国会質問

質問日:2024年 4月 5日 第213国会 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会

子ども・子育て支援法改正案について

個々の負担考慮せず

少子化財源で高橋氏追及

衆院特別委

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(写真)質問する高橋千鶴子議員=5日、衆院地こデジ特委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は5日の衆院地域・こども・デジタル特別委員会で、子ども・子育て支援法案についてただしました。こども未来戦略「加速化プラン」の財源を捻出する「改革工程」には、国民負担増となるメニューも含まれており、「首相の言う『実質負担増はない』というのは、あくまで社会保険に対する公費の負担でみる社会保障負担率での計算であって、個々人の自己負担分は考慮していない」と追及。竹林悟史内閣審議官は「社会保障負担率を計算する際の分子には、医療や介護の窓口負担は含まれていない」と認めました。

 高橋氏は、支援金が「こども・子育て支援特例債」(つなぎ公債)の返還にも充当されることから、「利払いの増加もありうる」として「加速化プラン」への影響を質問。こども家庭庁の熊木正人支援金制度等準備室長は、2051年までに償還すると答えました。高橋氏は「当面3年間の財源で大騒ぎしているのに大丈夫か」と指摘しました。

 高橋氏は子どもの貧困対策について、「お母さんはほとんど夜食べていない。お小遣いためて、お母さんの誕生日にプレゼントを買いたい」などの声を紹介し、加藤鮎子こども政策担当相の認識を質問。加藤氏は「貧困と格差はあってはならない。その解消はすべての子ども施策の基盤だ」と答弁しました。

 高橋氏は、児童扶養手当の拡充などを要求し、「時限的な給付金を重ねるよりも、現物給付の改善を進めるべきだ」と主張しました。

(「しんぶん赤旗」2024年4月6日付)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 二日の本会議、三日の委員会と、子ども・子育て支援法案について審議をされてきたわけでありますが、支援金の各保険ごとの試算額がまず大きな争点になっていたり、財源問題についてなかなか説明が分かりにくいということがあると思います。繰り返すというよりも、もう単純な質問ですけれども、一つずつひもといていきたいなと思っております。
 資料の1なんですが、全世代型社会保障の改革工程を書いたものです。これは二〇二八年度までに具体化していくとなっていて、それが、まだ、一年、単年度ごとに何をやるかというのは精査するという中身になっているわけですよね。それで、充実策だとか、効率化策だとか、様々ある、だけれども、中には国民に負担増となるメニューも含まれている、このことをお認めになるかどうか。
 加速化プランの財源の基本骨格を成す公費削減の効果とは、この社会保障費に対する公費が減る、つまり保険者にとっても支払いが減る、そういう意味だという理解でよろしいでしょうか。
○竹林政府参考人 お答えいたします。
 まず、歳出改革には負担増となるメニューも含まれているのかという点につきまして、昨年末に閣議決定されました改革工程におきましては、これから生まれる将来世代も含む全ての世代にとって安心できる社会保障とするため、将来にわたって社会保障制度を持続させる観点、あるいは、年齢に関わりなく、全ての国民がその能力に応じて負担し、支え合うことによって、それぞれの人生のステージに応じて必要な保障がバランスよく提供されることを目指す観点、こういったことから、社会保障の制度改革や、これを通じた歳出の見直しに取り組むこととされております。
 こうした考え方の下、改革工程では、今お話のありました医療や介護の窓口負担に係る検討項目に加えまして、質の向上や効率化についての取組も含まれております。医療DXによる効率化や質の向上、あるいは、地域医療構想の実現に向けた更なる取組、こういった幅広い取組を視野に入れておるところでございます。
 先生御指摘のとおり、これらの歳出改革として実施する取組につきましては、二〇二八年度までの各年度の予算編成過程において検討、決定していくこととなりますが、これらの取組を検討、実施するに当たっては、その取組が与える影響にも十分配慮しながら、必要な保障が欠けることがないように進めていかなければならないと考えております。
 また、お尋ねの社会保障分野での歳出改革による効果につきましては、社会保障制度が公費と保険料を財源としているため、歳出改革により給付が抑制される場合には、制度上、公費節減と同時に保険料負担が軽減されることになると考えております。
○高橋(千)委員 もう一度確認しますけれども、今いろいろおっしゃった、ですから、分かった上で聞いています、DXとかというのはしょっちゅうおっしゃりますので。それはそうだけれども、単純に、要するに、利用料が増えたりとか、そういうのは負担増と呼ぶ以外にないじゃないですか。それはいいんですよね。
○竹林政府参考人 お答えいたします。
 改革工程の検討項目の中に、先生がおっしゃっているような医療や介護の窓口負担に係る検討項目も含まれているということは事実でございます。
 先ほど申し上げましたように……(高橋(千)委員「そこまででいい」と呼ぶ)はい。失礼いたします。
○高橋(千)委員 本当に、最初に言ったように、単純な質問ですので。含まれていると。含まれているときに、例えば、自己負担が一割だったものが二割になれば、保険が九割だったものが八割ということで、公費が減るというのはそういう意味だと思うんですね。
 それで、総理の言う、実質負担増はないというのは、あくまで社会保険に対する負担で見る社会保障負担率での計算であって、個々人の自己負担分を考慮した意味ではない、これでよろしいですね。
○竹林政府参考人 お答えいたします。
 先生御指摘の社会保障負担率につきましては、支援金制度の構築に当たって実質的に負担が生じないと申し上げる際に、抽象論に陥らないように、具体的なメルクマールを設けることとしているものでございます。歳出改革によって生じる保険料負担の軽減効果を積み上げ、その範囲で支援金制度を構築することを基本にすることによって、支援金制度の構築によって社会保障負担率が上昇しないこととしたいと考えております。
 この社会保障負担率を計算する際の分子には、先生御指摘の医療や介護の窓口負担は含まれていないところでございます。
○高橋(千)委員 問題はやはりそこだと思うんですね。どんどん公費の負担するものを外に出していけば、介護保険なんかがまさにそうだったわけですけれども、そうしていけば、自己負担は数字では見えなく、計算式では見えなくなるわけなんです。だから、負担増じゃないかということをずっと議論してきた。そのことも含めて正直にお話ししてくださって、その上で議論していくというのがやはり大事なんじゃないか。なので、本会議では、それは抽象論に陥らずにという表現でありましたけれども、マクロの数字で、社会保障負担率でというのは極めて不適切ではないか、そういう指摘をさせていただきました。
 次に行きますが、支援金は、つなぎ公債の返還にも充当することになっております。利払いの増加、今般、ゼロ金利ではなくなっていくわけですから増加もあり得ると思いますが、償還計画はどのようになっているのか、加速化プランへの影響はどうか、簡単に伺います。
○熊木政府参考人 子ども・子育て支援特例公債は、御案内のとおり、つなぎとして発行するものでございます。これにつきましては、利払い、償還を将来世代に極力先送りしないという観点で、二〇五一年までに償還することとさせていただいております。
 このつなぎである特例公債につきましては、建設公債ですとか一般の特例公債とは異なりまして、財政法上において償還計画の国会提出というものが求められているものではございませんが、しっかりと支援金の料率の中で元利償還分を含めやりくりをさせていただき、計画的に返還していきたいというふうに考えてございます。当然ながら、加速化プランの各施策の実施に影響を及ぼすものではございません。
○高橋(千)委員 改めて、償還が二〇五一年とおっしゃいました。ということは、今、二〇三〇年までに少子化を反転できなければ最大のピンチだとおっしゃっていて、ただ、今、当面三年間の集中を、どうやって財源を取るかで大騒ぎしているわけですよね。非常にこれが、大丈夫なのかなと正直言わなければいけないし、皆さん方も大丈夫ですとしか答えとしてはないわけですよね。もう少しイメージできるように議論していきたいな、こう思うんですね。
 それで、加えて、賃上げ効果というふうに繰り返しておっしゃっているわけです。それで、資料の2なんですけれども、年金の改定率についての表です、極めて単純に作りましたけれども。令和五年度は、六十七歳以下の新規裁定者、初めて年金をもらう方は、二・二%増えました。既裁定者は、一・九%増えました。また、令和六年度は、二・七%増えます。しかし、上を見ていただくと分かりますように、昨年は、前年の物価変動率が二・五%ですから、届いていません。また、令和六年度も三・二%なので、届いていないわけです。
 それはなぜかというと、これは、二〇一六年の年金カット法、私たち野党が強い反対をしたわけですが、これが成立をいたしました。このときに決めた、年金額を増やさないためのルールが初めて発動されたのがこの表だと思います。
 というのは、二〇〇四年の年金改正、いわゆる百年安心と言われたときは、マクロ経済スライドを導入して、人口がだんだん減っていくから、ずっと年金は伸びるわけにいかないよね、抑えますよと決めたんだけれども、デフレのときには発動しないと決めたものだから、ずっと発動しなかった。
 これじゃまずいというので、デフレのときでも発動できるように、賃金が下がったら賃金に合わせようということでこうしたことをやったのと、発動できずに、減らさなかったら、ここにあるように、過去の繰越分〇・三%、令和五年度分は〇・三%、合わせて、足し算して〇・六%引けるように、つまり、物価がちょっとでも上がったら、その分ばさっと引けるような仕組みをつくったわけであります。私は、極めて、このときに、合わせ技になって大変なことになるよと指摘をしましたが、まさにこういうときに発動しちゃったなと思うんです。
 物価に追いつかない年金ということになりますよね。この理解でよろしいですか。
○武藤政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国の公的年金制度は、年金の原資となる保険料収入が現役世代の賃金に連動することから、賃金の変動が物価の変動より低い場合には賃金を基に改定するルールとなっていること、また、マクロ経済スライドにより長期的な給付と負担のバランスを確保することで、将来にわたって持続可能な仕組みを構築することにより、将来世代の負担が過重なものとなることなく、将来の給付水準を確保する仕組みとしております。
 こうした中で、令和六年度の年金額は、昨年の物価高や賃金上昇も反映し、プラス二・七%の引上げとなり、ここ三十年で最も高い引上げ水準となっております。
 その上で、低所得の高齢者に対しては、公的年金のみならず、社会保障制度全体で総合的に支援していくことが重要であり、年金生活者支援給付金の支給等により経済的な支援を行っております。引き続き、必要な支援をしっかりとしてまいりたいと考えているところです。
○高橋(千)委員 ルールになっておりますとおっしゃいましたけれども、ルールを作っちゃったんですよ、二〇一六年のときに。それはずっとそうだったわけではありません。
 ただ、ずっとそうだったのは、ここの物価変動率なんですよ。これは、デフレのときにずっと、二十年も前から、これだけ物価が伸びるという仮定をして、全く見込みのない財政検証をやっていた。それが今に響いてきたんじゃなかったんですか。そこはお認めになりますね。
○武藤政府参考人 我が国の公的年金制度につきましては、年金の原資となる保険料収入が現役世代の賃金に連動することがありますので、賃金の変動が物価より低い場合には賃金を基に改定するというのが基本となっております。ここからマクロ経済スライドにより長期的な給付と負担のバランスを確保することで、長期にわたって持続可能な仕組みを構築しているということでございます。
 仮にマクロ経済スライドを行わないこととした場合には、その分、将来世代の年金の給付水準低下につながりますので、マクロ経済スライドは将来世代の年金給付水準を確保するために必要な措置として御理解いただければと思います。
○高橋(千)委員 私が今聞いたのは、年金、五年ごとに財政検証をやるじゃないですか。そのときに、〇%台くらいしか伸びない物価変動の中で、二%、三%という希望的観測の数字を出してきたでしょう。その失敗が今に来ているんじゃないですか。そこだけは認めてください。
○武藤政府参考人 年金制度につきましては、物価や賃金の変動に応じて年金額を改定するというのが基本でございます。将来世代の負担が過重にならないように、マクロ経済スライドにより長期的な給付と負担のバランスを確保するということで、将来にわたって持続可能な仕組みとしてございます。
 今後とも、この仕組みの下で年金を着実に支給していくことが重要であると考えております。
○高橋(千)委員 ですから、今、子供の話をするときだって同じなんですよ。持続可能な社会をつくりたいから議論しているんでしょう。そのときに、前提と置く数字が間違っているんだから。希望的観測でやってきたわけでしょう。そのことはちゃんと認めなければ。現実から出発して、じゃ、どうしたら持続可能になるかということを議論しなきゃ駄目なんですよ。違いますか。
○武藤政府参考人 公的年金におきましては、長期的な年金財政の収支を均衡することを確保することが大事だということです。
 五年ぐらいたちますと経済や人口の状況も変わりますし、直近の状況を踏まえて、年金財政の長期収支均衡を確保する財政検証を五年ごとに定期的に行って、それによって年金財政の長期的な収支均衡を確保していくという仕組みになってございます。
○高橋(千)委員 やはりお答えできないんだと思うんですよね。そういうことをちゃんと認めて、前提をちゃんと言った上で議論しなければ、これから先だって、やはりみんなが信じてくれないよね、ちゃんと説明しているよと言っても信じてくれない、こういうことになるんだということを言いたいなと思うんですね。足下は賃金も年金も実質減だという中で、社会保険料も支援金を上乗せして値上げされるということになるわけですから、それをやはり深刻に受け止めて議論していかなきゃいけないと思うんですね。
 具体の政策について伺いたいと思います。
 国保が脆弱だということは本会議でも指摘しました。被用者保険と大きく違うのは、国保には均等割があるということです。
 今回は、支援金を徴収する対象からは十八歳未満の子供分は除外されています。子育て支援のために使う支援金だから子供からは取らない、これは正しいと思います。
 私は、この際、子供の均等割はなくせばよいのではないかと思います。全国の市町村で子供の均等割ゼロや減額に取り組んでいると思いますが、どの程度あるか、把握していれば教えてください。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、子ども・子育て支援金につきましては、児童手当の拡充など、こども未来戦略の加速化プランに基づく少子化対策のために拠出いただくものであるために、世帯にお子さんがいらっしゃることが負担増とならないようにする観点から、お子さんに係る支援金の均等割を全額軽減することとされているというふうに承知をいたしております。
 他方、国民健康保険の保険料でございますけれども、病気やけがに対する給付など、国民健康保険事業に要する費用に充てるためのものでございまして、全ての被保険者の方がひとしく給付を受ける権利がありますために、子供さんを含めた被保険者の人数に応じて一定の御負担をいただくことが基本となってございます。
 その上で、令和四年度から、未就学児の均等割保険料を一律半額に軽減する等の措置を講じております。また、均等割保険料につきましては、現行制度におきまして、所得の低い世帯の応益分の保険料を最大七割軽減しているなど、既に一定の配慮を行っているところでございます。
 こうした中で、子供の均等割保険料を廃止するということにつきましては、財源の確保などの課題がございまして、これは慎重に検討する必要があるというふうに考えてございます。
 なお、子育て世代の経済的負担軽減を目的として十八歳未満の被保険者の方に対して独自に何らかの保険料減免を行っておられる保険者、これは令和四年八月末時点でございますけれども、全国で百十八市町村あるというふうに承知をいたしております。
○高橋(千)委員 少しずつ広がってきているのと、やはり被用者保険の考え方に近づける、被用者保険には均等割という考え方がないですので、そこで差が出てきちゃうというのもありますから、これは是非引き続き検討していただきたいと思います。
 そこで、水曜日の委員会で山井委員が資料配付しておりましたけれども、四月二日、公益財団法人あすのばが、あすのば給付金を受給している全国六千人へのアンケート調査を報告しました。これまでも超党派の議員連盟で私も一緒に活動してまいりましたけれども、特に、今回は小学四年生から六年生の声も紹介されています。「子ども・若者の声」のところでちょっとだけ紹介したいんですが、中学二年の女子です。おなかすいても御飯がないときがある、お母さんはほとんど夜食べていない、家の手伝いをしてお小遣いをもらってためている、いつもは十円だけど、時々三十円や、お使いに行ったらお釣りをくれたりして、ためてお母さんの誕生日にプレゼントを買いたいと。これは、だから、お小遣いがない中で一生懸命ためてお母さんにプレゼントしたいというところに非常に感動してしまったわけですが。
 男の子の場合は、そもそも習い事とかできない、人と関わるのが嫌だ、うちは貧乏なのでばかにされるし、どこかに出かけられたとしても、友達と同じ御飯が食べられないから行きたくても行けないなどなど、たくさんの声があるんですけれども、お金がないためにお昼が食べられないとか友達とつき合えないとか習い事ができない、しかし、子供の目を通して、自分は食べるものも我慢して働きづめのお母さんの姿もちゃんと子供さんは見ているということはすごく大事なことだと思うんですね。
 大臣に伺いますが、全ての子供の育ちを応援する、この理念に照らしても、貧困が子供たちの中に格差を生む、これはあってはならないと思いますが、この認識を共有しますかどうか、大臣として特に課題と思う点は何か、伺います。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
 貧困と格差は、子供やその家族の幸せな状態を損ね、人生における選択可能性を制約し、ひいては社会の安定と持続性の低下にもつながるものと認識をしております。
 このため、貧困と格差の解消、これを図ることは、良好な生育環境を確保し、全ての子供、若者が幸せな状態で成長ができるようにするための前提でありまして、全ての子供施策の基盤となるものと考えております。
 こうした考えの下、これは特に課題という点でございますけれども、昨年閣議決定したこども大綱の中におきまして、保護者の所得など家庭の状況が子供の学力や体験の機会に影響を与えるなど、教育における格差があるということ、また、貧困の状況にある子供、若者や子育て当事者が社会的孤立に陥ること、子育て当事者の経済的基盤が安定していないこと、子育て当事者の日々の生活が安定しないこと、子供の貧困は家庭の自己責任ではなく社会全体で受け止めて取り組むべきであることへの社会の理解が十分でないことといった課題を踏まえつつ、貧困と格差の解消を子供施策に関する基本的な方針の一つとして掲げております。
 貧困及び貧困の連鎖によって子供たちの将来が閉ざされることは決してあってはなりません。そのような認識の下で、政府を挙げて子供の貧困対策に取り組んでまいります。
○高橋(千)委員 議連の要望も非常に強くあったと思いますし、こども大綱の中に一定盛り込まれたなと思うんです。大臣がそのことを答弁していただきました。
 ただ、今回の加速化プランは、やはりほとんどその他的な扱いなんですよ。それで、集中して取り組む以上は、そうすると、ここに盛り込まれないと、これから先、もっと後になっちゃうのかなということをすごく思うんですね。ですから、加速化プランから具体的に書かれていない施策というのは並行して検討していくのかどうか、伺います。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
 加速化プランは、少子化対策として、今後三年間の集中取組期間において実施する施策をまとめたものでございます。子供政策全般については、昨年末に閣議決定したこども大綱の下で着実に進めていくことにしてございます。
 また、こども大綱の下で具体的に取り組む施策につきましては、毎年、こどもまんなか実行計画として取りまとめ、関係府省庁の予算概算要求等に反映することとしてございます。既に、こども家庭審議会の下でこどもまんなか実行計画の策定に向けた議論を始めてございます。
 したがいまして、加速化プランから外れた施策の実現がすごく先になるとは考えておりませんが、今後、こども家庭審議会における検証、評価の結果を踏まえ、こどもまんなか実行計画を通じて継続的に施策の点検と見直しを図ることとしており、これにより子供政策全体をしっかりと前に進めてまいります。
○高橋(千)委員 しっかりやるというお答えだったのかなと思っております。
 ちょっと時間の関係で飛ばします。
 児童扶養手当の拡充について質問を本会議でもいたしました。やはりこれは圧倒的に格差が出ているわけです。一人親家庭、特に母子家庭の大変さ、先ほど紹介した声もまさにそうなんですね。
 今回、所得制限の引上げによって、満額、一部支給、それぞれどの程度対象者が増えるのか。仮に、私が提案した三百八十五万円、これは一部支給ではなく満額とした場合、どのくらいの予算増になるのか伺います。
○吉住政府参考人 お答えいたします。
 児童扶養手当については、給付の重点化を図る観点から所得限度額を設け、一人親世帯の自立を支えるという観点から所得が一定額を超えると減額する仕組みとしております。
 今般、所得限度額の引上げを行いますが、近年の一人親の就労収入の上昇等を踏まえた見直し内容としています。この児童扶養手当の所得制限引上げにより、一部支給から全部支給になる方は約五万人、支給停止から一部支給となる方は約二万人になるものと推計しています。なお、一部支給額が増額される方は約三十七万人と推計しています。
 なお、御提案の見直しを行った場合の予算増についてでございますが、御提案の見直し内容の試算は非常に困難ですので、お答えが困難であることを御理解賜ればというふうに思います。
○高橋(千)委員 残念でしたね、最後のところ。
 今回の拡充が三十五億円ですよね、予算としては。子供手当、思い切って三千五百五十八億円でしたかね、それと比較しても余りにもしょぼいんですよ。もう少し頑張ったっていいじゃないかと思うんです。
 先ほど紹介したアンケートの中で、やはり年収制限があるために、さっき就業の収入が上がってきたとおっしゃったけれども、就労所得でいうと二百三十六万円くらいで、一般家庭と比べるとまだ半分なわけですよ。そうすると、そこにひっかかっちゃって、安いんだけれども、正規職員なのでぎりぎりひっかかってしまって、何にも支援が受けられない、そういう声もあるわけです。
 だから、ここはやはり底上げしていかないと、額を増やすのも大事なんだけれども、対象を増やすということをやはりやっていかないといけないというので、これは重ねて指摘をしたいし、検討していただきたいと思います。
 それで、もう一つ。児童扶養手当の支給開始五年をたてば受給を半分にするという法律が随分前に通ったわけです。そのときも超党派で、私は随分質問したんですけれども、議論をして凍結になりました。ただし、凍結したんだけれども、それをずっと継続するために、私はずっと仕事を探していますよなどの現況届を出さなくちゃいけない、その手続が非常に大変なわけですが、これによって今出している届出数と、一部支給停止にそれでもなっちゃっている数がどのくらいあるのか教えてください。
○吉住政府参考人 お答えいたします。
 児童扶養手当の一部支給停止につきましては、児童扶養手当の支給開始五年を超える場合等に、障害、疾病等の就業困難な事情がないにもかかわらず就業や求職活動等をしていない方について、支給額の一部を停止する制度でございます。
 具体的な手続としては、一部支給停止とならないことを確認するための書類を毎年八月の現況届の提出の際に提出いただき、確認することとしております。令和四年度の現況届の数は九十四万一千九百二十六件となっております。
 また、児童扶養手当の支給開始五年を超える場合等に児童扶養手当を一部支給停止された人数については、令和四年度末時点において二千七百四十三人となっております。
○高橋(千)委員 ここまで支給停止が少なくなってきたと言っていいのかどうか。もうこれ以上わざわざチェックするということをしなくても、さっき言ったように、仕事をして、そして収入が安定して得られるようになれば、自然と、所得制限があるわけですから、対象から抜けていくわけですよね。卒業していくわけです。なので、五年だからということを決めてしまうというのは、これは五年したら自立するという発想だったんですよ。それを決めるのは政府じゃないわけです。三年で自立する人だっているわけですから、ここはもう見直して、やめると言ってもいいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○吉住政府参考人 お答えいたします。
 児童扶養手当は、一人親家庭の生活の安定と自立の促進を目的とするものです。このことから、五年以上の手当を受給している者であって、就業が困難な事情がないにもかかわらず就業や求職活動等をしていない方について、自立を促進する観点から、一部支給停止を引き続き適用すべきと考えております。
 なお、この制度の運用に当たっては、手当を受給される方の手続面での負担が重くならないような配慮をしており、本来手当を受給できる方が確実に受給することができるよう引き続き取り組んでまいります。
○高橋(千)委員 何か求職活動しないでサボっているみたいな、そういう言われ方だと思いますよね。実態を見ていただきたいと重ねて指摘をしたいと思います。
 もう一つ課題があって、遺族年金と児童扶養手当は併給が認められません。遺族年金が児童扶養手当より少ない場合に、その差額分が支給されるようになりました。これも、私自身が、たった八千円の遺族年金のために四万二千円の児童扶養手当を受けられないというのは、これはおかしいじゃないかと議論したことがありまして、それが審議会でも議論していただいて、今はその差額が出るようになったわけですが、これも、そこまでしなくても、併給を認めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○武藤政府参考人 まず最初に、児童扶養手当と公的年金は稼得能力の低下に対する所得保障という同一の性格を有していることから、児童扶養手当の方において併給調整が行われているものと承知しております。
 年金は被保険者の保険料拠出に基づく給付でございますので権利性が強いことから、遺族年金と児童扶養手当の併給調整において遺族年金を優先して支給しているところです。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
 先ほど厚労省からも答弁がありましたが、児童扶養手当と遺族年金は稼得能力の低下又は喪失に対する所得保障という同一の性格を有しております。このため、親がいた場合と比較した場合の稼得能力の低下はまずは遺族年金により手当てされているという考え方から、児童扶養手当では差額分の支給を行っており、引き続き併給調整を行うことが適当だと考えております。
 なお、例えば祖父母が遺族年金を受給する子供を養育する場合において、親族里親制度を活用すれば食費や被服費等にかかる生活費が児童扶養手当の額以上に支払われることから、この制度の活用も進めてまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 あとは一言要望します。
 異次元とか次元の異なるなどと言って新しいことをやるのも大事なんです。だけれども、述べてきたように、ずっと積み残しになっている課題は積み残しのままなんですよ。これを本当に取り組んでいただきたい。時限的な給付金を単発で重ねるよりも、やはり現物給付の改善を着実に進めるべきだと思います。教育費が一番の悩みだということも大臣が先般おっしゃっていた。この点でも、もっと拡充していく、高校においても公私間格差をなくすとか、こうした形で子供たちの中に格差を持ち込まない、それを貫いて頑張っていただきたいと指摘をして、終わります。
 ありがとうございました。

 

2024.4.5 地域・こども・デジタル特委 提出資料

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