国会質問

質問日:2024年 5月 10日 第213国会 国土交通委員会

都市緑地法について

住民本位の緑地確保を

高橋氏提起 改定法案に反対

衆院国交委

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(写真)反対討論に立つ高橋千鶴子議員=10日、衆院国交委

 都市緑地法改定案が、10日の衆院国土交通委員会で、自民、公明、立民、維新、国民などの賛成多数で可決しました。日本共産党とれいわは反対しました。日本共産党の高橋千鶴子議員は討論で、同法案は「民間事業者の緑地確保の取り組みに、国がお墨付きと資金援助を行うことで、開発事業をいっそう進めやすくするための仕組みづくりだ」と批判しました。

 高橋氏は、「市町村が策定してきた緑の基本計画を国や都道府県の言いなりにゆがめ、自主性を損ないかねない」「都市計画決定や事業認可の手続きを簡素化することは、住民の関与を弱めることになる」と指摘。「いま東京で住民が厳しく批判している神宮外苑再開発に何の歯止めにもならない法案が、いくら緑地確保をうたってもむなしいだけだ」と批判し、「開発業者の利益最優先ではなく地域住民が望む緑地確保へ」と政策を転換するよう求めました。

外苑伐採 歯止めを

笠井氏

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(写真)質問する笠井亮議員=10日、衆院国交委

 同日の質疑で日本共産党の笠井亮議員は「脱炭素都市づくり大賞」・国土交通大臣賞を受賞した東京・森ビルの「麻布台ヒルズ」が敷地の3割を緑地化した一方で、地元住民を追い出し、高さ330メートルの超高層ビルを建設しているとして、国は超富裕層しか住めない巨大再開発にお墨付きを与えるのかと批判。斉藤鉄夫国土交通相は「国の評価・認定基準は今後決める」と答弁しました。

 笠井氏は都内の日比谷公園、葛西臨海水族園、篠崎公園、神宮外苑など「今ある樹木の大量伐採が大問題となっている」と指摘。伐採に歯止めをかけ、樹木を守ることに役立つ法案かと質問。斉藤国交相は、法案は個別の事業の是非を取り扱うものではなく、外苑再開発は「東京都が住民の意見も聞きながら進めている」などと開き直りました。笠井氏は「住民に知らされず進められている」と指摘。「いま必要なのは緑地保全のための規制強化だ。法案は住民の関与を弱め、規制緩和を進めるもので、緑地確保に名を借りた再開発支援法案だ」と述べ、廃案を求めました。

(「しんぶん赤旗」2024年5月14日付)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、都市緑地法一部改正案に反対の討論を行います。
 第一の理由は、民間事業者の緑地確保の取組に国がお墨つきと資金援助を行うことで、開発事業を一層進めやすくするための仕組みづくりとなっていることです。
 今、都内でも商業地を中心に超高層ビルの建設ラッシュになっていますが、開発ゾーンに一定の緑地を確保することが国際的なスタンダードとなっています。
 法案は、緑地確保事業者が作成する優良緑地確保計画を国土交通大臣が評価、認定する制度を創設するとともに、認定を受けた取組について、都市開発資金の無利子貸付けを受けることができるようにするものです。従来の開発事業に国のお墨つきのついた緑地確保の取組を組み込むことで、国際的な評価を高め、投資を呼び込み、都市部の開発を一層進めやすくしようというものです。一部のディベロッパーを優遇し、東京一極集中を更に推し進めるものと言わざるを得ません。
 第二は、国の基本方針、都道府県の広域計画は、市町村が策定してきた緑の基本計画を国等の言いなりにゆがめ、市町村の自主性を損ないかねないことです。
 現行法が緑の基本計画の策定の主体を市町村としてきたのは、住民に身近な市町村が担うことがふさわしいとされてきたからです。
 本法案は、市町村の緑の基本計画にかぶせるように、国に基本方針の策定を義務づけ、都道府県に広域計画の策定ができるようにしようとするものです。これまで住民本位のまちづくりの一環として自主的に行ってきた市町村の取組が、国や都道府県に縛られることになりかねません。
 しかも、国の基本方針は、リニアや新東名高速道路などの大型開発を推進する国土形成計画との調和を保つこととされており、市町村の基本計画が、そうした国が目指す方向にゆがめられかねません。
 第三は、民間事業者による緑地の機能維持増進事業として実施するための都市計画決定や事業認可の手続を簡素化することは、当該手続における住民の関与を弱めることになるからです。
 公告縦覧して住民からの反対意見の提出がなければ、都市計画審議会への付議を要しないということになります。現行の手続では、計画案を公告縦覧して反対意見がなくても、都市計画審議会に付議することになっています。それは、都市計画案に住民の意見を反映させる重要なプロセスだからであり、変えるべきではありません。
 最後に、今東京で住民が厳しく批判しているのは、神宮外苑再開発です。樹木を大量伐採する事業に何の歯止めにもならない本法案が、幾ら緑地確保をうたってもむなしいだけです。ディベロッパーの利益最優先ではなく、地域住民が望む緑地確保へ政策の転換を求め、反対討論を終わります。

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