国会質問

質問日:2024年 2月 16日 第213国会 予算委員会・公聴会

能登半島地震の復旧・復興について(予算委員会石川公聴会での質問)

生活再建支援金拡大を

内灘町長 「準半壊」多く対象外

金沢で地方公聴会 高橋衆院議員質問

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(写真)地方公聴会で質問する高橋議員(前列右)=16日、金沢市

 2024年度予算案を審議している衆院予算委員会は16日、金沢市と長崎市で地方公聴会を開きました。そのうち金沢市では、日本共産党の高橋千鶴子議員が質問に立ち、陳述人から能登半島地震の復旧・復興について意見を聞きました。

 意見陳述で、七尾商工会議所の杉野哲也会頭は、休業が続く和倉温泉の被害状況を説明。「被害総額は約3000億円を見込み、自力での再建は困難だ。事業者の心は折れかかっており、希望が持てる支援をしてほしい」と述べ、和倉温泉と伝統産業の復旧・復興、雇用調整助成金の増額と期間延長などを求めました。

 震度5弱の揺れに見舞われた内灘町の川口克則町長は、地震から1カ月半たつが、液状化で地面が隆起し、現在も310世帯が断水していると語りました。家屋損壊は1500棟にのぼる一方、多くが「準半壊」などで被災者生活再建支援金の対象外だと指摘。支援金の対象拡大や緊急の住宅確保に手を尽くしてほしいと述べました。

 質疑で高橋氏は、被災者の生活と生業(なりわい)支援について「能登の魅力を生かした復旧・復興とともに、被災者の切実な願いに寄り添った支援が重要だ」と強調。馳浩石川県知事が掲げる「創造的復興」について「被災者を置き去りにして、開発や交流人口頼みの街づくりにならないか」と質問すると、馳知事は「必ず被災者の声、議会や事業者の声を聞いて復興を進めたい」と答えました。

 高橋氏の質問に対し、県商工会議所の安宅(あたか)建樹会頭は、生業再建支援について「膨大な書類を求められ、重い負担となっている。要件緩和と支援金の交付をスピードアップしてほしい」と答えました。

(「しんぶん赤旗」2024年2月17日付)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 私は青森出身ですが、比例東北なので、三・一一のときのことをみんな思い出しながら、本当に何とかしたいという思いで見ているところであります。
 この度の被災に対してお悔やみとお見舞いを申し上げるとともに、本日は、こうして御参加をいただいて、貴重な御意見をいただきました。ありがとうございます。
 最初に、杉野さんに伺いたいと思うんですが、御自身が被災しながらも、本当に、例えばレトルト食品を提供するなど、様々な形で支援にも携わってこられたということに敬意を表したいと思うんです。
 お話にもあったと思うんですが、再開までの従業員の確保というのが本当に重要だということで、雇用調整助成金、国会でも一〇〇%にすべきじゃないかという議論をしてきましたけれども、この点での御意見。それから、外国人実習生がかなり帰国されたということもあったと思うんですね。本来であれば、機構の方で、雇用対策というんですか、その間のつなぎというのはやるべきだということで法改正されていたはずなんですが、実際にはなかなか支援されていないというのが実態だと伺っております。そこら辺、教えていただきたいと思います。

○杉野哲也君 やはり、人が一番、先ほど申し上げましたように、一番こわかったので、当社は被災を受けたときから一〇〇%保障しました。全て支払いますよということで決めて、今もずっとそうやっております。そうすることによって、一応、安心感を従業員の皆さんに持っていただこうという趣旨でやりました。
 あとは、雇用調整助成金というものは後から来る話なので、それはどうなるか、こうなるかは、それは今後の課題ではございますけれども、そうやらざるを得ない。
 中には、皆さん、首を切るという形で対処されたところもございますよね。しかし、どれがいいのか、よかったのか悪かったのかということは、これは必ずしも一概には言えないと思いますけれども、これぐらい人がいない、それから、一回離れたら帰ってこない可能性が十分に高い環境の中では、やはり一応、保障も一〇〇%ぐらいな形でやらないと、やっても難しいかも分からない、だけれども、外国人も、同業種でありますと、これから新しく法律が変わって横に行けるということになった場合は、かなり都会にまた吸い込まれてしまうんじゃないかな。特に、こういうような地震が多発しているところよりは、安全なところで給料が高いところ、それから、大体、若い方々が多いですから、生活がある面で楽しいところというようなところになったときに横滑りをするということで、かなり人集めには苦労するんじゃないかなというのが一番の悩みでございます。
 そういう面では、さっき申し上げましたように、省人化、省力化をやっていくしか最後は手はないんだろうなと。特に製造業ですね。
 それから、旅館業なんかを見ますと、やはり仲居さんというのはかなりスキルが要ります。それから、いい値段も取っていると思いますし。それから、調理師さん、調理師さんはなかなか手に入らないという。この方々がやはり抜けるのはかなり大きいんじゃないかな。コロナのときも結構辞めて、そういう人たちが退職されたところはもう二度と戻ってこないということが多かったですから、そういうことが和倉温泉でも起きるのではないかということが不安な要素でございます。
 以上です。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 一〇〇%保障しながら頑張っている、その現場に国が応えるように更に後押ししていきたいな、このように思っております。
 次に、安宅さんに伺いたいと思うんですが、先ほど来、なりわい補助金の額が足りないよというお話がありました。よく分かります。それで、ただ一方では、例えば三・一一のときに、一年前の激甚災害で指定された補助金が、つまり一年前、チリ津波なんですよ、チリ津波の補助金が三・一一の津波のときにようやっともらえたというくらい、時間がかかり過ぎているんですね。今回の中企庁が頑張っている事業転換も、九月に採択、出たんだけれども、今年の冬に出たという、そのくらい時間がかかっている。やはりここを乗り越えないと、額もそうだけれども、使えないよねということがあると思うんですよね。
 この点について御意見いただければと思います。

○安宅建樹君 先ほどの陳述でも申し上げましたけれども、非常に、なりわい補助金も含めて、多くの書類が求められまして、普通の会社の方が作れるようなものじゃなくて、例えば建物被害でしたら、そういう建物の専門家がそういうものの証明も行ったり、膨大な資料、私、どれだけか知りませんけれども、膨大な資料が要るということでありまして、これはみんなから言われているんですが、何とかその膨大な資料を減らせないかということは、これは絶対にこの公聴会でしてくれと言われておりまして、本当にそういう状況なんですね。
 大きな金額になればなるほど、大きな建物の損壊ですから、もちろん、専門的な見積りといいますか、そういうものも必要なのは分かりますけれども、もう少しスピードアップと書類の削減をしていただいて、今おっしゃったようなことにならないように、我々もまたいろいろな機会に申し出ていきたいなというふうに思っておりますし、小さいところは小さいところほどまた書類も作れませんので、その辺の応援は商工会議所でできますので、そこはしっかりとまたやっていきたいと思います。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。この点はとても強調したいかなと思っております。
 二〇〇七年の能登半島地震のときに、やはり輪島塗の支援というところから、今の中小企業に対して直接支援するということ、伝統工芸に対しても支援するということが大きく前進したなと思っていますので、本当に何としても応援したいなと思って伺っておりました。
 次に、川口町長に伺いたいと思うんですが、液状化の問題。先ほど、県道のどの高さを基準とするかということがお話の中にあったんですが、実はお隣のかほく市でも同じことを言われまして、県道はつながっているので、これは一体でやらなきゃ駄目だよなということをつくづく思ったわけですね。
 今回、予算委員会でも確認をしたとおり、熊本モデルということがよく言われるんですが、熊本の場合は、ちゃんと、被災者が、宅地と地盤の災害を一体化事業でやるときに被災者の自己負担分はゼロだったということだったので、是非そういう方向で頑張りたいなと思っているんですが、そういう点。
 あとは、上物については、公営住宅も含めて、やはり再建できない人もいるのでやっていく必要があるかなと思っているんですが、その点で、住民合意をどう図っていくのかということで伺いたい。
 この点については、やはり県の調整ですとか、今言ったように県道一本になっているので調整ですとか、先ほど知事のお話にありました基金が、被災者の負担をなくすためには基金が絶対必要だったんですね。そういう点で是非御意見を伺いたいと思います、町長、知事ということで。

○川口克則君 今ほど県道の高さのお話がありましたけれども、液状化対策の一つに、土盛りをするというのが対策の一つであるんですよ。やはりそういうことも考えて、県道だから液状化対策をせぬでもいいという話じゃないですよね。ですから、そういうことも考えて県とも協議をしたいなと思っております。
 それと、今ほど高橋さんが言われたとおり、北部地区といったら高齢化も高いものですから、高齢者の方々が本当に、先ほど私も言いましたけれども、先が見えないというようなお話をよくされます。ですから、私、今考えているのは、地域の皆様でお話しして、高齢者は高齢者で、その近くに復興住宅ですか、そういうのを町営か何かで建てて、高齢者住宅というような形で高齢者の生活を守りたいな、そのように今考えております。
 そのためにも、地域の皆様とのやはり話合いが一番ですので、合意形成を図ってまいりたいと思っております。
 以上でございます。

○馳浩君 私と川口町長とは一心同体のつもりでやっています。ただ、丸投げは、最初からはそれは駄目よと。
 つまり、住民のお宅でも、実は倒れていないところもあるんですよ。でも、かたがっているとか。県道の高さを合わせるにしても、事業所もあれば家屋もございます。こういったところでまず御意見の聞き取りはやはりしっかりやっていただいて、しかし、最終的に、では一帯として面的にどうするのかとなったときに、まさしく私どもが、川口町長の思いもお聞きしながらも、具体的に分析、地層、地質調査、これはなかなか私どもでもできませんので、国や関係機関の支援をいただきながら、では最終的にどういう絵を描いたらベストなのか、また、セカンドベストはあるのか、また、地権者のやはりこれは私有財産でもございますので、ここのどう折り合いをつけるのか、そういったことはやはり長期的なことになりますので、やはり内灘町と寄り添って、また、国とも相談をしながら進めていきたい、こういうふうに考えています。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 一体化として、住民の意見を聞きながら、本当に必ず復興が見えてくるようにお願いをしたいな、このように思います。
 次に、知事に伺いたいんですが、先ほど来いろいろな方がお話をしていますが、創造的復興についてであります。
 いろいろお話の中に出てきた、能登の魅力というんでしょうか、これを本当に生かしてとおっしゃっているのは大事なことだなと思うんですね。ただ、同時に、この言葉のきっかけは阪神・淡路大震災で、やはりトップダウンで、どちらかというと、被災者ではなく、いわゆる開発といいましょうか、そういうことの文脈で言われた言葉ではなかったかなと思っています。
 三・一一のときも、復興構想会議の中で、本当に、当事者ではない有識者たちがいろいろなプランを、夢のようなプランを次から次と自由にお話をされて、それはいいんだけれども、でも、被災者が置き去りにされてはやはり駄目だと思うんですね。それで、結局、被災者が戻らずに、交流人口に期待するような町づくりではやはり違うんだろうと思っておりますので。
 知事はたくさんのアイデアを持っていらっしゃるし、そうではないと思っておりますので、是非お聞かせいただきたいと思います。

○馳浩君 実は、ここに一番私も心を砕かなければいけないと思っています。したがって、創造的復興を進めるに当たっての基本理念、基本方針を打ち立てました。
 必ず被災者の声を聞く。首長の、又は議会の声を聞く。その上で、やはり東日本大震災や熊本地震、阪神・淡路大震災のときに携わった専門家の話も聞く。更に言えば、地元の金沢大学さんが、金沢大学として学生も教授も一体となって、奥能登支援のためにいろいろなチームをつくって支援をいただいております。学術的な、特に地元の国立大学、この方々にもやはり知恵を拝借をする。更に言えば、やはりなりわいは大事ですから、事業者の声を聞く。やはり、なりわいで、自分で自立して稼いでいく。そして、事業者も、経営者も従業員も共に協力していくというこの姿勢はなくてはならないと思っています。こういった経済団体、商工会、商工会議所等とも意見交換をする。その上で、絵を描いていく。
 できれば、三月中には一つの方針みたいなものを立てて、三、四か月ぐらいかけていたと思います、これまでも。そうすると、六月議会がございますので、その前には一つの方向性はお示しをできればいいのかなと。
 そのためにも、昨日、予算編成を発表しましたので、副知事と総務部長を奥能登六市町に週末派遣をして、聞き取りをさせます。私も来週入りまして、聞き取りに行きます。繰り返しこうした作業をしながら直接お声を聞いて、また、有識者の意見聴取もさせていただきながら、取りまとめをしていきたいと思っています。
 やはり、何か近未来的な美しい姿だけ描いても、魂が入っていなければ全く意味がない、そういうふうに考えています。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 是非、そういう、おっしゃったとおりであることを期待して、私たちも応援していきたいと思います。
 残りの時間でもう一度安宅さんに伺いたいと思うんですけれども、お話にあったように、地震だって連続して起こっているし、コロナがあり、また物価高騰がありということで、本当に中小企業、業者の皆さんは苦労されていると思うんですよね。
 それで、例えば、政府は、ゼロゼロ融資の返済繰延べについて、更に支援する際に伴走型、安宅さんが銀行出身でもありますのでちょっと伺いたいなと思ったんですが、伴走型でやっていくんだと。でも、伴走型というのは、結局、借り倒れしないようにという意味なのかしらとつい思っちゃうわけですよ。そうでない伴走型があるのかということと、でも、やはり商工会議所の役割は大事なんじゃないのと思うんですが、一言お願いできますか。

○安宅建樹君 伴走型というのは、もちろん銀行もやっておりますし、商工会議所もやっておりますけれども、原則、前に向いて進みたいという方の伴走しかできません。
 例えば、今回の地震で、自分の年齢も考え、そしていろいろなことを考えると廃業した方がいいという方々がやはり相当多いと思いますけれども、そういう方々には、相談を受けて、そしてどういうふうにいろいろしまっていくかというような御相談もするかもしれませんけれども、一応伴走させていただく限りは、今の現状、あるいは補助金のいろいろな状況、そういうものを被災者の方に確認していただいて、これぐらいの支援がもらえるのならもう一回やってみようかという方々を伴走していくということが基本になるんだろうと思います。そういう、前向きでない方を伴走するというのはなかなか難しいので。
 伴走支援というのは、まず原則、商売をこれから何とか続けていきたいというお気持ちがある方で、あと、いろいろな、今ゼロゼロ融資とかそういうものがたくさんあって、今困っているんだということですから、例えば二重債務の問題であるとか、東北のときにも、何年かかりましたかね、そういう債務調整をされて、私らの銀行からも手伝いに行きましたけれども、ああいうことで少しずつ借入れの山を崩して、そして何とか立ち直っていくということの伴走支援はしっかりとやらせていただきたいと思いますし、そういうことでの伴走支援の体制というのは今順次強力に進めておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○高橋(千)委員 ありがとうございました。
 大震災のときもいろいろそうやって乗り越えてきましたし、あと、財産管理、私的財産管理の方はコロナの中で再建型というのもできましたし、本当に、前を向く人が増えるようにということも含めて応援していきたいなと思います。
 ありがとうございました。

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