復旧へ選択肢示して
衆院予算委 宅地被害に高橋氏
日本共産党の高橋千鶴子議員は9日の衆院予算委員会で、能登半島地震から1カ月がたつ現地の課題について質問しました。
地震による液状化被害は福井、新潟など広範囲にわたり、約1万戸の宅地被害が確認されています。高橋氏は、2016年の熊本地震の際、自治体による公共施設と宅地の一体的な液状化防止対策が被災者に費用負担を求めない形で実施されたことを確認。「復旧のイメージが持てない被災者に、元いたところでの住宅再建の選択肢があることを示し、政府が全力で応援すべきだ」と訴えました。
斉藤鉄夫国土交通相は、費用負担を判断する自治体が決断しやすい環境をつくり出すと答えました。
高橋氏は、1次避難所などから救急搬送された高齢者の退院先が決まらず、地元紙が「病院が介護施設化している」と報じている実態を指摘。日本共産党金沢市議団調査で、同市では被災者を受け入れている51の特別養護老人ホームと介護老人保健施設では定員の106%と超過し、ひっ迫しているとし、政府による人材派遣要請について、介護施設への人材確保に特別な手立てを求めました。
武見敬三厚生労働相は、全国からの応援派遣には災害救助法で対応すると答弁。「著しい支障がない範囲で定員を超過して受け入れても差し支えない」とし、総定員の110%まで受け入れ目安との考えを示しました。
高橋氏は「定員緩和して職員が配置されないことは絶対に避けねばならない」と強調。最近発表された介護報酬の引き下げは現場を落胆させているとして、介護職員の本格的な処遇改善と人材確保を重ねて求めました。
(「しんぶん赤旗」2024年2月10日付)
能登2次避難 追い出すな
衆院予算委で高橋氏 旅行支援巡り指摘
(写真)質問する高橋千鶴子議員=9日、衆院予算委 |
日本共産党の高橋千鶴子議員は9日の衆院予算委員会で、3月16日の北陸新幹線延伸と、政府の旅行支援策「北陸応援割」によって能登半島地震の被災者がホテルなどの2次避難所から追い出されることがないよう岸田文雄首相に迫りました。
石川県では、約1万5000戸の応急仮設住宅確保を目指していますが、現在ホテルなどの2次避難所に約5000人が滞在しているといいます。高橋氏は「2次避難所のホテルでは、今月中に契約を解消するところが多い」と指摘。背景には北陸新幹線延伸と「応援割」があるとして、事実上被災者が追い出されるのではとただしました。
岸田首相は、通常営業が可能でもキャンセルが相次いだとして応援割の必要性を強調。「3~4月の実施を念頭に置いている。2次避難の状況や住まいの提供状況を踏まえて地域ごとに柔軟に対応する」と答えました。
高橋氏は「発災当初は能登に行くこと自体を自粛せざるを得ないところもあったが、今後ボランティア、応援職員などたくさん利用するはずだ。応援割で1泊最大2万円も支援するなら、昼夜食も出ない2次避難所支援の現行基準(1万円)に上乗せすればよい。絶対に避難者の追い出しはしないと一言を」と求めましたが、首相は明言を避けました。
政府は、全壊世帯に最大300万円補助する被災者生活再建支援法とは別に、高齢者・低所得者世帯の住宅再建に最大300万円補助する方針。同法は2007年に、個人の住宅再建にも使える制度に見直され、子育て世代にも使えるようにと目的規定にあった「経済的理由等」が削除されました。高橋氏は「なぜいま高齢者や所得の低い人に絞るなど、時代を逆行させるのか」と批判しました。
高橋氏は、農地集積と規模拡大のもと担い手の農家が被災して離農すれば地域の危機だと指摘。営農を続けられるよう、「農家の土地にコンテナハウスのような仮設住宅を建設することはできないか」と提案。松村祥史防災担当相は「広い土地の所有者の土地の一部を活用することも手法の一つだ」と可能性を認めました。
(「しんぶん赤旗」2024年2月10日付)
ー議事録ー
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
元日の能登半島地震で被災された皆様に心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
先週、被害の大きかった珠洲市、並びに液状化被害のあった内灘町、かほく市に伺いました。自治体からは、最大の課題は水と住まいだとお話がありました。復興は息の長い取組になりますが、水と住まいは、生き抜くためには一刻も早く確保しなければなりません。全国から水道部の職員が連日数百人単位で応援に入っております。仮復旧でつないだ水道管も見ました。本当に頭が下がります。
そこで、まず国交大臣に伺いますが、上水道は四月から国交省の所管になります。公共事業として補助率が上がり、それを四月を待たずに前倒しして対応しているということは承知をしております。上下水道は一体として事業を進める必要があると思いますが、国はどう支援していくのか伺います。
○斉藤(鉄)国務大臣 高橋委員御指摘のとおり、被災地の皆様にこれまでどおり水を使っていただけるようになるには、水道と下水道の両方が使用可能となることが必要です。そのため、上下水道一体となった一刻も早い復旧が重要と考えております。
今回の災害対応に当たっては、従来の自治体の相互支援の枠組みに加え、国土交通省、厚生労働省からも現地に職員を派遣し、石川県、市町、日本下水道事業団、日本水道協会とも連携して、関係者一丸となって復旧に取り組んでいるところであり、例えば、水道と下水道の復旧工程を共有して、効率的な進捗を図るなどの取組を行っております。
また、財政面では、厚生労働省において、本年四月以降とされていた水道の災害復旧事業に対する補助率かさ上げにつき前倒しで適用することとされたと承知しております。
上下水道一体となった早期復旧に向けて、今後、全国の自治体からの応援技術者の増員や工事従事者の増員に向けた関係団体への協力依頼等、現地の支援体制の強化を更に進めるなど、技術面、財政面の支援に全力を挙げて取り組んでまいります。
下水道を通さないと上水道を通しても水が流せないという話を今厚生労働大臣からも聞いたところでございまして、しっかり頑張っていきたいと思っております。
○高橋(千)委員 ここは一体となっているというところに大変力を込めていただきましたので、ありがとうございます。上水と下水で県と市というふうに分かれている場合もあるので、それも含めて必ず連携がつながるようにお願いしたいと思います。
それで、水道管の耐震化なんですが、これはずっと叫ばれていたんですが、全国平均がまだ四一・二%に対し、石川県は三六・八%にとどまっています。被災した水道管の本格復旧においては、当然耐震化も必要だと思う、そのための改良復旧になると思いますが、厚労大臣の見解を伺います。
○武見国務大臣 被災した水道管を耐震化して復旧することにつきましては、これまでも、上水道施設災害復旧費及び簡易水道施設災害復旧費補助金におきまして、構造物の耐震性を確保することによる復旧等についても対象にしております。
今般の能登半島地震による水道施設の災害復旧においても、これまでと同様に取り扱うことになっております。
○高橋(千)委員 しっかりとお願いしたいと思います。
二日付の日経新聞によれば、熊本地震が震源から約四十キロ先で液状化が起きたのに対し、今回の地震は、石川県だけでなく、震源から百六十キロも離れた福井、新潟など広範囲にわたっております。二日の国交大臣の会見では、液状化により一万件を超える甚大な宅地被害が発生したとおっしゃっています。
熊本モデルでやるという話が現地で聞こえておりましたが、液状化対策は公共事業として復旧すること、熊本では被災者負担がなかったと聞いておりますが、確認したいと思います。
○斉藤(鉄)国務大臣 平成二十八年熊本地震では、液状化による宅地被害が発生した地域におきまして、地方公共団体が実施する、液状化による被害が再び生じないようにするための公共施設と隣地宅地等の一体的な液状化対策、宅地と公共施設を一体としてやる、こういう考え方に基づいて、防災・安全交付金による支援を行ったところでございます。
この液状化対策に要する事業費の負担の在り方については、地域住民の方へ負担を求める場合も含め、地方公共団体において判断されるものと認識しておりますが、熊本地震における液状化対策については地域住民の方へ負担を求めない形で実施されたものと承知しております。
この度の能登半島地震により液状化被害を受けた地域についても、先般決定した被災者の生活となりわい支援のためのパッケージにおきまして、宅地等の復旧に引き続き、地方公共団体が行う公共施設と隣地宅地等の一体的な液状化対策を支援することとしております。
被災した方々が安全に安心して住み続けられるよう、熊本地震における取組も踏まえ、地方公共団体が実施する液状化に関する住民への情報提供や液状化対策への支援にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○高橋(千)委員 液状化は、既にTEC―FORCEなどの調査が入り、七年かかると言われたと自治体は途方に暮れていました。だから、見通しを示すということがとても大事だと思っております。また、熊本を踏まえとおっしゃっていただきましたので、限りなく被災者の負担がなくなるように、一体でということがメッセージとして大事だというふうに思ったんですね。
時間はある程度かかります。合意形成の難しさもあります。七日付の毎日新聞には、内灘町でこの家は捨てますという七十代の男性の声を伝えていました。確かに、あの何もかも傾き、ゆがんだ町、ゆがんだ状態を見て、あるいは幾重にもひび割れた家屋を見ると、復旧した姿がイメージできないかもしれないんです。
だけれども、地盤は公共で住民負担なくやれること、家屋はもちろん公費解体をするわけですから、あとは上物をどうすれば、そこだけなんだ、公営住宅も含めた住宅再建の選択肢もあるんだということが大事だと思います。私自身、二十年前は、中越沖地震で出会った被災者たちが何度も話合いを重ね、かつ、復興基金によって自己負担を減らし団地の再生を果たした、そうした方たちにも会っています。
もう一度言いたいと思います。戻りたい人が戻る道があるんだ、それを政府としても全力で応援するということを大臣におっしゃっていただきたいです。
○斉藤(鉄)国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたとおり、しっかりと、これまでの例も踏まえながら、地域社会が復活するように、我々も、防災・安全交付金を使った形、しかし最終的には合意形成も含めて地方公共団体が決断される、その決断がしやすいような環境を我々つくり出していきたいと思います。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
金沢市も、液状化などの被害はあるものの、中心部の被害が少ないということから、二次避難を含め、多くの避難者の受入れをしています。ここで表面化しているのが、医療機関が、一次避難所などから救急搬送された、そういう被災者の退院後の行き先なんです。
一月三十日付北国新聞は、南加賀を中心に二十八日までに延べ二千八百三十七人受け入れたんだけれども、そのうち六割が高齢者で、退院先が決まらないと報じました。また、同日の北陸中日新聞では、病院が介護施設化している、こういう関係者の声を報じました。本当に胸が潰れる思いです。
私も、医療調整会議をやって本当に緊迫していた病院の方たちの意見を聞くことができましたが、救急搬送された被災者に退院後に必要なのは介護ということなんです。
金沢市は、二日現在、我が党市議の調べによると、特養や老健などの施設、六十一あるうち五十一施設が受け入れているんですが、既にキャパを一〇六%と超えて受け入れております。一日一日逼迫している状況、待ったなしです。
政府が一・五次の避難所や福祉避難所、介護施設への福祉人材の派遣要請を全国に行っていることは承知しています。しかし、定員緩和が先に来て人が配置されないことはあってはなりません。人材確保に特別な手だて、財源も含めて、厚労大臣に伺います。
○武見国務大臣 避難生活が長引くことが見込まれる中で、被災者の命と健康を守り災害関連死を防ぐことは特に重要な課題であります。
病院から退院される方も含めて、高齢者などの要配慮者に県内外の高齢者施設への避難をしていただく取組を進めております。
県内の受入先確保のために、高齢者施設における避難者の受入れに当たりましては、日常サービスの提供に著しい支障がない範囲で、定員を超過して受け入れても差し支えないということにしております。おおよそ、目安一〇%ほどではないかと思います。石川県の近隣県においても、更に協力を要請をしております。
また、厚生労働省におきましては、避難してきた高齢者等を受け入れている施設やそれから一・五次避難所において不足する介護職員等のニーズを丁寧に把握した上で、関係団体と連携をしまして、全国からの応援職員の派遣を実際に実行しております。
御指摘の、介護職員等の派遣に係る人件費、旅費、宿泊費等の諸費用につきましては、基本的には、これは災害救助費等の弁済対象となるわけでございまして、厚生労働省のホームページの中でもこれは周知させております。
引き続き、県や関係団体と緊密に連携をして、被災者の命と健康を守るための必要な人材の確保、施設の復旧復興の支援を含め、現場のニーズに即して対応していきたいと思います。
○高橋(千)委員 こうしたときに、介護報酬の引下げの報道というのは現場を大変落胆をさせていると思うんですね。
介護の派遣を要請する中で、離職者の方たちも、今回、本当に現場に行ってくださればいいなと思うし、今回の応援を通して介護職に復帰してくれればいいな、そう思うんです。そのためにはやはり本格的な処遇改善をやっていかなければならない、このことを強く求めたいと思います。
今朝の読売新聞は、自ら被災しながら懸命に対応してきた看護師さんたちが辞めたいとおっしゃっている、かなりの方がもう既に意向を示しているということであります。
本当に、こんなことがあってはならないし、先ほど、大臣、一一〇%までは何とかとおっしゃっていましたが、繰り返しますが、枠を広げて職員がいないということだけは絶対に避けていただきたい。そのために、特別なやはり財政支援も、災害救助で出すのは当然だけれども、それだけでは足りないと私は思うので、重ねて指摘をしたいと思います。
最後に、政府がパッケージを出して、これまで、災害が続く中で様々に積み上げてきた支援策がまとまっているんだと思います。
これまではプッシュ型で、初動はプッシュ型でやったけれども、これからは被災地のニーズに基づくプル型にしていくんだ、これは大事なことだと思います。
問題は、誰がそのニーズをつかむのかということなんですね。県庁の六階に現地対策本部はあるんだけれども、あれせい、これせい、あれどうなっている、もうこればっかりだ、もっと現場に任せてほしいという自治体の声もありました。あるいは、パッケージ、こういうのもありますよとお勧めしてみたんですが、それはいいかもしれないけれども、それを被災者に紹介し、こんな支援策があるよとマッチングしてくれる、あるいはこれを町の事業として成り立たせる、そういう人がいないのだと言われました。
総理が先月の当委員会で、現地にミニ霞が関をつくると話していました。指示するだけなら、現地に行かなくてもできるんです。本当に、一緒に苦労しながら、知恵も出すし、すぐ答えてくれる職員を送り出すことこそ、必要な国の役割ではないでしょうか。
○松村国務大臣 お答え申し上げます。
まず、支援パッケージでございますが、国から押しつけたものではなく、あれをつくるに当たりましては、現場のニーズを捉まえて、また過去の経験も生かしながら、今回の支援パッケージを取りまとめたところでございます。
御指摘のように、被災地の職員の方々も被災をなさっておられます。大変疲弊をしているとも伺っております。その上で、全国からの、県、市町村の職員の皆さん方にも、過去の経験のある方や、いろいろな知見のある方を派遣をしていただいて、もちろん国もそういう形でございますけれども、いろいろな相談に乗りながら、現在対応をさせていただいているところでございます。
また、それぞれの支援パッケージの中では、各省庁においては、既に、オンライン、また被災地での説明会、相談窓口の設置、こういったものも、やはりきめ細やかな対応を進めていただいているところでございます。
このフェーズでやはり必要なのは、先生御指摘のように、伴走支援のできる方々、こういう方々が必要だと思っております。
例えば、中小企業庁が行いますなりわい再建支援、こういったものは、制度は分かったけれどもどう進めていいのか分からないと、それぞれの方々がお悩みになります。既に、全国商工会連合会であるとか会議所の方にお願いをいたしまして、こういう方々、東日本であったり熊本地震であったり、こういうところでの経験のある方々の派遣もお願いできないかということで、二週間ほど前にはお願いをしておるところでございます。
引き続き、丁寧な対応をやってまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 大臣、誤解なさらないように。押しつけたと言ったのは、パッケージのことじゃないんですよ。パッケージはいいけれども、それをちゃんと形にできるためには、やはり今おっしゃったような伴走支援が絶対必要だという意味ですので、是非よろしくお願いします。
終わります。