国会質問

質問日:2024年 3月 13日 第213国会 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会

こども・子育て支援納付金について

少子化対策で負担増

財源にインボイス増収分も

衆院特別委で高橋議員批判

 日本共産党の高橋千鶴子議員は13日の衆院地域・こども・デジタル特別委員会で、政府の少子化対策の財源確保が、インボイス導入による消費税増税や介護保険利用者負担など国民の負担増となっていると批判しました。

 政府は、こども未来戦略「加速化プラン」の2028年度完了時の財源3・6兆円の「基本骨格」は「既定予算の最大限の活用等」1・5兆円と子ども・子育て支援金1兆円を含む「歳出改革の徹底等」2・1兆円だと説明しています。

 高橋氏は「既定予算」は「どんなものを想定しているのか」と質問。こども家庭庁の小宮義之官房長は、育児休業給付用の雇用保険料などの財源のほか、社会保障と税の一体改革の社会保障充実枠の再精査で生じる財源で、インボイス導入による消費税増収分も含むと認めました。

 高橋氏は、こども未来戦略の全世代型社会保障構築「改革工程」は、生活保護の医療費扶助「適正化」、入院時の食費や介護保険利用者負担の見直しなどを掲げていると指摘し、「負担増ではないか」と追及しました。厚生労働省の宮崎敦文審議官は「影響を考慮して進めていく」と答弁。影響が出ると事実上認めました。

(「しんぶん赤旗」2024年3月16日付)

 

「歳出改革」で浮いた財源

軍事に回すため少子化対策に使えぬ

高橋氏追及に政府

写真
(写真)質問する高橋千鶴子議員=13日、衆院地こデジ特委

 「歳出改革」で浮いた財源を、国の存続にかかわる少子化対策に使わないのは、「防衛力強化のための財源」だからだ―。少子化・子育て支援を議論する「衆院地域・こども・デジタル特別委員会」(13日)での政府答弁が波紋を広げています。追及した日本共産党の高橋千鶴子議員も「驚きの答弁だ」と怒りをあらわにしました。

 高橋氏は、「国の存続そのものに関わる」(全世代型社会保障構築会議報告書)少子化対策の財源を「社会保障改革」の枠内だけで確保する理由をただしました。竹林悟史内閣審議官は、社会保障費以外の「歳出改革」で生じる財源は「防衛力強化のための財源」だと答弁。大軍拡の一方で少子化対策の名による社会保障削減を露骨に合理化しました。

 高橋氏は「岸田(文雄)総理は“国を守ることと子どもを守ることは同じだ”といいながら、殺傷能力のある武器の輸出など『攻撃』にシフトする一方で、国立病院機構の積立金の流用などで社会保障も傷つけている」と厳しく批判しました。

(「しんぶん赤旗」2024年3月16日付)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 旧優生保護法一時金支給法に基づく一時金の請求と支給件数が伸び悩んだまま、四月二十三日で請求期限を迎えます。資料の一枚目に概要ペーパーをつけておきました。私も議連のメンバーとして立法化に携わってまいりましたので、本当に苦しく思います。
 当時、請求期限そのものをなくすべきとの意見もありました。しかし、むしろ五年と区切ることで、なるべく早く届けたいという思いがありました。また、五年後の見直し規定を書くことで、例えば、支給金の水準や配偶者など支給対象者の範囲、そして名簿で把握できている方に直接通知すべきではないかなど、当時は議論にはなったんだけれども合意できなかった論点も含め、五年間の施行状況を見ながら必要な見直しも検討するとしたものでありました。
 優生保護法の訴訟は、全国十二地裁、支部に二十件提訴され、現在、最高裁、三つの高裁、九地裁、支部において係争中ですが、旧優生保護法が憲法違反であることに争いはなく、判決が分かれているのは、公訴時効を適用するかどうかだと思います。既に、原告のうち五名が死亡されています。皆さん、御高齢になっております。
 少なくとも、政府が把握している約二万五千人の強制不妊手術が実施されたにもかかわらず、一時金が支給されたのは、令和六年一月末現在で千八十四件にすぎません。このまま終わりにすることはできないと思います。
 法律で一時金としたのは、裁判が勝訴したり、損害賠償の支払い命令が出た際に、一時金支給法に基づく給付分が控除されるというようなことではなく、性格の違うものだということを明確にしたものだと思います。
 一時金の支給には時効はありません。本来、裁判に影響されるものではないわけですが、残念ながら、与党は、最高裁を待つということで、慎重姿勢を崩しませんでした。しかし、それでは時間がかかり過ぎます。こうした点で、期限を延長すること、そして、延長してもっと多くの方に請求していただけるように特別な相談支援などを検討するべきと思います。
 加藤大臣には、この問題で初めて質問しますので、是非率直に、この優生保護法の問題、どうお考えなのか伺いたいと思います。そして、政府としても、期限を延長し、一時金を受け取る資格のある人全てに届くための特別な手だてを取るべきと考えますが、御意見を伺います。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
 旧優生保護法に基づき、あるいはこの法律の存在を背景として、特定の疾病や障害を理由に生殖を不能にする手術を強いられた方々に対しましては、平成三十一年四月二十四日に、議員立法である旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律が成立した際、内閣総理大臣及び厚生労働大臣からそれぞれ真摯な反省と心からのおわびを表明をしており、政府のこうした立場は今も変わりはございません。
 こうした経緯を踏まえまして、政府としては、できるだけ多くの優生手術等を受けた方々に一時金を請求していただくために、様々な機会を捉えて周知、広報や相談支援を行うほか、障害特性を踏まえた、手話、字幕付動画等の作成、配布もしているところでございます。
 また、こども家庭庁が設置する旧優生保護法の一時金相談窓口では、御事情をお聞きした上で具体的な請求窓口を御案内するなど丁寧な対応を心がけており、請求窓口を設置する都道府県に対しましても、障害のある方への配慮等も含めて、請求者が相談や請求をしやすい、そんな体制の整備について依頼をしているところでございます。
 引き続き、周知、広報を推進するとともに、申請者の皆様に寄り添った丁寧な相談対応を通じて、一時金の着実な支給が進むよう全力を尽くしてまいります。
○高橋(千)委員 周知徹底や丁寧な相談対応というのは、この五年間も一応目指してきたわけでありますね。
 ですから、私がお話ししたのは、当時は議論が分かれたわけですけれども、政府自身が把握している人がいると。例えば、今回であっても、千八十四件が認定をされたわけですけれども、審査が不要となっている、もう審査する必要がない、政府として分かっている人が、そのうち百三十件いたわけなんです。これが、いわゆる二万五千のベースでいきますと、もっともっといるはずなんだ、そういう方たちにやはり時間を惜しんで一刻も早く通知するべきじゃないか。もうこういうことが今表面化していると思うんですね。それをやっている自治体もあるのは承知していると思います。
 また、当時、いろいろな相談、議論をする中で、弁護士さんなどが、自分たちが、その橋渡し役というんでしょうかね、相談役としても力になってあげたいということを表明していただきましたので、やはり、そういうことを、もっと踏み込んだ対応をしていただきたいということを重ねてお願いしたいと思うんです。
 昨日も、名古屋地裁で原告勝訴の判決が出ました。夏には、最高裁の大法廷が開かれ、統一見解が示されることになります。
 国会の責任も問われています。今日、議員立法でこの延長ということが話題に上ると思うんですが、どうか大臣におかれましても、原告と直接会い、訴えを聞いて、また、踏み込んだ対応をしていただきますように、重ねてお願いをしたいと思います。今日は指摘だけにとどめます。
 次に、子ども・子育て支援法の改正案が提出されたわけですが、子ども・子育て支援納付金については、衆参の予算委員会でも、まあ本日もそうですが、大きな争点となり、衆議院の中央公聴会では、与党推薦の参考人も含めて、撤回すべきだとか、反対ですと明確な意見も出されたところであります。
 資料の二は、こども未来戦略の加速化プラン、三兆六千億円の施策の中身であります。加速化プラン、三兆六千億円は、加速化プラン完了時点での所要額と書いてあります。単純な質問で恐縮ですが、それは二〇二八年度ということでよろしいでしょうか。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
 加速化プランの予算規模は、各年度の予算編成を通じて決定されていくこととなりますが、現時点の見込みでは、全体として三・六兆円程度の充実となると考えております。
 少子化対策のラストチャンスを逃さぬよう、その大宗を今後三年間で実施するとともに、二〇二八年度には加速化プランの実施を完了させ、その予算規模が三・六兆円に達するよう取り組んでまいります。
○高橋(千)委員 二〇二八年度ということが確認をされました。
 資料の三枚目を使って少し進めたいと思うんですけれども、今、短い答弁の中でも、各年度の予算編成でというお話がありました。
 これは、予算編成の中で所要額が積み上げられて、そして、ここに書いてあるような、既定予算の最大限の活用ですとか、歳出改革の徹底ですとか、様々なことがあり、かつ、関係者ともよく意見を聞きながらという、幾つもの段階を踏んでいくんですね。それで、二〇二八年度までかけて三兆六千億円になるであろうということで、大変この制度設計が複雑なパズルのようになっている。何でこんなにも複雑にしてしまったのかと、正直言いたいと思うんですね。
 少しずつ聞いていきたいと思うんですが、まず左の方です。加速化プランの財源の基本骨格の中で、既定予算の最大限の活用一・五兆円、歳出改革の徹底で二・一兆円、そのうち一兆円が、子ども・子育て支援納付金を創設するんだけれども、それが満額になるまでは、特例公債、つなぎ国債を発行するとなっています。
 それで、まず、既定予算の最大限の活用、これは、現在、厚生年金の保険料徴収のルートで子ども・子育て拠出金、これは事業主のみ〇・三六%なわけですが、児童手当に既に使われているわけですよね。今回の既定予算というのは、この子ども・子育て拠出金のほかに、どんなものを想定しているんでしょうか。
○小宮政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘の既定予算の最大限の活用等といたしましては、御指摘いただきました子ども・子育て拠出金、これ以外にも、例えば育児休業給付のための雇用保険料などの保険料等の財源、それから社会保障と税の一体改革におきます社会保障充実枠、これを改めて精査をいたすことによる財源、これを活用することとしております。そして、二〇二八年度までに、全体として一・五兆円程度の確保を図るということとしていると承知をしてございます。
○高橋(千)委員 後ろの方で通告しているんですけれども、ちょっとここで聞いておきたいんですが、今の既定予算の最大限の活用の中に、インボイスによる消費税税収、これはフルで、年間であると二千四百八十億円くらいと言われておりますが、これも入っているという理解でよろしいでしょうか。
○小宮政府参考人 お答え申し上げます。
 そのように理解をしてございます。
○高橋(千)委員 それ自体が非常に問題があると私は思っていますが。
 それで、続きまして、資料三の囲みの中にあるように、既定予算の最大限の活用を行うほか、二〇二八年までに徹底した歳出改革を行い、それによって得られる公費削減の効果及び社会保険負担軽減の効果を活用するとあるわけですね。それで、二つ目には、歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築することにより、実質的な負担が生じないこととすると。非常にたくさんの要素が入っている。
 それで、最初にこの答弁を聞いたときに、単純に、賃上げが進まないと加速化プランはやれないという意味なのかな、そう思っちゃったんですね。そのくらい分かりにくい。それから、批判が集まるのも、そうした金額が多い少ないとか、中身以前に、なぜそうした幾つもの条件を並べ立てて複雑な制度にする必要があったのかということなんです。逆に言うと、これだけ必要なんだったら、その分その予算をこういうふうに、負担増にしないとか、差引きゼロですとか、そういう話ではなくて、こういうふうに必要なんですというちゃんとした説明をするべきだ、そう思うんです。
 それで、歳出改革の徹底は社会保障改革の工程表によるといいます。最近も、出生数が過去最低であったと報じられたばかりです。少子化対策は、若年人口が急激に減少する二〇三〇年度までがラストチャンスだと政府は言っているわけです。それで、このため、政府としても、若者、子育て世代の所得向上に全力で取り組むと言っています。
 では、質問しますが、この加速化プラン、こども未来戦略、国を挙げて取り組むと言っているわけですよね。それをなぜ、社会保障改革の中でのみ、やりくりをするんでしょうか。内閣官房に。
○竹林政府参考人 お答えいたします。
 今般の少子化対策は、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心という従来の社会保障の構造を転換し、全世代がひとしく恩恵を受け、公平に支え合う全世代型社会保障の構築に向けた柱の一つとなっております。
 今般の少子化対策のための財源確保に向けた歳出改革、今御指摘いただいたことにつきましては、こうした全世代型社会保障の考え方を踏まえまして、昨年十二月に閣議決定されましたこども未来戦略におきまして、全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋、改革工程における医療、介護制度等の改革を実現することを中心に取り組むこととされているところでございます。
 なお、社会保障関係費以外の経費を対象とする歳出改革につきましては、防衛関係費が非社会保障関係費であることを踏まえまして、防衛力強化のための財源として整理されているものと承知をしております。
○高橋(千)委員 今はっきりとお答えになったと思うんですね。
 全世代が支え合う社会保障だといって、全世代型社会保障改革の報告書には、この少子化を克服できるかどうかが国の存亡に関わる問題だとはっきり書いているんですね。国の存亡に関わる問題なのにどうして社会保障のやりくりだけなのかと聞いたら、いやいや、社会保障予算以外は防衛力強化に使うからだと。これはちょっと驚きの答弁だと思うんですね。国を守ることと子供たちの未来を守ることは同じだと、岸田総理がいつぞやおっしゃいました。これは突っ込みどころ満載過ぎて、国を守るどころか、殺傷能力のある武器を外国に輸出するとか今言っているわけですね。
 つまり、防衛どころか、攻撃に国がシフトしようとしている。一方では、そのための予算として国立病院機構や地域医療機能推進機構の積立金の流用や復興財源の流用から商工中金の積立金まで、ありとあらゆる流用で社会保障も傷つけているじゃありませんか。違いますか。
○竹林政府参考人 お答えいたします。
 申し上げましたように、今回の少子化対策は全世代型社会保障の構築の一つの柱ということになっておりまして、その中には、医療、介護の改革を行うこともセットで書かれているところでございます。
 そうした考え方、防衛財源の話につきましては直接私は担当でございませんのであれなんですけれども、あくまでも、その社会保障の在り方を全世代型に転換していく、全世代がひとしく恩恵を受け、公平に支え合うという考え方に沿って少子化対策の財源をしっかり確保し、一方で、医療や介護の改革も進めていくというものと考えております。
○高橋(千)委員 到底答弁にはなっていなかったと思いますし、国民も納得できるものではない、このように思います。
 それで、今年一月十九日の社保審、社会保障審議会医療保険部会では、支援金ということは結局はお金が出ていくわけで、被保険者の追加負担になるのではないかとか、どうして税金ではなくて医療保険の仕組みを通じて財源を求めるのかという意見とか、社会保障改革の中で一兆円を生み出しますよという議論に医療保険部会も関わるならなかなか大変だ、こうした意見が噴出しています。当然だと思うんですね。
 それで、政府の説明とすれば、例えば利用料が二割負担のところを三割負担にすれば、保険者は、これまで八割給付していたものが七割に減るわけで、そういう意味で公費が減るんですよと説明しているんだと思うんですね。だけれども、この委員の中には、例えば薬価が安くなって自己負担分も安くなりますよといったって大した額じゃないよ、せいぜい薬価くらいでしょうというふうな指摘がありました。一方で、医療の負担増というのは命に関わる問題なんだという指摘もあったんです。
 改革の工程表には、入院時の食費の見直し、生活保護の医療費扶助の適正化、更に過激なのは、生活保護については医療保険、介護保険へ加入することも検討する、つまり、医療扶助をなくしてしまうという意味ですよね。介護保険は、ケアマネの有料化、利用者負担二割、三割の見直しなどが盛り込まれていますが、これらは負担増そのものじゃないでしょうか。
○宮崎政府参考人 お答え申し上げます。
 今委員御指摘がございました項目を含めまして、昨年末に閣議決定された改革工程におきましては、これから生まれる将来世代を含む全ての世代にとって安心できる社会保障とするために、将来にわたって社会保障制度を持続させる観点や、あるいは、年齢に関わりなく全ての国民の皆さんがその能力に応じて負担し支え合うことによって、それぞれの人生のステージに応じて必要な保障がバランスよく提供されることを目指す観点から、社会保障制度の改革や、あるいは、これらを通じた歳出の見直しに取り組むこととしております。
 この改革工程の中には、今御指摘のございました入院時の食費の見直し、あるいは医療、介護の窓口負担、これにつきましては一定以上の所得の方の範囲についての検討といった項目も含まれておりますし、一方で医療DXによる効率化や質の向上など、幅広い検討項目を盛り込んでいるところでございまして、こうした検討項目を検討した上で、全世代型の社会保障の実現に向けて取り組んでいくということでございます。
 実際に実施する取組につきましては、二〇二八年度までの各年度の予算編成過程において検討し、決定をしていくこととなりますけれども、これらの検討、実施に当たっては、当該取組が与える影響を十分配慮しながら、必要な保障が欠けることがないように進めていかなければならないというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 負担増の一部であるということをお認めになったと思います。
 この手法としては、小泉改革のとき、毎年二千二百億円削減する、これに近い考え方だと思うんですね。あのときは自然増分を見込まないという考えを予算にしたものでありました。毎年何をやるのかと大変悩まれたと思うんですね。生活保護の老齢加算の廃止などがやられて、毎回毎回いろいろな削減メニューが加わっていきますので、猛烈に大変でした。これが今回と同じように五年間で一兆一千億円の削減と積み上げたわけです。
 現在の社会保障予算は、自然増分にとどめるというふうに考え方、基本となっていると思うんですけれども、その上での今回の社会保障改革というのはどういうふうに理解すればいいんでしょうか。自然増分だけは確保した上でという理解なんでしょうか。
○宮崎政府参考人 お答え申し上げます。
 これまでも歳出の改革につきましては、骨太の方針等におきまして決定をいたしました一定の目安の対応など、一定のルールを決めた上で、持続可能な社会保障制度の確立のために必要な改革を様々な関係方面とも検討しながら進めてまいりました。
 今後の、改革工程でお示しした内容も、これまでの歳出改革の努力を引き続き続けていくことで必要な社会保障制度の構築に向けて必要な改革を行っていくということで、そのような観点から改革を行います。その改革の効果として、少子化対策における財源についても、公費、保険料における影響が出てくるということで、そういう枠組みの中で今取組を進めているところでございます。
○高橋(千)委員 はっきりしないですよね。
 それで、大臣に伺うんですが、総理は何度も、新たな負担は生じさせないときっぱり答えているわけですね。何をもってそう言えるんでしょうか。
○熊木政府参考人 少子化対策の財源、何をもって新たな負担を生じさせないと言うのかということでございました。
 医療保険料と併せて支援金というものをつくってまいります。その中で全体として実質的な負担が生じない、こう申し上げております。
 したがいまして、この支援金を構築するに当たりましては、社会保険の負担の軽減というものを図るということが重要でございます。徹底した歳出改革等によって保険料負担の軽減効果を生じさせまして、その範囲内で子供、子育てに要する支出の財源をいただく、こういうことをもって、一つ、新たな負担を生じさせないということを申し上げております。
 もちろん、三・六兆全体の中で、歳出改革と既定予算の活用、これを最大限行いまして、まず一・〇兆円の支援金まで収めるといいますか、そういった、先生おっしゃいました複雑な財源構成をした上で、今申し上げたような歳出改革の中で、その支援金についてはその効果を相殺するという考え方でございます。
○高橋(千)委員 ですから、今、社会保障の改革の中で、負担増になりますよね、痛みがあるわけですよ、それを言ってから聞いたのに対して、社会保険の軽減で実質負担増にならないって、これは全然答弁がやはり矛盾していると思うんです。
 それで、先ほど質問もあったんですが、ここに賃上げというのが、資料の三枚目のところに、これは後から追加されているわけなんですよね。こども未来戦略のときにはなかったものが追加されている。
 それで、確かに今、春闘で満額回答とか要求を上回る回答といった、これまでにないベースアップの動向が報じられています。多分総理はそれをチャンスと言っているんでしょうけれども。
 それで、十二月に行われた第二回支援金制度等の具体的設計に関する大臣懇話会の席上、経団連の代表から、財源については歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険料負担軽減の効果を生じさせるとあり、新たに賃上げの効果というものも加わっているということを指摘をした上で、私ども経済界も今年以上の熱量で取り組むつもりでありますけれども、あくまでそれは個々の企業の労使の交渉ということでございますので、政府が賃上げをすると受け取られるような書きぶりは若干違和感を覚えますと述べておられます。全くごもっともだと思いますが、なぜここで賃上げと出てくるのか、大臣、お答えいただけますか。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
 今回の少子化対策で特に重視しているのは、若者、子育て世代の所得を伸ばさない限り少子化を反転させることはできないことを明確に打ち出した点にございます。
 こども未来戦略におきましては、子供、子育て政策の範疇を超えた大きな社会経済政策として、賃上げに取り組むことに加え、同一労働同一賃金の徹底や、希望する非正規雇用の方々の正規化など、雇用の安定と質の向上に取り組むことを明記をしてございます。さらに、加速化プランにおきましても、いわゆる年収の壁への対応など、具体的な施策としてしっかり位置づけてございます。
 その上で、子供、子育て政策の充実は決して加速化プランで終わるものではなく、加速化プランの効果の検証を行いながら、今後も必要な対応が遅れることのないように取り組んでまいります。
○高橋(千)委員 資料の二枚目に戻っていただきたいと思うんですが、今大臣がおっしゃった、若者、子育て世代の所得向上ということで書いていることは、賃上げ、成長と分配の好循環と賃金と物価の好循環の二つの好循環と書いてあります。
 これが、今私が読み上げたのは、経団連が、労使の交渉によるものでしょう、民間の努力でしょうと。政府の努力を言っているわけじゃないわけですよ。じゃ、政府が何をやるんですかということが問われているんですよ。
 それに書いているのは、リスキリングによる能力向上支援とか、正規、非正規問題への取組、同一労働同一賃金の徹底、希望する非正規雇用者の正規化、これは本当に今の不安定雇用に対して少し安定にしましょうねというだけなんですよ。政府が賃上げに責任を持つというのであったら、最低賃金を引き上げますとか、もっとはっきりとした政府が責任を持てることを言うべきじゃありませんか。
○加藤国務大臣 様々御指摘をいただきましたが、子供、子育て政策の充実は、加速化プランで示しているものに加え、これだけで終わるものではなく、今後も効果の検証等を行いながら必要な対応にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 ですから、そもそも、ここの欄外に書いてあること自体がそういう位置づけなんですよ。そして、今の好循環に、民間が頑張ってくれるだろうと、それに期待して、実質負担増にはなりませんなんて大威張りで総理が答弁している、これが、政府の姿勢が問われていると思うんです。
 結局、この三兆六千億円をやり切ったって、子育て世代の応援にはなるけれども、本当の所得向上まではいきませんよ。だけれども、これが二〇二八年に完成するまで、それすらも手がつけられないということになるじゃないですか。全く立ち遅れていると指摘をしなければなりません。
 たくさん問いを残しましたが、また次の機会にしたいと思います。
 ありがとうございました。

 

【資料】地域・こども・デジタル特委 2024.3.13 提出資料

▲ このページの先頭にもどる

高橋ちづ子のムービーチャンネルへ
街宣予定
お便り紹介
お問い合わせ
旧ウェブサイト
日本共産党中央委員会
しんぶん赤旗
© 2003 - 2024 CHIDUKO TAKAHASHI