国会質問

質問日:2024年 4月 18日 第213国会 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会

二地域居住と地方創生、こどものデータ連携と個人情報保護について

子の情報利活用批判

マイナカードひもづけに高橋氏

衆院特委

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(写真)質問する高橋千鶴子議員=18日、衆院地こデジ特委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は18日の衆院地域・こども・デジタル特別委員会で、子どもに関するデータ連携と個人情報保護のあり方について質問しました。

 高橋氏が子どものマイナンバーカードの取得率をただすと、デジタル庁の村上敬亮統括官は、「0~4歳で58・3%、5~9歳で71・2%、10~14歳で72・3%」(2023年12月現在)だと明らかにしました。

 高橋氏は、子どもデータ連携は貧困などの困難を抱える子どもや家庭を支援するために始まったが、「自己情報コントロール権や個人情報保護が保障されてこそだ」と強調。22年に自民党地方創生実行統合本部が政府に提出した報告書では、小中学校などでマイナンバーカードの取得や利用の促進、児童検診や体力調査のデータをマイナンバーカードとひも付けて管理することなどが記されており、「子どもの情報を利活用する発想だ」と批判しました。また、マイナンバー制度を巡るさまざまな問題に世論が反発しており、「大人の社会で許容されていないことを、子どもの世界で進めることは絶対にあってはならない」と強く批判しました。

 デジタル庁の村上氏は「子どもの個人情報の扱いはとりわけセンシティブだ」と認めた上で、「適切な形でのデータ利活用を進めていく」と答弁し、推進する姿勢を崩しませんでした。

 高橋氏は、同報告書にはマイナンバーカード取得の任意性の見直しも記されており、「重大な懸念を持っている」と指摘しました。

(「しんぶん赤旗」2024年4月20日付)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 今日は、地方創生大臣として自見大臣に伺います。
 二地域居住のことなんですが、地方創生にとって二地域居住はどのような意義があると考えているのか、また、目標があれば教えてください。人口減少時代の今、どの自治体も移住の促進に取り組んでおりますが、それとの関連も含めて答えていただきたいと思います。
○自見国務大臣 お答えいたします。
 都市に住む人が生活基盤を地方に移すに当たりましては、転職等のハードルがあることから、都市と地方の両方に生活拠点を設ける二地域居住への関心が高まっていると認識をしてございます。このことは地方への人の流れを生み、地域の担い手の確保や関係人口の拡大等に寄与するなど、地方創生に資するものと認識してございます。
 現行のデジタル田園都市国家構想総合戦略におきましては、この二地域居住を含めた関係人口の創出、拡大に取り組む地方自治体を二〇二七年度までに千二百団体とする目標を掲げておりまして、令和四年度末時点で一千百二十三団体となってございます。
 また、移住につきましては、デジタル田園都市国家構想総合戦略におきまして、移住支援金を活用した東京圏から地方への移住者を二〇二七年度までに年間一万人とする目標を掲げてございます。この実績といたしましては、二〇二二年度に五千百八名、そして二〇二三年度は前年度を上回るペースで推移をしているところでございます。
 二地域の居住につきましては、都市に拠点を構えつつ地方と往復する、あるいは将来の移住を見据えて地方と往復するなど、その形態は様々であることから、内閣府といたしましては、多様なライフスタイルに応じた支援をしっかりと行ってまいりたいと考えてございます。
○高橋(千)委員 この概念が定義づけられたのは二〇〇五年だと聞いておりますが、私は、一人一人の居住の権利といいましょうか、どこに住むのも、あるいは二拠点に住むのも、それは自由だと思っていたんですが、やはり、こうして一定進んできて、社会が人口減少社会だということで、政治の課題として、何か目標を持って誘導するみたいな性格も含んでいるのかなと、そういうことがありまして、明日国交委員会でもあるわけですけれども、ちょっと質問してみたかったと思います。
 それで、地方創生の担当でよろしいんですけれども、この二地域居住促進のためにデジ田交付金を活用しているわけですが、そのポイントは何でしょうか。
○中村(広樹)政府参考人(内閣府) お答え申し上げます。
 デジタル田園都市国家構想交付金におきましては、地方創生に資する取組や拠点施設の整備などを支援しております。本交付金を活用した二地域居住の推進に資する事例としては、例えば、多様な働き方ができるよう、サテライトオフィスやコワーキングスペースなどを整備する事業や、お試し居住のための体験施設を整備する事業などがございます。
 引き続き、地方のニーズや様々な御意見などを踏まえ、各地方公共団体の意欲的な取組を後押しできるよう、しっかりと取り組んでまいります。
○高橋(千)委員 事務局がまとめた二地域居住に関する活用事例というのも拝見しました。例えば、北海道の上士幌町の、町民、来訪者問わず便利に移動できる地域公共交通網の構築ですとか、町内高齢者にタブレット端末を貸与、九十歳のおじいちゃんでもネット予約できる。誰一人取り残さないデジタル社会だからこそ、そうした、持ったらみんなができるというふうになったら、それはそれでいいのかもしれないなと。ただし、今、実際進んでいるのは、持てる人が限られているのに、持った人にサービスをするというふうなことが自治体でも起こっていますので、やはりそういうふうになってはいけないなと思っているところであります。
 そこで、デジ田交付金は、前にこの委員会で質問したんですけれども、マイナカードの普及率で申し込めるように差をつけておりました。今はそれがなくなったということは確認をしているんですが、それで、やはり取得率の向上ということは政府としてかなり気をつけていると思うんですが、子供に対するマイナンバー取得率、どうなっているか、伺います。
○村上政府参考人 取得率についてのお尋ねということで、お答え申し上げます。
 ゼロ歳から四歳児が今五八・三%、五歳から九歳が七一・二%、十歳から十四歳が七二・三%、大体そういったような数字になってございます。
○高橋(千)委員 そこで伺いますけれども、子供のデータ連携の在り方について、また、子供に対する個人情報保護というのは極めてセンシティブだと思うんですが、どのように考え、対応しているのか。これは、こども家庭庁と個人情報保護委員会、それぞれに伺います。
○小宮政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘の子供のデータ連携事業でございますが、子供のデータにつきましては、個人情報の中でも特にセンシティブな情報であるということは十分承知してございます。
 こども家庭庁におきましては、地方公共団体がデータ連携の取組を進めるためのガイドライン、これを作成する検討会を、個人情報の専門家にも入っていただきまして開催をいたしまして、令和五年度末、先般の年度末にガイドラインの素案、これを公表、公開しているところでございます。
 このガイドラインにおきましては、子供や家庭の情報は、通常の個人情報と比しても機微な情報であり、利用に当たっては慎重な検討が必要であるということが強調されております。
 令和六年度におきましては、このガイドラインの素案を踏まえた実証事業を更に取り組みまして、子供や家庭の個人情報の取扱いを含めて更に精査をすることにより、最終的には全国の地方公共団体が参考にできるようにしてまいりたいと考えてございます。
 こども家庭庁といたしましては、今後とも、子供データ連携の取組を、今申し上げたことを十分踏まえながら進めてまいりたいと考えております。
○山澄政府参考人 お答え申し上げます。
 個人情報保護法上、地方自治体を含めました行政機関は、個人情報を利用する際には、その利用目的というのをできる限り具体的に特定するというのがまず一つございます。
 ただ、例外としてその利用目的外のものに使う場合には、限定的に認められているところでございまして、他法令に特に定めがある場合ですとか、あるいは他の行政機関に相当な理由があって渡すときというようなときがその例外になっておるんですが、その相当な理由というのも、決して安易に認めるというわけではなくて、その必要性ですとか透明性というような様々なテストというものをきちっとやっていただいて、クリアしていただいた上で例外的に認められる、こういうような仕組みになってございます。
 いずれにいたしましても、子供の個人情報というのを保護していくというのが重要であるということは論をまたないところでございまして、引き続き、私どもとしましても、こども家庭庁等他省庁も含めまして、連携しながら、これらの規定の適切な運用ということについて、子供を含みます個人情報保護というものについて万全を尽くしてまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 こども家庭庁が子供のデータ連携に対してのガイドラインの素案を出したというふうなお話であったと思います。その出発点は、貧困ですとか、いじめですとか、虐待ですとか、困難を抱える子供たちのデータをしっかり把握する、そういう話の中、文脈であったのかなというふうに思うんです。
 でも、同時に、やはり、だからこそ、子供の情報というのは非常に機微なものであって、自己情報コントロール権あるいは個人情報保護ということがきちっとされなきゃいけない。この点については、諸外国であれば、もうかなり整備をされているし、むしろ大変厳しくなっているわけなんですよね。例えば、国連子どもの権利委員会も、二〇一四年にデジタル環境と子供の権利をめぐっての勧告を出しております。そういう意味でも、日本は実は遅れているのではないかというふうに率直に思うわけです。
 昨日の日経新聞の夕刊で、生徒の成績、出欠状況などをクラウド管理をすると。これは教員の働き方改革には資するんだみたいな記事になっておりますが、それは大人の都合だけれども、子供が、それがどんなふうに管理、利用されるのかということをちゃんと説明できなければならないと思うんですね。
 そういう意味では、自民党さんのタスクフォースの中で、子供に漏れなくマイナカードを取得させよと呼びかけています。まだ七割という取得率という報告があったわけですが、これをどう見るか。それから、児童健診や体力調査のデータをマイナカードにひもづけして管理することを検討せよ、一人一人にIDを付与してビッグデータに、こうしたことを、一昨年ですけれども、提言をされているわけですよね。
 これがやはり、今お話をしてきたような、子供の個人情報をどう見るか、そういう立場に立っているのかということが気になるわけです。もう一言、お願いします。
○小宮政府参考人 お答えいたします。
 マイナカードにつきましては私の方からは若干控えますけれども、委員御案内のとおり、こども大綱におきましては、政府全体の方針が明確に定められております。その基本方針のまず一番目に、「こども・若者を権利の主体として認識し、その多様な人格・個性を尊重し、権利を保障し、こども・若者の今とこれからの最善の利益を図る」と。
 データ連携事業も、まさに子供が困ったことにならないように、できる限り早期に支援の手を差し伸べるための事業でございまして、本末転倒にならないようにするのが当然でございます。
 政府全体としても、子供の最善の利益を常に考えながら施策をすることになると承知をしてございます。
○高橋(千)委員 じゃ、せっかくですので、デジタル庁にも伺います。
 今、権利の主体であり、最善の利益、そういう議論から、最初に私が言ったように、検討会が始まっているわけなんですね。
 だけれども、紹介した自民党さんのタスクフォースの考え方はそれとは全く違うと思うんですね。子供の情報をどう利活用するか、そういう発想ではないでしょうか。要するに、成績だとか健診だとか体力調査のデータ、これは本当は医療DX、なぜマイナ保険証じゃなきゃいけないのかという議論をさんざんしてきましたけれども、それを進めたいんだけれども、実際に今非常に世論も反発をしていまして、やっと五・数%の利用率になっているわけですよね。だけれども、子供の世界であれば、学校としてそれを決めていけば進みやすいよ、そういう本音があるのかなと。でも、それは、やはり大人の社会で許容されていないものを子供の世界で進めるということは絶対あってはならないわけなんですよ。
 そういう意味で、デジタル庁に伺います。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
 デジタル庁では、数年前にも教育データ利活用のロードマップということをまとめてございまして、私どもとしても、適切な形でのデータの利活用は進めていくべきだという立場でございます。その上で、マイナンバーカードは、まさに本人が許諾をし、必要な人だけが見れるようにするための技術的な基盤であるというふうに考えてございます。
 もちろん、使い方、システムのつくり方、十分に個人情報保護のルールに適した形に沿うように作ることは、委員御指摘のとおり、もとより当然であるというふうに考えてございますが、ここもまた御指導がございましたとおり、例えば、先生がおうちでも残業できるようにしてあげることによって、土曜日の学校行事のために自分のお子さんの学校行事に行けないとか、やはり高校入試でも同じような調査票を紙で何度も何度も、調べましたら六回あったんですけれども、書き直していると。学校間でそのデータがトランスファーできない、こういった現場もございますので、そういったところに適切にデジタル化が使われるように、デジタル庁としても今後とも努めてまいりたいと考えてございます。
○高橋(千)委員 先ほど紹介したタスクフォースさんの提言の中には、マイナカードの任意ということ、任意の取得ということ自体の見直しも入っておりましたので、これは本当に重大な懸念を持っているということを今日は指摘だけにとどめて、終わりたいと思います。

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