国会質問

質問日:2024年 4月 19日 第213国会 国土交通委員会

二地域居住・広域的地域活性化法案について(二拠点住民票、区域指定など)

地元の意向尊重せよ

二地域居住推進法改正で高橋氏

衆院国交委

写真
(写真)質問する高橋千鶴子議員=19日、衆院国交委

 二地域居住を推進する広域的地域活性化法改正案が19日の衆院国土交通委員会で、日本共産党と自民、公明、立民、維新、国民などの賛成多数で可決しました。れいわは反対しました。

 質疑で日本共産党の高橋千鶴子議員は「二地域居住は、国交省の諸制度や予算、デジタル田園都市国家構想交付金の活用などですでに全国に多数の事例が生まれていながら、なぜ法改正が必要なのか」と質問。斉藤鉄夫国交相は「コロナ禍を経てUIJターンや子育て世帯など二地域居住へのニーズが高まっている」と答弁しました。

 高橋氏は「家族の介護などで二地域居住になっている方もおり、そうした方への支援は考えているのか」と質問。斉藤国交相は「市町村や二地域居住者の意見も聞いて対応を検討する」と答えました。

 高橋氏は「区域指定による拠点を中心としたまちづくりが、居住者の希望や地元住民の意向が無視されることがあってはならない」と指摘。斉藤国交相は「区域と希望者の意向が必ずしも合致しない可能性はある。地域住民との合意形成、意向反映の上でエリアが設定される」と答えました。高橋氏は「区域優先とならないように」とくぎを刺しました。

(「しんぶん赤旗」2024年4月25日付)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 本日の広域的地域活性化法は、二地域居住を位置づける法案であります。二〇〇五年に二地域居住人口研究会が定義づけをしたのが最初と聞いております。国交省の諸制度、あるいは予算も、いろいろあると思います。実は昨日、地方創生担当大臣に質問をいたしまして、デジタル田園都市国家構想交付金による活用事例も全国で多数生まれているということであります。
 聞きたいのは、それなのに、制度も予算もあるんだけれども今回改正しなければならない理由は何か、言い換えれば、改正しないとできないことは何か、これを伺います。
○斉藤(鉄)国務大臣 コロナ禍を経て、UIJターンを含めた若者、子育て世帯を中心とする二地域居住へのニーズが高まっております。二十年前とはこの点が随分変わっております。また、二地域居住は関係人口の創出、拡大を通じた魅力的な地域づくりに資するものとされる中、昨年閣議決定した国土形成計画において、二地域居住を促進することが重要とされたことを踏まえ、この度、この法案を提出したところでございます。
 その上で、二地域居住の促進に当たっては、住まい、なりわい、コミュニティーの課題を解決する必要があること、また、二地域居住者が地域に溶け込むためにはコーディネーター役が必要であることなどを踏まえ、これらの課題に的確に対応するため、ハード、ソフト両面における政策パッケージの制度化や法律上の特例について法案の中で措置しております。
 今後、官民連携の全国的なプラットフォームも組織し、自治体による二地域居住の好事例や国の支援制度の内容を共有するとともに、民間によるプロモーション、情報発信を行うなど、二地域居住の機運を高めていく必要があり、今般の法改正は、その契機として、しっかりと取組を進めてまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 ある意味、機運づくりということだと思います。ニーズが高まっているとか、二十年前と条件が変わっている、それはそのとおりだと思うんですね。だから、具体的に制度として今回盛り込まれたのは、コーディネーター役と大臣がおっしゃったんですが、支援法人を位置づけるということくらいかなと思います。あと、市町村が計画を作る、そういうことなのかなというふうに思っております。
 その背景には、やはりかつては週末田舎暮らしというイメージがあったんだけれども、もっと短くてもいい、一年間のうちに十日とか、それでもいいんだ、あるいは、一か所でなくてもいいんだ、そういった二地域居住の定義、イメージが大分違ってきているということなんだと思うんですね。そのことは、定義も書いていなければ、法案の目的、最初の目的も一切いじっていない。それは、それでよろしいでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 二地域居住につきましては、二十年ほど前には、主に、退職期を迎えた団塊の世代が山村、漁村、農村等で行うことを想定しておりました。
 その後、住む場所に縛られない新たな暮らし方、働き方が浸透し、若者や子育て世代の二地域居住への関心が高まっており、コロナ禍を経た今日では、目的や地域との関わり方など、二地域居住者の意識は多様化しているところでございます。
 このような中、本法案においては、地方に活力を取り戻す観点から、UIJターンを含めた若者、子育て世帯を施策のターゲットといたしまして、このターゲット層からのニーズの大きい、空き家の利活用やコワーキングスペースの整備などの施策を行うこととしております。
 なお、二地域居住者の意識の多様化を踏まえ、市町村が作成する特定居住促進計画において、地域が求める二地域居住者像を盛り込むべきことについても、今後策定する国の基本方針の中に明記することとしております。
○高橋(千)委員 今、最後に大臣がおっしゃったところ、伺いたいと思うんですが、今回の法改正で、二地域居住を行う方に対して、つまり、若者とか、居住したいという方に対して、受け入れる自治体側から期待するものがあるということなんでしょうか。人口減ということもあって、なるべく定住してほしいなという気持ちがあるだろうし、例えば町内会の清掃活動とか、移住ではないから微妙なところではあるんだけれども、定期的に住んでいるなら参加してほしい、そういう要望があるということなんでしょうか。
 私は最初からの疑問なんですが、居住の権利というのがもう大前提であると思うんですよね。どこに住みたいかというのはその人が決めるものなので。だけれども、なぜ区域指定するのか。空き家の活用という自治体固有の課題も併せて、小さな拠点づくりとか、いかにも国交省的発想なのかなと。そっちがちょっと前に出ちゃうとどうなのかなと思いますので、その点、政府参考人でよろしいので、お願いします。
○黒田政府参考人 お答えいたします。
 受入れ側の地方自治体の声でございますけれども、今回、有識者委員会など、また、促進協議会のメンバーである自治体からお聞きをいたしますと、やはり人口減少の中で地域の担い手が全くいなくなってしまっている、特に若い担い手が非常に不足しているというようなこと、また、そうした中で地域住民との交流の場がない、交流する人もいない、そうすると新たなビジネスさえも創出されない、そうした中で外から人が来ることによって新たなビジネスの創出の機会が生まれる、そうすることによって地域の産業や雇用の活性化、そうしたことを是非図りたいという切実な声、期待をいただいているところでございます。
 そうしたことを背景といたしまして、今回この法案の提出、受入れ側の気持ちということで、是非実現させていただきたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 確認しますが、町会の都合ではないですね。
○黒田政府参考人 済みません、ちょっと質問の趣旨が分からなかったんですが。
○高橋(千)委員 ちゃんと言いました。町内会など、清掃活動とか、町内会の担い手がいないからそういうのを期待しているという意味ではないですねと聞きました。
○黒田政府参考人 お答えいたします。
 町内会の人手が足りないというのももちろんあるかと思いますが、そうした意味におきましての地域コミュニティーの担い手の不足というようなことは指摘としていただいているところでございます。
○高橋(千)委員 最初に説明に来られたときに真っ先にその話が出たんですよ。だから、私は言っている。居住の権利よりも、受入れ側の自治体の希望があって、だからここに来てほしいみたいな議論になっちゃったら、逆さまなんですよと。このことを言いたかったわけです。
 コロナで広がったテレワークの可能性というのは、今、労働集約産業というのは圧倒的に多い中で、どれほどの伸びる可能性があるんだろうかと考えています。
 第三次国土形成計画では、「若者世代を始めとした地方移住や二地域居住等のニーズの高まりを踏まえ、こうしたニーズに応じた積極的な採用を行う企業の採用活動を支援するとともに、若者世代や女性に開かれた魅力的な地域づくりを推進する。」企業の採用活動を支援する、これは具体的にどういうことか。
○黒田政府参考人 お答えいたします。
 ちょっと今、手元に具体的な資料を持ち合わせておりませんけれども、恐らく、採用活動、企業の支援という点におきましては、例えば、東京から地方に移転する企業、こうしたことに対して、内閣府の方で拠点税制とか、そうしたことを取り組んでいるというようなことが大きな意味で言えるのではないかなというふうに思っておりますが、済みません、今直ちに、ちょっと、詳細な資料を持ち合わせておりません。
○高橋(千)委員 拠点税制というのは、あれですよね、地域再生法のときにやったのと基本同じです、同じなはずです。
 それと、テレワークの可能性が、テレワークだけで可能性がうんと伸びるということではないですよね。確認です。
○黒田政府参考人 お答えいたします。
 テレワークの可能性というのは、やはり、コロナ禍で、転職なき移住であるとか、住まいにとらわれない形での仕事の仕方、こうした新しい仕事の仕方が普及してきた、そういう点においては、テレワークの可能性というのは非常に広がったのではないかなと思っております。
 二地域居住の促進というのは、そうしたことも一つの背景にあるというふうに考えるところでございます。
○高橋(千)委員 そればかりを当てにはできないという意味で聞いております、もちろん、認めた上で。
 それで、二地域居住を経験した人の中には、地域コミュニティーとの関係性がネックとなるのかなというのを最初に思うわけですが、実際にアンケートを見ますと、地元の人との人間関係に苦労したと答えている方は五・七%で、むしろ、人との交流が広がった、一五・四%と、メリットに上げている方の方が多いと思うんですね。経済的な負担や移動時間などがむしろ多かったように思います。
 そこで浮かぶのは、自ら進んで二地域居住をしたいというばかりではなくて、家族の介護などで二地域居住になっている方も多いのではないかと思います。政府として、そうした方、実態を把握しているのかということと、そうした方にも支えになるような施策を考えていらっしゃるか、大臣に伺います。
○斉藤(鉄)国務大臣 この法案を検討するに当たり設置した国土審議会の専門委員会におきましては、二地域居住者と地域コミュニティーとの関係において、転勤による移住者や親の介護を契機とした二地域居住者と地域との関係性が希薄となる場合があることが指摘されました。
 このようなケースの二地域居住者も含めて、移住した方が地域コミュニティーに円滑に溶け込めるようにし、地域との良好な関係性を構築できるようにすることは、豊かな地域生活圏を形成する上で重要な視点であると思います。
 今後、この法案の施行状況を踏まえながら、市町村や二地域居住者の御意見も伺いながら、必要な対応を検討してまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 今日、随分災害のことをお話しされている方が多かったなと思うんですが、例えば、鳥取県智頭町などでは、災害時の避難先として使える疎開保険と銘打って、二地域居住を進めております。
 それで、私が思い出したのは、東日本大震災と原発事故の際、長期に避難を余儀なくされた被災者がたくさんいらっしゃいました。そのときに、原発避難者特例法により、避難した先でも避難元の情報やサービスが得られるなどの手だてが取られています。それは今も続いております。
 私は、当時、二拠点に住民票を置くような考え方はできないかと質問で何度か提案をしました。住民票と投票権だけはダブルになってはまずい、それは分かるんです、それは分かるんだけれども、何か、二重にサービスを受けるとか、どちらも住民としての義務を果たさないということがなければ、今、これだけ二地域居住の議論が進んできた中では、もう一つ前に進むことができるんじゃないか、このように思ったわけであります。その点で総務省に御意見を伺います。
○山越政府参考人 お答えいたします。
 総務省の二地域居住に関する施策についての御質問でございますが、全国の様々な取組が、移住、定住施策の中で二地域居住をサポートする取組を実施されているというふうに認識をしております。
 総務省といたしましては、自治体が実施する移住、定住対策に対しまして広く支援をさせていただいておりまして、その中で、二地域居住も含めた移住相談、地域の様々な状況を提供する移住コンシェルジュの設置なども行われているというふうに認識をしています。
 また、移住した地域おこし協力隊などの多くが、今回の法案にもあります空き家バンクの運営や古民家等を改修してゲストハウス、コワーキングスペースの運営を行うなど、二地域居住を含めた取組をなさっているところでありまして、このような取組について、事例を周知するなどの横展開を図ってまいります。
 このほか、特定の地域に継続的に関わる関係人口を登録し、地域づくりの新たな担い手とするいわゆるふるさと住民登録などの取組につきましても、地域活性化の観点から有効な取組であると考えておりまして、各地の取組について、情報共有に努めてまいります。
○高橋(千)委員 ふるさと住民登録、なるほどなと思いました。
 私が最初にこの提案をした大震災のときのようなことは、これから先も起こる可能性が残念ながらあるわけですよね。そうしたときに、やはり、どちらかの決断を迫られるということではなくて、決断を迫られたけれども、それはふるさとを捨てたわけではないので、それをもう少し二地域居住という中で生かしていけないのかなというふうに思っておりましたので、そこが整理されていけばよいかなと思っております。
 これは、税金の問題ももしお答えできたらお願いしたいと思うんですが、一定の整理はできているんでしょうか、住民税の問題とか。総務省に聞いています。
○山越政府参考人 お答えいたします。
 住民票を二地域で作成をするということになりますと、現行法上の住所については、各人の生活の本拠を言うとされておりまして、住所の認定につきましては、客観的な居住の事実を基礎とし、これに居住者の主観的居住意思を総合して市町村長が行うこととされているところでございます。
 住民票を二地域で作成することや、住所地とは別に居住地等を認めることにつきましては、先ほど御指摘がありましたとおり、選挙権、被選挙権を二重に与えるようなことは適当でない旨の最高裁判例がある、また、納税の義務についても二重課税の問題が生じること等から、制度化は困難であるという整理をされているところでございます。
○高橋(千)委員 ふるさと納税の活用だとかいろいろ知恵があるということをお話ししたつもりだったんですけれども、もう一声、検討していただきたいと思います。
 最後に大臣に、今までお話ししてきたことのまとめになるんですが、受け入れる側の希望や、あるいは、この際、区域指定をすることで、拠点を中心としたまちづくりなど、居住者本人の希望とはそぐわないということがあってはならないし、地元住民の意向が無視されることがあってもならない、このように思いますが、いかがでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 今回の法律で定めた特定居住促進区域、この区域が二地域居住希望者の意向と必ずしも合致しない可能性はあります。そのような場合も、居住者の選択はあくまで個人の自由であり、この区域の設定は、二地域居住者がその区域外に住むことを制限するものでは全くありません。
 また、市町村が特定居住促進区域を設定する過程において、受け入れる側の地域住民との合意形成を図ることとされており、地域住民の意向も反映した上で二地域居住を促進するエリアが設定されるもの、このように考えております。
○高橋(千)委員 あくまでも合致しない可能性はありますとお認めになりましたので、区域優先にならないように、しっかりとお願いしたいと思います。
 終わります。

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