国会質問

質問日:2024年 3月 27日 第213国会 国土交通委員会

ライドシェア問題について

ライドシェアは不要

高橋氏 タクシー処遇改善訴え

衆院国交委

写真
(写真)質問する高橋千鶴子議員=27日、衆院国交委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は27日の衆院国土交通委員会で、タクシー不足は運転手の処遇改善でこそ解消可能で、ライドシェア導入の検討は必要ないと批判しました。

 高橋氏は、物流の「2024年問題」だけではなく、バス、タクシーも路線廃止、廃業が相次ぐなどの深刻な実態があると指摘し、「ライドシェアが救世主になりえるのか」と質問。斉藤鉄夫国交相は、現行制度内で、かつ運転手の処遇改善などで対応するとし、ライドシェアでは解決につながらないと事実上認めました。

 その上で高橋氏は、タクシー会社が運送主体となり一般の運転手が自家用車を使って有償で旅客を運ぶ「自家用車活用事業」(4月開始)はライドシェアかと質問。国交省の鶴田浩久物流・自動車局長は「ライドシェアではない」と否定しました。

 高橋氏は、自家用車活用事業の運転手の労働者性についてただすと、厚生労働省の増田嗣郎審議官は「労働者と判断される蓋然(がいぜん)性は高い」と答えました。

 高橋氏は、自家用車活用事業や今後議論されるライドシェアの運転手は副業になる可能性が高いと指摘。運転手不足の一方で退職者も増えており、2種免許を持つプロのドライバーがライドシェアの受け皿として安上がりの労働者にされかねず、処遇改善で誇りをもって働ける職場にすればライドシェアは必要ないと主張しました。

(「しんぶん赤旗」2024年3月30日付)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 物流の二〇二四年問題が先週の本会議で審議入りをしましたが、先ほど来、複数の委員も発言をされているように、バス、タクシーも本当に深刻であります。
 東北六県で、二〇一七年から二二年度までに、路線バス約一千五百キロメートルが廃止されました。私が高校時代にスクールバスとして利用していた秋田の秋北バス会社、五年間で運転手が七十七人も退職し、ピーク時の半分以下、今、百四十二人にとどまっております。ですから、大幅減便をしています。岩手県交通は盛岡地区の運行数を二百四便、過去最大、一三・五%の減便だと報じられています。
 タクシー業界も、秋田市を主なエリアとするこまちタクシーや、岩手中央タクシーなどが、相次いで倒産、廃業に追い込まれております。
 国交省として、こうした交通空白が進んでいる現状をどうつかんでいるのか、またどのように見ているか、簡潔にお願いします。
○鶴田政府参考人 まず、タクシーにつきましては、令和五年四月から令和六年、今年の一月末までの十か月間で、全国の四十八事業者から事業廃止届が出されています。
 また、一般路線バスにつきましては、同じ十か月間で、完全廃止された路線は全国で合計千四百二十五キロメートルでした。
 このように、地域公共交通は、人口減少による需要減、コロナ禍を経た利用者の更なる落ち込み、また運転者の人手不足等により、深刻な状況にあると認識しております。
○高橋(千)委員 という答弁を受けて大臣に伺うんですが、岸田総理が所信表明演説で、地域交通の担い手不足や移動の足の不足といった深刻な社会問題に対応しつつライドシェアの課題に取り組むと言ったのが昨年十月ですが、その後、デジタル行財政改革会議などで議論を重ねてきました。
 これほど深刻な実態に対して、ライドシェアは救世主になり得ると思いますか。
○斉藤(鉄)国務大臣 地域交通の担い手不足や移動の足の不足の解消といった喫緊の課題に対応するため、現行の法制度において、タクシー事業者の管理の下で、地域の自家用車、一般ドライバーを活用する運送サービスを四月から開始することとしました。道路運送事業法の七十八条第三号に相当するものです。
 また、既に全国約七百地域で御活用いただいている自家用有償旅客運送制度についても、より使いやすい制度とする観点から、昨年末に制度改善を行ったところであり、現在、更なる改善を準備中です。既に、一部の地域においては、改善後の制度を活用し、社会実装が始まっています。いわゆる七十八条の第二号に相当するものです。
 これらの制度の活用とともに、処遇改善を通じたタクシードライバーの増加や、タクシーの営業区域を越えた他地域への応援、タクシー規制の見直しなどにより、総合的に地域の足の不足解消に努めてまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 現行の法制度の枠内でということと、自家用有償旅客運送の拡充といいますか、というお答えでありました。当然、処遇改善、必要なんですが。
 ということは、私の質問に対しては、ライドシェアは救世主になり得ないという理解でよろしいですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 ライドシェアという言葉の定義が定まっておりません。
 我々は、お金をもらって有償で旅客を運送するという場合、車と運転手の安全、それから責任、そして労働環境、この三つは非常に重要である、このような観点から、現状の、実際に地域の足が不足しているということに対応していきたいと思っております。
○高橋(千)委員 取りあえず、ありがとうございます。
 ということで、国交省は、今大臣もおっしゃったように、ライドシェアの定義は不明確ということで繰り返し答えてきたわけです。ただ、懸念を表明してくださっている。
 そこで、昨年十二月二十日のデジタル行財政改革会議で、今年四月から地域の自家用車や一般ドライバーを活用した新たな輸送サービスを開始すると総理が述べました。それを今大臣が御紹介していただいたと思うんですが、来月から始まる新たな輸送サービスとは何かということと、ライドシェアとの関係は。お願いします。
○鶴田政府参考人 まず、四月から開始する事業、自家用車活用事業の内容につきましては、今委員からも御紹介をいただき、また大臣からも御答弁申し上げましたように、タクシーが不足する地域、時期、時間帯において、その不足分を補うため、タクシー事業者の管理の下で、地域の自家用車、一般ドライバーを活用する運送サービスであります。
 一方、ライドシェアにつきましては、これも先ほどのお話のとおり、一般的に申し上げれば、アプリ等で自家用車、ドライバーと利用者とをマッチングさせて輸送サービスを提供するものであるというふうに考えておりますけれども、決まった定義はないと認識しております。
 御質問のあった両者の関係ですけれども、仮にこのライドシェアという言葉を、この委員会でも長年議論されてきましたように、ちょっと長くなりますが、仮にこの言葉を、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態で有償の旅客輸送サービスを提供することという意味で用いるとしましたら、今回の事業はライドシェアではありません。一方で、関係者ですとか報道によっては、この自家用車活用事業が、例えば日本型ライドシェアといったように呼ばれているケースもあるというふうに承知しております。
 このように、人によって内容が異なり得る言葉ですので、国土交通省としては、この事業に自家用車活用事業という名称をつけているところでございます。
○高橋(千)委員 まず、国交省的にはライドシェアではありませんというお答えでありました。日本型ライドシェアと答えているところもあるということですが、ただ、タクシー事業者が運送責任を負うという意味では、今局長がお話しされた責任を負う主体という点では、タクシー事業者が負うことになるわけですよ。それで、だけれども、タクシー事業者が普段雇用しているタクシー労働者ではない人がアプリによって契約をしてと、そこに矛盾が生じてくるということになります。
 そこで、進みますけれども、この自家用車活用事業において、お話しされた不足する地域、期間、時間帯、どのように定義しますか。
○鶴田政府参考人 この新しい事業におきましては、タクシーが不足する地域、時期、時間帯、これを特定することとしておりますけれども、この方法につきまして、タクシー配車アプリの導入が進んでいる地域におきましては、配車アプリの依頼件数に対する承諾件数の比率、すなわちマッチング率を基に不足車両数を算出する。一方で、配車アプリの導入が進んでいない地域もございますので、そういった地域においても利用者利便を増進する観点から、対応を検討しているところでございます。
○高橋(千)委員 アプリが進んでいない地域をどう定義するのかなというのが今ちょっと疑問に思ったわけですが、ちょっと時間がない関係もあって、進めてみたいと思います。
 一つ問いを飛ばして、後で戻ってきます。
 それで、資料の二枚目に、今お話しされた、アプリの導入率によって不足の地域を描き出しているわけですよね。上からいきますと、特別区が、月曜から金曜、不足車両数が千七百八十台、金、土で千百台とか、京浜でいうと九百四十台とか、こうした数字は、多分これは、でも、そうはいっても試算的な、イコールというのはなかなか難しいなというふうに思うんですけれども、結局、タクシーの営業している範囲の中で、しかし、非常にタクシーが少ない、不足する、そういうところの範囲、つまり、不足する台数の範囲でやろうとしているわけですよね。それを一つ確認で。
 そうなると、プロのドライバーさえも足りないようなところで、プロではないドライバーが果たしてこれの受皿としてあり得るのでしょうか。どんな人がなるのでしょうか。
○鶴田政府参考人 まず一点目、お尋ねのありました、タクシーの足りない台数の範囲でやるのかという点に関しましては、そのとおりでございます。
 それから、二つ目に、タクシーが足りない分を補うのにプロでないドライバーで足りるのかということですけれども、先ほど大臣が申し上げました運送サービスに当たって大事な三つの点、これを満たすためにということで、タクシー会社の管理の下で、自家用車と一般ドライバーを活用することができるというたてつけとしているところでございます。
○高橋(千)委員 今、足りない台数の範囲だというのを確認をしました。
 ただ、もうちょっと交通過疎が進んでいる地域ですと、元々タクシー会社が今言ったように廃業していたりして、ほとんどない、まるっと足りない。そうすると、ますます、担い手は一体どこから出てくるのかというのは考えていらっしゃいますか。
○鶴田政府参考人 元々タクシーが非常に少ない地域のようなところにおきましては、これも一番最初に大臣が御答弁申し上げましたように、この新しい自家用車活用事業も一つの方策だと思いますが、それだけではなくて、自家用有償旅客運送を活用するとか、それは地域の実情に応じて、何らかの形で、自家用車を活用することも含めて、輸送サービスを確保するということだと思います。
○高橋(千)委員 自家用有償はかなり広がってはいますけれども、いわゆる行政か、あるいはNPOという形でやっていますから、結局ここに、いわゆる、ここにというのは、この空白地域も含めたところに株式会社も含めた主体が必要だよねというのが昨年の中間報告、まとめではなかったかなと思うんですよ。だって、そうじゃなかったら、結局ドライバーをちゃんと確保しなかったらできないよねという非常に矛盾した話になるわけなんです。
 それで、問いを戻して厚労省に伺いますが、ドライバーの働き方について、あるいは労働者性について、審議会で議論がされています。第一回交通政策審議会陸上交通分科会の自動車部会において、労働基準法上の労働者に該当すると判断される蓋然性は高いという発言がありました。この趣旨を簡潔にお願いします。
○増田政府参考人 お答えを申し上げます。
 まず、前提といたしまして、労働基準法上の労働者に該当するかどうかにつきましては、契約の形式や名称にかかわらず、実質的に使用従属関係にあるかどうかについて、働き方の実態等を勘案して総合的に判断されるものでございます。
 その上で、お尋ねにつきましては、御指摘の部会において、自家用車活用事業(仮称)のドライバーの想定される業務対応について国土交通省から御説明があり、その業務対応を前提とした場合に労働基準法上の労働者に該当するのかについて厚生労働省の見解を示すよう求められましたことから、厚生労働省から、実態を勘案して総合的に判断する必要があることから一律の判断は難しいが、労働基準法上の労働者性の判断基準に照らして、労働者性を肯定する方向に働く事情が多く、労働基準法上の労働者に該当すると判断される蓋然性は高いものと考える旨を発言させていただいたものでございます。
○高橋(千)委員 今のところをもう少し、ちょっと追加して伺いたいなと思うんですが、結局、そのドライバー、いわゆる自家用車活用事業のドライバーになる方も登録をしなくちゃいけないわけですし、研修もしなくちゃいけない。誰でもいいというわけにはいかない。安全もちゃんと守らなきゃいけない。さっきお話があったように、保険もやらなきゃいけない。
 そうやって、やはりそうはいったって、お客さんを運ぶ以上はしっかりとした研修を受けた人でなければならない、その場その場でいきなり誰でもいいというわけにはいかない、そういう思想の下に構築されていって、そうした実態を見れば、やはり労働者である蓋然性が高いという判断をせざるを得ない、そうなるんじゃないかなと思うんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○増田政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど御答弁させていただいて、総合的に判断する必要があるわけでございますが、労働者性の判断基準につきましては、使用従属性に関する判断基準といたしまして、指揮監督下の労働であるかどうか、また、労働者性の判断を補強する要素等も勘案して判断するということとされております。
 この部会において国土交通省から説明があった内容を前提とした場合には、先ほどの、蓋然性は高いものと考えるという形での発言をさせていただいたものでございます。
 以上でございます。
○高橋(千)委員 内容を前提としてという、国交省の説明を聞いてということでしたので、私がお話ししたことが大体合っているのかなと思っております。
 それで、規制改革推進会議、働き方・人への投資ワーキング・グループ、ずっと進んでいますが、三月十二日に第四回の会合が開かれて、フリーランス、ギグワーカーの労働者性、保護の在り方についての議論も進めています。
 この中で、副業の考え方ですとか、そういうことが議論されているわけなんです。つまり、今、労働者性の問題、いわゆる自家用車活用事業の、誰が担い手になるかなという話をしてきたわけですが、結局、自家用車活用事業においても、その担い手においても、やはりそれが専業で、まるっとフルタイムで働いている人になったら、それはもう完全に雇用、労働者になっちゃうわけですから、やはり副業という形になるんじゃないかなと思っているんですね。それはどんなイメージで検討されているのか、伺います。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 地域の移動の足不足の問題につきましては、御指摘のように議論がされておりますけれども、自家用車活用事業などの取組が進められる中で、担い手の確保は確かに重要な課題であるというふうに認識をしております。
 議論の中では、ドライバーを確保するためには、安全の確保を前提としつつ、柔軟な働き方を可能とする必要があるとの指摘などを踏まえまして、どのような制度とすべきか、議論がなされております。
 今後も、自家用車活用事業等の実施状況等を踏まえながら、引き続き議論が行われていくものと考えておりますけれども、副業という御指摘もありましたけれども、いろいろなケースが想定されますので、今後議論がなされる中で、ちょっとそれを先取りするようなことは控えさせていただきたいと思います。
○高橋(千)委員 今日は時間ですので、ここで終わりますけれども、ドライバーの不足しているというお話が、バスでもタクシーでもトラックでもそうだと。でも、一方ではリタイアが増えている。そういう中で、やはり結局、そういう本来の免許を持っている人が、こういう安い働き方に投入されかねない、そういう問題なんですよ。だから、これを真剣に考えなくちゃいけない。
 本来、大臣が最初におっしゃったように、きちんとしたプロの働き方を処遇できちっと扱って、誇りを持って働ける、そういう方向にすれば、ライドシェア、何とかしなきゃという話には本当はならないんだという立場で検討していきたいなと思っておりますので、今日はそこまでにします。
 ありがとうございました。

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