旧優生保護法補償金支給法案への討論 日本共産党衆議院議員 高橋千鶴子 2024年10月7日 衆議院地域こどもデジタル特別委員会
ー議事録ー
○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、旧優生保護法補償金支給法案について発言をします。
七月三日、最高裁大法廷は、旧優生保護法は憲法違反との歴史的な判決を下しました。判決では、特定の障害等を有する者が不良であり、そのような者の出生を防止する必要があるという立法目的は、当時の社会状況をいかに勘案したとしても正当とは言えないとして、憲法十三条、個人の尊厳と人格の尊重の精神に著しく反すると断じました。争点となった除斥期間については、優生手術が憲法違反なのだから、除斥期間をもって国の損害賠償責任を免れることは、著しく正義、公平の理念に反し、到底容認することはできないと断じたのです。
最高裁は、政府と国会の責任を厳しく指摘しました。我が日本共産党も、一九四八年の立法時や改正時も賛成し、そしてその後、廃止までの間も異議を唱えなかったことは重大な誤りです。改めて心から謝罪するとともに、本法案成立を見る前にお亡くなりになった原告六名を始めとする被害者の皆様に深い哀悼の意を表します。
子供を持ちたいという当たり前の希望がかなえられず、人生を狂わされたと訴える原告、中絶手術をした際、不妊手術までもされていたことを知らされず、子供はまた授かると信じていた女性、口の利ける人に従えとずっと差別されて生きてきた中、説明もないまま不妊若しくは中絶手術をされた聾唖の被害者など、優生思想がもたらす被害の大きさは計り知れません。
ハンセン病元患者に対しては、政府の誤った隔離政策の下、法律に基づかない不妊手術等が行われていました。そもそも遺伝病ではないにもかかわらず、旧優生保護法の対象とされました。治る病気となり、らい予防法が廃止されてもなお故郷に帰れず、家族とのきずなを取り戻すことはできなかったのです。
あるハンセン病療養所で中絶手術を受けた入所者は、同意書に丸をつけることを迫られ、ハンセン病患者でも子供を産める時代が来るかもしれないと思って不妊手術は拒否したそうです。同意といってもそれは事実上強制であり、中絶も優生思想の下で実施されたという点では同じなのです。
本法案に中絶が盛り込まれたことは歓迎しますが、補償ではなく二百万円の一時金にとどまっており、今後、ハンセン病療養所を含め、中絶手術の調査に取り組むべきと思います。
旧優生保護法が成立してから本法案まで七十六年間を要しており、一刻も早く、一人でも多くの被害者に補償金、一時金を届けなければなりません。政府は、周知広報をあらゆるツールを通して行うこと、自治体や関係施設などへの財政支援を行うことを強く求めます。また、第三者機関による徹底した検証と、今も残る優生思想の根絶へ力を尽くすことです。そのために日本共産党も全力で取り組む決意を述べ、発言とします。