横浜花博は見直しを
高橋氏「身の丈に合った内容に」
衆院国交委
(写真)質問する高橋千鶴子議員=17日、衆院国交委 |
日本共産党の高橋千鶴子議員は17日の衆院国土交通委員会で、2027年開催の横浜花博は規模を縮小し、身の丈に合った内容に見直すよう求めました。
高橋氏は、22年に開催されたオランダ・アルメーレ花博が、来場者数を当初の200万人の目標から65万人に下方修正し、結果は70万人だったと指摘した上で、横浜花博の1日の来場者数見込みと交通手段について質問。国交省の天河宏文都市局長は、1日当たり平日で平均5万3千人、休日平均7万7千人、多客日で10万5千人の来場を見込み、多客日にはシャトルバスを1日延べ800便運行するなどと答えました。
高橋氏は、シャトルバスは四つの駅から1時間当たり合計150台で、2分に5台出すことになると指摘し「渋滞になるし、運転者不足が叫ばれる中で確保できるのか」と質問。天河氏は「ご指摘の通り、非常に大きな問題だ」と認めました。
高橋氏は、大阪万博の建設費が1・8倍になったと指摘し、横浜花博が赤字になったら誰が負担するのかと質問。斉藤鉄夫国交相は「国による負担や助成は行わない」とした上で、「国際園芸博覧会協会が適切に運営する」とのあいまいな答弁に終始しました。
高橋氏は、09年の横浜開港博で34億円の赤字を出すなどの前例がありながら同じことを繰り返すのかと厳しく批判しました。
(「しんぶん赤旗」2024年4月20日付)
ー議事録ー
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
本日は、二〇二七年横浜花博、国際園芸博について質問します。
二〇二二年の三月九日、この委員会で、関連する法案が審議をされました。また、今年三月には外務委員会で審議がありました。
二〇二七年三月十九日から半年間、横浜市で開催される国際園芸博ですが、資料の1はそのイメージ図であります。三つのゾーンということで、それで五つのビレッジということで、基本計画ができております。
それで、会場の旧上瀬谷通信施設は、昭和二十年に米軍に接収され、平成二十七年、二〇一五年六月に全域が返還された跡地約二百四十二ヘクタールの広大な土地なんですが、そのうち約百ヘクタールが使われることになっております。
前回、私は、開催規模を身の丈に合った見直しをすべきではないか、このように提案をしました。長い間米軍施設だったために手つかずの里山、自然が残されており、こうした豊かな自然を生かした花博の理念には賛成をするわけですが、実際はどうなのかと大変懸念がある。また、横浜市議団も、党の市議団も、過大な計画の見直しを繰り返し提案をしてきたところであります。
そこで、まず伺いますが、二〇二二年四月から半年間開催されたオランダ・アルメーレでは二百万人の目標だったわけですが、実際はどうだったのかということ、また、こうした経過に照らしても、横浜市の一千五百万人の来場者数、うち有料来場者一千万人との目標は過大過ぎると考えますが、見直しする考えはないのか、伺います。
○天河政府参考人 お答えいたします。
二〇二二年にオランダ・アルメーレで開催されましたフロリアードエクスポは、新型コロナウイルスの影響等もありまして、来場者数が約六十九万四千人であったと承知をしております。
二〇二七年国際園芸博覧会の来場者数の目標につきましては、過去の園芸博覧会の実績を参考として、本博覧会の圏域人口を基に算出された妥当な数字であると認識をしております。
国土交通省といたしましては、目標の来場者数を達成するため、関係府省庁、国際園芸博覧会協会、横浜市等と連携し、鋭意準備を進めているところでございまして、現段階におきまして、目標を見直すことは考えてございません。
以上でございます。
○高橋(千)委員 確かにコロナ禍という時期の問題があるとは思うんですが、ここはユーロ圏人口三億四千万人の都市の中での花博で、最初は、私が質問したときは、目標二百万人と言っていたわけですが、その後、六十五万人と目標自体を下方修正しているので、実際は達成したというふうになっているわけですよね。だから、そういう見直しだってあるんじゃないかということをあえて指摘をしたいと思います。
当時、私も現地に行きましたけれども、周辺の道路が大変狭くて渋滞になっていること、アクセスの問題は強く実感をしています。一日の来場者数見込みと、うち、公共交通機関をどのように使うのか、例えば、大型バスの出動見込みなどということについて伺います。
○天河政府参考人 お答えいたします。
来場者数の輸送対策につきましては、国、県、市といった行政機関や交通事業者等で構成されます輸送対策協議会におきまして検討が進められておりまして、この三月二十五日に、国際園芸博覧会協会が来場者輸送基本計画を策定したところでございます。
基本計画におきましては、有料来場者数一千万人以上の来場想定に対しまして、一千二百万人程度に対応できるものといたしまして、一日当たりの来場者数につきましては、平日に平均で五万三千人、ゴールデンウィークや会期終盤といった来場者が集中する多客日、お客さんが多い日ですけれども、多客日を除いた休日平均で七万七千人、多客日で十万五千人と設定をしております。
鉄道とシャトルバスによります公共交通機関の割合ですが、これは過去の大規模イベントの実績を踏まえて約三三%としておりまして、多客日におきましては、会場近傍の鉄道駅からシャトルバスを一日当たり延べ八百便運行するほか、団体バスが一日当たり四百六十台、会場に到着することを想定をしております。
基本計画におきましては、シャトルバスの輸送力確保のためには、バス及び運転士の確保が課題ということとしておりまして、国土交通省といたしましても、これらの点は本博覧会の成功に向けた重要な課題であると認識をしております。
本年度、国際園芸博覧会協会におきまして来場者輸送実施計画を策定する中で、バス事業者を含む関係者と連携して具体策を検討してまいりたいと存じます。
以上でございます。
○高橋(千)委員 資料の2に、今お話ししてくれた来場者輸送基本計画の中から抜粋をしております。左側が輸送基本計画による来場者見込み数、今お話ししていただいた平日と休日、そして最大ピーク時十万五千人、このことが書いております。それから、右側は、四つの駅からシャトルバスという考え方で、この赤い線が四つの駅から出ているわけなんですね。
これは、今、自覚しているんだと思って聞いていましたけれども、一時間当たり百五十本出すということになるわけですよね、シャトルバスを。そうすると、一分で二・五台、二分で五台ということで、常に走っている状態になるわけですよ。それ自体渋滞になるし、これほど運転手不足が叫ばれている時代にこれを確保できるんでしょうか。もしや、ライドシェアもそのために横浜は熱心にやっているのかしらと思ってしまうわけですが、どのように考えていらっしゃいますか。
○天河政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、これは非常に大きな問題だというふうに認識をしておりまして、例えばバスの乗り場を工夫をしますとか、そういったことも含めまして、今後、しっかり検討を進めて、輸送力が足りないということがないようにしていかなければいけないと考えております。
以上でございます。
○高橋(千)委員 正直、これは言うだけということになっちゃいますよね。実際、実効性が伴うとは正直思えないというふうに思います。
それで、建設費三百二十億円、運営費三百六十億円と承知をしております。赤字の際、国はこれ以上の助成はしないということは、二〇二一年、令和三年の閣議了解で明記をされております。開催まで一年という大阪万博は、二度の建設費見直しをして、当初の一・八倍、千二百五十億円から二千三百五十億円に増えております。当然、花博だって物価高騰の影響は避けられないと思います。
こうした経費増、また、赤字の際、だったら誰が負担するのか、伺います。
○斉藤(鉄)国務大臣 会場建設費につきましては、令和三年六月の閣議了解に基づきまして、国、地方公共団体、民間が、それぞれ三分の一ずつ負担することとされております。
物価や人件費の高騰が生じていることは承知しておりますが、会場建設費につきましては、施設整備のグレードにめり張りをつけるなどして、費用が増加することのないよう、国際園芸博覧会協会において最大限の努力を続けてまいります。
また、運営費につきましては、令和三年六月の閣議了解に基づき、適正な入場料の設定等により賄うものとし、国による負担や助成は行わないこととされているところでございます。
国土交通省といたしましては、収支の面からも、国際園芸博覧会協会において適切な会場運営がなされるよう、必要な助言、監督を行ってまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 これはつまり、赤字のときはどうするかと聞いたときに、赤字にならないようにしますという答えでしかないんですよ。これは何の説得力もない。
同じことが横浜市議会でも議論されています。昨年の十二月の十二日に我が党の白井正子議員が聞いているんですが、そのときに、市長の答弁が、運営費が赤字となった場合の市の負担ですが、そのようなことにならないよう、市民の皆様を始め国内外の皆様に多く来場いただけるような魅力と感動あふれるグリーンエキスポ。いや、感動するかもしれないけれども、赤字にならないということとは全く違うわけですよ。
適正な料金と言っていますが、まだ料金は決まっておりません。だからといって、赤字にならないようにと料金をうんと高くしたら、それこそ大変、来ないだろうということもあって、非常に現実的ではないと思うんですね。
それで、二〇〇九年四月二十八日から百五十三日間取り組まれた横浜開港博、この入場者数は百二十三万九千三百二十五人でした。ですから、十分の一ですよね。当時の博報堂JVに対する協会の債務残高は約三十四億円、横浜市の財政調整基金を取り崩して負担したことで、当時の中田市長が住民訴訟を提訴されたと聞いています。事実関係を掌握していれば教えてほしいし、同じことがあってはならないと思いますが、いかがですか。
○天河政府参考人 お答えいたします。
横浜市に伺ったところでございますが、財団法人横浜開港百五十周年協会と横浜市が、二〇〇九年、平成二十一年に開催いたしました横浜開港百五十周年記念事業では、事業の収支が計画を下回ったため、運営の委託事業者に対する委託契約の金額約三十四億円の支払いについて、調停委員会で調停手続がなされたと承知をしております。
調停の結果、協会から委託事業者に対して支払われるとされた約二十四億円のうち、約十二億円につきましては横浜市からの補助金が交付されたことなどから、住民から横浜市長に対しまして、補助金交付の取消しを求めた訴訟がございました。この中で中田市長に対する損害賠償請求もあったと承知をしておりますが、いずれにしましても、住民の請求は認められなかったということで承知をしております。
以上でございます。
○高橋(千)委員 認められなかったという御答弁だったけれども、そこに至ったということの問題を重く見るべきだと思うんです。誰も、そうならないようにするとしか答弁をしないで、結局そうなっちゃったという実例があるのに、同じことをやるのかということを言わなければならないと思うんですね。
問いにはしませんが、資料の3にあるように、実際、今議論している建設費や運営費以外にも、アクセスをするというので周辺の道路を拡幅するという計画がございますので、一本ではありませんので、こうしたものも結局市にとっても大きな負担になっていくということを加味してやはり議論していかなきゃいけないんじゃないか、このように思います。
それで、二〇二二年の当委員会の質問のときに、私が、国有地六十六か所、民有地二十区画で基準値を超える土壌汚染が公表されたと指摘をしました。原状回復、どのようにするのか、きちっと行うべきじゃないかと質問したんですが、その後の進捗状況について、まず防衛省に伺います。
○山野政府参考人 お答え申し上げます。
旧上瀬谷通信施設は、日米の合意に基づきまして、二〇一五年六月三十日に日本側に返還され、防衛省において、返還された土地の原状回復作業を実施したところでございます。
二〇二二年三月の委員の御質問に対しましては、防衛省から、土壌調査の結果、国有地の中の計六十六か所において、土壌汚染対策法の特定有害物質である鉛などの基準値超過が確認され、横浜市と調整の上、土壌汚染対策法のガイドラインに沿って、立入り防止柵を設置する措置を進めていると答弁をさせていただいたところでございます。
その後、この立入り防止柵の設置は二〇二二年三月に完了するとともに、土壌汚染の有無に関する調査は二〇二三年三月に完了したところでございます。
この調査におきましては、先ほど申し上げました六十六か所のうち二か所は、土壌汚染ではなく、廃棄物そのものの汚染であったことが判明したことから、土壌汚染対策法に基づく土壌の基準値超過は計六十四か所と確定をし、財務省及び横浜市と調整の上、二〇二三年三月三十一日に財務省への引継ぎを完了したところでございます。
また、民有地につきましては、二〇一七年度までに実施をいたしました土壌汚染調査の結果、計二十二か所において国の基準値超過が確認され、このうち二か所においては、二〇二〇年度に防衛省において掘削除去を実施したところでございます。
その上で、掘削除去を実施していない土壌汚染箇所におきましても農作物への影響がないことを確認をしておりまして、土地所有者への方々にも御説明の上、二〇二一年三月までに引渡しを完了しているところでございます。
○高橋(千)委員 有害物ではあるんだけれども、農地の、農家の皆さんに納得してもらって、肥料と同じ成分だというお話を聞きました。正直、それでいいのかなという思いがあるんです。
残りのところは財務省に引き継いだということですので、財務省の方にお願いします。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
旧上瀬谷通信所跡地の国有地部分についてでございます。
平成二十五年三月以降、国と横浜市との間で設置された協議会等を通じて、土壌汚染の対処方法を含めて利用構想等を協議してきたところでございます。
先ほど防衛省からお話がありましたけれども、昨年三月に防衛省から財務省に財産自体は引き継いでおります。その時点で残存する国有地の土壌汚染等については、横浜市と協議の上で、現在、横浜市が実施している土地区画整理事業の中で除去等が行われるものと承知しております。
○高橋(千)委員 まず、花博の開催前に行う土地区画整理事業の中で処分をするということを、それは確認をいたしました。同時に、この花博のレガシーを引き継ぐということで、今取り組まれている旧上瀬谷通信施設公園整備事業、これの準備書の意見見解書というのが、昨年の六月に市が出しているんですが、その中で、やはり土壌汚染のことが質問されているんですね。
土壌汚染があることを把握しているかというのに対して、把握している、防衛省が調査しており、区画整理事業で除去すると聞いている。ここまでは今の答弁なんですね。その中で、一点、公園の東地区の地下深く、八から九メートルの位置に鉛が基準値以上あることは承知しているが、地下深くにあり、地形を大きく改変しないため、影響はないと考え、残置する、こういうふうに答弁をしている。
だから、全部除去するのかなと思ったら、そうじゃない、残置もあるんだということなんですよね。ここははっきりと認めていただきたいんですが、いかがですか。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
土地区画整理事業の中で、現在、横浜市が土壌汚染の除去等の作業を行っているというところで、健康被害に対する影響等も踏まえて、横浜市の方で適切に御判断いただいているというふうに考えております。
以上です。
○高橋(千)委員 自然を残してほしいということで、市民団体や、いろいろな意見をしているのに対して、要するに、有害物質を地下から掘り起こせば逆に生物に影響するからといってお答えをしているんですよ。これは本当に矛盾していることだと思っております。
残念ながら時間が来ましたが、米軍施設からせっかく戻したところを本当に自然のままで住民に還元していくということがやはり大事だと思いますので、改めて見直しを指摘して、終わりたいと思います。