建築主事の体制強化を
地方分権一括法案 高橋議員ただす
(写真)質問する高橋千鶴子議員=5月30日、衆院地こデジ特委 |
地方分権一括法改定案が5月30日の衆院地域・こども・デジタル特別委員会で、自民、公明、立民、維新などの賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。
同案は自治体の業務に関連する9法案をまとめて改定するもの。このうち建築基準法の改定は、これまで地方公共団体の建築主事が行ってきた国などの建築物の建築確認検査業務(建築基準の適合審査)を民間の指定確認検査機関も行えるようします。
日本共産党の高橋千鶴子議員は、民間建築物の建築確認業務の一部民間機関への開放(1998年)以降、民間機関による建築確認の割合は93%に増えたと指摘。大手ゼネコンなどがこぞって出資する民間の指定確認検査機関が安さと速さを競い合う中で、2005年の耐震強度偽装事件が発生したのではないかとただしました。
石橋林太郎国土交通政務官は、複層的な審査の義務付けなど「法改正で対応してきた」と答弁。民間開放後も許認可や違反の是正などは行政にしかできないと認めました。
高橋氏は耐震偽装の調査報告書で、建築主事が建築事業者に比べ経験や技術が優位だったが、その後逆転し「審査の形骸化の誘因となった」との指摘があるとして、安全確保に公的責任を果たすため、「建築主事の増員や、能力や経験を積めるようにすべきだ」と強く求めました。
また、母子保健法の改定では、里帰り出産の際、住民票のある自治体と出産先の情報を共有するとしています。高橋氏は、里帰り先で迅速に支援が受けられることは「必要だ」としつつ、国が原則とした母子健康保険手帳の電子化は義務ではないと認めさせた上で、本人同意もなく、個人情報の母子保健データが蓄積されることには「重大な懸念がある」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2024年6月5日付)
ー議事録ー
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
初めに、自見大臣に伺います。
今回で第十四次の一括法案となりました。しかし、地方からの提案というくくりで一括法案という扱いではなく、先ほども岡本委員からも議論があったわけですけれども、重要な改正はやはり一緒にしない。例えば、今回の建築基準法は国交委員会で、母子保健法も、同じこの委員会ではあるんですけれども、こども家庭庁やデジタル庁という形で、所管委員会できちんと審議するべきだと考えますが、大臣の見解を伺います。
○自見国務大臣 お答え申し上げます。
建築基準法の改正も含みます今回の法案は、累次の地方分権一括法と同様に、地方自治体への義務づけ、枠づけの見直し等を通じまして地域の自主性及び自立性を高め、自らの判断と責任において行政を実施する仕組みに改めるという同一の趣旨、目的を有するものであることから、一括法として提案することが適当であると考えてございます。
また、本法案は、提案募集方式という共通の枠組みに基づきまして措置するものでありまして、建築基準法についても、十一団体からの提案を受け、現行制度におきましては大規模災害時等の公共施設の再建による計画通知が急増した場合に円滑に審査、検査等をすることが困難となるという喫緊の課題に対応する内容となってございます。これらの関係する法律を個別に改正するよりも、一括して改正案を取りまとめることによって、改正の趣旨、全体像が分かりやすくなるものと考えてございます。
今後とも、改正する法律の趣旨、目的等に鑑み、一括法として提案することが適当であるかを十分に精査してまいりたいと考えてございます。
○高橋(千)委員 到底精査しているとは思えません。
趣旨が合っていたとしても、法律がどういうものなのかと。まして、建築というのは、一生に一度の大切な買物が、それこそ耐震偽装の問題のように全部駄目になってしまったとか、そうした本当に重大な問題なわけですよ。それで規制をしてきたり様々起こってきたことを、やはりそうしたことを踏まえて地方の提案があるので、それをちゃんと所管委員会で議論するべきだと私は言っておきたいと思います。
そこで、今日、私がこだわって聞きたいのは二本です。
初めに、建築基準法について伺います。
まず、建築主事と民間の指定確認検査機関が行う建築確認とはどういう意義があるのか。また、九八年の法改正以降、建築主事のみが行っていたものから指定確認検査機関に民間開放してきた、その理由を伺います。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。
建築確認でございますが、建築物の安全性などを確保するために、建築物の計画が建築基準法などの関係規定に適合していることを確認するもので、工事に着手するためには確認済証が交付されていることが必要となります。国などの機関が提出するものを計画通知と呼んでいるわけでございます。
平成十年以前でございますが、建築確認、これは計画通知も含めてでございますが、特定行政庁、すなわち建築主事がいる行政庁のみが担ってきたところでありますが、建築物の安全確保を図るために、建築確認や検査、違反建築に対する指導や違反是正などの充実が求められる中、行政職員だけでは十分な実施体制が確保できないといった状況を踏まえまして、平成十年に建築基準法を改正いたしまして、一定の審査能力を備えた公正中立な民間機関においても建築確認、検査を行えるようにしたところでございます。
○高橋(千)委員 そうすると、先ほど議論の中で答弁がありましたので私の方で言ってしまいますけれども、建築主事と確認検査員の数の推移、それから建築確認件数の推移、資料の一枚目につけております。九八年に民間開放を行って、その翌年から数えると、民間の確認検査機関が、二%だったものが今は九三%を占めている、ここまで来たわけですね。そのことを国交省はどう見ているのでしょうか。
○宿本政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、建築主事による建築確認の割合は、平成十一年度、九八%でしたが、令和四年度、七%となっています。逆に、民間の指定確認検査機関の確認の割合は、二%だったものが九三%になってございます。
指定確認検査機関制度を導入したことで、建築主事の人数、これ自体は減少はしておりますが、一方で、指定確認検査機関の確認検査員は約三千五百名おり、全体としては現在約五千人が確保されておりまして、平成十一年当時と比較しても執行体制の充実が図られております。
この結果、すなわち指定確認検査機関制度の導入によりまして、平成十一年度は、半数以上の建築物が実は建物竣工時の完了検査を受けておりませんでした。そういったものが、令和四年度におきましてはほぼ全ての建築物が完了検査を受けているなど、的確で効率的な執行体制の構築が図られたものと認識をしてございます。
○高橋(千)委員 まるでいいことしか言わないわけですね。ちょっと正直驚いているわけですけれども。
昨年の七月の第百五十二回地方分権改革有識者会議提案募集検討専門部会の中でも、国交省が、当時どういう議論があったのかは詳細には分からないが、民間開放してこれだけ民間機関が担うことは、当時は想定していなかったのは事実である、そう認めていると思うんですよね。
当時やっていた方々の話を聞くと、民間開放といってもやはり行政が主体でやっていくと思っていたようだ。これは事実ですか。
○宿本政府参考人 お答えいたします。
昨年の分権の会議におきまして、恐らく当時はそういう認識は薄かったんだろうということを発言したのは事実でございます。
後段の発言はちょっと私は認識しておりませんので、お答えを差し控えさせていただきます。
○高橋(千)委員 ですから、前段は合っていたわけでしょう。ここまで民間が占めるとは思っていなかったということを認めているわけですよね。だから、何の反省もない。うまくいっているという答弁は、ちょっと、とてもじゃないが納得できないわけです。
この同じ有識者会議の中で、委員の方から、民間が力をつけてやっていくのは非常にいいことだと思う、逆に建築主事の方が、数が少なくなってくると、そうすると、医師だってオペの数が少なくなると困るように、スキルが下がるんじゃないかということを指摘しています。そういうことが実際に起こったんじゃないか。
大手ハウスメーカーやゼネコンがこぞって出資する民間の指定確認検査機関が安さと早さを競い合って、こうした中で起きたのが二〇〇五年の耐震偽装問題ではなかったのか。特定行政庁も民間機関も見過ごした偽装事件。政府はこの教訓をどのように総括したんでしょうか。
○石橋大臣政務官 お答えいたします。
御指摘の、二〇〇五年十一月に明らかになりました構造計算書の偽装問題でありますが、指定確認検査機関や建築主事の審査において設計者による偽装を見抜くことができず、建築確認制度、検査制度の信頼性を揺るがす極めて深刻な事案であったというふうに捉えております。
本事案を踏まえて開催されました社会資本整備審議会におきましては、構造審査等を的確に実施するための審査者の能力が不十分であることや、的確に建築行政を執行するための体制整備が急務であるということなどの指摘がされたところであります。
これらの指摘を踏まえまして、国土交通省においては、建築基準法を改正し、一定規模以上の建築物に係る構造計算の妥当性につき、建築確認における審査に加えまして、構造計算適合性判定による複層的な審査を義務づけること等の対策を講じたところであります。
現在、構造計算適合性判定は、建築確認手続の一部として定着をし、建築確認の質の確保にも寄与するものとなっているというふうに考えてございます。
○高橋(千)委員 建築基準法が改正されたのは承知しています。
当時の構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会報告書には、このように書いています。制度の設計時、つまりこの建築確認の制度ができたときのことをいいますが、建築主事は公共建築物の設計などの経験が豊かで、建築確認をする側が申請者に比べて技術的に優位であることが多かったが、その状況が逆転し、審査の形骸化の要因となった。建築確認の民間開放は民間の技術的能力を活用するチャンスだったが、一部の検査機関が、営利企業であることから、建築主に好まれる低料金で早くという経済原理に基づく安易な審査に流れる傾向を招いた。このことを本当に受け止めているのか、問われると思うんですね。
それを踏まえてお答えいただきたいと思うんですが、資料の二枚目、確認業務と検査業務、これを指定確認検査機関が行うようになってのフローであります。確かに、指定確認機関が確認済証を交付、ここまでやるわけですが、しかし、やはり、最終的に指示を出す、あるいは不適合と認める通知を特定行政庁が出すことになっているわけですよね。
公共工事も含め、建築確認業務を民間が行った場合の特定行政庁が果たすべき役割、責任は何でしょうか。
○石橋大臣政務官 失礼します。
国民の皆様が安心して建築物を利用するためには、委員御指摘のとおりの、建築物の安全性が確保されるように、建築基準法の実効性を確保することが大変重要であるというふうに考えております。
その上で、建築確認業務を民間の指定確認検査機関が行う場合でありましても、特定行政庁においては、当該機関に対する検査や、違反建築物に対する違反の是正、また許認可などの処分等、行政機関でなければ行うことのできない義務を果たす、そういった役割並びに責任があるというふうに考えています。
○高橋(千)委員 今お話しいただいた、行政機関でなければ果たせない役割があるとおっしゃいました。本当にそれが果たせる体制でなければならない、このことを重ねて指摘したいと思うんですね。
二〇〇五年の六月の最高裁の判決もありますよね。建築確認を行った民間の指定確認検査機関が提訴をされたんだけれども、結局、当事者適格は特定行政庁にあると認められた。こうしたこともあって、やはり特定行政庁の責任というのは最終的には免れないんだということがあると思うんです。九三%が民間になっているということ、これは本当に深刻だと思います。
耐震偽装の報告書には、公共建築の設計、工事監理は外部に委託する割合が高くなり、経験が少なくなって、建築主事の技術力が規制される側の建築士の技術力に比べ相対的に低下していった、地方公共団体では、財政事情もあり、建築確認に当たる職員の増加が認められなくなり、仕事量が増え、士気、能力が次第に低下していったとあります。まさに負のスパイラルだと思うんですね。
様々、こうした問題はいろいろなことに当てはまります。これ以上の緩和をやめ、建築主事をきちんと増やして、そして、能力と経験を積めるように位置づけるべきだと思います。強く要望しておきます。
次に、母子保健法の改正について伺います。
第十九条の二で、健康検査に関する情報の求めとあったものが健康検査等になり、かつ、里帰り出産に限っての部分が削除をされました。つまり、里帰り出産でなくても、場所が、出産先がどこであっても情報連携は行うということだと思います。具体的に何がどう変わるのか、簡潔にお答えください。
○黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。
現在のものがどういうふうに拡充されるのかということでございます。
現在、里帰り出産をする妊産婦への支援については、里帰り先の自治体において様々なメニューが提供をされているところでございます。妊婦健診を始めとして、両親学級、新生児訪問、様々なものがございます。
一方で、課題としては、住民票所在地とそれから里帰り先の市町村等において情報が即座に連携されないためにタイムリーな支援の提供が難しいといった課題ですとか、あと、また、里帰り先で利用できる行政サービスが分からないといった産婦さんの声等もございます。
そうしたことから、住民票所在地と、それから住民票を動かさないんだけれども里帰り先の市町村間において情報の連携や支援ニーズの対応をできるようにしようということでございまして、今回、支援メニュー自体が、市町村で提供をされる事業自体が増えるということではなく、ある意味、質を改善するといいますか、ということで、迅速な情報提供を踏まえて、それを踏まえた様々な里帰り先における市町村のサービスが提供されるようになる、それが効果であるというふうに考えてございます。
○高橋(千)委員 時間の関係で、二つ一遍に聞きます。
今回は、情報連携の基盤をつくる、つまりその担い手は支払基金と国保連合会ということまでの改正だと思うんです。ただ、連携をする際には本人同意は要らないと聞いています。それがなぜなのか。
それから、母子健康手帳の電子化をどのように進めるのか。義務化なのか。それもお願いします。
○黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。
まず、一つ目の同意の関係でございます。
現在の母子保健法でも、市町村が必要と認めるときに、過去の居住自治体に対しては、本人からの同意なく情報提供を求めることが可能なわけですが、今回、住民票の異動がない場合にもそれを広げようというものでございます。
これは、様々な声を我々はいただいていますが、例えば、産後うつの可能性が高いような場合に、支援の必要性が高いにもかかわらず本人の同意を得ることが難しいといったケースですとか、また、里帰り先と住所地の市町村間で情報共有ができないで、必要な支援につなげることが困難だといったような声が、様々、自治体からも寄せられていたと。例えば、一部の市町村からは、住民票所在地の市町村に情報の提供を求めたんだけれども断られたとか、そのようなケースもあるというふうに聞いてございます。
そのようなことから、今回の法改正におきましては、過去の居住の有無に関係なく、住民票の異動がない里帰り妊産婦等も対象とするということとしたところでございまして、母子保健サービスを提供するために必要があると認めるときでございますけれども、本人の同意がなくとも里帰り先と住所地の市町村間で情報提供を求めることが可能となって、これによって先ほど申し上げたような事例についても適切に対応できるのではないかと考えてございます。
それからもう一つ、母子健康手帳について、義務化するのかといったことについての御質問だと思いますけれども、こちらについてでございますが、現状は御承知のとおり紙の手帳を前提としておりますので、利用者にとってみると、紙の問診票の記入ですとか、あと、民間アプリを利用する際に健診結果を自分で手入力しなくちゃいけないといったような負担も生じているというふうに承知をしております。
今般整備するPMHを利用したシステムにおきましては、健診結果が電子的に医療機関から共有されることになりますので、その内容を利用者がマイナポータル上で即座に確認できるようになりますし、また、さらに、これは、マイナポータルのAPI連携を通じまして民間の母子アプリ等と連携をすることによって、利用者の手入力なしで電子版の母子手帳アプリ的なものが実現するというふうに考えてございます。これは、母子アプリがかなり、今、全国の半数以上の自治体で普及をしておりますので、このPMHとの連携による効果というのは相当期待できるのではないかと考えてございます。
その上ででございますけれども、こうした現状を踏まえまして、昨年十二月のデジタル行財政改革中間とりまとめにおいて、電子版の母子健康手帳を原則とするという表現で書かれてございます。
ということでございまして、今申し上げたようなことを踏まえて原則とするというふうにしているところでございますけれども、現時点で電子版健康手帳を義務化するということを想定しているものではございません。
○高橋(千)委員 確認をしました。
行った出産先でも情報が分かる、そして支援が受けられる、私はいいことだと思うんですよ。ただ、現行でも同意なくとおっしゃいましたけれども、現行は、本人が申し出なければそもそもほかの自治体が分かるわけないので、ちゃんと申し出ることによって支援を受けている。今回はそれがデータとしてずっと積み上げられていくという問題なんです。
資料の三枚目に、母子保健情報の標準的な電子的記録、主な項目を挙げ、表になっています。新たに電子化する項目とあり、かなりの情報です。これが母子保健DXのデータとして積み上げられていく、そして大人になれば医療DXとしてパーソナル・ヘルス・レコードとなっていくわけですね。その際の本人同意がどうなるのか、時間が来たので一言でお答えください。
○谷委員長 こども家庭庁黒瀬審議官、簡潔にお願いします。
○黒瀬政府参考人 はい、分かりました。ありがとうございます。
最後の、大人になったらどうなるのかという形の問いでございますけれども、基本的に、母子保健情報を継続的に保存をして、将来にわたってPHRとして活用して、医療機関と共有することで質の高い医療も受けられるということを想定してございますので、母子保健情報の取扱いについて、今後検討したいと考えてございますけれども、その際には、最近はデジタル技術の進展で長期の保存が可能になっておりますので、そんなことも踏まえて検討してまいりたいと考えてございます。
○高橋(千)委員 終わります。重大な懸念があります。
以上。
ー討論ー
○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、第十四次地方分権一括法案に反対の討論を行います。
反対する理由は、建築基準法の改正が、建築確認の安全確保を更に大きく後退させるとともに、公的責任を果たす内容となっていないからです。
本法案では、建築物の性能を確保する建築確認制度について、新たに国等が建築主となっている建築物についても、民間の指定確認検査機関による建築確認を可能とします。
一九九八年の建築基準法の改正により、それまで建築主事が行っていた建築確認検査業務が、指定確認検査機関も行えるとして民間開放されました。その後、建築確認件数は減少する一方で、確認検査員数は増加したため、限られた建築物に対する検査競争が発生し、その結果、安全性よりも経済合理性が優先され、二〇〇五年の耐震強度偽装事件の教訓が生かされないばかりか、その後も、構造計算書の偽装や改ざん、違法な手続等が後を絶ちません。
法案は、国等が建築主となる公共工事さえも民間に委ね、安全確保に責任が持てなくするもので、認められません。
今や民間の指定確認検査機関が建築確認の九三%を占めています。当初は、建築主事の業務が軽減され、災害対応や町づくりなどに専念できると説明していましたが、地方行財政改革と民間の肩代わりが進む下で、建築主事は減らされ、建築行政の高度化、専門化に対応する技術や経験を引き継ぐことが困難となっています。これでは、指定確認検査機関が交付する確認済証や検査業務の引受通知の報告を特定行政庁が受けても、最終的なチェック機能を果たし得なくなります。
法の目的にある国民の生命、健康、財産の保護のために、減少が続いている建築主事の増員や不正を見抜ける専門家の育成等を行い、国の監査や監督を抜本的に強化し、建築行政に公的責任を果たすべきです。
なお、反対はしませんが、母子保健法の改正には重大な懸念があります。
本法案では、妊産婦等が里帰り先等で母子保健サービスを受ける際、本人の同意がなくても、里帰り先の市町村が住所地の市町村に情報提供を求めることを可能とし、併せて、健康診査や産後ケア事業の対象者に関わる情報収集等の事務を、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会への委託を可能とします。
妊産婦等がどこにいても母子保健サービスを速やかに、確実に受けられるようにすることは、出産や産後の不安を和らげ、利便性向上に資する面があり、必要なことです。
しかし、この情報のやり取りについては、今後は新たに、妊娠中の経過や出産時の子の状態等も母子保健情報の電子化項目の対象とし、利用者、自治体、医療機関の間の情報をPMHと呼ばれる情報連携基盤で連携、医学や産業の振興のために二次利用も検討されています。脆弱な個人情報保護制度の下で、プライバシー侵害や情報の誤送信、漏えいなどの危険性があると言わなければなりません。
以上を述べて、討論といたします。