国会質問

質問日:2024年 4月 24日 第213国会 国土交通委員会

タクシー特措法(ライドシェア問題について)

ライドシェアありき

高橋氏 論点整理指示ただす

衆院国交委

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(写真)質問する高橋千鶴子議員=24日、衆院国交委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は24日の衆院国土交通委員会で、岸田文雄首相がタクシー以外の事業者のライドシェア参入に向けた法制度の論点整理と規制改革推進会議への5月中の報告を指示したことは、ライドシェア導入ありきで、拙速ではないかとただしました。

 高橋氏は、4月に始まった自家用車活用事業の実施状況を質問。国交省の鶴田浩久物流・自動車局長は、東京、神奈川、京都の3都府県で許可事業者は90社、稼働台数は1037台、運行回数は6096回、ドライバーは521人だと明らかにしました。

 高橋氏は、タクシーの供給過剰のおそれがある「準特定地域」の指定が2023年10月で144地域もあり、制度を始めた15年度149地域からほとんど減っていないと指摘。市長も慎重姿勢を示す仙台市を含め、5月から準特定地域10都市で自家用車活用事業を認めるのはなぜかと質問。鶴田局長は「供給過剰のおそれは、車両数のことであり、タクシー不足とは運転者不足のことで矛盾しない」と弁解しました。

 高橋氏は、論点整理と5月中の報告を指示することは、ライドシェアありきと言われても仕方がないと批判。斉藤鉄夫国交相は「結論を出すわけではなく、論点整理だ」と言い逃れました。

(「しんぶん赤旗」2024年4月25日付)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 先ほども質疑がありましたけれども、二十二日のデジタル行財政改革会議において岸田総理から、タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業に関わる法制度について、論点整理を五月の規制改革会議に報告をと発言がありました。大臣はどのように受け止めたのか、伺います。
○斉藤(鉄)国務大臣 高橋委員御指摘のとおり、一昨日、デジタル行財政改革会議において岸田総理より、データを検証して、地域の移動の足不足解消の状況を確認し、制度改善を不断に行ってください、あわせて、タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業に係る法制度について、六月に向けた議論において論点整理を行い、五月中に規制改革推進会議に報告してくださいとの御指示があったところでございます。
 総理の御指示を踏まえ、六月に向けた議論において、データを検証して、今、四月からいろいろな試み、二号、三号、いろいろの試みを行っております。このデータを検証して地域の移動の足不足解消の状況を確認し、そしてその上で、論点整理を丁寧に進めていきたいと思います。
○高橋(千)委員 質問は、どのように受け止めたのかということでありました。総理から指示されたので、やるしかないなということでよろしいんでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 総理からの指示でございます。岸田政権の閣僚として、その総理の指示に従い、論点整理を行いたいと思いますが、そのときの姿勢として、データを検証して、しっかり行っていきたい、このように思っております。
○高橋(千)委員 いささか残念だなと思っております。
 四月から始まったばかりですから、来月までに論点整理を出せというのは余りに早いと一言おっしゃればよかったんじゃないでしょうかと思います。
 四月から始まった自家用車活用事業、これは既に一万人以上のドライバーの応募があったという報道がありました。また、十五日までに都内で三千回の利用があったという報道もありました。内容について、分かっていることを御報告いただきたいと思います。
○鶴田政府参考人 既に事業を開始しております三地域、東京、神奈川、京都の合計で、四月二十一日現在ですけれども、許可事業者が九十者、稼働台数が千三十七回、運行回数が六千九十六回。ドライバー数は、これは四月十五日現在ですけれども、五百二十一人という実績でございます。
○高橋(千)委員 では、応募があったという報道はあったけれども、実際にドライバーとして採用というんでしょうかね、実働してもらったのはこの人数、五百二十一人だという理解でよろしいんでしょうか。
○鶴田政府参考人 実際に路上に出て走ったドライバーの数の延べ人数が五百二十一人ということでございます。
○高橋(千)委員 確認しました。
 ちょっと、数だけ、最初報道された数字だけ見ると、そんなに応募があったのかというふうになってしまいますので、幾ら何でもちょっとあり得ないのかなというふうに思いました。
 それで、今回、タクシー特措法に基づく報告を受けました。改めて確認したいんですが、特定地域というのは、タクシー事業が供給過剰であると認められる地域である。なので、新規参入、増車は禁止とされていると思います。また、この特定地域が二地域であるということ。それから、供給過剰のおそれがある地域として指定される準特定地域は、新規参入が許可制、増車も許可制となっておりますが、これに該当するのが百四十四地域とのことであります。
 それで、特に準特定地域がほぼ減っておらず、車両数ベースでは全国の約八二%を占めるということなんですが、なぜなんでしょうか。
○鶴田政府参考人 特定地域と準特定地域におきましては、日車営収の改善が認められる一方で、今般の国会報告の対象期間、これは令和四年度末まで、つまり一年ほど前までの期間でございます。
 この期間におきましては、新型コロナウイルスの影響を受けて輸送需要が減少していて、日車営収などの各種の指標を平成十三年度、これが基準でございます、この平成十三年度と比較すると、多くの地域で依然として低い水準となっている。こういったことから、指定地域が余り減少していない状況になっているというふうに認識してございます。
○高橋(千)委員 指定地域が減少しておらないというのは、それはですから、日車営収が余り改善していないという意味で今お答えになったと思うんですが、逆に言うと、供給過剰な状態にあると思うんですが、それでも減らないということだと思うんですが、それは、この今の理由だけでよろしいんですか。ほかに何かありますか。
○鶴田政府参考人 地域指定は、あらかじめ定めてある基準、各種指標に基づく基準で行っておりますので、その指標が、令和四年度末までの期間においては地域指定を解除する状況には至っていないということかと思います。
○高橋(千)委員 もう少し具体的におっしゃってくださればよいかなと思うんですが。
 それで、ちょっと中身に入っていきますけれども、例えば需要喚起策として、配車アプリの導入促進とかキャッシュレス化など、取組を進めてきましたと報告があります。タブレットとか、もう大概のタクシーについておりますけれども、様々な機器の導入というのは大変運転手にとっても負担だと思います。
 それで、二つの角度から、まず、いろいろな機械の維持経費というのは運転手に負担させないということで徹底できているのか。それから、いろいろな機械があり過ぎて、一定、年配の運転手にとっては、もう覚えられない、説明できない、あれもこれもやらなきゃいけなくてとても負担だということがあるわけですね。それに対する対策というのは取られているのか。二つ伺います。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
 その前に、先ほどの地域指定の話につきましては御指摘のとおりで、日車営収がまだ基準に達するほど上がっていない、そのためにまだ地域指定が解除されていないということでございます。
 それから、今の御質問に関しましては、タクシー事業に要する経費をドライバーに負担させるという慣行につきましては、タクシー特措法の改正の際の附帯決議におきまして、事業者は見直しに努めるということとされております。
 これを踏まえまして、今二つ御指摘がありました、タブレット等の維持経費、それから研修の費用、こういったものも含めまして、タクシー事業に要する経費をドライバーに負担させている慣行がある場合には、国土交通省が行います監査など様々な機会を捉えまして、改善されるように働きかけをしておりまして、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 私、乗るたびにいろいろ聞きますので、そうすると、やはり、もちろん会社がちゃんとやっているよというところもあれば、そうでないところもありますので、現実は、そのように指導されていると言っても、そうなっているかというのを踏み込んで調べていただきたい、徹底していただきたいということを重ねてお話ししたいと思っております。
 そこで、仙台市については、実は昨年十一月に本委員会で紹介をしまして、全国の主要都市の中でも規制緩和の影響が最も強く出た都市として紹介しました。どういうことかというと、規制緩和を行った平成十三年を一〇〇とすると、平成十八年は、実在車両数、延べで一四七、一〇〇に対して一四七、実働車両数は一三六ということで、全国の中で一番多い。明らかに過剰だったと思います。駅前を見ると一目で分かるわけなんですけれども。
 それが現在、どのくらいになっているのかということと、なぜ今も、供給過剰のおそれありとして準特定地域に指定されている十都市ですかね、国交省はライドシェアの導入を認めているのか。二つ伺います。
○鶴田政府参考人 まず一点目でございますが、仙台市において、平成十三年を一〇〇としますと、令和四年度におきまして、実在車両数は一〇三、延べ実働車両数は七四となってございます。
 それから二点目でございますけれども、タクシー特措法に基づく地域指定につきましては、タクシードライバーが十分にいるということを前提にしまして、そのタクシーの車両数が供給過剰状態にあるかどうかという観点で、指標に基づいて地域指定を行ってございます。
 現在、この仙台を含めまして、タクシー特措法の指定地域におきましても、地域や時間帯によってはタクシー不足が生じております。これは、タクシー運転者、ドライバーの不足により生じているものでございます。
 具体的には、指定地域におきましては、タクシー事業者が保有するタクシー車両、車両数は供給過剰又はそのおそれがある状態だ、しかし、タクシードライバーの不足によって実際には稼働していない車両が多数ある、こういったことで、利用者の立場からはタクシーがつかまらないという状態が発生してございます。
 したがいまして、タクシー特措法による措置と自家用車活用事業の実施が矛盾するものではございませんけれども、国交省としましては、コロナ禍で急減したドライバーの回復にしっかりと取り組んで、地域の皆様がタクシー不足によって移動で困ることがないように対応してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 令和四年度で、先ほどの、平成十三年を一〇〇としたときに実働車両数が七四ということを今おっしゃって、当時私が紹介した平成十八年は一三六だったわけですから、本当に実働しているわけじゃないんだということがよく分かったと思うんですね。
 同時に、適正車両数で見ますと、令和四年度で、千八百三十三に対して二千二百六十九、一二三%ということで、今、車両がまさに余っているというか、過剰なのはそのとおりなんじゃないのかな、ドライバー不足ということも大きな問題になっているなということが分かると思うんです。
 それで、四月二日付の河北新報によれば、仙台市の郡和子市長は、移動手段確保のため導入した方がいいという状況には市内は至っていないと述べたといいます。ですから、見出しは「慎重」という表現になっておりますし、全国知事会の会長も、村井宮城県知事でありますが、国交省を訪ねて意見を交わしたと聞いております。やはり、なり手不足対策、地域の足確保のはずが、逆に地域経済を壊しかねないという懸念からではないかと思っております。
 それで、GOアプリのドライバー募集の要項を見ますと、宮城県も今後の実施予定にもう既に入っております。それで、「一般のドライバーが自家用車を使って有償で他人を送迎する「日本型ライドシェア」が二〇二四年四月から始まるにあたり、タクシー事業者が新しい働き方として「ライドシェアドライバー」の募集を開始します。」その後です。「特別な資格は必要なく、普通自動車運転免許を取得して一年以上経過している、車の運転がお好きな方なら幅広くエントリー可能なお仕事です。」「タクシーが不足しているエリアや時間帯での運行となるので、非常に社会貢献性が高いお仕事となります。」と。
 これは、本当にそんなに気軽に始められる仕事でしょうか。最初の、大臣が試乗したときの記事が一斉に載ったときに、社会貢献が高い仕事だと思ってやっていますという声もありました。もちろんそういう方もいらっしゃるでしょうし、あるいは、そもそも経験がある方も中にはいらっしゃいますので、いろいろな方がいるというのは分かるんです。だけれども、一年以上経過していれば十分ですよと、そんな簡単に言っていいのかということを本当に思わざるを得なかったんですね。やはり、ライドシェアといえども、一般のお客様を乗せるという緊張感があるのではないかと思うんです。
 今年一月二日のJALと海保の事故があったとき、都内のタクシー事業者に一斉に招集がかかった。お客様が急に飛べなくなったとか、そういうので夜間に招集がかかったということを聞きました。大変でしたねと声をかけたときに、我々は公共交通だからと、返事がこう返ってきたんですね。やはり、そういう自覚と誇りを持って働いているタクシー運転手さんたちに思いを致す必要があるのではないか。そういう、気軽に始められますよということを言っていいのかということを重ねて言いたいなと思うんですが、大臣、一言ありましたら。
○斉藤(鉄)国務大臣 今回の自家用車活用事業の基本的な考え方は、タクシー不足の時間帯、そして地域に限って行うということでございます。そして、その大前提として、車やドライバーの安全性、事故が起こったときの責任、適切な労働条件でなくてはいけない。このことが日本の雇用を破壊するようなことがあっては絶対にいけない、このように思います。この三点を十分考慮した制度でなくてはならない、このように思っております。
○高橋(千)委員 やはり、最初ですから、そうなるんですよね。確かに、大臣がおっしゃることは、私は非常に大事だと思っているんです。だから、安全じゃなきゃいけない、適切じゃなきゃいけないとなって、じゃ、どこが違うのとなったら、むしろ、だったら今までの運転手さんに働いてもらう条件をちゃんとつくることが大事なんじゃないかとどうしても思うんですよ。
 それで、今回の自家用車活用事業は、タクシー事業者が管理するんだけれども、二種免許を持たないドライバーが、今言ったように、一年しかたっていない人でもいいということになっているわけですよね。だけれども、運賃はタクシー運賃と同じだ。これはやはりどう考えてもおかしいんじゃないか、本来事業と違いが分からなくなると思いますが、いかがですか。
○鶴田政府参考人 今回始めました自家用車活用事業でございますけれども、これは先ほど大臣から申し上げた三点、これを大前提として、タクシーが不足する地域、時間帯等を特定して、その不足する分についてタクシー事業を補完するものとして行う、タクシー事業者の管理の下で運送サービスを提供するというものでございます。
 具体的には、タクシー事業者が、自家用車活用事業のドライバー教育、運行管理、車両整備管理を実施します。また、利用者との契約におきましても、タクシー事業者が運送主体となる、すなわち、事故が起きたときの責任主体ともなります。同様に、今御指摘ありました運賃につきましても、タクシー運賃と同額にするという制度にしているところでございます。
○高橋(千)委員 鶴田局長、ワーキンググループの検討会に何度も出席されて説明をされて、御苦労されていると思うんですけれども、結局、ライドシェアを進める側の人しか参加していませんよね、悪いけれども。その方たちが、不足するところと言っているけれども、そのカウントの仕方が正しいのかと何度も局長に迫っているじゃありませんか。
 例えば、アプリの配車率で見ていくといったときに、何回も何回も断られたのを一回とするのかとか、そういう細かいことを聞いて、もっと実態はニーズがあるはずだという議論になっていくわけですよ。そうすると、結局、不足している時間帯とかいったって、やはり、ああ、だったらもっと広げてほしいな、あるいはもっと稼ぎたいな、そういう議論になっていくわけですよ。だから今がすごく大事だということを重ねて指摘したいと思うんですね。お答えがあれば、次の質問と一緒に答えていただければと思います。
 それで、さっきから言っている、車が余っているというので、タクシー会社の余剰の車を使うということもあるわけですよね。緑ナンバーは隠さないわけです。ライドシェアとここに掲げるということなんだけれども、それは流しはないですよ、ライドシェアは流しはないですけれども、でも、やはり区別がほとんどつかない状態になっていると思うんですが、そこをどのように区別するのか、お願いします。
○鶴田政府参考人 まず、先ほどの件に関しまして、本当に、真に不足する分に限ってやるというのが非常に重要という御指摘だと思います。そのことを肝に銘じて進めていきたいと思います。
 それから、今御質問ありました、タクシー会社の遊休車両、遊休タクシー車両でございますけれども、今回の自家用車活用事業におきましても、この遊休車両の活用は可能としてございます。既に一部の事業用自動車、タクシー車両を活用して運行が実施されている場合もあるというふうに承知しております。
 この区別ですけれども、これは、ナンバープレートはそのままでございますが、表示灯、いわゆるあんどん、それから、フロントガラスにあります、空車、実車、回送などを車外に表示する装置ですとか、それから、文字でタクシーと片仮名とかアルファベットで書いてある、こういったものは取り外したり、若しくは覆い隠すということでタクシー車両ではないというふうに、タクシー車両と区別するというふうにしてございます。
○高橋(千)委員 何とも悲しい話だと思うんですよね。緑ナンバーは隠さないけれども、あんどんを隠して、どう考えても見た目はタクシーなんだけれども、これはタクシーではありませんといって走るわけですよね。突き詰めていくと、やはりおかしいよね、ライドシェアそのものの解禁だよねという議論になっていかざるを得ないんじゃないかとどうしても思うんです。
 それで、最初の質問に戻るんですが、五月に論点整理を出せというのは、やはり初めからライドシェア導入ありきだったと言われても仕方がないと私は思うんです。そういう意味で、大臣の確固とした、データをちゃんと見てとおっしゃっていましたけれども、姿勢が求められると思いますが、いかがでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 総理からの御指示は、一定の時期に結論を出すようにという御指示ではありません。論点整理をしろという御指示でございます。
 今行っている二号、三号のいろいろな試み、自家用車活用事業もございますけれども、それらの検証をしっかりした上で、論点整理、しっかりしていきたいと思っております。
○高橋(千)委員 様々指摘させていただいたことも、しっかりと踏まえていただきたいと思います。また続きをやりたいと思います。
 ありがとうございました。

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