地震・津波対策 学校震災 教訓生かして
日本共産党の高橋ちづ子議員は、12日の衆院災害対策特別委員会で、東日本大震災の津波被害で461人の児童・生徒が犠牲になったことを教訓に、子どもたちの命を守るための対策について質問しました。
高橋氏は、宮城県教職員組合や大学講師らのチームが、県内の小中学校で犠牲になった261人の死因を情報公開によって分析した調査結果を紹介し、「一律には言えない状況があった。しっかり調査、分析して今後の対策に生かすべき」と述べました。
また、避難所となった学校に生徒数の2倍の住民が避難し、教職員が昼夜を分かたず献身的に対応し、現在も過度のストレスを抱えている状況をあげ、「文科省の報告書でも、『学校が教育活動の場であることに配慮し、避難所としての機能は応急的なものである』と明記している」と指摘。避難所としての機能面ではなく、人に着目した対策の必要性を強調しました。
西川京子文部科学副大臣は「学校の避難所としての機能と教育の場としての機能は区別すべき」と述べるとともに、「災害対応を行った場合には、(教職員に)特別な手当を支給している」と答弁しました。
(しんぶん赤旗 2014年3月16日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
私も、五日の山梨への委員派遣に参加をさせていただきました。今回の関東甲信を中心とした大雪は、観測史上初など、雪の降らない地域での降雪でもあり、特例的な対応が求められていたと思いますし、各委員会でもかなりの委員の皆さんが発言をされて、先ほどの質疑にもあった農業施設への支援など、政府としてもさまざまな上乗せ施策をされてきたというふうには承知をしております。
ですから、一問目は確認的に伺いますけれども、道路の除雪費用についてであります。
五日の日に、県庁からは積雪寒冷地並みの除雪費用の支援が要請をされました。通常のスキームではこれは予算がつかないことになるわけですけれども、臨時特例措置、どのように考えているのか伺いたいと思います。
○徳山政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま先生から御指摘のございましたとおり、社会資本整備総合交付金で除雪費用を支弁しておりますけれども、これはいわゆる雪寒法に基づいております。したがいまして、この法律により指定された路線に限定をしておりまして、山梨県等につきましては補助対象外となっておるわけでございます。
ただ、雪の降り方は毎年違いますものですから、全国的な豪雪の年で、地方財政措置だけでは間に合わないような場合には、国土交通省において、幹線市町村道の除雪費について、積雪地域であるかどうかにかかわらず臨時特例措置を講じてまいりました。特にこの三年間は豪雪年でございまして、この措置を講じております。
今年度におきましては、この三月五日に、措置の検討に必要な降雪状況や除雪費の執行状況等を把握する調査を開始したところでございます。特に今回の調査は、市町村道のみならず、都道府県管理の道路も対象に調査をしております。
今後、調査結果を踏まえて、臨時特例措置を検討したいと考えております。
○高橋(千)委員 今補足していただいたように、県道についても調査を行っているということです。これまでの臨時特例措置は、連続して発動はしているんだけれども市町村道に限られていたということで、その点は非常に大事なことかなと思いますので、早期の決断をお願いしたい、このように思っています。
そこで、社会資本整備総合交付金について、除雪費用として追加交付ということがこれまでもあったわけです。昨年、一昨年、大体百一億円追加交付されるというふうな、要するに、大雪で非常に需要が多いですよねということでやってきました。今回の見通しはどのようになっているでしょうか。
○徳山政府参考人 先生御指摘のとおり、積雪地域における道府県の管理道路に対する支援は社会資本整備総合交付金によって行っておりますけれども、特に道府県に対しましては、最初から交付をしてしまうのではなく、去年の例でいいますと、二月五日の時点で、各地域の降雪状況を踏まえて、その百一億円を雪の降り方に合わせて交付する、こういうやり方をしておりました。今年度は、そういう機動的な除雪に対応するための新たな補助をつくらせていただいておりまして、新たに除雪補助九十八億円を創設しております。
そういうことがございますので、今年度は、社会資本整備総合交付金は、年度当初に全てを、過去の積雪のデータに基づきまして既に配分しておりまして、ことしは新たな除雪補助金をもちまして、降雪状況を踏まえながら、今後、道府県に対して配分してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 新たな補助の仕組みを考えたという答弁でありました。
二十五年度の降雪状況を見ますと、やはり雪寒地域ということの比較ですので、過去五年間を見ると、現時点では下回っている。過去五年間で見ても、かなり積雪深が深かったということとの関係では、まだ現時点では下回っているということでなかなか難しいのかなというふうに思っていたんですけれども、でも、そのことを踏まえて対応していただけるのかなと今受けとめました。
それで、私はこの間もこの問題を何度も質問しているわけですけれども、この算定根拠について、社会資本整備総合交付金の除雪費補助については雪寒法の指定路線でなければならないということで、これでは市町村が実際に除雪を行っている道路と指定されている道路との割合が乖離しているんだということで、見直しをすべきだということは繰り返し指摘をしてきたところなんですが、どのようになったでしょうか。
○徳山政府参考人 お答えを申し上げます。
いわゆる雪寒法に基づく雪寒指定道路でございますけれども、私ども、雪寒法の施行令で定めた基準によりまして指定をしてまいりました。
特に雪の方について言いますと、二月の積雪の深さの最大値の五年以上の平均、要するに過去五年以上を見て、二月に最大どのぐらい雪があるかというものをおはかりいただいて、それが五十センチ以上あるところ、要するに恒常的に積雪が厳しい地域を対象といたしまして、路線をその中から選定したわけでございます。
昨年十一月に見直しをするに当たりましては、前回の見直し以来二十一年間の状況、市町村の合併とか、あるいは日常生活圏が拡大してきております、そういう実情を反映いたしまして、二十一年ぶりに、国や自治体の管理する道路約十四万九千キロメートル、これは見直し前の一・三倍でございますけれども、これを指定したわけでございます。
さらに、先ほど申し上げましたが、こういう恒常的に降るところ以外につきましては、全国的な異常豪雪に対して臨時特例措置をもって対応する、こういう考え方でやっていこうとしております。
○高橋(千)委員 今お話の中にあるのかなと思ったんですが、市町村道が一・六五倍ということで、一番延びたのかなと思っております。それは、今説明の中にあった、雪の深さと寒さ、それプラス交通事情ということがあったと思うんですね。そこで、県道に比べると市町村道がやはり適用割合が少なかったということが事情としてあったのかと思うんですね。
それで二十一年ぶりの見直しをしてこうなったということは、それ自体は非常に感謝をしているんです。例えば青森市でいいますと一・八倍になったんですね。それでも、除雪延長千三百五十九キロに対して三百四十二キロです、指定されたのは。ちょうど四分の一であります。ですから、生活道路という点ではまだ評価がされていないということでは、これはきょうは要望にとどめたいと思いますので、引き続き見ていただければありがたいなと思います。
きょうは提案で一つ指摘をしたいと思うんですけれども、雪寒道路の指定ではない地域の交付金の活用ということを今後考えられないかということであります。
除雪費用については、今言ったように、臨時特例措置を設けて、実際は解けてしまってからですけれども、とにかくお金は出るということなんですよね。だけれども、やはり雪国がやっている備えというのはもっといろいろあるわけですね。除雪機械を、もともと小型のものを集落に備えておくですとか、融雪溝、流雪溝ですとか、あるいは個人のお宅の融雪機、屋根の融雪などに若干の補助をするですとか、暴風雪柵、一回きりではなく使える、そういう備えというものがあるわけです。
ですから、これは道路の除雪という観点ではなくて、防災町づくりとか何らかのプランをすることによって交付金の対象、そういうふうなことも今後考えたらいかがかと思うんですが、いかがでしょうか。
○中原大臣政務官 道路局長が答弁しましたように、積雪寒冷地域におきましては、雪寒法により道路を指定し、その道路における除雪費用に対して補助を行っており、指定路線に対しまして小型除雪機、融雪機、防風雪柵等の整備の補助が可能となっております。
今回、関東地方に記録的な大雪が降りましたけれども、恒常的には降雪が少ない地域におきましては、一般に除雪車や防雪柵を整備いたしましても、必ずしも毎年有効に活用できるとは限らないというところでございますので、大雪のときは、今回もそうでございましたけれども、国や他県からの除雪支援、応援や、通常の建設機械等の活用によって対応していただきたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 これだと予算委員会でやりとりしたのと同じなんですよね。別に山梨のようなふだん雪が降らない県が全部ロータリー車を備えろなんて、そういう質問をしているんじゃないんです。最初に言ったように小型の除雪機とかそういう、地域によってふさわしいものというのはあるだろう、雪国の備えをもっと活用したらいいんじゃないかということを言っているんです。
例えば、水の量が豊富なところ、しかも道路が狭隘で、いざ降ったらあっという間に麻痺するよというところに流雪溝をやったらどうかとか、それはもちろん、私が国からこうしろと言っているのではなくて、そういう提案があったら、ぜひ前向きに考えてもいいんじゃないかと。それは、町づくりという視点での交付金だってあるわけですよね。そういう発想に変えたらいいんじゃないかということを提案しているんです。もう一言、もしあれば。
○中原大臣政務官 先生の御提案でございますけれども、積雪寒冷地域とその他の地域によってかなり気象条件も違いますし、先生御提案の機械等につきまして、維持管理費用等にかなりの費用がかかるということもございますので、今後、費用対効果も含めまして慎重に検討してまいりたいと思います。
以上です。
○高橋(千)委員 ここはぜひ提案として持ち帰っていただきたいと思います。だって、実際に、それぞれの家庭がちり取り一つしか、除雪の道具さえないというのが実態なわけでしょう。そこにいきなり大型のブルドーザーを買えとか言っている議論じゃないんですよ、聞いていただければわかるように。雪国の備えを、少しは知恵を出し合って、まるで同じことをやれと言っているのではないのだということで提案をしたいと思います。
次の課題に進みたいと思います。
昨日は、三・一一東日本大震災から三年目の追悼式典が各地で開かれました。大臣も東京でされていて、見ましたけれども。私、仙台の式典に参加をしましたけれども、改めて、家族を失った皆さんが、あのときこうすればよかったと何度も悔やむ、そういう言葉に本当に胸が締めつけられる思いがいたします。
もう三年といっても、被災者にはとても長い時間でもあります。また、三年たった今だからこそしっかりやるべき課題があるという立場から、きょうは学校に焦点を当てて伺いたいと思います。
まず、文部科学省に伺いたいと思うんですけれども、東日本大震災における被災三県の小中高校生の死亡者数がどのようになっているのか、また、その死亡に至る状況がどのようなものだったのか調査分析をしているのか、お答えをお願いいたします。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの被災三県における公立の小中高等学校の児童生徒の死亡者数でございますが、合計四百六十一名となっております。
また、どのような経緯で死亡したのかという点につきましては、被災三県の教育委員会の方から聞き取り調査をしておりまして、例えば、学校において児童を避難させている最中に津波の被害に遭ったと思われるもの、あるいは在宅中に津波の被害に遭ったと思われるもの、また下校の際の路線バスに乗車し、そこから下車した直後に津波の被害に遭ったと思われるもの、これらを初めとしてさまざまな状況について把握をしているところでございます。
○高橋(千)委員 今、教育委員会から聞き取りをして把握をしているという答弁でありました。きのうの夜はそういうものがないという答弁でしたので、急遽聞いていただいたのかなと思うんですけれども、これはしっかりとまとめていただきたいと思うんですね。
一律にしないということが大事なんですよ。一律ではない。単に帰したら、大川小学校のように、帰した子供だけが助かった場合もありますし、その逆もありますし、絶対一律にしていただきたくなくてこういう質問をいたしたんです。
文部科学省がまとめている被害状況、これは資料の一枚目につけているんですけれども、国立学校、公立学校、独立行政法人まで全部入って、しかも、下の方に内訳が書いてあるんですけれども、教職員も入っているんですね。そういうので合計すると、六百五十九名というのが出ております。その中で、さっき、あえて小中学校、高校生まで絞ってお聞きして、四百六十一名ということを確認させていただきました。
その上で、二枚目を見ていただきたいと思うんですけれども、宮城県の小中学校、公立の小中学校の生徒は二百六十一名亡くなっております。宮城教育大学の千葉保夫非常勤講師、みやぎ教育文化研究センター、宮城県教組が共同で調査をしたものです。
さっきちょっと紹介があった教育委員会の報告書というのがあります。これはかなりの部分が黒塗りなんですけれども、県教委とか地教委とかあるいはスポーツ振興センター、その書類を全部情報公開を行って、その黒塗りの報告書を丹念に読み込んで分類をしてこの資料に落とし込んでいったものです。
今お話しした大川小学校だけは、ちょっと数字が大きいので分けて書いてある。これも大事で、これは提訴に踏み切っていますので、公正な判決を望む立場から、きょうそのことは触れません。
この資料の中身について、九日に仙台で集いがあって、先生たちの報告を聞いてきました。本当にさまざまな状況が浮かんできたわけです。
例えば、子供一人と一家八人、つまり、両親のほかに、おばあちゃんとかおばさんとか、車三台に分乗して全員が犠牲になった。あるいは、学校はもう帰した、下校しましたよと言い、家庭は帰っていないと言う。つまり、下校途中に津波にさらわれたと思うんだけれども、いまだに見つかっていない子供もいます。
あるいは、引き渡した後に、保護者と浸水区域である自分のうちに戻って被災をしてしまった。あるいは、せっかく高台に避難をしたのに、お母さんを捜しに自宅に戻った、あるいは忘れ物をして戻ったという子供も犠牲になりました。近所の介護施設のお年寄りを避難させているのを、すぐ近所なのでお手伝いをしてあげた、それで亡くなった子供もいます。あるいは、保護者が迎えに来たんだけれども、保護者が目が見えないのでボランティアさんを付き添いに連れてきている、それでボランティアともども三人流されてしまった。本当に悔しい事例ばかりなんですね。このことをやはりちゃんと見ていく必要があります。
例えば、南房総市教育委員会では、引き渡し三原則というのを設けているんだそうですね。帰宅路が安全なのかどうか。自宅及び周辺が安全なのかどうか。海に向かっていくなんてとんでもないという話になるわけですね。そして今言ったように、保護者がちゃんと子供を保護できるのか。そういう三原則、シンプルなものを決めて、どうするかということをやるというふうなことがあるそうです。
こういうことも、大いにこの事例を深めていって、二度とこういう犠牲を生み出さないためにも、今後の対策に生かすことが求められると思いますけれども、お考えを伺いたいと思います。
○西川副大臣 高橋先生、本当にお久しぶりでございます。
きのう、東北大震災の三周年の追悼式、先生も出られたと思います。被災者の三名の方々のそれぞれの家族への思い、やはり、みんな涙なくしては聞いていられなかった状況があったと思います。まして、小さな小中学生、子供たちを亡くした親の気持ちというのは、本当に私たちの想像を超えるものだろうと思います。
そういう中で、今回の震災で、確かにその線引きというんでしょうか、子供を親御さんに引き渡した方がいいのか、学校で保護した方がいいのか、そういうことというのは本当にそのときの瞬間の判断だったんだろうとは思いますけれども、やはり今回の教訓を踏まえまして、しっかりとそれを、マニュアルというんでしょうか、きちんとした決め事をしていかなければいけない、そういう反省に立って文科省も対応させていただいております。
学校保健安全法においては、文部科学省として、各学校の参考となるように、平成二十四年三月に、学校防災マニュアル(地震・津波災害)作成の手引き、この冊子を作成いたしまして、全国の学校に配付済みでございます。
そういう中で、それぞれ地域の緊急地震速報を活用した訓練とか、学校防災アドバイザーの活用とか、あるいはボランティアの皆さんの推進、支援とか、いろいろなことがあるんですが、その中で特に、親にいつ、どういう形で引き渡したらいいのかという、保護者との間で手順やルールを決めてくださいということを要請しております。その中で、調査によりますと、この手順をきちんと決めている学校が全国では七〇%、そして小学校においては、今、八三%が手順を決めております。
そして、限られた時間で津波への対応が迫られた場合、児童生徒を引き渡す、あるいは引き渡さないで保護者とともに学校にとどまらせるとか、保護者の家庭が帰宅困難な状況のときには子供を家庭に帰さないで学校で保護するとか、そういうさまざまなマニュアルを決めていただくような冊子をつくっております。
平成二十五年三月には、全国の学校に学校防災参考資料というのを配付いたしました。学校の先生に研修のときに使用していただくようなテキストを配付させていただいておりまして、家庭や地域との連携を密にした地震後の引き渡しの訓練その他、しっかりと対応してまいりたいと思っております。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
さまざまなマニュアルや手順を決めるということに今取り組んでいるということだったと思うんですね。ただ、取り組みの途上で予想をはるかに超える大きな被害だったということでは、本当に反省すべきこと、教訓とすべきことがまだまだあったのではないかと思っています。
大臣にも、今のやりとりを聞いていただいて、感想を含めて答弁をぜひお願いしたいと思います。時間の関係で次の質問とあわせてお願いしたいんです。
昨年の六月二十一日に公布された改正災害対策基本法では、緊急時の避難場所と避難所を区別して、あらかじめ市町村長が指定するということを決めました。
学校現場では、今議論していますが、引き渡しというのは非常に悩ましい問題なんです。親は迎えに来ます。そして、帰さないと決めたといっても、なぜうちの子供を帰さないんだとけんかになる場合もあるわけですよね。そのことで先生方だって非常にためらう。だけれども、あっという間に地域住民は、避難所を目がけて、避難所として学校に集まってくるわけなんですね。そうすると、もうてんやわんや、大変な混乱の中で決断が迫られる。
こういう意味で、避難所を指定するということを考えたときに、学校はどうあるべきと考えていらっしゃいますか。
○古屋国務大臣 二点御質問いただきました。
今、西川副大臣の方から学校の対応についてはるる具体的な御説明がありましたけれども、やはり、児童生徒に被害が生じないように、平時からの備えが大切ですね。その大前提は、まず、正しく逃げること、これだと思います。具体的には、今、各市町村から配布されているハザードマップなどをもとに、平時から学校周辺における津波浸水区域の状況や避難場所の位置を確認した上で、津波避難計画を策定して、各地域におきまして、学校であるとか住民等による避難訓練を実施することが極めて大切ですね。
もう一点は、実際に今各市町村が地域防災計画で定められている避難場所の多くは、基本的に震災を念頭に、被災者が一定期間避難する、生活をする場所として定められておりますので、津波とか洪水であるような、そういった災害の危険が及ぶことが想定されている地域に立地をしていることもございまして、緊急避難場所としてはふさわしくないものも存在していることは事実です。
そこで、昨年、災害対策基本法を改正しまして、災害の危険が切迫した場合、住民の安全な避難先を二点の視点で、まず一点は安全な避難先を確保する観点から指定緊急避難場所、もう一つは災害の発生後に被災者が一定期間避難生活を送る場所としての指定避難所、これをそれぞれ実施して、四月から施行されるというふうになっております。
学校における防災対策を検討する際には、ハザードマップを参考に、まず立地条件をしっかり確認していただいて、指定緊急避難場所を確認して、津波等の災害に対しどのような避難行動をするのかを事前にしっかりと検討していく必要があると思います。また、そういった検討を踏まえて、地域住民と一体となって実践的な訓練、いわゆる防災訓練を実施する必要があろうというふうに思います。
いずれにしても、学校が指定緊急避難場所になる場合には、的確な避難誘導等が行えるよう、先ほど申し上げましたように、ふだんから発災時を想定した備え、訓練を行うことが極めて重要だというふうに認識しております。
○高橋(千)委員 今、立地条件のことをおっしゃったと思うんですけれども、立地条件のことは後でお話ししますけれども、そもそも、単なる箱ではなく、学校というのはやはり教育の場である、そこに着目してどうなのかということ、実は私の質問の趣旨はそういうことだったんですね。
改正災害対策基本法の概要の中には、学校などの一定期間滞在するための施設と区別してという表現があります。つまり、学校にいつまでもいてもいいのかということがまず問われるわけですね。
後で紹介をしますけれども、文部科学省が政府の専門家と一緒につくった、三月七日に出した報告書がございます。三枚目に、後で出てきますけれども、「災害に強い学校施設の在り方について」、この報告書の中で、学校が教育活動の場であることに配慮し、避難所としての機能は応急的なものであること、こういう表現があるんですね。やはりそういう立場に立つのかどうか。つまり、立地条件がよければずっといていいんだよということではないと思うんですけれども、そこら辺の整理ができているんでしょうか、それとも今後なんでしょうか、どうでしょうか。
○西川副大臣 確かに、緊急時に学校が地域の避難所になっていることは事実でございます。その中で、実は、それが長期にわたりますと、学校の、児童の教育自体に差しさわる、そういう問題もたくさん出てくるのは事実でございまして、学校に大きな負担が強いられる。そういう問題に対して文科省としても対応していかなければいけないと思っております。
そして、その中で、数多くの教職員の方々が避難所の運営に当たっていただいて、児童のことも避難所のことにも対応するということで、大変御努力いただいて、大変だったというお話は聞いておりますので、真摯に敬意を表したいと思います。
その中で、大震災などの災害発生時、学校は避難所として使用されますが、その際に、学校教育を行う上で必要最低限の場所を確保すること、被災地以外から派遣された職員が避難所の住民の方には対応するということで、少なくとも、避難所となっている学校の先生たちが学校教育に専念できるような環境を整える必要がある、それに対応するということ。
それから、避難住民の方々の生活を十分に考慮しつつ、やはり学校運営が円滑に行われなければいけないということで、その点、機会を確保していくということになっておりますが、地域防災マニュアルにおいて、実は、初期の段階、それから、もう少し住民が落ちついて生活をする段階と、四段階に分けまして、少なくとも仮設住宅に移動するということを前提として四段階に分けた学校現場のマニュアルを作成して配付しております。
以上でございます。
○高橋(千)委員 今どういうことが起こっているかというと、大臣に答弁を求めたつもりだったんですけれども、ちょっと答弁がなくて、それで西川先生が次の問いに関連する答弁だったのかなと思っています。
それで、ちょっと整理をしますと、今とても大事なことをおっしゃってくださったと思うんですね。資料の三枚目にあるんですけれども、これはさっき紹介した文部科学省がつくった学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議の報告書なんです。避難所となった学校数、これが三月十七日の時点で六百二十二校、七月十一日の時点、四カ月たって九十二校なんですが、これは途中で切れていまして、ゼロになるのは何と十一月十日で、八カ月たっているんですね。八カ月間、学校は、避難所として使われていたところがあったという事実がございます。
それから、下の方を見ていただきたい。これはさっき私が紹介した県教組などが取り組んだ宮城県の資料なんですけれども、宮城県の公立小中学校で避難所になったのは三百五十六校なんです。児童生徒数が九万八千四百八十九人、職員が六千二百二十一人。それに対して、受け入れた避難者数は十八万九千三百十二人。これは単純計算しますと、子供がいたとして、三倍に膨れ上がったことになるわけなんですね。
それだけの人たちが来て、これは詳細な調査があるんですけれども、初日に市の職員とかが来てくれたというのは半分だそうです。二日目、三日目とこうやって、やはり職員は、実際には市の職員のかわりといいますか、防災担当のかわりとして避難所運営に当たらざるを得なかった。学校の運営をしながらも、かつ、連日泊まりをしなければならなかった。そういう大変な状態だったということなんです。
でも、その中で、先生方は本当に使命感に燃えて、地域に貢献するんだということで頑張ってくれた。そういうこともちゃんと評価をしつつ、避難所はどうあるべきかといったときに、備蓄とか、さまざま大事なことはあるんです。だけれども、人の確保をちゃんとしていかないとだめなんだよということで質問をいたしました。いいですか、もう一言あれば。
○西川副大臣 先生の御質問に正確な答えになるか、ちょっとあれですが、非常時災害対応を行った場合に、言うなれば、とにかくその分はきちんと手当でみようということで支給された特別手当というものがございます。教員特殊業務手当、これは支給要件が、非常災害時に児童生徒の保護等に従事、そして、休日八時間程度または平日勤務時間六時間程度従事した場合ということで、普通は六千四百円、管理職にもそれに見合う手当が支給されておりまして、岩手県では三千七百二十万円、宮城県、一億八千五百九十九万円、福島県、二千七百九十四万円と、大変な先生たちに対してせめてものということで、特殊の手当を支給しております。
○高橋(千)委員 やはり、手当も確実に払っていただきたいんですが、体制をきちっととっていただいて、例えば現業職員の法定化がされていないとか、さまざまな問題がございます。そこの体制をしっかりやっていただきたいということをお願いしたいと思うし、もう先生方、今、大きな災害にまた見舞われたときに迅速な判断ができるかと思ったら夜目が覚めちゃう、寝られない、そういうことをおっしゃっていて、五五%の方たちが不調を訴えている、そういう状況であります。そこをしっかり見ていただきたいということは、あとは要望にしたいと思います。
ここは最後の指摘ですけれども、大臣がさっき、少し話の中であったんですけれども、浸水区域の中に学校があるということ、まだまだあるということをおっしゃいました。本当にそうなんですね。
東北福祉大学の数見隆生教授がチームをつくって、東南海地震の浸水区域である七県八百十五校を調査した報告があるんですね。そうすると、海岸から一キロ、海抜五メートルの中に、そのうち半分の学校が入っていたということなんです。当然、浸水区域に入っているわけなんですけれども、ただ、マニュアルに、さっき言ったように津波がありません。だけれども、一方では、学校を指定避難場所にしているのは九割なんです。
だから、住民にしてみれば、とにかく真っ先に学校を目がけていくということになっちゃうわけです。そうすると、さっき言ったように子供をどうしようということと、子供をまず逃がさなきゃいけないのに住民が逃げてくる、そういうことになってしまうわけですから、これは一刻の猶予もできませんよね。
まず、津波のときは指定避難場所じゃないんだ、そこを整理してできるだけの対策をやっていくというふうなことが必要かと思いますが、もし大臣、一言あれば。
○古屋国務大臣 委員御指摘のように、先ほど私も答弁させていただきましたが、一部の地域は、洪水、津波の被害が想定される地域も避難場所として指定されているということです。
だからこそ、今後、こういった地域における津波災害への対応としては、まず速やかに避難をしていただくということが一番大切なんですね。
そのために、避難地とか避難路、避難施設等のハード整備だけではなくて、避難計画の策定、避難訓練をしっかりやること、そういったソフト対策を徹底していく、それからもう一つは防災教育の徹底、こういうものが大切だというふうに思います。
特に学校施設は、そういった意味でも、地域の皆さんとの連動の中でそういった取り組みをしていく必要があると思います。
ただ、長期的には、高台移転するとか、例えば南海トラフ巨大地震のときにそういう高台移転をしていこうという取り組みをしている市町村もありますけれども、それは中長期的な課題で、短期的にはそういうソフトの取り組みを徹底していくことが大切だと思います。
○高橋(千)委員 終わります。
――資料――