国会質問

質問日:2024年 4月 3日 第213国会 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会

こども誰でも通園制度について

親の都合だけでいいか

こども誰でも通園制度 高橋氏が批判

衆院特別委

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(写真)質問する高橋千鶴子議員=3日、衆院地こデジ特委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は3日の衆院地域・こども・デジタル特別委員会で、新たに創設される「こども誰でも通園制度」と現行の一時預かり保育との違いをただしました。加藤鮎子こども政策担当相は「保護者のために預けるのではなく、子どもの育ちを応援する」などと答弁しました。

 同制度は保育所等に通っていない3歳未満児を対象に、保護者の就労を要件とせず、一定の時間内で利用できる仕組み。高橋氏は、スマホアプリで予約すれば、全国どこでも市町村が認定した保育施設に預けられるとして、「リゾート地やショッピングセンターでも、行った先に施設があれば利用できる。親の都合ではなくて何なのか」と批判しました。

 こども家庭庁の藤原朋子成育局長は「できるだけ利便性を高めたシステムを構築する」と答弁。高橋氏は「簡単に予約できる。CMでやっている美容院の予約システムと同じだ。それでいいのか」と疑問を投げかけました。

 高橋氏が現行の教育・保育給付の対象外の施設でも認められるものだと指摘すると、藤原局長は「地域子育て支援拠点なども給付の対象だ」「(施設は)現行の一時預かり事業の基準としている」と答弁。高橋氏は「親の都合に走ってしまうことになってはならない」とくぎを刺しました。

 さらに、高橋氏は、職員の処遇改善と配置基準の改正を急ぐよう要求しました。

(「しんぶん赤旗」2024年4月4日付)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 今日は、こども誰でも通園制度に絞って質問します。
 資料の1にあるように、現行の保育所や小規模保育所、幼稚園、認定こども園などが対象となる子どものための教育・保育給付とは別に、新たに乳児等のための支援給付を創設するとしています。制度創設の目的と、現行の一時預かりとは違うのはどういう点なのか、大臣に伺います。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
 こども誰でも通園制度は、月ごとに一定時間までの利用可能枠の中で、保護者の就労要件を問わず利用できる新たな枠組みとして創設するものであり、子供の成長の観点から、全ての子供の育ちを応援し、子供の良質な生育環境を整備することを目的としております。
 こども誰でも通園制度と一時預かり事業につきましては、主に、目的、定義面の違い、また、給付制度と事業といった制度的なたてつけの違いがあるものと考えております。
 まず、目的、定義面の違いで申し上げますと、一時預かり事業が保護者の立場からの必要性に対応するものであることに対して、こども誰でも通園制度は、保護者のために預かるというサービスなのではなく、家庭にいるだけでは得られない様々な経験を通じて子供が成長していくように、子供の育ちを応援することを主な目的としてございます。
 また、制度的なたてつけの違いとしましては、一時預かり事業は事業である一方で、こども誰でも通園制度は給付制度とすることから、一定の権利性が生じること、また、全国どの自治体でも共通で実施することになるといった意義がございます。
 こういった目的、定義面の違いや制度的なたてつけの違いがあることから、こども誰でも通園制度という新たな制度の創設によって、全国どの自治体でも共通で実施することになるため、これまでどこにも子供を預けていなかった保護者が少しでも子供を預けられるようになるという大きな意義があるものと考えております。
○高橋(千)委員 保育に欠けるという要件がない子供さんだけれども、例えば専業主婦だったり、それでも保育園に預けたいという要望はとても多かったんです。やはり、そういう集団生活の中で育てていきたいというお母さんたちの願い、保護者の願いに応えるということはとても大事なことだ、私もそう思っています。
 ただ、今、全ての子供の育ちを応援するということでおっしゃいましたけれども、就労要件を課さないのは一時預かりも同じなんですよね。それで、一時預かりは保護者の都合で、今からやるこども誰でも通園は子供のためなんだ、違うんだと言い切らない方がいいですよ。これは言い切らない方がいい。後で証明していきますので、続けたいと思います。
 スケジュールを見ると、資料の一枚目にありますけれども、補正予算によって、試行的事業は前倒しで、昨年度から百八自治体で始まっているようであります。試行的事業はなぜ上限が月十時間なのか。それなのに、令和八年度からの新たな給付は月十時間以上、これは法案に書いてあります。これはなぜでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、試行的事業では、補助基準上、一人当たり月十時間を上限として実施をすることとしております。これは、今後、本格実施を見据えまして、都市部を含め、全国の自治体で提供体制を確保できるようにすることを踏まえて設定をしたものでございます。
 一方、こども誰でも通園制度の制度化においての利用枠につきましては、改正法案におきまして、ただいま御指摘いただきましたように、具体的な条文としては、月十時間以上であって、体制の整備の状況その他の事情を勘案して内閣府令で定める時間というふうに規定をしてございます。
 法案でこのように規定している理由といたしましては、月十時間以上は確保をすることを明確にした上で、具体的な時間の設定については、試行的事業の実施状況や全国的な提供体制の確保状況も踏まえながら、令和八年度の給付制度化に向けて検討し、決定をしていくということとするためでございます。
○高橋(千)委員 一つ確認。まず、本格実施をされる前に、この月十時間以上を、何時間以内という上限を明確にするということでよろしいですね。
 それで、今の説明だと、やはり、試行的事業の様子を見て決めていくということなんだけれども、試行的事業は十時間以内と決めてしまって、法案は十時間以上というのは、だったら、最初から十時間以上で、だけれども、やれる範囲が、つまり、自治体の都合とかいろいろな都合によっておのずと決まってくるわけだから、何かそういう決め方というのはおかしいような気がしますが、いかがですか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいまお答え申し上げたことの繰り返しになりますけれども、まず、試行的事業では月十時間を上限ということで、補助基準上、設定をしておりますので、まずはこの試行的事業を実施をして、具体的にどのような実施状況になるかということをしっかり見極めた上で検討していきたいというふうに考えておりますが。
 制度化をするに当たっては、給付化ということで一定の権利性が付与されますので、給付化をするに当たって、全国的に一定の時間ということを確保するときには、月十時間以上ということでまずは法定をさせていただき、それを、今年度の試行的事業の実施状況を踏まえて、実際、最終的に給付化をするときの上限設定をどうするかということは、よくよく現場の状況を見ながら検討していきたいということでございます。
○高橋(千)委員 検討会の中では、現在の一時預かり事業の年間の利用日数、平均すると三日程度なんだ、それに比べれば十時間というのはかなり長いし、同じくらいだということと、一日十時間という、もう事情があって一日十時間取る場合か、二時間取ったとしても週一回で、ちょうど月十時間でいいよねと、そういう議論があったと思うんですね。
 さっきからエビデンスの話が出ているけれども、やはり物事というのは、そういうようにちゃんと理由があって出ているわけですよ。それを何にも示さないで、ちょっと納得ができないというふうになっちゃうと思うんですね。そこは、やはり今後の制度設計の上できちんと説明をしていただきたい、このように思います。
 資料の真ん中のところで、こども誰でも通園制度が、令和八年度から全自治体で本格実施される、その前の年、令和七年度は、市町村の地域子ども・子育て支援事業として行うわけですね。私、これは市町村は結構大変だなと正直思います。
 この間にこの地域支援事業を入れた理由は何かということと、市町村が実施する中身は、給付制度ではないという以外は同じだという理解でよろしいでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 こども誰でも通園制度につきましては、委員おっしゃったとおり、まず、令和七年度からは、乳児等通園支援事業として法律上に位置づけまして、これは、子ども・子育て支援法上の地域子ども・子育て支援事業の一つとして位置づけるわけでございますが、これを位置づけることによりまして実施自治体数を拡充をするということを、まずはしっかり取り組んでいきたいと思っております。
 その上で、八年度からは、乳児等のための支援給付として、法律に基づく新たな給付として全国の自治体で実施をするということを考えてございます。七年度と八年度の違いは、おっしゃるとおり、事業か給付制度かということに起因する違いが一番大きいと思っております。
 具体的には、事業については、自治体の実情に応じて、裁量的な範囲が広いというふうなことで実施される一方で、給付というふうになりますと、まず、全国自治体で実施をいただくこと、それから、六か月から二歳の保育所等に通っていない全ての子供を対象にすること、また、公定価格制度の仕組みの下で給付費が支払われること、こういった仕組みをつくっていくということで、事業とは違いがあるというふうに考えてございます。
 ただ、七年度、八年度とも、上限時間を設けるということには違いがございませんので、上限時間の設定については、先ほど申し上げました、試行的事業の実施状況ですとか全国的な提供体制の確保状況も踏まえながら、それぞれ検討していくことになると考えてございます。
○高橋(千)委員 ある程度の裁量があると言いながら、上限が決まるのは七年度からである、しかも、これをもって公定価格になっているわけではないんだけれども、補助事業なんだけれども、こども誰でも通園制度が始まったというふうに言うわけなんですよ。だから、自治体の負担が大きいんじゃないかということで、しっかり説明していかなきゃいけないと思っています。
 それで、こども誰でも通園制度は、定期利用と自由利用があります。予約に当たっては、利用者が施設に直接申し込む、こういうことになると思うんですが、まず伺います。そして、空いていれば、当日など直前でも予約が可能なのか、それから、キャンセルする場合の料金はどうなるのか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 こども誰でも通園制度の予約については、全ての子供が円滑に利用できるように、保護者が空き状況を確認をし、簡単に予約することが可能となるような一元的なシステムを国で構築をすることを予定してございます。したがって、利用者が施設に直接申し込むのではなく、このシステムを通じて申し込むことができるようになると考えてございます。
 直前の予約につきましては、例えば、前日までの予約状況で当日の職員配置などの受入れ体制を決めてしまっている場合には、受け入れられないということも想定されます。こうした場合の取扱いについては、今後、システム上の対応も含めて検討していきたいというふうに考えております。
 また、キャンセル料の取扱いについても御指摘ございました。試行的事業においては、当日のキャンセルがあった場合には、市町村から事業者への支払いの対象とすることも可能としつつ、支払いの対象とする場合には、予定していた利用者の利用可能時間についても利用したものとみなすというふうな、そういう取扱いで試行的事業を行うこととしてございます。
 このようなキャンセルの問題、どうしても現場の混乱を生じるというふうな問題でもございますので、いずれにいたしましても、誰でも通園制度の予約ですとかキャンセル料の取扱いについても、試行的事業の実施状況を踏まえながら、よくよく丁寧に検討していきたいと思っております。
○高橋(千)委員 システムを通じてとおっしゃいましたけれども、それは直接契約だと思いますよ。それで、当日受け入れられない場合もある、それは当然です。そのときはバツがついていると思うんですよ。だけれども、受け入れる場合もあるということですよね。それから、キャンセル料を払っちゃう、普通に委託料などを払っちゃう、これも可能と説明していますよね。イエスかノーか。
○藤原政府参考人 試行的事業におきましては、当日のキャンセルがあった場合には、予定していた利用者の利用可能時間についても利用、消化したものというふうにみなす、そういう取扱いでございます。
○高橋(千)委員 そういうことなんです。
 それで、資料の2を見てください。真ん中の総合支援システムと呼ぶ、いわゆるこれはアプリなんですよね。コマーシャルでよくやる、美容室とかの空き情報をアプリで調べて予約が可能だ、これは全国どこでも可能だと。例えば北海道のスキーリゾートであろうと、沖縄のリゾートであろうと、あるいはショッピングセンターでもよい。行った先に施設があって、これでアプリが可能であれば利用できる。それから、同じ保護者が複数の施設を利用していることも想定していますね。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 こども誰でも通園制度の受入れ施設の種類についてのお尋ねだったかと思います。現在、教育・保育給付の対象となっていない施設におきましても、今回のこども誰でも通園制度につきましては、実施主体である市町村による認可の下で受入れ体制が……(高橋(千)委員「違う違う、アプリでどこでもと聞きました。認可外の話はしていないので」と呼ぶ)アプリで、システムを国の方で統一的に構築をしまして、利用者がタイムリーに予約ができる仕組み、そして、その情報を市町村が把握できるような仕組みを構築していきたいというふうに考えてございます。
○高橋(千)委員 そうじゃなくて、全国どこでもアプリを使えば空き情報が分かるから、旅行に行った際とかでも使えますよねということと、一つの町で複数の保育施設を使うことも可能ですよねと、二つ聞きました。
○藤原政府参考人 申し訳ありませんでした。
 複数の市町村にまたがっていても、空き情報も分かりますし、利用の申込みができるというシステムを考えてございます。(高橋(千)委員「だから、全国と言ったでしょう」と呼ぶ)はい、全国でございます。
○高橋(千)委員 ということなんですよ。これが親の都合じゃなくて何なんでしょうか。
○藤原政府参考人 今回の誰でも通園制度につきましては、目的といたしましては、子供の成長を、子供の育ちを支えるということで、様々な専門職と関わりながら成長をサポートしていくということを第一の目的と掲げておりますし、結果的には、保護者の方々が非常に育児不安とか孤立をしているところを軽減をしていくということにも資するものというふうに考えております。
 このように、できるだけ利便性を高めたシステムの構築もしていきますけれども、そのことが子供の成長に資するということと両立するような仕組みにしっかり設計をしていきたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 親の都合じゃなくて何なのかと、私、聞きました。様々な専門家、いますか。今の施設の給付の対象になっていないところまで対象にするわけですよね。利便性や、簡単に予約できるねって、コマーシャルと同じですよ。だけれども、それでいいんですかということを聞いています。
 市町村がそうした施設を認定する際の基準は何ですか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、こども誰でも通園制度の対象の施設につきましては、現行の教育・保育給付の対象となっている施設に加えまして、対象となっていない施設においても、市町村による認可の下で、受入れ体制が整っている場合において実施することも可能とすることを考えておりまして、例えば、具体的な実施場所といたしましては、地域子育て支援拠点ですとか児童発達支援センター、こういった施設についても念頭に置いてございます。
 また、市町村における施設の認可基準につきましては、現在の試行的事業においては、人員配置基準につきまして一時預かり事業の基準としてございます。保育の質の確保にも十分配慮しながら、今後、今年度からの試行的事業の実施状況を踏まえて検討していきたいと考えております。
○高橋(千)委員 一人保育士がいればアルバイトでもよい、そういう基準になるわけですよね。
 昨年、保育所の空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事業が行われ、その中間評価を見ると、家庭だけではない集団的な環境や保育士という相談相手に出会えるという点では子供にとっても親にとってもメリットがある、このように思いました。
 例えば、自分の時間が持てたとか、用事を済ませることができたというだけではなくて、園の先生から子供の様子を聞くことで新たな気づきを得られた、心身の余裕が生まれることでゆとりを持って子育てができるようになった、あるいは、子供を見ていると、新しいことに取り組む機会が増えたとか、保護者以外に甘えられる場所や人ができた、本当にいいことだと思うんですよ、いいことだと思う。
 だけれども、もしも、こども誰でも通園制度の子供を預かることで、元々通っていた子供たちに支障が出るようなことがあってはならない、こういう意見も出ています。それは本当に心配するところです。通常保育の園児たちが緊張したり、落ち着かない、そういう影響があってはならないと思いますが、大臣の見解を伺います。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
 委員御指摘のとおり、こども誰でも通園制度の実施に当たりましては、こども誰でも通園制度の子供を受け入れることで、様々、多数のメリットがあるその一方で、在園児の保育に対して支障があってはならないと考えております。
 こども誰でも通園制度に関する検討会におきましても、事業の実施に当たって、子供ごとに在園時間が異なることを踏まえ、現場の実情に応じた職員体制等のマネジメント、また、リスク管理、従事者間の情報共有が適切になされることが重要となることの指摘がなされております。
 こども誰でも通園を在園児と同じ部屋で行う場合には、こうした点に十分配慮が必要であり、また、こども誰でも通園を在園児とは独立した部屋で実施することも可能でございます。これらを考慮いただき、各事業所で適切な実施方法を御検討いただきたいと考えてございます。
 このような点にも十分留意しつつ、試行的事業の実施状況などを踏まえながら、在園児も含めた子供にとって安全、安心な制度となるよう、制度の本格実施に向けて留意すべき点等について検討を行ってまいります。
○高橋(千)委員 それは、支障があってはならないという立場は、大臣も共有していただけると思うんですけれども。
 さっき、済みません、局長、私、結局、今も給付の対象になっていないようなところも対象にするんだぞと、市町村がそれを認可するということになっているんですが、基準は何ですかと聞いたときに、一時預かりと同じですとお答えになっていたけれども、それはあくまでも配置基準の話であって、それ以外の基準というのは何もないんですか。今言ったように、独立していなきゃいけないとか、子供にとって影響がないような、そういう基準というのは何があるんですか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 現行の一時預かり事業の基準を、今回の試行的事業におきましては一時預かりと同じような基準をお願いをしておりますので、設備基準については、一時預かり事業と同様に保育所の基準を遵守をすること、また、人員配置基準については、一時預かり事業の基準を遵守することというふうにしておりまして、したがいまして、一般型の場合には、年齢、人数に応じた保育従事者を配置をし、そのうち保育士は二分の一以上、今のは配置の方でございます、設備の方は保育所の基準を当てはめるということでございます。
○高橋(千)委員 モデル事業がやられたときは空き定員を利用した事業でありました。そうすると、余裕定員を、空き定員を活用する場合は、保育士も増やさなくてもよいし、何もしなくてもよいということになりますよね。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 保育所における定員の範囲内で子供を受け入れる場合には、定員に応じた配置基準上の保育者が配置されていれば、追加の保育者の確保は不要でございます。
○高橋(千)委員 そういうことなんですよ。
 だから、今、かつてと違って待機児童が少し減ってきている、そういう中で、空き定員があるからその範囲内でいいですよとなって、結局、保育士も何も増やさなくてもできちゃう、それでいいのかということもまたちゃんと考えていただきたいと思う。
 それで、先ほどのモデル事業の中間評価を見ますと、モデル事業を担当した保育者、経験年数が十一年から十五年が二三・七%でした。十六年以上が三九・二%、合わせると六二・九%なんです。つまり、何が言いたいかというと、最初のモデル事業だし、失敗できないし、全く新しい子供たちを迎え入れるんですから、ベテランの保育士さんが担当したということなんですよ。
 かつて一時預かり事業が始まった頃、保育所に私、視察に行ったときに、そのための専門の保育士さんを配置することはできないから、結局園長さんがやっているということでした。つまり、一番のベテランなんですよ。そういうことが、似たようなことになっちゃ困るよねということなんです。
 それで、やはり自治体の取組を見ますと、ベテランの保育士さんが、モデル事業の中で、事前面接などをやって子供たちのフォローをちゃんとやっているんです。たとえ数時間預かるだけの子供さんであっても、いろいろな、アレルギーとかも含めていろいろな対処をしなきゃいけないわけですよ。そういうことをベテランの保育士さんがやってくれている。だから、それを見て、これから全国に広げても大丈夫って、単純じゃないと思いますよ。
 そういうことをどのように、さっき私、だから直前の予約でも大丈夫ですかと聞きましたけれども、どのようにそういう事前面接のような時間を取ろうとしているのか、その分のいわゆる手当というのかな、加配というのかな、考えているのか伺います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 委員のおっしゃるとおり、実際の制度化に向けて、子供の安全を第一に、保育者と誰でも通園でいらっしゃるお子さんとの信頼関係の確保ですとか、それから、やはりアレルギーの問題ですとか、実際にモデル事業に参加をされた自治体の皆さんや園の皆さん、私も何度かお聞きしたことがございますけれども、かなり丁寧にやっていただいているというふうに承知をしております。
 こういった先駆的な事業者の皆さん、そして、今年度からは試行的な事業がより多くの自治体で始まります。そういったところで工夫をしていただいている知見をしっかり集めて、どのような対応をすればこの誰も通園が、在園児にもストレスを与えず、いらっしゃる、新しく来るお子さんについても安全第一でしっかりそのケアができるのか、サポートができるのかというふうな在り方については、この試行的事業の中でしっかり知見を集めていきたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 私が指摘したことを受け止めていただいたと思うんですけれども、市町村の関与というのは、児童福祉法二十四条ですよね、これをなくすことはないですよね。今の、アプリの世界の中で状況は分かるという話でしたけれども、状況が分かるというのと、監督がちゃんとできるというだけじゃなくて、市町村がどう関わっていくかというのはとても大事だと思いますが、いかがですか。
○藤原政府参考人 市町村が実施主体となっている現行の長時間の就労家庭への保育の給付についての市町村の責任、これはこのまま維持されるものでございます。
 今回のこども誰でも通園制度は、従来の給付とは別に、新規の給付として設定をするわけでございますが、それをいかに利便性を高めるかということの中としては、保護者の利便性だけではなく、例えば一時預かりであれば、今、自治体の職員の方が必ずしも把握をできないという状況がある中で、こういったシステムを作ることで自治体においても把握ができるというふうな仕組みを設定をしたいと思っておりまして、保護者の利便性だけではなく、自治体の方でしっかり把握ができるような仕組み、そういった観点からも検討を進めていきたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 何度も言うように、全ての子供の育ちを応援という理念はすばらしいんですが、利便性とか簡便でいいですよということが、やはり親の都合が走ってしまうということになってはならないということを重ねて指摘をしたいと思います。
 本会議でも指摘をしたんですが、やはり、通常の保育所が、誰でも通園の影響で、人員配置が手薄になったとか通園児が通いづらくなるとか、そんなことがあっては絶対ならないと思うんですね。だからこそ、全体として保育士をやはり増やしていく、そして処遇改善するということが絶対求められるんだろうと思います。七十五年ぶりに四歳、五歳児の配置基準を見直しました。これで終わりにしないで、もっと増やしていかなければならないと思います。
 それで、ちょっと時間がないので、二つまとめて聞きますが、今回、支援法の五十八条三項の中に、都道府県知事が施設の見える化、決算などの見える化をするわけですが、その中に職員の処遇の情報を入れたと。その趣旨を伺いたいということと、それから、これ以降の、四、五歳児以外の子供たちの最低基準を改正する、そのタイミングはいつか、一刻も早くと思いますが、伺います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、見える化の点でございますけれども、改正後の子ども・子育て支援法五十八条の第三項におきまして、都道府県知事は、特定教育・保育施設の設置者等から報告された経営情報のうち、職員の処遇等に関する情報であって、保護者が適切かつ円滑に教育、保育を受けさせる機会を確保するために公表されることが必要なものとして内閣府令で定める事項、これを公表しなければならないというふうにしてございます。
 具体的には、施設、事業者ごとに、人件費率やモデル賃金などを公表することを想定をしてございます。この目的でございますけれども、費用の使途の透明性を向上させ、保育士等の処遇改善が行き渡っているかどうかの検証、あるいは、配置改善の検証を行うことによりまして、公定価格の改善を図る、これがまず第一の目的でございます。また、それ以外にも、情報公表の充実を図ることによりまして、保護者の方や保育士が自分で園を選ぶときの意思決定の支援にもなる、こういった効果も期待をされるところでございます。
 このため、五十八条三項におきまして、職員の処遇等に関する情報を規定をいたしまして、人件費率やモデル賃金などを公表していきたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 最低基準の改正はいつ。
○藤原政府参考人 申し訳ありません。
 二点目、答弁漏れで大変恐縮でございます。
 四、五歳児につきましては、委員から御紹介いただいたとおりでございます。それ以外の配置基準をどうするのかというふうなお尋ねでございます。大変申し訳ありませんでした。
 まず、三歳児につきましては、平成二十七年度より公定価格上の加算措置を既に実施をしているわけでございますが、令和六年度、今年度から、経過措置を設けた上で、最低基準の改正を行うことといたしました。
 また、一歳児につきましては、こども未来戦略において、令和七年度以降、保育人材の確保等の関連する施策との関係も踏まえつつ、加速化プラン期間中の早期に六対一から五対一への改善を進めるとされており、具体的には今後の予算編成過程において検討していく必要があるというふうに考えております。
○高橋(千)委員 これで終わりますが、これだけ大騒ぎをして加速化プランの財源問題を言われているときに、その加速化プランの中でさえも最低基準の改正も進まないというくらいでは、全然間尺に合わないわけです。そういう意味では、はっきりとこれはやると言っていただきたいし、今後また続きをやりたいと思います。
 ありがとうございました。

 

2024.4.3 地域・こども・デジタル特委 提出資料

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