標準労務費の確保を
高橋氏 建設労働者の処遇改善求める
衆院国交委
(写真)質問する高橋千鶴子議員=22日、衆院国交委 |
建設労働者の処遇を確保する建設業法、公共工事入札契約法、公共工事品質確保法(担い手3法)の改正案が23日の衆院本会議で全会一致で可決しました。
日本共産党の高橋千鶴子議員は22日の衆院国土交通委員会で、賃金引き上げ、安定につながる標準労務費を下請け、孫請けに届けるよう要求。技能者の技能や経験を処遇アップにつなげる建設キャリアアップシステム(CCUS)を採用しながら、メリットを感じないとの中小事業者の声を紹介し、どう賃金アップの原資を確保し、技能者に適切に届けるのかと質問しました。
国交省の塩見英之不動産・建設経済局長は「元請けの中にレベルに応じて手当制度を用意しているところがある。レベルアップした技能者が元請けの垣根を越えて相応の処遇を受けやすくなる」と答えました。
高橋氏は、CCUS以前に大林組などのゼネコンが導入していたグリーンサイトでは資格や雇用保険番号などCCUSと同じ個人情報を元請けに提供しながら、両方に登録しなければ工事現場に事実上入れなくなっていると告発。「それぞれに手数料等がとられ、負担にもなっており、二つの制度は整理が必要だ」とただしました。
塩見局長は「民間のサイトは10以上あり、そのままにして横をつなぐようにした」との消極的な答弁に終始しました。
品確法改正案で新設された競争がないことを確認した上で随意契約を可能とする条文について高橋氏は、東北復興工事で本来、競争入札すべき工事を変更契約で追加工事扱いにしたように、国に都合よく利用されないかと質問。発議者の国重徹議員(公明党)は、競争相手がない場合に限り、公募の手続きを必須としており、安易に随意契約ができる制度ではないと答えました。
(「しんぶん赤旗」2024年5月26日付)
ー議事録ー
建設業法案質疑
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
昨日の参考人質疑でも、今回創設される標準的な労務費について、賃金の引上げ、安定につながると期待が大きかったと思います。
そこで、総価一式の請負契約という建設業の特徴がある中、下請、孫請まで標準労務費の水準が届くことが求められますが、大臣の決意を伺いたいと思います。
○斉藤(鉄)国務大臣 持続可能な建設業を実現するには、現場を担う技能者の処遇確保が極めて重要であります。適正な水準の賃金確保は、危機感を持って今取り組まなければならない喫緊の課題と認識しております。
今回の改正案では、国が適正な労務費の基準をあらかじめ示した上で、個々の工事においてこれを著しく下回る見積りや請負契約を、下請取引も含めて禁止する新たなルールを導入してまいります。これは、これまで繰り返されてきた労務費を原資としたダンピング行為を認めないとするものでございます。また、長年、総価一式の下で契約後のリスクを全て受注者に負わせてきた商慣行を、パートナーシップの考え方に沿って改めようとするものでございます。
適正な労務費が下請業者まで行き渡るよう、強い覚悟で取り組んでまいります。
○高橋(千)委員 強い覚悟を示していただいたと思います。
それで、資料の一枚目、昨日からも、今日もまた随分議論がありましたけれども、建設キャリアアップシステムについてです。
まず、上段にその概要が載っております。この写真と技能者情報を読み込んだカード、マイナカードに似ておりますが、現場入場の際にピッとするというシステムでございます。これによって、現場の経験が履歴として積み上がり、それが年数によって、また資格試験などを受けて、四段階にレベルアップをしていくというものであります。
それで、その資料の二枚目が、昨日、岩田参考人が、CCUSレベルに応じて年収を示したんだと、これも初めてのことでありますが、その内訳が書いてあるんですね。
まさにこの仕事を始めたばかりの新人さんはレベルワンで大体三百七十四万から五百一万余というところから、それからレベルフォーになれば七百七万から八百七十七万とあります。もちろんこれが頭打ちという意味ではなくて、平均ということになるわけですが、その下の段には、技能に応じてレベルフォーの年収はこれこれですよというふうに示されておるわけです。
それで、なるほどと思ったんですが、よく見ると上の段に説明が書いてあります。「公共工事設計労務単価が賃金として行き渡った場合に考えられるレベル別年収を試算」とあるので、だから、これは今がそうなんだというわけではなくて、ある意味、目標だと思うんですね。それで、現場の実態とどの程度乖離していると思うのか、まず伺いたいと思います。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
昨年六月に公表しましたCCUSのレベル別年収でございますけれども、これは、技能者の経験に応じた処遇と、それから若い世代がキャリアパスの見通しを持てるというようにすることを目的に公表させていただいたものでございます。
その計算の仕方は資料にございますとおりですが、公共工事の実態を踏まえて試算をしたということでございまして、具体の金額は、例えば技能評価レベル一の場合には、中位値で大体五百万ぐらいというふうになっております。
公共工事については、これまで、適正な価格での契約推進等を行ってまいりましたけれども、民間工事は、なかなか厳しい工事もあると伺っております。その意味で、公共工事と民間工事では賃金に差があるということでございまして、こういう民間工事も含めた賃金の統計によりますと、技能者全体の平均年収は四百三十二万円というふうになっております。そういう意味での差が考えられるということでございます。
国土交通省としましては、今回の法案によりまして、民間工事も含めて処遇改善を進めてまいりたいというふうに存じます。
○高橋(千)委員 技能者全体の収入が、平均が四百三十二万円という、それしか今比べるものがないということなわけですが、それは、だからレベルワンの中に入っているわけで、そうするとやはり、現実にはなかなか、技能を積んで経験を積んでいっても、それが評価されないような仕組みになっているということをおっしゃったんだなと思います。
それで、先日、建設業の事業主の方々とお話しする機会がありました。最初に言った標準労務費を作るんだという問題については、必要だと皆さんおっしゃいました。実効性が担保されるかということには不安だという声があるわけですけれども、ただ、今お話ししているCCUSについては、それは自分もやっている、けれども、その意味を感じない、何のためにやっているのか分からない、だって、その分加点されるわけじゃないし、増えるわけじゃないしというふうに思っているということが言われたんですね。
なので、それがやはり、レベルが上がっていったら賃金も上がるんだということが実感できればインセンティブになると思うんですが、ただし、そのためには原資が必要なわけで、適切に流れてくるかというのが問題だと思いますが、どのように仕組んでいこうとしているのか、伺いたいと思います。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
建設技能者の方が、御自身の経験とか技能を高めていただいて、その情報をキャリアアップシステムに蓄積をする、そしてこの蓄積情報を基に能力レベルのアップをさせるという場合に、その能力にふさわしい処遇改善が実現するというのが、このキャリアアップシステムの目指すところでございます。
現状から申し上げますと、元請業者の中に、レベルに応じて手当制度を用意しているところがあり、レベルを高めていただいた場合にはその対象となって処遇が改善するという面があります。また、レベルアップした技能者の方が、元請業者の垣根を越えて広くその能力が認められまして、施工に従事する機会が拡大するなどの、相応の処遇を受けやすくなるということも考えられるところでございます。
こういった、レベルに応じた処遇改善を技能者の方々に実感をしていただきますように、賃金の支払いでありますとか手当の制度のようなメリットの拡大に努めてまいりたいと存じます。また、今回の法案による賃上げについても、併せて進めてまいりたいと存じます。
○高橋(千)委員 今、面白いことをおっしゃったんですが、元請の垣根を越えてとおっしゃいましたよね。やはり、そういう取組をしているところがあるというお話だったと思うんですが、もうちょっと詳しくお話ししていただきたい。
○塩見政府参考人 建設キャリアアップシステムは、建設業界の共通の制度インフラとして今構築を進めているものでございます。特定の元請の下で仕事をする機会が多い技能者の方であっても、その積んだ経験、能力をこのキャリアアップシステムに登録をいたしますと、他の元請の事業者の方からも、こういう優秀な人材がいるんだということがそのシステムを通じて見ることができるようになります。
そういう方を、是非現場で働いてもらいたいというふうに声をかけるということで、その会社の手当制度の対象になるとか、仕事の機会が増える、こういうことを業界共通の制度インフラの中で実現していけると、頑張ったかいがあるという建設業界になるのではないかというふうに思っております。
○高橋(千)委員 よく分かりました。次の質問に関係しているということが分かりました。
分野別の、今見ている表の一番最初に書かれているのが電気工事なわけですが、ゼネコンの一次、二次の下請に入って、ビルの受変電工事などを扱っている方の事業所を先日お邪魔しました。私もちょっとそれまで知らなかったんですが、電気工事を扱う人というのは全員が国家資格を持っている。一種、二種と様々種類はあるんですけれども、国家資格を持っていない人はこの中にいないということが分かったんですね。
つまり、そもそも、電気を扱うというのは大変危険な仕事であるし、用途によってケーブルの太さなどが全然違うし、重いし、だから、感電とかしないように、それをカバーする、また大きなケース、ケースというか、ケースのようなケーブルがあるわけですが、本当に大変だと思いました。もちろん、このキャリアアップシステムに入っています。
それぞれが技能を持っているわけなんですが、その方が、最初に私が言ったように、入っている意味が分からないと訴えているんですね。これは本当にもったいないことだと思うので、大臣、是非、聞きおきしていただきたいと思います。
それで、今、元請の垣根を越えてというふうにおっしゃいました。ゼネコンが元請で、その工事に自分たちが一次、二次の下請として入るためにはCCUSが必須だとおっしゃっています。もちろん、国交省の説明によると、それは一人一人の加入であって任意なんだというんですけれども、実際には会社として申し込むわけですので、結局、条件となっていて、従業員の分を全部入力するわけであります。
ただし、入力するのはCCUSのサイトではなくて、その方の場合はグリーンサイトだとおっしゃいました。グリーンサイトが、二〇一九年からCCUSが始まっているけれども、それより前にもう始まっていて、当たり前だと思っていたわけですね。ところが、こっちもできて、グリーンサイトに入力した内容、ですから、雇用保険の番号ですとか、そういうのも全部入力しているわけですよね、それが共有されているということなわけです。何でそうなんだろうと。
昔からあって、ゼネコンによってその種類が幾つかある。例えば、グリーンサイトというのは大林組ですけれども、竹中工務店はウィズダムというのがあると思うんですよね。
それで、ゼネコンがそれぞれ運営するサイトというのがどのくらいあって、それぞれの役割に違いがあるのか。また、なぜCCUSとゼネコン運営のサイトと両方に入る必要があるのか。これを伺いたいと思います。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
大きなゼネコンごとに、自社の現場管理のためのシステムというものがこれまで構築されてきておりまして、大きな元請会社が主導しているということでございます。こういったシステムは少なくとも十以上はあるというふうにお聞きをしておりますけれども、小さいものも含めてということになりますと、全てまではちょっと把握し切れていないという状況でございます。
このシステムにおきましては、施工体制の管理でありますとか入退場の管理、工程の管理、そして安全衛生書類の管理、こういったことを基本的な機能として、ターゲットとするユーザーに応じまして、契約発注などのその他の機能を備えている場合があるというふうに承知をしております。
こういったグリーンサイトなどのシステムと別に、キャリアアップシステムのサイトに入る必要性ということでございますけれども、このゼネコンごとのサイトは、まさに元請企業ごとに縦割りで管理をされている技能者の方のデータベースというようなことになりますけれども、業界を通じて、その技能者の方がどういう経験を持ち、どういう資格を持っているかということが分かるように、いわば、元請単位の縦割りではなく、技能者単位の横断的なデータベースとして活用することができるようにするためには、元々ある民間のグリーンサイトなどとは別に、それをつなぐ、横断するような機能を改めて付加するという形が一番効率的ではないかという判断から、元々ある民間のサイトとは別に、横断するサイトを別途つくったということでございます。
○高橋(千)委員 縦割りではなくてというのは、私、それが本来の姿だと思うんですよ。
安全衛生と入退場と全部記録されていくわけですよね。それで、健診情報、血圧、もちろん、運転士さんがアルコールチェックをするのと同じように、血圧が一定の数字を超えたら入場できませんとか、そういう決まりがあります。だけれども、それだけの情報を蓄積してしまうと、それはやはりほかのゼネコンさんのところには行けないよねと、囲い込みといえば言葉が悪いかもしれないけれども、ああ、そうなっちゃうよねと思ったんですよ。
それを、今、垣根を越えてと言ったわけだなと思うと、そもそも、垣根を越えてCCUSの制度をつくったわけです。今ここにあるように、手数料があるわけですよね、IDの一当たり一万一千四百円とか事業者管理料というのがあって、料金は両方取られているわけです。グリーンサイトも取られているし、CCUSも取られている、だけれども情報は共有されている。やはりこれはおかしいと思うんですよね。整理できないですか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
費用面につきましては、今、別のシステムとして稼働しておりますために、それぞれで負担がかかっているというのはおっしゃるとおりでございます。少しでもその負担が軽くなるように、助成金の活用などについても積極的に進めているところでございます。
整理ができないのかとの御指摘でございましたけれども、民間のサイトが十以上あり、それぞれ独自の判断で運営されているものでございます。そういった全てのサイトと全ての合意を図った上で業界横断的なシステムをつくるということは、大変な苦労と時間がかかるのではないかという判断をいたしまして、それぞれのサイトはそのままにした上で横をつなぐ機能をつけ加えた。その代わり、機能としては、両方のシステムの間で共通するものについては自動的にそのデータをやり取りするという形を取って、申請される方、使われる方の事務負担についてはできる限り削減する、こういうシステムの設計をしているということでございます。
○高橋(千)委員 だから、事務負担があるから、垣根を越えようとすると、また一からやり直さなくちゃいけないんですよ。そういうこともあるし、手数料は両方取られているわけだし、ここは一遍に、どっちかだけをなくすというのは難しいのかもしれない。でも、やはりこれは議論していただきたいと思います。これは要望が上がっているはずですから、お願いしたいと思います。
それで、法案に戻りますが、国交大臣が請負契約の適正化及び従事者の適正な処遇の確保に関して調査、公表、中建審に報告するということが創設されました。これもとても大事だと思います。請負契約の中で著しく低い見積りや著しく短い工期などを是正するために、直接国が関与するという理解でよいでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 この法案では、取引適正化と処遇改善を図るため、国が請負契約の締結状況などを調査するということとしております。この規定に基づきまして、建設Gメンが、労務費の基準を著しく下回る契約はないか、工期ダンピングが行われていないかなどのルール違反を、広く実地調査してまいります。
この調査によって、違反につながるおそれがある事案が判明した場合は、Gメンが、まずは注意喚起など緩やかな改善指導を行いつつ、悪質な事案を洗い出していきます。そして、改善されない場合や悪質なルール違反の疑いのある建設業者には、国と許可権者である都道府県知事とが連携して、強制力のある報告徴収や立入検査を行って、最終的には監督処分につなげてまいります。
加えて、この調査の結果は、公表するとともに、中央建設業審議会に報告し、施策の分析、改善に役立ててまいります。
○高橋(千)委員 決意のこもった答弁だったと思うんですが、やはりそれを担保する体制がどのようになるのか、現状ではなかなか厳しいのではないかと思います。
あと、調査のタイミングとか、どの程度の規模の工事かとか、何か決めていることがあれば伺いたいと思います。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
今回のこの調査でございますけれども、従来からの、建設Gメンというふうにこの委員会でも御説明しているものがございますが、この建設Gメンが、この新しい法の規定に基づいて調査を行っていくということを考えてございます。
この体制でございますけれども、昨年度は約七十名体制であったものを、今年度からその約倍の体制に拡大をさせて、これから本格的な対応をしていこうと思っております。
このGメンは、実地調査に入って契約の状況などを確認をするということでございますけれども、特定の規模の工事だけに限定するとか、時期を限定するといったことは考えておりませんで、幅広く業界全体を対象に調査を行っていこうと思っております。
ただ、効率的に調査を行っていくということはやはり必要だと思いますので、国土交通省で設けている駆け込みホットライン、こういうところに寄せられる通報などを端緒情報といたしまして、違反のおそれがあるものなどを優先しながら実地調査を行い、制度の実効性を確保してまいりたいというふうに存じます。
○高橋(千)委員 Gメンを倍にするということでありましたので、実効性ある体制が取れるかということをまず期待しておきたいと思います。
そこで、私が厚労委員だったときに、二〇一三年の四月なんですが、国交省と厚労省がタイアップして取り組んで、社会保険の未加入の対策を、推進キャンペーンを質問したことがありました。
当時の議事録を読みますと、ちょうど十年前ですので、雇用保険、年金、医療、この三つの社会保険に加入している業者の割合は、一次下請で五五%、二次で四四%、三次で四四%にとどまっていました。これは、一気に加入させるというキャンペーンをやっていたのと同時に、下請指導ガイドラインを出して、五年たっても加入しない未適用事業所は排除する、これを明確にしていたんですね。
あれから十年、建設業者の社会保険への加入状況はどうなっているか、伺います。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
これまで、社会保険の未加入対策といたしまして、平成二十四年以来、関係業界を挙げて推進するための協議会を設けるなど、強く加入を働きかけてまいりました。令和二年には、任意での加入促進が一定程度進捗したということも踏まえまして、社会保険加入を建設業許可の要件化するということにも取り組んだところでございます。
この結果、令和五年十月時点で社会保険の加入率は、企業単位で見ますと九九・二%でございます。また、労働者単位で見ますと九二%ということでございまして、取組を始めた当初から比べますと、大きな改善が見られている状況でございます。
○高橋(千)委員 改善が見られた分、一人親方が増えたのではないでしょうか。
○塩見政府参考人 一人親方の人数については、直接統計で把握しているものはございませんけれども、労災保険の特別加入制度の対象者が近年増加をしております。その原因は、不明な点はございますけれども、国土交通省が行った聞き取り調査によりますと、できれば雇用労働者として働きたいのに取引先から一人親方で働くようにというふうに言われているというような回答もあったところでございます。
実態が雇用労働者であるにもかかわらず、一人親方化するというケースにつきましては、技能者の処遇改善の観点からも、また、公正な競争環境の観点からも課題であると思っております。このため、実態が雇用労働者であるのに一人親方として従事しているということが疑われる場合につきましては、適切な雇用契約を締結することと、社会保険に加入することを指導しているところでございます。
厚生労働省とも連携して、一人親方の適正化を進めてまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 とても重要な答弁をいただいたと思います。実態が雇用労働者なのに、結局、払えないから一人親方になってもらっている、そういう現状が、やはりかなりあるということなんですね。ですから、そこが本当に解決して、文字どおり一人親方だよという人は別ですけれども、本来は雇用者でありながら、そうなっているということがない状態にして、初めてこの建設業法の改正の趣旨が行き渡ると言えるのではないかなと思います。
それで、あわせて、最後の一問ですが、社会保険料は請負代金の中に別枠で含まれているのが基本だと思いますが、どうなっているでしょうか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
社会保険料の事業主負担分、いわゆる法定福利費でございますけれども、これを、下請事業者がその原資を確保できますように、下請事業者から注文者に対して見積書を出す際に、法定福利費を内訳明示をした状態で見積書を出すようにということを呼びかけてまいりました。
この結果、公共事業の元請・下間では約七割、そういった状況にございます。また、ちょっと数字が低い民間の二次以下の下請の場合でも、四割の取引で、法定福利費を内訳を明示して見積書が活用されているという状況にございます。これによりまして、法定福利費の確保が一定程度進んでいるというふうに思っております。
さらに、今回の法改正で、労務費の行き渡りの仕組みを設けますけれども、これを労務費だけでなく、法定福利費についても同様に行き渡りを確保することができないかについては、ちょっとこの後、また検討してまいりたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 ありがとうございました。
社会保険料が見積りの中に確かに入っているんだけれども、それを抜いた賃金が、結局、若干少なかったら、同じなわけですよね。そういうことも含めて、やはりちゃんと確保されたというふうになるように、今、これから検討もするというお答えでありましたので、しっかりと必ず確保されて、やむなく一人親方になるんだとか、我慢しているということがないように取り組んでいただきたいと思います。
ありがとうございました。終わります。
品確法案質疑
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
五年ぶりの改正ということで、発議者の皆さん、御苦労いただきましてありがとうございます。
気になっているのは一点なんですね。
品確法改正案で新設される第二十一条の、競争が存在しないことの確認による随意契約について伺いたいと思います。
第二十一条は、発注者は、その発注に係る公共工事等に必要な技術、設備又は体制等から見て、その地域において受注者になろうとする者が極めて限られており、当該地域において競争が存在しない状況が継続すると見込まれる公共工事等の契約について、当該技術、設備又は体制等及び受注者となることが見込まれる者が存在することを明示した上で公募を行い、競争が存在しないことを確認したときは、随意契約によることができるというものです。
ちょっとややこしい文章でありますけれども、随契についてはこれまでも規定があったと思うんですが、あえてここで盛り込んだ理由と、具体的にどのような事態を想定してこれを書いたのか、お願いします。
○三木委員 第二十一条で想定している方式は、担い手が減少している地域における維持工事で応札者が一者の状況が続くなど、競争参加者が極めて限られているケースでの契約を想定しているものです。
地域の建設業者が減少しており、道路などのインフラの維持管理が困難な状況になっていると聞いています。
また、全国建設業協会が実施したアンケートでも、業界の先が見えず、後継者不足も重なって、当代で廃業を考えている企業が、特に地方、地元業者に多く見受けられ、災害対応業者がいない空白のエリアが既にできつつあるという回答があると承知しています。
さらに、国土交通省からも、例えば、東北地方整備局管内の維持工事で応札者が一者となるケースが近年多発していると聞いています。
以上です。
○高橋(千)委員 会計法の二十九条の三では、契約担当官及び支出負担行為担当官は、売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、第三項及び第四項に規定する場合を除き、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない、これが原則であって、契約の性質又は目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合及び付することが不利と認められる場合においては、政令の定めるところにより、随意契約によるものとすると。
今、私、これを読んだのは、災害復旧における入札契約方式の適用ガイドラインということで、国交省が二十九年に出したものであります。そういう点では、発災直後に急いで契約を結んで応急復旧をやらなくちゃいけない、道路を啓開しなくちゃいけない、そういうことのために随意契約というのはあり得るんだということで、ただし、それは、ずっとそうではなくて、最初の段階だけは随契だけれども、その後は競争入札ということで、できてあったと思うんですね。だから、それでも駄目だという理解でよろしいんでしょうか。
○三木委員 今の現状では、やはり、建設業者の方が減少してきている現象がございますので、そういった事情で、この二十一条の改正案を出したということになっております。
○高橋(千)委員 私も地方の出身なので、建設業者が全くいないとか、そういうことはよく分かっております。その上で、やはりこれが逆に恣意的に利用されては困るという思いで質問させていただきました。
当委員会で城井委員も取り上げたことがあるわけですが、先ほど使った配付資料の三枚目なんですけれども、日本経済新聞の今年二月二十日付の記事であります。国発注の東北復興工事で、入札を経て契約すべき新規工事費を既存工事の費用に上乗せする変更契約が、東北地方整備局内で少なくとも五件あったとして、会計法などに抵触する可能性があると報じています。
これについて、四月二十四日の当委員会での斉藤大臣の答弁は、施工中の工事との一体性の観点から契約変更により工事を追加したということで、その例として、柱田トンネル工事を挙げていました。
この工事に追加された工事というのは、福島県の東北中央自動車道の伊達桑折インターチェンジ近くに跨道橋の橋台を造るという工事なんですね。トンネル工事の現場からは、実は七キロも離れていて、とても一体性があるとは思えない。それでも国交省は、これらの工事が適法だったと考えているのか、これは国交省に伺います。
○林政府参考人 お答えいたします。
東北地方整備局が発注した復興工事において、報道がありました五件の工事内容を変更しております。
このうちの東北中央自動車道の掛田トンネル工事について、調整の結果、トンネル工事に伴い発生した土砂運搬先を、より近傍の工事現場へ変更可能となったこと等を踏まえて、施工中の工事との一体性の観点から、土砂運搬に関する工事等を追加しております。
このように、これら五件はいずれも施工中の工事との一体性の観点から契約変更により工事を追加したということで、会計法の趣旨には反するものではないというふうに考えております。
なお、契約手続の透明性を確保することは大変重要と考えておりまして、これまでも契約変更内容を原則インターネット公表するなど、取組を進めてまいりましたが、今後、さらに、手続の透明性の確保のため、契約変更前に発注者と受注者以外の第三者から意見を聞く、意見聴取を行うことも含め、具体的な取組について検討を進めていくということにしております。
○高橋(千)委員 済みません、私、一つ読み方を間違えて、最初に読むのは掛田のトンネルであった、後の方が柱田だったと思います。
それだけではなくて、五件の工事と、日経新聞に載っているのは五件なんですが、二件については、一度は入札を実施して、応札者がなかったということで、後に変更契約という、つまり、一つの工事として追加というふうな扱いにしたわけですね。やはり、それは最初からそうではなくて、この二件については入札にかけるべき新規工事と認識していたということになると思うんですね。ところが、応札者がいないということで、急に一体性を言い出してきた。そういうやり方。じゃ、なぜ最初からそう言わなかったのかということもあるわけで、こうした対応に疑問は感じないでしょうか。発議者に伺います。
○城井委員 お答え申し上げます。
国土交通省が発注した二件の工事についてお尋ねがございました。
御指摘の点については、問題意識を共有するところであります。公共工事における契約変更の透明性の確保、また、適正性の確認は重要だというふうに認識をしております。
先ほど政府参考人からも答弁がございましたが、変更契約前に発注者と受注者以外の第三者から意見聴取を行うなどの取組をしっかりと国としても進めていただきたいというふうに思っています。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
国交省の対応は、ある意味、御都合主義になるんじゃないかと思うんです。東北復興の工事は、会計法違反の疑いがあると同時に、発注者側の勝手な解釈によって、応札者のない工事を、既に契約している工事への変更契約による追加工事として請け負わせることで、発注者である自らに助け船を出したことにもなるわけであります。
だから、同様に、最初に質問している二十一条も、幾つかの条件をつけているとはいえ、随意契約を可能とすることで、発注者である国などを安易に救済する、そのように利用される可能性はないのか。また、ないのであれば、その根拠を示されたいと思います。お願いします。
○國重委員 お答えいたします。
お尋ねのあった品確法第二十一条は、例えば、参加者が極めて限定されている地域において、二十四時間体制での速やかな対応が求められている維持工事で、過去に一者しか競争に参加していない状況が継続している場合などの条件を満たす工事を適用対象と想定をしております。
さらに、条文にもあるとおり、公募を行い、競争が存在しないことを確認した上で契約を行うことができることとしております。
このため、本条文の適用対象は限定されておりまして、かつ、公募の手続を必須としているため、安易に随意契約ができる制度ではないと考えております。
○高橋(千)委員 しっかりと今の答弁が議事録に残りますので、安易に利用されることはないのだ、限定的に運用していくんだということが確認をできたので、今後もしっかりと注視をしていきたいと思います。
今日はありがとうございました。