと、逆に、資格はないけれどもやってもらうのに当たって、どう質を担保するのかという問題が出てくるわけですよね。
また、今おっしゃったのは、誰でも受けられるという意味ではないのだ、障害とか一人親の夜間の対応とか、どうしても一般の保育所ではない対応にするんだ、そこに対してのバックアップの姿勢があるということでありましたので、何でも対象になるという意味ではないというふうに理解をさせていただきたいと思います。ただ、そこから先についてはまだほとんど決まっていませんので、引き続いて注視をしていきたい、このように思っているんです。
それで、私は、きょう言いたいのは、今回、さっきから言っているように、シッターと呼ぶべきか家庭的保育と呼ぶべきかというような、よくわからない異質な事件が起きた、ただそこにだけ目が行ってしまうと、またそれも誤りなんですよね。
つまり、今度の子供の犠牲というのは、あってはならないことでありますけれども、しかし、保育施設の死亡事故というのはこれまでもあったわけです。昨年でいうと十九件もありました。これは、統計をとって過去最多であります。このこと自体があってはならないという立場に立たなければならないと思うんですね。十九件中認可外保育施設は十五件で、保育ママやファミリー・サポート・センターなど、多様な主体で起こっているという事実もあります。また、だからといって、認可施設でも起こっている、そのことをちゃんと見ないといけないと思うんですね。
平成二十二年に、赤ちゃんの急死を考える会が申し入れをして、厚労省でも調査を始めました。ただ、私は、その調査報告書を見ると、ほとんど黒塗りなんですね。そういう中で、情報公開して、中を見ると、物すごい、みんなパターンが一緒なんですよ。十五分刻みできちっと見ていますと。何これ、ひな形があるんでしょうという感じで、逆に、後からつじつまを合わせたのかな、そういうふうにしか思えないんです。つまり、うつ伏せ寝にならないように十五分置きに見ていましたと。では、何でそういうことが起こったんですかということになっちゃうわけですね。
ですから、同じことを繰り返しているだけではだめなんですね。マニュアル的な事故報告書では実態がつかめないです。再発防止策にもつながらない。どのようにするんでしょうか。大臣に伺います。
○赤石大臣政務官 お答え申し上げます。
先生の御指摘のように、昨年事故が十九件ございまして、そのうち認可外で十五件。平成十六年からトータルで見ますと、認可保育所で四十五件、そして認可外保育施設で九十八件という事故が起こっております。
この事故報告を取りまとめ、公表するとともに、事故防止のためのポイントをまとめ、自治体に事故防止の指導を徹底するよう通知しているところであります。
また、子ども・子育て支援制度における事故防止や発生時の対応等については、昨年末の子ども・子育て会議において、施設の運営基準として、施設において、事故防止のための指針を整備すること、事故が発生した際には施設は市町村等への報告をすること等の義務を課すことを取りまとめており、今後、運営基準として省令等の整備を進めていきたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 二月二十八日の読売新聞の「論点」という欄に、元国立保健医療科学院生涯保健部長の田中哲郎氏が登場して、このようなことを述べておられました。
横浜方式と呼ばれる待機児童解消策に触れて、「こうした取り組みを進めるにあたっては、子どもの安全や保育の質について専門的見地から慎重に検討することが欠かせない。」その上で、保育所の事故報告は、園児十万人当たり、認可施設は、ゼロ歳児、〇・六九人、認可外は三十八・五九人なんですね。この保育士の数とか面積など、やはり運営体制の違いとの関連を分析するべきだというふうに提言をしています。「子どもの命を危険にさらす規制緩和は論外」と指摘していることは、大変重要だと思っています。
この田中哲郎氏自身が、SIDS、乳幼児突然死症候群の研究班のメンバーであります。つまり、これは、赤ちゃんの死亡事故が繰り返し起こったときに、みんなSIDSだ、突然死だというふうに片づけられて、誰も責任をとらない。そういう中で、保護者の皆さんが、何度も何度も事故の原因究明を求めて、単に突然死で片づけないでほしいと訴えて、今のような調査の体系ができてきた、そういう歴史があるわけです。
その渦中にいた方が、規制緩和は命を危険にさらすという形で提言をしているということは、非常に重く見るべきではないかということを指摘したい。ですから、本当にせっぱ詰まった方たちの対応をとることと同時に、だからといって、単に規制緩和では命を守れないんだということを改めて指摘したいと思います。
その上でですけれども、朝から何度も指摘をされている、予算の確保と拡充策をどう整合性をとっていくかという問題ですけれども、質の拡充のために使うと言われていた三千億円については、いまだに財源も、確保の見通しも示されておりません。
二十四日の子ども・子育て会議に出された量的拡充と質の改善について、これは一兆円ベース、つまり予定額がとれた場合と、七千億円ベース、三千億円が足らなかった場合のシミュレーションというんでしょうか、対応施策を明記しています。それが三段階あって、要するに、七千億円のときは一部だけやるというものもあるわけですよね。そういう形で三段階。
例えば、三歳児の職員配置改善は、七百億円あるんだけれども、すぐにやる。
私立幼稚園、保育所等、認定こども園の職員給与の改善は、五%アップを目指すんだけれども、当面、七千億円のベースであると三%アップでとどまる。逆に言うと、満額得られなければ三%にとどまるという意味であります。
それどころか、一歳児の職員配置を改善するために六百七十億円程度必要なんですけれども、これは予算が七千億円にとどまるとゼロ回答、改善はされない。こういうふうな三分類になっている。
よく分けたなと思う反面、現場はもう戦々恐々、本当にシビアに見ていると思うんですね。大臣、これをどう確保していくのか、伺います。
○田村国務大臣 一昨年の子ども・子育て三法、この参議院の附帯決議にも、しっかりと、質、量の確保のために財源を確保するということが言われておるわけであります。
昨年六月に、少子化社会対策会議というものを、これは全閣僚参加のもとで開催いたしました。この中においても、少子化危機突破のための緊急対策ということでございまして、平成二十九年、消費税がいよいよ上がるわけでありますけれども、一〇%に向かって、財源を確保することは大前提であります。ですから、消費税が一〇%に上がるということが一つ目途でありますが、〇・七兆円も含めて一兆円程度、これは財源を確保することに努めるというふうに、全閣僚のもとでこのような緊急対策を発表いたしております。
いずれにいたしましても、やはりしっかりと質も量も確保しなきゃいけないということでございますので、我々、最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 私は、きょうはあとは意見にとどめますけれども、そもそもこの仕組みが、増税を財源にすると決めてしまったこと、そこが非常に窮屈な原因なわけですよね。まして、今議題にしている三千億円というのは、法律をつくった時点で財源を決めてこなかった。その弱さが今あって、大臣は、一生懸命、全力でという答弁をされたわけですけれども、逆に言うと、増税を決めた当時の与党の民主党にしてみると、増税する以上は何とかやってくれ、そういう議論になるわけですね。
それがだめなんですよ。本当に必要なものだったら、増税しようがしまいがやらなきゃいけない、そのくらいの立場に立ってほしいということが言いたいわけなのであります。
今回、四月からの消費税増税に伴い、子育て世帯臨時特例給付金が子供さん一人一万円出ますよね。児童手当支給対象者があるわけですけれども、これは一月一日以降生まれた方は対象にならないんですよね。なので、これを決めたときにはもう決着がついている話で、ひどいなと思うんですが、そのたった一回の支給に千二百七十一億円、事務費は二百二億円です。こういうお金の使い方こそ改めるべきではないでしょうか。
私は、改めるべきといえば、いろいろな例えがありますけれども、同じ子育ての分野で、こういう使い方をするのではなくて、その分があったら、やはりこども基金の積み増しをやって、量も質も拡充するとか、そういう方向に持っていってほしい、このことを指摘して、次に行きたいと思います。
そこで、パート法の問題に入りたいと思うんです。
パートタイム労働者は、前回改正時の千四百七万人から、二〇一三年度で千五百六十八万人へと増加をしています。非正規労働者が四割ということで、ふえているということはこれまでも指摘をされていたわけですが、その中でも主力部分がパートタイム労働者というわけでありますよね。そうすると、やはり、雇用者報酬が引き下がっているその要因として非正規雇用がふえているということは、政府自身が認めているわけでありますから、その主力部分であるパートタイム労働者が本当に実効ある法改正によって処遇改善されていくということが、本当に重要だと思っております。
そこで、まず、第八条の「短時間労働者の待遇の原則」、これは新設されました。現行法では、通常の労働者と同視すべき短時間労働者、いわゆる均等待遇と説明しているものと、そうではない短時間労働者は均衡処遇ということで別々に書いていたわけですが、まず最初にこの八条で原則を書いた。これは、一握りの同視すべき短時間労働者だけが図られればいいということよりも、全体として均等待遇に近づける意思ということでよろしいでしょうか。
○赤石大臣政務官 今御指摘がありましたように、改正法案第八条は、広く全ての短時間労働者を対象として、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、通常の労働者との不合理な相違は認められないこととする考え方を明確に規定するものであります。
すなわち、広くパートタイム労働者について、その就業の実態に応じて、均衡待遇の確保を一層促進していくとともに、均等待遇を目指していくものと考えております。
以上です。
○高橋(千)委員 八条にまずこの原則が、広く全ての短時間労働者が、しかも、今政務官がおっしゃられたように、均等待遇を目指していく、ここが明記されたということは非常に重要だと思います。いろいろ不十分なものが後にあったとしても、まずここに原則をうたっているんだよということで頑張っていただきたいということをまず指摘したい。
それで、七年たったわけですけれども、前回の法改正による効果をどのように見ていらっしゃいますか。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
前回、平成十九年改正では、通常の労働者と同視すべきパートタイム労働者についての差別的取り扱い禁止規定の創設や、正社員への転換推進措置の義務化などを行ったところでございます。
こうした法改正を踏まえて、約半数の事業所において改正法の施行を機に雇用管理の見直しが行われるなど、パートタイム労働者の雇用管理の改善について一定の成果があったものと考えております。
とりわけ賃金、パートタイム労働者の賃金をどう決定するか、その際に考慮している要素として、法施行前は、同じ地域、職種のパート賃金相場が多くを占めておりましたが、法改正後におきましては、パートタイム労働者の能力、経験とか、あるいは職務の内容、そういったものを重視するというところがふえているところでございます。
しかしながら、依然として、パートタイム労働者の待遇は必ずしも働き、貢献に見合ったものとはなっておらず、半数を超えるパートタイム労働者が、働きに見合っていない、正社員になれないなどの仕事に対する不満、不安を持っている状況にあります。
このため、より一層パートタイム労働者の均等・均衡待遇を確保して、その納得性の向上を図るため、今回の改正法案を提出したものでございます。
○高橋(千)委員 約半数が改善をしたということで、一定の成果。最初に法律をつくったときは六割を超えていましたので、そのときの衝撃に比べると微々たるものではあるけれども、一定の成果。
ただ、今おっしゃった、同じパートタイム労働者総合実態調査によれば、パートと職務などが同じ正社員側の賃金等処遇を見直した、三%。これは五割くらいの見直したうちの三%、多くはないですけれども。つまり、正社員の待遇をパートに合わせたという例があった。それから、正社員とパートの職務内容の区分を明確にした、一一・四%ございました。
つまり、均衡処遇を図っていこう、均等待遇を目指していこうと言っているけれども、なるべくそうならないように、正社員をパートの方に合わせたというふうに読み取れるわけですよね。それだとちょっと問題だと思いますが、いかがでしょうか。
○石井政府参考人 個別のどのような実態でこういう見直しを行ったかまでは、つぶさに知ることはできないわけでございますが、これまでかなりざくっとした雇用管理を行っていたところが、パートタイム労働法を機に、どういう働き方であればどういう処遇をすべきかということをいろいろ検討した結果、企業でとられた措置、あるいは労使で話し合って決められた措置なのではないかと思っております。
○高橋(千)委員 ですから、最初に言ったように、正社員の賃金をパートに合わせた、そういうこともあるわけですよ。やはりそれは、数字として一定のパーセントがあるほどの実態がある、そこは現実にちゃんと認めていただきたいと思っております。
その上で、やはり雇用均等分科会の中でも労働者側の委員から、企業側のネガティブチェックリストにならないようにという指摘がございました。だから、もう三要件は廃止すべきだという意見が出ている。私は当然だと思うんですね。
今言ったような話なんですよ。区分を明確にして、紛らわしいことをなくしましょう、そういうことになっちゃったらだめでしょうという話なんですね。
これは、その前段階である今後のパートタイム労働対策に関する研究会の報告書の中でも、「単に企業のネガティブ・チェックリストとして機能しているのではないか、」「事業主はパートタイム労働者であることを理由として、合理的な理由なく不利益な取扱いをしてはならない」、こういうふうにするべきではないかというふうな意見を明記して、「その在り方について検討する必要がある」と報告の中には盛られていると思います。
そういう意味では、今回の見直しは、労働契約法改正に合わせて無期というところは取った。言ってみればそれだけなんですね。ですから、十万人ふえると言われていますけれども、均等待遇について新たに踏み込んだとはとても言えない。いかがでしょうか。
○田村国務大臣 そこは、今まで無期という条件があったところを、有期に関しましても同じように、職務が同じで、言うなれば働き方に関しても同じであれば、人材活用の仕組みが同じであるならば、それは均等であるということでありますから。
そうはおっしゃられますけれども、やはりそれを有期に広げたというのは、これは大きな前進であろうというふうに我々としては認識をいたしております。
○高橋(千)委員 そうすると、九条の同視すべき短時間労働者について、「当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、」この一文が残ったのはなぜでしょうか。一方では無期を消しておいて、一方では全期間という。
そうすると、当時の議論は、いっときを切り分けて比較をすると、簡単に同じだとなっちゃうかもしれないけれども、そうではないでしょうという議論をされたわけ。だからといって、全期間となると、余りにもハードルが高過ぎる。これは要らない規定じゃないかと思います。
○石井政府参考人 全期間と残っておりますけれども、これはやはり有期というその範囲内においての判断ということになるものというふうに理解しております。
○高橋(千)委員 ですから、範囲内、それは当たり前なんですよ。有期の範囲内だけれども、全期間でしょう、雇用が終了するまでと。それだとかなりハードルが高いと言っているんですよ。
前回の平成十九年四月にここで私が質問したときに、全期間がやはりありました、当時の法案にも。そのときに、大谷局長が、例えば、採用時点で補助的な仕事でスタートされた方が、その経験を積んで、もう正社員と同視すべき職務内容あるいは人材の活用レベルになったということであれば、そこからカウントしていくという答弁をされています。つまり、全期間といったとき、スタートからといったら、それは最初の時間は一緒じゃないでしょうという話。そこをちゃんと含んでいますよという答弁をされているわけですよ。
これは、始まりもそうだし、ずっと先までもやはり考慮してというと厳しいよねということで、全期間の意味をやわらかに考えないと、全部、最初から最後までだよといったらだめなんですよということを指摘したいんですが、いかがですか。そのとおりでいいですか。
○石井政府参考人 要は、ここで申し上げたかったのは、更新されることが未定の段階でありましても、仮に更新をした場合には、人材活用の仕組みについて同じ取り扱いを予定しているのであれば、雇用関係が終了するまでの全期間において人材活用の仕組みが同じであるというふうな考え方に立っているものでございます。
○高橋(千)委員 わかりました。未定であってもね。ですから、結局、一定の、今の実態を見てということになると思うんです、今の答弁は。
それで、パートタイム労働者の七割が有期だということで、前回、私たちは、有期契約労働者も規定すべきだという修正案を出しました。ただ、その後、労働契約法が改正をされたわけであります。
それで、改正労働契約法によって、有期パート労働者が五年以上の反復契約であれば無期転換をされることになるわけですけれども、ただ、その際も、労働条件は従前どおりなんですよね。そうすると、パート労働者が有期から無期になっただけでは、実態は変わらないでしょう。だって、そもそも反復契約、今までも反復契約だったわけで、それが短時間労働者だった処遇と変わらないというだけではだめだと思うんですが、いかがですか。
○田村国務大臣 これは、無期転換になるわけなので、雇いどめの心配はまずなくなるということが大前提であると思います。
言われるとおり、特段の定めがない場合には、従前の内容での契約ということになるわけであります。無期転換だけするという話になるわけでありますが、いろいろと調査してみますと、何らかの形で無期転換を考えておる企業の四割ぐらいは、確かに従前の内容で契約というような話でありますけれども、四割弱は正規区分も含めて新しい区分の中で契約を考えておるというようなお考えであるようでございますので、その中においていろいろな形態が、実際問題は出てくるのではないかというふうに考えております。
○高橋(千)委員 処遇が改善されるように期待をしたいとか言っていただければと思いますが、全然そうではないですよね。
雇いどめの心配がないというところはそうですけれども、結果として、同視すべき労働者として、賃金だけではなく全体が均等待遇になればいいということを今目指してやってきたのに、有期契約の方で、無期転換はしたけれども、肝心の待遇の方は全然ついてこないというんだったら、何かちょっと違うなということなんですよ。最初に期待をしていた均等待遇に近づけるという点で、単に無期転換というだけではやはり違いますよねということで、そこを確認したかったんです。
○田村国務大臣 これは、パートタイム労働者に限らず、無期転換というのは、特段の定めがなかった場合には従前の内容という話でございますから、ここは事立ててパートタイム労働者だからそうなんだという話ではないと思います。
いずれにいたしましても、今般の改正の中で、先ほど来、不利益取り扱いはだめだという部分もあるわけでございますので、そうであれば、そこは均等でありますから、均等の中において、無期転換になればほぼ、ほぼというか、形上同じという形になるんだと思いますけれども、そうでない限りは、従前の内容と同じ契約という話になるわけであります。
○高橋(千)委員 そうなんですよ、つまり、均等待遇がやはり働いてこそと思うんですよ。
つまり、この間の裁判例だって、逆に、実際の働き方は、労働時間は大して、十分ぐらいしか違わない労働者を正社員ということで見ましたよとか、そういうだけの話になっていたりして、実態は全然変わっていないということも現実にはあるわけですから、そこは近づけていきたいと思うんですね。
その上で考えると、やはり、均等待遇原則というのは非常にハードルが高い。人材活用の仕組みというのが残ったわけですね。これは、もともと比較する労働者がいないとか、配置転換とかそういうのが困難でしょう、それを要件とするからなかなか対等にならないんですよねということが議論されてきたわけですけれども、それについて、やはりもう思い切って取った方がいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○石井政府参考人 現在の我が国の雇用システムにおきましては、ある程度長期的な雇用、人材活用を想定して労働者の待遇が決定されていることが多いわけでして、職務の内容のみを基準として待遇を決定すべきことを社会的な規範にしていくのは、実態から見て困難と考えております。
○高橋(千)委員 いっぱい質問が本当はあって、年金もあったんですけれども、時間がなくなってしまって、ここだけはどうしても言っておかないといけないので、ここで終わりたいと思うんですが、大臣は、きょうの答弁もそうですし、今の局長の答弁もそうですし、これまでも何度も言ってきたんですよね。やはり、職務給と職能給の違いがあるから、ヨーロッパと違って、要するに均等待遇の物差しが違うんだということをおっしゃっていた。でも、それは、何年も同じことを言い続けるんですかということをまず言わなければならない。
二点言いたいと思うんですが、雇用に対する考え方がそもそも違うわけですよね。やはりヨーロッパは、短時間労働者もフルタイム労働者の基本賃金を下回ってはならない、それが原則ですよ。そして、フルタイムか短時間かは本人が決める、自由な選択だ、そういう立場に立っている。日本は全然違うでしょう。いろいろな条件をクリアして初めて均等待遇になっていく。そこが全く違うということを言わなければならない。
この七年の間でも、いろいろな議論を積み重ねてきました。ヨーロッパの中だって、自動車会社とかさまざまな有名な会社が、経験とか資格などを考慮して基本給にプラスアルファしていく、そういうことをやっているじゃないか。そこをちゃんと参考にすれば、均等待遇という考え方も、職務給と職能給だと言っていないで、広く拾えるんじゃないか。つまり、賃金は一緒なんだ、そこから、あとは必要なものはプラスしていけばいい、そういうことが議論をされてきたわけですね。同じ仕事なら同じ待遇という基本があって、あとはプラスアルファすればいい、こういうことを指摘したいと思います。
その基本的な考え方をやはり変えていくべきだ。ILOの条約をまだ批准もしていないところで、いつまでも同じ答弁をしないで、この間の議論の中で発展をしてきているわけですから、しっかりと受けとめていただきたいと思います。
残りは、また次の機会にしたいと思います。終わります。