国会質問

質問日:2024年 4月 25日 第213国会 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会

マイナンバーカードとデジタル行政手続法について

自治体サービス後退も

デジタル法案で高橋氏が指摘

衆院特別委

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(写真)質問する高橋千鶴子議員=25日、衆院地こデジ特委

 マイナンバーカード機能をスマートフォンに搭載可能とし、法人や不動産の登記など公的機関が管理する情報を一元化するベース・レジストリの整備などを規定したデジタル社会形成基本法等改定案が25日の衆院地域・こども・デジタル特別委員会で自民、公明などの賛成多数で可決しました。日本共産党は反対しました。

 政府はアプリが本人確認を行うため、マイナンバーカードを持ち歩く必要がなくなるとしています。共産党の高橋千鶴子議員は、本人確認アプリを民間と国が開発する理由を質問。デジタル庁の村上敬亮統括官は、本人情報の送信はスマホの民間アプリのウォレットで行うが、確認機能は現時点で存在せず、国は署名認証アプリと氏名などの4情報を送信する券面アプリを開発すると説明しました。

 ベース・レジストリは国と地方自治体のデジタル共通基盤の一部として活用を検討し、国と事業者がシステムを所有・共通化して、自治体業務を移行していくというもの。高橋氏は、アプリを通じて国が国民のさまざまな利用情報を集積するとの批判があると指摘し、ベース・レジストリでは法人登記情報等を共有し、民間も利用するものの、機微な情報は共有しないことを確認させました。

 また、自治体業務の「標準化」から「共通化」への移行で「自治体の裁量がなくなっていくのでは」「全体として共通化を進めていくのか」と質問。河野太郎デジタル相は「業務は標準化、システムは共通化していく」と答弁しました。

 高橋氏は、自治体独自の取り組みが損なわれず、尊重されることが必要だと主張。河野氏は「標準化された業務の中で独自色を発揮してもらう」と述べるにとどめました。

(「しんぶん赤旗」2024年5月1日付)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 市役所でマイナカードの申請を担当しているある職員の方が言っていました。暗証番号をまず決めてねと言った後に、書くんですけれども、その後、申し訳ないがこれとは別の番号を更に決めてくれと言うと、えっ、そんなに覚えられないと言われてしまったそうです。
 それはそうだと思うんです。高齢者じゃなくたって、幾つもの番号、忘れるし、忘れないようにどこかに書いて番号を貼り付けていたら意味がないわけです。
 それぞれの場面で四種類の暗証番号が必要であります。手続が煩雑だとか、覚えられないなどの声がありますが、次期カードではこれをどのようにしていくのか、伺います。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
 本年三月に次期個人番号カードタスクフォースというところで最終取りまとめをし、方針を固めたところ、今御指摘のとおり、四つある暗証番号を、それを使うアプリケーションも二つに、暗証番号も四桁一つ、六桁以上一つの、二つにまとめるということで、分かりやすくなるように近づけたいというふうに思ってございます。
 引き続き、御指摘のような点も踏まえ、魅力的なカードを実現するという観点から、利便性向上に向けてしっかり検討してまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 二種類でも大変だなと思いつつ、まず減ったということであります。
 それで、マイナカードのスマホ搭載について、今回の法案なんですけれども、今、前の質疑者でもありましたように、スマホの所持率が非常に高いという中で、そうはいっても、乳幼児などもいるわけですから一〇〇%にはならないし、その必要もないと思うんですね。ただ、一家で数台持っているという事実にはなっていると思うんです。
 それで、そのスマホ搭載をどこまで進めるのか。つまり、もうスマホにマイナカードの情報を入れてしまえばマイナカードを持たなくていいですよとおっしゃっています、政府は。ということは、マイナカードそのもの、なくてもいいという発想にいずれなっていくということでしょうか。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の能登半島でも、つくづくスマホに載っていればと思う局面がたくさんございました。
 実際、やはり、スマホに載っておりますと、マイナポータルでの申請や自己情報の閲覧などをするときにもかざさなくていい。今でも、アンドロイドで、載っているものについては、コンビニ交付サービスでも置けばもう同じように使えるというようなことで、行政サービスではもちろんでございますけれども、公的個人認証の民間サービスでも使ってほしいと考えてございます。そうした民間アプリとの連携というときにも、やはり、カードをかざさなくても、スマホ搭載版を使っていただければ、いろいろな形で民間ビジネスにも使っていただける余地が増えるということで、是非とも進めたいというふうに考えてございます。
 今国会では、デジタル社会形成基本法等の一部の改正法案の提出の中で、マイナンバー法の改正により、既に措置済みのマイナンバーカードの電子証明書機能に加え、マイナンバーカードが保有している基本四情報、氏名、生年月日、住所、性別、マイナンバー、それに加えて顔写真もスマートフォンに搭載し、本人の了解の下で相手方に提供していくようにしたいということでございます。できるだけ多くの方に使っていただけるようにということでございます。
 なお、最後に御指摘のありました物理的なカードをなくすことにつきましては、スマートフォンを、搭載する際にはカードでの本人確認が必要なこと、つまり、携帯を売るときに最初から入って売るということができませんので、どうしても、携帯を買っていただいた後にスマホ搭載のアプリを落とすという順番が変えられないものですから、そのためにも親元になるカードは必要だということ。
 それから、やはり、スマートフォンの場合は、人によっては頻繁に入れ替わる可能性がございますけれども、カードの有効期限は相当長いこと、それから、もちろんでございますが、スマートフォンをお持ちでない国民の皆さんもいらっしゃるということでございますので、中長期的には技術的に何か代替策がないかということは検討してまいりますが、当面はカードをなくすことは考えていないということでございます。
○高橋(千)委員 いろいろ順番に聞こうと思ったのをいろいろまとめて答弁をされたなと思っていたんですけれども。
 できるだけ多くの方に持っていただきたい、でも、なくすわけではない。確かに、スマホというのは機種変が物すごく頻繁にありますし、それに忘れやすいというのもあるし、避難所に持っていっていても充電していなければ意味がないし、そういうこともあるということは言っておきたいなと思うんですね。
 それで、認知症の高齢者など、暗証番号の要らないマイナカードが発行できるようになりました。これは、スマホの場合は、スマホにこれができますかということと、本人確認以外は、暗証番号を使えなくても顔認証ができるので、本人確認はできる、ただ、それ以上の、政府が言っているマイナカードのメリットというものは使えないという考え方でよろしいでしょうか。これは大臣に。
○河野国務大臣 顔認証マイナンバーカードは、暗証番号の設定や管理に不安があるという方も安心して利用できるようにしてほしいという御要望を受けて作ったものでございますから、顔認証マイナンバーカードは、電子証明書の利用、これは顔認証に限定をせざるを得ないということになります。
 ですから、マイナポータルで情報を確認したり、コンビニ交付サービスで証明書を発行したり、あるいはスマホ搭載をということが、これはできないということは御容赦いただきたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 これは確認をいたしました。
 次に、資料の1なんですけれども、下の方の、デジ庁が作った資料ですけれども、スマホのみで本人確認が行えるようになるんだと。その際に、今は左側ですよね、マイナカードを使って、J―LISに送信をして本人確認をする。これが今度は、マイナカードがなくても、アプリを使ってカード代替電磁的記録という形で本人確認をするんですけれども、条文上は、記録を送信するときは、つまり右側ですね、内閣総理大臣の認定を受けたプログラムのみである。認定を受けたプログラムというのは、平たく言うと民間のアプリです。確認に用いるプログラムは、国が開発したアプリ又は民間のアプリ。これは、又はと、両方ある、この理由は何でしょうか。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
 ちょっと用語が難しくて恐縮でございますが、本法でも申し上げていますカード代替電磁的記録、これは、例えばマイナンバーカードでいうと、今でも四情報がカードのチップの中に入ってございますが、それを携帯に搭載した場合は、携帯には、鍵の組合せと、それから四情報が入っている、勝手には開けられないセキュアなファイルを両方お届けをする。恐らく今後、ほかの形で、スマホ搭載された、例えば国家資格であるとかそういうものを使うときも、鍵で本人を確認するということと、カードであれば券面に書いてあるものをスマホの画面で表示をするといったようなときにも、こういったカードの機能が使えるようにというふうに考えているものでございます。
 御指摘いただきました送信用プログラムというのは、その携帯の中に載っているセキュアなファイルをリクエストに応じて送るためのプログラムでございます。これは、一般の今のマーケットに出ている機種でいえば、シンプルに申し上げますと、iPhoneであればアップルウォレット、アンドロイドであればグーグルウォレット。でも、技術的機能としてはこれと全く変わりませんので、あえて国が二つ目を作ることなく、中身はきちっと認定審査をさせていただいた上ではございますが、このウォレット機能をそのまま、送る方は使わせていただこうと。
 片方で、その載っているファイルを見せてくれといってリクエストをする側がございます。これが御指摘をいただきました確認用プログラムということでございますが、これは、それぞれの用途や、例えば銀行であるとかいろいろな方が、あなたの携帯に載っている四情報を見せてくださいということを、依頼をかける方のプログラムでございます。
 これにつきましては、利用を広げたいということから、国でも皆さんに使っていただけるようにプログラムを作らせていただきますが、民間でもそれは、自分のいろいろなサービスの中でその機能も持ったものも作るからそれもいいことにしてくれというお話もあるということでしたので、国も作りますが、民間が作ったものも使っていただいても差し支えないんじゃないんでしょうかということで、結果として非対称な制度になっている、こういうことでございます。
○高橋(千)委員 まず、送る方はウォレットを使うということでありました、私も使ったことはありますけれども。
 今説明を聞いていて、後の方は、要するに、見せてくれということになるので、よりプライバシーの機微な情報になるから国なのかなと思っていたら、逆なんですね。国も使いたいからというお答えであった、そういうことですよね。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
 確認というか、その書類を下さいとリクエストする方は、送信用と違って、送信用の方は、もう携帯を買えばウォレットがありますので、既に必ずあるものですからあえて作りませんということですが、送って見せてほしいという方は、今現在アプリがございませんので、国が作ったものを使いたいという方がいればそれを差し上げますし、自分で作りたいという方がいればそれを確認、認定をさせた上で使わせていただくということで、恐縮でございますが、国が使いたいからということではなくて、今存在していないのでどちらでもいいようにしたい、そういう趣旨でございます。
○高橋(千)委員 いや、そう言ったと思うんですが、最初の答弁は。
 元々、よく分かるんですが、最初の方は、送るだけなので、もうできている。既に民間のサービスがあるし、そもそもマイナカードを使って本人確認をやっているということも実績としてもう既にあるので、これはもう自然だというふうにおっしゃっているんだと思うんですね。
 それで、今回政府は、今の本人確認のアプリ以外に、例えば、性別を券面から削除する代わりにICチップに性別の情報を記録して、読み取りアプリを無償配布すると言っていますよね。それから、法案にはないんですけれども、ログイン認証のためのアプリも国として開発するという報道があります。これは一体幾つ国はやるんでしょうか。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
 ちょっといろいろな問題がありますので、どこかで整理を、切らせていただきますと、今回、この法令改正を受けて、スマホ搭載を次にやるに当たって、同時にリリースすることを考えておりますアプリは二つ、署名、認証を行う認証アプリと、それから四情報を送ったり券面の入力補助をしたりする券面等アプリ、この二つのアプリでございます。
○高橋(千)委員 でも、私が言ったことは今検討しているということで間違いないですよね。
○村上政府参考人 ちょっと、どういったお話であるかをしっかりと確認をさせていただく必要があろうかと思いますが、ほかにも、便利なサービスでリクエストがあれば、いろいろ検討させていただきたいと思っております。
○高橋(千)委員 今日最初の質疑で井坂委員が先にやってくださったんですけれども、報道の中で、国が、やはり、アプリを使って情報を一元化するという指摘が、抜けていくんだとか、様々な報道の中で指摘をされているということで、昨日の時点で、法案とは違うけれども作りますということは確認しておりますので、その上で質問させていただきました。そこをまず、マイナカードの問題が、今こうした形で国が利用を広げようとしているんだなということが確認できたと思うんです。
 その上で、次に、公的基礎情報データベース、ベースレジストリーについて伺います。
 ベースレジストリーは現在幾つの分野が指定されているのかと、それで、今回、法人、不動産レジストリーから始める理由は何か、お願いします。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
 ベースレジストリーにつきまして、分野を指定しているわけではございませんけれども、二〇二三年七月のデジタル大臣告示におきましては、商業登記、不動産登記、町字、文字、法令などのデータを指定をしております。
 具体的な整備の対象につきましては、データ戦略ワーキンググループやデジタル臨時行政調査会等における議論を踏まえ、制度横断で、多数の手続等において参照され、国民の利便性向上と行政運営の簡素化、効率化につながるデータとして、法人登記関係、不動産登記関係、住所、所在地関係データベースから検討することといたしました。
○高橋(千)委員 今の指定の問題は、令和三年、令和五年と順番に指定されてきているので、もう少し丁寧にお答えくださってもよかったのかなと思っております。
 それで、資料の3に「ベース・レジストリとして法人基本情報のデータを整備することの意義」というふうな資料がございます。これまで、住所や法人名が変わったなどの手続を関係する行政機関に一つ一つ持っていかないといけなかった、この左側の矢印ですよね。これは四つしか書いていませんが、点々々があるので、実際は、四つどころじゃなく、たくさんあるということです。これが、今回は、「マスターデータ」とここに書いてありますけれども、一回問合せをすれば全部済んでしまうということで、飛躍的に楽になるというのは思います。
 各制度においては、大きいところで年十万件以上の法人基本情報の変更手続が行われていて、潜在的には八十二万件くらいの変更があるというふうに聞いています。そういう意味では、法人の皆さんにとっては大変楽になるというのは事実だと思うんですね。
 それで、問題は、この資料の右にあるんですが、「目指す姿」と書いていますよね。「法人基本情報は共有」なんですね。このイメージを御説明いただけますか。
○楠政府参考人 今御質問のございました、この「法人基本情報は共有」というところの意味でございますけれども、かねて、例えば法人登記情報そのものは、登記情報システムにおいて管理をし、法務局等において紙を出しておりましたけれども、残念ながら、これはシステムで連携しておりませんでしたので、例えば法人が住所を変更を行った場合等を考えました場合に、本来であれば、登記情報を、住所、所在地のところを書き換えれば、それは公示されているのだから見ることができるはずですけれども、実際には、それぞれの行政手続において、法務局に行っていわゆる登記の謄本を取得をし、これを所在地変更届とともに、いろいろな許認可をしている省庁であったり、もろもろに対して個別に提出をしていたというところが現行の行政手続でございますけれども、そうではなくて、きちっと法人番号を御登録をいただいて、一度手続をしておけば、所在地の変更等については、それぞれの機関において個別に手続を行うのではなくて、これは、ベースレジストリーを見て、ああ、この会社は引っ越したんだなということで、特段の手続を行わなくてもこの手続が行われたものとみなすことができる、そういう状況をこの法人基本情報を共有した世界ということで実現してまいりたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 最初の手続をするときは、その企業の皆さんが、自分のところの住所が変わったんだよとか法人名が変わったんだよということで手続をすると思うんですよ。そうすると、どことどこに届出しなきゃいけないのは分かっていて、元々やっていたわけですから、それが省略できるというところまでは分かるんです。
 だけれども、ここに書いているのは、各データを組み合わせることが容易になり云々ということと、データの民間利用についても民間企業同士の取引効率化にもつながる、つまり一回の手続で済んだ後の利用というのも念頭にあるということですよね。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
 今、民間との関係の話が出ましたけれども、民間においても、例えば郵便物を送ると、様々な理由で相手先企業の所在地というものを必要とする場合がございますけれども、これもやはり、民間の商取引の場合には、いわゆる行政手続とは異なりますので住所変更届みたいなものがあるわけではないですけれども、例えば商慣行で申しますと、所在地を変更した場合に、過去に名刺交換をしたことがあるような会社の方に対してお手紙で移転いたしましたみたいなことをこれまでであればやって、そういった手紙を見て、郵便の送り先の情報を書き換えたり、もろもろのことをされていたと思うんですね。
 今後、こういうベースレジストリーが整備をされて、ただ、これは当面、国の機関でのみの利用としておりまして、民間に関しましては、所在地に関しては、今、国税庁で出されている法人番号のデータベース等で見ることができますけれども、当面、民間に関しましては、登記情報に関しましてはこれまでどおり法務局に取りに行っていただく必要はありますけれども、ここは、ニーズとしては民間もあるというところは承知をしておりますし、そういった中で、民間も含めて参照できるデータに関してはベースレジストリーの中できちっと提供できる。例えば町字のコード等に関しましては住所の表記揺らぎを解消していく上でも重要になってまいりますし、幾つかのベースレジストリーは民間も含めてお使いをいただくというところを考えております。
○高橋(千)委員 ということは、後のと私は聞きましたけれども、やはり法人の情報にはたくさんの機微な情報も含まれているわけですので、住所が変わったとかそういう単純なものではなくて、データが別に利用されるということはないということでよろしいですか。
○楠政府参考人 もちろん、共有して大丈夫なものから進めておりますし、そういった機微な情報をデータベースとして共有するという趣旨ではないというふうにお考えいただいてよろしいかと思います。
○高橋(千)委員 確認しました。
 次に、今の法人ベースレジストリーを通して、各行政機関に、今のこの表なんですけれども、それぞれ出していた届出が不要となるというときに、行政機関には当然地方自治体も含まれるというか、むしろ多いかなと思うんですね。それで、新たに地方自治体が求められる、例えばインフラ整備とか体制強化とか、何かあるんでしょうか。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
 変更届出を不要とする仕組みは、これは、自治体に関しましては、義務ではなくて、任意に応じて使うものでございますけれども、法案成立後、自治体が変更届出を不要とする際に、自治体が管理するシステムについては、当該自治体によるシステムの改修が必要となるということはあり得るのではないかというふうに考えております。
 現在、デジタル庁において、データ連携を行うための方法の検討を進めておりまして、今後、自治体におけるシステム改修等の詳細についても検討してまいりたいというふうに考えております。
 なお、商業登記関係データベースを整備することにより、自治体の行政職員が登記情報をオンラインで確認することができるようになる等の事務負担の軽減につながることから、当該データベースが広く活用されるということを期待しております。
○高橋(千)委員 今、システムの改修が必要になるというお話がありました。今、自治体を含めての検討会の中では、その予算ですとか財政措置が大変だという声が出ているというのもあると思うんですね。
 今までは法人情報のレジストリーの話をしていたんですが、それが広がっていったときの、次の資料のところなんですけれども、「共通化を含めたシステム整備のパターン」というふうになっています。左側に、共通化、国、事業者。そして、標準化の下に自治体とあるわけですね。個別開発、自治体と。
 囲みのところを読みますけれども、「まずは、自治体への二十業務標準化支援に最優先で取り組みつつ、二十業務以外の共通化すべきシステムについては、自治体のニーズを吸い上げつつ、共通化の必要性を見極めた上で、業務の性質や、既存システムの態様、共通化によるメリットの実現可能性に応じ、可能なものから移行。」していく。移行なんですよね、これは矢印がついていますので。
 自治体の標準化ということが、これまではガバメントクラウドの問題で話題になっていたと思うんですが、これからは共通化と呼ぶのか。もっと自治体の裁量がなくなっていくといいましょうか、義務ではないとさっきおっしゃったから義務だとは言いませんけれども、全体としては共通化になっていくという理解でよろしいでしょうか。
○河野国務大臣 我が国は、今、人口が減少し、高齢化が進んでいく中で、自治体の職員の数も増やすということは、これは将来的になかなか難しくなっております。
 これまでは、千七百四十一の自治体の多くが個別で自らのシステムを開発をし、何か制度変更があればそのシステムを更新をしということをやってまいりましたが、もはやその手間をかけることに余り意味がない。今までは、それぞれの自治体がシステムをつくり込むということに注力をしてくれましたけれども、むしろこれからは、業務は標準化、システムは共通化して、国が提供をし、そのシステムをしっかりと使いこなしていくというのが大事なんだというふうに思います。
 今までは、地方自治というかけ声の下、システムもそれぞれの自治体にお任せをしておりましたけれども、地方自治で大事なのは政策の選択をするところであって、セキュリティー面を考えれば、やはり、共通化したシステムの上に移行してきてもらって、むしろそのシステムの上で提供されるサービスをいかに使いこなしていくかというところに自治体には注力をしてもらう、そういうことでございます。
○高橋(千)委員 今、業務は標準化、システムは共通化という解説をしていただきました。
 そこで、自治体の皆さんは、最初のところが大変な思いをして、人もいないし、人もいないどころか、そもそも一つの課で幾つもの課をかけ持ちしているというような形で、大変な苦労をされている中でこれまで進めてきたわけなんですね。
 ただ、私は、共通化できるところというのはたくさんあると思うんですよ。つまり、国として、どこに住んでいても標準的にやらなきゃいけないサービスというのがあるだろう。そういう意味で、地方がやることに対して確実にできるように保障するというのは必要だと思うんです。だけれども、やはり自治体が独自に頑張ってきたことというのがどうなるのかという不安はもう一つあるわけですよね。
 最後の資料になるわけですけれども、左側に「共通化に関連するこれまでの取組」ということで、介護だとか子育てだとか防災だとか、あと健康管理だとか、いろいろあります。生活保護なんかは、国が本当に責任を持って、自治体負担なんかなくしてしまってほしいという思いがすごくあるわけですけれども、だけれども、本当にここの町は子育てに力を入れているよとか、そういう取組というのはあるわけですよね。そこが損なわれないというか尊重されるということは、やはり大事、このシステム整備の中でも必要なことだと思っているんですが、それはどうなんでしょうか。
○河野国務大臣 先ほど申し上げましたように、政策の選択というのは、地方自治でございますから、我が町がどのような政策を取るのか、これはもう自治体がお決めになることでございます。
 ただ、その政策を実行していく中で、今までは、システムにも注力をし、様々な業務のやり方も、地域独自で業務のやり方を考えてこられましたけれども、もはやそこにリソースを割く余裕はこれからなくなってまいりますから、共通化したシステムを提供し、標準化された業務の中で、政策の立案、政策の選択というところは、これまでどおり自治体の独自色を発揮していただくということになります。
○高橋(千)委員 独自色を発揮していただくと言ってくださったことはとても大事だと思っているんです。そこを、やはり財政的にも権限的にも保障していただかないとうまくないなということなんですね。
 一番最初の質疑で小林委員がおっしゃっておりましたけれども、人口減少の時代だからこそ、この瞬間はやはり人をきちっと手当てしていくことが必要なんだ、これは私、賛成であります、必要だと思っております。
 それと同時に、今、誘導策になってはならないわけですよね。例えば、デジ田交付金がマイナカードの普及率によって上乗せされていくとか、もう選びようがなくなって、やはり補助率が高いところを選ぶとそれしかないよねみたいなことになってはならないと思うんですね。
 それから、とても残念なんですけれども、例えば、スマホを利用していれば敬老パスに代わるサービスを受けられますよ、障害者のバス代補助を受けられますよということがあるんだけれども、でもスマホがなかったら受けられません、そういう自治体も起こっています。それは、進めようとする国の方向性に自治体がのっとっていくことによって、結局、それこそ取り残される人が出てくる。それではやはりよくないと思うので、そこをしっかりと保障しますということも、では、併せて言っていただけるでしょうか。
○河野国務大臣 デジタル化、誰一人取り残されないように進めていきたいというふうに思っております。
 ただ、その中で、先行して行ける方、あるいはゆっくり歩かれる方、そのスピードは様々だと思いますので、先行して動ける方を足止めをするということもこれはいかぬというふうに思いますので、みんながそちらの方向で、様々なスピードの違いはあっても動いていける、今よりもより便利に、より豊かになれる、そういうデジタル化をしっかり目指していきたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 とてもいいことをおっしゃったんですが、スピードは様々なので足止めはしないでとおっしゃったんですが、大臣が、健康保険証を廃止してマイナカード、マイナ保険証にしろと言ったときに、五年の準備を五か月に読み替えてと言ったわけですから、やはりそれはスピード様々ということに合っていないですよね。このことは指摘をさせていただきたいと思います。
 それで、マイナ保険証の話を最後にしたいなと思うんですけれども、利用が広がっていなくても予定どおりの健康保険証廃止だとおっしゃっていると。
 それで、これというのは、やはり医療の分野で、パーソナルヘルスデータですとか、その分野での、国際競争力に勝つというんでしょうか、日本のデータを本当に生かしたい、そこがあって、一人一人の速度に合わせたらそこまで急がなくたっていいし、選択制でよかったはずなのに、でも廃止は変えませんよと言っているのは、やはりそういう狙いがあるからなんでしょうか。
○河野国務大臣 これまでも繰り返し申し上げておりますが、薬剤情報、診療情報を医療機関が閲覧をすることができて、投薬の重複などを防ぐことができるという意味で、医療の質は向上してまいります。また、御自身が薬剤情報、健診データをマイナポータルで確認をすることもできる。また、APIを活用することで、薬剤情報を民間の提供するデジタルのお薬手帳などと連携をし、国民の皆様の利便性というのは大分向上してきたのではないかと思います。
 また、今後、医療情報について、様々なデータを匿名化し、適切な情報の取扱いをした上で、ビッグデータとして扱って、よりよい治療法、よりよい治療薬を開発をしていくということも期待されているわけでございますから、こういうメリットをなるべく早い段階で発揮できるように努力していきたいと思います。
○高橋(千)委員 やはりそこが政府の本音なのかなというふうに思うんです。
 なぜなら、前段の、質が向上しますとか、マイナポータルで自分のいろいろな履歴を見ることができますと。それは、メリットかもしれないけれども、必然ではないわけです。それを望む人はいいけれども、必然ではない。だから、それは理由にはならないわけです。義務やみんなでやらなきゃいけないということの理由にはならない。それはお認めになりますよね。
○河野国務大臣 ちょっと言っていらっしゃる意味がよく分からないんですが、国民全体の医療の質、利便性の向上につながるものだと思っております。
○高橋(千)委員 残念ながら時間が来ましたが、意味が分からないとおっしゃいましたけれども、利便性が上がるとかメリットがあるということは、必ずやらなきゃいけないということの理由ではないということ、これははっきりと指摘をしておきたいと思います。また次の機会にやります。
 ありがとうございました。

【資料】2024.4.25 地域・こども・デジタル特委 資料

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