国会質問

質問日:2024年 5月 24日 第213国会 国土交通委員会

精神障害者の運賃割引制度について

精神障害者割引さらに

衆院国交委 JR運賃に高橋氏要求

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(写真)質問する高橋千鶴子議員=24日、衆院国交委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は24日の衆院国土交通委員会で、JR各社が来年4月から実施すると発表した精神障害者への運賃割引制度をうけ、さらなる拡充を求めました。

 高橋氏は精神障害者割引について、てんかん患者をはじめとする精神障害者の繰り返しの国会請願があり、衆参両院での請願採択等が後押ししたと指摘。精神障害者運賃割引の実施事業者が2011年当時、鉄軌道20事業者、乗り合いバス83者、旅客船0者から、24年にはそれぞれ178者、217者、381者となっている資料を示し、「率直な感想を」と質問。斉藤鉄夫国交相は「画期的であり高く評価するとともに、委員各位の意見に感謝する」と答弁しました。

 高橋氏は、鉄道の割引の適用が片道101キロ以上となっていることを取り上げ、「最大の要望は通院などの日常の交通だ」と質問。斉藤国交相は「委員や障害者の意見を鉄道事業者に伝える」と答えました。

 さらに高橋氏は、高速バスへの割引の導入や、地方自治体独自の割引制度への国の支援などを要望。国土交通省の石原大審議官は「高速バスを含む乗り合いバス事業に一層広がるよう取り組む」と答え、斉藤国交相は「社会福祉政策や地域公共交通確保の観点からどのような対応が可能か検討する」と答弁しました。

(「しんぶん赤旗」2024年5月29日付)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 今年の四月十一日、JRグループが精神障害者割引制度を来年四月一日から導入すると発表しました。
 資料の1に、国交省にまとめてもらった公共交通機関における障害者割引状況について盛り込んでありますので、見ていただきたいと思います。
 第一種は、本人単独ですと片道五割、これは普通乗車券のみでありますが、介護者を伴う第一種の場合は、定期券、回数乗車券、普通急行券なども五割になります。
 私がこの問題を初めて取り上げたのは、二〇〇八年の六月です。きっかけは、てんかん患者の皆さんの請願集会で訴えられたことでした。私にもてんかんの持病のある友人がいたので、理解をしていたつもりでしたが、てんかんが精神障害に区分されているということはそのとき初めて知りました。てんかんは、発作による交通事故のリスクもあることから、その後もいろいろな事件があって、運転免許を持つこと自体が制限をされていったので、公共交通が頼りという切実さは本当に伝わりました。
 その後、衆参での請願採択や障害者の権利条約の批准、九州ですが、行政評価局からの勧告、地方での補助などの様々な取組、これが後押しになったと思います。また、二〇一二年、国交省が一般乗合旅客自動車運送事業標準約款、これはバスのことですが、改正を行ったことも大きな後押しになったと思います。
 二枚目には、二〇一一年に出した資料と比較して、各事業者の割引状況の表をつけておきました。タクシー業者や路線バスなど、見ていただければ、一目でどれだけ広がったのかが分かると思うんですね。
 小さなところも頑張っているのに、JRが、大手が導入していないのが問題と何度も主張してきました。JRは、割引は国鉄時代にやっていたので、これは、やるんだったら国がやるんだ、そういう答弁を繰り返していたわけなんですね。そして、今回の決断になるわけです。
 この進展状況を見て、大臣、どのように感じますか。率直に感想を伺いたいと思います。
○斉藤(鉄)国務大臣 率直な感想ということでございますので。
 国土交通省も、国土交通委員会での様々な、与野党を超えた皆様の御意見を踏まえ、これまで鉄道事業者に対して要請を行ってまいりました。
 これを踏まえて、鉄道事業者において検討が進められ、過去一年間においても、京浜急行、南海、名鉄等で新たに導入され、本年四月一日現在で百十八事業者において導入されております。
 さらに、本年四月十一日には、JR六社及びこれまで導入していなかった大手民鉄事業者において精神障害者割引を導入する旨が発表され、この結果、来年四月までにはJR旅客全社及び大手民鉄全社での導入が実現することとなり、状況が大きく進展するものと考えております。
 障害者運賃割引については、鉄道事業者の経営判断に基づいて実施されるものでありますが、国土交通省としては、今般この進展は画期的なことと受け止めており、高く評価するとともに、委員各位の皆様のいろいろな御意見、本当にありがとうございました。感謝しております。
 以上でございます。
○高橋(千)委員 JR全社と大手民鉄全社ということで、画期的なとおっしゃいましたけれども、本当にそうだと思います。それがまた全体に波及する力もあると思うんですね。大手とJRがやっていないじゃないかと言ってから十六年たちましたが、ここまで来たと思って、本当にうれしく思います。
 それで、厚労省の宮崎副大臣にもお出ましいただいているので、伺いたいと思います。
 JRは第一種、第二種という表現をしておりますが、これは精神障害者保健福祉手帳の一級、二級と同じと理解してよいのでしょうか。また、三障害に差をつけないこと、国連障害者の権利条約における移動の自由から見ても保障すべきと取り上げてきましたが、厚労省としての感想も伺います。そして、その上で、今後の課題は何でしょうか。
○宮崎副大臣 まず最初に、一種、二種のお尋ねの件でございますが、運賃割引の種別についてはJRの判断に基づいて決定されるものでございますが、国土交通省を通じて伺っているところによりますと、精神障害の障害等級一級の方を第一種、二級又は三級の方を第二種とする方針であるというふうに伺っているところでございます。
 厚生労働省としての受け止めでございますが、率直に言えば、よかったなというふうに思っているところでございます。障害者の質の高い自立した生活の支援の一環として、身体障害者及び知的障害者の方と同様に、精神障害者の方にも運賃割引について導入されるように、国土交通省と意見交換を行いながら働きかけを行ってきたところでありますので、それが結実をしたということについて、率直に喜んでいるところでございます。
 今後の課題でありますけれども、来年四月の運賃割引の導入をJRさんが予定されているということでありますが、そこに向けて、精神障害者保健福祉手帳の記載事項について所要の手当てを行う必要がございます。可能な限り速やかに国土交通省などと調整を進めて、自治体などへの周知も必要でありますので、努めてまいりたいと思っております。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 二級又は三級、三級というのはなかなか持っていても役に立たないんじゃないかという話題があるわけですので、そこも入るというのはすごく大事な情報かなと思うんです。手帳に一種、二種という印をつけなくちゃいけないので、そこが本当に徹底されるということを望みたいと思います。
 それで、歓迎するとともに、一刻も早くという声も国会の私の部屋にも届いておりますが、ただ、問題は、百一キロメートル以上が条件なんですね。これは、ほぼ隣の県まで行かないと使えません。仙台市からだと福島県の郡山市へ行くくらいで、ですから、日常的な通院とかそういうものにはほぼ当てはまらないというのが、残念ながら現実だと思うんですね。
 障害者雇用促進法で精神障害も義務づけられたこともあって、通勤というニーズも多くなっているわけなんです。もう少し緩和できないかという声も多いです。更に働きかけてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 この障害者割引につきましては、常時介護者の付添いが必要である重度の障害者の方々を対象に、障害者御本人と介護者の方をそれぞれ二分の一の割引とし、合わせて一人分の運賃となる割引制度として旧国鉄において導入されました。その後、運賃が高額となる百一キロメートル以上の移動については、利用者の負担軽減を図る観点から、障害者の方が単独で乗車する場合であっても二分の一の割引とする制度とされたものと承知しております。
 百キロメートル以下の単独乗車を割引の対象とすることについては、基本的に鉄道事業者の経営上の判断ではありますが、国土交通省としては、引き続き、委員の御意見や障害をお持ちの方の御意見を鉄道事業者にもお伝えしてまいりたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 一覧表を出しているように、路線バスとか、それからタクシーなども百一キロではないわけですよね、もっと短い距離なわけですから。やはり少し段階を分けるという形、もっと短い距離のところと、それは割引率が少し少なくなるかもしれないけれども、そういう形で、やはり日常使いができるということが本当のニーズであって、要望活動をずっと続けてきたということがありますので、そのことを是非お願いしたいなと思うんです。宮城県内で以前から民鉄やバス会社などに運賃割引を求めて行動していた精神障害当事者は、このことを、とにかく喜んでいるんですが、百一キロの壁があるということも指摘をされています。
 それで、高速バスの運行会社も、JRが動けば検討するとこれまで言われてきたと言っています。今後、高速バスについても働きかけと、それから調査を検討していただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。
○石原政府参考人 お答えいたします。
 高速バスを含めまして、乗り合いバスにおける精神障害者に対する運賃割引につきましては、身体障害者や知的障害者への割引と同様に、その導入を促進していくことが重要である、このように考えております。
 このため、国土交通省では、各事業者の経営判断を前提としつつも、高速バスを運行している事業者も含むバス事業者全体に対しまして、割引の導入について理解と協力を求めるとともに、毎年、この導入状況についても調査を行ってきたところでございます。
 国土交通省としては、今後とも、高速バスを含む乗り合いバス事業における精神障害者割引が一層広がりますよう、しっかり取り組んでまいります。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 是非、今度は分けて表を作れるようにお願いしたいと思います。
 それで、これまで質問したときの答弁が、これはJRが言っているのと同じせりふなんですけれども、割引をした分はやはりほかの乗客に負担させることになるから、そこまで簡単ではないということをよく言われてきたわけです。しかし、先行している二つの障害は割引になっているのに、何で三障害が一つになったのに精神だけ駄目なんだ、そういう議論をずっとしてきたわけなんですよね。だから、ここまで進んだことは本当に評価できると思うんです。
 その上で、この間、地域公共交通の危機については、赤字ローカル線、路線バスの廃止、タクシー会社の倒産など、極めて深刻な事態が進んでいること、この委員会でも随分議論をしてきました。また、特にコロナ禍のときは、正直、運賃割引のことを取り上げるのをちょっとためらったこともありました。でも、国交省が今は本気で支援を考えるときではないか、こう思うんです。
 例えば、地域公共交通の支援メニューの中に運賃割引も含むことができる、こういうことがあってもいいんじゃないか。それから、各地で進んでいる地方自治体の割引制度、ここに間接的に支援をするとか、そういう知恵を出すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 障害者に対する公共交通機関の運賃割引につきましては、事業者の自主的な判断により行われている中で、精神障害者割引についても、機会を捉えて、公共交通事業者に対し、理解と協力を求めてきたところです。
 運賃割引の減収分について、自治体を通して国が補助するべきとの御提案につきましては、障害を持つ方々に対する支援の問題であることも踏まえ、社会福祉政策の観点や地域公共交通確保の観点などから、関係省庁と連携しつつ、どのような対応が可能か検討してまいりたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 検討してまいりたい、関係省庁とということです。
 これまでも補助すべきだという要望があったりとか、取り上げてきたこともあったんですが、やはりそろそろはっきりとさせた方がいいのかなと思っているんです。やはり自治体の取組が進んでいるということもあって、間接的な補助という形でやることができるんじゃないか。しかも、これだけ地域公共交通ということが言われているわけですので、やり方はもちろん研究していただきたいんですけれども、今、検討すると答弁をいただいたので、それをしっかり形になるように期待をして、今日は、みんなが待った分だけ早く終わりたいと思います。
 ありがとうございます。

【資料】2024.5.24 国交委 提出資料

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