国会質問

質問日:2024年 3月 26日 第213国会 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会

マイナ保険証について

保険証廃止撤回を

マイナ保険証「緊急時に時間ロス」

衆院特別委 高橋議員

写真
(写真)質問する高橋千鶴子議員=26日、衆院地こデジ特委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は26日の衆院地域・こども・デジタル特別委員会で、政府が災害時に役に立つと宣伝してきたマイナンバーカードは能登半島地震で役に立たなかったとして、現行健康保険証の廃止方針の撤回を要求しました。

 高橋氏は、同地震後に同カードでは対応できず、JRから「Suica」が提供された事態への反省点を質問。河野太郎デジタル相は「カードリーダーを備えていなかった」などと弁解しました。

 高橋氏は災害時と同様、緊急対応が必要な医療現場では「マイナンバーカードの保険証は時間のロスだ。現行の保険証でよい」との声があると指摘。厚生労働省の内山博之医薬産業振興・医療情報審議官は同カードによる医療情報閲覧の必要はないと認めました。

 マイナンバーカード保険証の利用率は4・99%(2月末現在)にすぎず、政府は支援金や診療報酬の加算措置などで利用率向上を図ろうとしています。「12月から事実上の義務化だから、逆に(報酬を)減算するつもりか」との高橋氏の質問に、河野デジタル相は「所管外だ」と答弁。高橋氏は、保険証廃止は河野氏の発言が発端で、厚労省はもともと保険証とマイナ保険証の並行利用が方針だったとして、所管外なら「廃止を撤回せよ」と迫りましたが、河野氏は「12月2日に廃止する」と強弁しました。

 高橋氏は、政府の医療DXに賛成の医療関係者でさえ拙速(せっそく)だとの意見があるとして「このような声に耳を傾けるべきだ」と主張しました。

(「しんぶん赤旗」2024年3月28日付)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 元日に発生した能登半島地震では、三月まで断水が続く地域が残されるなど、生活インフラが深刻なダメージを受けました。マイナカードは災害時に役に立つということが言われていたのですが、実際はどうだったのでしょうか。
 資料の一枚目は、二月八日付の東京新聞です。三月十三日の本委員会で、立憲の早稲田ゆき委員がこの問題を取り上げております。河野大臣は、会見やX上で、マイナンバーカードはたんすに入れておかないで、財布に入れて、一緒に避難してと呼びかけました。石川県ではマイナカードに対応できず、JRから、Suicaを二万一千枚、カードリーダー三百五十台、無償提供いただいたと聞いております。
 避難所での入所手続、服薬情報、罹災証明書の申請など、様々活用できるとしてきたと思いますが、反省点はないのか、大臣に伺います。
○河野国務大臣 マイナンバーカードを使った、避難所の入所のシミュレーションなどを行ってまいりまして、これは非常に効果があるだろうというふうに思っております。
 ただ、今回の能登半島の地震の際、避難所でマイナンバーを携帯していた方、高齢者の多い二次避難所でもかなりの確率でいらっしゃいましたが、残念ながら、マイナンバーカードを読み込むカードリーダーを避難所に配付する、そういう予備のカードリーダーがありませんでしたので、マイナンバーカードを使うことができず、JR東日本からSuicaとSuicaのリーダーを御提供をいただくということになりました。
 災害、いつ来るか、次の災害がいつ来るか分かりませんので、今、デジタル庁では、マイナンバーカードのカードリーダーをしっかりと用意をして、いざ災害が起きたときにそれを避難所を始め必要な施設に送り出すことができるように、また、カードリーダーでマイナンバーカードを読んだ情報をしっかりと連携できるようなシステムの構築というものを急いでいかなければならないというふうに思っておりまして、できる限り早期にそうした体制を取っていく、そういう必要性を改めて感じたところでございます。
○高橋(千)委員 私は、東日本大震災始め災害の現場で、着のみ着のままで避難してきたという被災者に何度も会っております。そうした立場からすると、本当に発信するべき情報は何なんだろうかということを非常に考えたわけです。
 例えば、福島から埼玉に避難してきた男性が、年金の裁定書をポストに入れたばっかりのときに津波に遭っちゃったと。それがどうなったか心配でたまらないと言われて、私、問い合わせてみたら、確かに届いておりませんでした、津波に流されて。ただ、問合せをしてくれれば、書類が何もなくても再度発行することができるということでありました。
 また、避難所に集まっていた皆さんが、たとえ保険証、当時は紙ですけれども、保険証がなくても医療は受けられるし、また、被災者ですから無料で受けられる、こういうことがはっきりしていたと思うんですね。
 やはり、大事なことは、そういう発信をすることではないかということなんです。とにかくカードを持って逃げてということ、そのためにカードを取りに戻ったらどうしようという指摘もございましたので。
 整備をしていくということは必要なことかもしれないけれども、そうしたことを、本当に大事な、最初に大事なことは何かということをお話ししておきたい、そういうふうに思いました。
 そこで、同じような場面かなと思うのが医療の現場なんですね。医療DXの基盤となるマイナ保険証ということで政府が力を入れているわけですけれども、救急医療における患者の健康データ活用ということもうたわれているわけなんですね。
 だけれども、現場の医師からは、現行のような保険証がなければ、救急若しくは状態の悪い患者さんがいらしたときに診療手続が著しく困難であると指摘をしています。例えば、狭心症若しくは心筋梗塞を疑われる患者さんが来院したときは一刻も早く診察、検査が必要なんだ、そういうときにあれこれ、カードで資格はどうだとか、そう言っている場合ではないんだということを指摘をされているんですね。この点について厚労省の認識を伺います。
○内山政府参考人 救急医療の現場におきまして迅速かつ適切な医療が受けられること、これは当然必要だと思ってございます。
 他方、医師等が、例えば意識のない患者さん等について、患者さんの医療情報を必要に応じて確認することにより重複した投薬を避ける、あるいは受診歴に応じて適切な医療行為を選択するなど、より安全な、また、より適切で効果的な医療を提供することにつながるものと考えております。
 病院における救急診療時におきましては、迅速に処置をする必要がある一方、詳細な情報を把握した上で投薬等を行う必要がある事例もあると考えておりまして、救急診療時における医療情報の閲覧についても、現場の医師等の判断で必要に応じて適時適切に行っていただくものというふうに考えてございます。
 したがいまして、御懸念のように、必ずしも、例えば処置等の前に医療情報閲覧を行っていただく必要はございませんで、現場の判断で、必要に応じて適切なタイミングで医療情報を閲覧することにより、より適切な医療提供につながるものというふうに考えてございます。
○高橋(千)委員 まず、最初の場面で必要はないということを確認をいたしました。また、必要に応じて適切に情報を確認すればよいとおっしゃいましたが、それは、私が紹介した医師がおっしゃっているように、紙の保険証があっても同じことができるはずです。そこは指摘をしておきたいと思います。
 それで、十二月二日に保険証は廃止するということを政府は決めました。今年一月末でマイナカードの保有状況は九千百六十八万人、全人口の七三・一%。そのうち、七千百四十三万人、カード保有者の七七・九%がマイナ保険証を登録済みだといいます。しかも四人に一人が利用経験がある。なのに利用率は四・六%に一月末でとどまっていたわけです。
 それで、厚労省は保険者や事業者に利用促進の協力を呼びかけてきました。二月末現在ではちょっと上がって四・九九%ということなんですが、ここまで普及しない理由をどのように捉えているのでしょうか。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
 今お話ございましたように、オンライン資格確認におきますマイナ保険証の利用状況、直近二月でオンライン資格確認全体の件数に占める割合は約四・九九%と、二か月連続で前月に比べて上昇しておりますものの、より一層の利用促進が課題と認識してございます。
 これにつきましては、医療機関等の窓口におきまして紙の保険証の取扱いを前提とした対応がなされてきたことが一つの要因としてあるものというふうに考えてございまして、今御指摘ございましたような調査結果、国民の四割の方がマイナンバーカードを常に携行されているといった調査結果もございますことから、医療現場におきます利用勧奨が大変重要と考えてございます。
 このため、本年度の補正予算で設けた医療機関への支援金のほか、令和六年度の診療報酬改定におきましても、利用実績に応じた加算措置を導入することとしてございまして、引き続きマイナ保険証の利用促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○高橋(千)委員 今、さりげなく答弁の中でおっしゃったんですけれども、紙の保険証をお持ちですかと医療機関が聞くから利用率が悪いのであって、そういうふうな報告がされているわけなんですよ。だけれども、それは、そういうふうに聞く理由があるわけでしょう。何回もやってみたけれどもトラブルがあったとか、そういう理由があってのお答えなんですから、これを何か、医療機関がそういうことを言うから進まないんだみたいな議論は違うと思うんですよ。やはり、謙虚にその実態を見て、真摯に反省すべきだと思います。
 それで、資料の二枚目なんですけれども、これは、社保審の医療保険部会のたびに都道府県別の利用率一覧が出されるわけなんですね。上位五県が黄色、下位五県がグレーで塗られておりまして、我が青森県は下から三番目のようで、こうやって自治体同士を競わせているということがやられております。
 さらに、資料の三枚目なんですけれども、今度は、上は診療報酬で、持っている、持っていないで差をつける、下は利用率が上がったかどうかで支援を増やしていく、こういうやり方をしているようですが、この趣旨と内容を簡潔に説明してください。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、マイナ保険証利用促進のための診療報酬上の評価についてでございますけれども、令和六年度の診療報酬改定におきまして、質の高い医療を提供する観点から、オンライン資格確認等システムを導入した医療機関でありまして、初診及び再診時に患者の医療情報を適切に取得することを評価する医療情報取得加算を設けますとともに、医療DXの推進の観点から、医療DX推進体制整備加算、こちらを設けまして、医療機関が満たすべき要件の一つとして、マイナ保険証の利用実績が一定以上であること、こちらを設けてございまして、この要件は令和六年の十月一日から適用することとしてございます。
 また、利用率増加に応じた支援金についてでございますけれども、こちらは先ほども御説明しましたような状況から、患者と直接接されます医療現場におきます利用勧奨、こちらが大変重要であるという観点から、医療現場における利用勧奨の取組に対する支援といたしまして、マイナ保険証の利用率の増加量に応じて支援金を交付する事業、こちらを行っているところでございます。
○高橋(千)委員 すごいなと正直思うんですね。上の方は診療報酬なんですが、六月からは、初診のときだけつけていたものを、初診と再診ということで点数を増やしている。そして、十月からは、医療DX推進体制整備加算ということで、八点にこれを増やしていると。まだまだここに到達していない医療機関はとても多いと思いますけれども、これをつけている。そして、下の方は、今度は利用率が五%上がると二十円、それで、一〇%だと四十円、二〇%だと六十円というふうに支援が上がっていくということなんですね。ちょっとあからさまなやり方だなと思うんですが。
 今般の診療報酬改定は、物価高騰には到底追いつかない僅かな賃上げ、〇・六一%のプラスです、にとどまって、六回連続、ネットでマイナス改定となっています。そうした中、医療DX推進体制整備加算始め利用促進のための声かけに点数を上乗せするのかと、非常に残念に思うんですね。
 しかし、ここにちっちゃく書いていますけれども支援は十一月まで、つまり、十二月には保険証が廃止になるんだから、事実上、これは義務になっちゃうわけですよね。そうすると、その先は何か考えていますか。まさか、今度は引き算、減点方式になったりするということを考えているのか伺いたいと思いますし、大臣も、そもそも、これを最初は秋とかおっしゃっておりましたけれども、十二月で保険証廃止ということをおっしゃったのは大臣があれですので、こうしたことをやる必要があると思っているのか、伺います。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
 令和六年度の診療報酬改定におきまして、マイナ保険証の利用については、いわゆる減算方式ではなくて、医療情報を一定の方法で取得されていることを算定の要件とする医療情報取得加算や、それから、マイナ保険証の利用実績が一定程度以上であることなどを算定の要件とします医療DX推進体制整備加算といった加算措置を設けることとしてございまして、この体制整備加算における具体的な利用率等については、今後、中央社会保険医療協議会において御議論いただくこととしているものでございます。
 支援金につきましては、これは利用勧奨の取組などに対する支援といたしまして、これは補助金として実施しているものでございます。
○高橋(千)委員 加算、加算と言わなくても分かっているの。だから、この後減算するんですかと言っているんですよ、十二月以降。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。失礼いたしました。
 現時点におきまして、ただいま御説明しました加算以外に、医療機関等におけますマイナ保険証の利用状況を要件とした診療報酬の検討、こちらを行っている事実はございません。(発言する者あり)
○谷委員長 厚生労働省日原官房審議官。
○日原政府参考人 申し上げましたとおり、現在は、この加算により対応したいというふうに考えてございまして、それ以外に利用状況を要件とした診療報酬の検討は行っていないところでございます。
○河野国務大臣 診療報酬は厚労省でございますので所管外でございまして、先ほどから所管外の答弁がと言われますけれども、質問が所管外の質問でございますから所管外とお答えをするしかないわけで、こういうことからも御理解をいただきたいと思います。
○高橋(千)委員 だったら、所管外の保険証廃止ということを大臣が言ったことが問題です。
 じゃ、会見で大臣が保険証廃止と言ったことを取り消しますか。
○河野国務大臣 厚労省、総務省、デジタル庁、ここで議論をして、いろいろなことを決めたものをデジタル庁が代表して申し上げたということでございます。
○高橋(千)委員 都合のいいときに所管外となって、そうじゃないときは自分が代表すると。本当にこれはおかしいと思います。
 大臣が言ったことが最初だったわけですし、厚労省は、当面存続、並行利用ということを方針にしていました。前にここで質問したことがありますけれども、骨太の方針で決定していたものを河野大臣が覆す発言をしたわけですよ。そのことに対する責任がないのかと重ねて指摘をしたいと思います。
 もう一点質問しますので、続けます。
 ここまで、医療機関にも保険者にも、また事業主などにも協力を呼びかけて、財政支援も行うなどして躍起となって、ちょっとずつ利用率は上がっていきます。間に合うかどうか分かりませんが、相当な負担を現場にかけています。支払基金に対してもかけていると思います。なぜそこまでしてマイナ保険証なのかということをつくづく思うんですね。
 今日は、医療DXに賛成の立場の医療関係者でも意見をしていると紹介したいんです。
 保険医協会が提出した健康保険証の存続を求める陳情を受けて、国分寺の市議会において、市内の医療機関でどのくらい困っているのか医師会に聞くべきだという意見が出され、医師会がまとめたアンケートが一月議会に提出されました。
 これによると、健康保険証の廃止を延期し、存続すべきと答えたのが五十件中四十五件に上りました。そのうち、意見の一部です。コンセプトはすばらしかったのだが、慌てて導入を進め過ぎたので多くの方がついていけない現状を見てほしい、導入実験を国立センター病院や公立病院などで複数年度行い、それから民間病院、診療所に広めても遅くはない、せっかくのよいシステムが台なしであるという意見。しばらくの間は従来の保険証とマイナ保険証の二本立てでいくことを強く望む、みんなが不安な状態なのに、なぜそんなに急ぐのか、国民の意見を少しも理解せずに、現状に納得がいかない、誰のための政策なのか。
 政府の方向性に賛成している医療機関でも拙速過ぎたと述べていることに、もっと傾聴すべきではないでしょうか。年内の保険証廃止は見直す考えはありませんか。
○河野国務大臣 度々国会でも答弁申し上げているように、十二月二日で保険証を廃止する、しっかりとやってまいりたいと思っております。
 また、それぞれの病院、クリニックの皆様には、その前にしっかりと、カードリーダーを患者さんに利用していただく対応をお願いをしていきたいと思っております。
○高橋(千)委員 残念ながら時間ですけれども、今お話ししたように、政府の方向性に賛成している機関でも、ちょっと待てよ、急ぎ過ぎだと指摘している。ここにきちんと耳を傾けるべきだ、このことを指摘して、終わります。

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