国会質問

質問日:2014年 3月 12日 第186国会 厚生労働委員会

雇用保険法一部改正案、つくばエクスプレス労働実態

劣悪労働調査求める / つくばエクスプレストラブル相次ぐ 高橋議員が告発

 日本共産党の高橋ちづ子議員は12日の衆院厚生労働委員会で、首都圏新都市鉄道つくばエクスプレスで相次いでいるトラブル問題を再度取り上げ、その背景に劣悪な働かされ方があるとして、調査を求めました。
 「駅係員などは11日、12日連続勤務」「事務室で倒れていた」。内部告発をもとに高橋氏は、人手不足による長時間労働や休みが取れない労働実態を告発しました。
 田村憲久厚労相は「訴えがあれば立ち入り調査する」と答弁しました。
 高橋氏が、北陸自動車道SAでの夜行バスの事故でも連続勤務が問題視されており、「安全と労働条件は一体だ」として国土交通省と連携した対策を求めたのに対し、田村厚労相は「重要な視点であり、労働条件の改善に取り組みたい」と述べました。
(しんぶん赤旗 2014年3月18日付「首都圏のページ」より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 きょうは、まず、法案に入る前に、若干労働問題で質問をしたいと思います。
 二月二十六日、予算委員会の第八分科会で、私はつくばエクスプレスの問題を質問いたしました。簡単に経緯を話しますと、首都圏新都市鉄道、つくばエクスプレスは、一都三県などを株主として二〇〇五年開業、秋葉原―つくば間五十八・三キロを最速四十五分で結び、一日平均三十二万人の乗客を運んでおります。一三セクというよりは、沿線の宅地開発と一体で整備する特措法を国会で成立させて、それに基づいて今運営をしているわけであります。
 このつくばエクスプレスは、関東運輸局から、八年間連続四回、無事故表彰を受けております。さっきから天下りの話が出ておりますけれども、運輸省から出向した経営企画部長、これは歴任ですけれども、それがまた関東運輸局に戻って自分で自分に表彰しているみたいな、そういう構図になっています。
 鉄道事業法に基づく報告事故はないにせよ、架線トラブルで火花が出たとか、ホーム柵が開かずに乗客がそのまま置き去りにされたとか、さまざま安全にかかわるトラブルが続いております。そして、その背景に労働者の深刻な労働実態があることを告発いたしました。
 このときは、国土交通大臣、太田大臣が大変力強く答弁をしてくださいまして、経営よりも安全であるということをおっしゃっていただきました。
 大臣は、まず、この議論の経緯について承知をしているのか、また、労働局としての調査を求めておりますけれども、どうでしょうか。

○田村国務大臣 委員が第八分科会でこのお話をされたということは、私もその後、そのときは聞けなかったんですけれども、概要は拝見をさせていただきました。
 ここからは一般論でしか申し上げられないので申しわけないんですけれども、それは労働基準法違反があれば、立入調査も含め適切に対応させていただきます。一般論でありますけれども、そういうことであります。

○高橋(千)委員 質問から二週間たったわけですけれども、その間も既に事故が起こっておりまして、守谷駅からみらい平駅間で、これはもうプレス発表もされておりますが、直流電化から交流電化という切りかえができなくて走れなくなっちゃって、それを後部運転台を使用して徐行運転。これはどういうことかというと、車でいうとバックでずっと運転したような格好になるんですね。最大九十分のおくれというトラブルが三月六日にありました。
 ただし、これはそうかと言っていられないわけですね。ワンマンカーでありますし、しかもATO、自動運転装置がついて、これは国内初の装置なわけです。だから、その先頭にいて、ここに座っている人が車両を走っていって後ろに行ったというのではなくて、たまたまこれは回送車であったということと、たまたま近くに点検のために入っていた管理職がいまして、運転をやってくれて徐行運転ができたという、本当に言って、偶然が重なって何事もなかった、そういうふうな事故がございました。
 また、その後、別な方の告発もありまして、いわゆる追い出し部屋があるんだ、そこに入っているんだ、もちろんそういう呼び方はしませんけれども、というような告発もあっています。今月も二名も退職予定者が出て、四月まではとてももたない、ぜひ早く調査をしてほしいという声が上がっているわけであります。
 それで、そのことを求めるんですが、まず一般論で質問をしますけれども、二十六日の質問の際に、ちょっとそごがあってはっきりしなかった部分なんですけれども、例えば、労基法は、一週間四十時間、一日八時間の労働時間を上限として、また、それを上回る時間については労使協議によって、三六協定で残業を認めている形になります。
 つくばでは、六回を限度として一月七十時間、一年四百五十時間という協定があります、これ自体もかなり大きいわけですけれども。しかし、運転ではない業務、一般の駅員さんとかそういう業務のことをいうんですけれども、交代制で泊まり勤務がある場合、では、どういう形でその労働時間を持っていくのかということなんです。
 休日をどう考えるか。泊まり明け、例えば朝の八時とかに終わって、その日は、だから、戻って半日くらい消化しちゃうわけですよね。それを公休日に数えちゃったら、休みじゃないですよねというふうな、そういうことが整理されているはずなんですけれども、具体的に伺いたいと思います。

○中野政府参考人 お答え申し上げます。
 一般論で申し上げますが、労働基準法第三十五条の休日につきましては、単に継続二十四時間で足りるわけではなく、原則といたしまして、一暦日、すなわち午前零時から午後十二時までの間の就労義務を免除しないとこれを与えたことにはならないとの解釈をとっております。
 例えば、御指摘がありましたように、午前八時から翌日の午前八時までの労働と、同じく午前八時から翌日の午前八時までの非番とを繰り返す一昼夜交代勤務の場合にも、非番の継続二十四時間は休日と認められず、非番のほかにさらに休日を与えなければ、休日を与えたことにはならないということでございます。これは、非番日については、二十四時間であったとしても、これを休日と認めたのでは、労働者の休息確保に欠けるところがあるためであるということでございます。

○高橋(千)委員 今の解釈について、法的な位置づけというんでしょうか、どの程度の力を持っていますか。

○中野政府参考人 法的な位置づけという意味合いが、必ずしも私理解がよくできないわけでございますが、少なくとも、現場で、労働基準監督署において、この労働基準法を施行している我々の解釈としては、先ほど申し上げましたような解釈をとっているということでございます。

○高橋(千)委員 この問題は、この会社にかかわらず、医療や介護の現場などでも本当に徹底されなければならないという問題意識を持っているんですね。
 ただ、本当に今起こっている事態は、まさに今せっかくおっしゃっていただいた、終日休まなきゃだめなんですよ、泊まり明けで、その日一日休んだから次の日またというのではだめだということをおっしゃっている。だけれども、現実にそういうことが起こっているわけですね。
 泊まり明けだけれども、夕方からまたぶっ通しで働いているとか、そういうことがずっとあったり、せっかく、だからこそ公休日が二つ続けてあるのにかかわらず、その公休日が全部一日ずつとられてしまって、潰れて、なぜかというと、人が足りないからなんですけれども。人が足りないから、次々と人がやめてしまうということもあって、穴埋めのためにそうなっている。結果としては、十一日間、十二日間連続勤務という実態がございます。
 駅員さんはどういう仕事をしているんだろうと思うかもしれないけれども、事務室で倒れていたとか、券売機の陰で崩れて寝ている、そんな実態があるわけなんです。まさに徹底して合理化を図り、やめた人、休んでいる人の後補充をしないまま、こうやって休みを食い潰して、あるいは特別休暇という形で事後に休みを振り分ける、こういうことがまかり通っているからなんですね。
 精神疾患で休職中の人も頭数に入っているんです。本来はだめなんですよ。でも、頭数に入っているので、勤務の実態がないにもかかわらず、一応その体裁を整えるためだけに、自分が働いてもいない職場に給料明細をとりに行っている、こういう方もいらっしゃるんですね。だから、もう待ったなしだという訴えがあります。
 緊急に調査が必要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○田村国務大臣 委員がおっしゃられますとおり、長時間労働による健康被害は防いでいかなきゃならぬわけであります。
 そういう意味からいたしますと、これまた一般論で申しわけないわけでありますけれども、やはり時間外労働、違法な部分に関しましては、また一方で、過重労働等による健康被害等々があるのであるならば、こういう訴えがあれば、適切に、我々は、立ち入り、そして調査をして、その上で対応していかなきゃならぬということであります。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 厚労省には資料も届けてありますので、ぜひ踏み込んで調査をしていただきたい、このように思います。
 今月三日の北陸自動車道サービスエリアでの夜行バスの事故について、その後いろいろ調査が出ていて、人手不足であるとか、やはり十一日間連続勤務があった、そういうことが指摘をされているわけですね。つくばエクスプレスの労働者たちは、あすは我が身、このようにみんな言っている。そう思っている人たちがほかにもたくさんいるのではないか。改めて連続勤務のあり方が問われると思います。
 国土交通省は六日、厚労省は七日に局長通知を出しております。
 私は、あえてこれを何で言いたいかというと、やはり、安全と労働条件というのは一体なんじゃないかという考え方。
 そのつくばの質問をしたときに、まだこの事故が起こる前なんですよね。それで、夜行バスだとか夜間の列車だとか、そういう連続運転する人たちの安全を確保するためには、やはり労働条件をしっかり整えないと、今言ったような休息時間とか総労働時間とか、ちゃんとやらなきゃだめだよね、その決まりはどこにあるんですかと言うと、国交省は、それは厚労省が決めていますと言うわけなんですよ。でも、運転管理のためには、事故を防ぐためには何か言っているでしょうと言ったら、お酒を飲まないこととか、当たり前のことなんだけれども、そんな議論しかなかったわけなんです。
 そんなはずはないでしょうということで、今回出された国交省の通知を見ると、平成十三年に基準を出しています。事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準、これを遵守して、過労の防止を十分考慮してくれ、こう言っている。だけれども、そのもとは何かというと、厚労省の基準なんですね。これを参考にしているということなんですよ。
 だから、譲り合わないで、縦割りで間にすき間があったら困るわけなんです。だから、労働条件と安全というのは一体なんだという立場で、重なり合うくらいの連携をとっていただいて改善を図っていただきたいと思いますが、大臣に。これは一般論でいいです。

○田村国務大臣 バスなどの公共交通機関は、一旦事故が起きると、乗客の方々を巻き込むわけでありまして、大惨事になるわけであります。また、その事故の中において、長時間労働等々、過重な労働が一つの大きな要因になっているということも認識をいたしております。
 その上で、国土交通省と連携をしろというお話でございましたが、労働基準監督機関と地方運輸機関が合同監督、監査を実施する等によりまして、労働条件の改善を、今までも努めてきたところでありますけれども、委員からもこのような御指摘をいただいておりますので、国土交通省と、現在、ほかにどのような方法があるか、協議を行っているところであります。
 いずれにいたしましても、これは大変重要な視点でございますので、我々も、これから労働条件の改善に向けて取り組んでまいりたい、このように思っております。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 この問題は、事故が三倍にもなっているとか、いろいろな報道もございますし、引き続いて、また、まとまって議論の機会があればいいなと思っております。
 次に、雇用保険の法案について質問したいと思います。
 今回の法案の大きな目玉が、育児休業の給付率を六カ月内は六七%に引き上げるというものであります。
 私が二〇〇九年の六月に本委員会で質問をしているんですね。現行が五割であった。そうすると、幾ら男性にもっととっていただきたいと言っても、そのときの数字でいいますと、三割の男性が育児休業をとりたいと思った、だけれども、実績は一・五六%にすぎない。今、一・八九%、若干上がっているんですけれども。その理由には、やはり男女の賃金格差というのが大きいですよね。そういう中で、一家の働き手が休業をとって五割しか保障されないのでは、とてもじゃないが家計が成り立たない、だから、これを引き上げるべきだという質問をいたしました。
 そのときは、実は修正案も出させていただきまして、否決をされましたけれども、せめて六割ということを案として提案しました。しかも、そのときの趣旨説明で改めて言ったんですけれども、「今回政府案に盛り込まれたパパ・ママ育休プラスは、ドイツの制度を参考にしたと聞いていますが、そのドイツでは休業給付は六七%です。」ですから、形だけまねたんですね。でも、給付率はまねていなかった。だから、そこに追いつかないのかということを指摘して、今回、六七%ということでよかったかなと思うわけですけれども、それは評価します。
 ただし、そのときに答弁したのは、やはり雇用保険の失業給付よりも高くなるというのはいかがなものかということが答弁だったと思っております。その点をどのような形で乗り越えたのか、どのように整理されたのか、伺います。

○岡崎政府参考人 当時の考え方につきましては、基本手当につきまして、日額の、収入によりますが、五〇%から八〇%、育児休業手当は、雇用保険の制度の中でやっておりますが、五〇%を上限とすべきだろう、こういう考え方で恐らく答弁したというふうに思います。
 今回は、少子化が進む中で雇用保険制度の中で最大限何ができるか、大臣からの指示もありまして検討し、労使の意見交換もいたしました。
 そういう中で、今回、最初の六カ月は六七%、後半は五〇%でございます。平均の育児休業の取得期間は十カ月程度でございますので、平均で言うと約六割ということになります。一方、基本手当の方につきましても、収入の高い人、低い人がおりまして、五〇から八〇であります。これを平均しますと六二%ぐらいになります。ぎりぎり雇用保険制度の中で説明がつくかなと。
 ややレトリックでございますが、労使を含めて議論して、こういう御提案にさせていただいた、こういうことでございます。

 ○高橋(千)委員 まさか最後に、ぎりぎりセーフだという、トリックですみたいな話になるとはちょっと思ってもみなかったんですけれども。私は、もともと提案をした方ですので、歓迎をしているという立場でお話をしています。
 ただ、問題は、結局、失業給付との比較でどうのという議論をしたときに、雇用保険の中心は失業給付であるということをおっしゃった。やはりそこが大事なわけですよね。今回もいろいろな制度がまたできた、拡充されたわけですけれども、本体部分になぜさわらないのかということなんですよ。
 ですから、昨年十二月に出された雇用保険部会の報告書においても、「中長期的なキャリア形成支援措置や育児休業給付等の給付に優先して、基本手当の改善を行うべきである」という声もありました。正面から基本手当の改善に向かうべきだと思いますが、大臣に伺います。

○田村国務大臣 失業給付の給付水準についてでありますけれども、労政審の中の雇用保険部会において議論をいただきました。労働者側からは、今委員おっしゃられたとおり、まず優先するべきはこの給付の改善であるであろうというような御意見をいただきましたが、一方、使用者側からは、失業中の生活の安定、それとやはり早期の再就職、これのバランスをとって考えるべきではないかということでございまして、ここはやはり労使でいろいろな御意見があったわけであります。
 いずれにいたしましても、引き続きこのあり方に関しては検討すべきであるということでございますので、我々といたしましても、これからも議論をさせていただきたい、このように思っております。

○高橋(千)委員 今、最後におっしゃったように、今後のあり方について検討すべきということが報告書の結論でありますので、ゼロ回答ではないということだったと思うんですね。きょう全部は議論できないと思うんですが、さまざまな制度を検討して、会計がどうなのかという議論をいろいろされます。だけれども、やはり、給付そのものがどうなんだろうかという議論をぜひしていきたいと思って、ここは指摘をさせていただきたいと思います。
 それで、〇七年に支給要件が厳格化されて、離職理由によって給付制限、待期の日数があるというのと、給付日数が削られている、そういうことがされました。これも結局は、要するに、失業給付の会計がどんどん支出がふえて、絞り込もう、そういうふうな議論があったのではないかと思っているんですが、私は、何度もこの特定受給資格者と区別をするべきではないということを質問してきたつもりであります。
 今回の報告書においては、「「自己都合」離職となっている事例については是正すべきとの意見があった。」とされておって、「基準の見直しを行うべきである。」このような書きぶりになっていると思うんですけれども、どのようになったでしょうか。

○田村国務大臣 雇用保険の失業給付でありますけれども、離職理由を確認した上で行っておるわけでありますが、倒産、解雇等々、あらかじめ再就職の準備ができない方々に関しましては、これは手厚い給付日数といたしておるわけでありまして、特定受給資格者制度となっておるわけでありますが、委員おっしゃられたとおり、形式上は自己都合ということでありますけれども、実態は、賃金の不払いや遅配でありますとか、また過重労働でもうやめざるを得ないという方々に関しても、やむを得ず離職された方に含めるということになっておるわけであります。
 加えて、今般の労働政策審議会の御議論の中で、離職前六カ月に賃金の不払い、遅配があった月数が三カ月以上あった場合、さらには、一月に百時間を超える時間外労働があった場合を追加するという御意見がございまして、特定受給資格者に関する基準の見直し、手厚い給付日数となる方の範囲を拡大するというような予定でございます。
 さらに申し上げれば、その後、ハローワークで離職理由の判定を行う際に、実際問題、書かれておる内容と違うということで異論を唱えられる場合には、これは、事業主、双方ですね、意見を聴取させていただき、実態を見きわめさせてもいただいているわけでございます。
 今言われたような、自己都合とは形上なっていますけれども、事実上はもうやめざるを得ない、こういうような状況の方々に対しても、しっかりと対応できなければならぬわけでありまして、このような今般の新たな見直しの中においてしっかり運用してまいりたい、このように考えております。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 法律事項ではないけれども、運用で見直しをするという答弁だったと思います。
 十月八日の雇用保険部会で、労働者側の委員から、「「ブラック企業」と言われて、長時間残業を強いられるような会社や、組織的なパワハラを繰り返しているような企業など、本当に辞めざるを得ない状況で離職される方も、近年は増えている」、こういうふうなことが指摘をされております。
 やはり、これは我々もずっと訴えてきたことでありますし、厚労省としても、昨年、特別な調査をされた。今回は残業時間に着目をして要件緩和をするわけなんですけれども、やはり、当初は、直近の三カ月間となると、その最後のところは休みをとらせて、何でもないよみたいに、そういういろいろな、あの手この手のことが実態はあるというふうな問題意識だったと思います。
 そういうことで、自己都合ということを事実ではなくやられる人はもういないと、問題意識を含めて、もう一回確認をさせていただきたいんです。

○岡崎政府参考人 今大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、特に労働側の方から、今の基準では当たらないけれども、やむを得ざる理由でやめている方がいる、それはしっかり取り組むべきだ、こういうことでございましたので、雇用保険部会の議論を踏まえて適切に対応したい、こういうふうに思っております。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 その上で指摘をされているわけですけれども、実際には、もともとは区別がなかったわけですよね。百十九カ月保険料を払ったけれども、受給は三カ月だ、そういう実態。格差をつけるには余りにも厳し過ぎるじゃないか、そういう意見も出されているわけです。ですから、運用で改善してくれる、これまでになく踏み込んでくれたということではありがたいと思うんですけれども、さらに見直しは実態をよく見てやっていただきたいということは要望したいと思います。
 それで、あともう一点だけ質問しますけれども、再就職手当、これが、早期再就職と定着ということに着目をして、二段階で手当てされるようになるわけです。基本手当の支給終了前の就職率が五割前後という実態もあるわけで、これがどのようになっていくのか。
 ちょっと局長に先に質問したいんですけれども、今、再就職手当を受給されている方、二十四年の数字で三十八万七千四百三十八人、この数字がどのようになっていくのか、あるいは、いわゆる給付の出し入れ、額ですね、どう増減すると思っているのか、もしわかったら教えていただけますか。

○岡崎政府参考人 予算の積算でございますが、早期再就職促進手当の対象は十三万人というふうに積み込んでおります。それで、それに伴いまして、失業給付の支出が三百四十億程度減少するだろう。一方で、手当を出しますと、これにつきましては対象者が三十四万人ということで、これに伴います支出増は九百億程度、差し引きでは約五百億程度の支出増ということ、給付がふえるという形を予想しております。

○高橋(千)委員 そこで、実際にどのような運用がされていくだろうか。手当が出るから再就職したいよというので、そこで早期に結びつけばいいんですけれども、実態がそぐわないということがあるわけですよね。
 今回は、前の給料と再就職してからの給料の差額の一部を補填するというふうなこともあるわけですけれども、しかし、そういうことによって、紹介を断れないとか、あるいは、極端に条件が下がって、それこそ一家の大黒柱が下手をすれば半分になる場合だってありますよね。それでも、ともかく決めよう、そういうことになりかねないというおそれを抱いていますが、大臣、どのように感じますか。

○田村国務大臣 一旦離職をされて次の職を探しておられるという方々、なかなか、以前の職よりも給料が高いところばかりであれば、これは問題ないわけでありますけれども、経済の状況もあって、そのような甘い状況ばかりでもないわけであります。
 一方で、御本人も、余り間があき過ぎると、そのモチベーションが下がると言われる方々もおられます。それから、あわせて、採る企業側も、なかなか採りづらいという現状もあるんだと思います。
 ただ、一方で、これは御本人の判断でございますので、無理やり、こういう制度があるんだから、給料がこんなに安くなっても、あなた働かなきゃだめだよ、そういうわけではないわけでございます。そこはやはり御本人の御判断を尊重しながら、ただ、一方で、どうしても早く、いい条件はそうはない、給料は下がる、下がるけれども、今もらっている給付と比べて、要するに、ずっと職を探し続ければ満額もらえるのを考えれば、どちらが得かということを考えたときに、この再就職手当というもので、就職して若干給料は下がるけれども、その差額に関しては雇用保険の残額等々でしっかりと対応していただけるということになれば、それならば就職しようかというお気持ちになられる方もおられるということでございます。
 本人の御意思を尊重しながら、メリットがあるといいますかインセンティブのあるといいますか、そういう制度を今回用意させていただいたということでございまして、委員が御心配になっておられるようなことが起こらないように、しっかり我々も対応してまいりたいというふうに思います。

○高橋(千)委員 この問いをしたわけは、次の質問でまた続きをやりたいと思います。
 終わります。

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