国会質問

質問日:2024年 4月 11日 第213国会 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会

子ども・子育て支援法改正案について

少子化対策財源を追及

高橋議員「社会保険担い手崩す」

衆院地こデジ特

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(写真)質問する高橋千鶴子議員=11日、衆院地こデジ特委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は11日の衆院地域・こども・デジタル特別委員会で、子ども・子育て支援法案についてただしました。

 高橋氏は、医療保険料に上乗せし徴収される「子育て支援金」をめぐり、こども家庭庁がまとめた試算では、年収800万円の人の負担額は、制度開始の2026年度は800円で、支援金の徴収額が1兆円になる28年度は1350円に上ると指摘。支援金は、28~51年まで「こども・子育て支援特例債」の返還にも充当されるとし、「四半世紀も歳出改革など維持できるか」と批判しました。

 高橋氏は、政府は少子化を克服すれば社会保険の担い手も増えると言うが、「雇用の流動化で社会保険の担い手を政策的に崩してきた」と批判。まともな労働法制の見直しを迫りました。

 宮崎政久厚生労働副大臣は「ご指摘の通りだ。最賃の着実な引き上げ、時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金の履行の確保などで働く人の保護を図る」と答弁。一方で、「リスキリング(学び直し)はスキルアップして労働移動を応援する施策だ」と説明。高橋氏は「竹中平蔵氏が雇用調整助成金と労働移動支援金を逆転させよと旗を振って進めてきた政策だ」と批判しました。

 また高橋氏は、同法案はヤングケアラー(家事や家族の世話を日常的に行っている子ども)を「(家族の世話を)過度に行っていると認められる子ども・若者」と定義しているが、こども家庭審議会では、当事者から“過度なケアを行う”との表現への懸念の声があがったと指摘。「子どもの貧困の中でもヤングケアラーはたくさんいる。当事者からの重要な指摘だ」と強調しました。

(「しんぶん赤旗」2024年4月13日付)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 九日に公表された被用者の年収別の支援金額の試算については、午前から随分議論がされてきました。ですから、ダブりを避けたいと思います。
 私が今日聞きたいのは、今後の上昇についてであります。示されたのは、例えば年収八百万円であれば、支援金が一兆円になる令和十年度で千三百五十円だと。それは、支援金が六千億、八千億、一兆円というふうに積み上がっていくので、それに合わせた額をここでは書いているだけだと思うわけです。
 それで、問題はその先なんですね。被用者保険における支援金の料率は国が示すことにしています。毎年改定をするんでしょうか。それとも、医療保険の保険料率改定に合わせるんでしょうか。
○熊木政府参考人 お答えいたします。
 健康保険、被用者保険につきましては、支援金率は保険者が概念上は定めるものでございますが、実務上は国が一律の率をお示しする、こういうふうに申し上げております。
 これは、基本的には、支援納付金の額から算定していくということと、報酬がどうなのかということで成るわけですから、そういう意味では、理論上は変動するものではございますけれども、ただ、支援金を充当する事業というものが法定化され、そして、その割合というものも法定化されておりますので、これは、繰り返し申し上げているように、政府が勝手に上げられるものではない、上がっていくものではないというものでございます。
 それで、毎年改定するかどうかということにつきましては、予断を持って申し上げるものではございませんけれども、もう一つ申し上げますなら、かなり子供の数に規定されますので、そういう意味におきまして、これは、今の出生動向からいたしますと、毎年改定するようなものではなく、安定的に推移するものというふうには考えてございます。
○高橋(千)委員 これは通告したときに説明を聞いているんですけれども、そのときは毎年と聞いております。私は毎年値上げするのかと聞いているわけじゃないんですから、据置きも含めて、毎年、支援金の率については見直すということなんじゃないんですか。
○熊木政府参考人 先生の御理解は適切なものかのように聞こえましたが、基本的に、総額から、雇用者報酬で、それで率は幾らかということをお示しをするということです。ただ、改定をするかといいますと、分子である費用の方が基本的に高齢化に伴って増えていくというものではないものですから、そういう意味では、毎年改定する必要はないのではないかということを申し上げておるわけです。
○高橋(千)委員 ちょっと、そうしたら、昨日の説明がおかしいなと思うんですね。結局、第七十一条の三十に、支援納付金の率ですとか、額ですとか、その他支援納付金に関する重要事項を定めようとするときは、こども家庭審議会の意見を聞かなければならない、こうあるわけです。だから、私は、勝手に決めると聞いていることもないし、そういうことも含めてこども家庭審議会に毎年諮るのかなと思ったから聞いています。
 それから、そのほかの重要事項というのは何かなと。
 これを二つ。
○熊木政府参考人 これも繰り返しですが、先生おっしゃるとおりではございまして、毎年お示しはします。ただ、その数字は変わらないのではないか、こういうふうに申し上げております。
 それから、こども家庭審議会には意見聴取をするという規定がございまして、これは、その支援納付金に関する重要事項ということになります。これが何かということになりますと、まず一つは、法案上は様々な内閣府令が定まってございます。
 それから、恐らく御質問は、その他重要事項とは何かということかと思いますが、これは、支援納付金を決定するに当たって必要な事項につきまして、それは支援納付金の総額そのものも当然お聞きすると思いますし、それから、ちょっと話は変わってしまうかもしれませんが、重要事項ということですので、制度の在り方ですとか、そういったことは基本的にはアジェンダの中に入ってくる、必要な付議事項かどうかは別にして、御議論をいただくというふうには考えてございます。
○高橋(千)委員 つなぎ公債の償却が二〇五一年までだという答弁が前回あったわけですよね。それを、支援金を充当すると。ということは、少なくとも二〇五一年まではこの支援金のスキームが続くということになるわけですよ。だけれども、四半世紀も歳出改革を毎年毎年やって、報酬も上がって、その範囲でというスキームはかなり苦しいよねという気がします。
 そういうのも含めて、きちっと議論していくということでよろしいんですね。
○熊木政府参考人 支援金制度自体は恒久制度でございますので、毎年しっかりと御議論していくというふうに考えてございます。特例の公債というものにつきましては、おっしゃったとおり二〇五一年ということの償還でございますが、支援金制度については恒久制度である。
 歳出改革につきましては、毎年毎年というのは、当然ながら継続的に改革は進めていくものというふうには考えますけれども、一応枠組みとしては、二〇二八年までに一・一兆円の改革をした中で公費を出して、さらに、その一兆円の支援金に見合った歳出改革をする中で支援金をつくる、これは二〇二八年度までの枠組みだということでございます。
○高橋(千)委員 枠組みをつくったら維持しなくちゃいけないじゃないですか。だって、児童手当、二八年になったらもう払わないというわけにはいかないわけですから、支出は続くわけですよ。それに併せて、子育て支援は加速化プランだけじゃございませんと大臣が何度も答えているわけですから。それを、本当に何かちょっと、パズルのような組立てになっていて心配だなと思うから確認をしているわけなんです。だから、在り方も含めて、こども家庭審議会で議論していくということがさっきの確認だったと思うんですね。
 私、何でこういうふうに聞いたかというと、九日の参考人質疑で、東大名誉教授の秋田喜代美先生がいらっしゃいました。まさに、こども家庭審議会の会長なわけです。二〇一二年の子ども・子育て支援制度をつくったときからの、様々な子供関連の審議会などの座長や委員を務めていらっしゃいます。
 本当に御苦労されているなと思いまして、そこで、じゃ、こども家庭審議会は何をやっているのかなと思って、第四回、これは今年一月二十九日なんですけれども、開催された議事録を読んだんですね。そうすると、そこで最初に政府側から報告があります。昨年十二月二十二日にこども大綱を閣議決定しました、幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョンを閣議決定しました、こどもの居場所づくりに関する指針が閣議決定いたしました、こども未来戦略会議においてこども未来戦略が閣議決定されたと。ああ、これ一遍にかと思いました、率直に。
 こども大綱には、「こども・若者を権利の主体として」云々と書いてあって、とても大事なことなんですよね。そうしたら、今度は、こどもまんなか計画も作らなければいけない。すごい忙しいし、理念はすばらしいんだけれども、本当に、今、じゃ、私たちが議論しているこども未来戦略の加速化プランは本当にその中の一部でしかないのかなと、訳が分からない感じになってきたんです。
 そこで、これらの決定文書、会議体はどのような関係性になっているのか。しかも、いずれも加藤大臣の所管ということでよろしいですか。
○小宮政府参考人 まず、事実関係をお答え申し上げます。
 委員御指摘の、まず、こども大綱でございますけれども……(高橋(千)委員「簡潔にね」と呼ぶ)はい。これは、こども基本法に基づいて作っている文書でございます。それから、その大綱の大きな傘の下で、育ちのビジョン、居場所づくりに関する指針、それから、これは後ほど申し上げますけれども、こども未来戦略などがあるという構造になっております。
 また、会議体でございますけれども、これも基本法に書かれておりますが、こども政策推進会議というのが法律上設置することになっておりまして、これがこども大綱の案を作るというのが法律で決められているものでございます。この政策推進会議は、大綱の案を作成するほかにも、重要事項の審議、それから、関係行政機関相互の調整をするということが、これは法律でお仕事として決められているところでございまして、総理大臣が長でございまして、全閣僚から構成されている。
 それから、未来戦略会議、御指摘ございましたこれは、全世代型社会保障構築本部の下に設置されました一部の関係閣僚と有識者から成る会議体でございまして、その成果として、年末に閣議決定をいたしました未来戦略があるというものでございます。
 今後、法定会議でございますこども政策推進会議におきまして、加速化プランを含む具体的な取組をまんなか実行計画として取りまとめて、政策を推進していくこととなってございます。(高橋(千)委員「所管、大臣の。全部、大臣の」と呼ぶ)
 所管は、未来戦略会議につきましては、全世代型社会保障構築本部の下に置かれているものですから、そういう意味では、関係大臣としては新藤大臣もおられるとは思いますが、こども大綱につきましての所管は、少なくとも主管はこども政策担当大臣になると。総理大臣が長でございますので、そういう意味で、こども庁は内閣府の外局でございますので、総理大臣と加藤大臣ということになろうかと思います。
○高橋(千)委員 実は、こども大綱の傘の中にと大変分かりやすい説明をされたと思うし、最初にお話ししたこども家庭審議会が、まさにこのこども大綱の中の政策を議論するという説明から始まっているんです、第一回が。
 だけれども、決定するというか、この案を作るのは推進会議なんですよ。つまり、今おっしゃったように閣僚の集まりなわけ、総理が本部長で。ああ、学生さんとかいろいろな人に参加してもらっているけれども、そっちなのかと正直ちょっとがっかりしたというのがあるわけですね。つまり、そういう力関係の中でばあっと言っちゃったからって、足立さんじゃないですけれども、言っちゃったからいろいろなところで矛盾が起きているというのがあるわけであります。
 それで、大臣、一言。こども大綱の下で着実に進めていく、加速化プランにないものも、そうおっしゃいました。たくさん会議体や計画がある中だけれども、大臣の中ではちゃんと整理ができていて、優先度みたいなのがあるんでしょうか。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
 様々な会議体や計画のうち、法定されているのはこども大綱とこども政策推進会議だけでございまして、幅広い子供政策の推進の中核を成すのは、こども大綱とこども政策推進会議でございます。
 全ての子供政策の基盤となるこども大綱という大きな傘のもとで、総理をヘッドとするこども政策推進会議が司令塔となり、加速化プランやそれ以外の施策を含めて、幅広い子供政策を一元的に推進してまいります。
○高橋(千)委員 中身のことも今度この中で次に話していきますが、ちょっと時間が心配になったので、せっかく副大臣がいらっしゃっているので、ちょっと順番を変えて副大臣に伺いたいと思います。
 今回の、社会保険から何で取るんでしょうねという議論がずっとされてきて、だけれども、それは、巡り巡って、担い手が増えて少子化対策が進んでいけば、社会保険の担い手も増えて、持続可能な社会になるんだよという説明だったと思うんです。でも、私はその逆も言えるんじゃないかなと。つまり、社会保険の担い手を政策的に崩してきたという問題があるんじゃないかと。
 今、多様な働き方とかリスキリングなどよく言うんですが、雇用の流動化に重点がかかって、これはやはり不安定雇用になりますので、社会保険の脆弱性を生んだのではないか、こう思うんですね。例えば、被用者保険だった方が国保に入りなさいとか、つまり、企業がとても抱え切れなくて、そういうことがずっと起きてきたわけです。
 それで、最低賃金とか、労働時間規制とか、同一労働同一賃金など、労働法制の見直しを含む雇用の安定の上に自らが選べる仕事というふうに環境づくりを進めるのがやはり基本じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○宮崎副大臣 今先生から御指摘をいただきました社会保険の担い手という切り口で、労働政策に対する評価ということに尽きるお話かと思って聞いておりましたけれども、やはり、御指摘のような、例えば不安定な雇用を生み出す、雇用の流動化を目指す労働政策という御批判よりも、私どもが目指しているのは、三位一体の労働市場改革を目指しているものという言い方をよくしますが、やはり個人が希望に応じて自らキャリアや働き方を選択できるように支援をしていきたいと考えています。
 御指摘いただいた例えばリスキリングというもの一つ取ってみても、例えば、転職のためのものというよりも、個々人の働いていらっしゃる方の能力向上を支援することで、例えばですけれども、現在の勤務先での生産性向上に貢献する働き方を応援する、こういったことで内部労働市場の活性化があって、その先にあるのが、例えば成長分野への外部労働市場の、成長分野へ移動できるということでの外部労働市場の活性化というところにつながるわけでありまして、これが労働移動の円滑化ということをもたらして、全体として労働市場が活性化していくというふうに考えております。
 労働法制についても御指摘をいただいたところですが、最低賃金の着実な引上げ、時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金の履行の確保などで、働いている方の保護を図っていかないといけないというのは御指摘のとおりであると思います。
 厚生労働省として、引き続き、安心して自らのキャリアや働き方を選べる環境整備に努めてまいりたいと思っております。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 リスキリングについて、ちょっと意見が違うよというお話をされたんですが、これは何年か前に私はこの場で質問したことがありますが、やはり竹中平蔵氏が、雇用調整助成金と労働移動支援金を逆転させなさい、そう言って失業なき労働移動を旗を振ってきた、そういう歴史があるわけですよ。だから、どの文脈でこのことが出てきたのか、自らの力でスキルを磨きたいという話だったら分かるんですよ、そういう文脈ではないんだということを御指摘をさせていただきたいと思います。
 質問を戻りますが、副大臣にも是非聞いていただきたいと思います。
 やはり担い手を減らしてきたのは、雇用の問題だけではなくて、例えば毎年介護離職が十万人もいるとか、そうしたこと自体が本当に社会の損失だ、私はこのように思っております。その中で、今回法案の中身で強調されているんですが、ヤングケアラーに対する支援の強化、これは具体的にどのようなことを考えているのか、簡潔にお願いします。
○吉住政府参考人 お答えいたします。
 ヤングケアラーの実態を把握するため、令和二年度及び三年度に全国の小学生から大学生を対象に国による実態調査を実施したほか、地方自治体による実態調査や研修、ヤングケアラーコーディネーターの配置等の体制整備の支援を強化しており、ヤングケアラー支援体制強化事業の令和六年度当初予算額は、児童虐待防止対策等総合支援事業補助金の百七十七億円の内数となります。
 一方、地方自治体間で問題意識や取組の格差が見られることから、今回、子ども・若者育成支援推進法において国及び地方公共団体等が各種支援に努めるべき対象にヤングケアラーを明記したとすることで、地方自治体における問題意識や取組のばらつき等の解消につなげていきたいと考えております。
 また、地方自治体におけるヤングケアラーの支援においては、学校等において気になる子供、家庭を把握した場合に、関係機関と密接な連携体制を構築し、こども家庭センターに随時情報共有が図られるよう、必要な人件費の補助等を行っているほか、こども家庭センターにおいて、個々の家庭の状況等に応じたサポートプランを作成し、介護等のサービスをも含めた外部支援につなげることをこども家庭センターガイドラインにおいてお示ししたところです。
 こうした取組を通じ、こども家庭センターを含め、関係機関、団体等がしっかりと連携することでヤングケアラー支援が充実するよう取り組んでまいります。
○高橋(千)委員 先ほどの紹介があった調査、文科省と日本総研の調査では、小学六年生の十五人に一人、大学三年生の十六人に一人がケアを行っている家族がいると答えております。
 それで、子ども・若者育成支援推進法に明記する際のヤングケアラーの定義が何かというと、家族の介護その他日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子供、若者とあります。
 もう時間が来たので、まとめます。こども家庭審議会の中で、当事者として参加している大学生の原田さんが、過度なケアを担うという表現が線引きになってしまうのではないかと。つまり、線引きというのは、自分は過度とまでは言えないということで、当てはまらないということを感じて声を上げないことになっちゃうんじゃないかという発言をされていたのが、私はとても、なるほどと思いました。
 実際、この場で紹介したあすのばの子供たちの報告などを見ても、実はその中に、要するに、一人親のお母さんが心を病んで、結局、お母さんのお世話をしていると。そういう形で、ヤングケアラーがたくさん実はその中にいるんですよね。そういうときに、まだ自分がそういう立場だということを自覚しないうちに線引きするようなことがあってはならないと思いますので、そのことを一言述べて、残念ながら時間が来たので、これで終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

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